岡田利規 新作「ゴーストユース」
桜美林大学パフォーミングアーツプログラム<OPAP>
PRUNUS HALL(桜美林大学内)(神奈川県)
2007/11/20 (火) ~ 2007/11/25 (日)公演終了
満足度★★★
大量の
ミッフィーもどきに思わず顔がほころぶ。
あー岡田さんだなぁと。
今後どうなっていくのか興味がわいた。
テイクフライト
パルコ・プロデュース
東京国際フォーラム ホールC(東京都)
2007/11/24 (土) ~ 2007/12/09 (日)公演終了
天海姐さん
舞台の上の天海姐さんはやはり素敵だ。
軽やかな所作と優雅な手の動き。
難曲もこなし見栄えも言う事なし。
思いのほか城田くんも好演。
彼はこれからが楽しみと思わせてくれた。
ただ・・・こういうのが観たかったわけじゃなかった。
個人的にはそうとしか言えない。
Get Back!
グリング
ザ・スズナリ(東京都)
2007/11/28 (水) ~ 2007/12/09 (日)公演終了
満足度★★★
まだまだ
手堅いくらいに纏まって面白かった。
客演も馴染んでたし皆さんリアルに息づいていた。
ただ・・・
まだまだこんなもんじゃないだろう。
って、何様だワシ(苦笑)
伏線が多いのに終結していくところがソコ?という感があって
まだ何人もエンディングに辿り着いていないキャラが居たように感じた。
前回は全体が弱い印象で今回は散漫な印象。
話運びも演じる者も総じて巧いが
このままでは例の「ウェルメイド」とかいう
ワシの嫌いな一言でまとめられてしまうじゃないか。
劇場を離れる時に温和な青木さんの笑顔を見たら
もっともっと先を観せて欲しい
なんて、ファンだからこそのワガママを言ってみたくなった。
crossing2
風琴工房
ギャラリーLE DECO(東京都)
2007/12/24 (月) ~ 2007/12/30 (日)公演終了
満足度★★★★
Bプロ
本当ならA・B共に観たかったが日程が合わず
何とか『授業』目当てでBプロに駆け込み観劇。
思いがけなくと言っては失礼だが
「命を弄ぶ男ふたり」では演者のバランスの良さと
その場面処理、列車の見せ方が面白く満足。
またお目当てだった、きらり☆ふじみ以来の『授業』。
他のカンパニーと比較出来たのも楽しい体験。
あちこちで賞賛されてる宮嶋さんの艶技もさることながら
個人的に御贔屓役者であるリリーさんのラストの妖演に衝撃。
前作の時にもっと女なリリーさんが観たいと思ったくせに
ファンって勝手なのさ(苦笑)
ネタバレBOX
会場選びって難しいのだろうな。
無機質なギャラリーを巧く使って観せてもらったが
「命を弄ぶ男ふたり」では少し気になったことが・・・。
演者のバランスも良く好演していた男子ふたり、
熱を帯びる場面の多い本なので仕方ないのだが
あの会場では声の反響が気になった。
個人的に音に対して敏感だからかな・・・?
