
Fire Ball Men ~火の玉兄さんの逆襲~
劇団 EASTONES
ザ・ポケット(東京都)
2012/05/09 (水) ~ 2012/05/13 (日)公演終了
満足度★★★★★
ブラボー
劇場に入って、丁寧で本質を掴んだ舞台作りに驚かされた。物語の内容は神社の祭りに関するものなので、神社や巫女が登場するのだが、日本の神道は、基本的に神体を自然に求める。そのことが、ちゃんと舞台美術で表現されていたのだ。ホリゾント中央に森、幾層かに分けられ、左右に振られたホリゾントには、竹が配されたりしている。更に中央ホリゾントに向けては階段が設えられ、聖性が暗示されているという作り。
演出、演技、アクロバティックで象徴的な身体表現、音響など、どれをとっても見事な出来栄えであった。またシナリオも、しがらみと人情という伝統的なドラマツルギーを踏襲しているため非常に安定感がある。エンターテインメントとして成立させることに成功していながら、同時に古臭さを感じさせないだけの躍動性や桁外しを織り込む構造になっていて、飽きさせない。終演後、拍手が鳴りやまなかったことひとつをとっても、この劇の質の高さが想像できよう。

スーパー丸尾ブラザーズ
OFFBEAT360cc
ギャラリーLE DECO(東京都)
2012/05/09 (水) ~ 2012/05/13 (日)公演終了
満足度★★★
ケッパレ
役者たちは狭い空間の中で、かなり頑張っている。然し、シナリオの構成に甘い点がある。今回が2公演目であり、まだまだ修業中の作家なので、更なる研鑽を期待する。演出も作家が担当しているようだが、空間のスペースを考慮しながら、役者が、科白を喋るときの声の大きさをコントロールして欲しい。余り怒鳴る必要はないのである。

『複合過去、あるいは幻想のマリアンヌ』『エリゼ・ビスマルクの長い人生』
ギィ・フォワシィ・シアター
シアターX(東京都)
2012/05/09 (水) ~ 2012/05/13 (日)公演終了
満足度★★★★
演出
今回は、ギィ・フォアシーの翻訳不可能な作品を見事にまとめ上げた演出に多大の拍手を送りたい。未だ仏語原文で当たっていないのだが、ギィの話しぶりは何度も聞いたことがある。その会話には多数のシャレや地口、アイロニーやブラックジョーク、社会批判や当てこすりが含まれ多元的な表現であった。このことから類推すると、翻訳は不可能、という判断だ。
その難しいテキストを見事に読み解き、日本の文化に咀嚼しなおして舞台化した、今回の演出では、ギィ作品の本質が見事に浮き彫りにされていた。演出を評価する理由である。
劇場も、その高い志と先見の明を持つ作品選択で知られるシアターXだ。ぜひ出掛けて実際の舞台を見てほしい。

闇言
JACROW
ギャラリーLE DECO(東京都)
2012/05/08 (火) ~ 2012/05/13 (日)公演終了
満足度★★★★★
短編
短編を4つ。オムニバス形式で演ずるという形であったが、短編の醍醐味を見事に活かした作品2編。日常性の中で、いかに短編の短編たる所以を掘り下げることが難しいか、を白日の下に晒した作品2編。音響や照明、劇場の雰囲気作りどれも、とても興味深いものであった。殊に役者陣の奮闘は、どの作品に出た役者にも拍手を送りたくなるような頑張りが見られた。

闇言
JACROW
ギャラリーLE DECO(東京都)
2012/05/08 (火) ~ 2012/05/13 (日)公演終了
短編
短編を4つ。オムニバス形式で演ずるという形であったが、短編の醍醐味を見事に活かした作品2編。日常性の中で、いかに短編の短編たる所以を掘り下げることが難しいか、を白日の下に晒した作品2編。音響や照明、劇場の雰囲気作りどれも、とても興味深いものであった。殊に役者陣の奮闘は、どの作品に出た役者にも拍手を送りたくn

Sissi
早稲田大学劇団木霊
劇団木霊アトリエ(東京都)
2012/05/07 (月) ~ 2012/05/13 (日)公演終了
満足度★★
稚拙
学生劇団なので未だ若いメンバーばかりなのだが、それにしても、もう少し言葉を丁寧に使えないものだろうか。どなったり、語呂合わせや駄洒落レベルの外しで掻き回す必要は感じなかった。そもそも、貴族というものを全然、理解していない。まあ、戦後は、一般の人々が、そういう階級或いは階層にこの国で出会うことは殆ど無くなったので、無理もないかも知れないが、品というものがあるのだということすら、ご存じないらしい。もう少し、研究して欲しい。ダンスなど派手な身体表現は、上手だが、演劇の本質を理解し、役の中で、身体をもっとコントロールすることを覚えてもらいたい。

