じべ。の観てきた!クチコミ一覧

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桃太郎と鬼娘

桃太郎と鬼娘

劇団のの

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2015/10/09 (金) ~ 2015/10/12 (月)公演終了

満足度★★★★

タイムリーなテーマをコンパクトに
鬼退治後、きび団子屋で生計をたてていた桃太郎に復讐を目的に近付く鬼の残党の娘、そして他にも桃太郎を狙っている者が…。
民話やお伽噺の元となったであろう史実をそれに近い形で描くスタイルゆえ「鬼」には角がない…どころか普通の人間として描かれる。
それはそのまま桃太郎の驚きでもあり、正義と思って鬼退治に“参加”して鬼ヶ原に行けば、そこにいたのは鬼などではなくごく普通の人々、とてもそんな相手を討つことはできずに一人戦列を離れたことから「敵前逃亡」の罪で追われる。
そうなんだよ、戦時教育で「鬼畜米英」などと刷り込まれ…というより洗脳されたとしても、相手は鬼でもなければ悪でもない。
キナ臭くなってきた昨今、これを忘れてはいけない。
そう考えると鬼退治系のお伽噺ってけっこう過激なんだな…とも。
ヒロインである鬼の娘もそこに気付くが彼女の鬼…いや兄が復讐を諦めないことで起こる終盤の悲劇には考えさせられる(1年戦争時のエルメスのララァを想起したが、のあ主宰はご存知ないそうで…う、ジェネレーションギャップ(爆))。
そうして迎える最終場は「もしかするとこうだったかもしれない」和やかな平行世界。
後味を悪くしないためと思ったが「こういう世界であって欲しい」という願いや祈りとも受け取れ、そう考えると深い。
80分という尺に巧く収めたなぁ。
それにしても、ここの芝居で殺陣を見ることになるとは…!(笑)
あと、TEAM空想笑年、柿喰う客に続く桃太郎ネタ、この後にはタッタタ探検組合も控えているし、何なの?桃太郎生誕〇年とか没後〇年とかなの?

抑圧の幻影 ~SHADOWS UNDER THE GROUND~

抑圧の幻影 ~SHADOWS UNDER THE GROUND~

KING CRAZY

萬劇場(東京都)

2015/05/27 (水) ~ 2015/05/31 (日)公演終了

満足度★★★

全体的には良いが細部が杜撰(制作も含む)
下山事件をモデルにした昭和の架空の事件とそれに関連した場所の現在とを併行して描く伝奇サスペンス。
開かずの扉の謎に始まり、現代と過去のつながりなどを次第に紐解きながらの展開が巧みで130分の上演時間をしっかり引っ張るが、それだけにいくつか杜撰な部分があった(ネタバレBOXへ)のが惜しい。
また、当日受付のリストに名前が誤記されていた(予約フォームにはきちんと記入したので転記ミス)が、ここって作品についても制作面でも「細かいことは気にしない」おおらかさが特色なのかな?
ホントもったいない。

ネタバレBOX

まず、平成パートで開かずの扉は室内から開かないことになっているが、1度だけ開いてしまうのは御都合主義的。
また、舞台正面にある「開かずの扉」が開閉時の重厚な音響効果の割には薄いし、それよりも蝶番が小さ過ぎる。
あれでは扉の重量を支えることができるとは到底思えない。美術によってもっと大きく見せるか全く見えなくするべきでは?
さらに、言葉に重さを持たせようとした結果なのか「尽力を尽くす」「蓄財を蓄える」など「頭痛が痛い」的な重複表現がいくつかあり…。
夢みるあの子はまだおうちでロンリーガール。

夢みるあの子はまだおうちでロンリーガール。

なかないで、毒きのこちゃん

高円寺FIZZ(東京都)

2015/05/29 (金) ~ 2015/05/31 (日)公演終了

満足度★★★★★

鳥皮ささみ、おそろしい子(笑)
強烈なキャラ合戦に始まり、思わぬ方向に展開して迎えるラストは「ガンバレ、負けるな!」だったりもして。
まさしく「イマの鳥皮ささみをまざまざと」見せていただいた感じ。
ラスト2曲の使い方も巧いんだよなぁ、アッパレ!
(文中敬称略ご容赦)

【無事終幕】「私が私でいられた最期の12日間」【多数ご来場大感謝】

【無事終幕】「私が私でいられた最期の12日間」【多数ご来場大感謝】

JOHNNY TIME

エビス駅前バー(東京都)