東京裁判
パラドックス定数
pit北/区域(東京都)
2007/11/29 (木) ~ 2007/12/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
見えないもの
今回も独自の切り口で
見事にコンパクトに
モンスターを捻じ伏せて観せてくれた。
見えないものも見えた(気がした)面白い体験。
彼らがいったい何と闘っていたのか
もしかしたら
実際の当事者だった人達が感じていたかもしれない
そんな空気まで感じられて感慨深かった。
わが闇
ナイロン100℃
本多劇場(東京都)
2007/12/08 (土) ~ 2007/12/30 (日)公演終了
満足度★★★★★
闇の向こう
長時間の上演にも集中力が途切れることなく観劇。
かなりかなり好きな世界だった。
丹念な描写により人生の厚みが層を成し
主要キャラが見事に立ち上がってきて面白かった。
いやもう、渋谷で大枚叩いてバカに付き合った後だけに感慨もヒトシオ(笑)
もう一度観たかったが日程の都合がつかず断念。
ネタバレBOX
どちらかというと「硬」担当の三姉妹。
イヌちゃんもリエちゃんも客演のマキちゃんも良かった。
「軟」担当の大倉さんは今回も飛び道具的なキャラ。
手堅く笑かしてくれて満足。
柔軟でいてストレート。
やっぱケラさんの世界は面白い。
偏路
劇団、本谷有希子
紀伊國屋ホール(東京都)
2007/12/14 (金) ~ 2007/12/23 (日)公演終了
チカラわざ
すごく稚拙な人間の地団駄踏む様子を懇切丁寧に見せてくれた。
結局年齢的なものとか好みの問題なんだけど
自分でも珍しく上演時間がかなり長く感じ
ついには席を離れたくなったが位置的に難しく辛かった。
・・・『遭難』の方がスキだった。
ネタバレBOX
グロテクスというほど大してグロテクスでも無いと思った。
それはワシの方がもっとグロいから(!?)、
それともそんな季節をすっかり過ぎてしまったからか・・・。
ビューティ・クイーン オブ・リナーン
パルコ・プロデュース
PARCO劇場(東京都)
2007/12/07 (金) ~ 2007/12/30 (日)公演終了
ビューティーか・・・
演出家としての長塚さん、マクドナーではピローマンが好き。
(ウィー・トーマスはいかにもって感じで個人的にはダメなんだけど)
今回も湿った寒々しいアイルランドの空気が感じられる舞台で良かった。
妖気がゆらめきそうな二人の女優を劇場の中央付近から堪能。
予想通りといえばそうだけど、やはり流石。
ネタバレBOX
大竹さんは例によって大竹しのぶだった。
巧いのかもしれないけど・・・。
大竹さんが演じると『ビューティー』という言葉が
本当にその通りなのか、それとも・・・と考えてしまった。
本当にビューティーということなら
毬谷さんあたりのキャスティングで観てみたい気も・・・。
とにかく大竹さんの芝居にそろそろ(いや大分?)
飽きている自分に気づいた舞台だった。
とはいえ、大竹さんは面白そうな演目
ワシ好みの演目に出られるからこの先も観るんだろうなぁ。
三月の5日間
チェルフィッチュ
国立国際美術館(大阪府)
2007/12/08 (土) ~ 2007/12/09 (日)公演終了
満足度★★★★★
人間の感情の描き方が素晴らしい
演劇をやっている人、もしくは演劇が好きな人は一回見ておいて絶対に損はない作品な事だけは間違いない
火宅か修羅か
青年団
こまばアゴラ劇場(東京都)
2007/12/21 (金) ~ 2008/01/14 (月)公演終了
始まっても終わってもいない。
劇中で特別な出来事は起きません。芝居はいつの間にか始まって終わり、特別な出来事は恐らくその前後に起きている。客席にいる人間が作中人物の人生の一部だけを観るのは全ての芝居に言える事ですが、今作はそれを如実に感じました。たまたまその場に居合わせた様な感覚。
開演前に前説で上演時間を伝えるのは通例ですが、合わせて「終了予定時間」も伝えるのは親切ですね。尚且つぴったりその時間に終わりました。
これから行かれる方には前列よりも後列に座るのをオススメします。全体を見渡せたほうが楽しめると思います。(「あちこちに目移りすると集中出来ない」という場合は参考にされないほうがいいかもしれません)
ネタバレBOX
キャストをよく確認せずに行って、古舘さんが出ていて「お!」と。去年サンプルでお姿を見て、その存在感が好きだったので。更に今回は志賀さんの存在感も大きい。このお2人が舞台上にいる間は何が起きても安心していられそうです。なので2人が絡む場面は個人的に贅沢な気持ちでした。
