SEMICONの観てきた!クチコミ一覧

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冬の入口

冬の入口

ジェイ.クリップ

赤坂RED/THEATER(東京都)

2009/04/05 (日) ~ 2009/04/12 (日)公演終了

満足度★★★★

ラスト10分に、心を打たれ
最初の1時間は、とにかく退屈。
何ら刺激のない、物語を膨らまそうとしているのか、
ドタバタを盛り込みたいのか、
見ていて痛々しいシーンも多い。

だけど、後半、腹違いの弟が登場してからは、
グっと話が引きしまる。
密度の濃い時間、緊張感高まる空気が劇場に張り詰め、
非常に見応えがあった。
ラスト10分、咳払いすることさえ、ためらわれるほど
芝居に集中し、
そしてラストシーンに、心を打たれ涙した。

このシーンに持っていくための、退屈な前半だったのか。
いや、違う、これ90分程度に縮めたら、
もっと良くなるだろうに。
ひょっとしたら、この時間感覚の違いが
東京生活のリズムと、弘前生活のリズムの違いなのか。

長い歴史を持つ作品だけに、
いつかは三越劇場で新派に演じられるまでになってほしい

ネタバレBOX

ラストの弁当食べるシーン
これは、星の数ほどある、小劇場の作品の中でも
5本の指に入るほどの、名シーンだろう。

あの3兄弟の行く末が、とっても気になる。
膨らみのあるラストだけど、この余韻が心地よい
決して続編なんて、作らないで欲しい。
帰れない夜

帰れない夜

KAKUTA

ザ・スズナリ(東京都)

2009/04/04 (土) ~ 2009/04/12 (日)公演終了

満足度★★★★

新鮮な切り口と構成、アッパレ
おー!意表をつかれました!!!
朗読劇って言うから、「小劇場で、無名若手役者が、
本読みなんかして興行として成り立つのか」って
勝手に思ってました。
ラブレターズを始め、源氏物語や百物語とか、
一流ベテラン俳優が、そこにいるだけで存在感のある
俳優が、朗読をするから感銘するのであって、
オリジナルでもない作品を、どうするのかと、思っていたら、
こうきましたか・・・

読み手は、あくまでも狂言回しかストーリーテラーで、
ちゃんとした芝居でした。

非常に見応えがあるんだけど、1本多いな、ちょっと長い。
あと最終話はクドい。
これ10分は短くなるだろう。

オムニバスだけど、舞台芸術もマッチしているし、
背景の物語もあっているし
小劇場ならではの、充実感はある。
ただ勘違いして、いい作品だからといって、
間違っても本多劇場に、この作品は
もって行かないでね。
作品のスケールが、あくまでもスズナリ止まり

淫乱斎英泉

淫乱斎英泉

東宝

あうるすぽっと(東京都)

2009/04/02 (木) ~ 2009/04/12 (日)公演終了

満足度

俳優へのご褒美興行・・・みたいな
なんだろうな、昨今、大型舞台作品を支えている
浅野、山路へのご褒美で製作した作品なんだろうか。

非常に、主役2人が地味で華も艶もなく、
作品への求心力がない。
スケールの大きい作品を少人数で展開するには、
惹き付けられる魅力の大きい役者を配さなきゃ、
単なるラジオドラマ。
約3時間ものダラダラした上演時間、
半分以上、寝てました。

田中美里も、以前は、女優の狂気のような色気のある
役者だったけど、オーラが薄くなっちゃって。

セットが画像で描かれるテクニックは、
流石、東宝芸能のなせる技か。
ま、無駄な鋼材を使わないから、エコでいいか。

コストが安そうな役者と、簡素な舞台装置。
席が埋まらないのを前提に、
非常に損益分疑点を低く設定したような内容。
事実、客席は300席のあうるすぽっとの
3分の1も埋まっていない。

メモリーズ4

メモリーズ4

K Dash Stage

シアターサンモール(東京都)

2009/04/01 (水) ~ 2009/04/12 (日)公演終了

満足度★★★

とても良く出来ているけど・・・テーマが!
青春群像劇、若手をキラキラ見せる演劇とは、
こういうモノだ!と堂々と言えよう、
非常に良くまとまった作品となっている。
演技とかセンスとか二の次でいいのです。
出演者達のセールスポイント(笑顔とかダンスとか)が、
ちゃんと描かれいれば、成功。
そんな意味で、この作品、とっても良く出来ている。
ネタばれに記載するテーマの部分を除けば。

若手の出演者の長所は、爽やかさとフレッシュさ、
特にハンサムとかカワイイで売り出されているアイドルなら、
尚のこと。
そんな出演者達のカッコよさが2時間の上演時間、キッチリと出ており、
満足いく演出である。
また狂言回し的に芝居を〆る大人達(元?欽ちゃん劇団の人とか)は、
しっかりとした演技で作品を支え、
話に起伏を持たせメリハリをつける。

こういう切り口で展開する興行は、
ちゃんと目的を持って観劇しているお客さんの視点で、
作品をつくらなきゃ。
中途半端な思想や作家性、芸術性は必要ありません。

でも、そういう作品だからこそ、
影響力の大きいテーマは避けるべき。
僕だけが感じたのかもしれないけど、
抵抗のあるテーマだったなぁ。
これ、若い人が観客に多く、刺激を受けやすい年代を
ターゲットにしている興行だから、
もう少し気を使ったほうが・・・デリケートな問題なんだけど。

