
トブ
空気ノ機械ノ尾ッポ
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2008/10/23 (木) ~ 2008/10/26 (日)公演終了

『轟きの山脈』(公演写真を掲載中!「写真」をクリック◎→→次は6月中野ポケット☆★)
舞台芸術集団 地下空港
劇場MOMO(東京都)
2009/09/11 (金) ~ 2009/09/20 (日)公演終了
満足度★★★★★
遠くて近い、途方も無く、けれど美しい
改めて、芝居の面白さを想いました。
地下空港は、劇場の規模に関わらずいつも、壮大な世界がある。 今回は今まででも最も大きくて、高かった。
人間の孤独と言うもの、人間という 存在について、生きるということについて。どんなに醜くても、でもやはり人間は美しくて、そして 生きていかねば、と想いました。
地下空港の途方も無い大きな世界観の中でそれでも、いつも伝わってくるものがあって、何度でも噛み締めて見たくなるような魅力があります。
照明音響、衣裳 美術、全ての表現がこの舞台を支えていて、演劇という総合芸術の醍醐味を感じました。
戯曲のみでなく、美術的なところでも魅せられるというのは、とても強いと思います。
今回はとてもファンタジー色が濃く、その色に初めは入り込めずにいましたが、すぐに 引き込まれました。照明音響さんの、空間の作り方がすごかったです。 また、役者さんが、主役だけでなく全ての役がたっていて、物語の深みを増していたと思います。人数がわりと多いのに、どれも強い個性があって、どのシーンも見応えがありました。
今後も、どんな旅を劇場でさせてくれるのか、楽しみにしてます。

『轟きの山脈』(公演写真を掲載中!「写真」をクリック◎→→次は6月中野ポケット☆★)
舞台芸術集団 地下空港
劇場MOMO(東京都)
2009/09/11 (金) ~ 2009/09/20 (日)公演終了
満足度★★★★
とにかく物語が面白い
山が舞台ということで、一体どんな物語になるのかと思っていたら、こんな話だったとは!
幹となる話の展開に目が離せない。どう収束していくのかが気になるのだ。
役者も熱演で見せる。どの登場人物もヒトクセありそうな感じもいいし、彼らの一体感も素晴らしい。

赤紙 JAPプライド ご来場ありがとうございました。
獏天
SPACE107(東京都)
2009/09/15 (火) ~ 2009/09/20 (日)公演終了
満足度★★★★
力作!
戦争における悲惨さ、理不尽さなどが旨く描かれている。なかなかの力作だが、セリフを早口でがなるため非常に聞き取りにくい箇所が多数あり。とても残念だった(緊迫感は出ていたが・・・)。喧嘩のシーンは迫力満点で、演技的にも殴り合いを本当にしているかのような動き。きっと練習の成果と苦労が現れていたと思う。ぜひ戦争を知らない同世代(若者)には観て欲しい舞台だと思う。

『轟きの山脈』(公演写真を掲載中!「写真」をクリック◎→→次は6月中野ポケット☆★)
舞台芸術集団 地下空港
劇場MOMO(東京都)
2009/09/11 (金) ~ 2009/09/20 (日)公演終了
満足度★★★★★
鉱脈を掘り当てた
会場も、人数も、時間もコンパクト。しかし、コンパクトでありながらも内容に奥行きを感じさせるところがこの劇団の素晴らしさだと思う。長い時間練ると、あれもこれもくっつけて最終的に独りよがりの作品が出来上がってしまうケースが多いが、この劇団にはそれがない。
「鉱脈」という言葉は非常におもしろい言葉だと思った。鉱脈の先にあるのは石?手紙?石油?お金?愛情?憎悪?今回は、鉱脈の先に劇団地下空港がありました。