舞台上で2グループの遣り取りが同時進行するので、聞き取れなかったりする部分もあります。聞き逃しても観ていればある程度の補完は出来ました。その同時進行する話が何処かで交錯だろうとは予想していたものの、いざ起きて視覚的に気付いた事が。小林とルリの色の対比。それぞれ浴衣で、男女なので青とピンクという対照的な色合い。他人同士だけど過去の同じ時期に近しい人を亡くした話題をする2人の、異なる立場を象徴している様に見えました。
教育再生シリアスゲーム『昭和クエスト』
劇団スーパー・エキセントリック・シアター(SET)
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2007/10/06 (土) ~ 2007/10/21 (日)公演終了
満足度★★★★★
ミュージカル・アクション・コメディ
劇団SETのコンセプト『ミュージカル・アクション・コメディ』は最高でした。三宅さんと小倉さんのギター・プレイが素晴らしいです。
劇中、スナックでのシーンでは、アコギで昭和の名曲でコントやっていました。唄っていた曲がいきなり転調して別の曲になるというもの。
コード進行が同じ曲だったのかな。音楽の技術があるからできる芸だと感じました。
最終幕ではバンド演奏で「第九」やビートルズの名曲を聴かせてもらいました。名前が思い出せないのですが“It was a hard day night”のフレーズが出てくるあの曲です。
アンコールは2回あって、2回目では千秋楽だけのお楽しみとして小倉さんがひな段の2段目からセンターにジャンプして演奏するという魅せるギターを見させてもらいました。
エレキギターかっこいいです。 この世代のみなさんはギターが弾けて当たり前だった。僕もこのかっこいい60年代に生まれたかった。
ネタバレBOX
この物語は喜劇である。
ゲームの世界でしか生きられない子どもたち。現実のつらさを乗り越えられない。
そんな子ども達に1960年代の古き良き時代「昭和」へワープし成長してもらおうとするゲームを体験してもらおうという試みが実施された。
これが『昭和クエスト』である。現実の時間で3日間、テスト・プレイヤーとして中学生3人組がパーティとして選ばれる。
人々を感動させられればポイントがプラスされる。この逆の場合はマイナス・ポイントとなる。
100ポイントを稼ぐにはゲーム内の時間では何年もかかってしまうことが分かった。
子ともたちは一気にクリアを目指そうと、120点を取れるクエスト「バンドやろうぜ」に挑戦する。クリア条件は「バンド演奏で観客を魅了する」ことである。
この仮想空間は今を生きる大人達のノスタルジー(追憶)である。所詮はゲームであり、過去のコピーでしかない。
現実の大人たちはゲーム内に留まろうとする子ども達にこう告げる。
苦労や困難が立ちはだかり、難しいけれども、それをクリアすると楽しいゲーム『現実』へ戻って来い、と。
生きるためには苦労を知り、困難を乗り越えていくことが肝要である。こうして子ども達は大きく成長していくのである。
現実世界に戻り、古き良き昭和で音楽に触れた子どもたちは、バンド活動に全力を傾注する。新聞配達などのアルバイトで汗をかき、楽器を手に入れた。
辛いながらも楽しい人生を過ごすことを覚えたのである。
最終幕、約30人編成の大型バンド演奏で東京芸術劇場の観客を魅了させ、大団円を迎えた。
ハルカ彼方
dramatic theater RARA☆
アイピット目白(東京都)
2007/10/26 (金) ~ 2007/10/28 (日)公演終了
満足度★★★★★
俺の分まで生きてくれ。そして幸せになってくれ
天使アリア役の本田清香さん、矢島かおり役の塩原奈緒さんの2人には、上演中にすごい憎たらしさを感じました。
つまり、それだけ演技が上手であるということなのです。
ネタバレBOX
本作品は、主人公の記憶が断片的しか残っていなく、時間がどんどん経過したり、過去にさかのぼることで、展開されます。
主人公は不慮の交通事故で亡くなってしまった。
信号無視してしまった運転者も、自責の念にかられ、苦悩の末に自ら命を絶ってしまった。
残された家族や恋人たちの、大切な人を失った恨みや憎しみは、悲しみの悪循環を作り出す。負のスパイラル(螺旋)である。
主人公は自分たちを守護する天使たちと協力し、問題を解決していく。
主人公・太一は現実世界に遺した家族、妻のキミカに想いを託す。
「俺の分まで生きてくれ。そして幸せになってくれ」
小松政夫とイッセー尾形のびーめん生活スペシャル
森田オフィス/イッセー尾形・ら(株)
世田谷パブリックシアター(東京都)
