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「わたしの町」

「わたしの町」

TRASHMASTERS

新宿シアタートップス(東京都)

2026/01/29 (木) ~ 2026/02/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

北海道南東部に位置する十勝郡の町、浦幌町。農業林業漁業酪農業に栄え食料自給率の高さで「日本の食料基地」と呼ばれる地域の一つ。炭鉱で隆盛を誇り最盛期1万人を超えた人口も閉山後4400人余りに減少、学校は次々と閉校。2007年、最後に残った高校の閉校危機に地域住民が立ち上がる。
※今作では鞍園(くらその)町とされている。

地元民の憩いの場、『蕎麦・炉端焼「よし乃」』に皆が集まる。女将は石井麗子さん。
地元出身で郷土愛の塊、小学校教頭の千賀功嗣(いさし)氏。
野菜作り農家の中嶋ベン氏。
小学校教師の森川由樹さん。
他所から移住して来た漁師でネット通販等を開拓して成功を収めている星野卓誠(たかのぶ)氏。
地元民は星野卓誠氏をいけ好かない奴だと避ける人も多い。

昨年、星野卓誠氏は漁で遭難して死を覚悟。その時、地元の何隻もの漁船が救助にあたり九死に一生を得る。自分とは縁もゆかりも無い人達も駆け付けてくれた。この町に恩返しをしたいと強く決意。このまま町が滅んでいくのを黙って見過ごせない。彼の熱意が森川由樹さんを動かし、古い考え方に凝り固まり旧態依然を美徳とした千賀功嗣氏に刃を向ける。

ある意味、主人公の森川由樹さんが吠える。この町が滅んでいくのは何故ですか?ここを離れて都会に出た方が良いと思わせたのは誰ですか?この町の大人達でしょう。学校の教師達でしょう。この町が滅びるのはこの町の指し示す方向性が間違っていたからです。その現実を見ずに絵空事ばかり与太っていても何にもならない。子供達がここに住んでいきたいと思う町にしなくてはいけない。子供達自身にどんな町にしたいか考えて貰うんです。

果たして過疎った町に打つ手はあるのか?
是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

石井麗子さんの飲み屋は行ってみたい。

中嶋ベン氏は樋浦勉っぽく裏表のない剝き出しの人間性が魅力的。すぐ何にでも賛同してしまう素直な男。

第二幕は幼馴染高校生の三角関係、恋愛ドラマのような展開に会場が沸く。休憩挟んで全く別の作品になるTRASHMASTERSの十八番。一体俺達は何を観せられているのか?

藤堂海さんは2010年の『アストライアの天秤 ~砕動風鬼~』を観ていることもあり、毎回気になる。

長谷川景氏のエピソードも興味深い。

モテモテ田島亮氏はこの若手誰だっけ?とずっと考えていてやっと最後に気が付いた。高校生役がハマる38歳!白石紗也さん、中村莉久さん、成程の配役。

橘麦さんはラストの台詞が決まる。「この町には物語が埋まっている。皆自分にどんな物語が始まるのかドキドキワクワクしている。」
中嶋ベン氏は「だって楽しいじゃない。そっちの方が。」と笑う。

第二幕も森川由樹さんの千賀功嗣氏への啖呵が炸裂。古い因習に囚われこれまでの村社会の価値観に縛られたままの古い世代。それで行き詰まったからこそ変えていく時代になったのだ。この世界は既得権益者に支配され続ける永遠の闇ではない。人々の意識は時代と共に変わる。幾らでも筋の通った合理的な世界に正すことが出来る。光が差す、未来にはもっと。

BLANKEY JET CITY 『PUNKY BAD HIP』

古い世代の奴等は金で何でも買い漁った
だけど俺達は自然の掟の中で生きるケダモノの世代さ
「ハッハ!」(中村達也の笑い声)
「わたしの町」

「わたしの町」

TRASHMASTERS

新宿シアタートップス(東京都)

