谷賢一の観てきた!クチコミ一覧

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東京アメリカ

東京アメリカ

範宙遊泳

STスポット(神奈川県)

2010/09/02 (木) ~ 2010/09/07 (火)公演終了

満足度★★★★★

今年一番
もしかしたら今年観た中で一番の芝居だったかもしれない。いびつ&フリーダムな笑いに満ちた台詞・演出・演技、大胆な空間演出、そしてシンプルながら的確かつ無駄のないメタ構造を、頭でっかちに構築するのではなくさらっとやってるところが凄い。妖怪百鬼夜行のような出演者陣の個性と、それを的確にさばいた演出家の判断力とセンスは至高のもの。超面白かった。

笑いのセンスが合わない人には楽しめないかもしれないが、小劇場にありがちなダサいギャグが一切なく、観ていてちっとも恥ずかしくない。「演劇」という古めかしい用語でカテゴライズしてしまうことが惜しいほどだ。かなり高度に「演劇」をパロディにしていながら、演劇への愛が滴る作品。必見です。

生きてるものか【新作】

生きてるものか【新作】

五反田団

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2009/10/17 (土) ~ 2009/11/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

面白かった
新作で、旧作より俄然面白かった。うざったくないペーソス。静かでしとやかな生の賛美。野暮じゃないから面白い。

ナノ クライシス ポルノグラフィティ

ナノ クライシス ポルノグラフィティ

演劇集団 砂地

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2009/10/21 (水) ~ 2009/10/26 (月)公演終了

満足度★★★★★


今、東京で一番ヒリヒリしてる芝居。傷つきにいけ。 

ナノ クライシス ポルノグラフィティ

ナノ クライシス ポルノグラフィティ

演劇集団 砂地

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2009/10/21 (水) ~ 2009/10/26 (月)公演終了

難しい判断
船岩裕太としては★3つ、ただし現代若手演劇の水準で言えば★5つ。これに比肩する演劇を作る若手演劇人を僕は不幸にして知らない。

ふだんとは違う演劇体験をしてみたい方、魂の奥底をぐさぐさに切り裂かれたい方、是非観に行って下さい。

重要なのは、内容よりも形式である。船岩形式は固まりつつある。だからこそ挑戦や冒険が欲しいと思うが、いや、彼のスタンス・美学を大事にして欲しいとも思う。どっちやねん。

1つ言えるのは、絶対万人ウケしない作品だし、万人受けしたら演劇界の未来はハッピーで人間達の未来は不幸で、でも仮にも演劇が好きなんて言っちゃってる人たちにこそ是非観て欲しい。ひりひりしていて、こっちまで死にそうになる。ジャブもフックもないストレート、その連続。気持ちよかった。

「女性器の、写真を撮らせて下さい!」と土下座する男の姿に痛々しさを感じた。観ろ。

マリー・ド・ブランヴィリエ侯爵夫人

マリー・ド・ブランヴィリエ侯爵夫人

DULL-COLORED POP

新宿シアターモリエール(東京都)

2009/08/14 (金) ~ 2009/08/17 (月)公演終了

台本販売
「観てきた!」の用法から外れてしまって心苦しいのですが、
公演ロビーにて行っていた台本販売、三日目以降の実施だったため、
買い逃したというお客様が多くいらっしゃいました。
ここで告知させて下さいませ。
今回、期間限定でネット通販台本販売を行います。
よろしければ是非お申し込み下さいませ。

詳細:
http://stage.corich.jp/bbs/detail.php?sure_id=1567&sv=

春琴

春琴

世田谷パブリックシアター

世田谷パブリックシアター(東京都)

2009/03/05 (木) ~ 2009/03/16 (月)公演終了

満足度★★★★★

改めて感心
自分が世界一好きな演出家。昨年も観てぶっちぎり年間ナンバーワンだったので今年も足を運びました。昨年より全体的にコミカルと言うかわかりやすく演出されていたように思いましたが、相変わらず「陰翳」の見せ方、身体性へのこだわり、発想のシャープさ、美し過ぎる空間の印象、描いているものの秘めやかさ、奥深さ、その表現の慎ましやかさ。こういう演劇をやりたいものです。