2007/05/29 (火) ~ 2007/06/10 (日)公演終了
満足度★★★★
オムニバスストーリーの二人芝居
2時間半の公演、オムニバスストーリーの二人芝居
ギターやウクレレを演奏するイッセー尾形さんの芸達者ぶりに感激しちゃいました。
ネタバレBOX
2時間半の公演、オムニバスストーリー仕立ての芝居でした。
・55才の現役ボクサー(尾形)とプロモーター兼レフリー(小松)
・カジノに初めてやってきた老夫婦
・夜間巡回中の警備員
・ハワイ港に停泊している、船長(小松)と船員(尾形)
・高校以来からの親友
このほかにも一つストーリーがあったような記憶があります。
最後のストーリー「高校以来からの親友」ではストーリー進行に合わせて、尾形さんがギターやバイオリンを演奏し、小松の親分が昭和の名曲を唄いました。
高校三年生など、8曲ぐらいありました。ミュージカルでした。
「船長と船員」ではウクレレ演奏とイッセー尾形さんの芸達者ぶりに感激しちゃいました。
ヴェニスの商人?
立川志らく劇団・下町ダニーローズ
アイピット目白(東京都)
2007/06/05 (火) ~ 2007/06/10 (日)公演終了
満足度★★★★★
30年前、60年前の悲しい出来事をリセット
『ヴェニスの商人?』を観てきました。
シェークスピア作品は『ハムレット』を読んだことがあるだけですが、いろんなジグソーパズルのピースがどんどん合わさっていき、感慨無量です。
パンフレットにあるキーワード「タイムスリップ」がエッセンスになっています。
人生はリセットできない。だから今を大切に過ごそう。
モロ師岡さん、名古屋でやっているテレビ番組『エイデンシアター』でみたことがあり、きょうご本人を見て、うれしかったです。いい演技していましたよ。
コンタキンテさんはY字バランスがきまりました。
ネタバレBOX
パンフレットにあるキーワード「タイムスリップ」がエッセンスになっています。
30年前、60年前の悲しい出来事をリセットする。
現在に戻って、時間が記憶に追い付く。
時空を越えた愛。感動のラストシーン。
HAVE A NICE FLIGHT!
劇団スーパー・エキセントリック・シアター(SET)
赤坂RED/THEATER(東京都)
2007/08/22 (水) ~ 2007/08/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
今度はうまく飛ぶよ!
WAHAHA本舗の大女優 清水ひとみさんをはじめ、WAHAHAのセクシー寄席女優陣が出演するので観に行きました。
ネタバレBOX
不仲の夫婦で、奥さんがストレスで昏睡状態になってしまった。
旦那が幸せな家庭を取り戻そうと新婚旅行先にやってきた。
旦那が正気を失ったとき、ホテルでベランダから墜落するというアクシデントに見舞われる。
このアクシデントがタイムスリップのきっかけとなります。
4年、6年、10年前、時間を行き来するお話。
タイムスリップといえば、コンタキンテさんが出演していた 立川志らくダニーローズの『ヴェニスの商人?』で扱っていたスジ(物語の筋)と似て非なるものでした。
まず一方の『ヴェニスの商人?』では、過去の歴史に手を加えると、良い方向に現在の歴史が変わる。ハッピーエンドの大団円を迎えました。
しかし、もう一方の『HAVE A NICE FLIGHT!』では、一筋縄にハッピーエンドとはいきません。
過去の歴史を変えて現在に戻ると、逆に悪い方向に変化してしまっています。
やり直そうと、何度も過去と現在を往復します。
最終幕では、変化してしまった歴史の時間が追いついて、主人公がとんでもないことになってしまいます。
会場では皆、すすり泣く声が聞こえました。私も瞳から涙があふれ出ました。
主人公が奥さんに言ったセリフ。
『今度はうまく飛ぶよ!』
このセリフでピンときました。
これはタイトル『HAVE A NICE FLIGHT!』にかかっています。
心の中で「今度こそうまく飛べよ!」と思いました。
(アンケートチラシの感想にも書きました)
エンディングはようやくランディングできました。
生まれてきた赤ちゃんは、旦那が欲しがっていた女の子ではなく男の子。決めていた名前も「ショウコ」から「ショウタ」に変わっていましたが、まあよいかな。善哉。めでたしめでたし。ハッピーエンドとなりました。
メルシィ! 僕ぅ? ~我が人生は薔薇色に~
フジテレビジョン
東京グローブ座(東京都)
2007/06/26 (火) ~ 2007/07/05 (木)公演終了
満足度★★★★★
人生は遊びが大事!