2026/01/29 (木) ~ 2026/02/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

1幕目は飲食店での会話
会議といっても良い。
ここでの内容は過疎化対策についてなのだけれど空気感が超リアル
たまたま自分も会議に出席した後の観劇だったので、余計にそのリアルクオリティーの高さに唸ってしまいました。
しかも過疎化問題に関わった事のない自分でも引き込まれ、考えさせられてしまうというのはさすがTRASHMASTERSさん

2幕目では時が進み場面も一変
劇中に入り込んでいた思考から俯瞰視点に
地元愛というのは煩わしく感じるところもあるけれど、何だろう凄く良いなぁ
何度もウルッとなる
都会暮らしの立ち位置からすると、東京で務める娘さんのポジションが近いという事になるのか・・・切ない。

ピグマリオン

ピグマリオン

avex live creative

東京建物 Brillia HALL(東京都)

2026/01/20 (火) ~ 2026/02/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ミュージカル「マイ・フェア・レディ」の元となっていることでも有名な作品だが、舞台版を観るのは今回が初めて。今回は、イギリスで映画化された「ピグマリオン」と同じ1938年のロンドンという設定での演出だそう。主役の沢尻エリカは堂々たるものだったが、舞台全体としては、もう一回り小さな劇場の方がしっくりくるような気が。

ピグマリオン

ピグマリオン

avex live creative

東京建物 Brillia HALL(東京都)

2026/01/20 (火) ~ 2026/02/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2026/02/03 (火) 13:30

普段は小劇場中心の観劇活動なのですが、たまには大会場での大プロダクションのステージも面白い。かつてのイギリスの階級制度と言語の結びつきが興味深かった。

ベイビーブラフ

ベイビーブラフ

ホチキス

本多劇場(東京都)

2026/01/28 (水) ~ 2026/02/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2026/01/30 (金) 14:00

まず、カッチョ良かった。映画『スティング』のようなハラハラドキドキもあり。トランプの札の見せ方も秀逸(しかも、笑いまでとってる)。

菊五郎と天狗の冬

菊五郎と天狗の冬

劇団 枕返し

OFF・OFFシアター(東京都)

2026/01/30 (金) ~ 2026/02/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2026/02/01 (日) 13:00

 ダメを絵に描いたような、パチスロと競馬好きで、おまけにスナック好きで、金が無いと相手が子どもだろうとお構い無しに、大人気なく難癖付けて恐喝、恫喝する30代の不良中年男「菊五郎」。
 それとは、正反対に物心ついた頃から天狗の元で育った心優しい少年「冬彦」(但し、どう見ても冬彦を演じる小学生役の役者は、老け顔と言うにも無理があり過ぎる、どこをどう見積もっても不細工で味のある思いっきり太ったオジサンにしか見えなかった)。
 その冬彦が、物心ついてから、育ての親の天狗でなく、本当の産みの母親に一度もあったことがないことに思い至り、2人は東京にいる冬彦の母親探しの旅へ出ることに…。
 次第に打ち解けていくふたりの数奇な旅はやがてと言うような感じのロードムービーが劇になったような感じでもあり、どこか懐かしく感じ、昭和の日常平和系特撮ドラマ『怪獣ブースカ』や『チビラくん』、アニメで言うと『ドラえもん』と言うよりかは、『オバケのQ太郎』とかに近い緩やかな展開でありつつ、長谷川伸の戯曲『瞼の母』へのオマージュが強く感じられた。
 それに加えて、民話や柳田邦男の『遠野物語』の座敷童子のエピソードのように、妖怪と人が時に恐れつつ、共存して生きている緩やかな感じが劇全体を覆っていて、良い意味であらすじを読んで私が感じたことと同じような、期待通りの劇だった。
 しかも、今の時代、世界各地で紛争、戦争、飢餓、テロが絶えず、異常気象が続き過ぎて環境問題も解決するどころか、動物にとっても、人間にとっても、地球自体にとってもかなり深刻な状況になっており、さらに、ポピュリズムが台頭し、米大統領は大統領令を連発し、民主主義を軽視蔑視するような言動、行動が目立ち、とても多様性とは程遠い世の中になってきて、日本でも高市早苗首相の支持率が異様に高まっていたりと憂慮すべき自体となっている、かなり将来に希望が見えない世の中において、この劇の中では実際に会ったことも、親子としての思い出もない冬彦の母親に、小学生の冬彦はただ無性に会いたくなった、只それだけの理由でクズ男で腐り切った菊五郎と行動を共にし、冬彦の産みの母親に会いに行くのみならず、その旅を通して、行動を共にする菊五郎の腐り切った心を、人としても終わっているように見える(具体的には、天狗のところで冬彦が修行しているんだから、競馬の予想も当てられるだろうと言ったことや、スナックで冬彦が小学生なのもお構いなしにスナックに一緒に入り、冬彦のことなどお構いなしに、店の女の子やスナックのママと飲み明かして盛り上がったりする言動等)のを、長旅を通して、冬彦にそのような意図はない筈だが、冬彦のちょっとした何気ない発言や健気な言動、行動から、結果的に緩やかに菊五郎を成長させていくと言うような登場人物たちの描き方に、人は年齢など関係なくやり直せるんだと気付かされた。
 今の不寛容な時代にこそ、互いを思いやるようになるまで、根気強く理解しようと努める冬彦の姿勢には、頭が下がる思い出あると同時に、私たちも見習うべきところが多いと感じ、気を引き締めた。