でも、4ってことは前3作もあるんだ。
人気シリーズかな。

ネタバレBOX

死生観って話が根底にあります。
「人はどうやって死ぬべきか」ってこと。
この手のテーマは、まますると
宗教観にも沿ってくるので、こういうお気軽なレビューに近い
公演には不向きと思う。

死ぬ前に望んで記憶交換が出来る組織、
メモリーズへ、
本人が自らの意思で、お金を払って契約をして
「死ぬ前に記憶を取り替えて、楽しく死にたい」と
依頼をします。

だけど、その恋人が
「私のことを忘れないでほしいから、
彼の記憶を元に戻して!」って、組織で暴れます。

ラスト、記憶を元に戻しちゃうんですよ。
一応、大団円なんだけど。

なんで、昨日今日会った、女の自己満足のために、
本人は決心した死に方を変えさせられる?
本人の望んだ死に方をさせてやらない?
ギャラリーのような他人が、「私が嫌だから」

これ、安楽死とかの問題にも直結すると思うんだけど、
本人を尊重しない方法って、
見ていて非常に不愉快になります、僕個人的には。

若気の至りで、間違った判断を、瞬間的にしたから、
そのリカバリーをするってこともあるだろうけど、
それにしては軽々しく描かれすぎ。
いいだせなくて

いいだせなくて

カラフル企画

SPACE107(東京都)

2009/04/01 (水) ~ 2009/04/14 (火)公演終了

満足度★★★

ちょっと長いなぁ
ここも初めて行きました、新宿西口、アオキの地下の劇場。
東京って、いっぱい劇場がありますなぁ。

小劇場で、座り心地の固いパイプ椅子では、
鑑賞時間は2時間が限界なんすよ。
ケツは痛くなるし底冷えはしてくるし。
2時間超えても大丈夫なのは、
相当に作品に見応えがあるか、
リラックス出来るようなソファ調の椅子であるか(寝心地がいい!笑)、 
どちらかです。

軽い休憩を入れ、終演まで約2時間40分、これは長すぎ。
この作品、100分程度なら、もっと楽しめただろうに。
2幕は、正直いらないな、ダラダラしちゃってる。
三越劇場や、明治座じゃないんだから。

ポケモンの声優の人は、
気立てのいい妻にハマリ役、もうちょっと出番があると嬉しい。
若い警官の役の人、仕草が面白い、なかなか個性的。
彼は伸びそう。

作品と劇場の関係って、本当に大事ですねぇ。

ネタバレBOX

オープニングで、亡くなった妻が部屋の中なのに、
ハイヒールを履いている時点で、なんかおかしいな、って
思いました。
でも、玄関がない家だから、渋谷区で桜のある家(一軒家!)だから
いいのかなぁと思いつつ観劇。
幽霊ってのは、2幕早々にわかるんだけど、
1幕は、どうだったかなぁ。
シックスセンスのはずなのに、前半は、ちゃんと輪に入っていたような・・・
誰も不自然さは指摘しないし、ちょっと唐突すぎるような・・・。

トロイ戦争は起こらないだろう

トロイ戦争は起こらないだろう

劇団四季

新名古屋ミュージカル劇場(愛知県)

2009/03/27 (金) ~ 2009/04/05 (日)公演終了

満足度

トロい内容 at名古屋
面倒なんで変更していませんが、この作品を名古屋公演で鑑賞。

ブラピの映画でもおなじみのよう、非常にメジャーな出来事を描いた作品
です。
主役は阿久津陽一郎、彼はブラピと同じ役かな、
凛々しいトロイの勇者を、きっちりと演じています。
国を滅ぼす、その弟(確かオーランドブルーム)は田辺真也。
知性や品性があってパッパラパーさや好色さは薄いので
リアルさはないけど、あまり物語には影響しません。

この作品の最も悪な点は、
端整な男前で若い兄弟をはじめ、国を滅ぼしかねるほどの
影響を持つ女性(美女!)を
劇団主の嫁、野村玲子とが、
兄の士気を高める美女を、坂本里咲という
熟女2人が嬉々と演じている点。
トロイの男は、みなロバート秋山か!!!
清らかさも艶っぽさも華やかさもない、
モンスターペアレンツ並みの、ヒツテリックなPTAのババアとしか、
見えない、劇団幹部のお二人が、この役をやっている
時点で、もう終わっておりますなぁ。

劇団を私物化して、自己満足というか、
好き勝手にしている様子に付き合うのは、ゴメンですな。
早く、2エースの阿久津君と田邊君は、この劇団から離れるべし!

長い長い台詞劇、
お経のようにツラツラsじゃべる芝居で
眠い眠い。
ウトウトすると、劇場の係員に注意を受け、咳払いをしても係員に注意を受け、
アメちゃん舐めても叱られる。
メンドクサイ劇団、劇場だなぁ、お前らは宗教団体か!

