なしかの観てきた!クチコミ一覧

81-100件 / 663件中
ジュリアス・シーザー

ジュリアス・シーザー

華のん企画

あうるすぽっと(東京都)

2013/07/11 (木) ~ 2013/07/16 (火)公演終了

満足度★★★★★

初見
毎公演気にはなっていたが、子どものための〜とついている為、躊躇していたが、前評判の高さから初観劇。結果、面白かった。
もっと早く見ておけば良かったと後悔中。

少し目線を下げて物語を作っている以外はまんまシェイクスピア劇だった。暗転かわりの柏手によるメリハリや音楽、数台しかないテーブル、華美でない衣装なのにローマ人に見える役者技量。
大人と子供が一緒になって笑える舞台って、何気に凄い事だと思った。
約2時間。

ネタバレBOX

お話も殆どイジル事なく進んでいたけど、分りやすかった。
政治、裏切り、権力、名演説、男芝居が全面にでたシェイクスピア劇だった。黒コートで整列乱舞する最後もカッコ良かった。
海と日傘

海と日傘

松本紀保プロデュース

シアター風姿花伝(東京都)

2014/11/21 (金) ~ 2014/11/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

互いの愛おしむ姿にいろいろ思う
20年前の戯曲だが、作品を見るのは今回が初めて。
夫婦2人暮らしの日常生活。日々の積み重ねで月日が経つだけ、奇抜な事が起こるわけではない。暮らしていくうちに自然に生まれ身についた生活動線、毎日の食事や生活音、何気ない間、等々、わかりやすい分、見終わった後はそれらがダイレクトに響く。
何年か後に来るであろう自分の夫婦環境を重ね合わせている自分がいて、いつしか、さめざめと涙が溢れていた。
縁側で爪切ってるだけなのに、それで話を見せるなんて向田邦子作品以来かも。
良か舞台でした。
約110分。

ネタバレBOX

元々、長崎が舞台。話の中では言及しなかったが(なくても別に構わないが)時代的に直子さんは原爆の犠牲者だったのだろうか。夫婦2人とも生まれ育った地ではない場所に根を下ろし、つつましく2人で暮らし、また隣近所の好(よしみ)で世話を焼く母屋の大家夫婦。
作家らしいが、まだそれで生活できるほどの余裕はない夫。そんな夫を支える妻。
静かに冷静に自分を見ている妻、同性として接している時の妻、どこかで全てを悟っているとわかるのか、言葉にしなくてもわかる夫婦の以心伝心が舞台上からヒタヒタと伝わってくる。
妻の年下看護婦への夫の気遣いの仕方と、浮気相手と思しき女性編集者への接し方、平常心を装っているのか無表情ながら目元に現れる物言わぬ嫉妬、嫌悪や複雑さ。交差した取り乱し方。女として、各々が目の当たりにした妻の覚悟に、また切なく胸が締め付けられそうになった。
夫が話しかけた時、それが独り言になってしまった瞬間の悲しさにまたもらい泣きしてしまった。
虹の端に立つ妻の横顔はとても綺麗だった。

とても日本的な話ではあるが、ヨーロッパあたりでも通用しそうな話だなと思った、素人考えだけど。日本で海外戯曲が上演出来るなら、この座組を逆輸入して上演したっていいじゃないw なーんちって。
有名戯曲のため、今後も別の団体が舞台化することもあると思うけど、初見で見た舞台はとても良い舞台だった、別団体の公演を見るときはやや厳しめに見ることになるかもw。
郵便屋さんちょっと2016

郵便屋さんちょっと2016

劇団扉座

座・高円寺1(東京都)

2016/06/23 (木) ~ 2016/07/03 (日)公演終了

満足度★★★★★

戯曲も読んでみたいが…
つか×扉座第2弾。つかこうへい七回忌にあたる為か、至る所でつか作品の舞台上演はあるが老舗劇団の安定性と戯曲のどこを改訂したかわからない時事ネタ絡めた現代版のつか版新作舞台だった。クライマックスに至るまで徹底したつかイズムに嬉し懐かしでついつい涙が出てしまった。
第1弾はチャイコフスキーで滾らせ、第2弾は一貫したタキシード姿の山中崇史SP。自分の座席からは冒頭の大音量SEに若手役者さんのセリフが聞き取れない部分はあったけど、すぐにそんなことも忘れてしまうセリフの連続と場面についニヤニヤしてしまう。
「郵便屋さん〜」は初見の為、どうやって幕引くんだろな?と思いつつ、辞令を手渡すシーンから盾持った機動隊との格闘に、見ていてカタルシスを味わうような懐かしさ。
ジョンと田所が2人並びセリフの掛け合いをする劇団同期姿にも胸熱。

