書く女
ニ兎社
世田谷パブリックシアター(東京都)
2006/10/02 (月) ~ 2006/10/15 (日)公演終了
樋口一葉
現代演劇において井上ひさしさんと並んで面白く、社会から逃げず、観客動員もあってお客から支持されている作品をコンスタントに出し続けるといえば永井愛さんだと思うのです。この作品も寺島しのぶという天才女優を得てものすごき高みまで上り詰め人間関係のあやふやさをじっくりと感じさせてくれた秀作です。きっとまた再演されますから。また見たいですね。
少女とガソリン
阿佐ヶ谷スパイダース
ザ・スズナリ(東京都)
2007/06/08 (金) ~ 2007/07/04 (水)公演終了
スズナリでの新作公演
近年の阿佐ヶ谷スパイダースの作品の中では、見てないものがあるから何ともいえないが、非常に分かりやすく、物語性もどっぷり残っていて、それでいてギャグも人物描写も深まった作品。スズナリで会ったことも影響してか俳優の思いはすみずみまで行き渡り多いに客席も沸いていた。
桜飛沫
阿佐ヶ谷スパイダース
世田谷パブリックシアター(東京都)
2006/02/10 (金) ~ 2006/02/19 (日)公演終了
マーティン・マクドナーの影響なのか?
時代劇でありながら、その人物描写、展開などなど、PARCOで演出したマーティン・マクドナー作品の影響を感じる作品だった。舞台は美しく豪華なのだが、時おりそれら美しさの中に何かとてつもない絶望を感じてしまったりした。例えば桜吹雪があったとしても、それは蜷川幸雄さんのそれとは何か相当違うものだった。
ともだちが来た
阿佐ヶ谷スパイダース
ザ・スズナリ(東京都)
2003/12/17 (水) ~ 2003/12/30 (火)公演終了
中山祐一郎の演出作品
こんなに切ない物語と多くの人が思っただろう。人は生き死んで行く。それは観客として見ている自分にも必ず起こること。鈴江俊郎の傑作が蘇る。それも、本当に細部の、例えば舞台上に投影される映像のすみずみまでこだわった作り方をしていた。きっといつまでも忘れない作品だ。
みつばち
阿佐ヶ谷スパイダース
こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)
2003/06/05 (木) ~ 2003/06/11 (水)公演終了
時代劇でありながら
時代劇と思いきや現代の息吹をとことん感じさせる作品。超強力なキャストを得て全国ツアーも敢行するスゴい劇団になった作品と記憶している。良く分からない部分も長塚圭史の世界となれば必死についていこうとしてしまうのだ。
ポルノ
阿佐ヶ谷スパイダース
TOKYO FM HALL(東京都)
2002/08/02 (金) ~ 2002/08/17 (土)公演終了
いつもは意識していない部分が目覚めた。
阿佐ヶ谷スパイダースにとって再演であるかもしれないが、原点回帰した作品から阿佐ヶ谷スパイダースの動員は山ほど伸びて行った記念碑的作品であることは間違いない。事実上、第4のメンバーである富岡晃一郎の活躍もこの作品で決定的になったのではないか。結成から6年目に旗揚げ作品。それからまた6年。つまり12年。脳の中のいつもは意識していない部分が刺激されたのを覚えている。
ミュージカル ハレルヤ!
