満足度★★★★★
監禁と窓
ストーリーとして展開してゆくものと、描かれている世界の間にある深い淵が、個々人と世界の断絶を表現して興味深い。面白い表現方法だ。ストーリーとしては「監禁事件」である。但し、本当に犯罪としての監禁が行われているか否かは、劇中でも謎である。なぜなら、監禁されていた場所から逃げ出してきた、と言う少女の証言があるだけだからだ。彼女が逃げ込んだ先は、男二人、女一人がシェアする一軒家。この少女が転がり込んでくるまで、三人の関係は良好であったが。
シェアメンバーのうちに一人が、彼女を守ると約束したことから、それぞれの人間関係は罅割れてゆく。その展開の中で見えてくるものは、各々の幻想領域の不一致、世界との共存不可能性、個々の絶対的孤独、寄る辺なさ、これら諸事情故の根本的不安から誰一人自由ではないという事実。それを各々が知っているが故の、自己監禁。生存の与件を得る為の自己監禁部屋での窓の必要と疎外。これらが、ラストで象徴的なシーンを創る。