ハンダラの観てきた!クチコミ一覧

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トリオ

トリオ

NonoNote.

シアター711(東京都)

2024/12/18 (水) ~ 2024/12/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

 仲間内で1人の男の争奪戦! 

ネタバレBOX

 物語は主として女性音曲漫才トリオの楽屋で展開する。この楽屋、かつて長らく小屋でピンを張っていたリーダーが、着替えが間に合わないと板に一番近い場所に作らせた楽屋とあってそれなりの格式と総支配人との様々な関係もアカラサマであるが、問題はトリオのメンバー3人総てが副支配人と関わっていることである。時は1970年代初頭、未だベトナム戦争は終結しておらずディケイドの初めには三島の割腹、72年には日中国交正常化、沖縄闘争をメルクマールとしての左派弱体化、舞台となっている新宿のヒッピー、フーテン、フォークゲリラ、サイケデリック流入と共に流行ったLやG等々、実に面白い時代ではあったが、今作ではそのような即面を持っていた昭和の特に新宿の騒乱状態は殆ど触れられておらず、脚本家は泥臭い時代だったと捉えているのではないか? と感じた。実際に当時宿で遊んでもいた小生などはそのように感じるのだ。まあ、ラリッた奴がアイスピックをカウンターに入って持ち出し他人を刺したりヤクで矢張りラリッている奴が刃傷沙汰を起したりはあったが、誰が店の人間なのか分かっていない客が多く、そいつらもラリッていたりしたので、怪我人の周りだけがワヤワヤしている状況で他は何てことはなかった。唯兎に角アナーキーな時代であった。
 そんな時代にⅠ人の男を取り合う女たちの三つ巴の戦いが描かれる。ソフィスティケートされていないギャグが多用されたり、サービスのつもりなのか、くどいと感じる場面が多かったのは脚本のせいなのか、演出のせいなのか不明だがスマートではない。(まあ、この辺り観客の好みもあるから一概には言えないものの)中盤から後半に掛けてはドンデン返しもあり楽しめた。
イヨネスコ『授業』

イヨネスコ『授業』

楽園王

サブテレニアン(東京都)

2024/12/17 (火) ~ 2024/12/21 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 元々20年前に利賀演出家コンクールで優秀演出家賞を受賞したメンバーでの再演。

ネタバレBOX

 今作、不条理劇の代表的作品の一つとして名高いこともあり実に多くの演出家が独自の解釈で自分なりの捻りを加え随分印象の異なる作品に仕上げて舞台化してきた作品だから舞台を実際に観た人は多かろう。然し利賀演出家コンクールの規定で戯曲自体(今回作は翻訳)を基本的に変更できない、という縛りがある為、今作では教授の狂気を可成りストレートに表現している点が逆に極めて新鮮に映った。然し大きな工夫は無論ある。起承転結を入れ替え転結を前半で演じ、起承を後半で演じるということをして惨劇が永遠に続くことを示唆しているのだ。而も被害を受ける女生徒たちは何れも手錠を長めの鎖で繋いだ手枷をはめられているのである。この辺り何を象徴させているか? を考えさせ、多様な解釈を観客に任せている点が実に上手い。更に教室の壁には3つも掛け時計が掛かっており、それぞれ示す時刻が異なっている。このことの意味を考えるのも面白かろう。教室入口脇には書籍が詰まった書棚が二つ。如何にも全博士課程を修了した教授という実績を物語っている。近在の人々の間で極めて著名な教授であるが、実際に行っていることは殺人でありそれも大量の連続殺人であるのに、訪れる生徒たちが絶えないことも不条理だが、それはおいても登場する人物5人の中で何度も教授に危険だと忠告することで唯一正常な人間であると思わせる家政婦のマリーが、とりわけ危険な数学の授業だと分かり切っているにも関わらず教授の凶器であるナイフをテーブル上に置くのは、目立たぬ様で正常らしき人の持つ性質の悪い狂気を現わしている点で最も怖い。
S(さりげなく)F(fiction)~知る由もない彼らの人生~

S(さりげなく)F(fiction)~知る由もない彼らの人生~

藤一色

中野スタジオあくとれ(東京都)

2024/12/14 (土) ~ 2024/12/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

 「藤衛門」を拝見、圧倒的な科白量を1人でこなす。他の登場人物たちは総て何種類かの椅子で代用。18世紀に作られた江戸絡繰りが主人公だが余りに先進的な技術が用いられて居た為、往時全く理解されす、休眠していた。発見されたのは1997年、発見者はタビノちゃんという小学4年生。華4つ☆(追記後送)

その男ホーネット加藤

その男ホーネット加藤

映像劇団テンアンツ

「劇」小劇場(東京都)

2024/12/11 (水) ~ 2024/12/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ベシミル。華5つ☆。
 2部構成の作品だが第1部「燃えよ前説ドラゴン」を拝見。第2部も痛烈に観たくなる出来だ。

