息を止めるピノキオ
劇団銀石
ギャラリーLE DECO(東京都)
2013/05/21 (火) ~ 2013/05/26 (日)公演終了
満足度★★★★
21世紀版「RUR」か?
機械人間への情操教育、という出だしから21世紀版「RUR」か?と予見した通り、ピノキオの設定(の一部)を借りて語られるストーリーはRURや鉄腕アトムなどを想起させる。
そんな中に画一化教育と言うか、自分が思う1つの理想型に嵌め込むことだけを考え、せっかく芽生えた独自の才能を摘み取ってしまう育て方への警鐘を鳴らし、愛とは?人間とは?などを考えさせたり、人のエゴや嫉妬を示して見せたり、「ナンバーワンでなくオンリーワン」を訴えたりするのが素敵。
とはいえ中盤の鉄琴のあたりから謎の女が「愛」を語るあたりまでに共鳴して大興奮したためにそれ以降の部分が(客観的に観ればよくできているんだが)比較的フツーに感じられてしまったのが惜しいと言おうか何と言おうか…。
言い方を変えれば、そのあたりにテーマがぎっしりと集中してしまい、それをすべて捕らえようとするのはやや忙しい。(笑)
もう少し小出しにして分散させれば…あ、逆に散漫になるのか?
なお、あるシーンで「綾波?」と思ったが、佐野木さんにその意図はなかったそうで。が、そう思われたお客さんは他にもいらしたとのことで、「やっぱり!」みたいな。(笑)
ラクエンノミチ
日本のラジオ
新宿眼科画廊(東京都)
2013/06/21 (金) ~ 2013/06/26 (水)公演終了
満足度★★★★
ギブアップ寸前?(笑)
前半は笑えるものの「羽毛にくるまれたカミソリ」のように危うさが潜んでおり、中盤で次第にあれこれが推測できてくると不安定で今にも崩れそうなグラスタワーを目前に作られたようで「なぶり殺しでなく一思いに殺してくれい!」的な。(笑)
その「イヤーな感覚」は上演時間が75分余だったからイイようなものの、90分を超えていたら堪えられなかったかも?(よって初めて演劇をご覧になる方には決してオススメできません)
演出と演技の賜物だね。
ティーガーデンで逢いましょう
NO-STyLe-GArden
劇場HOPE(東京都)
2013/06/18 (火) ~ 2013/06/23 (日)公演終了
満足度★★
1人のスタッフが良い内容を台無しに
茶摘み体験+お見合いツアー一行とそれを受け入れる側のおハナシ。
オーソドックスとは言え手堅いストーリー展開に加えて、人物の出ハケのタイミングが良くて乱れないテンポ、あざとくなる寸前でとどめる個性派キャラ(=良いアクセント)など、なかなかの良い出来。
早回し+ストップモーションの宴会場面の演出も◎。
強いて言えばクライマックスで音楽の音量が大きめで台詞が聞き取り難かったのが難点か?
ところで、客席スタッフが上演中にしばしばタブレット菓子の容器を振ってガチャガチャ音を立てていたが、どういう了見?
そういう不届き者はスタッフとしてはもちろん、客としても今後一切劇場に入れないで欲しい。
(よって満足度は2つ減ずる)
岸田國士原作コレクション
オーストラ・マコンドー
black A(東京都)
2013/05/23 (木) ~ 2013/06/09 (日)公演終了
満足度★★★★
Cプログラム
「モノロオグ」
担当した外国人入院患者に対する看護師の思慕の行方を描いた一人芝居。
女性役を男優が演ずるも、序盤の所作(と着物の柄)からしっかり女性に見せて違和感無し。とか言いつつ「女優だったら誰がイイ?」などと考えながら観ていたりもして。
ところで「ラヴィアンローズ」は戯曲の指定?