ホリプロ
天王洲 銀河劇場(東京都)
2007/12/01 (土) ~ 2007/12/13 (木)公演終了
日本初ミュージカルの傑作
実はコーラス隊で出ていました。出番がない時に見せてもらったのですがとても良くできていました。単純だけど誰もがもってる悩みや問題が根底にあって、さまざまな音楽をポジティブな気持ちで乗り越えて行く。そのパワーの源は愛!みたいな作品です。きっと再演するでしょう。その時にはお見逃しなく。川平さんの代表作です。
チェックポイント黒点島
燐光群
ザ・スズナリ(東京都)
2006/11/04 (土) ~ 2006/12/03 (日)公演終了
事件の現場の日常の
東西冷戦下の話に留まらず現代未来も見据えた話は時代の空気をしっかりとすいながらも時間を超越する普遍性を持つ。 そこに渡辺美佐子、竹下景子といった存在感も華もある女優が加わった。個人的には燐光群のベテランともっともっと絡んで欲しかった。時代、重い、でも日常。
観たいに間違って投稿してしまいました。すいません。
むかしここは沼だった。しろく
劇団八時半
こまばアゴラ劇場(東京都)
2007/03/07 (水) ~ 2007/03/11 (日)公演終了
東京ノート
青年団
こまばアゴラ劇場(東京都)
2007/04/19 (木) ~ 2007/05/14 (月)公演終了
面白かった!また見たい。
素晴らしい青年団の俳優たちによって演じられる平田オリザさんの代表作であり、平田オリザさんの名前を広く世間に知らしめる傑作のひとつ。大変面白く今見ても全く古さを感じさせない時代超越の力を感じる作品だ。きっと、青年団の俳優はこの作品を演じられる悦び誇りを感じるのだろうなあ、と。
悩み多き者よ
ネルケプランニング
新宿シアタートップス(東京都)
2007/02/28 (水) ~ 2007/03/11 (日)公演終了
最高に贅沢な空間で人生を感じる
この魅力的な3人の出演者が四つに組んで人生の哀愁を感じさせる見事な芝居を繰り広げる。芝居は最後の結末で感動するのではなく、全てのシーンの何となく感じさせる出演者の人間性がにじみ出て初めて結実する。そういう意味で舞台に上がる俳優の人生そのものも問われているのだと感じた芝居。バンドシーンの音楽ライブもとても楽しく一回の芝居で2倍3倍楽しめたと感じた。
甘い丘
KAKUTA
シアタートラム(東京都)
2007/01/19 (金) ~ 2007/01/28 (日)公演終了
犬は鎖につなぐべからず
ナイロン100℃
青山円形劇場(東京都)
2007/05/10 (木) ~ 2007/06/03 (日)公演終了
近代演劇の始まりと現代演劇の最先端
日本の近代演劇の始まりと現代演劇の最先端を結ぶ公演である。話は大正でもそれは平成のセンスで料理され演じられている。大正の時間の流れではなく、平成の時間の流れで舞台は進む。
岸田国士の作品をこうして紹介してもらえるのは貴重な機会だ。しかし、それはまぎれもないケラリーノサンドロヴィッチさんの作品なのである。客演も含めた俳優陣の充実した演技も素晴らしかった。
BIGGEST BIZ
AGAPE store
本多劇場(東京都)
2006/01/08 (日) ~ 2006/01/22 (日)公演終了
松尾貴史の代表作
芝居のスケールを超えた展開に止められないワクワク感。3部作はハリウッドの映画の原作になってもおかしくないようなスケール感。また再演をして欲しい作品のひとつです。
ワールド・トレード・センター
燐光群
ザ・スズナリ(東京都)
2007/10/20 (土) ~ 2007/11/06 (火)公演終了
世界が変わった日も日常の一日
9.11はアメリカ社会に大きな影響を与えただけでなく、世界の根っこで大きな活断層が動いた感じがする。表面に見えるそれは同じでも、どこかでカチッと変わってしまったのだ。そこには日常の続きで生きている人々が生きていて、なにも変わっていない一日だと生きて行く。
この芝居は芝居だけで完結するのではなく観た人の心と知性で見続けるものなのだろう。
『放埒の人』はなぜ『花嫁の指輪』に改題されたか あるいはなぜ私は引っ越しのさい沢野ひとしの本を見失ったか
燐光群
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2007/05/20 (日) ~ 2007/06/17 (日)公演終了
燐光群のアンサンブルのスゴさ
燐光群の新旧の役者さんだけでシンプルな装置が雪山になり、都会の飲み屋になり、ホテルに変わる。ものすごい勢いで場面は転換し飽きさせない。沢野ひとしの放蕩の人生を振り返ることで生きるということ、生ということを深く考えさせてくれた。しかし、燐光群の役者陣はスゴい。
都はるみ特別公演
松竹
大阪松竹座(大阪府)
2008/06/03 (火) ~ 2008/06/26 (木)公演終了
