じべ。の観てきた!クチコミ一覧

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まゆつば

まゆつば

バッカスカッパ

中野スタジオあくとれ(東京都)

2009/07/23 (木) ~ 2009/07/26 (日)公演終了

満足度★★★★

前半はコミカルで後半はあたたかい
「閻魔庁」へ連れられる途中で迷ってしまった「はぐれ魂」の案内所を中心に描いたファンタジックコメディ。
終盤で小川(岡部光祐)が妻(菅川裕子)に会うシーン(「遺した想いを相手に伝える」パターンってσ(^-^) の最大の弱点かも)を筆頭に後半はほのぼのとしたあたたかさが満載。
戦没して天国行きが確定していながらも特例的に会いたい相手を待ち続けることを許されている大島(成田沙織)の相手が篠崎(大見遥)の祖父だったというのも巧い。
この、前半はコミカルで後半はあたたかいという切り返し・対比が鮮やか。

アルバトロス

アルバトロス

ホチキス

インディペンデントシアターOji(東京都)

2009/07/23 (木) ~ 2009/07/28 (火)公演終了

満足度★★★★★

珠玉の会話に正統派漫才まで
リストラされた元サラリーマンがひょんなことから漫才コンビの相方となっての1週間、キッチリと組み上げられたコメディであるばかりか6日目の夜の二組の会話は珠玉の台詞多数でホロリとさせ、最後のネタ合わせでは正統派の漫才(これがまたテンポも良くて笑えるんだ)まで披露して見事。
また、電柱のミニチュア(?)の精巧さにも感心。
それにしてもヒゲなしで七三分け、スーツ姿の加藤敦には違和感が…(笑)
いや、似合っていないのではなく、妙にキマているので最初に出てきた時なんて「え、誰?」だったくらいで…(爆)

Tower of Sugar

Tower of Sugar

ドリームプラス株式会社

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)

2009/07/23 (木) ~ 2009/07/26 (日)公演終了

上演中に通路を直立歩行するスタッフに呆れる
開演後間もない頃、3~4回にわたって遅れて来た客を誘導する男性スタッフが終始直立状態(客は腰をかがめていた)という珍しい光景を目にする。このスタッフ、どこかの御曹司か何かで世間知らずだったんでしょうかね? 
 
\(・_\)ソレハ (/_・)/コッチニオイトイテ… 
 
心霊スポットと言われる廃病院に、肝試しのカップル、そこをお化け屋敷のアトラクションに改装しようとする関係者たち、連続バラバラ殺人事件を捜査している刑事コンビなどが集まり…というホラーコメディ、前半は伊丹ドンキー流の(って、本作は穴吹一郎名義なんだが)ドタバタ系、後半はホラー色が濃くなるも馬場巧がコメディリリーフとなって絶妙のタイミングで笑いも挟む構造が巧み。
また、このテの作品ではおなじみの「実は霊だった」というパターンも、割と早いタイミングで読めるものあり、終盤で明かされて「あ、そっちもか!」と納得させる(←伏線が利いている)ものありで上手い。
ってか、早いタイミングで読ませるものが「おとり」となってもう一方を読ませないのかも。
通山愛里が降板したのは残念(代役の黒木マリナも悪くなかったがかつて観たことがあるんだもん)ではあったが、総じて満足。
ただ、140分という上演時間も「ちょっと長め?」程度にしか感じなかったとは言え、もう少し刈り込めたんじゃないかな?

満足度については非常識なスタッフと本編で相殺。(むしろマイナスか?)

猫目倶楽部2

猫目倶楽部2

アップフロントエージェンシー

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2009/07/22 (水) ~ 2009/07/27 (月)公演終了