異邦人~エトランジェ~
シンクロナイズ・プロデュース
ザ・ポケット(東京都)
2009/09/16 (水) ~ 2009/09/20 (日)公演終了
満足度★★★★
「異邦人」はどっち?
「太陽が眩しかったから」という台詞で有名なアルベール・カミュの「異邦人」を比較的忠実に台本化した本作。
何事にも受身で、自分自身のことにさえ、あまり関心を持たないがゆえに、死刑台へと送られることになる主人公を丹念に描く。
自分に常に正直に、偽りを一切認めない、神を否定する主人公と、神を信奉し、道徳的な主人公以外の人々のどちらが、「異邦人」=「部外者」=「非常識人」なのかを見るものに問いかける。
道徳観が薄れるとともに、他者に対する関心が低い現在の日本においては、「異邦人」はもちろん主人公以外の人々であろう。
原作がどの時代にも通用する名作であることを再確認するとともに、そのことを理解させてくれた緻密な演出に感謝したい。
※欧米の作品を原典におく作品を読む、また、見るにつけ、毎回思うことであるが、一般に宗教観が薄い日本人の受け止めは欧米人のそれとは異なるのではないか。それをどう脚本家・演出家は考えているのだろうか。という疑問を今回も抱いた。

神様はいない(公演終了・ありがとうございました・御感想お待ちしています)
MU
新宿シアターモリエール(東京都)
2009/09/10 (木) ~ 2009/09/13 (日)公演終了
満足度★★★
背筋がゾクゾクっと~
ザワつく感じで観ていました。ホラーじゃないんだけど登場人物の心の奥底に潜む神様(あるいは悪魔)に突き動かされる心情に恐怖を感じる。
でも、そう感じながらも楽しく観劇できました。

神様はいない(公演終了・ありがとうございました・御感想お待ちしています)
MU
新宿シアターモリエール(東京都)
2009/09/10 (木) ~ 2009/09/13 (日)公演終了

悪趣味
柿喰う客
シアタートラム(東京都)
2009/09/04 (金) ~ 2009/09/13 (日)公演終了
満足度★★★
悪趣味だけどそうでもない?
柿喰う客、初見。
すごい苦手と思って、食わず嫌いしてました。
超B級アダルト×オカルト×サスペンス か。
正直もう内容が思い出せなーい。
てんこ盛りが、うまく盛られず、みっともなく崩れている。
「あ、こんなに盛ったのに…。食べれるのはこれだけか。」みたいな。
そういうのは私はあり。
そして悪趣味ではさほどない。
もっときわどい様を勝手に想像したからですね、たぶん。

「極み唄」
LIVES(ライヴズ)
タイニイアリス(東京都)
2009/09/15 (火) ~ 2009/09/20 (日)公演終了
満足度★★★★★
極み唄
堪能させていただきました。
やっぱり一本物とはまた違った面白さがありました。
タイニイアリスという箱の大きさにあったお芝居 だったと思います(^-^)
もう一回観に行ってみようかしら。

ハッピーエンドクラッシャー
ゴジゲン
シアターブラッツ(東京都)
2009/09/09 (水) ~ 2009/09/15 (火)公演終了
満足度★★★
いつもと違う
ゴジゲンの芝居はモンチャン以降から観させていただいてるのですが、いつものゴジゲンとは違う雰囲気の芝居だったと思います。
「全てをぶっ壊す」と言っていたくらいなので、どうなるのか構えていたのですが、想像していたのとはだいぶ違い、ぶっ壊されたと言えばぶっ壊されたかも。
この公演で初めてゴジゲンの芝居を観たという方がいらっしゃったら、是非他の公演のものも観てほしいです。
根っこにあるものは同じだと思うのですが、今回のこの表現は側面に過ぎないので、違う側面も観てほしいです。