つか正本や原作戯曲も読んでみたかったが、ロビー物販は扉座関連グッズのみ。版権の関係からかな?
いろいろな関係で多分映像化は難しいと思うので、興味ある人は見に行ったら良いさ〜。約130分。

ネタバレBOX

個人的な印象として、生前時は高橋春男氏や和田誠氏が描くような顔しか思い浮かばないんだが、巨人が好きでバカとブスが嫌いで前向きサディスティックでマゾ体質ぽいという印象をずっと抱いていたんだが、今回の舞台をみたら、出生や国籍とか、とかくそっちに言いたがるマスコミに悪態ついてそうな、つか舞台そのものでした。劇場を出れば選挙演説真っ最中、今後もこの手の演劇が上演出来る世の中であればいいな、と。
コルトガバメンツ -revisited-

コルトガバメンツ -revisited-

東京ハートブレイカーズ

南青山MANDALA (東京都)

2012/02/29 (水) ~ 2012/03/03 (土)公演終了

満足度★★★★★

チーム男子
タイトル同じだけど、毎回加筆して話を変えてくる舞台作。
今回はライブ演奏と芝居がミックスされているけど、心躍る演奏に歌って騒いで楽しんでるうちにあっという間に終っちゃったといった感じ。
お祭りは終った後が切ないけど、この舞台もそんな感じでした。
客席の傍らで見ていた右近さんの表情が、穏やかで楽しそうで印象的でした。

ネタバレBOX

小学生時代の仲良し4人組がバンド演奏と、30代の成人した3人と1人の対比の構成。ドラえもんのタイムマシンのように、ピアノ下から順番に登場。
フジイは中学入学を機に3人とは別の中学へ、何も知らない3人。
同窓会がキッカケで全員会う事になるが、いろいろ事情があって。
そんな中、仲間の男がモデルガンを持ってきていた。

会えば会ったで、子供時代の遊びを懐かしがり「戦争(自己流?に作ったゲーム)」やら、コブラツイストかけたり、長嶋の無茶ブリ物真似させたりと、男の子特有の騒々しさに思わず微笑んでしまう。

小説書いていると思われたゾメは引きこもり同然の在宅ワーク。
アキは家族で自営業だがあまり景気は良くない。
銀行員だと思われてたフジイは銀行の警備員だった。
寿司屋のシンちゃんの子供は来年中学に上がる。
自分も持っていないパソコンを強請られたりして、ふいにフジイに「なんで別の中学に行ったのか」と詰め寄ったり、コブラツイストかけられて腰を痛めたゾメに湿布探して、フジイの母親の部屋に入った時に何か見つけ、たわいない話から無意識にフジイを追いつめていく。
それぞれの胸の内と今の生活の葛藤が交差した瞬間、フジイの心に今までのジレンマの様なものが一気に吹き出し、隠してたモデルガンを手にして銃口をかつての友達に向けて引き金を弾いてしまう。
が、もちろん玉は入ってない。
そこのフジイの切なくって複雑な表情が良い!
仲間内で集まり、寄り添って救っていく場面が見ていてホッとしました。
かつての状況からの「卒業」に至るまでを、ちょっと懐かしめの心躍るバンド演奏で騒ぎ、舞台脇で小さく振付けて楽しんでいる4人組を見てるこちらも楽しめました。
お酒飲みながら見ていたので一部解釈に語弊があるかと思いますが、楽しい舞台でした!

「昔の事は美化したがる」という台詞に共感。
TRIBES トライブス

TRIBES トライブス

世田谷パブリックシアター

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2014/01/13 (月) ~ 2014/01/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

繊細な翻訳劇
手話セリフ(日本語対応手話)のやり取りは健聴者にとって、時に読み取れないハンデが生じるが障害(障がい表記が主流だが自分はこの字がしっくりくる)というのはそういう事だと思う。
日本で障害が絡む話だと=福祉、という印象を持たれやすいと思うのだが、この舞台はきちんと個人の感情を貫いている。
聞こえない相手に音で振動を伝え、言葉を発しコミュニケーションを取る暮し。
障害の程度による差異。その中では彼はまだ上位の位置づけにある模様。
「普通」な家族だが、曖昧な会話はなくそれぞれが一生懸命に会話をする。通常の海外翻訳劇に出てくるような家族とはひと味違うけど、ラブシーンの描写から結末まで上質な翻訳劇だった。

