
ツアー演劇「コノハナ・アドベンチャー2」
劇団子供鉅人
此花区梅香(大阪府)
2013/03/22 (金) ~ 2013/04/01 (月)公演終了
満足度★★★★★
これからちょっと猫を撫でてから同じ海沿いのカナリア条約に向かうので・・
細かい感想はあとで書きます(汗
もっかい観たいけど、また観たいな・・日曜日は全滅か・・。
自宅のガレージでごそっと組み上げたみたいな妄想ガジェット(ヴォネガット讃(笑
大阪の海沿いの街で始まる妄想アドベンチャー。
これから雨ふりそうだから、夜の回の人はかさ持ったほうがいいかも。
一週くらい間を開けてから、武士っぽいカッコとか仮装して自分ももっかいこの馬鹿騒ぎに陳列してまちなかの人たちに奇異の目で見られに行きたい(笑
こんな不思議な煙突があちこちにあるガチ下町が身近な大阪の人たちが羨ましい。
未来は此花の今!(あとポンバシのあさチャンのあたり)・・原宿には無いから気をつけて(割りと本気(苦笑

せきようで、窓
meyou
コモンカフェ(大阪府)
2013/03/20 (水) ~ 2013/03/20 (水)公演終了
満足度★★★★★
窓
雨の中崎町。
ちょうど自分も宿の窓から外の雨をうらめしく思いながら
買ったばかりの靴に撥水スプレーをかけてきたので、
頭を掻きながら(苦笑
自分と外の世界を隔てる
四角い仕切りを自由に行ったり来たりする仕草を眺めてみた(笑
考えてみれば、猫って
人間にとっては潜り抜けることなんて殆ど無い
窓を、まるで人間の戸みたいに自由に出入りする(たぶん)唯一のいきものだから、
動きが自然、しなやかに、猫っぽくなるのも道理なのかな(笑
大阪の雨はもうじきやみそうです。
そしたら自分もズボンを晴れ用に履き替えて、
猫カフェにでも出かけようかな・・人間の出入り口を通って。

ドリルチョコレート「真ドリル」
MCR
駅前劇場(東京都)
2013/03/18 (月) ~ 2013/03/19 (火)公演終了
満足度★★★★★
日程的に絶対無理かな、とDMが届いたとき思ったけど
先週仕事を頑張ってなんとか当日券で観れた(笑
期待通りやっぱり面白かった。
(昭和の)プロレス好きにも良いだろうけど、そうでない人も楽しめると思う。

馬のリンゴ 【3月15、16日 アフタートーク決定】
ワワフラミンゴ
神楽坂フラスコ(東京都)
2013/03/15 (金) ~ 2013/03/20 (水)公演終了
満足度★★★★★
石を売る
ちょうど朝起きて爽やかな空気の中で、つげ義春の弟、つげ忠男の漫画をガッツリよんできたばかりだったので、
昼の神楽坂の、外をOLなんかが
「なにやってんだろ?」
とばかりに覗き込むカフェの中で
何故か無能の人チックな石売りの妄想日記が音読されるとは思ってもみなかった(苦笑
自分が中学生のころだったか、
無能の人の予告を古雑誌の中に見つけて、
つげ義春の石を売る男の物語に対する
劇画ファンたちの静かでアツい期待をヒシヒシと感じ、
これってどんな話なんだろ?まさかホントに石を拾って売る話じゃあんめぇな、
と思って現物を見たら、まさにその通りだったので(苦笑
自分も洟水を垂らさんばかりに驚嘆し、
当時の漫画ファンたちの正気を疑ったものだった。
それから何年かたち、高校になるころには、
高校から渋谷に自転車で行く途中に北冬書房に寄って
つげ忠男や鈴木翁二の載ってる漫画を手に入れたりしていた。
で渋谷のタワレコで友達とヒップホップやフレンチポップやバロウズと並べてつげの凄さに驚嘆したものだった黄金の90年代(笑
まぁ、そういうのとはぜんぜん違うんだろうけど、
偶然かもしれないけど、
若い女性がつげ義春なんかを読むのは良いんじゃないかと思うよ(笑
それを真似る必要は全くないけど(笑
少なくとも、普通の生活を送りながら片隅につげ義春の本を置くのは
悪くないと思う。
外国に行かなくても、
多摩川の河原でも幸せの一かけらは見つかるかも、という気になったりするから(実際に見つかるとは全く限らんが
※ちなみに日記を音読するのは物語のほんの一部で、
特につげチックな登場人物が頻出するわけではないので安心してください。

