カラマーゾフの兄弟
カンパニーデラシネラ
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2012/02/08 (水) ~ 2012/02/12 (日)公演終了
満足度★★★★★
観られてよかった!
劇場についたときには、Z席も売切れ。見切れ席開放で何とか観劇にこぎつける。
舞台真横バルコニーという席の都合上、若干見づらかったり、そのあとの展開がわかっちゃうようなシーンはあったものの、そんなことはどうでもよくなっちゃうくらい素敵な舞台だった。
不勉強なもので、小説の『カラマーゾフの兄弟』は読んでなかったので、ついていけるか不安だったけど、浅野さんをはじめとする役者さんの身体的な説得力のおかげで、ストーリーや思想性からおいて行かれるということがなかったのも印象的。
藤田さんが怪我で出演できなかったとのこと、一日も早い回復を願います。
1500円でここまでいいもの観ちゃってよかったのかな?
よるべナイター
FUKAIPRODUCE羽衣
青山円形劇場(東京都)
2014/10/30 (木) ~ 2014/11/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
代打ver鑑賞
バックネット裏・最前列・通路側っつー席で鑑賞。(一般券より安い“さいふにやさシート”でこんないい席充てられちゃってよかったんでしょうか・・・羽衣初の円形劇場公演ってことで、席によっては音響が最悪だったらしいとは聞いたけど・・・)
全力で暴れまわる役者の、声が、汗が、パワーが、ガンガンに突き刺さってくるっていうこんな状態で、羽衣の名曲をコンボで撃ちこまれたらもう冷静じゃいられない。
「endless sex in the world」あたりから涙腺決壊でした。
劇場の円の中心で、「プレイボール!!!!」と叫ぶ森下亮さんの姿がなんとも印象的。
にしても「古田敦也が出る」とは聞いてたけど、まさかほんとに出てくるとは・・・w(冗談だと思ってた)
「俺とあがさと彬と酒と」第1回公演『ふたりマクベス、マボロシ兄妹、ほか短編』
DULL-COLORED POP
アトリエ春風舎(東京都)
2012/12/27 (木) ~ 2012/12/31 (月)公演終了
満足度★★★★★
「演劇って、やっぱり面白い!」と改めて思わせてくれる50分×2
公演タイトルのある種「ふざけてるの?」感からは想像できないほど、真摯で鋭くて刺激的な50分×2。
どちらの作品も、それぞれの形で人間の抱える「謎」に全力でぶつかってったような印象で、かっこよかった。
まだいろいろと消化しきれてないけど、今年の観劇締めをこれにしたのは正解だったと思う&脚本を買ってこなかったのは失敗だったか。
岡田あがささんがここまで魅力的な女優だったとは知りませんでした。すいません。
マクベスは、ってかシェイクスピア作品は、またちゃんと読まなくちゃ、ってか読みたいなだなあ
必要と十分
わっしょいハウス
新宿眼科画廊(東京都)
2013/11/22 (金) ~ 2013/11/27 (水)公演終了
満足度★★★★★
一人芝居になっても
相変わらずの面白さだなあ。
序盤は若干退屈?と思ったものの、ある一点から急激にびんびんに惹きつけられる。
セリフ芸ひとつで、新宿眼科画廊のあの小さな空間に、東長崎を起点にした東京サイズの「面積」と東京⇔富士山間の「距離」と宇宙規模の「高さ」とを、ホントまるでなんてことでもないようにリラックスして、ふわっふわっと広げて見せちゃう、その手際に脱帽。
これが演劇ってもんの面白さだよなあって再確認しちゃう85分だった。
(あといつも思うけど、この中身でこの値段ってのも何気にすごい)
水分-みくまり
砂の上の企画
旧平櫛田中邸アトリエ(東京都)
2014/04/10 (木) ~ 2014/04/13 (日)公演終了
満足度★★★★★
ここ最近観た芝居でもダントツにしびれたなあ・・・。
なんつーか、とんでもなく「美しい」っていうか、この世界の脈打つ心臓を、じかに触れてしまったかのような激しさや鮮やかさ、多幸感や寂寥感に満ち満ちた、そんな芝居だった。
