ハンダラの観てきた!クチコミ一覧

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ツチノコ is escaping’14

ツチノコ is escaping’14

アナログスイッチ

OFF OFFシアター(東京都)

2014/12/17 (水) ~ 2014/12/21 (日)公演終了

満足度★★★★

ツチノコ 本物が居たらウレピー
 ホビー研究会の部室前廊下で“ツチノコ”発見!! あの幻のツチノコである。発見者は部室に忘れ物を取りに、夜間、戻った部員。彼は捉えたツチノコを翌朝、部室に持っていったが欲の皮の突っ張った部員から、部の規則を盾に難癖をつけられる。(追記後送)

ダキニ城の虜

ダキニ城の虜

舞台芸術集団 地下空港

恵比寿・エコー劇場(東京都)

2014/12/16 (火) ~ 2014/12/22 (月)公演終了

満足度★★★★

資本の行方
  上手、下手、奥総てのパネルに出捌け口や窓が設えられ、パネルには、様々な文字が記されている。開演前には、各国語で演説調のスピーチが流され、独特の雰囲気を醸し出している。

ネタバレBOX

 
 物語で目新しいのは、自治体と企業が合体し新たなシステムとして機能している点だ。こういうことは、極度に資本が巨大化し、収奪のシステムが資本主義経済だけでは、不十分であるとされた時、必然的に出てくる新たな収奪システムの具体例として注目に値する。
「古事記」が、換骨奪胎されていたりもするので、天皇とのことにも想像力が及び、色々な意味で面白い。まして、この時期である。
役者陣の縦横の動きと演出、照明などの効果によって、舞台上は常に心地よい緊張があり、好感を持った。物語の内容については、未だ上演中なので詳しく述べないが、想像力の働く人には、かなり読める。
Rolling Job

Rolling Job

タケウチプロ

タイニイアリス(東京都)

2014/12/15 (月) ~ 2014/12/16 (火)公演終了

満足度★★★★★

小屋を愛する人々
 主演の長井 江里奈さんは、ダンサーである。今作では、脚本、演出も手掛けている。何より、彼女の演劇的なものに関わる態度が良い。小劇場や其処に集まる人々の抱える有象無象が、掬い取れるような視座を持っているからだ。