一遍~天演出編~
風雲かぼちゃの馬車
インディペンデントシアターOji(東京都)
2013/03/14 (木) ~ 2013/03/17 (日)公演終了
満足度★★★
・・・これは、ファンタジー?
観ていて途中から気づいたのだけれど、
これってファンタジーだったんでしょうか?
自分も一遍のことは道後温泉の方に行ったり
高野山に行ったり・・
あちこち史跡をみているとたびたび見聞きすることがあったり。
大昔の人たちの感覚って、明治以前と20世紀になってからとではハッキリわかれていて、
基本的には同じ土地に住んでいるだけで
頭の中は完全に異国の人と考えて間違いはなく、
当時の人の考えを知るには歴史を本を読んでもイマイチ分からないので
でも高温多湿の日本で鎌倉時代の木造建築物って言ってもほとんどなく・・(苦笑
鎌倉時代の建物に行って何時間も過ごしたりもするけど、
ホント分からないことだらけだよなぁ・・。
木に塗られた色だって、当時はどうだったかと一生懸命想像してみてもどれだけ近づけるのか・・。
江戸時代どころか明治時代の人の日記読んだって異国の話みたいに思えるのに(その時代の人たちがまだ生きていることがいまだに自分は信じられない

音楽家のベートーベン
ダックスープ
こまばアゴラ劇場(東京都)
2013/03/14 (木) ~ 2013/03/26 (火)公演終了
満足度★★★★★
訳すと青&空(☆にしなかったのは青☆組に気を遣ったのだろうか
良く考えれば東横線住民には王子よりよっぽど不便度が上がっていたアゴラに何となく向かい、
渋谷の人ごみでウロウロして当日拳の分際で10分遅刻したが(汗
何の苦も無く世界に入り込めた☆(途中から観てもOKなのがこういう舞台の良いところ(ストレートなストーリーもの(ファンタジーなど)も好きなんだけど、世界観を作り込んだ作品ほど、遅刻した瞬間に物語についていけないのが確定してしまい、折角大阪まで行ってもその瞬間に全ての苦労が水の泡になってしまったりするのは頂けないと思ったりする。その点、ナンセンスは遠征に強い☆
平成生まれには
「こんなん昭和の世界の出来事じゃないか!」
と言われそうだが
たまに仕事帰りに友路有(浅草の昭和な喫茶店。2階なので窓からアーケードの昭和な商店街がのぞけたりする)よったりして
浅草の町をぶらぶら歩きまわってからなってるハウスになんとなく向かっていくのが大好きな自分にはガッツリツボでした(そこまで昭和感は無かったかもしれんが
6のつく日に薄皮たい焼き たい夢のお店でどのたい焼きを何個買おうか迷う位のトキ☆メキはあったように思います(ちなみにスイーツ番長のイタリ餡はまだ食べられておりません(涙