舞台セットや衣装で白と黒を基調としたメリハリは映えてとてもよかったが、衣装の白地と地肌が合わさると手話セリフは場所によっては読み取りづらいのでは。
役者さん全員良かった。休憩込み約2時間30分。
1/21pm 追記

ネタバレBOX

冒頭、家族の内情が窺い知れるが、クリエイティブ?な知的な暮らしぶりのようだけど実際は極々一般的な家族。
家族団らんのシーンでのビリーの表情がいかにも穏やかな末っ子という雰囲気を醸し出して可愛かった。
父親はビリーが手話を習得すると聴覚障害者のコミュニティに依存してしまうと考え、手話を禁止し相手の発言は読話させ、ビリーには口話を覚えさせ育てて来た。
そうさせたのも自分がユダヤ系北部出身者だったから、母親は明るく振る舞っているけどどこか空しく思っているのでは。兄も気分転換で隠れてドラッグ?やっていたり以前はドモリで苦しんでたり。姉はオペラ歌手になりたいけど上手くはいかないようだし。そういう下地が見え隠れした中でビリーは可愛がられて生きて来た。

そのビリーを変えさせたのがシルビア。
その後、家族から仇のように位置づけられてしまうが、彼女の家族まで槍玉に挙げて罵詈雑言を浴びせるが、彼女の手話での反論には力強く迫力あるもので聞き(見?)入ってしまう。詩的表現の手話を話す時の彼女の仕草はとても美しかった。

ビリーが手話を個性と自覚し補聴器を投げ捨てた瞬間、そこから彼の自立が始まると同時に家族との決別の意思表示でもあり、そこから空気が変わったのが一目でわかる凄さ。
シルビアの老化ではない肉体的な衰えと一緒に生きる事の畏怖、
弟への愛情が崩壊し、自己の精神も歪み始める兄、
障害をもった子どもが判った時の母親の苦悩を想像したら彼女にも胸が痛む。
姉はビリーの生き方を理解しようとしていたのか。
父は彼と家族を掌握する事で自己満足を得て生きていたのか。
家族それぞれが互いを大事にし支え合っていた仲なのに、「言葉」を逆手に取り崩壊して行くさまは重く切なかった。
ビリーの家族から独立の意思と結果が、直ぐに好転をもたらすとは思えない。明確な結末は見せなかったが、漠然とした終らせ方には彼等の自立心が既に芽生え始めているのではないかな、と思ったり。

手話経験者だが、ビリーの激昂した時の掌音や腕の強弱の動かし方がまんま聾者の使い方で驚いた。
イギリスの翻訳戯曲だが、台詞に「もし〜」とかの仮定形の言葉が出て来たが確か英語には、それに当たる表現はなかったような気がする。日本語は「もし〜」にあたる言葉があり、劇中もそのまま対応していたがそこら辺が翻訳劇の面白い所なのかな。勉強になりました。
田中圭さんは悩める青年と凶暴の二面性がますます上手くなっている。
あと、大谷さんが時々吉田鋼太郎さんのような台詞回しに聞こえて面白かったですw
朗読劇『犯罪|罪悪』

朗読劇『犯罪|罪悪』

橋爪功

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2013/12/21 (土) ~ 2013/12/25 (水)公演終了

満足度★★★★★

「犯罪」の回を観劇
原作のシーラッハは初体験、森新太郎さん演出で橋爪功さんによるリーディング。
「フェーナー氏」「チェロ」「ハリネズミ」の三話朗読、タイトルどおり犯罪絡みの内容の大人の為のお話。
舞台の上には一人しかいないのに、聞いていると誰かと会話のキャッチボールをしているかのよう、また年齢や性別の演じ分けも魅力的な読み聞かせ芝居でした。
三作の中では「ハリネズミ」が可笑しさもあってか、好き。

ネタバレBOX

書斎部屋のようなイメージのステージ上には、書斎机と社長が座るような椅子と、コートと中折れハットがかかったスタンドタイプのコートハンガーがあるのみ。
読み終えたテキストは書棚から次の作品を選んだり、最低限の映像と場面事に効果的な照明の切り替えがあったり、読みながらも視線は客席を向いてたりと、ステージ上も動き回り物語に熱気のような緩急をつける。
愛はあっても罪は罪。ハリネズミの話ぶりと退室する際の最後の笑顔がチャーミングだった。
エトランゼ