2015/05/16 (土) ~ 2015/05/26 (火)公演終了

満足度★★★

JOHNNY TIMEらしい怪異譚
“ヤツラ”こそ出てこないがいかにもJOHNNY TIMEらしい怪異譚。
それだけに読めてしまう部分もあるが、主人公の決断と切なさの漂うラストがイイ。
ただ、「12日間」を75分で描くため、各場が切れ切れな印象が無きにしも非ず。

おわりのはじまりのつづき。

おわりのはじまりのつづき。

:Aqua mode planning:

レンタルスペース+カフェ 兎亭(東京都)

2015/05/25 (月) ~ 2015/05/25 (月)公演終了

満足度★★★★

作品選定、演出の両面で楽しめた
広田淳一作品2編(「いつかばったり」「まだ、わかんないの。」)に柴幸男作品1編(「ハイパーリンくん」)で構成。
その作品自体は未見だが、他の作品をよく観ているのでそれぞれの特徴がよく出ていることにニヤリ。
また、基本的には二人の会話で成り立っており、元々リーディング用の作品かと思っていたが、あとから原作(?)はもっと多人数であること、それを2人の会話にするに当たっての工夫などを伺って大いに納得。

ヴィア・ドロローサ

ヴィア・ドロローサ

劇団セルビシエ‘

荻窪小劇場(東京都)

2015/05/23 (土) ~ 2015/05/24 (日)公演終了

満足度★★★★★

メタフィクション好きにはタマらん
ある朝、荻窪駅の近くで目覚めた記憶のない男をメインに、誰かを待っている仮面の12人をサブにして進む物語。
序盤は多少モタつく感があるが、主人公が自殺しようとする少女と出会ってからは好調、2つの流れをクロスさせながらの進行も巧み。
そうして「主人公は現代の荻窪にタイムスリップした“あの人”か」と思わせておいての主人公が記憶を取り戻すことによるどんでん返しは「ヤられたぁ!」な快感、メタフィクション好きにはタマらん巧妙さ。
しかもそこで仮面の人々が顔をさらし、併せて配役紹介をする(それも劇中の内容に合致して無理がない)のが妙案。
で、劇中劇のオープニングが現実のクロージングとなるのは画竜点睛を打つ、な感じ。
あと、沢山の小さな十字架で大きな十字架を構成させる背景デザインもステキ。
更に舞台上のみならず、スタッフ、観客も含めて美少女(ないし美女)率が高くて眼福。
いやぁ、ええモンみせてもろたわぁ。
なお、「初めてのトコに甘い」σ(^-^)のことなので、評価の星は若干サービスサービス♪(爆)

面影橋で逢いましょう【沢山のご来場、誠にありがとうございました!!】

面影橋で逢いましょう【沢山のご来場、誠にありがとうございました!!】

ラフメーカー

新宿眼科画廊(東京都)

2015/04/21 (火) ~ 2015/04/29 (水)公演終了

満足度★★★★

【昭和チーム】
謂わば基本の平成・応用の昭和でこちらの方がアソビが多い感じ?
そんな中、日記の読み方が片や朗読風に抑揚をつけ、片や敢えて平淡な「音読」にとどめる、などの違い(そう言えばノートも違っていたっけ)があるのも面白い。
ってなワケで進化をし続ける本作、初演から順に西荻→桜台→新宿と来ているので次は江戸川橋の絵空箱が良いのでは?などとも思う。
来年の桜の季節なんかイイんじゃないかな、面影橋もそんなに遠くないし。(ほぼ真顔)
ところで終盤の劇場ロビーの画像で一番手前にあるポスターに見覚えがあるのだけれど、何だっけ?
あと、劇中で使われる登場しない人物の名前、かつて客演した方々だよね。
尾崎さんと高田さんで気付いた。こういうアソビもイイな。

面影橋で逢いましょう【沢山のご来場、誠にありがとうございました!!】

面影橋で逢いましょう【沢山のご来場、誠にありがとうございました!!】

ラフメーカー

新宿眼科画廊(東京都)