満足度★★★★

椎名法子と村上東奈が○
先日の『UNO:R』とは脚本・演出各担当が同じながらコンセプトをガラリと変え、敢えてベタなところを狙った娯楽作、シリーズ2作目とはいえ前作の焼き直しではなく、新たな設定や新メンバーを加えて3作目への伏線かも?な部分まで盛り込んだのが見事。
映画だと2作目は1作目と大同小異にしておき、3作目でそういう趣向にすることが多い(←私見)のに、2作目でこうするなんてゼイタクかも?(笑)
また、「暴力は暴力しか生まない」なんてあたりはツボ。
出演者では一番の目当てであった椎名法子がやはり上手く、キャラクター勝ち的な部分もあってかなり満足。
一方三好絵梨香は、演技(とくびれ(爆))は悪くないのにアクションのキレに欠けるのがちょっと残念。
残念と言えば、以前より頬がコけ、メイクも変えたのか「不自然なオトナ顔」になっていたのもやや残念。
ノーチェックだった新メンバーの村上東奈(てれび戦士出身だったのね)はツッパってるあたりがツンデレ系(ただし9割以上が「ツン」(笑))で良いことに加えて表情の変化もイイし動けるのが◎。今後注目か?
あと、深寅芥、阿部イズムのお二方は、少ない出番ながら出ると場をさらってしまうオイシイ役どころで、さすがっちゃさすが、ズルいっちゃズルい。(笑)

風を継ぐ者

風を継ぐ者

演劇集団キャラメルボックス

サンシャイン劇場(東京都)

2009/07/11 (土) ~ 2009/08/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

非常に満足
キャラメルを観るようになって間もない頃に初演版をTV放映で観て刷り込まれ、再演版は当然生で観て、ともに感銘を受けた思い入れのある作品だけに「期待半分、不安半分」だったが、若手主体の新キャストでも全く違和感がないばかりか「そのポジションをこの人が務めるようになりましたか」な嬉しさ(?)もあり、内容も当然良くて非常に満足。

ネタバレBOX

全体では各キャラクターの「それぞれの優しさ」を描きながら、クライマックスで一気に緊張感のあるものに転じ、しかし、斬り合いを経ても人死にを出さずに終わるなんてのが巧い。
旅がはてしない

旅がはてしない

アマヤドリ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2009/07/17 (金) ~ 2009/07/21 (火)公演終了

満足度★★★

管弦楽編曲版、的な。
初演の脚本を刈り込んだサナギ版がピアノ・ソロとすればこちらは管弦楽編曲版(←「展覧会の絵」のイメージ)、メロディと使っている和音は同じなのにスケールが大きくきらびやか、的な。
また「人と人とのつながり」「意識とは」などを描いた内容は多分に散文的・哲学的で解釈の余地が大きく、人によって受け止め方が異なりそうなのが面白い。…ってか、自分でも受け止めきれなかった感がある(爆)ので何年か後にまた上演して欲しいモノです。
そんなCoRich的に「初めて演劇を観る人に」は「勧められない」内容な上にサナギ版の90分を60分も上回る150分という長尺にもかかわらず、体感的にはそんなに長く感じられなかったのは時折乱舞が入ってアクセントになっているからか?
あと、舞台を広くとり、奈落にミラーボールを仕込んだ装置がステキ。舞台前面を覆わず、スキマがあったのはアレを見せるためだったのね。

明けない夜

明けない夜

JACROW

サンモールスタジオ(東京都)

2009/07/17 (金) ~ 2009/07/26 (日)公演終了

満足度★★★★

外伝~それぞれの事情
本編の登場人物たちによる5分ほどの一人芝居12本。
本編で描かれた「その日」の1年前のエピソードから始まり次第に「その日」に近づいて本編の内容との関わりが強くなり、「その日」の3日後までを描いて葬儀の日の母の後に「その日その時」の娘で締めくくるのがインパクト大。
他にもその場に他の人物もいる設定のものでは、誰がいてどんなことをしているのか?を想像する面白さがあるし、「一人芝居見本市」的な?

明けない夜

明けない夜

JACROW

サンモールスタジオ(東京都)

2009/07/17 (金) ~ 2009/07/26 (日)公演終了

満足度★★★★

本編
娘を誘拐された会社社長自宅客間での一夜(と回想場面)を描いており、昭和中期の「社長宅」の客間をリアルに再現した装置(ステレオやテレビはどうやって調達したんだろう?)での緊張感にあふれた息詰まるドラマに往年の黒澤映画…ってか誘拐を描いた昭和の日本映画や警察ドラマ全般を思い出す。
95分というコンパクトな上演時間に娘を誘拐された親の事情や所轄と本庁の軋轢など人間ドラマをギッシリ詰め込み、回想シーンも交えて進めながら冒頭のシーンを再現して終わる構造も巧み。

荒野のようしんぼー

荒野のようしんぼー

劇団阿佐ヶ谷南南京小僧

明石スタジオ(東京都)