エトランゼ

劇団桟敷童子

すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)

2015/08/19 (水) ~ 2015/08/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

初見
東作品は他の舞台ばかり見て、今回初桟敷童子。
東作品見てると大正琴楽曲のような古賀メロディーをついついイメージしてしまう元九州人。
70年代後半に流行したアイドル歌謡曲が陽気に聞こえる小山麓。
山師の人たちも「あーこんなピュアでかわいらしいルックスのおばちゃんに見えないおばちゃんおったわー」と童心に返り見てしまいました。
噂に聞いてた壮大な舞台装置も面白かった。
客席に中高年の男性が多かったことに驚き、劇場の冷房が効き過ぎだったのは難点かな。面白かったです。約110分。

ネタバレBOX

山の神聖さ、不浄を忌み嫌う因習の仇、子の無邪気さ、童女のような老婆、女の挑発、正直でありたいが故の逃げ場ない思いと追い込み方に、喪黒福造の「ドーーーン!」って迫ってきそうな迫力を思い出してしまったが。その土地の田舎で暮らす人々と女の世界観が垣間見え、その図式に自分が疑似体験しておるかのような錯覚を覚えた。

好きな男の言葉だけを生きる希望にした女の一途さに、物の怪のような感情が湧いてしまったのは「俗」の部分が勝っていたのか。結末に案外悪い人ではなかったのかも、と思った。こう考えるのはやっぱ甘いのかな。
治天ノ君【次回公演は来年5月!】

治天ノ君【次回公演は来年5月!】

劇団チョコレートケーキ

シアタートラム(東京都)

2016/10/27 (木) ~ 2016/11/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

2日目観劇
初演観劇済みだが、劇団の持つ質の高さを確信した一作。初演時の感動をが忘れられず「再演」の一報を目にした時から観劇日を心待ちにしていた。また感想をあげるのも蛇足のような気もするが、すでに観劇済みの皆さん同様、今回も感動したのは確か。
初演の駅前仕様の舞台セットから、少し広めのトラム仕様になった(がセッティングにはあまり変化ない)事や側近の所作など多少の変更はあった気もするが、場面の改変などはあまりなかったような気がする。

天皇一家の家庭劇、と例えるのも変だが、与えられた運命の重さに身構え、フィクションでありながら、さながらノンフィクションの舞台を見ているかのような錯覚。奇しくも前回と同じ場面から涙がつらつらと。
話の重厚さから身体の芯から硬直しそうになるが、見飽きる事なく物語の中に入り込ませた話の巧みさに、140分近くがあっという間に過ぎる。良舞台を見せて戴き、感謝。

全体を見たい場合、上手側からの観劇が良いかも。

『ひとよ』★【横浜公演】6月6日・7日KAAT大スタジオ!★

『ひとよ』★【横浜公演】6月6日・7日KAAT大スタジオ!★

KAKUTA

ザ・スズナリ(東京都)

2015/05/21 (木) ~ 2015/05/27 (水)公演終了

満足度★★★★★

母帰る
初演は震災の年。1日で変わってしまったことを受け入れながらいつの間にか4年。あれから自分の中で考え方も多少変化したこともあるが、今回も初演時同様、舞台の世界観にしっかりと入りこめた。
正しく生きていくのはとても難しく割り切れない思いを抱くことも多いが、当たり前の喜怒哀楽があることはなんと素晴らしいことなのか。
スズナリ仕様になった舞台だったが、コンパクトになって見やすかった。良い舞台だった。

ネタバレBOX

こはると大樹、園子、雄二3人が犯罪者の子供として生きて来た歳月を爆発させた瞬間、堂下さんの息子の関係が判明した後の暴れ方、こはるの夫と父に一瞬に変化し言葉では言い表せない感情に身を呈して止めるきょうだいの姿と行動に切ないやら、優しいやら。

根底の話は実はシリアスな話なのに、出てくる人たちがいかにもいそうな人ばかりで「あーやりそう」っていう行動に今回も笑ってしまった。
もつれた糸をじっくりと解きつつ、気がつけば心に響いてるドラマチックな展開に、桑原さんの作風が中島みゆきの描く曲の世界のようと思ったりして。
吉永さんは寅さんかw
十一ぴきのネコ