ネタバレBOX

 舞台は、前説の場面から始まるが、客席に前説担当がお尻を向けている。通常とはマ逆であるから、観客は、舞台が開演したのだな、と分かる導入で、ここから、引き込まれてしまった。実際、こういう発想の転換というものは、簡単なようで結構難しい。その証拠に、結構、芝居を拝見している自分も初めて観た始まり方だったのだから。設定はこうである。
32歳で小劇場の受付をやっている女性、ナリコ。独身、彼氏なし。客の入りは良くないのだが、放送禁止用語等を多用して、声援を送ってくれる小屋を愛する常連に対し、支配人は、面白く思っていなかったのに、それは、お客さんが小屋を愛し、出演する芸人や役者を愛しているからだと力説した為、解雇。以降、彼女の流転人生が始まる。
33歳。彼女の“人間的なもの”を守ろうとする拘り、在るがままを自他共に認めあいたいという希求は、美しく在りたい、という女性の外面からのアプローチに結実する。デパートの服飾コーナーでの販売員である。然し、ここでも、彼女の拘りが、マネージャーの逆鱗に触れた。3万円のワンピースを求めた客は、体の2回りも小さなサイズを選び、脱げなくなってこれを買い求めた。着て来ていた服はユニクロのもの。靴も安物で、とても3万の服に吊りあうものではない。おまけに無理に脱ごうとして、自分の力だけではどうにもならず、ナリコが手伝った末、袖が取れてしまった。これで馘首。
34歳。一所懸命、修行を積んだナリコが次になったものは、内面からの美を求めてスピリチュアルな占い師。然し、占いで出た結果は、顧客の利害に反した。というのも、観て貰った女には、結婚を勧めたのだが、その相手が占って貰いに来、彼の相談は、結婚しようと思っている女性との結婚後は? と仕事関係の人間関係はどうなるか? の2点。件の女と結婚することにより、負の方向へ人生が曲がってしまう、と出た。職場の人間関係も悪化するという。だが、それを解決する方法が一つだけある、と出た。その方法とは、ナリコとイケ面の彼が結婚することだった。然し、ここでも馘首。
35歳。終にナリコは、身体に目覚めた。健康食品の販売員である。派遣であるが、適確なリサーチとサジェッションで、自らが他人の役に立ち、喜んで貰えるとあって天職に出会えた、と喜んで仕事に励んでいたが。会社が脱税であげられ倒産。
36歳。イベントなどで歌手を勤めていたが、ひょんなことで、売り込みようの年齢に10歳も年齢を誤魔化していたことが知れ、馘首。サンサーラとは、サンスクリットで輪廻を表す、などと落ち込んでしまう。そんな輪廻の内側で、人々は苦労に押し潰され、疲れ果てて活気を失っている。然し、彼らが苦しい生活の中でも小屋に足を運ぶのは、劇場が肝臓だからだ、とナリコは言う。ストレスや人生の老廃物を濾過して生きてゆく活力を与えるのだ、と。だが、年齢詐称は許されなかった。
 さて、年齢不詳。トイレの掃除婦になっている。だが、やればやっただけ成果が出るので、彼女はこの仕事に満足している。こんなことが分かったのは、例の3万円ワンピースの客が、入って来たからだ。Mサイズがピッタリになるほど痩せて見違えるほど綺麗になっていた。ナリコは、底辺で他人の汚物を処理しながら、生きていたが、その彼女は何時しかダンサーになっていた。丁度、醜い蛹から目も綾な蝶が生まれるように。彼女は自問する。「ヒトは何の為に踊るの?」 「そんなの知らない。」「私は私の神の為に踊る。南春夫は言ったわ。“お客様は神様です”って。今宵、私は踊るわ。あなたの為に」というが早いか踊り出す。このダンスは見事。照明も背景を暗くしてスポットだけでダンサーを際立たせている。音楽もマッチしている。初めに出て来た放送禁止用語で舞台や小屋への愛情を示す粋もグーだ。凝りに凝った舞台美術を極めに使う贅沢な演出も大層気に入った。
 共演者も役者ではなくピアニストの北園 優氏。彼が生演奏と、様々な相方を演じる。2人ともすばやく着替えなければならないスピーディーな舞台進行なので、大変だろうが、楽しませて頂いた。尚、黒子として、女子大生が活躍したことも付け加えておく。

ひゃく

ひゃく

Bobjack Theater

十条アトリエスペース「TORQUE」(東京都)

2014/12/16 (火) ~ 2014/12/21 (日)公演終了

満足度★★★★

ひゃくは枕だけどにゃ それで終わんにゃい!!
 百物語を枕に笑いを鏤めながらも中・終盤に二転・三転の捻りを加え深みを増して好感の持てるシナリオと演出だ。

ネタバレBOX

百物語からの脱線も自然で納得ができる。何故なら、それが、普遍的な、皆が持つ深く懐かしい思い出に連なるからである。
 無論、糸し糸しと言う心“恋”の旧字の覚え方)の話も出てくるのだが、それが、中学一年女子の羞恥心で描かれている点が良い。初日を拝見したが、普段は役者として活躍する丸山 正吾氏が、今回演出も手掛けている。空間構成に気を使ったということであった。というのも、このTorqueは、今作がこけら落とし公演になるからである。結論から言えば、未だ、このTorqueの内装自体が完璧でない状態なので、完成形ではない。だが、その代わり、立ち上げてゆく勢いや一体感、そのような共同作業からくる人間関係の温かさというものが、滲みでるような仕上がりになっている。肝心な導線のとり方は、流れを阻害しない自然なものになっていたし、舞台奥に緞帳のように掛かる藍染の布に白抜きで“百(ひゃく)”と思しき何ものかが描かれていたのは、気に入った。初日を終えたばかりなので、余り具体的なネタバレはまだしない。終演後、詳しいことは書くが、百物語を枕にした、定時制高校の文化祭に纏わる怪異譚である、ということだけは明かしておこう。
殊に気に入った役者は二人。演出も手掛け、三上を演じた丸山 正吾氏と高木を演じた的場 司氏。
○○階から望む 〜集合住宅編〜