小節の魅力
都はるみの座長公演は25年ぶりのことだという。昭和の大歌手があのだだっ広い新宿コマ劇場で数かすのショーを行い、多くの人を和ませてきた。まぎれもない事実。その新宿コマ劇場は舞台こそ華やかだけれど、客席から天井をみれば、すすけて一部は塗料がはがれてきており老朽化していることはごまかせない。立て替えが予定されているコマ劇場での最後の公演として都はるみは舞台に立ったのだ。
後半の歌謡ショーの部分。テレビやラジオ、録音で聞き親しんだ都はるみの歌を聴けるものだと思った。しかし、アンコ椿は恋の花から、ちょっと違う。大阪しぐれも北の宿からも好きになった人も、録音できいたそれとは違うのだ。そこには、録音を再現すればいいという歌手の姿はなかった。
都はるみと言えば小節である。唸りである。それは存分に聞かせるのであるが、
長文になりますので、これ以降も読んでやろうという方は http://palove.blog.shinobi.jp までどうぞ。
リンゴの木の下で
遊座
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2008/03/21 (金) ~ 2008/03/26 (水)公演終了
広井王子のやりたいことはいろいろとあるのだ。
この作品は小池竹見が書き、広井王子が仕上げた台本に、注目の演出家茅野イサムが加わって出来た作品である。作品の面白さは、井之上隆志と小林美江といった名うての役者によって倍増される。そして、素晴らしい音楽が付け加えられる。どんどん加えて面白くなった作品なのだ。茅野イサムの演出は、王道を行くものである。
役者が袖に来ている迎えに向かって手を振り去っていくシーンでも、きちんと袖に裏方を配し演技をさせている。演技をしたふりということを嫌うのである。俳優を遊ばせて(好きにさせて)作ったシーンも、しめたところもあるのだろう。笑いたっぷりなシーンとドラマの進み方にアクセルが踏まれるシーンもある。その舞台には自由さと自発性があった。
この感想は長文のため一部のみの掲載とさせて頂きました。全文ォ読んで下さるという方は恐れ入りますが、http://palove.blog.shinobi.jp/ まで
ファミリー大戦争
彩の会
三越劇場(東京都)
2008/02/06 (水) ~ 2008/02/24 (日)公演終了
エイリアン二人が両トップ
キャスティングが素晴らしく、素晴らしいからこそ欠点も見えたものでした。先ずは赤井英和さんの演技が上手いのか下手なのかが良く分からないです。朝丘雪路さんが台詞を噛んでいるのかわざとやっているのか。台詞を間違えたのか、ふりをしているのか分かりません。役名まで(わざと?)間違え全部客席の笑いとして、どんどんどんどん和やかな客席になるのがスゴい。超魅力的な女性であり女優であることは間違いない。可愛いです。そういったエイリアンがトップ二人です。そんな中で正司花江さんをおくことで舞台をどかんと引き締めた。暴投かと思うものも受け取るキャッチャーす。やっぱり凄いな!かしまし娘。
このお芝居には、今はなくなった藤山寛美さんや、でんすけさんがやっていた時代の芝居小屋での演劇の空気が残っていまして、そりゃあ古いタイプの芝居かもしれませんが、それが悪いわけではないのです.何しろお客さんが大喜びなんですから!
男3兄弟は内海光司さんが、ちょっと抑えたポジションになり、後輩の中村俊太さんと工藤大輔さんが目立つようにしていてデカイところを見せてました。が、女3姉妹がもう少し美人がいたり、太っていたりと個性が欲しい。何かダメでした。3人とも芝居もややヤバいしなあ。このキャスティングがイマイチでした。まあ、僕の好みってことかもしれませんけど。
あっ、言っちまった!って中村俊太さんが両手で口を抑えるところ。それをこの登場人物の癖としてやってるわけですが、これがね。もうスゴいのなんのって。他の舞台のときと別人のようで別人でないのです。芝居の中で肝になっていました。見事。
からっぽの湖
AGAPE store
紀伊國屋ホール(東京都)
2008/02/08 (金) ~ 2008/02/17 (日)公演終了
ほぼ脱物語。関係性だけ見せて行く面白さ。
俳優力で見せた芝居。野間口湖にネッシーみたいなノッシーがいるいない?そんな話だけでもないか。もう別にストーリーにこだわる物語系お芝居を観に行った人は面食らったかもしれない。むしろ、それはどうでもいいくらい。登場する人間関係のあれそれで見せて行く。台本を元ネタに俳優たちが、そこに人間の何を発見するかを見いだすのだ。
状況設定のためだけに、必要だった物語みたいな…。
ウェルメイドなコメディとか、いつものアガペなものを望んでいる人には不満なのかもしれないけどね。僕は松尾さんの芝居は、BIZシリーズがとにかく好きなんです。あと、地獄八景みたいな落語もの。