十一ぴきのネコ

こまつ座

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2012/01/10 (火) ~ 2012/01/31 (火)公演終了

満足度★★★★★

日本版キャッツ!
最近の長塚演出にしては非常にわかり易いので驚いた。
仕掛け小道具の使い方が楽しい、賑々しく皮肉の利いた締め方。
一緒に歌いたくって久しぶりにCD買おうと思ったら無し!
元々私の一押し猫さんはにゃん次さんだが、他の舞台では見られない穏健派だったので面白かった。にゃん太郎の賢さにほろり。
会場全体使ったりするので、前方席の人は猫さんが動き回る度、追いかけて見るのが大変そう。
芸達者な俳優陣とバリエーション豊富な聴いてて楽しい音楽も良い。

ルート99

ルート99

さいたまゴールド・シアター

彩の国さいたま芸術劇場 小ホール(埼玉県)

2011/12/06 (火) ~ 2011/12/20 (火)公演終了

満足度★★★★★

質の高さ、見応え有り
登場人物の構成が多面的で最初混乱しかけたけど、なんとか話に追いついて見ていた、と思う。
舞台という虚構の世界の話のはずなんだけど、沖縄の問題とか今の日本の放射能汚染とか透けて見え、舞台上の役者さんと見ている観客の状況は常に背中合わせと感じた。
劇中劇の場面で、島民の方がステージを囲み見ているシーンがあるが島民の何名かほんとに楽しそうに見ているのが微笑ましかった。
役所の人のカワバタさんが良いキャラw、ドラマ「相棒」に出演されてた益田さん、声に張りがあって良かった。
男性では、毎回倉澤さんと遠山さんが何故か気になっている。

ネタバレBOX

カメラマングループ、ミラの家、島民、基地内で働く人、市役所職員、他所から来た劇団員とスタッフ、基地に反対する地主。

ミラの家/劇団制作と市役所、2組の姉と妹と立場。
制作の姉の芸術を追い求める姿に、手に掴めそうで掴めないもどかしさが、いつも呆然と見て結局舞台の内容を理解出来ないでいる自分に重ねそうになった。
姿を現さない(現せなかった?)恋人のタチバナを忘れる事を選択した姉とヨシユキのこれからの関係。
ヨシユキと与平の真面目さ故の行為。
ミラの妹の悲しさ。
毒まんじゅうばらまいて逮捕された2人。
強制的に土地を奪われ、そのまま物故者となり紋付袴の礼服姿で亡霊となって島の現状を嘆き訴える地主達。
毎回裏切られ、解決策のない「善処します」の一語で片付けられ答えが出ないまま日々が過ぎていく空しさ。
白地の布に吹き付けられるミラの姉の鼻出血。その様子が日の丸に見え、いろんな物に汚染されつつあるこれからの日本の様子にも思え心苦しくなった。
コッコの挿入歌もちゃんと聴いとけば、もっと違った印象になるんだろう。蜷川さんの終盤BGMは代わり映えなかったけど。

ゴールドシアターのダンスレッスンや発声練習等の風景は見応えがありました。
次回作も期待。
家の内臓

家の内臓

アル☆カンパニー

ザ・スズナリ(東京都)

2012/04/25 (水) ~ 2012/04/30 (月)公演終了

満足度★★★★★

温泉旅館の夜の会話
旅行先の開放感から来るものなのか、5人の中では多分年長者なのに良い加減ではしゃぎまくる沼田さん、とそれにちゃんと答えてあげてる年下の同僚、受け答えと行動の自然さに違和感なく劇中に入り込め、やり取りの絶妙さに笑えました。
もう、しつこくてクドいおじさんの沼田さん、どうにかして下さいw
端で見ている分にはいいけど、一緒に仕事はしたくないw
力の抜けた緩い私小説を見ているような後味。

ネタバレBOX

家の内臓=家の内装(会社)ってこと?
毒婦二景「定や、定」「昭和十一年五月十八日の犯罪」

毒婦二景「定や、定」「昭和十一年五月十八日の犯罪」

鵺的(ぬえてき)

小劇場 楽園(東京都)

