ラフカット2009
プラチナ・ペーパーズ
こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)
2009/11/04 (水) ~ 2009/11/08 (日)公演終了
満足度★★★★★
お辞儀マニア必見!
演劇ってええですなあ、ということがよくわかる、ナイスな4本立て。
やっぱ、演劇ってラジオドラマでもなければバラエティでもないし、吉本でもなくて、乱暴にわかりやすく言ってしまえ、今、目の前にあるものからラジオドラマを引いて、バラエティも引いて、吉本も引いて何が残るか。さらに極端にいってしまえば戯曲・脚本さえも抜いてしまって何が残るかという見方が、貧乏くさいながらも、有効なんだなあと思った次第でありまして、その意味では、第二話の「空気」は演劇してましたねえ。濃密です! しかもあれだけの役者さんが出ていて30分であそこまでひとりひとりの「役」ではなくて「顔」と「姿態」を大事にするというのは、ちょっと感動もので、さらにおいうちをかけるように、ラストシーンのあの「お辞儀」! あの「お辞儀」はすごかった。涙が出てしまった。「リトル・ブッダ」のベルトリッチも真っ青のお辞儀で、あれは、やはり演劇でしかみられない瞬間でありました。第4話の上手のベッドにいたおじさんも、よかった。ポコンと劇に穴をあける存在感があって、「手堅さ」だけでは得られない、手触りをあのおじさん、あの芝居にもたらしていてくれました。
拝啓、絶望殿
ペテカン
駅前劇場(東京都)
2009/11/06 (金) ~ 2009/11/15 (日)公演終了
満足度★★★★★
好きな劇団になりそう
シアタートップスさよなら公演で、ペテカンを知り、本公演を楽しみにしていました。
先日の青年座公演の本田さんの戯曲がイマイチだったので、心配していましたが、やはり、日頃から熟知している、劇団員の方々に当てて書いた戯曲は秀逸でした。
笑いあり、涙あり、だいたい予想のつく展開ながら、説明もくどくないので、物語の世界に、抵抗なく身を置くことができました。
主人公土屋役の斎田さんは、ほぼモノローグの台詞で、難しそうでしたが、ちゃんと感情に裏打ちされた語りなので、こちらも、情景や情感をなぞりながら、集中して、聴くことができました。
役者さん、皆さん、力量のある方ばかりで、存在感もあり、初見で、お気に入り劇団になってしまった気がします。
院長の歌、胸に沁みました。ただ、望月さんのエピソードは、劇作家の常套手段的な印象もあり、あの場面は、感動する人と、白ける人に分かれるかなという気はしました。
台詞の中に、実質的に不可能だよとツッコミ入れたいところもありましたが、
さすが、ご自身の経験に根ざした脚本は、少々の矛盾も帳消しにする説得力がありました。本田さん、男性なのに、女性心理がよく描けていて、感心しました。
次回公演も、絶対観ます。
第63回東京都高等学校演劇コンクール中央発表会
東京都高等学校演劇連盟
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2009/11/14 (土) ~ 2009/11/15 (日)公演終了
満足度★★★
道化師は踊らない(翔洋学園渋谷)
殺人容疑をかけられた親友のために一芝居うった屈折した友情を描いた作品。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
殺されたホームレスを刺した血の付いたナイフが千尋の鞄から出てきたことから、殺人容疑者になってしまった千尋を庇おうと親友の小春は弁護士・七瀬の元を訪れる。「千尋はホームレスが殺された時刻には『メイドでにゃんにゃん』でバイトをしていたから無実です。」と証言する。
「メイドでにゃんにゃん」はアキバのメイドカフェで猫耳に猫シッポを付けたメイドが猫をかぶって猫なで声で猫舌の男を猫ばばするところらしい。笑
