マリア 公演情報 Straw&Berry「マリア」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    土日の雨で水を含んで落ちた庭の紅い躑躅を拾いながら思ったこと
    これは中高生に観て欲しいと思った。

    以前に大阪のどっかで
    別にカッコ良いと言うほどでもない中途半端な音を鳴らす
    それほどカッコ良いとも思えないバンドに
    知り合いの女の子たちがキャーキャー言ってる端の方で
    別の女の子たちがこの世の地獄みたいな顔をして恨めしそうに眺めていたのを見たときのことを思い出した(苦笑

    自分はそのとき、
    「この人たちの音に別に良さはないし、
    カッコ良いわけでもないと思うよ」
    とは彼女たちに言わなかった(逆に「良んじゃない」くらいは言ってたかも。他に言いようがないし、友達感覚なら(苦笑

    ただ、その子たちもその男たちのことなのか別の何かなのか
    あとでその周りでみてた子たちのような顔をしだして、
    「そーなのかな?」
    と、ぼんやり思ったことを覚えている(なんとなくだけど

    ・・まぁ、人生こんなもんだ(苦笑

    でも、それを冷静に描くのはなかなか難しい。

    同じようなことを繰り返す若い女の子は多いけど、
    自分は
    「後悔しないで前向きに進めば別に致命的ではないし良い経験になると思う」
    と内心思うけど、
    それを実際口に出して女の子たちに言うほど状況に詳しくもないし、
    逆に死ぬほど辛い言葉かもしれないと思うので
    敢えて口に出しては言わない。

    死んで灰になったりするよりは生きて血の廻った体でいる方が
    余程良いと強く思うのだけれど、
    そうでない子も結構いるようだ(苦笑

    土日の雨で水をふくんで地べたに落ちた真っ赤に色づいた躑躅を拾いながらそんなことをふと思った。

    ・・まぁ、それがメインテーマかはよくわからんが。

    ネタバレBOX

    開演後1時間半は死ぬかと思った(苦笑

    どこにでもありそうな展開は退屈でもう終わったとさえ思った。

    ただ、最後の30分ほどの怒涛の展開もまた予想外だった。

    薄っぺらにも見えた物語がシーソーゲームのように視点が五転六転していく(最終的に何回転がったのかもよく分からない(苦笑

    前半部では、主人公を振ったまりや(30歳・女性)の方が、主人公(22歳・男性)の子供っぽさに飽きれることが分かりやすく描かれる。

    ところが、フラれた挙句女性の旦那を怪我させてしまい、事件になって事務所(河西裕介事務所と思われる)を首になってバンド活動を休止した主人公のもとに、やっぱりベースにフラれたバンギャ?のちょいフシギ系?の女の子がやってきて、二人が好きなマスコットキャラクターの「しろたん」(30歳のまりやは子供っぽさの象徴として斬って捨てた)をきっかけにしてくっつくところから、
    「ひょっとして真っ直ぐな主人公の方がまっとうなのでわ?」
    という気に、ちょっとだけなってくる。

    ところが、その主人公と彼女がくっつくと、その彼女を昔振ったハズのベースの様子がちょとおかしい。

    やがてベースが死んだこと(自殺?)をきっかけに主人公に彼女が別れを切り出してくる。

    実は、彼女はベースが死ぬ直前に彼と浮気をしていたようだ。


    「あの素晴しい愛をもう一度」 を安っぽく歌ってベースは死んだんではないかと想像してみた(ナオト・インティライミのようにとは言わないが(汗
    「死んだ人が実際の裏主人公である」という国分寺の法則(自分が勝手に読み取った
    に従えば、河西氏の分身はこの舞台ではベースではないかと想像してみたりした。

    彼女が別れを告げて出ようとすると
    主人公は泣きわめいて縋りながら
    「なんで自分の好きな人たちは自分から離れていくの?」
    と言うと、彼女は
    「みんな主人公のことが好きだから離れるの」
    と言って部屋を出る。

    これはいろいろ読み取れそうだけど、
    「真っ直ぐなままの主人公を見ていると真っ直ぐになれない自分の醜さ?を常に見つめなければいけないからそばにいるのが耐えられない」
    だと、自分は勝手に解釈してみた
    (これはおフランスの作家ロジェ・グルニエの得意技である。こういうのをたくさん読むと、実際にこういう場面に遭遇しても何とも思わなくなるかもしれない(保証はしない