2014/06/12 (木) ~ 2014/06/23 (月)公演終了

満足度★★★★★

A:定や、定 観劇
Bプロ観劇から数日経過し、あが定版観劇。
ハマ定版同様、テンポ良い話だったが、定と正直のやり取りは「喜劇阿部定」とタイトル変えてもいいくらい笑えた。時々切なくなったけど。
男が若き日の定との交流を噺家のように語り尽くし、行き着いた先は、父性が芽生えたんだろうか。
どちらの定さんも魅力的で迫力あってチャーミングだった。
面白かったです。約70分。

アトムへの伝言

アトムへの伝言

劇団扉座

紀伊國屋ホール(東京都)

2011/06/15 (水) ~ 2011/06/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

いろんな「情」
紀伊国屋ホールで最終日に見ました。
ロボットに差別用語や危険行為はプログラミングされていない。だけど、人間と接する事でロボットなりに成長と苦悩があり。とある事がきっかけで責任負って師匠と漫才する場面は泣き笑いするしかなかった。
研究者チームのロボットへの心意気と生真面目っぷりな行動がまた可笑しさを誘い、世間との孤立感が見えるようで切なくなった。
軽そうに見える劇調の中で、笑わせて、問いかけて、終いにゃ考えさせる。だけど辛いとは思えず。むしろ温りがあり、これが劇団30年分の底力なんでしょうね。
会って久しい友人からの手紙を読み返した後の様な、懐かしさを感じ見て満足、良かったです。

それにしても、亀屋芸能社めちゃくちゃ昭和テイストな興行会社だった…。
柳理科子が一番ロボット風味が強い容姿だったなー、まさに今!21世紀の顔って感じ。
漫才の一部分は下ネタが厳しくて苦笑いするしかなかった。アドリブ?もあり笑わせてもらいました。

ネタバレBOX

偉大な博士の指示の元、研究者チームがカッパロボットを開発、漫才プログラムを度々バージョンアップさせ本職の漫才師と諸々あった後、コンビを組む事になる。
差別用語や人間を傷つける行為は入力されていない。だが、ヒューマノイドロボットという事で機械人間だけど感情があり。
とある事がきっかけで人間を傷つけてしまい、博士の指示でロボを木っ端微塵にしなくてはならず。
だけど、そうならないように自制し、曖昧さで加減出来るのも人間、この二重構造さが今の日本人の姿にダブって見えてしまった、ちょっと考え込み過ぎてるけど。
鉄腕アトムに匹敵するような自己犠牲が働いて、心を持っていないはずのカッパロボの心がわかった研究者と必死に逃げさせようとする研究員。地雷を鳴らさなくてもその後が容易に解る幕切れと、研究者チームの空を見上げる表情に最後の最後まで、いろんな涙が出てきて困った。

海老乃家ラッパのお笑いへの強情と恩情。
芸能会社社長親子の人情や厚情。
大衆芸能の情緒と事情。
研究者チームの情熱と心情。
ラッパとカッパの温情と深情。
いろんな「情」を感じ取れる舞台でした。

終演後、ロビーに出演者さん達集合してたんですねー。知らなかったーちょっと残念w。
追憶のアリラン【ご来場ありがとうございました!】

追憶のアリラン【ご来場ありがとうございました!】

劇団チョコレートケーキ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2015/04/09 (木) ~ 2015/04/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

思いつく言葉がすぐには見つからない
終戦間際の日本統治下にあった国。今回も展開は重い。
真面目に生きているだけなのに、それを粛々と受け入れる覚悟に、こちらは見守るだけしか出来ず、結審後の行く末から噎び泣きだった。
何も気にせず明日の事を考えられる世の中は良き時代なんだよなぁ。
役者さん全員素晴らしかった。階段の組み合わせのセットも面白い見せ方でした。

約135分。

キレイ

キレイ

Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2014/12/05 (金) ~ 2014/12/30 (火)公演終了

満足度★★★★★

観劇納め
初演も再演も見ているし、出演している大人計画のメンバーも(当然自分もだが)それなりに歳をとった。なので今回はスルーしようと思っていたのだが、最近の松尾さんのエッセイや舞台を見ていると、この頃(2000年前後の松尾チルドレンとか例えられてた時期)書いていたような作風を見られるのは今後は減少していくかもしれないと思い、チケット完売後ではあったが、追加販売の立ち見席から観劇。
オープニングテーマのイントロが聞こえたら、よくわからない感慨が溢れ、なぜか感涙しそうになった。観劇するだけの客なのに。こんなん書いてるだけで赤面じゃ。