新大久保のグローブ座で明石家さんまさんの舞台『メルシィ!僕ぅ?』を観てきました。
生で観るさんまさんはすごい存在感でした。
この芝居でいちばん言いたかったことは、劇中でさんまさんがトチってしまったクライマックスのシーンのセリフ、
『人生は遊びが大事!』だと思います。
ネタバレBOX
妻とケンカしていても、愛する息子には嫌われたくない父親。
家でゴロゴロしているだけの「つまらない父さん」が大嫌いな男の子。
『ボクはつまらないお父さんにはなりたくない!』
愛する息子が父親である自分を嫌う理由がわかり、自分らしさを取り戻すため『人生は遊びが大事!』と決心する。
ダンス大会でお父さんが優勝するのを見た息子は、父のもとに帰ってくる。
ハレモノ
株式会社ノックアウト
ザ・スズナリ(東京都)
2007/04/18 (水) ~ 2007/04/22 (日)公演終了
満足度★★★★
正しいことばの使い方
2007年4月22日(日) 18:00 千秋楽
『ハレモノ2007』
下北沢「ザ・スズナリ」
間寛平………長野にあるさびれた旅館の主人
ベンガル……新人賞を取って以来、ヒット作が出なくて苦悩する小説家
ネタバレBOX
約1時間50分。前半の1時間は世界観・人物を知るためのギャグ、ボケ仕合。会場はかんらかんらと笑う。
後半の50分はストーリーの中核に向け、動き始めました。
冒頭の導入、実はエンディングでタネ明かしとなります。
これは喜劇であり、エンディングはシュールな結末を迎えました。
冒頭の導入、第一幕はこう始まる。
スーツでビシっと決めたベンガル演じる小説家の芥川賞の授賞式から始まる。謝辞が建前で、本音は芥川賞を取るべくして執筆した作品とスピーチ。そのスピーチは『思い起こせば、あの男が現れなければ…』としめくくられる。
『正しいことばの使い方』という作品で新人賞を取って以来、ヒット作に恵まれず、テレビのワイドショーのコメンテーターとして日銭を稼ぐ日々。若いディレクターにコメントが難しく、さらに話が長い。もっとカンタンに短くと叱咤される。
なんとか起死回生をと模索した小説家は、賞を取る創作小説を作るために、生まれ故郷の長野に1ヶ月ほどこもることにする。
新人賞を取った作品が長野で執筆した為で、再起をかけようとしたのである。
さびれた旅館についた小説家。そこで出会った旅館の主人に翻弄される。ことば使いがおかしい。話が通じない。
堅物の小説家は自由奔放な主人に困惑する。
主人の妻が美人であることから、創作小説を不倫と逃避行の話として考える。しかし、なかなか話が思い浮かばず、先に進まない。
旅館の主人は作家志望であった。3年前に子供が他界した手術する金がなかったため、筆を取るのをやめた。今は好きでもない旅館を営む主人をやっているのである。
美人な妻は主人に、自分の過去の作品を小説家に見てもらうように薦める。小説家の刺激になるだろうと。主人は自分の作品をプレゼントとして小説家にあとでもって行きますと言う。
そんな中、近所の少女が旅館の夫婦にあいさつにやってくる。女優志望の彼女は上京して成功したいと告げる。少女の父は大反対、母親は娘に興味がない為、旅館の夫妻に自分の気持ちを知ってほしかったためである。
そんな気持ちを知った旅館の女将は、ここに宿泊している小説家にTV関係者のコネクションを紹介してもらうように薦める。
