なしかの観てきた!クチコミ一覧

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TRIBES トライブス

TRIBES トライブス

世田谷パブリックシアター

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2014/01/13 (月) ~ 2014/01/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

繊細な翻訳劇
手話セリフ(日本語対応手話)のやり取りは健聴者にとって、時に読み取れないハンデが生じるが障害(障がい表記が主流だが自分はこの字がしっくりくる)というのはそういう事だと思う。
日本で障害が絡む話だと=福祉、という印象を持たれやすいと思うのだが、この舞台はきちんと個人の感情を貫いている。
聞こえない相手に音で振動を伝え、言葉を発しコミュニケーションを取る暮し。
障害の程度による差異。その中では彼はまだ上位の位置づけにある模様。
「普通」な家族だが、曖昧な会話はなくそれぞれが一生懸命に会話をする。通常の海外翻訳劇に出てくるような家族とはひと味違うけど、ラブシーンの描写から結末まで上質な翻訳劇だった。

舞台セットや衣装で白と黒を基調としたメリハリは映えてとてもよかったが、衣装の白地と地肌が合わさると手話セリフは場所によっては読み取りづらいのでは。
役者さん全員良かった。休憩込み約2時間30分。
1/21pm 追記

ネタバレBOX

冒頭、家族の内情が窺い知れるが、クリエイティブ?な知的な暮らしぶりのようだけど実際は極々一般的な家族。
家族団らんのシーンでのビリーの表情がいかにも穏やかな末っ子という雰囲気を醸し出して可愛かった。
父親はビリーが手話を習得すると聴覚障害者のコミュニティに依存してしまうと考え、手話を禁止し相手の発言は読話させ、ビリーには口話を覚えさせ育てて来た。
そうさせたのも自分がユダヤ系北部出身者だったから、母親は明るく振る舞っているけどどこか空しく思っているのでは。兄も気分転換で隠れてドラッグ?やっていたり以前はドモリで苦しんでたり。姉はオペラ歌手になりたいけど上手くはいかないようだし。そういう下地が見え隠れした中でビリーは可愛がられて生きて来た。

そのビリーを変えさせたのがシルビア。
その後、家族から仇のように位置づけられてしまうが、彼女の家族まで槍玉に挙げて罵詈雑言を浴びせるが、彼女の手話での反論には力強く迫力あるもので聞き(見?)入ってしまう。詩的表現の手話を話す時の彼女の仕草はとても美しかった。

ビリーが手話を個性と自覚し補聴器を投げ捨てた瞬間、そこから彼の自立が始まると同時に家族との決別の意思表示でもあり、そこから空気が変わったのが一目でわかる凄さ。
シルビアの老化ではない肉体的な衰えと一緒に生きる事の畏怖、
弟への愛情が崩壊し、自己の精神も歪み始める兄、
障害をもった子どもが判った時の母親の苦悩を想像したら彼女にも胸が痛む。
姉はビリーの生き方を理解しようとしていたのか。
父は彼と家族を掌握する事で自己満足を得て生きていたのか。
家族それぞれが互いを大事にし支え合っていた仲なのに、「言葉」を逆手に取り崩壊して行くさまは重く切なかった。
ビリーの家族から独立の意思と結果が、直ぐに好転をもたらすとは思えない。明確な結末は見せなかったが、漠然とした終らせ方には彼等の自立心が既に芽生え始めているのではないかな、と思ったり。

手話経験者だが、ビリーの激昂した時の掌音や腕の強弱の動かし方がまんま聾者の使い方で驚いた。
イギリスの翻訳戯曲だが、台詞に「もし〜」とかの仮定形の言葉が出て来たが確か英語には、それに当たる表現はなかったような気がする。日本語は「もし〜」にあたる言葉があり、劇中もそのまま対応していたがそこら辺が翻訳劇の面白い所なのかな。勉強になりました。
田中圭さんは悩める青年と凶暴の二面性がますます上手くなっている。
あと、大谷さんが時々吉田鋼太郎さんのような台詞回しに聞こえて面白かったですw
30才になった少年A

30才になった少年A

Sun-mallstudio produce

サンモールスタジオ(東京都)

2014/01/09 (木) ~ 2014/01/14 (火)公演終了

満足度★★★★★

観に来てよかった!
前回公演で気にはなっていたが、都合つかず今回初見。

小さい新聞販売店の作業場と事務所、2階には六畳一間?の和室。
ほとんど初めてみる役者さんばかりなので、出だし、どういった役割か探りながら見ていたが、男の日常を取り巻く環境と心情の揺れ動くさまに次第に重い気持ちになったり、他愛ない話で一瞬表情が崩れる時もあったけど、その後の展開にやるせなくなったり。
彼と周囲の人の関わり方、揺れ動く感情につい舞台の世界に入り込んでしまった。