「クロニック・モノロゲ」
夫婦の話だが女性2人が演ずることでなまめかしさ・妖艶さが強調される感じ。
また、随所に笑いが織り込まれていて主旋律のバックに別のメロディをさりげなく潜ませた編曲の如し。
停電シーンで実際に照明を落とし、観る側の目が慣れるにつれて次第に見えてくる、という演出も劇中人物の視点(?)を観客に共有させて有効。
金子侑加嬢の「昭和の婦人」ぶりと熊谷有芳嬢の男装もなかなかに◯。
「風俗時評」
人々が次々に奇妙な痛みに襲われる出だしは筒井康隆などの作品を思わせるがやがて軍事クーデターへと展開。
が、OPに2.26事件の記録映像らしきものがありそれが予見されたのがやや残念。EDだけの方が観ていてのインパクトがあり良かったのではないか?
岸田國士原作コレクション
オーストラ・マコンドー
black A(東京都)
2013/05/23 (木) ~ 2013/06/09 (日)公演終了
満足度★★★★
Aプログラム
「留守」
主人の留守でくつろぐ女中のもとに近所の仲良し女中が訪れて羽根を伸ばす2人…なおハナシ。
箪笥や火鉢などの見立てにより昭和の日本家屋があの空間に出現するのが見事。
昼下がりの陽射しの照明表現も秀逸。
「麺麭屋文六の思案」
彗星接近を題材にした物語で「留守」同様諧謔味があって楽しい。
また、後半で彗星について力説する学者をビデオカメラで撮して壁にその映像を大写しにする演出も印象的。
「屋上庭園」
こともあろうに(笑)ロフト的な場所で演ずるとは!
そこでの演技を見上げることで「屋上感」たっぷり(笑)。
が、現実では客は空中にいる位置関係なワケで、言わば「神の視点」から観ることになり、独特の効果アリ。
NOSTOROMO あらかじめ喪われた世界ヘ
水族館劇場
三軒茶屋 太子堂八幡神社境内(東京都)
2013/05/17 (金) ~ 2013/06/04 (火)公演終了
満足度★★★★
テント小屋ならではのスペクタクル
「ガラパゴスアングラ」とでも言うべきか? どアングラっちゅうか120%アングラっちゅうかアングラの王道で、ここと較べれば劇団桟敷童子にしても月蝕歌劇団にしても洗練されているんじゃないかってくらいで。(笑)(他に劇団離風霊船、椿組なども想起)
勿論、こちらもこちらで進化はしており、テント小屋ならではのスペクタクルを堪能。
フライング北海道
シネマ系スパイスコメディAchiTION!
新宿シアターモリエール(東京都)
2013/06/14 (金) ~ 2013/06/16 (日)公演終了
満足度★★★★
渾身のSFコメディ
上演時間125分という渾身のSF(と言ってイイのか?(笑))コメディ。
あれこれそっち系のネタ満載で元ネタを知っていればいるほど楽しめるが、盛り込み過ぎで中だるみ感が無きにしも非ず。
しかしREEさんの「あのキャラ」、出落ちかと思いきや意外とハマってないか?(真顔)
メコン流れ星
ひげ太夫
ザ・ポケット(東京都)
2013/06/11 (火) ~ 2013/06/16 (日)公演終了
満足度★★★★★
いつもながらアッパレ!
いつもながらの立体少年マンガ的世界。今回のツボはネタバレBOXに挙げるがあんなモノやそんなモノを表現してみようという発想が見事。
もしかすると吉村座長はモノを見る度に「アレをひげ太夫で表現するにはどうしたらイイか?」などと考えているのではあるまいか?