ネタバレBOX

「トロイ戦争は起きないであろう」と言って、
すぐ「トロイ戦争は起こるだろう」と、唐突に言い出す。
なんだ、これはドリフのコントか!って感じ。
これは、ホンと、くっだらなかったなぁ
ストーン夫人のローマの春

ストーン夫人のローマの春

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2009/02/28 (土) ~ 2009/03/22 (日)公演終了

満足度★★★

れい様が華麗すぎて・・・
クラシカルな舞台劇術に負けないほど、派手な役者をそろえ、
大人数のアンサンブルで味付けした、高級フランス料理フルコースのような作品。
アッカーマンの作品て、いつも出演者が多いですね。
人数の多さは、宝塚の本公演じゃないけど、
それだけで迫力がありますよね。
アンサンブルは手弁当だろうけど、人望が厚いのかな。

とにかく、れい様が、終始華麗!
それが故に、設定というか、役との距離に、やや無理がある。
れい様は、落ちぶれないだろう、もっと強いだろうって
思わずにはいられない、このアンバランスさ。
堕ちていないんだもの、最後まで、りりしい。
精神的にバランスを崩す、ってテネシーウィリアムのお家芸が、
どうも伝わってこない。
哀愁とか陰りとか、感じられませんでしたなぁ、
バリバリ現役!
ストーン夫人を演じている麻美れいって姿で浮かび上がり、
どうも作品の世界には居ても、その役にはなっていなかった。

江波さんは、何をやっても、底意地悪そうですよね。
根は悪い人じゃないんだけど、なんか意地悪で強欲。
「人に歴史あり」という雰囲気があり、過去を深く語らなくても
「なんかありそう」な感じを持ちながら、
台詞のひとつひとつに含みがあるような感じは流石です。
でも、はまり役すぎて、意外性がないってのは、
ちょっと、物足らない。

どの芝居でも、とにかく肉体美をさらすパク君は、
子犬系の顔立ちで、決してホストな顔立ちではない分、
素直な人に見えてしまう、そんな部分での役柄との
ギャップが意外性があり、物語に膨らみを出した。

わからないのは鈴木信二、彼は何だったんでしょう。
十分美少年なんだから、江波マダムの下で働けばいいのに。

とにかくセットが大きくて豪華。
パルコ劇場の舞台から、はみ出さないばかり。
こんなに大きな装置はパルコで初めてみました。
前から2列目で見ましたが、舞台を見きれませんでした。
衣装も豪華、小道具も豪華、出演者も多い。
ある意味、バブリーな作品。
客席はガラガラだったけど。

舞台の雰囲気が、ローマなんですよね。
作品のカラーが、「キャバレー」とリンクしちゃって、
どうもドイツっぽい。
ローマって、もっとサンシャインな想像をしてました。

ネタバレBOX

れい様が、ストーン夫人、そのものに見えないので、
オープニングの「ロミオトジュリエット」
(これは著しく無理がある)の付箋じゃないけど、
「蒲田行進曲」みたいに、
「これも、お芝居です」みたいな、終わり方になるかと思いました。
彩られたモノ・クローン

彩られたモノ・クローン

劇団名古屋さん。

恵比寿・エコー劇場(東京都)

2009/03/10 (火) ~ 2009/03/17 (火)公演終了

満足度★★

大人がしっかりしないと
初、エコー劇場、なんだか不思議な空間ですね。
ここって、テレビの収録とかをしている劇場なのかな。
椅子が・・・
なかなか縁がない作品が上演されているので、初めて行きましたが
場所もいいし、もっとバラエティに富んだ作品が上演されるといいですね。
劇団があるから難しいか。

この作品ですが、
若手のアイドル作品ですから、青臭い話でも構わないし、
主人公達は下手だけど一生懸命演じていれば、
たとえ学芸会レベルでも、そのフレッシュを堪能すれば、
目的は達成していると思う。

だけど、大人がね、特に渡辺えりの旦那、へったくそな芝居だったなぁ。
脇が大根芝居だと、シラけるんですよ。
無名でも華がなくても、若手を支える立場ですから、
大人が、話をしっかりと持って行ってナンボのものだと思うのですよ。
福田転球は、俺が主役とばかりに、
暑苦しい芝居を前へ前へと出て演じていて、バランスを崩すし、
主役の子達の事務所が強かったら、大クレームだろうな。
カスコスの人は、渋くて悪くなかったけど。

そういう意味じゃ、ジャニの芝居って、
ちゃんと適材適所、ちゃんとTPOを弁えた芝居を
プロデユースしているんだろうな。
チケット代は倍以上だけど。

ニュー・ブレイン

ニュー・ブレイン

東宝

シアタークリエ(東京都)

2009/03/11 (水) ~ 2009/04/29 (水)公演終了

満足度★★★

石丸幹二ショー
「お帰りなさい、石丸さん!」という愛に満ち溢れ、
「石丸です、よろしく」というご挨拶を兼ねた、
いわば石丸幹二のプレゼンテーションのようなショー。

どこかで見たような石丸氏の得意技、
ベットの上での首上だけの仕草や、母親に頭があがらない姿、
笑ったり泣いたり怒ったり、喜怒哀楽を沢山見せて、
彼の全てを見せているよう。