カラス≪終幕!次回公演は、6月末!≫

カラス≪終幕!次回公演は、6月末!≫

劇団サーカス劇場

タイニイアリス(東京都)

2009/03/05 (木) ~ 2009/03/15 (日)公演終了

満足度★★★★

濃厚で破天荒
演技の気迫から、客席にいて危機感を感じられるほどの臨場感のある芝居はそうそうない。まだ初見の劇団なので独自のカラーを抽出するほど読み解けなかったが、十二分にエキサイティングで血湧き肉躍る観劇体験だったし、こういう(本当の意味で)個性的な集団が生き延びてくれることは頼もしい。次回作にも期待。

つづき:
http://www.playnote.net/archives/001205.html

伝記

伝記

サンプル

こまばアゴラ劇場(東京都)

2009/01/15 (木) ~ 2009/01/25 (日)公演終了

感想メモ
物語の不確かさ、ひいては物語的動物である人間の不確かさをゴリゴリ直感的に描き出す舞台。内容よりも、手法の混沌とした感、連想と衝動で突き動かされていくような展開上の手法こそが、この物語の本質を描いているように感じる。物語を楽しむ本ではないし、カタルシスも得られないが、そういう手法であれだけポップであるということ自体が奇跡的。

四色の色鉛筆があれば

四色の色鉛筆があれば

toi

シアタートラム(東京都)

2009/01/27 (火) ~ 2009/01/28 (水)公演終了

感想メモ
演出っていろんなことができるよ、というのをあれだけ並べられるとさすがに平伏する。空気感もおしゃれ。一本目、「あゆみ」からして作家の性格が滲み出ており共感を呼ぶ。二本目、「ハイパーリンくん」はラップでなければ。三本目、「純粋記憶再生装置」もトリッキーだが実によくできた本。どんどん再演されるといい。ワークショップや俳優訓練の題材なんかにも使えそう。四本目、「反復かつ連続」は、発想もすごいが構築の丁寧さが素晴らしいと感じた。いい役者さんがガンガン出ていた(ロビーにもたくさんいた)が、演技者の顔より演出家の顔が多く浮かんでくる印象だったのは残念。

写楽コンプレックス

写楽コンプレックス

劇団銀石

タイニイアリス(東京都)

2009/01/29 (木) ~ 2009/02/01 (日)公演終了

感想メモ
柿と比べられることが多いようだが確かに似ているスタイル。内実は柿・中屋敷のニヒリズムとは正反対のロマンチシズム。若いが鍛えられた役者が多く納得。特に樋口雅法、斉藤マッチュ、埜本幸良、浅利ねこ、寺田千晶さんなどが好印象。

脚本的には野心に満ち自分の文体を貫いている点は◎だが、描こうとしている情緒に対してプロットがとっちらかった印象があるのが残念。しかし視野の広さと几帳面な真面目さが感じられ、次に期待と思わされる。

クツシタの夜

クツシタの夜

猫の会

「劇」小劇場(東京都)

2009/01/28 (水) ~ 2009/02/01 (日)公演終了

感想メモ
この視点は個性だ。間隙を描く独特の空気感。カフェオレみたいでおいしい。役者さんが皆魅力的で会話がよく噛み合っていてゆるりと観れた。

あなたと私のやわらかな棘

あなたと私のやわらかな棘

ジェットラグ

新宿シアタートップス(東京都)

2008/10/17 (金) ~ 2008/10/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

証明
柿スタイルの演出は普通の本には通用せんよ、という証明になるかしらと思って観初めて、見事に天晴れ裏切られました。台詞にデフォルメや「妄想」が少ない分ギクシャクして見えるが、そのグロテスクさが人間模様のグロテスクとリンクして実にいい効果。柿の本公演以上に楽しめた。

みみ

みみ

東京ネジ

アトリエヘリコプター(東京都)