2015/04/21 (火) ~ 2015/04/29 (水)公演終了

満足度★★★★

【平成チーム】
要領が悪くミスの多い陽子がつけ始めた日記は期せずして同居する友人との交換日記となるが…な、かつて渋谷シネ・ラ・セットやテアトル池袋でレイト上映していた映画やTBSテレビで深夜に放映していたドラマを想起させる(←私見:ピアノがメインの音楽もその一因?)物語。
初演、再演とも観ているが、演を重ねる度に精度が上がっているように感じ、ちゃんと覚えているラストで今回初めてホロリとしたのはストーリーが呑み込めているからか?(反語的用法)
初めてと言えば、コンビニ店員・斉藤が陽子の前任者だったということにも今回初めて気付く(もっとも初演時にはそれを匂わす台詞はなかったらしいが)。
あと、今回は各場を表す写真を背景的に投影したのも妙案。
で、当日パンフレットに両チームの配役を併記しているので、もう一方を時々脳内に描きながら観ていたりもして。

劇場版 サヨナラワーク

劇場版 サヨナラワーク

ネリム

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2015/05/21 (木) ~ 2015/05/24 (日)公演終了

満足度★★★★

伊達に「劇場版」を謳っていない
スタジオ版に音と明かりを付けオリジナルの配置をベースにした装置を組んで劇場の空間を活かしたグレードアップ版、両方観ると2倍以上楽しめる、的な。
伊達に「劇場版」を謳っていないよね。
しかしスタジオ版を観た時に「将来的には」と思っていた劇場版が、こんなに早く実現するとは驚愕!

1人芝居『てのひらの夜/とみこのむすこ』

1人芝居『てのひらの夜/とみこのむすこ』

浅見臣樹1人企画

風みどり(新中野)(東京都)

2015/05/16 (土) ~ 2015/05/17 (日)公演終了

満足度★★★★

対照的な2編のカップリングを堪能
往年のアナログレコードの17cmシングル盤のように対照的な2編。
前半の「くちびるの夜」は帰宅したサラリーマン1人の台詞だけで構成するスタイルだが対話の相手がミソで、フェチと言おうか江戸川乱歩風味と言おうか独特のアヤしさアリ。
5分ほどの「お召し換え」を挟んでの「とみこのむすこ」は「ある報告」で帰省した男の台詞に客への語りかけや質問も交えて進み、意外(むしろ真っ当なのにそう思わせるのが巧い)なオチまでユーモラス。
ところでこれ、かなり事実に基づいているとのツイートを見た気がするが、ホンマかいな?(笑)

誰がための笛は鳴る

誰がための笛は鳴る

空間交合〈アサンブラージュ〉リジッター企画

吉祥寺シアター(東京都)

2015/05/08 (金) ~ 2015/05/18 (月)公演終了

満足度★★★★★

リジッター企画の真骨頂
試合中に退場処分を受けたアマチュアサッカー選手オオサトはオーナーが用意したチケットで渡米することになるが遭難し島に打ち上げられ…な物語。
「愛と戦争と音楽」三部作の最終作ということで、戦争のいくつかの側面・戦争に至る要因の1つ2つ・戦争の終わらせ方などを暗喩で描いているが、歴史上の一連の流れ全体を見せるのではなく、部分部分をコラージュ的に使って再構成しているのが巧妙。
光の当て方や見る方向で色・形が変わるオブジェのように観る側の知識や解釈によって受けとり方が異なるのではないか?
そしてそれは結果的に様々なことを訴えるのではないか?
例えば舞台となる島は時として日本列島、時として戦闘が繰り広げられた南太平洋の島、あるいはルバング島なグァム島とも受け取れる。
そんなストーリーを彩る歌やムーブメントもここらしいもので、序盤の嵐の表現や後半での脚の負傷の表現はいかにも「森脇スタイル」で印象的。。
そう言えばアマヤドリの身体表現は抽象、空間交合リジッター企画のそれは(時として?)具象…などとも考えた。
そんなこんなでリジッター企画の真骨頂を堪能。

ネタバレBOX

「レッドカード」と「赤紙」の言葉遊びは野田秀樹っぽいよねぇ(笑)。
消失点

消失点

JACROW

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2015/05/13 (水) ~ 2015/05/17 (日)公演終了