あと、今回はあるシーン(それもネタ系)の照明もナイスサポート。
千年の狐と小さな嘘
PocketSheepS
TACCS1179(東京都)
2013/06/13 (木) ~ 2013/06/16 (日)公演終了
満足度★★★★★
新境地×新境地=傑作
冒頭は妖狐封印、な時代もの(じぇ?)だが本編は基本的にラブコメディ(じぇじぇ!)と、新境地の二段重ね(じぇじぇじぇー!)。
そんな中に生き永らえる孤独や人を想う切なさなどを織り込み、腐女子や「浄めの塩」などの小ネタで彩った秀作。
「呪いをかけたのは誰か?」やエピローグも巧くて大いに満足。
トレイル
メディア・ワークス
ザムザ阿佐谷(東京都)
2013/06/11 (火) ~ 2013/06/16 (日)公演終了
満足度★★★
Bキャスト観劇
ストーリー全体は悪くないが、笑いを取ろうとする部分の大半が浮いていたり複数の女性キャラがあまり意味なく暴力的だったりそのスジでは凄腕とされる男があり得ない失態をするなど細部が杜撰で興醒め。
が、吉岡亜沙美嬢の新境地的役どころは見モノ!
ところでザムザ阿佐谷って、最初からすべて座布団を置いておくと開演時刻が近付いて残席が少なくなってきた時に奥の空席に客を通すのが大変なんだよね。
1列くらい通路的に空けておいて、ほぼ埋まってからそこを客席にすればイイのに…。
(結果、6-7分の押しで、開演前・終演後を通じてそのことには一切触れず←初犯につき減点したいが、次にやったら☆1つ減ずる)
ナホトカ
BLUE HIPS
アドリブ小劇場(東京都)
2013/06/04 (火) ~ 2013/06/09 (日)公演終了
満足度★★★★★
30代後半で執筆とは
座礁したタンカーから流出した原油で汚染された海岸の清掃ボランティアツアーに参加した女子大生たちを中心にした物語。
15年前の作だけに「当時は比較的に知られていたが今は?」な部分がある一方で災害ボランティアに関する部分などむしろタイムリーか?
また、登場人物の描き分けもよく、「イヤなヤツ」の口を通して言いにくい正論(?)を言わせるのなどは巧いなぁ。
30代後半でこれを執筆するとはやはりスゴいな。じんのひろあきとこの人はσ(^-^)にとって別格だわ。
初演以来15年ぶりに観るので基本的には観ていて「あー、そうだったな」と思い出しながらだったが、一部はもっと詳しく覚えており、逆に全く記憶にない部分もあり、そんなところもまた楽しからずや。
クロスイズム
たろプロ
要町アトリエ第七秘密基地(東京都)
2013/06/08 (土) ~ 2013/06/09 (日)公演終了
満足度★★★★
アイデア満載
とある町のウワサの人物に迫る(笑)物語。
中盤以降、連作短編劇中劇で物語を進めるアイデアが独特で、また、そこに盛り込まれたパロディなどが楽しい。
兄よ、宇宙へ帰れ。【ご来場ありがとうございました!】
バジリコFバジオ
駅前劇場(東京都)
2013/05/29 (水) ~ 2013/06/03 (月)公演終了
満足度★★★★
複数のツボを突かれる
個人的には大好きな「ドグラ・マグラ的構造」に加えて「演劇にできること」の1つを示し、兄妹愛などまで描いており複数のツボを突かれる。
終盤での兄を見守る妹達の表情がまたイイんだよなぁ。
ただ、ある病に関する部分は賛否が分かれるかも?