ネタバレBOX

 掴みは小ネタやコントのような形式を用いたりもしつつ伏線も同時に張る趣向で、観客の
興味を兎に角板上に惹きつける。この辺り、小劇場演劇に関わる劇団の苦労が分かる作りであることは、本編がストレートプレイの王道をゆく内容であることからも明らかだ。つまりギャップが大きい。その落差の分本編の深刻さ、演劇化された現実のリアル、一般の人々には知る由もない被害者たちの苦しみ・苦悩と、その苦境を救うお伽噺の切実が観客の心を撃ち抜くのだ。脚本、演出、演技もグー。特に加藤役、詩穂役が気に入った。以下少々ネタバレ。
 元役者で才能も情熱もあったが、現在は芝居にのめり込む余り一人娘を連れ他の男の下に走った妻と別れ、それでも芝居からは離れることができないまま前説士として小劇場演劇に関わり続けている男、それがホーネット加藤だ。功夫映画の全盛を築くきっかけを作ったブルース・リーに憧れ独学で彼の功夫(ジークンドー)を学んだ加藤は、偶々オーディションで出会った少女が、実は妻に連れ去られたまま生き別れた実の娘(詩穂)であることを知る。詩穂は腕に包帯を巻いていた。
 原因は、義父である班に12歳でレイプされて以降性的虐待、売りをやらされその上がりを総て収奪され、暴力てねじ伏せられて自殺未遂を何度も図るような地獄に追い込まれていた事である。実母は班を恐れ全く当てにならなかった。加藤は実父であることを隠しつつ、詩穂の傷ついた魂を何としても救うことを決意する。
 当然の事ながら班は徒党を組み配下を従えており、務所内から配下に指令を出しては魔の手を広げている。遂に・・・。後は観てのお愉しみだ。期待は裏切られまい。
星降る教室

星降る教室

青☆組

アトリエ春風舎(東京都)

2024/12/07 (土) ~ 2024/12/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 ベシミル。未だ埋まっていない回もあるとのこと。寒くなって来た、ジンワリ温まれる、お勧め作品である。

ネタバレBOX

 板上はホリゾントの幕に樹木が立ち並ぶさまをあしらった。この樹木群はその枝葉が厳冬早朝の陽光に輝くように煌めいている。物語は20年程前にラジオドラマとして書かれた作品がベースになっているが大きな変更は無いリーディング公演だ。尚、ラジオで放送された際にはディレクターが賢治へのオマージュ作品を連続放送するという企画の1編として放送された。童話系の物語なので賢治のみならず「不思議の国のアリス」に出て来る兎のようなキャラも登場する。無論、他にもクラムボンや茸の集団、猫、桜の木、アネモネ、泉等々たくさんの生き物や自然が人間同様に喋ったりオノマトペを用いた表現をしたりと小学校6年生のイマジネイション豊かな子供と同等の交感を交わす亜空間がその不思議な世界だ。
 きっかけは現在教師になっている、主人公の転校生で1年間雫の森小学校で学んだだけのユキコに担任だった青木紺次郎先生から葉書が届いたことだった。20年後の今、卒業式を挙行する招待状であった。彼女は雫の森小学校へ出掛けてゆく。だが思い出は既に忘れてしまっており総てが新たな体験のように瑞々しい出会いの経験として展開してゆく。この設定が素晴らしい。総てが新鮮に観客に伝わるからである。こうして初の体験という感覚で“小学生”ユキコは観客を物語に没入させてゆく。
 作・演出の吉田 小夏さんの才能はこれだけに留まらない。リーディング公演だからこそ、敢えて効果音の多くを口ジャミでこなし、マイクや人工的な機器は使わず、鈴のような原始的楽器のみを併用する。またテキストも完全に暗記せず、丁度音楽家が譜面を見ながら演奏するような具合でリーディングの質を自然な状態で推移させてゆく。このような配慮が実に微妙なバランスの上で成り立っている自然に人間が感応することを可能にしているのだ。同時に転校生故のデペイズマンもユキコを他の子供たちから心理的に孤立させ人間集団内のみの会話・対話と少し周波数の異なる自然界への窓を開けている点にも注目したい。ヒトは余りに人間集団に馴染み過ぎると、自然と感応し得る孤立と孤独な感性を見失う。すると大抵の人は孤独感・孤立感でその身を削り本来持っていた繊細性を喪失してしまう。
 すると自然を荒らしていることに気付かなくなる、後は推して知るべし。今作の持っている温かさは、ユキコの持っているこの繊細性が自然と感応し、例えば厳冬の朝ぼらけ、立木の幹に触れてみると良い、生きているもののほのかな温かさが伝わってくる。そのような暖かさが作品を通して伝わってくる点に今作の温かさが在る。
亡霊の地

亡霊の地

公益社団法人 国際演劇協会 日本センター

中野スタジオあくとれ(東京都)

2024/12/06 (金) ~ 2024/12/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 華5つ☆ 断固ベシミル。当日2000円のリーディング公演。初日はほぼ満席であった。