○○階から望む 〜集合住宅編〜

Baobab

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/12/10 (水) ~ 2014/12/16 (火)公演終了

満足度★★★★★

D-incline projectとは?
Baobabの第二段階とでも位置づけられよう。第一段階で目指された身体のみならず人間を描くというテーゼから、身体性と抽象性に重点を移した創作になっている。

ネタバレBOX


 マイムとダンスの差は、マイムの場合、具体的で実際の事象を身体を用いた形態模写で表現するが、ダンスは、より抽象的で、必ずしも具体的な何かを模写しているわけではない。いわば、音楽に似た表現形態を採ると言えよう。従って、今作でも、居住空間に於いて身体を立ち上げるとは如何なることか? が追求されたり、Baobabのダンサーたちが、構築しているのが、生活の再現であるのか? 等々が、良く考えられ工夫された舞台装置やデザイン、色彩とセンスの良い照明、BGMとBGM無しの対比などに適宜用いられる映像表現とのコラボレーション。ダンサーたちのバリエーションに富んだコラボレーションやソロの組み合わせ等々を通じて展開される。
 殊に、主催の北尾 亘のダンスは見事である。難易度の高い動きを舞台の縁で演じることによって客席に緊張感を持たせる演技、動から静へ至る時の止めの確かさ、足指の先から手指の先迄エネルギーを集中させ、コントロールした動きは、演技を実に大きく見せる。他のダンサーと至近距離で踊る際の動体視力の良さも抜群である。
 傳川 光留のジャンプ力、身体能力の高さも評価したい。役者も兼任しているので、これからは、演技、ダンス双方で活躍して貰いたい。
 女性ダンサーでは田中 かおりの切れのあるダンスがグー。何れにせよ、出演者のダンス技術は高い。抽象度は高いものの、時間的経過等を勘案しながら観れば、結構想像は外れない。また、ダンサー全員によるコラボレーション場面の美しさは、其々が、異なる動きをしていることも考えると、稀有な美しさを実現したものとして、高く評価したい。その後に繋がる映像では、生命そのものをミクロで捉えたような抽象映像であることによって観客の想像力を刺激し、更に続く映像では、プリミティブな絵のような表象で走る二人の人物を表したようなイマージュが映し出される。と共にダンスが行われることによって、未来への希望さえ感じさせる。様々なチャレンジのある公演である。
『 穴空院座遊芸 』

『 穴空院座遊芸 』

CASSETTE×絵空箱企画

パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)

2014/12/11 (木) ~ 2014/12/14 (日)公演終了

満足度★★★★

太平洋戦争の遠因
時は1905年(明治38年)、日露戦役後の「戦勝国」待遇を巡る国民の鬱憤が高まる中、ポーツマス条約に反対する集会をきっかけに9月5日の日比谷焼き討ち事件が起こった。 
今作は、この日比谷焼き討ち事件から2.26事件へ至る歴史的事実を骨として、憲兵対反体制派アナーキストの情宣に関わる活版印刷所及び、その出版に関与した作者、貴族令嬢、財閥令嬢、編集者及び、元夜鷹の従業員、運動リーダー等々を巡る想像的レポートである。(追記後送)

ネタバレBOX

 

此処に登場するアナーキストは、露西亜の破壊的アナーキストに近い。資本主義陣営で命脈を保つ、プルードン、クロポトキン、ボストン派アナーキストとは、主張が異なるので注意が肝要である。元々、アナーキストに共通の目標を挙げるとすれば、それは“絶対自由”なのでおよそ想像し得る限りの可能性が呈示されなければならないのであるから、この程度の論理差、幅は必然的に生まれてくるのである。
劇画日本昔話