彼等90年代のアイドルはやっぱりあの人たちだよな、選曲ですぐにその時代背景がわかってしまう。
出演者にそれぞれ出番があったけど、笑いの要素を入れようとしたバイト面接のやり取りは特に必要とは感じなかったかな。
定時制だったかな、あの学校の先生はどこまで彼の事を知っていたのだろう。
隣のバイト君の笑わせ方が、早口、がなる、リフレイン、で、いかにも関西のノリの笑わせ方だなーと思った。
役者陣、全員素晴らしかったけど、新聞屋店長と元担任教諭の千葉さんが特に良かった。

明るい話ではない。
彼は全部受け入れて、誰にでも謝って、それでも生きて行かなきゃ行けない。罪の十字架を背負ったまま、彼の赦しの時間は果てしなく長い。あんなに重苦しい歓喜の唄を聞いたのも初めてだ。
あり得ない話でもない所にまた気が重くなったが、熱のこもった素晴らしい舞台に惹き込まれた。約2時間。

ネタバレBOX

主役のかつて少年Aと呼ばれ、服役、改姓し出所。知人宅にひっそり暮らす30男の世間との葛藤、生活、罪滅ぼしから来る希望の行為、ルーチンワークのような日常にしたくても、どこからか綻びと噂は湧き出る。
確かにあんなに興奮して怒鳴られちゃ、パニック障害の既往がなくてもビビる。
彼の事件で自身も職を辞する事になった元教諭、彼女も暮しが一変するが、改姓前の彼を見捨てようとしなかった行為がやっぱり教育者だったんだなと、感心した。
新聞屋の店長も時に荒ぶるけど、根は気弱でバカ正直さが出てていい人ぷりが伝わる。
店長と彼の選択は、時間はかかるけどきっと報われる日が来るのではないかな、と希望を持たせたくなるような人柄とラストと受け止めた。

今年最初の観劇にとても良い舞台を見せて戴き感謝。
DDDD第四回イベント「『授業』と二人芝居」

DDDD第四回イベント「『授業』と二人芝居」

ペンギンプルペイルパイルズ

サラヴァ東京(東京都)

2013/12/29 (日) ~ 2013/12/29 (日)公演終了

満足度★★★★

2部構成
マチネにあたる15時の回を観劇。
前半、近藤フク作、吉川近藤コンビによるショートショート作、少しゴドーを待ちながら風かつ微ホラーチックin福井、タイトル(言ったかもしれないが聞きそびれたので)不明。
後半は見る活字舞台のようなイヨネスコの「授業」
登場人物は初老の教授(高鹿)とそこにやってきた女生徒(ぼくもと)、教授の基にいるお手伝いさん(マチネは近藤、ソワレは吉川)
特に話を改変する事なく、そのままの内容で演じられていたが、高鹿氏の初老ぷりから狂乱後からの台詞量に圧倒されるわ、ぼくもとさんの溌溂とした登場から「算数」の理解度からの思考停止、そして噛み合ない会話、これまでぼくもとさんを見てて、性的な印象はあまりもってなかったが、今回の女生徒役は照明遣いも手伝ってか妙に色っぽかった。
お手伝いさんのウンザリっぷりときっちり仕事をこなす不気味さが良かった。
インテリ人の会話と歯痛には注意が必要な約80分でした。

ネタバレBOX

収録していたので、そのうち公式サイトにアップするかもしれません。
それにしても高鹿氏は人殺し役が多いなw
ハックルベリーにさよならを

ハックルベリーにさよならを

短い演劇推進委員会

劇場MOMO(東京都)

2013/12/24 (火) ~ 2013/12/28 (土)公演終了

満足度★★★

最終日14:30の回観劇
最終日は一日3公演。アイドルグループのような働きっぷりだが、舞台上の役者はかなり濃いメンツ、そして楽しんでいる様子がよくわかる。
キャラメルボックスの座付き作家、成井さんの初期作との事だが、自分自身は初見。疾走感満載の冒険小説を舞台化したような爽やかさの片鱗がいたるところに見えて、なんか納得。
子供時代の葛藤を時折ユーモアで包みつつ、歌と台詞がちゃんと届く60分勝負の熱い舞台でした。

朗読劇『犯罪|罪悪』

朗読劇『犯罪|罪悪』

橋爪功

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2013/12/21 (土) ~ 2013/12/25 (水)公演終了