ネタバレBOX

 紛争地域から生まれた演劇、今回はこのシリーズ16番目の作品群である。作:アンドリー・ボンダレンコ 翻訳:万里紗
 今作は『蝶』『罪と罰』『結婚持参金』と題された3本がオムニバス形式で朗読されるが、共通項はトラウマと解釈することができよう。このトラウマは攻める(責める)側にも攻められる(責められる)側にも表れ方こそ異なるが表れる。
 大切な観点は敗戦後日本は、国家として戦争行為に直接関わってこなかった為か、多くの日本人が実際の紛争・戦争状態のリアルな状況を受け止める為の想像力を欠落させている点にあるように思われる。その結果、自分の日常的な感覚や体験をベースにニュース映像や様々な媒体によって流される映像を見て分かったつもりになることではないだろうか? これらの映像には腐乱し膨張して腐臭を発する遺体の惨憺たる有様も、そのような状況に至る迄に自らの住地が爆撃や種々の砲撃・銃撃、ミサイル攻撃に晒され生きた心地も無く、眠ることも出来ないような状況の中で飲み物、食べ物にも事欠き逃げ惑う他無い恐怖も無い。敵に見付かれば拷問、殺戮、レイプ、虐殺等々の憂き目に遭う可能性に怯えるストレスも無ければ、子供や年取った父母を如何に逃がすか? の懸念や責任も無い。無論己自身が生き残れるか否かも誰にも分かりはしないのだ。
 このような状況で生きていること、尚生き続けようとすることと守らねばならぬ人々を抱えていることが如何に大きな負担を個々人に強いるか? そのように強大な負担にヒトはどのように反応するか? この3編は痛烈な評を伴いつつ一つ一つの裁を下し、問うている。果たしてヒトは? と。
沖縄戦と琉球泡盛

沖縄戦と琉球泡盛

燐光群

吉祥寺シアター(東京都)

2024/11/30 (土) ~ 2024/12/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 小生、長年の不摂生が祟って今年は正月明けからアルコールにドクターストップが掛かっているが、今作が提示する深刻極まる沖縄の状況にも関わらず、泡盛を心底飲みたいと思わせる暗くなり過ぎない作品に仕上がっている。ベシミル!!

ネタバレBOX


 板上は天井から吊り下げられた3本の太い筒のような物体が3本。予算の関係で他の物(泡盛の瓶が立ち並んだ棚やカウンター代わりのテーブル、椅子等は場面に応じて適宜用意される)は、簡易な形態の物を用いている。沖縄の苦境を描くとこのような状況に陥るのかも。なんちって!
 ソ連崩壊以降のデタントで北方に展開していた自衛隊員の多くが対中国戦へとシフト。第1列島線に沿う形で殊に島嶼部である奄美から琉球弧全域に掛けてシフトしたのは気を付けている人々には自明のこと。今作では沖縄のことを描いている関係からであろう、鹿児島県に属する奄美のことには触れていないが興味のある方は調べてみると良い。何れも最大の被害を見込まれる地域の既存の条例等を日本国家というアメリカの属国が無視しアメリカの言うなりに対中国の最前線戦闘地域として機能すべく設定されているのは自明である。自衛隊員は定員割れが続き仮に日本政府が並べる御託通りにある時期戦闘が展開するにしても、中露が組めば核弾頭の数だけでもアメリカを凌駕するし、中国の現在の軍事費を観れば到底日本等の及ぶべき規模ではない。何れが有利か少し頭を冷やして考え直してみるべきである。イケイケで実際に戦闘状態になれば、第Ⅰ列島線状に連なる島嶼地域は再び地獄と化さざるを得まい。こんな愚を避けたい。そのような島民の切なる念(思い)を込めて仕次を繰り返し第2次大戦で失われる迄は200年、300年の古酒(クース)が保存されていた沖縄に再び戦禍が無いよう祈りのような作品である。つまり古酒が生まれる為には平和な世が続くことが前提となる。泡盛が古酒になる迄に親酒(アヒャー)となるものの他により新しい年の酒が理想的には4つ必要だ。最古のアヒャーを1とすると、1の甕から幾らかを飲むなりして減らし2の甕の酒を蒸散などを含めて減った分1の甕に移す。2の甕には3の甕から減った分を移す・・・と継ぎ足し混交して順次より古い古酒としてゆく。この過程で甕が割れるような戦が起こらないことが大事な条件の1つということになる。
 このように沖縄の平和を願う杜氏たちや泡盛を出す飲み屋等の関係者を縦糸に沖縄県東村高江へのヘリパッド建設反対運動に関わって高江に通っていた女性を織機の横糸を通す杼にして物語を自由闊達に編み込んでゆく。
サド侯爵夫人

サド侯爵夫人

プロジェクト榮

銕仙会能楽研修所(東京都)

2024/11/30 (土) ~ 2024/12/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 今回の公演では、役者各々の戯曲解釈がより深く身体化された表現に達していたように思う。この感想が自分自身の三島アレルギー弱体化によるのかそれとも自分が感じた通りなのか或いはその何れもが作用して相乗効果を発揮したのかは定かでないので、もう一度ゆっくり戯曲を読み直しつつ講評を追記したいと思っている。もう少しお時間を頂きたい。