まんが×青春!!~高校ペン児の甲子園
劇団SHOW&GO FESTIVAL
新宿シアターモリエール(東京都)
2013/06/05 (水) ~ 2013/06/09 (日)公演終了
満足度★★★★
結末は一長一短
実在する通称「まんが甲子園」の予選に挑戦する複数の高校の生徒たちを中心に描いた青春グラフィティ。
舞台の上手と下手を各校の部室として交互に見せたりするスピーディーな展開と各校の特色や生徒たちの個性、それぞれの顧問教師の生徒に対する指導のしかたなどが巧い。
が、通過あり落選ありの予選結末に対する各校の表情を見せて終わるのも悪くないが大きな1つのまとまりではないので物足りない気も。
キャンベラに哭く
桃尻犬
王子小劇場(東京都)
2013/06/05 (水) ~ 2013/06/09 (日)公演終了
満足度★★★★
ガツンとヤられる
何年か前の柿喰う客を想起させる不道徳さの漂う群像劇がやがてブッ跳び方向に転じフルスロットルになったところで終幕という構成にガツンとヤられる。
また、各キャラが見事にハマっており、説得力があると言うか何と言うか。(笑)
某団体(敢えてドコとは言いませんが)の持ち味を洗練させたような印象も。
OTOGI狂詩曲
進戯団 夢命クラシックス
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2013/06/05 (水) ~ 2013/06/09 (日)公演終了
満足度★★★★
一長一短
お伽噺(+α)の登場人物たちによるバトルロワイアル状態からのコトの真相提示、一旦ダーク方面に振ってからの結末という構成、後半で示されるテーマ、各キャラクターのアレンジと応用(戦い方も含む)などがイイ。
が、その一方、映像とライブアクションとの「合成」も見せ場ではあるのだが、映像と演技とのタイミングがズレたり、度々使われるクラッシュ映像がチープだったりで、逆に全体のトーンを落としてしまったのは残念。
ビョードロ 終演いたしました!総動員2097人!どうもありがとうございました!
おぼんろ
d-倉庫(東京都)
2013/05/29 (水) ~ 2013/06/16 (日)公演終了
満足度★★★★
「末原童話」絶好調
お馴染みの廃品を活用した舞台美術(桟敷席・段差席など客席を含む)の中を縦横無尽に駆けめぐる「末原童話」絶好調。
今回はそれに色濃い寓意性が加わり、より奥行きがあるものとなった印象。
「ジョウキゲン」の表すものの解釈も人によって様々かも?
『DRYuuuu!!!』
激団リジョロ
シアターシャイン(東京都)
2013/05/31 (金) ~ 2013/06/10 (月)公演終了
満足度★★★★
150分の上演時間もさほど長く感じず
荒廃した未来、地上の有害なガスを浄化するために地下で作業するグループがいた…なSF設定だが昔の鉱山の作業場を思わせる装置(仕込みに4日って…(絶句))で繰り広げられるドラマは骨太で男臭く、土着的(←ダブルミーニング)。
また、先述の装置のみならず、衣裳や小道具も凝っており(劇団桟敷童子のそれに通ずる感覚?)、結末はやや甘い感もあるが観応えたっぷりで150分の上演時間もさほど長く感じず。
女(め)かくし
ケムリノケムリ
atelier SENTIO(東京都)
2013/05/30 (木) ~ 2013/06/02 (日)公演終了
満足度★★★
妙齢の女性の結婚観
韓国人男性と同棲中の関西人女性を通して描く妙齢の女性の結婚観。
人魚なども引き合いに出しつつ不安ゆえかネガティブな感が拭い去れず、最終的に彼女が辿り着く結論もネガティブ(むしろ過激?)に思えたが、関西流の言い回しではないか?と気付いて納得。
また、序曲的な生演奏の中、出演者たちがカーペットを敷き、諸道具類をセッティングし、最後にそれらを片付けて終わるのも面白い。
チェンジ・ザ・ワールド
マグズサムズ
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2013/05/23 (木) ~ 2013/05/27 (月)公演終了
満足度★★★★
バックステージもの・音楽編
ネットカフェ、バス、ツイッターなどその状況で「いかにもありそうなこと」をホンの少しだけ逸脱することでドラマを創るのが巧みなここ、今回はライブハウスの楽屋での騒動を描いて愉快。
ただ、ちょっとキレイにまとまり過ぎた感が無きにしも非ず?
とはいえ、ワンマンなボーカルの「成長」などもきちんと描いてハッピーエンドに導くのはイイね。