若手演出家コンクー2012 最終審査
一般社団法人 日本演出者協会
「劇」小劇場(東京都)
2013/03/05 (火) ~ 2013/03/10 (日)公演終了
満足度★★★★★
「公開審査会」・・長寿の秘訣はギャフンから~
難しいところだなぁ・・(苦笑
審査員の言うことは皆もっともだと思う。
皆舞台が好きで好きでしょうがないんだなということが良く分かった!(だから若い人たちが捨て身に見えないのが歯がゆいのかな
要は、今回は意外とず抜けた作品が出そうで出なかったのカナ・・(最後まで聞いてなかったんで分からないケド
広島・大阪の作品も、上演時間30分だったら分からなかったかも。
(コンクールでは30分以内にまとめることが重要。考えてみれば、就活の面接で30分も持ち時間があることなんてないんだから、30分って自分を見せる時間としては結構長大。35分以上だと、かえって「自分の持ち味を熟知してない」と判断されてしまう。審査員はどっぷり世界に浸かりたいファンでは無いんだからなぁ・・
鈴木アツトさんの作品も、きっちりまとめ過ぎて損をしていた気もする。
設定をもう少し普通にして面白くするか、
もっと馬鹿馬鹿しくするかの思い切りが足りなかったなぁ。
チョコレートケーキは・・空調を入れてくれないかな・・(本気(汗
最近どこも空調を入れないのが流行りなのか、
仕事帰りに観劇で蒸し風呂に突っ込む可能性があるというだけで
ビビって、他の舞台まで行く気がなくなってしまうなぁ・・
アゴラみたく暑かったら外出て、
隣のショップ99で飲み物買って1階でテレビ中継観れる環境だったらまだマシなんだけど・・(苦笑
自分は、外国が舞台の作品は、
「外国語から翻訳して日本語の台詞にした」
感が最低限必要なんじゃないかと思ったり、もしくはパラ定みたく
「妄想し過ぎて完全に自分の世界」
にした方がなぁ・・。
凄い作品なら暑さも気にならないものかもしれないが、
自分はいまだそのような作品に出逢ったことが無い(苦笑
同時期の上演だと、
演出なら、遊びに満ちた「人工vs自然」、
作品としてなら、人間モドキの暗躍する「寝惚けた日記帳」
の方が面白かったなぁ・・。
皆、固くやろうとし過ぎてかえって小さくまとまってしまった感あり(苦笑
役者は皆、熱演だっただけに残念(「箱」はもう少し熟達するか演出で魅せる工夫が欲しかった
公開審査会が一番面白いというのはどうだろうか(苦笑
一度作ったスキームに満足することなく、
それを笑い飛ばして打ち砕くパワフルな作品があれば
もうその時点で勝負はついていただろうにと思うとちょっと残念。
あと、掘り下げがイマイチだったり。
あと、セレクションの時点で傾向が見えなかったので
最終選考の基準も分からなかったんではないかと思ったり。
老人たちは、みんな荒々しいパワーに飢えてるんだと思う。
・・そうなるとサリとチョコに絞られてしまうからな・・で、サリ氏は上演時間長くしたためパワーもちょい削がれてしまったと・・惜しいなぁ。
審査員の誰かが
「短かった初演の方がスリリングだったんじゃ」と言っていたけど
↑実は自分も内心思っていたけれど、ここには敢えて書かなかったのだが(苦笑
作者がどう思ってるかはともかく、審査員にはお見通しだなぁと思ったり。
パワーあっての技巧だからね。
野獣みたいの来ないカナ。
野生の獣のように、全てを削ぎ落として逞しい筋肉だけ残った飢えた生き物みたい(舞台の話です)なの。
自然の生き物って美しいから、ああいった骨格に似た舞台作品を観たいと常々思っている。で人一倍繊細な(欲張りでスミマセン(汗
誰かアイツラをギャフンと言わせろよ。
そしたら彼らも強風に吹き飛ばされて喜んでる女子高生(きのう実際に渋谷でみた(笑)みたくキャッキャ言って大喜びすると思う(笑

人工vs自然
日本パフォーマンス/アート研究所
Vacant(東京都)
2013/03/09 (土) ~ 2013/03/09 (土)公演終了
満足度★★★★★
基礎編
応用編は無理だったけど、基礎編だけでもとても見応えがあった。
演出と言う面を考えてみても、
ライブ中に電話がかかってきて作業を中断して話をしたり、
いろんなアクシデントや遊びがあって
パフォーマンスとしても十分楽しめました。
台詞を喋る役者が出ていなくても十分に舞台作品として成立しているところが面白い(笑
やっぱりvacantは面白そうなものに目を付けるのが上手いなぁ・・。