2008/07/10 (木) ~ 2008/07/17 (木)公演終了

観て来た
初日ソワレ。上演時間ジャスト二時間。少女的妄想世界とも断じかねる独特の雰囲気。現代とアリスのゆる~いリミックス。人物や情感にもっと歪みや悪意が見れればなぁと思っちゃう自分の感性とは違う頂点を目指して作っていそう。
清水那保は久々の女子高生役で一安心。ザリガニとかチャウチャウ犬でなくてよかった。男優陣がそれぞれの立ち位置、守備範囲をきっちり守っている感じがして好印象、いい仕事してるなぁと思うが、全体的に突き抜けたファインプレーが見れる瞬間はなく、控え目な印象も。

進化の気持ち

進化の気持ち

FLAT

荻窪メガバックスシアター(東京都)

2008/07/04 (金) ~ 2008/07/06 (日)公演終了

観て来ました
武井は良い。脚本の掴み所のなさにぐっと気持ちが引いてしまった。バッコスの祭の主宰?の方がいい存在感。

父親がずっと新聞を読んでいる家庭の風景

父親がずっと新聞を読んでいる家庭の風景

あひるなんちゃら

サンモールスタジオ(東京都)

2008/07/03 (木) ~ 2008/07/08 (火)公演終了

観劇しました
黒岩さんがかつて観た中で最もきらきらしているように見えました。ちょっと殴られてもいいかなと思いました。

俺を縛れ!

俺を縛れ!

柿喰う客

王子小劇場(東京都)

2008/06/18 (水) ~ 2008/06/30 (月)公演終了

観て来た
メモ。

闘争か、逃走か

闘争か、逃走か

演劇ユニットG.com

アトリエフォンテーヌ(東京都)

2008/06/25 (水) ~ 2008/06/29 (日)公演終了

観て来た
メモ。

杭抗(コックリ)

杭抗(コックリ)

乞局

こまばアゴラ劇場(東京都)

2008/06/04 (水) ~ 2008/06/15 (日)公演終了

満足度★★★★

観て来ました。
初コツボネだったので期待して。

ネタバレBOX

精緻にして粘っこく陰湿な脚本にも舌鼓を打った(美術で描かれていたあの湿っぽさは、文体からも漂っていた))が、それ以上に微に入り細を穿つ俳優の演技に脱帽。聞いたら演出家がどこまでも細かく徹底的に演技をつけており、それを俳優が必死で追っ掛けていたそうだけれど、それに見合った陰影の深さがあって、文体・脚本のねちっこさに全く負けていなかった。

いろんな意味でバランスの取れた、見応えのある時間。三世代を説明抜きでびゅんびゅん飛び越えるのも、脳が疲れる感じはせず、リラックスして観れて、繋がったときにはちょっとスッとする、ゾッとする。低空飛行の、低温多湿の狂気って感じがして、愛を持ってこねくり回された舞台作品の持つマニアックな面白さが感じられて、大変興味深かったです。
「て」

「て」

ハイバイ

駅前劇場(東京都)

2008/06/18 (水) ~ 2008/06/23 (月)公演終了

満足度★★★★★

現代版チェーホフ。
脚本、演出、俳優力、死角なしの面白さ。以下全部ネタバレ。下北沢駅前劇場にて、23日(月)まで。是非観に行くといいと思う。現今、小劇場で観られる最もユニークで完成度の高い作品。

ネタバレBOX

ハイバイは昨年くらいから追っ掛けているが、不条理で超常現象的なギミック((得体の知れない病気とか))のないのってこれが初めてな気がする。一応死にそうなばあちゃんを中心にした話だけど、老人介護の問題とかじゃなくて、わかりあえずにどんどん不幸になっていく不器用で馬鹿でみっともない人々が生々しく描き出されていて戦慄する。

くくりで言ったら群像劇になるんだろうが、秀逸なのは最初は普通に主人公のいるお話っぽく見せちゃってるところ。金子岳憲氏演じる「じろう」が主人公で、よく岩井作品に出てくる理不尽に怖い奴として吉田亮氏演じる「たろう」が出てきて、何か理不尽に揉めたりして、ってとこまではいつも通りだったんだけど、途中からシーンの視点が「たろう」に移る。あるいは長女の「よしこ」や岩井氏本人が演じる「山田母」に移る。