「扉」から連想した短編戯曲リーディング/演劇の現場でのハラスメントを考えるフォーラムシアター

「扉」から連想した短編戯曲リーディング/演劇の現場でのハラスメントを考えるフォーラムシアター

日本劇作家協会

座・高円寺2(東京都)

2024/11/30 (土) ~ 2024/12/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 日本劇作家協会が『扉』を題材に公募した短辺戯曲の応募総数、今回は69本。内6本が選ばれ座・高円寺Ⅱでリーディング公演及びブラッシュアップの為の現役劇作家2名によるトークセッションがあった。
 上記公演は昨日のみ、華5つ☆であった。本日(12月1日)は別の演目がある。

ネタバレBOX


 リーディング作品は以下の6作。
今井雅子さん  :『納期』
富田晴紀氏   :『ドラマなんて起こらない箱の中か外』
カタモトキザオ氏:『便所での事件簿』
新宮虎太郎氏  :『贔屓貝』
高山遥さん   :『天国への扉』
中野そてっつさん:『ライスが選べる! サバの夏野菜伽喱ソース洋風小鉢付き定食』
 ブラッシュアップ・セッションに登壇したのは
長田育恵さん及び小野寺邦彦氏、司会は山田裕之氏

 選ばれた作品の質の高さにまずは驚嘆。若い劇作家各々のベースにした様々な作家・作品の影響の残響が観られるものもあるが同時に独自で個性的な作品のテイストをも持つ作品、或いは思い掛けない発想から出発して書かれた作品等何れも個性的で優れた戯曲ばかりで今後の活躍に期待したい。またリーディングに携わった役者陣(5名:井上加奈子さん、鈴木裕樹氏、玉置玲央氏、森下亮氏、矢柴俊博氏)の間の取り方、声の質と活舌の巧み、演出の良さにも唸った。更にブラッシュアップの為に現在活躍中の劇作家からのサジェッションがあったが極めて的確で示唆に富むものであった点にも流石の感を持った。
ウエストサイドのオペラ座の殺人          

ウエストサイドのオペラ座の殺人          

カスタムプロジェクト

調布市せんがわ劇場(東京都)

2024/11/29 (金) ~ 2024/12/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

 ジェット団とシャーク団の登場は無論だが、これにオペラ座の怪人が絡む。正答率数パーセントの謎解きに何処まで迫れるか? これが問題だ! 楽しめる。

ロケット・マン

ロケット・マン

劇団鋼鉄村松

劇場MOMO(東京都)

2024/11/28 (木) ~ 2024/12/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 30周年おめでとうございます。こういう作品を劇団初期に初演していたとは。凄い!
今回が3回目の公演、自分は初見で自分の考えていることと重なる部分もあり大変驚くと同時に楽しめました。残席の或る回もあるとか、ベシミル!

ネタバレBOX

 劇団初期に書かれたということは30年近く前に、国家間の紛争や戦争を回避する手法として世界統一政府を樹立して国家VS国家の戦争を失くすことに成功。プロメテウス計画を立ち上げ推進して光速を越えようと実証・実験を繰り返してゆく。この実証・実験に欠かすことのできない証人が、今作の主人公である宇宙飛行士即ちロケット・マンである。今作の凄い処は、これだけ宇宙に関する科学的知識を持ち仮説を含め光速を越える為の論理を構築検証してゆく中で現代物理学で質量を持つ物は光速を越えられないという原理(これは相対性理論で最も有名な公式E=MC²を紐解いてみれば容易に分かる。今更だが一応説明する。因みにEはエネルギー、Mは質量、Cは光速である。要は質量とエネルギーは同質であり条件次第で物質にもなればエネルギーにもなる。光は電磁波の一種の波エネルギー。ところで質量とエネルギーは同質であるが物質が光速に近付けばその形態はエネルギーにより近づくから物質としては存在し得なくなる。これが質量を持つ物は光速を越えられない理由だ)をプロメテウス計画遂行の為に莫大な予算を注ぎ込み世界人口の半分以上は今や食うや食わずの極貧、教育も市民権等ヒトとしての諸権利もあったものではない。この貧民層から偶々エリートコースに掬い取られその内部でそれなりの地位を築いた者たちの中から中央エリートに敵対する勢力も育ってきていた。人類の半分以上を占める下層民が氾濫を起した時彼ら貧民をサポートし反乱の主導権を握り上層部の企てを破壊しようと蜂起した民心の念の深さとプロメテウス計画で探求される宇宙の奥深さのうち、どちらが勝るかについての答えも出して物理学から人間と科学の問題に巧みにすり替え、以て先に説明した物理学的正解ではなく、質量でない概念で光速を越えようとする論理を用いて形式論理として矛盾の無い形でとても観客に分かり易く軟着陸させてみせたシナリオの見事なこと。演出も切れのあり、役者陣の演技も良い。
 浦島太郎が抱えていたであろう果ての無い寂寥にも、より受け入れやすい答えが出せているのではないか。この点も見事である。
『晴耕雨読』

『晴耕雨読』

ウテン結構

六本木ストライプスペース(東京都)

2024/11/26 (火) ~ 2024/12/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 今作、既にSpiral Moonが上演しているが、こんなに印象が違うとは!