満足度★★★★★

肩の力は抜けないがグイグイ引き込まれる
娘を放置して死なせた被疑者女性の取り調べを担当する刑事も実は似た境遇で…な物語。
刑事と被疑者、現在と過去を絶妙のバランスでクロスさせる構成と照明を巧みに使った演出が相俟ってグイグイと引き込まれる。
その刑事の揺らぐ(?)心情にクリント・イーストウッド製作・主演の映画「タイトロープ」を思い出したり、子供の泣いているところや不在の表現に舌を巻いたり。
そうして迎えるラスト、被疑者・刑事の双方に小さな安堵があるのが救い。
あと、奇しくも二夜連続で「ダメ男見本市」的になったが、世代差が如実に顕れていたと思う。
また、脚本家と演出家の組み合わせが芝居屋風雷紡と同じではあれ、棲み分けはちゃんとできており…と言うより、問われるまではそんなことを意識しない程にJACROWの色が出ていたとも思う。

いずい熱

いずい熱

the pillow talk

早稲田小劇場どらま館(東京都)

2015/05/14 (木) ~ 2015/05/17 (日)公演終了

満足度★★★★

自然かつユーモラスに描く二浪受験生の1年
東大を目指すも二浪が決まった受験生の1年。
いかにもありそうなエピソードを少し戯画化しているので自然でかつユーモラスなのが巧み。
また、円形ステージにして時が経過すると机・椅子などに見立てた箱を暗転中に120度ずつ回転させたり同じ装置内で異なる空間を交わらせたりする演出や地元組は白で東京モノは色付きという衣装、それに情交の見せ方なども効果的だったり面白かったり。

ネタバレBOX

いやしかし「国立名門大学を目指す受験生が主人公だが、影の主役(?)はその血縁者」という芝居が今週カブっていたとはねぇ…小劇場シンクロニシティの不思議。(驚)
あ、本作での「影の主役」は、親バカそのもので強烈な印象を残す主人公の母ではないか?と思ったもので。
『ロマンチック・ハードボイルド・ハードボイドル』

『ロマンチック・ハードボイルド・ハードボイドル』

劇団SUBUTA!

ザ☆キッチンNAKANO(東京都)

2015/05/16 (土) ~ 2015/05/17 (日)公演終了

満足度★★★★

惜しい部分もあるが総じて満足
霊が出るという部屋で開業している探偵事務所を舞台にした物語。
強いて言えばキモである霊を中心とした部分に至るまでに若干の冗長感が漂うのと時として会話の間合いが不自然(相手の言うことを聞いて自分で考えてから答えるにしては早過ぎてまるで相手の言うことが事前にわかっていたように感じてしまうとか)になるのが難点だが、総じて悪くない。
定番的とは言えボケとツッコミの役割分担がしっかりした会話とか、霊の記憶の問題とその解決とか、きちんと組まれていて安心して観ていられるし、一件落着後の場は全体を知っているだけにホロリとするし、このクオリティで1000円ならもう御の字ですわ。
次回公演が早くも楽しみ♪

ネタバレBOX

しかし現世に思いを残した霊を成仏させる物語を2日続けて観るとはなんたる偶然。
「小劇場シンクロニシティ」、またもや…。
ガリベン・レクイエム

ガリベン・レクイエム

劇団ミックスドッグス

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2015/05/14 (木) ~ 2015/05/17 (日)公演終了

満足度★★★★

「キャラメルの小箱」?(笑)
よくできるが夭逝した兄の遺志を継いで東帝大合格を目指す「努力する才能だけが取り柄」の弟の受験騒動記。
キャラメルボックス系の王道物語で安心して観ているうちに起こる「意外性も欲しいな」な気持ちを察するような終盤の意外な展開は「え、それでイイのか、それは違うんじゃないか?」なものだが、それは罠で最後にちゃんと納得させられるという手口にまんまとノせられる。
以前も似た手口があったのにまたも騙されてクヤシイ!(笑)
ところで劇中のアレは実際の入試問題?

ネタバレBOX

タイトルも実は途中まで「レクイエムよりもラプソディーでは?」と思っていたが、その件もラストで納得。いやぁ、ヤられたなぁ。
もっと超越した所へ。

もっと超越した所へ。

月刊「根本宗子」

ザ・スズナリ(東京都)