 去年、原作長谷川伸の戯曲『瞼の母』の映画化である無声映画『瞼の母』を活弁上映で観たことはあるが、その中に出てくる旅の博徒でヤクザ者の番場の忠太郎が実の母親と出会うが、宿屋を経営して娘がいる母親は、『息子は9つで死んだ』と言うようなことを言って聞かず、金目当てと番場の忠太郎を疑い、お互いにすれ違い、1人、再び番場の忠太郎が宿屋を出て、悪漢を斬って去っていくという在り方で、どこか物悲しく、鬱屈とした終わり方で、それと今回の劇の最後のほうで冬彦が産みの母親を前にした場面とで、全然置かれた状況は違えど、今回の劇でも冬彦の本当の母親に娘がいるのは共通しており、偶然かも分からないが、こんな偶然あるものなのかと感じた。
 また、今回の劇の最後のほうで、冬彦と菊五郎が、冬彦の実の母親が娘と幸せそうなのを見て取って、これで良いんだと自分に言い聞かせて冬彦はまだ小学生なのに、その辺の大人より大人になろうとする踏ん切りの付け方をする在り方に、長谷川伸の戯曲原作無声映画『瞼の母』の番場の忠太郎と実の母親との場面と全然違うけれども、どこかオマージュを感じさせる場面に、既視感を感じさせられた。
 冬彦の本当の産みの母親を前にしても、冬彦が内心動揺しながらも、ここで自分が出て行って、娘と幸せそうにしている母親の現在を壊し、過去を思い出させるのは酷だと考え、冬彦は自分が挨拶さえせずに、ひっそりと身を引く決断をするという在り方に胸を打たれた。
 それと同時に、冬彦の判断が非常に現代的な価値観だとも感じた。
 その何とも言えない、どこか切なく物悲しい在り方に、親子とは、必ずしも本当の親と再会することばかりが良いことなのか、本当の親を前にして、もはや人間ですらない自分を育ててくれた育ての親の天狗のほうが大事にした方が良い存在なのか、答えが出にくい問いが頭の中を駆け巡り、深く考えさせられた。

 シナコ役がイメージを思いっきりブチ壊していて、もはや実在のシナコを侮辱してるんじゃないかと思う程、太っていて、思いっきり見た目オバチャンで、とんでもなく痛くて、存在感あり過ぎて、逆に大いに笑えた。
 天狗や雪女、天狗のもとで修行する子どもたち役も、冬彦筆頭に明らかに小学生には見えない雰囲気も笑え、個性豊かで、大いに楽しめた。