ネタバレBOX

 音響の使い方(終盤の照明も)が極めてソフィストケイトされており上手い。脚本はSpiral Moonのものと男女の入れ替え等多少書き換えはあるが大きな相違は無い。但し演出、舞台美術は可成り異なり役者も無論異なるので脚本が同質であっても、演出、舞台美術、役者の違いがこんなにも大きな印象の差を生み出すのか! と驚きを禁じ得なかった。既にSpiral Moon版を観た方々も十二分に楽しめよう。
 基本的に出捌けは観客席後方の溜まりから役者陣が客席間の通路を通って入退場するが、演技空間の中央に置かれたテーブルと椅子の下手のベンチ、上手の椅子2脚に一旦演技を終えた役者が座れるようになっている。他下手やや奥に衝立が置かれここが袖としても機能する。また上手側壁の手前には白い布が天井付近から下がっているが、壁を意味して居ると考えられる。この演技空間から見た客席側が部屋の窓という設定である。
 物語は幾つかの挿話をオムニバス形式で紡ぎ展開するが、きりの良い箇所で断絶させ、終盤「竹取物語」のかぐや姫の失踪をモチーフに現実に存在し続ける人間たちとファントーム的傾向を漂わせる或いは本質とするかぐや姫を対置していわば条理と不条理の世界を同時に強調、表現して見せる点が秀逸。尚登場人物たちは履物を履いている者、履いていない者の二通りに別れるが、屋内、屋外でということはあるものの、終始履物を用いる者達は実際に存在し続ける通常の人間を、裸足の者達はファントームを意味していることも見逃すべきではあるまい。
ゴーギャンおやじ2

ゴーギャンおやじ2

グワィニャオン

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2024/11/27 (水) ~ 2024/12/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 初日を拝見。華5つ☆ タイゼツベシミル❢!(追記後送)パート1,パート2でトーンが大きく変わる。間に10分の休憩が入るが、この休憩中も板上では名場面集が上演されている。

ネタバレBOX


 アメリカの実質的植民地同然の属国としてしか機能していない情けない祖国の為政者共の体たらくと、とうの昔に畜人と化した上その下で蠢く畜生同然の多数派。これらの小賢しい畜生VS棄民同然の自由人。
 ちば てつやの傑作「あしたのジョー」を、福生にある米軍横田基地の絶え間ない軍機の騒音と基地の街特有の人間精神内面からの浸食を経て生きる為に実存せねばならぬ泡沫の如く遇される人々の待ったなしの生活とその遣る瀬無さ悔しさ屈辱を跳ね返そうとする正当な反発が、国民を守るべき祖国の国家暴力装置である警察に対峙せざるを得ない状況を重ね合わせつつ遺憾なく描いて見せた傑作。断固観るべし!!
お父さんと漫才(東京公演)

お父さんと漫才(東京公演)

深谷文化祭実行委員会/Card Case(宮下涼太プロデュース)

高田馬場ラビネスト(東京都)

2024/11/22 (金) ~ 2024/11/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 楽日、ソワレ公演を拝見。華5つ☆。世話物の持つ柔らかな感性を見事に描き観客を自然に巻き込む手腕が素晴らしい。ベシミル! 
 ネタバレでも内容についての詳述はしていない。何故なら会場に出掛け、実際に舞台を観ないとこの一体感は味わえないからである。

ネタバレBOX

 敢えて「世話物」という言い方を採る。無論、このような言い方は現在の日本では浄瑠璃と歌舞伎で用いられる以外には余りあるまい。だからこそ、こう言いたいのだ! 最早、現代日本社会でこのようなタイプの人情は完全に滅びたと感じざるを得ない日常を経験し続けていることがその理由だ。少なくとも東京の街中、公道、電車車内、公共施設、大型の販売店等で人々の行動を見る限り公共マナーは完全に地に落ちた。洋の東西を問わず、外国人の方がよほどまともである。これに対し現代日本ではディスコミュニケーションが当たり前で、何か起きた時、状況に応じたコミュニケーションができる人は稀になった。誰も自分でことに当たろうとせず、知らんぷりを決め込み誰かが何かを始めるのを待っている。失敗でもすれば冷笑、嗤笑、憫笑、忍び笑いの嵐だ。こんな具合に笑っている連中その者たちが考えていたことは明らかである。自分がしゃしゃり出て失敗したら・・・。である。
 今作の登場人物にそんなキャラは幸いなことに一人も居ない。そのような老若男女が紡ぐ庶民の人情譚である。今作が凄いのは、脚本、演出、キャスティング、演技、舞台美術や照明、裏方さんの対応総てが混然一体となって表現しているもの・ことと、その実現である今公演が実に自然に観客を巻き込み演劇空間を成立させていることだ。
 重複にはなるが、世話物とは庶民つまり我々と同じ町場の人々の話であるから、最も大切なことは観客に自然に感じられることだ。言うは易いが舞台でこれを実現することは極めて難しい。冒頭に上げたような日々が今や都市部の日常となる中、今作に描かれるような人間らしく温かい人情のある、そしてそれが通用する世界へのノスタルジーでは無いことを今後の日本で尚生き続けねばならぬ総ての人間の為に願う。
クリスパ ❤ グランデ