2009/07/17 (金) ~ 2009/07/20 (月)公演終了

満足度★★★★★

「TK」「リア王」「派遣村」の三題噺
かつて人気を博した音楽プロデューサー(&アーティスト)TKがてがけた楽曲(生歌もアリ)に彩られた「TK」「リア王」「派遣村」の三題噺、意外な取り合わせでありながらそれらがごく自然にしっくり馴染んでいる様は「カノッサの屈辱」(歴史的出来事ではなく深夜番組の方:念のため)の如し。
また、TK関連情報をかなり覚えており、リア王のストーリーも知っている上に、ちりばめられた小ネタ(ビリー・ヒューズの「とどかぬ想い」や宮沢りえのデビュー曲「ドリームラッシュ」、某女性ヴォーカリストのグラドル時代&2度の改名などなど)の大半がワカっちゃった身としてあちこちウケまくり。
さらにお馴染みの「そんなものまで!?」な段ボールによる舞台美術も見事だし楽しい。(着ぐるみの戦車には恐れ入りましたぁっっ!!!)
あと、ダンスやアクションまであり、今まで観てきた中で一番広い舞台であることを活かしたことにも感心。

- 初恋

- 初恋

世界名作小劇場

シアター711(東京都)

2009/07/15 (水) ~ 2009/07/20 (月)公演終了

満足度★★★★

いかにも土田英生な感じ?
微妙に理屈っぽいところと、特定の「主人公」がいるのではなく強烈なキャラの登場人物たちによる群像劇っぽいところがいかにも土田英生な感じか?(…ってそんなに沢山観ているワケではないので知ったかぶりなんだが(爆))
また、その個性の強いキャラたちをさらに「濃く」した(笑)出演陣(&演出)もスゴい。
特にこいけけいこのパワフルなキャラには圧倒される。
もともとガタイが大きい上に今まで彼女の演技を観たどの小屋よりも小さなここなので、ガリバー旅行記か?みたいな…(大袈裟)
また津留崎夏子のちょっと気弱そうな管理人に一刻館の響子さんを連想。小劇場版のキャスティング、考えてみようかしら?(笑)
また、男優陣のおカマちゃんたちも「カラダはオトコでもココロはオンナ」タイプから見目麗しいタイプまで取り揃えてリアリティあり。
そういえばここ1ヵ月ほどでおカマちゃんたちが出てくる芝居は3本目(この日もマチネにも1人いたし)。これもまた最近のトレンドなのか?
あと、吹き抜けになっているダイニングと2階廊下の「ショーマ風ねじれ方」も演劇的で印象に残る。

緑の方舟

緑の方舟

劇団TIME LIMITS

相鉄本多劇場(神奈川県)

2009/07/17 (金) ~ 2009/07/20 (月)公演終了

満足度★★★★

故人を再生させることの倫理も問う
極めて人間に近いドロイドが実用化されている(=漠然と『ブレードランナー』を連想)一方、都市のすぐそばまで砂漠化が進んでいる未来、人気アイドルの身辺警備をする腕利き女性ボディガードやドロイドの製造およびゲームを開発している会社の社長を中心に展開するストーリー。
若干粗削りではあるがかけがいのない家族を喪った者たちの気持ち(妻に逃げられて喜んでいるケースも含む(笑))を描くと同時にテクノロジーの進歩に基づいてドロイドに故人の記憶を移殖したりゲーム内のキャラクターとして再生させたりすることの倫理も問うているのがポイントで、その「倫理」関連で出てくる「人は限られた時間の中でだけ永遠に生きることができる」という台詞が矛盾しているようでありながら哲学的で深い。
また、アイドルユニット「NOA」のライブ場面でのダンスと、MCの最中にカットインしてくるマネージャーの呼びかけもイイ。(ん~、やっぱり家族ネタに弱いなぁ…)
さらに、戦闘ドロイド(及びゲームキャラ)による擬闘が、アクション自体高度なことに加えて、動きがちゃんと「人間ではないモノ」になっているのが見事。動きということでは「お手伝いドロイド」も機械っぽいところがあって巧かったし。
ただ、ここに限らずオートマティック拳銃のスライドが動かないのはやむをえないとしても、マガジンはやはり装填しておいて欲しいなぁ。グリップの底に穴があるのがどうも気になって…というのは「なんちゃってガンマニア」の視点。(爆)