劇画日本昔話

to Peace

Dining Space ONE PEACE(東京都)

2014/12/10 (水) ~ 2014/12/14 (日)公演終了

満足度★★★★

結構楽しめた
昔話というより、幼稚園のイベントを巡るモンスターペアレンツと幼稚園園長、先生達との攻防がメインといったスラップスティックという印象を持った。

ネタバレBOX

 が、実際問題、コンプライアンス遵守という掛け声に騙されて自己規制を喜んでする奴隷とか畜人がこの植民地にはごまんと存在するから、昔話の内容がネグレクトされたりしているのだ。戦前の治安維持法より性質の悪い秘密保護法の施行下で、この国の気取った馬鹿共が行儀よく自己規制して得意になっている姿が目に浮かぶ。今作でも、出て来たが、モンスターペアレント同士が園内で不倫に走ったり、園児にその事実をいきなり知らせるのは余りに酷な、お母さんと思っている人は実は叔母であるなどが、園児であり当事者である者の目の前で展開されるというグロテスクは、現実に有るかも知れないグロである。
 全体として、シナリオは纏まっており、役者の力もある。自分自身は結構楽しめる舞台であった。
瞑目のパノラマ

瞑目のパノラマ

ゆるゆるユニット pocchi

阿佐ヶ谷アートスペース・プロット(東京都)

2014/12/12 (金) ~ 2014/12/14 (日)公演終了

満足度★★★

作・演が別なことが裏目に出たケースであるかも知れない。
根本的には時空を扱った作品なのであるが、それにしては物理的詰めが甘い。少なくとも現代物理学で時空を問題化したいなら、観察者が時空とどのような関係を結ぶのかが考慮されなければならない。その点は重要である。何故なら観察者の存在や観察行為が、被観察対象に影響を与えると考えられているからである。どのような場合にどのような影響をどれくらい与えるのかを係数化する程度のことは最低必要である。物理的問題を扱っているにも拘わらず、この点をキチンと作品化していないので、作品としての統一力に欠け、各プロットの提起した矛盾は、行きどころを失って漂っているのであるが、その実相をキチンと表現することもシナリオレベルで為されていない為、総てが中途半端に終わっている。レトリック面では観るべき点もあるのだが、論理が通った上でのレトリックでなければ観客への訴求力は弱いと知るべきである。作家も兼任している役者達は頑張っているのだから、以上の事に留意して、磨きを掛けて欲しい。そして、エクスキューズを程ほどに、状況を創造的に背負うことを考えて欲しい。

花と魚(劇作家協会プログラム)

花と魚(劇作家協会プログラム)

十七戦地

座・高円寺1(東京都)

2014/12/12 (金) ~ 2014/12/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

没入 

 いい芝居を観ると、自分は没入してしまうので、観劇後暫くはぼや~~~~んである。今日の「花と魚」もそうであった。観劇後、大好きな銭湯、小杉湯に入りに行ったのだが、下駄箱の札をロッカーに入れたつもりが入っておらず、探し回って大騒ぎ。貧乏人の自分は、一瞬、ヒヤリであった。それだけ、観劇後も茫然自失だったということだ。没入してしまうと暫く戻れない。それは、一所懸命に、作品と格闘しているからである。深い作品ほど、この度合いが強い。再演を1度拝見しているので、2度目なのだが、1度目より、深い所で今作を拝見できたと思う。そうやってみる度に新しい発見のある傑作ということだろう。(追記後送)

自己中カルテット

自己中カルテット

カミナリフラッシュバックスと、まの。

nakano f(東京都)