クリスパ ❤ グランデ

劇団娯楽天国

ザ・ポケット(東京都)

2024/11/20 (水) ~ 2024/11/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 貫禄の第50回本公演。随所に歴史を重ねてきた劇団ならではの表現、表象があり、流石と唸らせる。

ネタバレBOX

 娯楽を標榜しての本公演50回目、流石に貫禄がある。しょっぱなから雰囲気が矢張り凡庸な劇団とは異なるのだ。自分が感じたその理由を少し説明しておくのも良いかも知れない。
板ほぼ中央の浴場手前下足入れの上辺りに照明の加減で十字架に見えるオブジェがある。銭湯が英語のセイントに掛かり、当然のことながら登場人物たちの苦境を救うプレゼントの持参者である聖人の名に掛かるのである。更に何故、この聖人が閉めた銭湯に入れたのか? については直ぐ気付けるだろうが一応記すと、初めて訪れた町で銭湯を探す場合、高層建築の多く無かった時代には、これを探せば良かった。贈り主は、Xmas前日、ここから入って子供たちの眠る枕元にそのプレゼントを届けるのだから。だが、これだけでは終わらない。板上で芝居が始まるとほぼ同時に客席側から讃美歌を歌いながら入場してくる白装束の集団が現れるからである。このような幾層もの表象や暗示、象徴、関連文化迄がオープニングの僅かな時間の中にそれとなく埋め込まれ洋式ウェディングという儀式の文化的背景と日本の伝統や生活とをしゃれっ気たっぷりに融合し止揚しているのである。
物語自体の内容を余り詳しく記すことはしない。誰もが観れば分かるように創られているからである。
 だが終盤、聖書からの引用をキチンとし的確なタイミングで新郎となる者、また新婦となる者各々に理に適い而も柔らかく、言われる側に相応しい内容の説諭をして聞かせる神父の威厳に満ち静かだが揺るぎのない挙措を支えている精神沃土迄感じさせる程、西洋の宗教の最も深く高貴な部分を縦糸にして示し、一方目まぐるしく変わって予想を裏切られ右往左往する大多数の普通の人々の置かれた思うようにならぬ状況とを横糸に表現している今作の脚本、それをキチンと構成し劇化した演出、これら総てを肉化し舞台上に奇蹟を具現したかのような神父役を始め個々の役者陣の演技が程よく噛み合い良い味の作品に仕上がったことは記しておく。
オーロラの碑

オーロラの碑

演劇なかま高円寺

座・高円寺2(東京都)

2024/11/22 (金) ~ 2024/11/23 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 タイトルのオーロラの碑はかつてここに建っていた杉並区立公民館で、アメリカが安保理で決議された戦略的統治地域に指定されたミクロネシアのビキニ環礁・エニウェトク環礁で(計67回行われた核実験)1954年3月1日に行われ最大級の死の灰を降らせた水爆ブラボーの核実験により第五福竜丸等(2015年水産庁公開資料によると1423艘)の漁船が被ばくし船員、獲られた鮪等が被ばく“原子鮪”“原爆鮪”などど大々的に報道され廃棄される中、杉並区議会は区民からの陳情翌日の1954年4月17日に全国初の水爆禁止決議を採択。総署名者数18.200.644筆に及んだ署名運動の足跡を残したい区民の念で建てられたモニュメントの名である。全公演字幕付き。追記後送

宙浮くカルト

宙浮くカルト

中央大学第二演劇研究会

シアター・バビロンの流れのほとりにて(東京都)

2024/11/14 (木) ~ 2024/11/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 実際に大きな事件を起こしたカルトをベースに入信した信者、教団幹部、入信者家族や教師等関係者を中心に描いた作品。最初の事件発生から既にほぼ1ジェネレーション。事件は我が国の不健全性の陰画と見ることもできる。