ある夜をめぐって

ある夜をめぐって

パンケーキの会

駅前劇場(東京都)

2026/01/29 (木) ~ 2026/02/04 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鈴木アツト氏による評伝劇シリーズVOL.1が本作「エーリヒ・ケストナー」で、コロナ1年目だった。オンラインという言葉があっと言う間に市民権を得て、演劇の方では映像配信。本作も新鮮な気分で観た(冒頭登場するロッテ役の顔と表情も覚えている)。上演した劇場は今回と同じ駅前劇場(今回は対面客席で設えが初演とはだいぶ違った)。
さて初演を観てのレビューを読み返すと、中々明快な感想を書いている。今回は同じ感度をもって鑑賞する能わず、、寄る年波を痛感。しかし初演舞台で自分が着目した焦点は、その場面が迫るにつれ思い出され、凝視していた。
即ち、劇終盤、場面は初めてベルリンを離れ、第二次大戦最末期のドイツ領オーストリアの山間に映画人らが集まっている光景。ナチス政権下で活動を許されていた彼らは情勢を見てロケを口実にやってきた。目的は亡命。この場の後半、対面する事となったエーリヒとリーフェンシュタールが闘わす激しい対話がそれである。
エーリヒはナチス政権下で亡命しない事を選び、執筆を禁じられながらもベルリンに居続けた。そこへ、彼の窮状を見かねた旧友(映画監督とプロデューサー)が「ホラ男爵の冒険」の脚本を依頼しに訪ねて来る。無言の抵抗を続けていた彼は憤慨して彼らを追い返すが、後にロッテに吐露する・・「もう書いてしまった」。書きたい衝動に抗えず書き、ただし自分なりの抵抗の台詞を書き込んだ。映画は好評うぃ得た。
一方リーフェンシュタールはベルリン五輪を映画化した「国民の祭典」でその才能を証明し、ナチスの下で国民を称揚し熱狂させる映画を撮り続けた。
風雲急を告げる状況で、彼女も恐らく話を聞きつけ、仲間に入れてほしいと映画人たちに頼み込みにやって来た模様。だがエーリヒの幼馴染の一人である現映画監督は、彼に映画界入りの口利きをしてやった(若い頃はダンサーであった彼女を女神と崇めていた)リーフェンシュタールに冷たい視線を送る。映画人らも彼女をナチス協力という点においては別格だとして、彼女の要求を退ける。懇願を拒絶された彼女は、そこへ現れたエーリヒに目線を向ける。
彼女は、同じ穴の狢と言える他の映画人からハブられた格好だが(喩えるなら「蜘蛛の糸」?)、彼女はエーリヒに対して己の正当性を訴える。「貴方もナチスに協力した。あのホラ男爵、名義は変えていたがあれは貴方だという事は皆知っている」と。同罪だと主張する彼女に対し、エーリヒは断固としてこれを否定しようとする。
このやり取りの中で彼が見せる苦悩の表情がポイント。忸怩たる思いと、俺なりに抵抗したとの思いに引き裂かれ、彼もまた彼女に対して「お前と俺は違う」事を証明、説明しようと足掻く姿がある。
(ここはやはり少し丁寧に記しておきたい。また後刻。)

gaku-GAY-kai 2025 贋作・真面目が肝心

gaku-GAY-kai 2025 贋作・真面目が肝心

劇団フライングステージ

雑遊(東京都)

2025/12/29 (月) ~ 2025/12/30 (火)公演終了

実演鑑賞

フライングステージの年末企画公演。前半は「真面目が肝心」を、後半はいつものようにショー形式で。180分、休憩15分。12月29日・30日の2日間の公演。雑遊。

https://kawahira.cocolog-nifty.com/fringe/2026/02/post-fa01d0.html

PRETTY WOMAN The Musical

PRETTY WOMAN The Musical

AMUSE CREATIVE STUDIO

東急シアターオーブ(東京都)

2026/01/22 (木) ~ 2026/02/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

何度も観た大好きな映画のミュージカルでした。
城田優さん、星風まどかさん、エリアンナさん、spiさんの回を観劇しました。
出演者皆の歌声が素晴らしく、観応えのあるダンスや素敵な衣裳も良かったです。
切ない場面もありましたが、ほぼ楽しい気持ちで観る事が出来る作品でした。
観劇中も観劇後も、幸せな気持ちでした!
大満足でした!