focus#3 円
箱庭円舞曲
こまばアゴラ劇場(東京都)
2013/02/28 (木) ~ 2013/03/11 (月)公演終了
満足度★★★★★
人にもよるのかな・・
演出に遊びがあって、滅茶苦茶楽しめた感(笑
若手演出家コンクール選考会途中で抜けて行ったけど、悔いはない(苦笑
通常の公演では、
「ストーリー6、遊び(よく目を凝らすとそうとわかる感じ)4、ドラマは意図して省く。ま、いんでない。こんな芝居あってもサ」
な感じな気がするケド、
今回は
「ストーリー0(ま、一応あるなって程度)、遊び6、魔法(使い)4。あとは実人生の1/3程度のドラマがあればいい」
な感じカナ。
要は凄く、凄~~く好みです(一般受けはしないかもしれないが(笑
もし、仮に、
高架下に掘っ建て小屋でも作って、そこで爬虫類を飼って暮らしたとしても、
これよりはドラマチックな人生だったかもしれんよ。
・・でも、ま、いんでない?

寝惚けた日記帳
劇団ハーベイ・スランフェンバーガーのみる夢
インディペンデントシアターOji(東京都)
2013/03/09 (土) ~ 2013/03/10 (日)公演終了
満足度★★★★★
観に行って良かった
なんとなく予感がして、予定を無理くりして観に行って良かった。
イキウメの「散歩する侵略者」の初演を初めて観たときのような感触。
場面の限定された会話劇なのに、飽きずに観れた。
夢の描写が、いわゆる不安系とか、そういうんではなしに
メビウスと原宿系が合体したみたいな(笑
甘くてカラフルなイメージとか、
南Q太の漫画に出てくる夜みたいなイメージだったりするのが新鮮だった。
別にいちいち説明しなくても、ブレイクする要素が全て詰まっている(笑
敢えて売り込まなくとも、自分がチケ手に入らなくなる日は近そうだ(苦笑
頑張ってエンゲキを若い人たちに広めてください。