少女は意気揚々と小説家の部屋を訪ねることにした。
何か刺激がほしい小説家は、少女が部屋にやってきたことを、旅館の主人からの刺激的なプレゼントと勘違いする。
娼婦と勘違いした小説家の事件は、地元スポーツ紙のスキャンダル記事となる。
旅館の主人のプレゼントであった作品を小説家が見るが、最初の1ページの導入部だけを見て、ダメだダメだと思った。あんたは昆虫や動物の世界を書くのがいい、と適当なアドバイスを言うだけであった。
あなたの言うことはでたらめだらけだ。正しいことばを使いなさい。
スキャンダルが大きな騒ぎとなり、出版社から釈明会見を開くことを迫られる。小説家は旅館の主人に口裏を合わせ、次のことば以外のことはしゃべらないように命令する。
『それは全くのデタラメです』
『先生はそんな人じゃありません』
『私が目撃者です』
記者会見で主人がインタビューされたとき、最初はスキャンダルを否定する内容となり、小説家はほっとした。
しかし記者からの追及で、このことばが裏目に出た。
小説家は主人を問い詰めるが、主人はこう言った。
正しいことばを使ったほうがいいんじゃないですか、と。
スキャンダルがもみ消せなくなり、新作小説出版の話はなくなる。小説家としての人生を終わらせまいと、部屋にひきこもりペンを取るが、話がすすまない。
話が進まないのは旅館の主人を殺していないからだ!と思い、主人に襲いかかる・・・。
ここで舞台は暗転する。
(次の幕は拘置所・刑務所か?と想像したが少し違った)
エンディングは、冒頭と同じく、小説家の受賞スピーチのシーンとなる。しかし辺りの様子がそぐわない。何かがおかしい。
明かりが全体を照らす。
小説家の服装は病院のパジャマ。隣には精神科医。
その脇には、出版社の担当者と旅館の主人。
旅館の主人は無名ながら新人賞を受賞したのである。
その新人賞作家は入院している小説家にお見舞いにやってきたのであった。
作品は動物のキリンのメルヘンなストーリー。奇しくも小説家がそういうものを書いていればいいんだと適当にアドバイスしていた話であった。
ぶつぶつとスピーチする小説家。旅館の主人の名前を耳にして暴れだすが取り押さえられる。
新人小説家が口にする。正しいことばを使いなさいと僕に教えてくれたじゃないですか、と。
人形の家
百景社
豊里ゆかりの森(茨城県)
2007/09/14 (金) ~ 2007/09/16 (日)公演終了
満足度★★★★
凄いダークホース
正直驚いた。
きちんと戯曲解釈した演出は当然の前提として、こんなに分かりやすく、且つ面白く飽きずに観ることのできる「人形の家」はかつてあったのだろうか?
そう思ったほど良くできていた。
場所も良いしね。
またやったら観に行くな、多分。
別れの唄
青年団国際演劇交流プロジェクト
シアタートラム(東京都)
2007/04/05 (木) ~ 2007/04/08 (日)公演終了
満足度★★★★
考えるほどに傑作
単に作品としてよく出来ているというだけでなく、演劇史的な意味でも凄い意味を持ってくるのではないかしら。
書き忘れてたのでとりあえず簡易感想。
マクベス
SPAC・静岡県舞台芸術センター
舞台芸術公園 野外劇場「有度」(静岡県)
2007/05/04 (金) ~ 2007/05/05 (土)公演終了
満足度★★★
演出家の無茶振りっぷりがたまらん
クセになりそう。