「わたしの町」

「わたしの町」

TRASHMASTERS

新宿シアタートップス(東京都)

2026/01/29 (木) ~ 2026/02/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

これは見応え十分。過疎が進む地方での再生に向けた取り組みを描いたリアルな社会派群像劇、いろいろと勉強になりました。

聖母像の見た夢

聖母像の見た夢

劇団B♭

座・高円寺2(東京都)

2026/01/22 (木) ~ 2026/01/24 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

時代を超えて同じようなシチュエーションで巡り会えた2人。とても、切ない気持ちになったと同時に安堵感も生まれました。平和の祈りを感じました。

ある夜をめぐって

ある夜をめぐって

パンケーキの会

駅前劇場(東京都)

2026/01/29 (木) ~ 2026/02/04 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

2つ共にとても良質で深いお芝居でした。役者の皆様、素晴らしかったです。アフタートークも楽しめました。

ある夜をめぐって

ある夜をめぐって

パンケーキの会

駅前劇場(東京都)

2026/01/29 (木) ~ 2026/02/04 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

「エーリヒ・ケストナー~消された名前~」についてコメントします。非常に質が高かったです。終演後のアフタートークで演出家がおっしゃったとおり、ナチス・ドイツは現代社会において絶対悪です。具体的には称えることを法律で取り締まっている例もあります。ではこの恐ろしい体制を支えた民衆は「悪」だったのでしょうか。これはハッキリしない命題です。なぜなら、ナチス=システムと闘うことは何かを犠牲にすることを強いたからです。私たちには幸福追求権があります。その枠内で、能力を活かした個々の営みを頭ごなしに否定するべきではない。当時の、排外主義が台頭する段階において、弁護士などの資格職に就くことの多かったユダヤ人が資本を蓄積し、労働者階級をコントロールする側に回っていたことは事実でしょう。政治不満は実体を伴っていました。こうした構造格差において庶民の拠り所とした勢力が「人種決定論」を叫び国政を牛耳ったナチスだったのです。門を叩き党員証を受け取れば暮らし向きが良くなります。一党制を掲げるナチスでは党活動と政府が通じており、私生活も優遇される可能性が跳ね上がったからです。
働き口を拡張する動機付けを自己中心的だと我々の視点から断じることはできるのでしょうか。では、それが貧しさに喘ぐ仲間に果実を分け与える目的も兼ねていたらどうでしょうか。舞台を観ていた私は、妥協し国策映画の脚本を書くようケスナーを口説く体制側に共感していました。頑なに申し出を断るケスナーに苛立ちを覚えたほどです。こういう集積がナチスの権力を補い全体を破滅に追い込んだわけですから、やはり「地獄への道は善意で舗装されている」のです。

先日、『新 映像の世紀』(NHK)を観る機会がありました。宣伝省を立ち上げ、世論を特定目標に誘導する過程に関わったゲッペルスが主題でした。番組では同時代における米国が「正義の自由」として描かれますが、私はそうは思いません。なぜなら、初期ナチスを経済的に潤わせていたのが、フォードなど米国産業界だったからです。人種の登録を義務付け、行政サービスを区別する徹底した人種隔離政策も米国から見習っています。だからこそ、英米などアングロ・サクソンの捕虜に対してはむやみやたらに傷つけることなく戦時国際法を遵守したのです。
翻って今日、白人属性の被害を誇張する共和党も、「アイデンティティ政治」と称し属性で分類する民主党も、悲劇を再生産しうる地政学的リスクを抱えています。(欧州では人種分類法を禁じています。その例外が、社会衛生学としてのナチスのモデルとなった北欧諸国です)