バートルビー
ttu【2017年5月末解散】
インストールの途中だビル(東京都)
2012/05/06 (日) ~ 2012/05/09 (水)公演終了
満足度★★★★★
想像力への刺激
役者2名、ダンサー2名の計4名で提示された表象。ちょうど、演劇とパフォーマンスの、中間のようなテイストの作品である。然し、メルヴィルの原作の持つアイロニーやパロディ、抽象的且つ実存的な風景を、身体を通して不在を浮かび上がらせる手法や、二つの旋律を交互に、而もだんだん強く演奏することで並々ならぬ高揚感をもたらすボレロを巧みに使いながら表現した。想像力を刺激すると共にパロディの素となった素材を、見る者には感じさせながら、非常にラディカルに、更には哲学的な思念を感じさせるまでにアウフヘーベンした上演は一見の価値あり。

パパ、アイ ラブ ユー!
タクトプレイ・プロジェクト
駅前劇場(東京都)
2012/05/06 (日) ~ 2012/05/13 (日)公演終了
満足度★★★★
職人芸
如何にも英国の無責任な笑いだ。無論、この国が侵してきた数々の侵略と差別に目をつぶれば、この手の笑いは、楽しいものだ。然し、現在も尚続く、多くの国際紛争の原因を作って頬っかむりし、「紳士」の国だと傲然と言い放つこの国に腐臭を感じる者をすら、笑わせる場面を随所に持つこの作品を通して、作品が我々の鏡でもあると気付く時、この笑いは苦いものたらざるを得ない。
一方、大道具や小道具の使い方一つとってみても、緻密で見事な職人芸が活かされており、舞台としての技術は高い。

【ご来場ありがとうございました】のんべぇい!
SUMMER SONIC THEATER (サマーソニックシアター)
上野ストアハウス(東京都)
2012/05/03 (木) ~ 2012/05/06 (日)公演終了

Hi-School
幸野ソロ
ワーサルシアター(東京都)
2012/05/02 (水) ~ 2012/05/06 (日)公演終了
満足度★★★★
はじめはどうなることか と
罪の無い笑い取りで始まり、フライヤーのイメージのような、そこはかとない青春賛歌で終わるのか、と思いきや、中盤から芝居の基本をキチンと踏み、王道を歩む構成になった。この状況変換が効いて、終盤の重い内容も、過重にならず、説教臭くならなかった。その為、却って観客の心には素直にメッセージが届いたのではないか。演出の手腕を感じる。更に先を読むならば、ここに描かれた様々な事件を通して思春期の群像を描くことで、言うのも恥ずかしい、人と人との繋がりの大切さ、という普遍的価値観に落とし込んでいるのではあるまいか。 ん、楽しめる舞台である。

がんぜない瞳の殺人者
アリー・エンターテイメント
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2012/04/24 (火) ~ 2012/05/06 (日)公演終了
満足度★★★★
取材
全体的にしっかり取材をしていると感じた。然し、劇中、気懸りな科白が、死刑執行の日、被告の発した科白にあった。「助けてくれ」というものである。これが、創作なのか或いは、そう本人が言ったという証言があったのか。その辺りである。
全体的にリアルに描かれていたので、証言があったとしたら、その証言をする必然性は、刑を執行した国家の側にあったはずだと考える。そして、その証言は、おそらく事実ではない。なぜなら、この作品の主人公は、実在した人物、永山 則夫であり、彼は、民衆として生きようと決意した時期もあったのである。その可能性をつぶしたのは、他ならぬ権力機構である最高裁であり、検察庁であった。永山の持っていた可能性に連なる多くの心ある者たちの連携を恐れた国家は、彼を葬るだけでは足りなかった。殺しただけでは、永山は、人々のヒーローになりえたからである。その為に、命乞いした永山 則夫というイメージを作り、彼を貶めようとしたのではないか。評者はそのように我々の国家を見る。
この作品、少なくとも、この程度のことは考えさせるだけの深みを持っていた。高い志を評価したい。

BUS DRIVER【終了致しました。ご来場誠にありがとうございました!】
机上風景
タイニイアリス(東京都)
2012/04/27 (金) ~ 2012/04/30 (月)公演終了
満足度★★★★
シンプルだが
シンプルだが勘所を押さえた作りだ。この作家は、シナリオを書く時、イメージが最初に浮かび、そのイメージと対話しながら作劇してゆくという。こういう書き方だからということもあるだろうが、キャラクターの作り方が非常に自然である。また、照明のセンスも抜群。導入部なども、新鮮で演出のセンスも伺わせる。

OMEGA DRIVE
劇団東京ドラマハウス
上野ストアハウス(東京都)
2012/04/26 (木) ~ 2012/04/29 (日)公演終了
満足度★★★
詩的散文
詩的散文で書かれたシナリオだが、構成面でやや弱い。アフガニスタンの戦闘、タリバーンの生成地パキスタンの登場人物と日本との接点に必然的な出会いが感じられない。作家の思いばかりが先走る感じがするのである。事件の起こる構造をもう少ししっかり考えるべきだろう。
折角、終盤では、とても素晴らしい科白も出てくるのだ。事件の起こる場所というものが、芝居を作る上で如何に大きいか。もう一工夫して欲しい。