共演者も、元四季の人を含め、
おそらく?石丸氏の良さを引き出せれる人、
彼が居心地のよい人を集めたのでしょう、
全ては彼が光るため。

簡素なセットも、彼の姿を魅せる為と思えば、納得。
そして、その目的は成功したと言えましょう。

でも、話の内容なんて、何にもありません。
歌も、秀でた内容の楽曲なんて、ありません。
これ、11000円も出して、そんな贅沢さを味わうような部分は
ありません。

僕が行った回は、たまたまでしょうが
非常に年齢層の高い方ばかりで、休憩のない作品、
いやにトイレへ出入りする姿が目立ちました。
ミュージカルファンで、四季ファンでなきゃ、石丸氏の知名度なんて
低いんでしょうな。

意味があるのかないのか良くわからないマルシアの役回りや、
すごく気持ち悪いパパイヤ鈴木しか、おなじみの人はいませんし、
彼らは11000円の価値はないし。

作品全体を否定するわけではありません。
ルテ銀とかコクーンで、7000円程度で上演されていたら、
満足感も違ったかもしれません。
やっぱり入場料金には、投資対効果ではないけど、
それなりの期待値があるのは、普通でしょう、不景気だし。
(定価では、行ってないけど!汗)

クリエって、ホント勘違いしているような作品というか、
プロデユースがおかしいですな。
いるかいないかわからないけど、劇場プロデユーサーというか、
芸術監督?を早く変えたほうがいいと思う。
前作のスーザンも含めて、ガラガラじゃん。



ネタバレBOX

石丸氏は、裸にもなって、一生懸命でした。
石丸・畠中のゲイカップルは、妙にほほえましく、しっくりきていて、
ニューヨーク(だったっけ)のゲイカップルが、とっても
自然に描かれていました。
樹里咲穂の、人形のシーン(まんまシカゴ)は、良く出来てました。
そのシーンだけの為にリピートをする価値はあるかも。
3000円なら。
elevation~幸福の難民~

elevation~幸福の難民~

TRASHMASTERS

駅前劇場(東京都)

2009/03/25 (水) ~ 2009/04/05 (日)公演終了

満足度★★★★

見応えたっぷり!確かなストーリーテラー
久々に硬派で見応えのある作品に出会えました。
おなかいっぱいです!
小さな駅前劇場の空間が、とても広がりを感じられ、
臨場感あふれる雰囲気でした。
このままで、十分に映画化できるんじゃないかと思うような、
ドラマ性とスペクタル感。
趣味の世界、お友達感覚、
いわゆる「なんとなく、いいかも・・・」的に作られている作品が、
小劇場界に溢れている昨今、
こんなに熱い芝居を見せてもらい、大満足でした。

決してコンパクトな芝居ではない分、頭も体も疲れるけど・・・
そんな面で、観劇初心者には、お勧めできないです。

ネタバレBOX

全ての付箋が、序幕(?1時間もあるけど)に引かれていたと、
気付きませんでした。
それなら、もっとしっかり内容を見ておくんだった。
序幕は、非常に退屈なんですよ。
どいつもこいつも、本当、うっとうしい!って感じなんですが。

また、そんな人間たちが会社を起業?成功?ってのも、
ありえねぇって感じで、ストレスが溜まった最初の90分、
でも後半の80分は、
快活に進み、とても面白い。

でなければ、あの椅子と狭さで3時間弱は、もちませーん。
長い上演時間、それだけでも、十分、マイナスに値するのですから。

御用牙

御用牙

RUP

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2009/03/20 (金) ~ 2009/03/29 (日)公演終了

満足度★★★

エコ!な舞台
アイデアひとつで、こんなにも空間が有効に使えて、
そして情景が広がる舞台装置があるもんだ、と感心しました。
役者と小さなトラックひとつで、日本全国どこででも芝居が出来るんじゃないかと思うほど簡素なセットなんだけど、
いろいろなセットが見えてくる・・・
何でもかんでも、おおがかりなセットにして無駄に予算をを使っている
芝居とは双璧をなします。
しかし、つかこうへいの芝居とは違って、台詞だけで持っていく内容ではなく、
それぞれの場面が、きちんと展開されていました。

地味といえば地味なんだけど、
スピード感もあって、なかなか楽しめました。
エンターテイメント性もあると思う。
役者は全員地味なんだけど、それが故に、
キャラクターが浮かび上がりやすい、
作品の世界に入りやすいと思う。

ただ、この作品の背景を、事前に読んでいなかったので、
設定がわかりづらかったのは致命的。
劇画がベースといえど、時代劇だから、
時代背景を知ると知らないでは、充実感が違うかもしれません。
僕は、もっと勉強しておくべきだったと反省。

照明はわからないけど、大掛かりな装置がない分、
地方を回れそう。
四季の古臭いファミリーミュージカルばかりでなく、
こういう作品も、どんどん地方を回って
演劇の楽しさを、広めて欲しいですね。

humming3

humming3

ポかリン記憶舎

cafe MURIWUI(東京都)