ガリレオ~ENDLESS TURN~

ガリレオ~ENDLESS TURN~

SPAC・静岡県舞台芸術センター

静岡芸術劇場(静岡県)

2026/01/18 (日) ~ 2026/03/07 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

原作は地動説を唱えたガリレオ・ガリレイの半生を描いたブレヒトによる戯曲。台本・演出は多田淳之介。漫画&アニメの『チ。』がヒットしたタイミングでもあり、観客にとって興味を持ちやすい、身近に捉えやすい好機の上演と言えるでしょう。静岡県による中高生鑑賞事業の対象プログラムでもあり、若い観客が観劇体験できる機会になったことも好印象でした。

ネタバレBOX

物語は人類の黎明期から始まり、四足歩行から二足歩行へ、道具を用い、火を活かし、徐々に進化する様子を描く。地球や人類、文明などの歴史を俯瞰し、中盤から本題であるガリレオの半生も挿入され、天体や宇宙、そして人々の思想や生活など、多方面から覗き見る人類史に立ち会えた気分に。終盤には、AIの劇的進化による2026年以降の未来の描写もあり、壮大な時間旅行が幕を閉じる。創作にAIを活用し、人類のパラダイム・シフトを俯瞰的に描くなど、モチーフへの興味と観客自身の現実がリンクする内容になっていたと感じます。中高生へ向けた公演の意義を実感できる、適度な咀嚼や楽しい空間づくりなど、随所に愛のある工夫を感じました。
THE GREATEST ZICO HIHAN SHOWMAN

THE GREATEST ZICO HIHAN SHOWMAN

自己批判ショー

水戸市民会館 中ホール(ユードムホール)(茨城県)

2026/01/31 (土) ~ 2026/01/31 (土)公演終了

実演鑑賞

茨城県古河市で旗揚げしたコント劇団・自己批判ショーの活動30周年記念公演。会場は水戸市民会館。1ステージのキャパは約400席だそうで、過去公演と比較して華やかな会場を選んでのアニバーサリーと言えます。上演時間は2時間強。コント劇団なので、複数のコントで構成されるオムニバス形式の上演でした。広い客席は30周年を祝う人々で賑わい、「キ、キ、キ〜、客が少な〜い♪」と自虐する劇団テーマソングに象徴される昔の自己批判ショーは、もう存在しないと言えるでしょう。

ネタバレBOX

目に付いたのは、コントの中で自身の役割をしっかり認識している劇団初期メンバーたち。特に鮫島ひかるさんの安定感は笑いを導引する土台になっていました。個人的には、笑いよりも演劇としてしっかりアプローチしようと試みている出演者たちに惹かれた公演でした。
ある夜をめぐって

ある夜をめぐって

パンケーキの会

駅前劇場(東京都)

2026/01/29 (木) ~ 2026/02/04 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

「壊れたガラス」観劇。アーサー・ミラーの名作ですが、未見で中身も知らない状態にもかかわらず、ぐぐっとシビれました。ユダヤ人のアイデンティティがテーマなんでしょうが、サイコミステリー風のストーリー展開に引き込まれます。役者さん達のクールな熱演にも感服。

菊五郎と天狗の冬

菊五郎と天狗の冬

劇団 枕返し

OFF・OFFシアター(東京都)

2026/01/30 (金) ~ 2026/02/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

これは何故かグッとくる。寅さん的な人情劇ですね。とっつあん小学生はなかなかです。気にしない、気にしない。

アクサガ2026

アクサガ2026

コンセプトインプロ上演団体EKISHA

高円寺K'sスタジオ【本館】(東京都)

2026/01/31 (土) ~ 2026/02/02 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