ネタバレBOX

 ホリゾント中央にはラメのような光沢を持つ光背が掛けられ教祖の威光を高める演出が為されている。この光背の左右にはブルーの布が下がり出捌けに用いられる。また上手・下手側壁には黒幕で袖が作られこの2か所も出捌けとして用いられる他、演技スペースを広く取る場合は、テーブルやベンチを側壁にはめ込んで収納できるようにもなっている。室内は壁、家具類は基本的に白、教祖の座す椅子の膝から下の部分だけが黒い布で覆われている。 
 登場人物のうちカルト信奉者の衣装は白、教祖の衣装は黒っぽい。また司教も白い着衣だが上着にはかなり長い帯状の布を首回りに掛けて権威を現わしている。彼女がこのカルトの実質的推進派の中核を為しているのは教祖の実の姉であること、教祖に祭るのはジェンダーギャップのある社会では男の方が適当との判断からであろう。因みに教祖が訓戒を垂れる儀式の際は宙に浮く形を採っているが今作が実際に事件を起こしたカルト集団を下敷きの題材として用いており、事件を起こしたカルトの教祖は浮遊し得たとの噂が散々流されたからであろう。司教は入団者たちを新人類と呼びこれまでの宗教の如く既成の神を信仰の対象とするのではなく未来に生まれるべくして生まれる神を崇めることを目指しているが、今作で描かれるカルト内部では、入団者の間からも注射や薬物で五感の亢進性を高め一種のエスパーに仕立て上げようとするカルトの方針を問題視する意見が出、教団の掟に背いたと見做された者は殺害することも止む無しとの発想が強くなって教祖も姉とは異なる世間一般の道理に近い姿勢を取り始め遂には姉及び強硬派を追い詰める事態に至ってカルトは崩壊する処まで描き後日譚も描いて着地させている。
 これ以外にも序盤で血縁を否定しカルトの信者となった者を家族として接し他の諸々の社会的結束を断って自分たちの内部規範の内だけで行動し、判断する組織の道程を今作は中心に描いてゆくのであるが、入信した者達の殆どが学校の勉強は良くできるが、身内の関係(親子関係のミスマッチや親の愛情が子供に伝わらない等深刻極まる問題を抱えていること)が上手く行かないことが入信の契機となっていることの不気味もキチンと描かれている点は特筆に値しよう。警察や公安に親族が相談しようにも入信者本人の意思で教団の拵えた施設に家出をして移っているので個人の意思を権力がしゃしゃり出て規制するのも憚られるという、敗戦前の警察権力の横暴から来、敗戦後に曲がりなりにも民主主義国家を標榜して何とか被って来た仮面を剥がすわけにはゆかぬとの判断もあるのだろう。決して国民を守るなどという発想でないことは人権などあって無きが如き裁判や絶え間なく起こっているでっち上げによる起訴等の実例をみれば明らかである。何れにせよ、我が国が抱える様々な矛盾と国民無視の態度、政治の救い難さ、そして民衆の大多数の不甲斐なさが生み出したこのような不気味な事件を敢えてベースにして作った作品である。若者たちの健康な感覚がグー。
Day Dream Dance D.C.

Day Dream Dance D.C.

空想実現集団TOY'sBOX

ウエストエンドスタジオ(東京都)

2024/11/13 (水) ~ 2024/11/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

 βチームを拝見。

ネタバレBOX

 板上は基本的に裸舞台。箱馬が3つ置いてあるだけだ。物語は可成り単純。この店のステージで踊れればそれだけで大した才能と評価される名門スタジオのオーディションに受かった5人のダンサー。然し今まではステージらしいステージに立ったことも無い者が殆ど。どうして受かったのか? 不思議に感じている者さえ居た。とはいえ合格は合格、今迄逃げていた自らの不甲斐なさから脱却し雄飛するチャンスではある。だが給料は良いもののやらされることは1日中地下室の掃除、レッスンも無ければ公演へ向けてのミーティングらしいミーティングも稽古らしい稽古も一切ない。而も音響機器等ダンスを踊る際に必要な器具は何時のまにか撤去されていた。
 然し、オーナーサイドに1人、この5人を陰ながら支えてくれる人物が居た。彼女はダンスに必要なラジカセやダンスに適したヒット曲等を目立たぬ場所に予め隠し、ダンサーたちにヒントを与えてこれらを見付ける段取り迄つけてくれる。
 然しオーナーの目的は、先代の遺言に沿う形を採ってこの店をステージ諸共解体してしまうことであった。それが体は弱かったが優しかった父の誕生(逝去)日の2日後に落成したホール、ステージと組織のトップとして完全だが、仕事ばかりで体の弱い父にも、子供である自分にも目もくれなかった母への復讐であったのだ。唯母の残したとされる遺言状には、このホールを作ったのは、若いダンサーを目指す者がⅠ人でも居る限りその夢を叶える為の場を提供しようとの念からであったから、この趣旨に後継者が沿わない場合は一切の相続をさせないとの文言が記されていたのである。この内容を守った上で余りにレベルが低いダンサーばかりでは名門となったこのホールの名を汚すことになる。それをオーナーは狙っていたのである。
 ネタばれは此処迄。By the way,大団円では、無論もう一段盛り上がりや感動のシーン、或る種、ドンデンがあるが、其処は観て頂くとして、ダンスや演技について以下に少し述べておく。ダンスで一番切れのあったのは、オーナー役。体幹がしっかりしているのだろう。しっかりした体幹から繰り出される四肢の動きはスピード、切れ共に一番素晴らしい。次に上手いと感じたのはAの記号を衣装に付けて踊るダンサー、その次がDの記号のダンサー。キャラ的に魅力的なのがジェンダーギャップそのものを生きるオカマダンサー。
 物語をもう少しドラマチックに仕立て上げるにはオーナー役はダンスが一番上手いのだから、先に述べた事情以外にダンスの才能の問題を絡めてオーナーにもう1つの屈折を付け加えるということもできるのではないか? とは思った。
ジゼル、またはわたしたちについて-Giselle or about us- 2024 TOKYO Remix