満足度★★★★★

「犯罪」の回を観劇
原作のシーラッハは初体験、森新太郎さん演出で橋爪功さんによるリーディング。
「フェーナー氏」「チェロ」「ハリネズミ」の三話朗読、タイトルどおり犯罪絡みの内容の大人の為のお話。
舞台の上には一人しかいないのに、聞いていると誰かと会話のキャッチボールをしているかのよう、また年齢や性別の演じ分けも魅力的な読み聞かせ芝居でした。
三作の中では「ハリネズミ」が可笑しさもあってか、好き。

ネタバレBOX

書斎部屋のようなイメージのステージ上には、書斎机と社長が座るような椅子と、コートと中折れハットがかかったスタンドタイプのコートハンガーがあるのみ。
読み終えたテキストは書棚から次の作品を選んだり、最低限の映像と場面事に効果的な照明の切り替えがあったり、読みながらも視線は客席を向いてたりと、ステージ上も動き回り物語に熱気のような緩急をつける。
愛はあっても罪は罪。ハリネズミの話ぶりと退室する際の最後の笑顔がチャーミングだった。
治天ノ君

治天ノ君

劇団チョコレートケーキ

駅前劇場(東京都)

2013/12/18 (水) ~ 2013/12/22 (日)公演終了

満足度★★★★★

苦労人の大正天皇
大正時代の話と聞いて、自分の知識の中でぱっと思いついたイメージというのが、はいからさんが通る、竹久夢二、日本と西洋の混合文化、関東大震災、位の低レベルさ。今回の舞台の作品も、フィクションのはずなのにノンフィクションの舞台を見ているかのような錯覚。

大正天皇と節子(さだこ)皇后の品位を見失わない生き方、現人神、時流に変化する政事、それを受け入れる運命。若き日の極々普通のやりとりが後になれば儚く見える。
終盤の展開からあの荘厳な君が代を聞くと日本人と自覚する反面、自分はきちんと生きているのか、とも思う。大正天皇の誕生日を初めて知った。
デリケートな題材で、思想とか信条は置いといて、近代日本人の感情が伝わる華美さは控えめだがいい舞台だった。

ネタバレBOX

明治、大正、昭和、と時代を経た天皇がそれぞれ登場するが、父、息子、孫、と単純に当てはめられない肉親関係。まだ20代の皇太子から退位させられる経緯が実際に起こったやり取りのようにも見え、このやり取りの後に自分達が生まれてくるのかと思うと、いつのまにか歴史の引き継ぎの中にいるんだと思いと、どこか妙に生々しく感じられた。

紀保さん演じる節子皇后、「わたくし」という言葉がこれほど似合う女優さんも貴重だし、これまでの彼女の舞台を見た中では一番適した配役に見えた。元々、伝統文化の素養はある方とはいえ、皇后、皇太后の演じ分けが美しく優しい声色に品があった。また男性陣の所作も厳粛かつ綺麗。昔の男女は人前やいついかなる場面でもピシッとしてたもんなー。

不満と言えば、劇場内入り口から赤絨毯が敷かれて、そこを通っての着席だったが、構造上仕方ないとはいえ、役者さんが演じる場を汚したくないので、出来れば直前までなんか保護カーペット敷いて欲しかったかな。上演台本は既に売り切れてた。残念。
アクアリウム

アクアリウム

DULL-COLORED POP

シアター風姿花伝(東京都)

2013/12/05 (木) ~ 2013/12/31 (火)公演終了

満足度★★★

原西忠祐さん出演回観劇
自分より下の世代の中心話だからか、笑わせる要素はあってもどこか乾いた笑わせ方と受け止めた。終始、無気力ではない脱力と閉塞感が覆っているかのような印象。比較しようがない彼らと世代間の日常の違いにどう言葉を発していいのか戸惑い、各々の場面での喋りが会話よりも、深層対話を聞いているかのようだった。
つか芝居風の刑事コンビ、熱すぎて面白かった。約2時間。

ネタバレBOX

自分はあの中だったら、誰に近いのかなーと漠然と考えたが誰でもないわ—、と自己満足したりして。
鳥とKFCは共食いになってしまうw


マクベス Macbeth

マクベス Macbeth

Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2013/12/08 (日) ~ 2013/12/29 (日)公演終了