悪趣味
柿喰う客
シアタートラム(東京都)
2009/09/04 (金) ~ 2009/09/13 (日)公演終了
満足度★★★★★
初柿喰う客。超B級アダルトXオカルトXサスペンス!!勢い、悪ノリ、ギャグ、コント、アドリブ、てんこ盛り!
初めて見る劇団「柿喰う客」です。
Jホラー好きとして、今回の「悪趣味」の
チラシの「怖さ」不気味さに惹かれての鑑賞。
まず舞台上は、村はずれのさびれた神社の鳥居、
井戸、などいかにも怖い。
そしてお客入れ時のBGMも、悲鳴、足音、赤ん坊の
泣き声などおどろおどろしい効果音で開演前から
雰囲気満点。
開演前のアナウンスも電波が乱れて途切れるという
念の入れよう。
チラシのイメージもあって結構普通の芝居か?
と思いきや…。
始まると、役者はみなハイテンションで客席に
向かって叫ぶ、キャラクターの演技も衣装も
デフォルメされている、ギャグや下ネタも時々交えて。
そして、休憩なしと言いながら、突然前編の終了、
数秒の休憩時間、再開するとミニコントコーナー…
なるほどこういう劇団だったか!
ある意味私の「小劇団」のイメージです。
村の狐伝説を調べにきた学者と女子大生、
男優が女装した自殺願望OL、
ナタをふりまわす女子高生、時々発作を起こす
不気味な母親と家族たち、
ゾンビの村長、「車椅子のコスプレ」の長老老婆、
ジェイソン風、メガネのメイド、ゲイの家庭教師、
飼い犬、河童…出演俳優は26人。
ホラー的なあらゆる要素をぶち込んだごった煮状態は、
多少ありがちな遊びが目立たなくもないですが…。
私のツボは、片桐はづき嬢。
ぼたん丸が実にキュート。
あの棒演技と、せりふとびリピートに大受けでした。
演劇集団キャラメルボックスの渡邊安理さんの客演にびっくり。
普段と違う面を楽しみました。
最後に代表の挨拶、
「ひたすら自分たちの好きなことだけをやるので、
好きなお客さんは観に来てください」という
言葉には納得。
スタンスがはっきりしていて気持ちいい。(^^)
シリアスなホラー劇も観たくなりました。
思いっきり怖いやつ。
「柿喰う客」の次回公演も観たくなりました。

極めて美しいお世辞
箱庭円舞曲
OFF OFFシアター(東京都)
2009/09/11 (金) ~ 2009/09/22 (火)公演終了
満足度★★★★
実直で見応えがある
美容業界の内側を知っているわけではないのですが
その業界の
「美」を作るというアーティストとしての側面と
ビジネスとしての泥臭さの両方が
丁寧に描かれていて
非常に興味深く観ることができました。

ZED【12月31日で公演終了】
CIRQUE DU SOLEIL
舞浜アンフィシアター(千葉県)
2008/10/01 (水) ~ 2011/12/31 (土)公演終了
満足度★★★★★
すごかった!
すごかった!その言葉しかありませんでした!
専用会場という場を生かしたショー。
はじめからZEDと言うものに飲まれ、そのまま最後まで言ってしまった感じでした!
本当に素晴らしかったです!
人間の身体て美しいんですね!

『轟きの山脈』(公演写真を掲載中!「写真」をクリック◎→→次は6月中野ポケット☆★)
舞台芸術集団 地下空港
劇場MOMO(東京都)
2009/09/11 (金) ~ 2009/09/20 (日)公演終了

ブラッド・ブラザーズ
東宝
シアタークリエ(東京都)
2009/08/07 (金) ~ 2009/09/27 (日)公演終了
満足度★★★
工夫された逸品!出来は素晴らしいがクリエがダメ
たくさん知恵を出しあって、名作といわれている
スタンダードミュージカルをアレンジした感がある。
スタッフ・キャストには高感度◎
「少ない予算であっても、作品の良さを伝わるような
舞台構成にしよう」
「未熟で知名度が低いキャストで、その個性が十分発揮できるように
しよう」として、手作り感あふれる、良い舞台に仕上がっている。
そう、これがS席¥7000、A席¥5000程度のお芝居であれば。
豪華キャストの「コーストオブユートピア」や、
劇団四季ミュージカルよりも高い1万1千円もする作品として
見たら、あまりにも簡素すぎる。
そう、クリエの製作陣が、作品および観劇という
お客の楽しみを全て壊している。
今回もそうだけど、スタッフもバイトなんだろう。
女性スタッフを中心に非常に勘違いしているというか
押し付けがましい、感情的な劇場サービスをして、
行く度に不愉快になる。
今回なんて、テンパっているのか怒り顔で無言でチケットもぎられ
入場早々から本当に頭に来ます。
激安チケットも普通にサイトで流通しているし、
お客が入らないのを前提に予算を削っているのだろうけど、
フラっと見にいったら、バカを見るような設定は
良くないなぁ。
作品は、育ちの悪さが滲み出る、NHK英会話の顔、藤岡君と
育ちの良さが、そのまま生きる世間しらず風なマリオ君。
藤岡君って、貧乏な配役なのにプクプク太っていて、
ハングリーさはなく、どちらかというと引きこもりのニート風。
ちょっと、鈴木亜美が惚れるには痛い。
といっても、鈴木亜美にオーラがあるわけでもない。
モー娘とかスピードの子達が持つ、
キラキラ感はなく、アイドルとしての寿命は終わった感じ。
マリオ君は、勢いがある旬である感じが全快で
キラキラしている。
でも舞台経験の未熟さからか、マルグリットでもそうだが
とにかくお芝居が大根。
あの大げさな無防備な笑顔は、芝居の下手さを隠すための
演出家の戦法であろう。
そして、それは成功している。
しかし、マリオ君も井上芳雄同様、汗かきすぎ。
冬のシーン、ダッフルコートを着ながら、
汗がダラダラ垂れているシーンを見ると、
こっちまで暑苦しくなる。これは何か対策を立てないと。
下村氏は、やり過ぎ。
というよりタダでさえ薄めなキャストの中に、
濃い口醤油だから、舞台を全部さらっっちゃった。
たっているだけで、口元を軽く上げただけで
怖くなってしまう。
男役の時の篠井英介のポジションは、彼が取れるでしょう。
舞台美術は秀逸。
よく工夫して出来ている。
劇場側、クリエがトンチンカンだから
製作陣が力を合わせて、よい作品を出したのだろうと
思えるような、バランスの取れた作品で
見ごたえありました。
でも劇場とチケット代から、星2つ減点