2009/03/31 (火) ~ 2009/04/06 (月)公演終了

満足度★★★

ゆる~い、草食系男子の話
こういう空間での演劇は体験したことがないので、
物珍しい気分でウルトラマンの街、祖師谷大蔵へ。
25名限定という、ちょっとしたプレミア感も持ちつつ、
会場(カフェ内?)へ入れば、そこはカジュアルな若者の観客ばかり。
仕事帰りのスーツ姿は、自分ただ一人・・・。
アウェイ感のプレッシャーを感じつつ、観劇。

きっと、地方から上京した女性が憧れを持つ東京の日常って
こんなんだろうなぁって思うような内容。
TVドラマとか、ファッション誌とかコミックに描かれてやすそうな、
世田谷のお洒落なカフェで、お客と従業員が顔なじみになって、
なんとなーく共に時間を過ごす・・・。
ちょっぴり刺激的で、ちょっぴりせつなくって。

流行の草食系男子っぽい、優しそうな男子と、
鼻っぱしが強く、でもナイーブ(そう)な女子の、
さりげない日常を描いた話は、
ゆる~く、非現実的。
作品の中の、どこにも、
今起こりえている未曾有の大不況や、
経済危機の香りはありません。
お洒落なカフェもいいけど、
こんなに客がいなかったら、つぶれるだろうに。
いまどき、趣味でカフェ経営なんてしている人いるのかな?って思うほど、
登場人物も含め、なんら生活感やリアルさはありません。

ま、劇場は夢を売る場所ですから、
劇場の中まで、切羽詰った気分になることもないので、
それはそれで、いいのでしょう。
それに、そういう現実感がある人は、劇場へは来ないだろうし。

60分、癒し系といいますか、少女マンガ系といいますか、
おしゃれなカフェで繰り広げられる寸劇は、
夢見る若者たちには、とっても居心地が良さそうです。
そう、ホットチョコレートとシフォンケーキを楽しむ趣味の人には。

疲れたアラフォー世代の僕的には、
甘酸っぱい青春時代を思い出す?ちょっぴり照れくさいような内容でした。
ビールと枝豆が好きな趣味の人には、かったるいなぁ(汗)

ネタバレBOX

会場に入って、普通に座ろうと思ったら、
カフェ部分は、そこは舞台で、座っている人は役者さんでした。
「桟敷になるんですが、大丈夫ですか?」ってスタッフに言われて、
スーツなので「大丈夫じゃないです」と言ったら、
席を作ってくれました。コートや荷物も預かってくれ、
なかなか良く出来たスタッフさんです。

前の亭主が死んで10年、という女主人
その割には、ちょっと若いようで、違和感・・・
あと、そんなに、いろんなお客さんに口説かれるほど
魅力的かなぁ

ま、あのミュージシャンくずれ(?)の男の子が、
マスターになって、このカフェを継いだら、
きっと1年もたずに潰れるだろうな(!)


愛の渦

愛の渦

ポツドール

新宿シアタートップス(東京都)

2009/02/19 (木) ~ 2009/03/15 (日)公演終了

満足度★★★

みんな、スケベ!!
美辞麗句は必要ありません!!!(笑)
なんの芸術性なんかありゃしません。
この作品は、単なるエロです。ポルノ、R-18作品です。
アートだなんだって、通ぶる声が客席から終演後に聞こえてきましたが、
そんな気取ったようなもんじゃない。
ストリップ劇場へ行っているようなものですな。
だから観客は、みなスケベ。
そんな事云ってる俺も勿論スケベ。
いっそのこと、観客も、みーんな裸になって、
この作品に参加すればいいのにって思いながら楽しみました。

栄枯盛衰・・
いろんな劇場が誕生すれば、閉鎖する劇場もある。
トップスは、久本雅美と柴田理恵の2人芝居「鰐○○と洗濯○○」(だったかなぁ)っで、自由という名の不自由な席!で観劇したのを始め、
るばるや風間杜夫とか、色々見ました。
特に思い入れがあったわけではなけど、
その劇場が最終作品で上演、しかも1ヶ月にも渡る上演する作品なので、
何かあるのかなぁと思えば、
世界最大の風俗界、歌舞伎町に近いだけあって
猥褻そのもの。
歌舞伎町なら、どんな性でも受け入れてもらえそうだものね。
これ、渋谷や銀座じゃダメだけど。

上演中、思わず俺も隣のおねぇちゃんの、おっぱいさわっちゃいそうに
なりました。
戯曲が何かの賞を取っているようですが、
その選定委員も、きっとムッツリなんだろうなぁ。
自分のスケベさを隠すかのように、小難しいこと云って、
清く浄化しようとする。
怖い怖い!!!