満足度★★★★

長塚流ブレヒト舞台な印象
シェイクスピアや舞台に馴染みのない方が初めて接する舞台として楽しめると思います。ある意味羨ましい。

私事だがコクーンで円形、堤さん、というと数年前のルヴォーさん演出の舞台「人形の家」のエンディング、役者の表情が見えない、というフラストレーションを一瞬思い出してしまった。
今回もほぼ円形舞台(舞台廻らない/役者が動く)だが、通常客席にあたる舞台の正面側から観劇。正面と対面側に役者が普通に座っていたり、役者が座っている所に照明当てたりする演出もあったり(そうなるとそこより前に座っている客にはそこで何を見せていたのか気づかないまま)客席含め舞台全体を見たい場合、サイドシートとかの方がより見やすいかも。
観客参加する場面がある為、そこで話の進行が滞りちょっと現実に戻されるのは致し方なし。自分が参加しない側だったからそう思ったわけではありませんw。
照明使いや舞台美術、役者さんが印象に残った。

超有名戯曲なので漠然と話の展開に予想はつくが、華美なセットや衣装等をシンプルにさせた為、却ってスリリングでかつてのtpt舞台を豪華にしたかのような面白い見せ方だなーと思った。
ただ、演者が円形舞台と客席至る所から出てくる方法に観劇視点の導線が追い付かない箇所もあり、通路頻繁に使うので中座した観客と役者が鉢合わせて気まずい場面が見られたり。
衣装選択に先日のエドワード二世思い出した。

台詞運びが丁寧、主題のマクベス夫婦が主役にあたるものの、舞台に上がっている配役の立場によりその瞬間はそれぞれがメインになる、それゆえ全体的に舞台時間の長さも感じられたが演じる役者さんが上手いので気にはならず。かえってマクベス夫婦の方が霞んで思えたくらい。でも、これ必要?と感じた所もあったような気も。

ネタバレBOX

舞台下に仕掛けはあるけど、近くの席でないと演者の表情まで読み取れず。
劇中の台詞で「女の腹を裂いて云々」とあったが、「女の股から云々」の方がインパクトあってそっちの方が覚えているっていう。これはメタルマクベスだったかな?どうでもいいが。

マクベス夫人が発狂後、侍女と医者が会話する場面があったがそれらをちゃんと聞いた舞台って個人的には初めて。ちゃんと慕われる部分もあったんだ、マクベス夫妻w。
小松さん演じるマルカム、野心とか皆無なんじゃないかと思わせる風貌だけどマクダフと心情を吐露する場面はつい聞き入ってしまったし、マクダフ家の惨殺シーンには思わず目を背けたくなり。
横田さんのロスが傍観者のような立ち位置みたいと思ったが、伝達者の役割がしっかりしてて最後の存在に眼を惹いた。
ほぼ劇場に居座っているヒゲ面魔女3人もいいアクセントだが、「魔女!」っていうと池谷さんの方がインパクトあったな。
転球さんとしんぺーさんが八面六臂の活躍。舞台上では目立つんだけど、しゅうさんや風間さんの存在が短いのが残念。マクベス夫人は怒りから半狂乱まで台詞がやや単調に聞こえた。
マクベスとドナルベインによる傘(じゃないけどw)殺陣の場面、もっと見ていたかった。2人が並んだ姿もカッコ良かった。

不満というか残念と言えば、配役が大きなとこから小さな劇場まで各方面で活躍をしている方ばかりなので、それぞれが独立して上手いのだけど、全員が集合するとどこかメリハリにかけたようなチグハグさのような印象を覚えた。
最後、客席あらゆる方面から視線を浴びるマクベスの幕引きの滑稽さに哀れさも見られたが、巨大な顔の大転がしにちょっと楽しんだり。裏を返せば、観客イコール民衆がその行為を率先する事により愚民にもなるって事なのかな。
基本に忠実ぽくて面白い舞台だった。
バカロックオペラバカ「高校中パニック!小激突!!」

バカロックオペラバカ「高校中パニック!小激突!!」

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2013/11/24 (日) ~ 2013/12/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

休憩込みで3時間近い舞台だったが
全く苦にならず、出演者全身全霊の馬鹿全開の悪ふざけを終始楽しむ事が出来た。
劇場を出た後、道玄坂を歩いている時に、はて肝心の話は?と振り返ろうにも笑いっぱなしであんまり内容はなかった、と思いだしつつ楽曲ともにノリの良い舞台。満足。
でも今後、渋谷以外の公演場所では、地理的な事とかあのロボとかノリが伝わるんだろうか、と心配になったりして。

近未来、渋谷にある高校が舞台、前作の「R2C2」と繋がっている箇所もあり。
パルコ劇場では珍しい中央通路大活躍。セクハラスレスレの男性観客いじりありw 演者のバンド演奏が更に上手くなって驚いた。
道玄坂クリステルさんはどう見ても、×ッチーだろw
今後、舞台に出る時の勝地さんは前髪クネオに改名してもいいんじゃないだろうか。

