満足度★★
まず、唐十郎の戯曲作品を取り上げるという挑戦的な姿勢を評価したい。アングラの強烈な身体性と世界観に引きずられないようにしながら、自分たちの作品を構築するのは非常に困難であることがあらかじめ容易に推測される。それでもそれに挑戦するというのは、彼の作品の今後の展開を考える上でも重要な姿勢である。
満足度★★★
「戯曲の魅力・面白さ」を再認識できた観劇でした。瑞々しく、幻想的で、情熱に溢れた、言葉の数々。劇中のモチーフが「俳優」や「演劇」であり、その上で「私達はどう生きるか?」に迫る物語なので、観劇や取材を生業とする僕にとって惹かれる上演だったと思います。それを踏まえて、非常に悩ましいのは「『少女仮面』という戯曲の良さを審査にどう反映させるか?」でしょう。これが、劇団の特性や独自性を大いに取り入れた上演なら、演出面の高評価に繋がります。ところが、今回の上演は戯曲が元々持っている魅力を引き出すことに力点が置かれていると感じます。そのアプローチに反論する意思はないのですが、要するに「最大の功労者は劇作家」という着地点をイメージしてしまうのです。この上演を思い出す度、ずっとそんなことを考え続けています。
満足度★★★
劇場へのカウンターを提示する
1969年に早稲田小劇場が初演し第15回岸田國士戯曲賞を受賞したこの唐十郎の代表作は、これまで数多の劇団が上演してきた。これまで一軒家での上演を主としてきたゲッコーパレードが本作を演劇の街下北沢の劇場でどのように上演するのか、まずは興味を惹かれた。