若手演出家コンクー2012 最終審査
一般社団法人 日本演出者協会
「劇」小劇場(東京都)
2013/03/05 (火) ~ 2013/03/10 (日)公演終了
満足度★★★
「親愛なる我が総統」
こういうのは、観る人の人生観によって評価が大きく変わる作品ではないかと思う。
例えば目の前に言葉も通じないし習慣も違う、マスコミをみる限り野蛮で敵意に満ちた異なる民族の一人がいて、
ソイツを殺さないとお前を殺すぞ、と同じ国の人間に言われたとする。
自分は、歴史も文化も自分の国を心から愛していて、
マスコミの報道によると今、その異民族に滅ぼされようとしているらしい。
家族もいて、自分が死ぬと裏切り者として罵られて路頭に迷うかもしれない。
涙を流し謝りながら殺す人間がいる一方で、
自分と同じように泣き笑い苦しむ人間を殺すくらいなら死んだ方がマシだと
自分の中の神に従って迷わず死を選ぶ人もいる。
どちらに感情移入するかで、評価は分かれると思う。
自分は強力な軍隊を作り上げたドイツ人の言語より、
何のまとまりもなくすぐ侵略され、
ロマンの血が滾るポーランド人の言語を迷わず学びたいと思った。
殺す側に多少でも感情移入するということは、実は極めて危険なことのような気がする。
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人間である限り、誰かが誰かより生きる価値があると信じる理由はない。
教養があろうと無かろうと、
自分の命が、目の前の人間を犠牲にしても守られる価値があると信じる人間(政治家など)だけが、
他のすべての人間に劣る。
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そのことをハッキリと認識するようになったのは、
昨年のFTのヨッシ・ヴィーラーのレヒニッツあたりからなのだけど・・(苦笑
ただ、そのヨッシ・ヴィーラーも実は銀行に支配されたスイス
(報道自由度ランキングは上位だが、資本主義に対する懸念の発言は封殺される表現の自由の無い国
の出身なので、反ナチスの姿勢も多少は割り引いて考える必要があるかもしれないけれど・・(苦笑
ただ、被害者の声というのは割と通りやすいけれど、
加害者の声と言うのは聞かれないことが多いので、
そういう意味では上演する価値がある気もする。
出来ればドイツ軍とかじゃなく、
もっと最近の、アメリカとニカラグアとかそういったところを観たい気もするなぁ・・。
エルサルバドルの司教やなんかを殺害した特殊部隊を育て上げたアメリカ軍の兵士たちが、
「悪魔と呼ばれながらも実は人間」
的な存在として描かれたり・・って皮肉。
※ちなみにナチスとかユダヤ人虐殺などは自分もずいぶん昔から興味があって
本などを読んだりポーランド語を勉強したりしていたので、
割と自分にとっての題材の新鮮さが少なかったりとか、
あるいはポーランド人同士の会話から、
「これはポーランド語にしたらどういうイントネーションになってるんだろうか、
逆にドイツ人にドイツ語で質問してるときとの言葉の差が
感じられないナ」
・元はそれぞれの言葉で話しているため、
ドイツ語とポーランド語での元の会話を念頭に置きながら、それを日本語に訳していることをイメージする必要があったりする。自分も言葉を勉強したとき分かったが、ポーランド人にとってのポーランド語というのは、非常に重要な要素で、一般の市民の手紙の一つ一つが、日本で言うなら昔の作家のような言い回しを使っていたりする。
とか、わりと一般の人にとっては小さなこと(と言っても自分にとっては大きなこと)が気になってしまうので・・(苦笑
↑これが「演出」という面でどうしてもマイナスになってしまうこと。テキストは変えられなくとも、言葉の違いを観客に明確に分からせるような演出上の工夫がどうしても必要だったんじゃないだろうか。繰り返し言うようだけれど、ドイツ語とポーランド語の違いは非常に大きい。ドイツ語と違って、ポーランド語のように非実用的な言語を誇りを持って話す(生み出すのは数学者やピアニストなど)国で、科学技術や強固な軍隊を生み出すドイツとは大きく異なる。ドイツ人とポーランド人との違いをもっと分かるようにする必要があったのではないかと凄く思った。
ミシェル・トゥルニエの「魔王」ぐらいぶっ飛んだものだったら文句も無いんだけどな・・(苦笑
あと、メチャクチャ暑かった(汗
個人的には、(地方の)日常のシークエンスを上手く舞台の中に編み込んでいるという点も含めて、
やっぱり当初の予想通り大阪・広島の2作品に
(自分の中では)絞られたカナ、という気がする。
本当なら、ここにピンク地底人を含めて3作品位でちょうどいいんじゃないか、と思ったりする。
東京の2作品に思ったより演出上の遊びが無く、ちょっとがっかりしてしまった、正直な所(あくまでコンクールなので、今回だけは正直書きます、スミマセン(汗

若手演出家コンクー2012 最終審査
一般社団法人 日本演出者協会
「劇」小劇場(東京都)
2013/03/05 (火) ~ 2013/03/10 (日)公演終了
満足度★★★
「青鬼」
物語としては凄く面白い。
地方の2作より面白いのではないかなぁ。
ただ、このコンクールは(他の時にも大いに言えるのだけれど
どの作品を先に観るかによって印象がだいぶ変わってしまう。
前日に「箱」を観て、脚本の色をコラージュする演出的な面白さに触れてしまうと、
舞台上に水槽を配置するだけの「青鬼」の演出では物足りなくなってしまう気もする。
脚本が面白く、特徴的な女優・男優にも恵まれたため
シンプルに魅せて、食材の良さを最大限に堪能させたい気持ちは非常に良く分かるだけに、辛いところだなぁ・・(苦笑
これからまた下北行ってきます。入れるかな・・。