ネタバレBOX

坂井真紀さんの吹っ切れっぷり、さすが歴代の馬鹿舞台をこなしている素晴らしさ。
結構お馬鹿キャラだが、他のキャストの役柄が荒まし過ぎて佐藤さんがかえって清涼感ある役柄に見えた。
川島さん、やっぱアイドル!かわいかった。
β太、ではなく、永山さんの細い体型ながらも華があって一途な馬鹿さが面白かった。
翔さんやよーかいくんは音楽耳の良さが芝居にも活きているかのような舞台運びの上手さに思えた。
今回の三宅さんの活躍ぶりに目を見張る、本当に達者な役者さんだ。
皆川さんや少路さんは文句なしの出方。
宮藤さんは舞台だとやっぱイキイキして見えて良かった、個人的には単発でいいから、脚本執筆とは切り離し単独の役者としても活躍してほしいのだが。でも舞台楽しかった。
グッドバイ

グッドバイ

シス・カンパニー

シアタートラム(東京都)

2013/11/29 (金) ~ 2013/12/28 (土)公演終了

満足度★★★★

フォークソングな舞台感
太宰治未完作なので結末まで解釈は多様、「ザ•昭和」な世界観に恋愛と人生の機微に浸れ、三軒茶屋という都心な立地のトラムで見たのに、どこか下北沢風な小劇場四畳半な舞台。古そうで新しい試みの舞台で面白かったです。
役者陣皆良し、漫画チックな書割セットが飛び出す絵本みたい。
約105分。

石のような水

石のような水

フェスティバル/トーキョー実行委員会

にしすがも創造舎 【閉館】(東京都)

2013/12/05 (木) ~ 2013/12/08 (日)公演終了

満足度★★★

多面な筋を追いかけ描いた話、と思った
日本というより地球の何処か=ゾーン?で、展開している一人称の私と別人のような私達。話を聞いているうちにそれが生身の人間なのか、死人なのかわからなくなってくる。
乾いた土地に水一滴垂らし、枝葉の様に拡る景色を見ているような不条理とはまた違う非日常的な話だったが、ここに挙げられる「水」はどうしても昨今の原発の汚染水とかも想像してしまう。

役者さん良かった、石切場のような舞台と暗闇を際立たせる照明が綺麗。
約2時間。

ネタバレBOX

基になる映画の存在を知らない。
チラシから未来都市風景とか空想していたが、そうでもなかった。
冒頭から抑揚なく台詞を喋りまくる、漫画だったら1ページに登場人物全員が描かれた中、各自吹き出しの中に大量の台詞が入り込み、こちらはそれを一心不乱に読み込んでいるかのような始まり。
支離滅裂な事を喋っているわけではなく、話が進むにつれ、それが後に繋がるが、時折繰り返しの場面が見られたり、舞台上でいろんな場面が同時進行で描かれた構成に、喋り方も含め、役者さんの切り替えの巧みさが見入ってしまった。

隕石落下して立ち入り禁止区域になった場所をゾーンと言うになった。
ゾーンの水を飲んだ事により、死者と出会えた者、その別れ方に切なくなった。不倫と我が子への愛情、姉妹の緊張関係とそれぞれの愛情の示し方、とか。今思い返せば凄く単純な事なのに、時折見られた霧に宗教聖域の出来事のように見られ、舞台マジックにかかっていたのかも。
嫌悪感はない。考えないで、感じる舞台という世界だった。大変興味深い舞台だった。
いのうえシェイクスピア「鉈切り丸」~W.シェイクスピア<リチャード三世>より

いのうえシェイクスピア「鉈切り丸」~W.シェイクスピア<リチャード三世>より

パルコ・プロデュース

東急シアターオーブ(東京都)

2013/11/08 (金) ~ 2013/11/30 (土)公演終了

満足度★★★

面白かった。けど・・・
私事だが、新感線観劇でこれ以上ない位良い座席位置で観劇。もうこんな見やすい席で観劇する事ないんだろうなーっていう位、Bestポジションでの観劇でしたw。

客演with新感線ていう印象が強くなったが今回は麻美、若村、秋山(敬称略)並びが見えただけでも貴重だった。宮地さんの役柄に誰かを彷彿するのは仕方ないか。個人的に千葉弁慶にもっと活躍してほしかった。場面転換時の鉈切り丸の決めポーズが、いかにも成り上がりチンピラポーズぽかったのには笑えた。
リチャード三世原案だったが、時代を源平の世にするとこうも毛色が変わるのかと興味は湧き、それなりに面白かったが、過去作の「朧〜」に通じた擬視感も彷彿し、全体的にキレはあったけどコクがない印象。