喫茶シャコンヌ

喫茶シャコンヌ

劇団東京イボンヌ

インディペンデントシアターOji(東京都)

2009/07/15 (水) ~ 2009/07/20 (月)公演終了

満足度★★★

瀬戸内ことばの優しい語感
尾道近くの島でかつて喫茶店を開いていた兄妹の妹(嫁ぎ先の東京で夭逝)の忘れ形見である娘が島を訪れたことで起こる小さな波紋を22年以上前の回想も交え、起承転結がハッキリした1つの物語というよりはスケッチ集のようなオモムキで見せ、詩的で優しい感じ。
一件落着メデタシメデタシではなく、「もしもあの時ああしていたら…」な兄や自分を身籠っていたために癌治療を受けられず母が亡くなったことがコンプレックスとなっている娘など、あちこちホロ苦さだらけ(笑)なのに後味が悪くないのは台詞の大半をしめる瀬戸内ことば(尾道ことば?)の優しい語感ゆえか?
啄木の歌ではないけれど、そしてσ(^-^) は中国地方で暮らしたことはないけれど、懐かしいような感覚。
また、ヴァイオリンの生演奏も優しさを引き立てていたか?
あと、前半では島の様子、後半では花火などを見せた映像も効果的。

73&88【満員御礼!】

73&88【満員御礼!】

カニクラ

アトリエヘリコプター(東京都)

2009/07/15 (水) ~ 2009/07/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

アイデアに感服
初期段階で予定されていたタイトルが「テレパス」であり、当日パンフにも書かれている通りテレパシーを題材にした4人芝居。
テレパシーや電話での「会話」をあたかも対面しているかのように見せるのは極めて演劇的で面白く、しかもマクラにあたる冒頭部分で「その時の電話はこんな風でした」と前置きしてその「対面会話風手法」を見せておくのが巧い。
また、劇中の人物は各キャストが「もしもこの道に進んでいなかったら…」という仮定のもので、いわばパラレルワールドにこの4人がいて、何らかのキッカケで知り合うとしたら、的なツクリになっているのもイイ。
そしてその「もしもこの道に…」について語る部分がそれぞれの自己紹介になっているばかりでなく、川田・宝積パートではカニクラの自己紹介にもなっているアイデアには感服。
さらに最初は女性同士、男性同士がテレパシーでつながっているのだが、実は男女の間にも(テレパシーではない部分で)つながりがあり、それが進行につれて明かされるのも面白い。
あと、姉(宝積有香)と弟(玉置玲央)が7年ぶりに電話で話すシーンで台詞の口調と間によってぎこちなさと言うか、気まずさと言おうか、そんなものがありありと表現されていたのも良かった。

新宿ジャカジャカ

新宿ジャカジャカ

椿組

花園神社(東京都)

2009/07/11 (土) ~ 2009/07/21 (火)公演終了

満足度★★★★

時代の残留思念が蘇らせた一夜の幻?
1969年の国鉄(当時)新宿駅ホームに終電を逃したりした一般人が留まっているとそこへ新宿西口のフォークゲリラたちが乱入してきて…という物語、その頃には物心がついており「広場ではなく通路だ」なんてことも記憶にある世代なので40年の歳月を経てごく身近で体験する、的な感覚。
当時はまだそういうことがあったという事実認識だけだったのが、そのバックグラウンドについてようやく知ることができた、とでも言いましょうか…。
(観た翌日の夜にTVで68年の新宿駅近辺の様子を紹介していたのもタイムリー)
また、伝説的フォークシンガーたち(岡林信康、高田渡、高石ともやなど)の聞き覚えがある歌に彩られており、そんなところは懐かしい。
さらに当時のフォークゲリラの一員が歳をとってから見た一夜の幻想とも思わせる、あるいは時代の残留思念が当時の一夜を幻として蘇らせたかのような幕切れがちょっぴり切ない。
幕切れと言えば、後方の野外に電車があることに前年秋の『市電うどん』(横浜未来演劇人シアター)も連想。

ジプシー

ジプシー

ゲキバカ

新宿シアターモリエール(東京都)

2009/07/11 (土) ~ 2009/07/20 (月)公演終了

満足度★★★★

トリックアートの如し
シェイクスピアが娘にせがまれて「芝居ごっこ」をするところから始まるストーリー、いろいろなものが隠されているトリックアートの如く、あちこちに有名な物語(沙翁作品に限らず)などの断片が練り込まれていて「原典探し」的な楽しみ方もできる上に劇中の口上がそのまま現実の観客に対するものになっているのも上手い。
ただ、登場人物のほとんどが実は霊であるということで一抹のモノ哀しさが漂うのもイイのだが、中盤でそれを明かすよりも終盤での方がインパクトがあったのでは?