「じろう」目線で「たろう」を見て、あー田舎とか行くといるよなこういうセンスの悪い従兄弟とか親戚とか、カチンと来るわー、と思ってうかうか見ていると、いきなり「たろう」目線が入って来て、むしろ「じろう」の理想主義的で偽善者っぽい薄っぺらな言説にコノヤローと思ったりする。長女の「よしこ」なんて途中まではよくいる鬱陶しい親戚のおばちゃんくらいにしか見えてなかったのに、後半で「よしこ」の気持ちがわかったり、あるいはさらに「よしこ」への憎悪がふつふつ沸いたり、と、観ている俺の感情がぐらぐら揺れる。しかも、身勝手な四人兄弟の性質が、最終的にはDV野郎だった「山田父」の印象に繋がる、って言うか、「親父に一番似ているのはお前だ」みたいな話になったりして、直接的だがより生々しく痛々しい。もう、参ってしまう。

シーンごとには主観的でありながら、全体としては群像劇。よくできたアイロニカルな構造で、前例がなくはないのだろうが、実に鮮やかに繋がっており、完全にやられた。

こう書くと、大変文学的なお話なのだなぁという印象があるが、ワンシーンワンシーンは上質のコントを観ているよう。この辺の「抜き方」が巧妙かつ絶妙過ぎて舌を巻く。でも確かに、目の前で女がワンワン泣いたり大人がギャンギャン怒ったりしている最中に、変なCMが流れて来たり、チャック開いてたり部屋に貼ってある変なポスターに気づいたり、そうやって平成人の日常は流れているわけで、ある意味残酷なほどにリアル。この辺の観察眼も凄まじい。

観ていて、これは、平成版チェーホフなのではないか、とすら思う。知らない人のために解説すると、チェーホフは、「かもめ」だの「三人姉妹」だのを喜劇だ喜劇だっつって書いて、上演させて、で、確かに出てくる人物は滑稽だしドカンと笑いが起きるシーンがあったりするんだが、最終的にはどうしようもなく陰鬱で、人生の薄暗さを痛感するような芝居を書いたのだけれど、ハイバイ「て」はまさに平成版チェーホフではないか、と思う。たぶんこれ、何の前情報もなしに台本だけ新劇系の演出家とか高校演劇の顧問とかに読ませたら、とにかく静かで鬱々とした家庭悲劇として上演されていたんではないかしら。

岩井氏の書く本は、着眼点のくだらなさやユニークさ、観察力の鋭さ、発想のむちゃくちゃな飛躍とかにばかり気を取られていたが、今回のこの本は本当の意味で構成力のある本だと感じた。賢いんだなぁ。クイズとか得意なんだろうなぁ。とにかく、これは面白かった。今回こそはつまらないだろう、と思って観に行ったら、面白くってちくしょうって思った。次にも期待。
大怪獣サヨナラ

大怪獣サヨナラ

The end of company ジエン社

明石スタジオ(東京都)

2008/06/19 (木) ~ 2008/06/22 (日)公演終了

満足度★★★

脚本に消化不良感
俳優はイイ。パッと見20代前半のようだけれど、なかなかおもむき深いキャラクターがいて、おもむき深い言動があって、わちゃーっといっぱい(14人?)いるけど個性が消えてなくて、俳優がイイのか、演出がイイのかわからんけど、とにかく個々の人物像にはかなり興味深い方が大勢。ドレッドの教師の人とか、保健室の先生とか、挙動不審な女の子(姉?)とか、自称カメラマンの立ち居振舞いとか。

ネタバレBOX

が、脚本に消化不良感。言葉の使い方や単語の選び方を聴く限り、きちんと演劇の作法がわかった上で個性的な冒険をしようとしているように思えるのだが、そのこだわりがどこにあったのか、今一つ伝わって来ず。旧世代的な起承転結のお話を書こうとしているわけでも、不条理的な群像劇を書こうとしているわけでもないんだろうけれど、ではその答えは? それがストレートに伝わって来れば、と思いました。

が、野心的な作風で、箸にも棒にもかからないウェルメイドをやられるよりは断然観客としては嬉しい。いいプロデュース力と野心を持っているようなので、今後化ける可能性はあると思う。

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