ネタバレBOX

全体殺陣のシーンはそれなりに迫力あったけど、もっとバーサーカー的な暴れ方をする人を入れてほしかったかな。ほか、キャストに名を連ねる方が演技に定評ある方ばかりなのでそれなりに活躍を期待をしていたが、ほんの一場面と台詞のやり取りで改心させたのはやや性急しすぎのような気も。そこら辺は時間的な制約もある為かな?
日本史に出てくる歴代女性の中で、悪女とも例えられる立場の政子が、この作品ではかなり「陽」、活発さもあって歴代政子像にしてみれば好印象な役柄だった。
最後の蓮池での殺陣は、かつて蜷川さんの舞台でも見たような気がしたけど、鉈切り丸の最後にはふさわしい場面だった。
巴御前さん、和服の所作はもっと大切にした方がよろしいかと。臨月であの歩き方は関取の歩き方だ。巴御前さんに限らずだけど、若手の女優さんが舞台上でラブシーンやる場合、実生活での恋愛経験の有無で差がつき、見せ方にもかなり影響されてしまうんだな、とぼんやり思ってしまった。
新・藪の中 -女でアルこと-

新・藪の中 -女でアルこと-

演劇実践集団デスペラーズ

吉祥寺シアター(東京都)

2013/11/21 (木) ~ 2013/12/01 (日)公演終了

満足度★★★

渋い重い
文学世界設定はそのままだけど現代用語も織り交ぜ結末もアレンジ。
6人の演者、各自目撃した事を物語ってくが微妙に食い違う話、真相の解釈の行き違いで、侍、多襄丸、女が1人語りする様は裁判被告の切羽詰まった感にも見えて薄気味悪さや不快さや怖さとか思わされたり。

副題「女〜」ついてるが最後の場面まで強烈さあるが、「女」の部分の性悪さを出すのには少し遅かったような気が。
大谷さんは読経のど自慢大会あったら鐘3つくらい鳴り響かせるような、めちゃくちゃいい声で読経してた。小宮さんの小狡い樵夫と商売道具、神尾さんと春田さんの対決姿勢。冨樫さんの清廉な女から豹変ぶり、からの、あのままいくと鬼婆になるのね、とわかる凄みとか。
技あり、華美装飾なく無駄のない舞台でした。約2時間。
空席多いのが勿体ない。

片鱗

片鱗

イキウメ

青山円形劇場(東京都)

2013/11/08 (金) ~ 2013/11/24 (日)公演終了

満足度★★★★

最終日観劇
気になっている役者さんに見つめられたら、恋に落ちそうなもんだが、ここに出てくる人達と視線を合わせたら、第六感と薄気味悪さが研ぎ澄まされそうな感覚に陥りそうだ。
人間関係や日常の因習が構築して破壊して、生み出し増幅し、成長し続けたような展開というか。
劇場内の空調やスタッフの動きを見ても何かあるのでは、と訝しさが包みこんでそれすらも興味深く、ホラーで不条理世界な舞台だった。
90年代末期〜00年代隆盛だったJホラー映画を思い出した。
縦横無尽に這いずり動きまくりながらも存在を消した手塚とおるさんが見事。
円形であの動きなら他の劇場ではどんな演出になるんだろう。

殺戮十七音

殺戮十七音

パラドックス定数

荻窪小劇場(東京都)

2013/11/19 (火) ~ 2013/11/24 (日)公演終了

満足度★★★

現代版の自己陶酔ポエマーって感じかなー?
俳句、美辞と暴言、同音異語、韻を操る2×4(ツーバイフォー)の役者達。くるくる変わるチカラ関係と怖さと凄みある迫力に追い詰められそうになる。
ところどころ現国の講義聞いてるみたいだったけど嫌いではない、でも、自分の脳みそが陳腐なので理解度も支離滅裂気味、ゲージツって難しいな!
約80分。

ライク ドロシー

ライク ドロシー

森崎事務所M&Oplays

本多劇場(東京都)

2013/11/08 (金) ~ 2013/11/24 (日)公演終了

満足度★★★

まさに魅力的なヒロインでした
配役、ストーリー、衣装、音楽、舞台セットはコンパクト、紙芝居風カーテン幕、女子心キュンキュンさせそうな、どこから見ても楽しめる舞台でした。
個人的にはティムバートン映画に出てきそうな雰囲気の銀粉蝶さんと久々おとぼけの一生君が見られて楽しかったです。約2時間。