Dear My Hero

Dear My Hero

LIVES(ライヴズ)

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2009/07/08 (水) ~ 2009/07/12 (日)公演終了

満足度★★★

まさに「温故知新」
基本的なストーリーは古典的と言っても過言ではない人情喜劇だが、そこにボクサーたち(元も含む)のそれぞれの想いを練りこんでまさに「温故知新」。
特にタキシードを着てリングアナウンスをすることで「もうボクサーではないんだ」と自分を納得させようとする不本意ながら網膜剥離で引退した元ボクサーと、紅茶研究会の面々に芳郎のことを語る父(@終盤)にツボを突かれる。
前年のザ・ポケットでの初演よりも舞台の幅が広くなったことで控え室の窮屈さが減じた憾みはあるも、サブステージを使って警備員としての芳郎を見せるという演出もあったので一長一短といったところか。

ショートストーリーズ

ショートストーリーズ

劇団6番シード

劇団6番シード稽古場(東京都)

2009/06/26 (金) ~ 2009/07/12 (日)公演終了

満足度★★★★

Cコース
2週前に観たA・Bコースが「蔵出し」だったのに対してこちらは書き下ろしが中心の3編で80分。
「潜入記者 今井シリーズ (オレオレ詐欺・超能力詐欺)」は連作ショートコント。
テンポは非常に良いが、ネタがネタだけに2話が同工異曲なのがちょっと残念。ベースは同じでも仕上がりが異なっていたBコースの「新妻さん・夫婦さん」と比べてしまうからなおさらかも。
続いての「5分間の物語 ~残り5分の人生~」はキッチリ5分間のドラマ4話のオムニバス。
連作ではなく各話は独立しているものの、「5分間にもいろんなドラマがある」なんて台詞も出てくる第4話が全体をしめくくるようなカタチになっているのが上手いし、孫娘に「6時ちょうどは何の時間?」と問われた時計職人の回答も優しくてイイ。
なお、第1話はこれで4日連続となる友だちに関する部分があり、第2話の人情、第3話の親子ネタにもホロリ。
ラストの中篇「天気と戦う女」は某劇団員の体験がベースという雨女の奮戦記で、6Cには珍しいコメディ。
「雨女って大変だねぇ」「あぁ、ワカるぅ」レベルから始まり、次第にそれがエスカレートして「そう来ますか…」を経て「んなアホな!(笑)」まで行ってしまうのが楽しい。
「雨を欺く」ために待ち合わせ場所を直前まで相手にも伝えないとか、自分のいる場所に降らせないために周囲に雨男・雨女を集めるとか、よくもまぁそんな発想ができること!

マンガ大戦GREAT

マンガ大戦GREAT

YANKEE STADIUM 20XX

シアターサンモール(東京都)

2009/07/10 (金) ~ 2009/07/20 (月)公演終了

満足度★★★★★

新感線・ナイロン級の上演時間も瞬く間
05年夏公演の完全リニューアル版ということで、基本設定は同じだったり(←当然)一部のワザは残っていたりするが、確かにだいぶ変わったような気がする。(実はディテールが記憶の外なので断言できない…(爆))
主人公たちがマンガの中の世界に入ってしまうという「逆『ラスト・アクション・ヒーロー』」…というよりショーマの『アメリカの夜』的な物語、客いじりや1人芝居は控えめで比較的オーソドックス(←あくまで相対論)な感じ? が、その分出演者いじり(むしろムチャ振り?(笑))が多かったか。
この出演者へのムチャ振りもかなり(特に即興的な)演技のトレーニングになっているようで、ここって上演中のハプニングへの対応が(座長に限らず)実に見事。文字通り「当意即妙」で、その柔軟性により遅刻したことでネタにされてしまう客などが仕込みなのではないかとさえ思えてしまうほどで…(笑)
クライマックスの擬闘ではマンガの世界だけに、吹き出しにした言葉や擬音をタイミングを合わせて黒子が出す(これは初演で使ったテだな)ばかりでなく、マンガのコマを等身大にして見せるなんてことまでやったり、メインのアクションの陰でさり気なくスゴ技(ペンのパスとか)をやっていたり、黒子を使って空中浮遊させたりとアイデアを凝らして見せるのもまた見事。
本当に観客を楽しませるためには何でもやりますという心意気が伝わって来て感動すらしてしまう。
また、最近「悪いヤツを “退治” すればイイというモンでもあるまい」と思うことが多いので終わり近くに出てくる台詞
 「ボクの描くマンガでは1人も死なせやしない」
 「本当のヒーローは誰も傷つけない」
には涙をこらえきれず。(理想論ではあるんだが…)
あんな終盤に二段構えで泣かせるのは反則では?(笑)
そんなこんなで、休憩込み3時間20分という新感線・ナイロン級の上演時間も全くダレず、むしろ瞬く間、みたいな。