【終幕】暗ポップ 【劇団員募集中】
空間ゼリー
赤坂RED/THEATER(東京都)
2009/08/26 (水) ~ 2009/08/30 (日)公演終了
満足度★★★★
トラブルの起きない『カッコーの巣…』
ある病院の精神科が開設したショートステイ型カウンセリングでの1週間、一言で表現すれば「トラブルの起きない『カッコーの巣の上で』」なオモムキ、「正常と異常」「人と同じということと違うということ」などについて「ワカったような気にさせる」(笑)のは見事。
また、「入院患者」ではなく「参加者」ではあれ、やはり不安定要素を抱えた人物もいるので、いつか悲劇が訪れそうで「腫れ物に触るように」観てしまう。(『カッコー…』症候群か?(笑))
が、結局はそれぞれ「いい人」で、見かけ上は悲劇もなく結末を迎えて一安心。しかし複数の含みを残して幕を下ろすのは上手いと言おうかズルいと言おうか…(笑)
そのために実は1人を治すためにみんな揃って芝居をしていたのでは?などという誤読までしそうになったり、「あの人身事故って?」とか想像をしてしまったり…(爆)
あと、演技面では斎藤ナツ子の次第に変わって行く表情と阿部イズムが時として見せる「イッちゃってる」眼の表現(J列までそれが届くのはスゴい)が特に印象に残る。

バッド・ブッキング×グッド・バッティング
劇団絵生(えき)
博品館劇場(東京都)
2009/08/25 (火) ~ 2009/08/30 (日)公演終了
満足度★★★
大半の出演者が本人役を演ずる可笑しさ
劇団ヨロタミのメンバーが翌日からの公演に向けて博品館劇場入りすると、すでに Neo Mask が仕込みを終え場当たりをしていて…という円盤ライダーの『仕込んでいこう!』(07年)と似たよく状況から始まる物語、脚本を第1幕はヨロタミ側、第2幕は Neo Mask 側が担当するというのが両劇団ともよく観ている身には魅力な上に、飯田里穂や風見章子まで出演という女優系としてハズせないキャスティング…。
そういう状況から始まるだけに第1幕は大半の出演者が「本人役を演じる」というのが可笑しい。(『仕込んでいこう!』の場合はそれぞれ架空の劇団の劇団員役であって本人役ではなかった)
ヨロタミの「舞台監督係」「座長係」なんてポストは実際のものなのかフィクションなのか?(笑)
で、それぞれがサワリのシーンを演じて騒動の元凶となった制作担当にどちらを上演するか決めて貰い、敗れた側の客に対してはその担当者が誠心誠意謝るということでハナシがまとまりそれぞれ演じるが結局両方の脚本を併せて1本の芝居にすることになる、というのはやはりこのテの状況の定番的な(?)展開ながら、ベテラン女優の一言で安穏な状況が覆されて一同大慌て、というところに劇団BOOGIE★WOOGIE の『BACK from BACK』(02年、06年)もちょっと連想。
そういう展開を経ての第2幕は仕上がった脚本の通し稽古で、劇中の台詞にもあった通り Neo Mask テイスト満載なところにちょっとだけヨロタミのスパイスが利いて、な物語。
未来の死刑囚に対する刑罰として「義のある死」を与えるべく戦乱の世に送るというSF風設定も加えて描く「生き抜いてこの世に存在した証を残す」というテーマ、単品としてもよく出来ており、増補改訂版をいつか上演しても面白いのでは?などと思う。
総じて言えば1人の脚本家が書いた『仕込んでいこう!』の方が1本の芝居としてのまとまりはあったが、こちらは2つの劇団が時には自身を演じながら1つの作品を上演するという面白さアリってところか。