芸劇+トーク 異世代作家リーディング『自作自演』 <第7回> 松尾スズキ×岩井秀人

芸劇+トーク 異世代作家リーディング『自作自演』 <第7回> 松尾スズキ×岩井秀人

東京芸術劇場

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2013/11/14 (木) ~ 2013/11/14 (木)公演終了

満足度★★★★★

貴重で次に繋がる組み合わせ
上演順:
岩井さん エッセイ「自意識がびゅっびゅー」より大検予備校時代の話を3〜4話?
松尾さん 「この日本人に学びたい」小説・哀川翔「コーナー、待てよ」より
「同姓同名小説」第7話「力の魂」ーー竹内力 より の2話
ラフな格好の岩井さんとスーツ姿の松尾ちゃん、どちらも魅力的な声と話す間の取り方や姿、素敵でした。

11/15 PM アフタートーク部分、思い出した箇所を加筆修正

ネタバレBOX

リーディング
役者もやる2人だけど、自著の為か1つ1つの読み方のテンポが良く、この調子で執筆しているのかなとも感じさせ、また読み込みが深くなると1人舞台を見ているかのような面白さだった。
松尾さんの作品は既に10年前の作品なので、今では銀行名称や登場人物の活躍の変化はあるものの、それすら笑いに変化させる口調が可笑しかった。

アフタートーク/進行は徳永京子さん、松尾さん、岩井さんの並び
岩井さん時々マイク手放して話し込む、松尾さんへの尊敬の熱視線が度々見受けられたような(あくまで個人の感想ですよ!)
松尾さん、いつもの調子でいい感じに肩の力を抜いたトーク
以下、思い出し書き
・松尾さんと岩井さんは干支一回り違い
・松尾さんもテレビブロスで連載しているので、それを読んだら後一歩でTV Bros.朗読会になってしまう「〜小説」発行時、実名の方ばかり題材にしたが特に怒られなかった
・岩井さんのアトリエヘリコプター新年会からのSYABU&アンカナの話、松尾さんの薬の名称をさらっとすらすら述べる発言に驚愕苦笑い
・岩井君は平田オリザの「口語演劇」でしょ?役者もこんな感じの格好だよね?の2人の笑えるやり取り
・岩井さんは岸田國士戯曲賞受賞時の松尾さんの手書き評価を飾っている、それくらい嬉しかった!
・松尾さん、最近とある所に書いたコラムが、やんごとなき内容だったので丸ごと没になった話、歌ってみた踊ってみた渡してみた、じゃ一体何を渡せば良いの〜、他、国歌ネタ
・リーディングで読んだ哀川氏のディナーショーに(その当時)参加したが、参加者は女の人が多かった、男の方は哀川翔ぽい人ばかりか田代まさしぽい人が多かった、その中でディナーを食べた
・TVだったらピー音入るライバル話
・ステージ上の衣装について、松尾さんはスーツ姿のまま電車に乗ってやってきた。岩井さんは着替えたが、これでも芸劇に来た時よりましな格好、どーもすみませんでしたー!と恐縮しまくり
・映画「桐島、部活辞めるってよ」について
松尾さんと吉田監督は20年くらい前によく一緒に仕事をしたそう、その映画に出演した岩井さんの役を見て、20年前だったら自分がやっていただろうなと思ったそう。それを聞いて岩井さん感激の面持ち
・小説とエッセイ、コラムの違いについて
松尾さん
雑誌によって違う、コラムは日記を書くようなもの、リズム感が大事(だったかな?)演劇についても書きたいが真面目に書いても(読み手が)しらけてしまう
「あまちゃん」人気、話題になり特集記事で「劇団員の人が俳優として出ている〜」等を目にして、その扱い方にかなり「ん〜〜〜〜?」と腑におちなかった様子
その流れで岩井さんはご近所のオバさんから「演劇なんて」と事あるごとに言われていたらしいが、CMやドラマに出るようになって「よかったわねー」と言われるようになった、その態度の変化に「なんで?」と思った(と言うようなニュアンス)
・最近DJもやっている松尾さん、オクイシュージさんと一緒にやった時、彼の劇団員とその演奏に間が開いた時のやりとり話
・その松尾さん、リーディングの為、前もって読む稽古をマネージャー立ち会いでやってみた、iPhoneのストップウォッチ機能つけ、いざ練習を始めたものの途中でマネージャーさんいなくなるし、時間見ようとしたらロック掛かって見られない、結局時間わからないまま独りで読み遂げた