『 Deep Sea Fish  』

『 Deep Sea Fish 』

GOKAN。

シアター風姿花伝(東京都)

2009/07/10 (金) ~ 2009/07/12 (日)公演終了

満足度★★★★

東京で生きる深海魚たち
40歳近いが自閉症でアイドルの追っかけをしている兄を養う男性編集者と、夫と別れ息子を兄夫婦に「とられた」女性教師それぞれを中心とした2つのストーリーの合間に編集者が担当する作家が飼っている2匹の深海魚の会話(!)を挟んだ物語、「東京で生きる深海魚たち」をリアルに描き、それぞれ悲劇的な結末を迎えるが美しく、2匹の深海魚のシーンはシュールでありながらも作品テーマを端的に表現しており、その姿がラストで2人の人物と重なるのは見事。
またその終わり方が切なくてイイ。深海魚が見た夢と登場人物の夢に出てくる「約束」というキーワードがここで結実するのも上手い。
しかも深海魚のかぶり物、太目のシーラカンスに提灯を付けたようなデザインながら、けっこうリアルというのか存在感があるというのか、そんな風に感じる。
白川みなみ、田久保宗稔のお二方はいれずみベービーでのハイテンションぶり(笑)とは真逆のしっとりと落ち着いた演技、一方、宇都宮快斗はASSHでもありうるかも、な感じ?(笑)
いやしかし、こういう方々が同じ舞台に立っているのがフシギといおうか面白いといおうか…。

ひみつのアッコちゃん

ひみつのアッコちゃん

劇団ガソリーナ

【閉館】江古田ストアハウス(東京都)

2009/07/08 (水) ~ 2009/07/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

さすがじんのひろあき
マンガをそのまま舞台化するのではなく、アレを映像化するためのアッコちゃん役のオーディションを描くというスタイル。その意味では「カンバンにイツワリ」気味かも?(笑) しかも子役ではなく、その親5組との面談でこれが最終審査になるという設定。
「主題(2組)と変奏(3組)」のような形で見せる面談によって5組の親子像がクッキリ浮き上がる前半から、決断を迫られた時に監督と脚本家が初めて明かす映画の構想(その映画を実際に観てみたいというか、シノプシスを聞いただけで観たような気になったというか…)で「現代の友だち関係」に警鐘を鳴らし、最終決断に至る部分では映画制作現場の厳しさや全体の責任者である監督の責任・重圧まで描き、最後の監督の独白(落選者への結果通知草稿:これがまたイイんだ)で画竜点睛を打つ感じ? さすがじんのひろあき、見事です。
出演者では窪田あつこが相変わらず(笑)飛び道具っぷり(爆)を発揮して印象深い。ただし、卓越した歌唱力・表現力に裏付けられたものなんだよね。
また、佐藤寛子もインディーズで映画賞を総ナメという実績をもとに初の商業映画のメガホンをとることになった新鋭女流監督の戸惑い…ちょっと違うな、商業映画の厳しさにふれてまた一段ステップアップするその瞬間といおうか、そんなところを表現して◎。うん、イイ舞台女優になってきているぞ。
さらに5組の面談で、最初は面接官5人が客席に正対して、その手前に受験者が客席向きに座るという基本配置にしておき、その後の2組目と4組目は面接官が下手側で受験者が上手側に、3組目と5組目はその逆に、約45度の角度で舞台中央に向かって座る配置にして単調になることを回避したことにも感心。

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