あの話に出てくるような会話って、
あの世界じゃ、普通っすよ。
また、あぁいう場所じゃね。
何ら変化球もない、風俗版「渡る世間は鬼ばかり」
聞くところによると・・・ってことにしておいてください。

ネタバレBOX

この作品で、芸術的な作品って意見をするのは、
登場人物の女学生と店長との序盤の会話、雰囲気じゃないけど、
はっきり言って迷惑なんでしょう。
みんな、エッチなんです。
この作品は、みんなで乱交を楽しむ作品なんです。
そこは、エッチをする場所なんですな。

モノが立派な若い男の身体が見たかったり、
恍惚に萌える女たちの喘ぎ声がいいんでしょう。
俺も含めて。
確かに、高い金払って、時間を使ってエッチしに来るんだから、
エッチを楽しまなきゃ。
Viva!Free Sex!!!
ロックミュージカル『スーザンを探して』

ロックミュージカル『スーザンを探して』

東宝

シアタークリエ(東京都)

2009/01/06 (火) ~ 2009/03/05 (木)公演終了

満足度★★★

映画見てから、芝居を見て・・・
今回はリピート。

1回目、前情報少なめで見て、映画のDVDを見てから2回目鑑賞。

この作品って、若い登場人物のフレッシュなアイドル映画だったんですね。
とても、この熟年キャストで上演する作品ではないことがわかった。
特に、今回のスーザン役の香寿たつきは見ていて痛々しい。
オバサンの若つくりの無理無理さが、見ていて哀愁が漂う。
言わば、場末のストリップ劇場状態。
お歌が、とっても上手な分、余計にだ。
特に彼女は真面目なんだろうな、真琴つばさのような不良さがない。

作品は、単純な娯楽ミュージカルにしては悪くはないんだけど
映画と比べると、およよよよよ!!!

アンサンブルの若者達が、主要キャストを演じて、
初めて作品としてのスタートラインになるんだろうな。

でも、楽曲は悪くないし、演出も構成も、まとまっている。
6000円なら、十分に満足するだろう。

オセロー◆フェスティバル/トーキョー09春

オセロー◆フェスティバル/トーキョー09春

フェスティバル/トーキョー実行委員会

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2009/02/27 (金) ~ 2009/03/01 (日)公演終了

満足度★★

あまりに前衛的すぎて ???
いろいろ演出家は勉強しているのだろうけど、
あまりにも抽象的すぎて、前衛的すぎて。
かなり退屈・・・な後味。
結局、何を描きたかったのだろうか???
韓国的な様式美?日本的な情緒さ?

メッセージが読み取れないってのは、
伝え方に問題があると、僕は思っている。
こちらは、観客なのだから。
観客をさておいて、作家のテーマだけを押し付けるのは
有償公演においてはエゴ以外の何者でもない。

オセローって、いわばメジャーな作品をベースに、
なんとなく、これってアートでしょ?って
場面が多すぎて、
とっても浅はかな演出としか思えない。

劇場のサイズと、作品の規模もチグハグ。
シアタートラム辺りで、限られた人を対象に、
ひっそり趣味の発表会として世に出されれば、
よかったのではないでしょうか。

アイズ[aiz]

アイズ[aiz]

One on One

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2009/02/26 (木) ~ 2009/03/02 (月)公演終了

満足度

恥知らずで下品な主宰者(怒#)
作品が終幕し、暗転。
カーテンコールへ向かう心積りでいるなか、舞台が明るくなると、
そこには出演者ではなく、
人一倍派手な格好をした顔の大きな女性が、
主役や出演者を脇にし、舞台の真ん中に立っている。

「CD買ってください」「DVD買ってください」「アンケート書いて下さい」
唐突に、勝手に言いたいこと言っている。
その後、自分を真ん中にしてカーテンコールの歌に入る。
誰だこいつ!何だこいつ!
芝居に何ら関係ない、暑苦しい女が真ん中で一人酔いしれながら、
歌っている姿を観客は強制的に見せられる。
出演者も、思わず苦笑いじゃないか?
まさに「ありえない」。

芝居が終わって、カーテンコールはクールダウンの時間。
出演者達のレビューも含めて、見渡して、
そして拍手に包まれ、芝居が終わる。
そこまでが、芝居のはず。

その後、主宰者が登場し、お礼を観客をし、
宣伝をするのは、常だから、いいとしても、
観客の気持ちを考えずに、
図々しく舞台の真ん中に出てくる人ってのは、どうなんだろう?
恥知らずで下品としか思えない。

作品は、★★★★レベルの水準。
特に主役の磯貝麗奈は素晴らしい。
彼女の芝居には、俺でさえ涙した。
また東宝や四季と言った
プロの水を飲んでいるメインクラスは
若いのに職人かのような繊細な芝居は、
非常に贅沢な気分になった。
本当に、200人という小さな空間で、
これだけの水準の役者の芝居を見れるのは、
とても至福であった。

にもかかわらず、全てを壊した主宰者。
浅井さやかって女性のせいで
貴重な、良い芝居との出会いが全て台無しになった。

浅井さやかが関わっている作品は、
2度と見ない。

加えて、出演者のお見送り。
狭いシアターグリーンの入り口近辺に止まって、
お友達同士の会話が繰り広げられ、
交通渋滞の原因、詰まりの原因になっていることも察せず、
おしゃべりに華が咲く。
外に出るのに、なんで5分も10分もかかるんだ!って
ストレスになっていたら、
またまた入り口で仁王立ちは、その主宰者。

これは、同級生相手に見せる、文化祭なのか!(怒)

作品は悪くないだけに、終わり悪けりゃ全部台無し。
こりゃ、責任問題だよ。

サイト

サイト

ミュージカル座

博品館劇場(東京都)