悪い芝居主宰の山崎彬が動きもほとんどなしに延々ひとりで語ってるってだけの芝居だったんだけど、最初の登場から最後の一礼まで、身じろぎもできず息をすることさえ惜しむように魅入ってしまった、っていう。
照明の美しさも、なんとも言えず、印象的。
バレエ・リュス ストラヴィンスキー・イブニング 火の鳥/アポロ[新制作]/結婚[新制作]
新国立劇場
新国立劇場 オペラ劇場(東京都)
2013/11/13 (水) ~ 2013/11/17 (日)公演終了
自慢の息子
サンプル
こまばアゴラ劇場(東京都)
2012/04/20 (金) ~ 2012/05/06 (日)公演終了
満足度★★★★★
なぜこれまで自分はサンプルの芝居を観てこなかったのか
「難解なんじゃ・・・?」と思って敬遠してしまっていたのが勿体ない。
軽やかで、それでいて奥行きのある、ヒリヒリとした世界。病み付きになってしまいそう。
照明や小道具、衣装などの美術周りが印象的。
古舘寛治さんはじめ、役者さんもみんな存在感の奇妙さが素敵。
物販で戯曲を買ってこなかったのは失敗したな・・・
コクーン歌舞伎第十三弾 『天日坊』
松竹/Bunkamura
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2012/06/15 (金) ~ 2012/07/07 (土)公演終了
満足度★★★★★
文句なしで素晴らしい。
あまりに周りの評判がいいので観る前のハードルもかなり高かったのですが、そんなもの余裕で越えていく、とにかく面白くて素敵なステージ。
『大江戸りびんぐでっど』では滑っていたクドカン要素も、今作ではばっちり効果的にはまっていた印象。
とにかくメインの3人が素晴らしい。勘九郎のキレや七之助の惹きこむ力がギラギラ光ってる上に、これまでそんなにいい役者と思えなかった獅童も今回は存在感十分の芝居で魅せてくれる。
その他の役者陣も、歌舞伎外の役者含めた全員が魅力的で仕方がない。
終盤、トランペットがシャウトする中での殺陣のシークエンスには思わず大号泣。
「中村勘九郎」襲名後、初のコクーン歌舞伎となる舞台がこの話、というのも勘九郎の芸への覚悟の表れのようで気持ちがいい。
立ち見券で観る人には、下座バンドの見える下手側をオススメしたい。
『冒した者』/『ウィンドミル・ベイビー』
アマヤドリ
スタジオ空洞(東京都)
2015/05/07 (木) ~ 2015/05/10 (日)公演終了
満足度★★★★★
5月8日『冒した者』
三好十郎作品はこれまでノータッチだったんだけども、こんなにも容赦なく「象徴」や「表象」を引っ剥がした「世界そのもの」をヘビーに突き付けてくるモノ書くひとなのね。
アマヤドリ役者の「セリフで刺す」上手さもあって、ぶん殴られた感覚、完全にノックアウト喰らう。
にしても小角まやと深谷由梨香が並んでるシーンのシンプルな美しさ。
テキストを持ってのリーディング公演って形式上、動きはかなり制限されちゃってるんだけども、それが却って二人の佇まいを際立たせてて印象的。
出来る役者とそうでない役者の差がやや気になりはしたものの、そんなことどうでもいいくらい圧倒されました。ありがとうございました。
従軍中の若き哲学者ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン....
Théâtre des Annales
こまばアゴラ劇場(東京都)
2013/03/29 (金) ~ 2013/04/07 (日)公演終了
満足度★★★★★
えーと、
最初にタイトル見たときに「え・・・?谷賢一なに考えてるの・・・?(半笑い)」とか思ってしまって、ほんと、すみませんでした!
ひとりひとりの人間から、人間が語りうる限りの世界の果てまで、こまばアゴラ劇場の小さな空間に、余すことなく詰め込まれていました。
「光」や「音」にこんなに感覚が鋭くなる観劇体験も、そうはない。
濃厚な「闇」に「灯り」がともる、「ことば」が紡がれる、その様。完全に持ってかれました、してやられました、ありがとうございました。
あとはもう、なにを言っても無粋かもだな。
ハンスはハイリ~どっちもどっち?!
