ロミオとジュリエット ――Fear No More―― 公演情報 演劇ユニット King's Men (キングスメン)「ロミオとジュリエット ――Fear No More――」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     矢張りKing’s Men、他の劇団がやらない演出で魅せてくれた。本日5日まで座・高円寺Ⅱ、1月6日から8日迄はせんがわ劇場で公演。今作の本質をストレートに観客に届けてくれる。観るべし! 母体がユニットなので演者のレベルは様々だが、いつも何らかの新たな解釈や演出の工夫がある。

    ネタバレBOX

     今回の公演では、能う限り日本の劇場でエリザベス朝演劇の条件下で演じられた「Fear No More」(日本語翻訳タイトル、ロミオとジュリエット)を演じてくれた。自分は今迄に数回、他の劇団が演じた「ロミオとジュリエット」を拝見してきたが、ロミオとジュリエットが味わわざるを得なかったモンタギュー家VSキャピュレット家の史的・因縁的対立に翻弄される宿命の恋人たちの苦悩、アンヴィヴァレンツに弄ばれるかのような絶望と歓喜の齎す傷口の呻きが我が胸に鋭く深く刺さるのを今回初めて感じた。このように感じた原因は、恐らく16世紀中頃から17世紀初頭迄続いたイギリス演劇史のルネサンスとも称されるエリザベス朝演劇の舞台環境を可能な限り再現したことと関係があると思われる。即ち電気を用いての効果は基本的に用いない。当時は室内ではなく上演は屋外で行われた為客席と板上で明度を等しくする。又1人の役者が何役もこなす等。
     更に凄いと思わされたのが、柳 誠直さん演じるシェイクスピアが一幕、二幕の頭を執筆しつつ発するソネットに擬したプロローグを始め何か所かで同じように英語で紡がれる部分の発音の見事さである。恰もイギリス人舞台俳優が発音しているようなレベルである。即ちそのイントネーションやブレスによって、発された言語がどんな構造かある段階以上に外国語を習得した者には立ちどころに分かるのである。そのような高度に習熟した英語であった。而も文章を書きつけているノートは、当時の版型と同じ版型ではないか? と見える物でこんな細部に迄気を配って用意したとすれば凄い、と唸らせる類のものであった。
     苦言を呈するとすれば、板から捌ける際、若い役者さんたちの中に観客から完全に観えなくなるまで演技を続けずに捌けてしまった人が何人も居たことだ。一旦板に上がったら、その回の公演が終わる迄、背中にも目を付けている位の気持ちで演じて欲しい。観客の座っている位置によって捌ける時も丸見えになることが在ることも、そういうシーンが観客を白けさせてしまうことも覚えておいて欲しい。
     またキャピュレットを演じた 中島 史郎さんは、「るつぼ」の時より大分マシにはなったが、役とどのように格闘した上で板に上がっているのだろうか? との疑念は拭えなかった。今回も台詞をぞんざいに扱っている印象が何か所かにみられたからである。シェイクスピアの凄さは、天才的作家ですら比喩でしか表現できないような人間界の暗渠を総て台詞化してしまうことにあると思っている自分としては、このような大天才の台詞は例え翻訳と雖も疎かにすべきではないと考える。もし、自分の見立てが誤りで中島さんが役作りに最大限の力を注ぎこれがベストだと考えてぞんざいに聞こえる表現を選んだのであればその選択は尊重するが、仮に自分の指摘が当たっているのであれば、次回は更に納得のゆく演技をして頂ければ嬉しい。

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    2025/01/05 18:01

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  • 皆さま
    本日から、せんがわ劇場ですね。
    楽迄、無事駆け抜けて下さい。
              ハンダラ 拝

    2025/01/06 14:07

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