2014/12/11 (木) ~ 2014/12/14 (日)公演終了

満足度★★★★

ホントに起こったら 大~~~変!!(草チーム)
 足も体も臭く、社員全員からキモイと思われていた便利グッズ製作会社の社長が亡くなった。

ネタバレBOX


通夜の後、元アルバイトで女優に転身したはるか、社員でゴリラのような体型の山田、何だか落ち着きのない仁科、そして、こき使われていたさつきがスナックに飲みに来た。飲み始めは、他所行きの会話で場を持たせていた皆だが、この店の馴染み客で仁科の友人、AVファンの笠井が、はるかを見てAV女優と気付いてしまった。
一方、親戚が飲む酒やつまみが足りなくなって買い出しに出ていた社長夫人、ようこが買い物に出ていた仁科らをコンビニで見掛け、後を追って飲み会に参加していた為、笠井の指摘は、ようこを巻き込んで、本音トークが始まってしまう。更に、山田がはるかに想いを寄せており、直前、はるかと二人っきりになったタイミングでコクっていたのに、彼女に裏切られたと感じ、自棄を起こして社長とさつきが出来ていたことをばらしてしまう。等々、実際に起こったらトンデモの話満載!!
Guys In Wonderland(再演)

Guys In Wonderland(再演)

劇団ICHIGEKI☆必殺

シアターブラッツ(東京都)

2014/12/11 (木) ~ 2014/12/14 (日)公演終了

満足度★★★★

原作をよく読んで解釈

 開演前に丸首Tシャツを頭から被り、ウルトラQのジャミラのような具合に装った役者による寸劇あり。ビミョーにグロで笑える。内容については見てのお楽しみだ。

ネタバレBOX


 本編は、「不思議の国のアリス」と「鏡の国のアリス」2冊をベースにwonderlandを構築。ワンダーランドの総てを構築・維持する神の如き存在を巡って権謀術数入り乱れる様を描くメインストリームに対し、wonderland外部から兎の代わりのチェシャ猫に連れて来られた人間のカップルが現在のwonderlandの構築・維持者に関与するストリームが、ルイス・キャロルの原作を介在させながら展開するファンタジックな物語。
ブレメン

ブレメン

THE 黒帯

池袋GEKIBA(東京都)

2014/12/11 (木) ~ 2014/12/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

全体的なバランスの良さ
 サラリーマンの置かれている深刻な状況を、上手くコミカルな作品に仕立てあげて楽しめる。

ネタバレBOX

 登場人物各々の利害が、M&Aを巡る駆け引きの中で展開する為、緊張感が途切れないのも良い。シナリオ、演出、演技のレベルも高い。
 音楽的にも、ギターの生演奏を始め、パーカッションやトライアングル、玩具のピアノが効果的に用いられており、この作品の全体を構成するプロデュース・演出能力の高さにも、役者の演技力が高いことで得られているキャラの立った演技にも惜しみない拍手を送りたい。注目すべき劇団だ。
擬人カレシ~けもみみ大作戦!?~

擬人カレシ~けもみみ大作戦!?~

モノガタリ

新宿村LIVE(東京都)

2014/12/10 (水) ~ 2014/12/14 (日)公演終了

満足度★★★

琥珀を拝見 

 イケ面の男の子たちを使って目先だけ変えた出来あいの作品を構成するパターンだ。シナリオは、その割には甘い。演出もマズマズか。観客を巻き込む為のテクニックとして、ペンライトを客席に設置し、公演中何か所かで予め決められたパターンの中から、衣裳なり、多少のストーリーバリエーションなりを観客に選ばせて、恰も観客参加型舞台に見せ掛けるが、ホントに役者が観客を参加させるのであれば、インプロビゼーションの一環として、お題を頂き、即興で演じる程度のことはして欲しい。

僕のともだち

僕のともだち

劇団 でん組

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2014/12/11 (木) ~ 2014/12/11 (木)公演終了

満足度★★★★

時間停止
 10歳(小5)の内気な少年が校舎の窓から飛び降りた。母親は苛めが原因ではないか、と疑っている。一方、加害者側の中心となった少年の親は、母が辣腕弁護士、父が、投資顧問会社の社長である。息子が、下手をすれば家裁送致になるので、苛めは無かったことにして、飛び降りの原因を単なる子供同士の喧嘩ということにしたい。(追記後送)

フタリニミエタ

フタリニミエタ

Oi-SCALE

駅前劇場(東京都)

2014/12/10 (水) ~ 2014/12/15 (月)公演終了

満足度★★★

演劇の本質
は、他者との関係にあり!! にゃ!!!!~~~~~っつ! ふぎゃ!