2015/05/09 (土) ~ 2015/05/17 (日)公演終了

満足度★★★★

真価を問われるのは次回作
4つの部屋での4組の男女を併行して見せることで描くのは「ダメ男見本市」?(笑)
4人のうちの1人は比較的まともかと思っていると実は一番残酷だったりもして「ホントにどうしようもない奴等だな」と客観視していると時々流れ弾が…(爆)
で、彼らの隠された繋がりなども明かしつつ一件落着かと思わせてからが今回のミソでありこのタイトルの所以。
飛び道具的な、あるいは反則に近い(笑)テを使っての落としどころは鮮やかと言おうか何と言おうか…あ、アレだ、「アッパレ」だ。
そんなこんなで知っている範囲内の根本宗子作品中最高傑作であることについて異論はないが、絶讚の声があまりに多いことには疑問を抱かざるを得ない。
従来と一線を画しはしたが、1度しか使えない切り札的な手法によるものであり、むしろ本作を経ての次回作で真価が問われるのではあるまいか?

明治悪党奇譚

明治悪党奇譚

(有)オフィス パラノイア

「劇」小劇場(東京都)

2015/05/01 (金) ~ 2015/05/06 (水)公演終了

満足度★★★★

骨太さ健在
三人吉三を明治初頭に翻案。
文字通りの「親の因果が子に報い」など、ベタなまでの関係性が縺れ絡まる様は韓流ドラマのルーツか?(笑)
登場人物がことごとく悪党なのにどこか憎めず同情すらしてしまうのは運命に抗えずそんな因果に絡めとられて行くことへの憐れみか?
そうして迎える終盤は「滅びの美学」的なものが漂い、ラストには某ギャング映画も連想。
設定を明治初頭にしたのは、時代の流れに押し潰される人々、な効果も狙ったか?とも思ったり。

NICE EIJI

NICE EIJI

丸福ボンバーズ

APOCシアター(東京都)

2015/05/08 (金) ~ 2015/05/17 (日)公演終了

満足度★★★★★

こんな良作が2000円均一だなんて!
父・英治の介護に疲れた真紀はふとしたことから小学生時代を思い出し…な物語。
何人かの個性的な人々が出入りしていた回想部分と問題が少しずつ見えてくる現在部分を対比して見せる構成が巧み。
そして楽しかった過去に対して今は…と思わせて(他人事ではないとも思わせる)からの逆転ホームラン的な結末が鮮やか。福島三郎、やはりイイわ!
しかもこんな良作が2000円均一だなんて!

『冒した者』/『ウィンドミル・ベイビー』

『冒した者』/『ウィンドミル・ベイビー』

アマヤドリ

スタジオ空洞(東京都)

2015/05/07 (木) ~ 2015/05/10 (日)公演終了

満足度★★★★

ウィンドミル・ベイビー
かつて働いていた牧場を訪れたアボリジニの老女が語る回顧譚。
可愛らしいお婆ちゃんからエラそうな雇い主、さらには犬までという中村早香嬢の演じ分けが愉しい。
そして冒頭こそ広田さんがご覧になったという大方斐紗子さん版を想像するも、進むに従って「これを、大方さんが…どう演じたの?」になるほど個性が出ていたように思われる。
ところで彼女の訪問の目的は鎮魂? また、「ジャガイモ」とは彼女たち地震のこと?
あと、線香花火の「玉」が落ちるようなあの終わり方もイイな。

すべての犬は天国へ行く

すべての犬は天国へ行く

ぬいぐるみハンター

王子小劇場(東京都)

2015/04/29 (水) ~ 2015/05/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

長さを感じずあれこれ堪能
殺し合いにより男がいなくなった町の日常(?)。
それでも男を待ち続ける日々に「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」を連想するもケラさんの「西部劇でゴドーをやってみたかった」とのコメントを後から目にして大いに納得。
ケラさんと言えば「自作はあて書きなどもあり他者が上演しにくい(大意)」とのコメントを観劇前に目にしていたが、役と演者がまるであて書きのようにしっくり馴染んでいることにビックリしつつ感心。
配役については事後にナイロン100℃のオリジナル版(未見)を調べ、確かにあの役はあの人だ、と納得したり(エルザとかクレメンタインとか)、タイプは違うがどちらも納得できたり(エリセンダ、カミーラなど)面白さ倍増。
また、久しくナイロン100℃の公演を観ていなかったので、微妙に食い違う会話のオカしさやナンセンスなギャグに「そうそう、これこれ」と懐かしさを感じたり。
さらに、実はあの全員も既に死んでいて、あの日々を永遠に繰り返す一種の地獄なのではないかとも思ったり…。
なんだかんだでいろいろ愉しかったなぁ。

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