若手演出家コンクー2012 最終審査
一般社団法人 日本演出者協会
「劇」小劇場(東京都)
2013/03/05 (火) ~ 2013/03/10 (日)公演終了
満足度★★★★
「箱」・・お洒落な小品
HPをみたら最後に選出が決まったというので、正直ちょっとナメてる部分があったことをここに告白しておきます(苦笑
ただ、観てみてその先入観は間違っていたことがはっきり分かりました。
ピンク地底人と本選を争ったというので、
「ピンク地底人(こちらの公演も観ています)と一緒に議論される」という作品が
どんなものかな・・と気にしながら観てみると、
なるほど、ほんのちょっと似ている気がする(笑
よく見ると全然違うのだけれど、
アフタートークを聴いて、
「どことなくちょっと似ている」と感じた理由がなんとなくわかった。
ひとつひとつのシークエンスの長さ、つなぎ方がちょっと似ている気がしたのだ。
もちろん、良く見ると全然違うのだけれど。
この作品は題名にもハッキリ分かる通り「箱」を題材にしている。
その視覚的な分かりやすさ(テーマはともかく(笑
が、ほんのちょっとピンクに先んじた理由かもしれない。
ただ、その分かりやすさゆえに、
ピンク(「長い人生の陰影」とでもいうべきものを音でザッピングしたものと自分は捉えました)とでは
微妙に好みが分かれ、選考現場では票が分かれたのではないかな、という気がした(推測です
この作品自体は、まだ4作品観たわけではないのでハッキリとは言えないけれど、
多分他のどの作品にも劣らない作品であろうと思われます(何となくピンク地底人がなければこちらに票が集まっていたようにも思うので。それはピンクにも同じことが言えますが(苦笑
別にこのまま優勝しても何らおかしくないと思いました。
それくらい、洗練された作品であるように思われました。

若手演出家コンクー2012 最終審査
一般社団法人 日本演出者協会
「劇」小劇場(東京都)
2013/03/05 (火) ~ 2013/03/10 (日)公演終了
満足度★★★★★
「絶対の村上くん」
今回の作品は自分は一度大阪で観ていました。
なので、以前と比べて作品がどう変ったかは勿論、東京の観客の反応も少し気になったり。
物語の構造としては非常にシンプルな二人芝居なのに、
だからこそというのか、
心理的には非常に複雑な愛憎が絡み合い、
どこまでが現実で、どこまでが夢なのか分からない作り。
少し、年末に春風舎で山崎氏が上演していた「マボロシ兄妹」を思い浮かべたり。
今回観て、改めて作者の独特な世界が良く分かった気もする。

春.一夜にして
KARAS
シアターX(東京都)
2013/03/03 (日) ~ 2013/03/04 (月)公演終了
満足度★★★★★
春
そういえば生前、工藤先生に
「一番好きな作家は?」と聞かれて迷わず「トルストイ」と答えた気がする。
それを聞いた工藤先生は残念そうに「シュルツはどうだい?」と言った。
シュルツはとても良い。ポーランド語の凄さを引き立ててくれる。
現在の、味もそっけもない日本語より遥かに詩的な言語を当時自分は発見した気がしていた。
それでもなお、トルストイの真っ直ぐさ、明るさが自分の心の中にいつもあった。
工藤先生はその後も何度もシュルツのことを口にしていたと思う。
先生が死んでから、自分はシュルツがずっと好きになった気がする。
自分にとっては、たぶん他の多くのポーランド文学愛好家と同様に、
シュルツと工藤先生とは不可分だ。
劇中にたびたび訪れる闇の中で、
昔通っていた今はなきマヤコフスキー学院からの帰りの夜道を思い出していた。
工藤先生もそこでポーランド語を教えてくれていた。
先生はお金持ちには見えなかったが、口の中にはとても豊かなリズムが満ちていた。
大企業に勤めてお金儲けのことばかり口にする人たちには、一生手の届かない世界が、その向こうにあることがまだ若い自分にもわかった。
世界は詩で形作られている。
勅使河原氏の手が描き出す、闇夜の蝶が現れては消える様子。
2匹の蝶が現れては消えるのが、シュルツとゴンブロヴィッチのように見えた。
次に見えた蝶は工藤先生のようにも。
作品を生み出した人びとも、その作品たちをこの国に伝えた人も、今はもうこの世になく。
ただ、その言葉を風のように体の上にのせ、糸のように舞台の上に紡ぐさまを眺めるばかり。
瑞々しさとは何なのか?
人間の生命力というのは、死を引き立てる花に過ぎないのか?
あるいは逆か。
シュルツは灰色のこの世界の一瞬を、永遠のように引き伸ばし、広げ、
冬と春は一夜にしてせめぎ合い、
やがて冬は過ぎ去るが・・
それは夢の中で語られる物語のようでもあり
やがて物語は、混沌のなかで
世界の「価値が創られている深部のプロセスを記録」する・・。
シュルツとウィトゲンシュタインは似ている。
ふたりとも長い冬を生き、世界の測深器(ゾンデ)になろうとした。
シュルツはウィトゲンシュタインやゴンブロヴィッチのような天才ではなかったかもしれないが、天才ではなかったがゆえに、誰も到達できなかった刹那の最深部に到達できたと見ることもできるのかもしれない。
ゴンブロヴィッチもシュルツのその素晴らしさを十分に理解していたからこそ、お互いに尊敬しあっていたのだろうと思う。
もし、若手の演出家の人で、他の若いうちから活躍する作家に比べて自分が劣っていると思ってしまう人がいるとしたら、それは大きな間違いだと思う。
一瞬にして全てを見抜くような能力と言うのは、世界を測る上ではマイナスになる。
例えば世界の価値とでもいうものは、往々にして一冊の哲学書より多くを一体の仏像の中に見出せるものでもあるように自分には感じられるから。
同じ仏像を何年も見続けることなど、天才には難しい。