エル・スール~わが心の博多、そして西鉄ライオンズ~
トム・プロジェクト
本多劇場(東京都)
2009/08/25 (火) ~ 2009/08/31 (月)公演終了
満足度★★★★
「ヨネクラ文字」にニヤリ
故郷を離れ東京に住んで久しいキヨシが久々に帰省した博多で振り返る昭和32年夏から33年春までの数ヵ月…。
西鉄ライオンズの勝敗に一喜一憂する町で近所のオバちゃん、映画監督に憧れるニイちゃん、在日朝鮮人の少女やヒロポンを打ちながら仕事をする娼婦などに囲まれて育ったキヨシの小学生時代がどこか懐かしく、今は失われてしまったナニカが舞台からあふれ出て来るよう。席が最前列だったので、そのあふれて来る度合いも格別か?(笑)
物質的・環境的には当然現在の方が富んでいるにもかかわらず、本当の豊かさとは何だろうなどと考えさせられたりもして。(あぁ、何たる紋切り型表現!(爆))
昭和33年の早春、相次いで訪れる別れがまた切ない。死別は1人だけとはいえ、それ以外での別れもあれだけ集中すると…キヨシ少年の心中、お察しいたします。
なお、美術がヨネクラカオリで、広い舞台だけにもちろん装置が段ボール製などということはない(笑)ものの、優勝パレードを観る場面での旗に「ヨネクラ文字」を見出してニヤリ。

BLACK COMEDY
SAME∞LINEプロジェクト
d-倉庫(東京都)
2009/08/19 (水) ~ 2009/08/23 (日)公演終了
満足度★★★
脚本自体に弱点アリ
94年12月に本多劇場で加藤健一事務所による上演を観て以来で詳細はほとんど覚えていないので確証はないが、若干の時事ネタは入れたものの大きくアレンジせず、「翻訳戯曲っぽさ」まで残した演出はむしろ基本に忠実と言えるか?
ただ、演出や役者の責任の範囲外である(プロデューサーの責任ではある?)脚本自体の弱点として、明暗を逆転させて暗闇での出来事を活写するというアイデアに溺れて肝心の本編ストーリーがおろそかになったことは否めず。
たとえばレイ・クーニーなんか同じ設定で書いたら、スポンサーになりそうなバンベルガーが来てからの売り込みに一番重点を置き、ロンドン電力の担当者をバンベルガーと勘違いするところや暗闇の中で勝手に借りた家具を戻そうとするところに次の重点を置いたであろうところ、本作の場合はバンベルガーなんてホンの添え物程度で済ませてしまい、なんだか終わり方が中途半端…。
とはいえ、そんな中で上田郁代の小悪魔っぽさ(ハマリ役気味?)と、下手側の壁にかかっていたボッシュあるいはエルンストあたりを想起させる油絵や仏像、オブジェなど、前衛芸術家の部屋らしさを感じさせる美術が特に印象に残る。
で、この上出来の美術、後で訊いたら佐藤秀樹によるものとのこと、そんな才能も秘めていたのか…。
いずれにしても、今後も機会があればレイ・クーニーの作品群とか、あるいはアイラ・レヴィンの『デス・トラップ』などに挑戦していただきたい。