東京芸術劇場
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2014/05/09 (金) ~ 2014/05/11 (日)公演終了
満足度★★★★★
おもわず次の日にリピート観劇
面白かったつーかなんつーか、なんかいろいろと思考の外に行かれすぎて理解とかちょいちょい追い付かなかったんだけど、その置いてけぼり感も美味しかったっつーか。
当然のように舞台上で行われるいろいろがなんかもういちいちアクロバティック&おかしみに溢れてるうえに、その演じ手が演じ手でいちいちどうかしてるテンション(褒め言葉)でステージを蠢いてる状態で、観ているこっちの頭の中を気持ちよく歪めてくれるっつーかなんつーか。
後半にあるモノローグのシーンは字幕が欲しかったかな、あそこで語ってる内容が理解出来てたらより楽しめたかもなあ感が。(もしくはこっちに英語力がもっとあれば・・・)
これ不満とかじゃなく、字幕に限らず、アフタートークなりパンフレットなりなんなりで、もうちょっと作品に踏み込んだ解説とかがあったら、こういうハイコンテクストにもとれるような作品がもっと観客にとって観やすい存在なるんじゃないのかなあとか思ったり。
あともうちょっと近い席で見たかったかも。
まあなんやかんや言っても、これで3000円は安すぎじゃないかと。
※追記
昨日(5/9)の今日(5/10)でリピート。
一回目よりいい席で見たからかいろいろシーンの印象がより強く感じられたり。
特にCalling youのシーンは、うつくしさ鮮やかさが目に焼き付いてしまったり。
終盤、あらゆるものの認識が解体していく展開に、思わずグッと掴まれてしまったり。
[新制作] カヴァレリア・ルスティカーナ/道化師
新国立劇場
新国立劇場 オペラ劇場(東京都)
2014/05/14 (水) ~ 2014/05/30 (金)公演終了
満足度★★★★★
こんなに面白いもんなんだな、オペラ。
スタンダードなオペラ演目をスタンダードな演出で観たのは初めて。
いい悪いとかわからないけど、歌い手の迫力にとにかく圧倒され。
今回の二本立て、『カヴァレリア~』はなーんか密度が薄くて「あー、合唱きれいだなー」くらいだったんだけども、『道化師』は観ていてなんともざわざわくる感じに最後までグッと掴まれっぱなしでめっちょ面白かった。
「仮面をつけろ」の曲とか、前々から知ってはいたんだけど、ああもやばい場面の歌だったとはw
おとこたち
ハイバイ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2014/07/03 (木) ~ 2014/07/13 (日)公演終了
満足度★★★★★
出逢いたくなかった、出逢えてよかった、そんな芝居
あーしにとって、こう、自分のプライベートゾーンを晒さないことにはその作品についちゃなんにも中身ある感想が言えないわヽ(`Д´)ノっていうような実にめんどくさい芝居だったわ。
個人的に割ととんでもないタイミングでこの作品と出会っちゃったなあ、っていう。こういうの見ちゃうとホント困るのよね・・・(´・ω・`)
strange
ニットキャップシアター
ザ・スズナリ(東京都)
2013/02/01 (金) ~ 2013/02/03 (日)公演終了
満足度★★★★★
二度目のニットキャップシアター
失踪した「男」と残してきた「女」の存在が、とけたり、ぶれたり、ぼやけたり。
不思議な重力でグワッと持ってかれるような、そんなおかしみや美しさ。
面白かった。もっとずっと見ていたくなる素敵な100分間。
2011年4月の日本を、こんなに感覚的に豊かな切り口で、愛らしい強度と立体性を持つ演劇にした、そのちから、「まいりました!」としか言いようがない。
ニットキャップシアター作品を観るのはこれが二回目。
演劇の面白さのひとつに、“役者の身体が持つ「換喩力」みたいなもんを使った、いろんなスケールや次元を並列したりねじれの位置に置いたりの遊びによる、「現実」の詩的解体・再構成”的なのがあると思うんだけど、このニットキャップシアターって集団はそこら辺すごい切れ味やってくれちゃうなあって印象。
役者のちから、空間のちから、クセになってしまいそう。
「シンデレラ」
公益財団法人日本舞台芸術振興会
東京文化会館 大ホール(東京都)
2015/05/01 (金) ~ 2015/05/03 (日)公演終了
満足度★★★★★
今まで観た「シンデレラ」の中で一番好きかも
キャラクターの人生を確かに感じさせるようなダンサーの細やかなキャラクター造形の「リアル」さと、「シンデレラ」っていう御伽噺ど真ん中なストーリーが、不思議と気持ちよくハーモニーになってる、この感じ。
プロコフィエフの音楽を誠実に歌い上げるような振り付け(特にアモローソでの見蕩れっぷりはヤバい)も、息苦しさと解放感のコントラストに思わず痺れちゃう美術/照明も、なんつーかストライクど真ん中。
PVで見た時にはてっきり映像でやってるもんだとばっかり思ってた12時の時計のセットが、ちゃんと実物だったのにはビックリ。