ギプス不動産
あひるなんちゃら
駅前劇場(東京都)
2013/02/27 (水) ~ 2013/03/03 (日)公演終了
満足度★★★★★
熱演?
なんかいつものあひるなんちゃらっぽくない?
熱演ていっていいのか
本気でおかしくなってるのか分からない位いっちゃってる登場人物たちのなかで、
マトモな人たちばっかり貧乏くじを引いてるフシギ(笑
ツッコミどころ満載なのにみんなあまりにさりげなく、風のように
あっちの世界に入り込んでしまうので、
自分も舞台の他の登場人物同様にあっけにとられて
(心の中で)突っ込むスキを忘れてしまいそう(笑
コイツ、ボケてるふりをしてわざとやってるんじゃないの・・?
と思いながら、果てしなくボケ続けてるのを見て不安になり
自分の方がおかしくなってるのか、
自分も果てしなく突っ込んでるほうの登場人物になりかわって
口に出してソイツの不審さを口に出して確認できればどんなに良いか(苦笑
でも、あひる特有の
「いつの間にか夢に入っちゃった」感が時折覗かせたりして
ネバーエンディングストーリ―さながらに
「永遠にボケ続ける物語」の展開し続けるマコンド病院の、
でも怖いというより
どこかゆるくヌケ続ける
フシギなゆるふわっ感は健在で、
笑いながらも間違いなく終劇を迎える70分の夢の世界に身を浸してみたり。

HIPHOP侍vsレゲエ侍
男肉 du Soleil
シアター711(東京都)
2013/02/25 (月) ~ 2013/02/27 (水)公演終了
満足度★★★★★
FEEL
なんか知らんが観客がいっぱいいた。
ちょっと前に代官山ユニットでみたERAとかがでてたイベントより人がいたんじゃないかという気がした。
・・いや、そんなこたぁないか(笑
でも、それくらいいっぱいいいた。
ゲームセンター寺尾@東大阪市(勝手なイメージ
も、下北で結構やれるんだぜ。みたいな(笑

ルル
東京芸術劇場
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2013/02/27 (水) ~ 2013/03/03 (日)公演終了
満足度★★★★★
野生生物博覧会
文字通り人間世界における
人の顔をかぶった?野生生物たちの饗宴を、
サッカー専用競技場のゴール裏のような客席で
眼前のリアルバウトを臨場感たっぷりに観られるのが素晴らしい。
日本の劇場もサッカー専用競技場的なこの観客席を見習って
もっと臨場感のある客席を考えて
より盛り上がる仕掛けを編み出した方が良いんじゃないかと思う。
毎日観ても良い位だと思う。
前売りは完売だけどちょっとずつ当日券も出てるみたいなので
まだ諦めるのは早いと思う。
観客全員が複数回観ていると、
客席も盛り上がりどころが分かってきて
劇場全体に一体感が生まれてきたらもっともっと伸びそうだ。
演出の人の監督した映画も見たけれど、
この方は、もう死んでしまった人びとの魂に
生命力を入れて膨らませ、
躍動感漲るスペクタクルな法螺話に仕上げるのが非常に巧いのかな、と思った。
「ファウスト」が日本に上陸するならぜひ観たい。上海やソウル位だったら
足を延ばして行っても良いかもしれない(P2.5や治安が不安だけど(苦笑
肉食の文化の作品という感じなので、
サッパリめの作品、ジャニーズ的なJ-POPじゃないとダメな人には
ちょっとキツいかもしれない(念のため