2009/02/18 (水) ~ 2009/02/22 (日)公演終了

満足度★★★

方程式に基づいた構成
非常によくある話の内容で、
もう今更・・・と思うような話ではあるけども、
以外とミュージカルは、こうあるべきだ!と自己主張を
演出家がしているかのごとく、
しっかりとした方程式に基づいた構成であった。
ツボをついた、こまめに繰り広げられる華やかなシーンは、
ストーリーにメリハリを利かせ楽しめる。
正統派ミュージカルらしいダイナミックな楽曲のいくつかも、
耳に残り一度聞いただけでも口づさみたくなる。
マルグリットとは違う。

しかしながら、いかんせん座名と同じよう、
とっても地味で垢抜けないキャストでは、
どんなに蜜に練った作品でも、お金を払う価値は・・・???
学生さんの卒業公演か、文化祭の出し物程度でしょうか。
歌も悪くない、踊りも上手、
でもそういうのってストリートアーティストでも、その程度の人らは
十分に存在する。

博品館劇場って、一流の中劇場で上演するには、
6500円のチケット代金の価値には、
やはり劇団の自己満足ではなく、
もっと広い目を見て、ちゃんとしたキャストで公演を打つべきでしょう。
主役の麗子像のような能面フェイスの娘さんには、
韓流を意識したかのような田舎の青年には、
決してお金は払えませんなぁ。
一応、元四季のエース、沢木順もキャスティングされていたけど、
彼は何で出演したのかな???

作品としての出来栄えは悪くないだけに、
パっと輝くような役者さんで上演してほしいです。
これは、北区つかこうえい劇団、研究生卒業公演の1000円興行程度の
内容ですなぁ。

ネタバレBOX

沢木順の出番って、1幕のラスト5分程度ですよね。
それ以外にも何か役で出演してましたっけ???

これ、流れは完全に「マンマミーア」の真似だよね。
構成の運びやダンスの見せ方も。
ミュージカル仕立ての歌語り『届かなかったラヴレター』Vol.1

ミュージカル仕立ての歌語り『届かなかったラヴレター』Vol.1

テレビ朝日

ル テアトル銀座 by PARCO(東京都)

2009/02/17 (火) ~ 2009/02/18 (水)公演終了

満足度★★★

演出家は素人
劇団四季のオリジナルミュージカル(昭和の3部作や、ファミリーミュージカル)でお馴染みの、三木たかしの楽曲を中心とした歌を間に挟みながら、センチメンタルな手紙を29通も読み続ける演目。
「おしゃれなミセス」が好みそうな、レースの刺繍教室か、
紅茶教室のような、お上品っぽい、上質っぽい、
イメージで作られている作品ですが、
全体には、結局この舞台を通じて何が言いたいのか良くわからない。
テーマが伝わらない作品って、芝居としてはダメなんですよね。
その意味では、雰囲気だけエレガントにして見ました、って演出に
している演出家は素人です。

眠たくなるような単調なメロディを、ママさんコーラス代表のようなクミコが朗々と歌いながら、軽めの手紙を朗読する1幕は、
退屈に過ぎますが、
硬派な手紙を井上芳雄が涙しながら読み上げる2幕は見応えたっぷり。井上芳雄は上手になったなぁ。

井上芳雄は、いつの間にか線も太くなって、逞しくなっている。
プロフを見たら、もうじき30歳になるようだから、
そりゃそうか。
いつもに増して、濃いめのファンデーションを塗って
浅黒くなった顔は、永井大みたいだった。

問題はチケットのお値段。
いらないクモコのCDが1枚もらえる(チケット代に入っている)とは言え、
セットは簡素、演出も構成も地味な作品にも、関わらず
¥8800。
これ四季の「ライオンキング」や「ウィキッド」などの
S席会員価格と同じなんだよね。
僕は、ネットオークションで半額の4400円で見に行ったけど、いいとこ5000円のレベル。
まぁ追加公演も出るほど売れているんだから、
いいんだろうけど、不況なのにねぇ。
まさに興行の香り・・・。

今回はじめてルテ銀のBOX席で鑑賞。
この席、ホントにVIP感たっぷりの個室、プライバシーも
守られていて優越感のある席。
しかし、この作品に限ってかもしれないけど、
舞台は半分見れません。見切れが酷いです。
シアターコクーン、コクーンシートの3倍見れません。
今回の公演の場合、
舞台でクミコと井上芳雄が両端に座って、
手紙を読みますが、これ1人しか見えません。
舞台が低く、真ん中で演じないって構成自体、
演出家もBOX席のことは何も考えずに、
作り上げたんだろうな。
見切れが発生するS席が発生するような、
舞台を作っているような演出家は素人です。

でも、ぶっちゃけニャンニャンだって出来ちゃうような
空間だし、ここに座る方は、
触りだけ見れればいいのかな。

ネタバレBOX

2幕では、井上芳雄は歌いながら泣く、手紙を読みながら泣く、
歩きながら泣く、泣きすぎです。
鼻をずるずるさせている。
これでは、「手紙に感動している井上芳雄の姿に感動」って描写で、
茶番です。
しかし、よく泣いていた。
「ロマンス」で大竹しのぶと共演して、泣き方、涙のツボの場所、
教えてもらったのかな。
ALTAR BOYZ:アルターボーイズ

ALTAR BOYZ:アルターボーイズ

ニッポン放送

新宿FACE(東京都)

2009/02/10 (火) ~ 2009/02/22 (日)公演終了

満足度★★★

ミュージカルでは、あらず
「ヘドウィグ~」と」同じ劇場?ライブハウス?プロレス会場?で、
上演されていただけあって、同じようなスタイルの構成。
ミュージカルというよりも、ライブです。
客層も女性が殆どなのはミュージカルと同じだけど、
少し様相が違う・・・ジャニとも違うようで、あれは誰のファンなんだろう?