公演時間が休憩含め3時間半近く。
休憩時間のロビー混雑を見たら、さすがに初演時のようにロビーで幕間ネタ披露みたいなことは出来ない。だが、舞台上での大人計画の役者陣が大きい劇場でも小劇場感を醸し出していることは見てて嬉しかったりして。
14年も経てば、差別心や犠牲心にかなりの変化は生じ、暗部と思われていた事件内容もいつの間にかありふれた感覚に浸透してしまった現在。今後もこの作品が上演されるかはわからないが、世代を超えても小劇場界の古典作になりそうな舞台に確変しそうな作品だと思った。
頑張って見に行ってよかったです。

ネタバレBOX

少女の過去と現在と未来を行き来する話の展開は全く変わっていない。
14年前に見た時、荒唐無稽だけど少女を取り巻く事件のうすら寒さに現実感でカオスな印象があった。歌やダンス、キャストそれぞれの勢いがはまって、とても面白かった印象。
ライブ会場などでアーティストの演出に映像を使うのには馴染みがあった。今では一般的な舞台演出での映像仕様も、それまではごく一部の舞台でしか見ない方法だったと思うが、今では技術も進歩してるし、浸透し見慣れてしまった演出法になっているけど、この頃あたりから、この公演に限らずだが、映像モニターを多用した演出が出始めた様な気がする。
直前にいろいろあった再演もそれなりに魅力が発揮されていた舞台だったと思う。
3度目となる今回、時事ネタや音楽の変化はあったものの、初演時同様の見る新鮮さ、バンドサウンドからオーケストラサウンド対応に変わった厚みが加わり、より一層楽しめた。
ダンスシーンもNo more 映画泥棒の人なみに腕と体がよく動くこと、これまでとは違うダンスの美しさだった。

ケガレとハリコナとカスミお嬢様が並ぶと、背丈が統一されてて同世代感もあってバランスいい。初回でこのハリコナやカスミお嬢様を見る人が羨ましい。
マジシャンは「陰」より「おっちょこちょい」感が見えて、もう少し怪しい部分が出てくれればよかったかなと。成人ハリコナは初演時配役の当て書き要素が強いのか、役者さんは悪くないんだけど演者の年齢的な違和感が見えて困った。
歴代ケガレ、それぞれ良かったんだが、今回の多部さんの持っている少女の持つ素直な全面性から、女性に変貌する、その交錯する部分がよく見え、歌や踊りの上手さもビシバシ伝わり非常に良かったです。
戦争未亡人の館で仕切る家納さんの迫力、しびれました。ほか、大人計画の面々は安定の面白さ、吐夢さんは変わってなかったけど。

地下から扉を押し上げようとするケガレ、地下の扉をこじ開けようとするミソギ。この場面は何度見ても胸が熱くなる。
ミソギとダイズ丸の信頼のような愛情シーンも同様。感無量。
『いとしの儚-100DaysLove-』

『いとしの儚-100DaysLove-』

劇団扉座

座・高円寺1(東京都)

2015/10/29 (木) ~ 2015/11/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

惚れられて惚れあう2人
もともと「長谷雄草子-はせをざうし-」を下敷きにしてたと思う。
15年ぶりに劇団に戻り、改定してる部分もあったけど愛の形が夫婦愛、同性愛、多様な愛情表現と外連味あるスーパー歌舞伎場面も盛り込まれた王道の舞台。
映像の活躍も良いが、舞台で見る山中さんはやっぱ華があるのである。
約2時間弱。

ネタバレBOX

舞台構造は前作の「ナオトラ」舞台と同じだったけど、それらを生かした舞台美術や鳴り物、個を活かす笑わせ方に、ああ、扉座だ、と嬉しくなったり。

鈴次郎が想像し鬼が造った屍体の寄せ集めで生を受けた儚。生まれたてなのでもちろん新生児。1日事に成長し100日後には人間になるが、禁を破れば水になって消えてしまうと鬼に告げられ、その間の面倒をみる事になる鈴次郎。身体は大人なのに言動が幼稚、花や鳥の名を尋ねれば卑猥な言葉でいい加減に返答する鈴次郎に対し、それを面白いと喜ぶ儚、確かに幼児はこんな感じだねとあるある納得。そんな2人とものぐさ坊主が出会って訳あって博打勝負することになり、坊主勝利。まさに坊主丸儲け。そのまま寺に預けられ、人並みの教育を施される。その成長場面は端折っているがちゃんとした精神が伴った常識人に成長する。
鈴次郎と坊主と三木松の三人のやりとりは面白いのだが、初演時の15年前とは男性間の恋愛認識もかなり変化していると思うが、以前はかなり滑稽に意識していた事も、「あ、そうだったね」と今回はさらっと受け止められたのは自分も歳をとったという事かな。