    ここからの主人公の行動が意外だった。

    主人公は部屋を出ると血まみれにになって戻ってきた。

    自分は、ここまで片親で甘やかされてきたために(自分は母親には甘やかされた記憶が無いのでよく分からないが
    マスコットキャラクターのようにしてしか女性を愛せない主人公の様子が読み取れたので、
    てっきり育て方を間違えたと言って逆恨みして母親を殺してきたのではないかと思ってしまった。

    ところが、母親が後に出てきて(ここで殺されたのがさっきの彼女だったと分かる。ここでの時間差での描き方がとても上手い
    主人公は悪くないと言って彼を庇い(この描写からすると、父親は相当立派であったが甘やかされた主人公はただのクズということになる
    主人公は母親とキスする(描写がリアルなため気持ち悪さも倍増する(苦笑

    一方では、元カノのまりやが人付き合いの良さそうな関西弁の旦那と
    妊娠の喜びを分かち合っている。

    ここで幕が下りてstarrringが上映され、
    なんか後味の悪いラストだったな、
    河西裕介事務所とかthanksのとこに書いてあるけど、
    バンドを首にしたのってここ?

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    舞台美術の作り方もうまく、舞台美術の上の方が完全になくなっていて、
    セットの向こう側が見える。
    最初から「この物語は虚構の世界です」と宣言しているようなものだ。
    そのなかで物語の設定をさりげなく
    starringの上映のなかに持ち込んで遊ぶあたり(ホントに河西裕介事務所があったらスミマセン)どこまで本気か遊びか分からず面白い(笑
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    だとすると物語でバンドをハブるかもしれないと言われていた
    悪の?事務所の所長って河西氏かね?
    とか思っていると、
    最初のシーンに戻って、え、まさかの夢オチ?

    でも全然安易な感じはなく、
    良く考えればラストの非現実的なまでの怒涛の展開を考えれば、
    夢オチにした方が教訓としては呑み込みやすい。

    描写としては、夢オチ後のつなぎは初出時の流れとさほど変わらないが、
    夢の教訓を生かして、
    女性をマスコットキャラクターのようにしてしか愛せないただのマザコンとして終わるのか、
    これから自分から離れないようにしっかりと心をつなぎとめられるのかは
    彼の心次第であると自分は思ってみたりした。

    ちなみに、またしても知り合いの大阪ガールの例で悪いけど、
    最初に書いたのとは別の知り合いの「女子in Osaka」
    に、お袋と社交ダンスに通ってるって言ったら自分がマザコンだと思われていたのか(苦笑
    「マザコンの男は女の子に嫌われるで」
    とかおばちゃんぽく自分が言われた時のこと(つい先日)を思い出してみたりした。

    「・・マザコンとかじゃないと思うんだけどな。女の子に負担を掛けないように料理を勉強しろと言うし(あんましできない)、一緒にやってる社交ダンスも、女性のことを考えた動きを身につけるようにとの指示で、厳しいんだよ。でもやってみて良かった。世の中勉強になることばかりだ。・・今のところ嫁探しにはまったく生かせてないけど(苦笑」
    とかなんとか言ったっけな。

    別にウチのお袋は優しくはないが(津波になったら自分を見捨てて逃げろとは言うが
    自分は甘やかされて育ったとしても
    マスコットキャラクターのように女の子を愛したいとも思わないし
    そういう風に愛されたいと思う女の子に興味もないんで(ただ今のところその女の子の区別がつかないかも(苦笑
    逆に最終的に気持ち悪い結末になりかけたけど
    この物語のラストの夢オチの健全さにこそ救いはあると強く思ったりした(笑

    作品としては夢オチにしない方が評価が高いかもしれないが、
    フリッツ・ラングの「飾り窓の女」のように、
    観客を気持ちよく帰らせながら教訓めいた感触を持ち帰らせることも重要だと思う。

    Smells Like Teen Spiritのように、
    「灯りを消せば、危険は減る」?
    - With the Lights out,it's less dangerous -

    それは気のせいで、夢の教訓を現実に生かせなければ、
    人生の先もまた無いんだぜっ。

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    2013/04/22 23:22

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