宗教がベースになっている作品であるので、
無宗派な僕には、今三つチンプンカンプン。
その上、四季上がりの良知がいるにもかかわらず、
(彼は、マンマミーアで何度も見たなぁ)台詞というか歌詞が
良く聞き取れず、どうも内容がわからない。
それでも、リピータらしい女性陣達が、なぜかギャハハと
内輪ネタなのか笑って楽しんでいるので、
これはこれでアリなんだろうか・・・?

ミュージカル界のアンサンブルを背負っている若い男の子達が、
一生懸命、歌って踊って。
それはそれで、元気ハツラツ、汗がキラキラと光り、
とっても清清しい雰囲気はあります。
韓流風なルックスの、植本って子の踊りは特に目を惹きます。

僕は付き合いで見に行きましたが、
特にお目当ての男の子がいなければ、
このチケット代は、近所の紀伊国屋ホールにでも回したほうが、
いいかもしれませんね。

ネタバレBOX

ポスターは、男の子達が肌を露なポーズですが、
劇中では、決して服を脱ぎません。
マルグリット

マルグリット

TBS

赤坂ACTシアター(東京都)

2009/02/10 (火) ~ 2009/02/18 (水)公演終了

満足度★★

男前な春野寿美礼さん!
クラシカルな雰囲気の公演ポスターのイメージそのままに、
舞台の雰囲気は終始ダーク・・・なんというか暗くて陰気。
同じホリプロ作品でありながらも、
「ドロウジーシャペロン」とは間逆の作品。
ミュージカルの煌びやかさや華やかさは殆どありません。
楽曲も、流麗ではあるものの、
口づさめるような印象深いナンバーはなく、
物語であるパリを思い浮かべるような後味もありません。
曲に乗り切れないと、ミュージカルって必要以上に、
間延びした印象になるんですよねぇ、上演時間は、それほど長くないのに、
何度か退屈な時間も・・・。
ロンドンも早々に打ち切られ、ブロードウェィにも呼ばれないのは
納得です。

美しい歌姫役の、春野寿美礼さんは、
背中が大きく開いたドレスの奥にガッチリ浮かぶ逞しい背筋をお持ちです。
「相当、男役トップが背負う羽は重たかったんだろうなぁ」と、
嫌がおうにも感じる、細いけど骨太な体格。
宝塚の(元)男役トップに求めるには残酷な、女性の色気はないですなぁ。
女性の柔らかさを出そうとしている役作りは感じられますが、
今日の時点では、このキャラクターの役に合っていない。
カーテンコールで「これから、進化していきます」と彼女は言ってますが、
僕にとっては、今日が全てで13000円もの大金を払っております。
こういう甘えた発言は謹んで欲しいです。
(こういうところ藤山直美は、ちゃんとしている。)

田代マリオ君は、お歌は上手。
また、恋に一直線な姿勢、世間知らずな行動も、素直に受け止められる。
しかし、お育てが良さそうな顔立ちが災いして、
アウトローな役柄には違和感。
ルドルフからミュージカルデビューしたほうが良かっただろうに。
せめてマリウス・・・。

寺脇は、どうにも軽いキャラクターのイメージが強すぎず、
将軍には見えない。権力者に見えない。
チンピラというか、まさに相棒がお似合い。
それ以上に、お歌のマズさがねぇ。
ジギルとハイド初演の段田安則と双璧をなすレベル。

もっとも安定した役作りが出来ていたのは、
山崎祐太。
出番は少ないながら、一番作品のキャラクターに合っていた。
こういうキラリと光る脇役が出来る人って大切です。

カーテンコールに、チラっとコンダクターが出ていたから、
これ生オケだったのかなぁ。
どこかで隠れて演奏していたのか。
僕は目に見える場所での
演奏、もしくは壁かカーテンが開くと奥にオケが見えるって
感じでもいいから、オケの存在感は、しっかりと出ているほうが好きです。
チケット代も高いし、大箱なんだから。

出演者も少なく、舞台装置も小さめ。
これはACTシアターというより、サイズ的にはクリエ向き。
日生で見たら、もっと印象が違うのかな。
日生の雰囲気には合うと思う。
リピートはしないけど。

ただ、ミュージカルファンとしては、
再演続きの上演よりも、
このように果敢に新作を上演してもらったり、
おなじみの人ではない、新しい役者さんを
ミュージカル界に配役する、ホリプロの心意気は、
非常に嬉しい限りです。応援します。

ネタバレBOX

どひょっと思ったのが、
2幕のベットシーン、下着姿の、
スミレさんの逞しいお姿よりも、
マリオ君のスネ毛の濃さ、剛毛さ。
ゆで卵のように、ツンツルテンで可愛い顔しているので、
そのハードな毛深さは、インパクト大です。

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