Bチーム観劇。前半はショートコント的な即興劇集。オジには面白さが今ひとつ分からない。後半はミステリーコメディの小編即興劇。こっちの方はかなり楽しめた。両方にわたって活躍する新菜鈴果さんが元気一杯で、印象的。

海があるはずの夜暗

海があるはずの夜暗

澤修三

駒場小空間(東京大学多目的ホール)(東京都)

2026/01/31 (土) ~ 2026/02/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

普通に広くて良い舞台でした
黒基調の舞台に棚やソファー
枠組のみのドアとかで住居内を表現し
大学生時代にシェアハウスしていた
男3人に女2人の人間模様を
20代折り返しの年齢で
過去を振り返り現在から
回想を交えて描いた約90分の作品
アンケート用紙にボールペン付き

ネタバレBOX

大学卒業後久しぶりに再会し
仲間のうち1人が亡くなっており
今の状況に亡くなった友が幽鬼の如く
会話に回想に混じって
男女間の思いを見せてゆく展開
詳しくはチラシ裏面にー

自死したらしく
ゲイの恋人でもあったが
バイでもあり自身の心の置きどころが
不安定だったんだと巧く見せてました

ただインパクト強く水に思わせた
ビー玉使ったりするのはよかったが
静かな舞台で散らばったビー玉が
そこ ここで音を出すのは
あまし いただけなかったなぁ と

外が雨の中で一晩の話になるのかな
もっと効果音で雨音入れて
外へのドア開けた時に雨音大きくするとか
モーちょい工夫が欲しかったかな

雨も象徴した故人の黒い衣装に
鎖をたくさん付けるのはインパクトありました

ラストは残った4人が車で夜の海を見に行って
暗くて見えない中
じっと見えるまで待とうとするようで
そのまま静かに幕が閉じるのでした

情感とか雰囲気は
ホント良く出してた
菊五郎と天狗の冬

菊五郎と天狗の冬

劇団 枕返し

OFF・OFFシアター(東京都)

2026/01/30 (金) ~ 2026/02/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

千秋楽観劇です
妖怪と人間が共存してる世界観で
天狗様の下で修行をしている
四季の名を冠した4人のうちの1人
冬彦が生き別れの母に会いに行こうとする話
レトロ感と不条理気味なコメディと
笑えながらも芯の通った90分の作品
ロードムービーの定義にも当てはまるかねぇ
入場時に渡されたポチ袋は
各役者さんへの投票券だそうです
また1回300円の25種の妖怪御神籤も
なかなか面白そうでした

ネタバレBOX

タイトルからの想像通りに
ビートたけしの映画なぞりもあり
「昼間っからブラブラしてると
こんなおっさんになっちゃうよ」が出たわね

さて 荒筋ですけど
様々な天狗の神通力の中から
(6つの神通力があるそうデス)
心を読む力を目覚めさせた修行中の冬彦
天狗様の心を読み東京に居るという
母に会いに行こうとします
何かと面倒をみてくれてるおばちゃんから
一人では無理だろうと
おばちゃんの連れ合いである菊五郎を
交通費と共に付けられるも
ダメおっさんの菊五郎は資金を増やそうと
競馬に手を出し冬彦の神通力で儲けるも
呑みに使って散財し
ヒッチハイクで行こうとするも上手くいかず
追ってきた冬彦の仲間に助けられます
道中での妨害が実は冬彦の祖母にあたる
雪女の仕業で母には会わない方が
よいと言われるも覚悟を決めて仲間の助けで
母を見つけるのだが
母は既に別の家族として幸せな生活をしており
それを見た冬彦は会わずに去る事を選ぶのでした

冒頭のシーンで冬彦を母から奪う
雪女が描かれるのだが
理由があり雪女の産んだ子は
女なら雪女だが男だと人間で
触れるだけでものを凍らせる雪女では
人間は育てられないという理由があったのでした

足折った競走馬の末路とか
マキバオーのパロディとか
ほんに昭和な感じが受けます♪

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