ネタバレBOX

 演劇の本質は関係にある。無論、総てが関係の中に在るのであるから演劇についてだけそういうのはオカシイと論ずる向きもあろうが、ドラマがドラマティックであり得るのは、二項対立か三項対立という代表的な対立形式があればこそである。二項対立はデュアリズムに照応し、三項対立は弁証法に照応する。ドラマチックな総ての戯曲は、このどちらかに分類できるのではないか? 無論、有史以来総てのドラマティックな戯曲がである。
 総てが関係の中にあるのに、戯曲についてだけ関係を持ち出すのはオカシイと言う人々に対しては、こう答えよう。戯曲は、対立する関係を浮き彫りにする為にこそ、論理的に構築されるのであるし、その意味では、総ての関係に目配りをした上で、対立関係に収束させるタイプの芸術なのだ、と。
 この定義から、今作は若干ずれている。何故なら、明確な対立項目が主観の外に設定されていないからだ。結果、関係性はイマイチ不明確で不分明なものにならざるを得ない。登場人物のキャラクターが、総て、作者の影に過ぎないからである。これでは、各キャラクターが異質なものとしてぶつかり合うことが不可能である。自らの解析を通してキャラクターを析出するしんどさは理解するし、影が生まれてくる心理状態は自分にも経験がある故、否定したりはしない。然し、それならば、ベケットのように演劇の不可能性迄追求したら良いのだが、それもできまい。出来ない理由は簡単だ。ベケットは一旦、外の世界から、自分を見つめて作品をものしたが、本作の作者は外の世界から自らを観たことは無いように思う。其処が決定的な差なのである。一旦、世界に飛び出すべきだ。その上で本当の勝負になる。
時代絵巻AsH 其ノ伍 『白殉〜はくじん〜』

時代絵巻AsH 其ノ伍 『白殉〜はくじん〜』

時代絵巻 AsH

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2014/12/09 (火) ~ 2014/12/14 (日)公演終了

満足度★★★★

練られたシナリオ
勤皇・佐幕ものとしては、珍しく、登場人物に個性を持たせることに成功したシナリオだ。結果的にイデオロギーの厭らしさに流されないだけの魅力的な人物像を立ち上げるのに役だっている。演出も、自然な流れを作り出してグー。殺陣のシーンが、かなり多いのだが、これも全体的に上手い。殊に、斉藤 一(山口 次郎)を演じた黒崎 翔晴の殺陣が良い。

ネタバレBOX


人望厚かった会津藩家老、萱野 権兵衛を中心とする勢力の動きで会津政治を代表した視点も良い。当然のことながら、会津藩と縁の深かった新選組、長岡藩なども重要な役割を果たす。対するは、薩長の官軍である。朝廷を長らく警護してきた、会津藩にとって、朝敵の名は理不尽なものではあったが、朝廷サイドには、薩長によって漸く貧乏から脱することのできた実際の生活があった。この辺りのリアリティーを描いて力がある。このリアリティーは、矢張り家老職、山川 大蔵の弟・健次郎を、襲って来た官軍兵士から守る為に大怪我を負った、幼馴染の新太を「介錯せよ」と迫った斉藤 一の、戦争を知る者のリアリティーにも通じる。
ハッピーエンドがみえる

ハッピーエンドがみえる

劇団みずほ

千本桜ホール(東京都)

2014/12/09 (火) ~ 2014/12/10 (水)公演終了

満足度★★★★

明日は我が身
 今作、ビニールハウス等に住む人々からの視点で描かれている。一応、最低辺層ということになろうか。上を向くしかないのである。希望を持つ為には。だが、それは容易いことではない。