ハッピーエンドでもないがバッドエンドでもなく、陰鬱な話なんだけど、いろんなものが浄化されて終わる幕切れに泣きの鳥肌が立つ。花になって消えていった儚と、死して鬼になる鈴次郎。彼はこれから死んだ人間に自分の過去を語り、その度に儚を失い続けるんだろう。それがまたお伽話ぽくてよかった。
杉田版「HAKANA」の、ホリ氏の人形遣いが印象に残っていたので今回はどうかな?と想像していたが、今回の結城座賽子姫も衣装から博打女神が扉座の世界観にマッチして面白かった。

メグミさんの儚が成長した姿で、和服の姿勢と普段着こなしてない裾さばきが気になってしまったが、童女期のアホアホさ加減はさすがバラエティ経験者だなと感じた。
いま、ここにある武器

いま、ここにある武器

風姿花伝プロデュース

シアター風姿花伝(東京都)

2016/08/13 (土) ~ 2016/08/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

葛藤
10年ほど前に発表されたイギリス戯曲が、2010年に俳優座劇場で「兵器のある風景」として上演されて、今回の風姿花伝版では翻訳と演出、演者、邦題を変えたもの、らしい。

一歩違えばノーベル賞ものの貢献になるとこなのに、哀しいかな、いざそれを発揮出来るとなったら武器としての抑止力かはたまた殺傷力の効能か。出演者が4人だけど、2人芝居で進行する場面も多いが演者の巧みさと会話の面白さ、話の進展にあっという間に世界観にのめりこめた。
前方席で見ていたので舞台上のパソコン画面がよく見えたが、設計図面が手まり柄みたいで綺麗だった。

ネタバレBOX

エンジニアが開発したものは新兵器として例えても良いような製品だった。それによって得るもの、失うものはお金だったり、名誉だったり、身近な愛する人たちだったり。
真に迫った台詞のやり取りの濃密さとバトル、暗闇からの圧迫感に見ていてくたびれもするが、実に面白い。
極めて私人であるエンジニアの事情だったのに、世界を相手にしてしまう怖さにやや戦慄。

仕事が出来る女なのに、なぜ万年筆じゃないんだろ?安物に見えるボールペン使ってるんだろう、と思っていたら、ああなるほど…と腑に落ちる場面あり。あの着メロは彼女の可愛さポイントだな。
年を取っても兄弟ケンカは側で見てると滑稽で呆れもして面白くもあるが、終盤のあのシリアス場面でバールのようなものが出るとは。

確か、初めての仮チラシの段階では「ここにある武器」だったと思うが、「いま」が追加することによって、2016年の世界を考えることにもなるいいタイトルだな、と思ったり。
傑作な舞台でした。
八百屋のお告げ

八百屋のお告げ

グループる・ばる

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2016/09/01 (木) ~ 2016/09/05 (月)公演終了

満足度★★★★★

面白かった!
真空圧縮袋とラーメンとそのブログが恋しくなる、名作落語かと思うような舞台。役者も盤石のウェルメイドコメディ。
つい♪鬼のパンツは〜と口ずさみそうになるあの歌が挽歌にならずにホッとするが、よくよく考えてみれば、言うだけ言って、とっととお遍路行く八百屋のオヤジひでぇ。
チラシの文面とチラシ絵のモデルは、その八百屋のオヤジの風貌と話し口調なんだろうな。
笑って泣いて、笑って劇場を後に出来る素敵な舞台だった。

怪談 牡丹燈籠

怪談 牡丹燈籠

オフィスコットーネ

すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)

2017/07/14 (金) ~ 2017/07/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/07/30 (日)

最終日観劇。
極限の灯の中で、邪気、悪気、怨念の陰陽さをブレヒト幕ならぬブレヒト回転幕とでも例えればいいのか、その使い方で話がわかる見事さよ。結末以外、話のあらすじはあまり変えてなかったような気がするが、下男の遺恨はそうきたか、と面白く拝見。
発端/お露新三郎/お札剥がし/孝助の槍、などなど

このページのQRコードです。

拡大