東京文化会館のステージのサイズに合わせようとしてたのか、群舞がややパワー抑え気味に感じられはしたものの、主演の二人、継母と姉妹がきっちり魅せつけてくれる気持ちよさは十分。
ネジ工場
タカハ劇団
駅前劇場(東京都)
2012/06/20 (水) ~ 2012/06/24 (日)公演終了
満足度★★★★
生活する「人類」へのまなざし
初めて観た前回公演では、客席で大笑いしつつ痛い涙が流れたタカハ劇団。
こういう作品も作れるのね、とビックリ。
中盤まで、いかにも舞台演劇!なテンションの芝居に若干ひいてしまったものの、細やかな人物描写の光る脚本に次第に惹きこまれていった感じ。
単なる社会批判に終わらない、「(一人ひとり「生活」を抱えた人間の総体としての)人類」への普遍的なまなざしの鋭さをさりげなく感じさせる作劇はお見事。
不満点は演技テンション以外だと、暗転が多かったのが気になっちゃったとかだなあ。
もうちょっとスムーズな場面転換が見たかったかも。
脚本面で欲を言うのであれば、前作で見られたような「作家の渾身の一撃」的な印象に残るセリフ/描写が、今回もそれなりにほしかったかなあ、と。
最後に。
客入れの音楽が印象的、なんてミュージシャンのなんて曲なのか情報求む。
『うそつき』/『幸せはいつも小さくて東京はそれよりも大きい』
アマヤドリ
スタジオ空洞(東京都)
2013/07/12 (金) ~ 2013/07/15 (月)公演終了
満足度★★★★
13日『幸せはいつも小さくて東京はそれよりも大きい』
去年横浜STスポットでやった時にも観て上演台本も買った作品。
今回の上演、スタジオ空洞のあの立地・あの空間でこれをやるっていうこと自体がそもそも面白かった。というか、スタジオの白い壁と、触れ合いそうでなかなかに触れ合うことのできない役者たちの佇まいに、「“自分が自分を監禁している”っていう孤独」をまざまざと見せつけられるようで印象的だった。
にしてもこの「雨天決行」の企画、アマヤドリって劇団の「劇団力」みたいなもんの強さもそうだけど、確実にひとりひとりの役者を育てようっていう意気込みが今回のキャスティングからも感じられるなあ。
『宮本武蔵』
五反田団
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2012/06/08 (金) ~ 2012/06/17 (日)公演終了
満足度★★★★
噛みしめる面白さ
ある程度予想はしてたものの、それ以上のユルさ。
観てる最中はモヤモヤしてたものの、思い返してみると全く無駄のない演出だったことに驚く。
無駄に思えた衣装や小道具も、ちゃんとそうでなければならない意味があったのかと思えた。
あのシーン、あのシーン、すべてのシーンにおいての宮本武蔵の姿がかなり印象的。
このやり方でなければ浮かび上がらなかった「宮本武蔵」像なのでは?
2500円という料金設定も好印象。
キツネの嫁入り
青☆組
こまばアゴラ劇場(東京都)
2012/05/25 (金) ~ 2012/06/03 (日)公演終了
満足度★★★★
やわらかさに惹きこまれる
観る者にしとしとと「滲んでくる」演劇というか。
比較的エグイ表現が好きな自分としては趣味ではないものの、それでも十分に楽しめる、上質な舞台。
美しい舞台美術であったり、劇場に入るなり線香の香りに包まれる心憎さであったり、空間演出が素晴らしい。
「昔々、未来のむかし」に始まる、寓話的で宇宙的な広がりを、あからさまでなくさりげなく展開していくストーリーテリング。
さまざまな方面から高い評価を受けているのも納得です。
残念だなあと思ったのは、舞台に登場するキャラクター以外に存在するであろう「島」の住人の影があまり感じられなかった点。
昔話的な語りを目指すにしても、リアリズムによる演出をするのであれば、もう少しそのコミュニティの在り様が見えてくる、そんな脚本だとよかったのになあとは思いました。
役者の芝居も、声色の巧みさ、所作の美しさなど、一人ひとり魅力的ではあったものの、時系列入れ替えを多用した作品の演技としては、キャラクターの年齢による演じ分けがもっとほしいなあ、と。
印象的だったのは吉田小夏さんのホスピタリティ溢れる前説。
某劇団(?)の醜聞にトゲトゲしていた心を癒された。
図書館の自由に関する戦線 ~北の大地・クマ死闘編~
ENBUゼミナール
シアター風姿花伝(東京都)
2012/12/11 (火) ~ 2012/12/12 (水)公演終了
満足度★★★★
この脚本、高校演劇界隈あたりでスタンダードになってほしいな
あらすじ読んだときはなんじゃそりゃだったけど、実際に観てみると谷さんらしい綿密さと大胆さでかなりガチに攻めていて見ごたえ十分な作品。
単なる「社会派」なだけに終わらない、一人一人の登場人物に息づく確かな「生きざま」が印象的。「共生」ということについての、普遍的でそして力強い問いかけも感じました。
出演してた生徒さんたちがちゃんと生き生きとしていて、未熟なところも含め好感が持てました。今後の活躍に是非とも期待。