Q&A
・映画「ゴッドタン」について、珍しい形態の作品だと思ったが
岩井さん)元々劇団ひとり氏の(ト書きは「こんな感じで」等はあるものの)台詞はアドリブで構成している作品、他の演者は指示通りやっていた、2日で撮影した、20台くらいのカメラと一緒に一斉に撮った、DVD出ます
・今後の予定や過去作品の再演について
松尾さん)まだ発表の段階ではない、最近過去作品上演が続いているが再演をする事によって、その作品の内容に足したり引いたりする事が出来るのがわかり良い事だと
大人計画の初期の稽古状況、その内容は今では笑い話、ウケてました
「ある女」は岩井さんと猫ホテの菅原永二さんが演じたが、それをやる人は顎が細い人がやるんじゃないの?ヒゲは?と、松尾さん
ハイバイ作品には大人計画の荒川さんが出演しているが、松尾さんも出てほしい趣旨に前向き発言?
・演出についてアドバイスを
質問者が某大学の生徒さんで演出を担当しているそうで、授業の一環の為、(確か、菊池寛の父帰る)正攻法でやらなければならないらしい、それについて2人とも考えた末「(台詞を)力一杯熱く言ってみれば?」「それで場面事に言う人が変わっていけば?」とのお答えでした

以上、覚え書き
とても楽しく充実したイベントでした。
シダの群れ 第三弾 港の女歌手編

シダの群れ 第三弾 港の女歌手編

Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2013/11/06 (水) ~ 2013/11/30 (土)公演終了

満足度★★★

豪華キャスト
前2作を見てはいるが旧作に登場した人物を話の流れに入れると初見の客は展開についていけないのでは、と疑問。
拳銃ぶっ放すシーンは有るものの、殺陣等の激しい動きはあまりなく、静かに見せる男女の愛憎劇のような感じも。
一匹狼ジョーカーな存在になりつつある森本にも早く安住の地を与えてほしい。
今回コクーンシート下手側から観劇、その下手側に演奏ステージある為、舞台進行上見えない場面多い。休憩込みで約3時間。

『クリプトグラム』(cryptogram)

『クリプトグラム』(cryptogram)

世田谷パブリックシアター

シアタートラム(東京都)

2013/11/06 (水) ~ 2013/11/24 (日)公演終了

満足度★★★

プレヴュー2日目観劇/山田瑛瑠くんバージョン
男:デル、女(母):ドニー、子ども:ジョン、会話に出てくるが姿は見せない父親ロバート。
解明出来ない暗号化された一文単語のような会話と、登場人物のトライアングルの繋がりに自分の頭がやや置いてけぼり。
音響や照明、計算された微妙な感情の不気味さにも似た雰囲気に惹き込まれ、突き放された終り方だった。
初見の山田君は、子役ではなく立派な役者さんだった。
座席L字型、約80分。

これから見る皆さんの感想で補完したいと思います!

ショーシャンクの空に

ショーシャンクの空に

フジテレビジョン

サンシャイン劇場(東京都)

2013/11/02 (土) ~ 2013/11/10 (日)公演終了

満足度★★★★

2日目観劇
観劇中、地震に遭遇するも客席がややざわつく程度、そんなのをモノともせず、舞台は粛々と進みました。

「希望はいいものだよ。多分最高のものだ。いいものは決して滅びない。」
映画も原作も未見。
S・キングらしい暴力や性描写はあるものの、その中から出てくる一縷の希望と信念と友情、映画のような青空風景の姿に、幻想>現実、なハッピーエンドと自己解釈。
アメリカンジョーク等は場数こなしてくるともっと面白く感じたかも。舞台上の刑務所の造りは面白い構造と仕掛けになっていたけど、あまり地獄観は感じなかったな。
役者さん、主役の2人はもちろん言うまでもなく良。憎たらしいけど憎めない所長と狂言回し的存在の警務主任、ブルックス、ピンナップガール由美子ねーさんが印象に残った。

ネタバレBOX

レッドが語り部としてアンディという男について触れる構成はわかりやすい。そのレッドが書き記して聞こえてくる筆記音、年代が進むにつれ、それが次第にアンディが脱獄用の穴掘りの音に変化してしまう展開も面白かった。人目を気にしながら作る脱獄用の穴のサイズはやっぱり、あれくらいの大きさだよね、と納得。
長い年月の収監生活からくる絶望、怒り、気力は有る時、全てのものを昇華させて希望という表情になって受け入れられた姿に、なんか良い舞台見たなーと感じた。ただ、最後の青空はいかにも「絵」って感じだったので、そこだけは舞台だなーと現実に引き戻されたw。

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