キャッチャーインザ闇 公演情報 悪い芝居「キャッチャーインザ闇」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    関西で烏丸と子供鋸人を見てきた後だと・・
    烏丸ストロークロックの、地方の風景のザラザラとした感触や、
    昭和の街角からNASAめいた夢の景色へと等身大に広げた子供鋸人なんかと比べると、
    物語を語る巧さは悪い芝居の方が上かも知れないけれど、
    「京都の劇団」としての地の利(現在では東京より地方を舞台にした方が特徴が出やすい気がする
    を十分に発揮できたとは言えないような気がする。

    作品の完成度だけを見ると☆5つでもべつに良いかもしれないけれど、
    上記の2団体が、地方の風景を十分に生かし、
    東京の劇団にはとてもできないような地方色溢れる(しかし誰でも楽しめると思う)独創的な作品を組み上げたことで
    関西の劇団のこれからを期待させられた後では、
    ちょっと作者の頭の中だけで進行する感のある
    「マボロシ兄妹」チックな劇世界ではどうしても限界を感じてしまう。

    別にけなしてるわけではなく、
    今回も山崎氏と大塚氏を筆頭に、
    身体能力に優れた役者を並べ、スピード感あふれるストーリーテリングを展開できた手腕があるならば、
    もう少し特定なり任意なりの街角から感触を抜き出して
    作品の中に埋め込むことで、
    全体の質感が激変して
    一気に生まれ変わる可能性があると思ってみたりする。

    アフターイベントを観ていてふと思ったのだけれど、
    この作品のいくつかは、音楽を作りながら、
    その音楽からイマジネーションを得て作ったのかもしれないと思ったりした。

    それ自体は悪くない(スピード感が出たりもする
    のだけれど、どうしても全体を通じての作品の手触りが均一になってしまったりもする気がする。

    気のせいか、マボロシ兄妹の方が、もう少し現実のザラザラ感があったような気もしただけに、
    2時間の上演時間を擁するこちらは、
    全体としての質感にもう少しバラツキ(ファンタジーっぽかったりザラついたり
    があった方が皆満足するのではないかという気もした。

    ネタバレBOX

    テーマは悪くないと思う。

    ラストで3つの物語が結びついて、
    死とも誕生とも取れる光へとつながる。

    途中何度も「風」という言葉が出ていた気もするが、
    確かに母親の胎内にいる子どもは外の世界の風を想像するしかないものな、と思ったりもした。

    そう考えると、タイトルも意味深。

    ただ、そうしたテーマは寺山作品を持ち出すまでもなくよくあるものなので、
    女性の観客にはひょっとしたら「またか」と感じる人もいるかもしれない。

    自分も、ラストでハッキリ描かれていたわけではないけれど、
    「死」なのかな、と思ったら、これは「生」にも読み取れるな、とふと思って、
    それはそれで作品の質を低くするわけではないけれど、
    ただ、男性の作品の多くに、
    寺山作品の影響なのか
    母親からの誕生をイメージさせる物語が多少なりとも読み取れる気がする状況では、
    男性作家は逆にそうした読み取りを慎重に回避する作品作りを行うのが賢明なのではないかと思ったりもする
    (目線が重要で、イメージの上で自分が「父親として」子どもを奥さんと生み出すイメージは女性にもあまり抵抗はないだろうが、自分が「子どもとして」母親に生み出されるイメージと言うのは女性には抵抗があるのではないかと想像してみたりする。別に女性たちに直接聞いたわけではないケド

    男性は父親目線推奨(想像しよ

    作者の意図とは違う読み取りなのかもしれないけれど(苦笑
    作品全体の均一さがもっともっとザラついた質感とつぎはぎになってれば
    結末が同じでも別に何とも思わないんだろうけどなぁ・・。

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    2013/03/26 00:08

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