ふりつけされたえんげき『君の知らない転び方』
ホナガヨウコ企画
こまばアゴラ劇場(東京都)
2013/02/16 (土) ~ 2013/02/25 (月)公演終了
満足度★★★★★
その日はわりと面白かった。
ダンスをみた、というだけでなくその日はわりと面白かった。
舞台をみる、ということがその時の気分によっても大きく左右されるから。
開演ぎりぎりに当日券で入ったら、入り口の近くの一番端っこの席で、
舞台をみるにはわりと見切れてちょっと、というところだったけど、
あとで考えてみるとそれも満更でもなかった。
作品は非常に練られている、という感じで、
何気ない日常の動きを音楽にするみたく、
音楽を物語にするみたいに。
夕暮れの
日が沈む前の景色を
昼の国の女の子から夜の国の女の子への手紙のなかに
溶かしこむように。
ちょっと見にくいけど、ま、いっか、と思ってるとそこにちびっ子(女性)がひとり。
出口の扉を開けようとしてるんだけど開かない。
男としては、目の前のレディの膀胱破裂の危機(推測)を救わなければとやわら立ち上がってその子の頭を撫でてカッコよく押したつもりがビクともしない(苦笑
必至になりながら鍵を何度も回して押したり引っ張ったりするが動かない。
女の子は泣きそうな顔をして母親のところに行き、母親と一緒になって劇場のスタッフに電話をかけてやっとドアは開いた。
自分はわりと汗だくになった(苦笑
終演後にそのちびっ子の母親なのか関係者っぽい女性が、
さっきはありごとうございますと言ってくれたのだけれど、
自分は全然役に立たなかったので、
「頑張ったんですが、すみません、開けられなくて」とか何とか言ったような気がする(なさけな(笑
ちょっとビックリしたのは終演後のアフタートークでその女性がゲストだったこと。
ちょっと笑った。
終演後、近くの古本屋で物色していると、さっきの女性らのグループがこっちのほうに呼びかけてるみたいで、
何かな、と思ったら、さっきのちびレディが本棚の向こうにいたらしく(その古本屋には絵本もあるのだ)見えないけど、
声が上がったなと思ったら、ぴゅうと出て行った。
なんかさっきの様子と違ってすっかりピンピンしちゃって子供っておもしれーなと思った(笑
なんか、そんなことをぼんやりと思い出してみると、その日はわりと満更でもなかったかな、という気がした。
ちなみにその古本屋では、自分は絵本でもファンシーな何かでもなく、
戦前のアメリカのシアターギルドの本(そこは洋書が多い)を買った。
自分にはあんなちびっ子みたいな可愛気は一生できないな、と思った(昔からこんなだったのだ(苦笑
感想と言って良いんだか分からないケド、
自分にとってこの作品の想い出は、手に汗握る(笑)膀胱破裂の危機の回避と
密接な関係があるように思われたので、何となく書きます。
でも、ダンスをみる、ということは、作品を分析するためではなく、
「その日がわりと満更でもない」ことのしるしのためであるようにも自分には思われ
こんなちいさなアクシデントも評価に含めちゃっても問題ないようにも思われるのです・・。
必至になってノート片手に作品分析してたら、
こんな感想一生かかっても書けないからなぁ。
俺は・・・まぁ、立派なことを書いて人から評価される人生より
こんなふわっとした人生の方が良いや(仕事はしっかりやるが(苦笑

モー・ル・プラデック「Professor」
TPAM・国際舞台芸術ミーティング
KAAT神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)
2013/02/16 (土) ~ 2013/02/16 (土)公演終了