ネタバレBOX

現在の資本主義は、徹底した収奪は無論のこと、総てをその支配下に置く。少なくとも置こうとする。国家であれ、人物であれ、その他の如何なるものも。かくして資本こそ、この世の王であるかのような感を呈しているのが実情である。即ち、資本以外の総ては資本の奴隷なのである。このような構造の中で形作られるヒエラルキーでは、普通の人があっと言う間にホームレスになったり、中間層の人々が気付いてみたら底辺層になっていることは日常茶飯、最早常識でさえある。
 一方、一度底辺に落ち込んだが最後、差別され、排徐されるのが、これまた常識。更に自分達が普通であったという中間層意識が、底辺に「落ちた」自らを恥じ、こんな姿を知られたくないという感覚から社会復帰を難しくしている側面もある。
一方、ビニールハウスに住む人々が、撲殺されたり、集団のガキに襲われて命を落とす、大怪我をするなどということは頻繁に起こっている。ニッチもサッチもいかなくなって、なるべく目立たぬよう片隅にこうして生き、底辺に馴染んでしまった人々の多くは、自らの明日を、可能性を自ら閉ざしがちなことも確かであろう。その点に着目して描かれた今作の視点の良さと、底辺から世界を観ようという視線が良い。
 時代設定をオリンピック開催直前の首都に置いている点も良い。また、舞台美術が、詩的で時宜を得ている点も評価できる。役者たちもかなり自然な演技をしている。今後に期待したい。演出もストーリー展開に関しては、自然で合格点である。

人間ルネサンス 短編戯曲集

人間ルネサンス 短編戯曲集

ENGISYA THEATER COMPANY

シアター風姿花伝(東京都)

2014/12/08 (月) ~ 2014/12/08 (月)公演終了

満足度★★★

む~~う
15分程の短編2編を上演後、10分の休憩を挟んで35分程の短編2編という構成なのだが、全体の構成には余り脈絡が感じられなかった。それに、1日公演という形を採っているにしては、シナリオ・演出、役者もこなす大村氏のエクスキューズが多いように思う。生まれ変わるなり、再生するなりがルネッサンスなのであろうに、何処から何処へ行こうとするのかを感覚的に追えなくはないが、もう少し理屈で根幹を決め、全体を構造化して、主張をハッキリさせて貰いたい。
 また、大村氏に関しては、存在感だけでなく、劇空間の総てに対して、意識の網を張り巡らせるような手管が欲しい。その辺りの劇空間把握力に関しては相手役の八木 麻衣子さんの方が、優れているように思ったが、演出家が女優に負けていては拙かろう。

スノードロップ

スノードロップ

みどり人

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2014/12/05 (金) ~ 2014/12/10 (水)公演終了

満足度★★★

がらりと変わる花ことばの意味
スノードロップ、花言葉は希望。但し、誰かに送るとガラッと意味が変わる。

ネタバレBOX

一、二話で、この花に纏わって鬱憤を晴らそうとしていたのは、ライフトラベル課長の渡辺 浩二の妻、花音であった。然し、福岡にかつて居た部長の塩谷が、この大塚ビルの営業部長として転任して来てから、スノードロップで怨みを晴らそうとする主体が変わった。このビルで清掃の仕事をしている矢野 富貴子にである。
 三、四話は、それは何故か? が明かされてゆく主筋に様々なタイプの恋とその悩みが絡まりながら展開する。
Musical PUB

Musical PUB

ステージパートナーズ

ラゾーナ川崎プラザソル(神奈川県)

2014/12/06 (土) ~ 2014/12/07 (日)公演終了

満足度★★★

 チームCを拝見

 トニー賞を受賞したり話題になったミュージカル作品で使われた歌を1曲選び、生演奏を背景に歌われるミュージカルのオムニバス。歌い手によって技量に大分差があり、技量の高い者については、心地よいものであったが、イントロで明らかに合っていない者もいたのが残念。リハーサルをもう少しキチンとやっておくべきだろう。(追記後送)

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