【日程決定です】『異説 金瓶梅』
クロジ
シアターサンモール(東京都)
2012/04/26 (木) ~ 2012/04/30 (月)公演終了
満足度★★★★★
悪の華
ボードレールは、悪の華序文で、アンニュイについて強烈なメッセージを発した。実際、ディレッタントの持つ退廃的側面は、余人には計り知れぬものがあろう。
ところで、今回、上演中の「異説金瓶梅」では、砂糖菓子よろしくふやけた現代日本にあってさえ、鞭のようにしなる言葉で、退嬰を切る。
シャープで深読みの利く舞台だ。抜群に面白い。

サージェント
劇団 浪漫狂
紀伊國屋ホール(東京都)
2012/04/26 (木) ~ 2012/04/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
完成度
断固、見るべし! 完成度の高さは頗るつきだ。役者の演技、シナリオ、演出、音響、照明、道具なども芝居の展開を自然にすることに収斂し、メインプロット、サブプロットが見事に噛み合って太平洋戦争から現代までの庶民の、時代の中を生きてゆく姿を活写している。
時代感覚を的確に捉え、その中で生きる個々人を役者陣それぞれが、作中人物を生きるように演じていた。見事である。更に、人と人との結びつきの大切さを、わざとらしくない形で作品化できている点でも、この劇団の力が知れよう。抑えの利いた演技力の高さも一見に値する。お勧めの舞台だ。

冷たい唇、温かい箇所
ジ~パンズ
銀座みゆき館劇場(東京都)
2012/04/25 (水) ~ 2012/04/30 (月)公演終了
満足度★★★
冒険が欲しい
観客を驚かすような趣向が無いのは寂しい。話の展開は、業界の多少、ブラックなコメディ或いはパロディなのだろう。観客は、シナリオレベルでも、良い意味で裏切られにゆくのだ。そういう新鮮味が感じられない。無論、こなれていて、ソツはない。演技も上手い。だが、折角、そこまで積み重ねてきたのなら、思考レベルでももう少しアクロバティックなことに挑戦すべきだとは思うのだ。でなければ、とてもヨーロッパなどの興業には勝てまい。

オーシャンズ・カジノ
北京蝶々
インディペンデントシアターOji(東京都)
2012/04/18 (水) ~ 2012/04/30 (月)公演終了
満足度★★★★
ギャンブル
ギャンブルネタで、実際に勝負する場面が何度か出てくるが、ちゃんとギャンブルの勘所を捉えていて、迫力があった。ストーリー展開にも、そう無理は感じられない。然し、俳優の出、入りが、もう少し工夫できないだろうか。ハイテンションな作品なので、結構、多くの観客が楽しんだはずだが、細かいところに気を配れば、もっと観客を驚かすことも可能になるだろう。更なる工夫を期待する。

国境のある家
劇団青年座
青年座劇場(東京都)
2012/04/21 (土) ~ 2012/04/29 (日)公演終了
満足度★★★★
矜恃
池子弾薬庫の旧地主一家三代の歴史を通して、日本人の
矜恃が、アメリカ及びアメリカ人によって侵され、襤褸屑のように
なった有様を描いて重い作品である。
然し、その描き方や筋の運び方、音響や照明、美術などは、流石に
伝統のある劇団のそれで、随所に笑いを取り入れながら、不必要に重く
ならないような配慮がなされていた。俳優陣の演技の質も基本的に高い。三世代に亘る話なので歴史的な変遷と変わらなかった物との対比も可能だろう。様々に考えさせる舞台であった。

カルテット! 4/25浦安公演
アトリエ・ダンカン
東京グローブ座(東京都)
2012/04/12 (木) ~ 2012/04/21 (土)公演終了
満足度★★★★
音楽の持つ純度の高さ
ストーリーとタイス、カノン、ボレロ、G線上のアリアなどの名曲が並走することで、話の展開が境界を踏み外すことなく、同時に本質的な展開を可能にして、心の洗われるような大団円に持ってゆく、そんな舞台であった。楽しめる。

勝手にしやがれ
演劇ユニット『MOSH(モッシュ)』
Geki地下Liberty(東京都)
2012/04/19 (木) ~ 2012/04/22 (日)公演終了
満足度★
現代の寒さ
全般的に創造性に乏しくギャグのレベルが低すぎる。演技にも独創性が無い。世界の中で生きていて、それを解釈できていないのではないか。結果、総ての表現が上ずってしまって、上っ面をなぞるだけである。楽屋落ちが多いのもそのせいだろう。もっと、状況を客体化して見る目と、自らの力量を知る謙虚さが必要だ。