ジゼル、またはわたしたちについて-Giselle or about us- 2024 TOKYO Remix

waqu:iraz

スタジオ空洞(東京都)

2024/11/12 (火) ~ 2024/11/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

 U~~~む。épave(s)!

ネタバレBOX

 オープニングはダンスで始まり基本的には群舞だが、完全にフォームが同じという訳dえはなく時折個的なダンスをする者も居る。こういったダンスを随所に織り込みつつ、各挿話が展開する。客席は演技スペースを半円形で取り囲むような感じに設えられ展開される個々の挿話は極めて2人称的な世界で異性間、同性間どちらも描かれるが当然の事ながら3人称世界が形成することのできる客観性や普遍性は端っから期待の仕様が無い。従って登場する人物総て、関係性総てはépave(s)でしか在り得ない。ということは、己の世界に精神的深み等は間違っても宿せないということである。
 説明によるとディバイジングシアターという形式の表現法ということだが、今の若い人たちの人付き合いの中心がSNS的手法なら、それは基本2人称世界なので自分達が2人称世界でしか交流していないことにも気付かないのかも知れない。ラップ調の歌詞も歌われたりするが、自分達独自で生み出したものでもないのに形だけ真似て何になるのか? ジャズでもラップでもロックや印象派が生まれた頃やダダ、シュールレアリズムが生まれた頃でも一部のごく少数の賛同者以外、最初は理解されず無茶苦茶に叩かれたりして、それをバネに更に力を付けて来た歴史と生き様、無理解な社会との格闘があった。そういった過程を無化して表面だけなぞってもどれだけの意味があるのか? 自分達で自分達の表現を作り出してこそのアーティストであろう。
栗原課長の秘密基地

栗原課長の秘密基地

SPIRAL MOON

「劇」小劇場(東京都)

2024/11/13 (水) ~ 2024/11/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 華5つ☆、必見! 脚本、演出、演技何れも素晴らしい。流石にSpiral Moonの作品だ。殊に要を得た脚本が、役者が脚本に書かれた役を演技するというより、演技者に憑依するような脚本と感じる程脚本、演者の表現が素晴らしい。ネタバレ部分は、取り敢えずのネタバレ迄、余り詳しく書き過ぎるとこれから観る人の興を削ぎかねないから。

ネタバレBOX

 脚本は土屋 理敬さん、この脚本を選ぶ目がグー。演出はいつも通り秋葉 舞滝子さん。
 物語は児童書等の出版も手掛ける出版社の一室で展開する。板上は下手側壁の奥に出入り口のドア、壁の手前にクロスの掛かったテーブル。椅子は3脚。壁面には時計が見える。ホリゾント手前にも矢張り同様にクロスの掛かったテーブルと椅子3脚、上手側壁も同様にテーブルと椅子が並んでいる。無論下手と上手の席は相対して向き合っていて下手テーブル側は受賞者が入場時に座る席。ホリゾント前の席には審査員の席がそして上手の席は受賞した3人が賞状や盾、賞金を貰って着席する席があり、壁には伝統あるきつつき賞受賞を記す看板が掛かっている。因みにホリゾント審査員席の更に上手の壁の前には受賞者各々への賞品が置かれたテーブルがある。
 きつつき賞は児童文学会では権威も伝統もある文学賞であり児童文学の一流作家の登竜門としての地位を占めている。従って大賞を獲得した作品は必ず出版され読者の目に触れることも多い為児童文学作家を目指す作家志望者には垂涎の的である。今回の応募は382作品。選ばれたのは大賞が1編、佳作が一編、そのほか功労賞が1編の3編。出版界の不況もあってどの出版社も台所事情は厳しい。
 そんな状況の中、今回この賞授賞式の責任者を務めるのは、ビジネス情報誌の鬼編集長と評され辣腕を揮ってきた栗原。妻子ある身だが不倫をし不倫相手と別れたことで、セクハラをしたとの噂を流され、無実であった為児童書部門への左遷で茶を濁された。この授賞式で問題があれば忽ちリストラされかねない状態を自覚せねばならぬのは、人間関係のプロとしてのサラリーマンの習性である。
受賞式が始まって間もなく、緊急事態が発生、事前に充分な調査が為されなかったのか、或いは栗原の左遷が決まった直後の授賞式だった為か事情はハッキリしないが、佳作を獲った作家が実は可成り売れっ子の現役AV女優であることが判明、授賞式は急遽中段された。

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