それを受けた弁護士・七瀬は早速法廷の証言を小春に依頼する。そして裁判当日、小春は七瀬に語った証言を覆し、千尋に不利な証言を発言する。動転した七瀬は千尋の為に別の真実を探すことになるが、その矢先、女子のブル間を盗んだ男子・銀太と千尋が同じ学校の生徒だと気がつく。かねてから千尋は当日の殺人事件の同時刻は自分のロッカーに入っていた誰のか解らないブルマを気持ち悪がって焼却していたから、自分は学校にいた。と証言していたのだった。千尋の話と銀太の話の伏線が繋がり、七瀬は先の小春の法廷での証言が偽証だったことを追求する。
すると小春は「自分の好きな人が千尋と付き合うようになって千尋が邪魔だった。千尋なんか刑務所で踊り狂えばいいんだ。そう、ピエロのように・・。私の心を殺したんだから・・。」と証言する。こうして千尋は無罪になり無事に釈放されたが、後日、本当の真実は大きく違っていた事を七瀬は知ることになる。それはホームレスを殺したのは千尋と銀太と小春の3人だったのだ。そんな折、千尋だけが捕まってしまい、3人で殺したのに千尋だけ捕まってしまったのは不公平だと思った銀太と小春は七瀬を騙し法廷で一芝居うったという。
しかし、真実を聞いた七瀬は「私はあの3人に感謝しなければいけないわ。だって殺されたホームレスは私の両親を殺した男だったんだから。日本の法律って甘いわよね。人を殺しても刑務所を出られるんだから・・。」
脚本は素晴らしいと思う。どうやらかつて顧問だった教師作のようだ。しかし、一部の生徒の演じ方が固い。まあ、高校生だから仕方ないのかも。一方で銀太役の宮城繁の演技は舞台慣れしてるような秀逸な演技に脱帽した。彼の心臓は鉄で出来てるらしい。笑
シガラミズム
エレクトリック・モンキー・パレード
インディペンデントシアターOji(東京都)
2009/11/11 (水) ~ 2009/11/15 (日)公演終了
満足度★★★★
シアワセとフシアワセ。
とても私好みの芝居でした。
期待以上に素晴らしかった。
あとはネタバレにて。
ネタバレBOX
早くに両親を亡くし、若くして一家の大黒柱となった長男キリヒトとその家族たちの話。
前半部分はコメディタッチで進みます。
ここは次男役の金城さんが素晴らしかった。
前回の『世界の終わり』にも出演されていたと思うのですが、今回の方が格段にいい。
かなり笑わせてもらいました。
中盤以降、幸せそうな家族の本当の姿が徐々に明らかになっていきます。
見事に壊れていく家族の姿は凄まじい。
途中長男がドラッグでとぶシーンがあるのですが、あのシーンは素晴らしいですね。
サイケデリックな照明と音楽。様々なコスプレで長男を誘惑しながら踊りくるう女たち。舞台にはシャボン玉が飛び交い、非現実的な世界を見事に表現していたと思います。
そしてそんな非現実的な世界を表現しながらも、仮面を被って長男を誘惑していた女が実は性的虐待をされていた三女で、最後は長男の首をしめるという。
非現実と現実がうまく混ざり合った、非常にいいシーンでした。
ラストは最後の晩餐。
13人というキャストの数、役名、チラシ裏面のイラスト。
そうだったのか、と思わず唸りました。
欲を言えば、次女のボブのシーンはもっと良くなったのではと思いましたが、全体的には非常に満足です。
役者陣では金城さん、渡辺さん、佐藤さんの熱演が光っていました。
藤條虫丸&The Physical Poets
藤條虫丸
七ツ寺共同スタジオ(愛知県)
2009/11/14 (土) ~ 2009/11/15 (日)公演終了
満足度★★★
名古屋舞踏
一部「舞音交響詩 跳梁八紘 ~ 献詠・歌舞伎昌三」。二部「天然肉体詩 虫丸独儀・静かな庭 '09」。(19:00-20:05/20:19-21:01)
そもそも「芦川羊子」さんが異論を唱えているうちは「舞踏」を論じることは出来ないといっていい。慶応大学、京都造形は事態をこじらせているばかりなり。
ネタバレBOX
ただ優れたダンサーは輩出しているので観客には観て楽しむ自由はある。フィジカルポエッツは力量にバラツキがあり、衣装も普通のスポーツウェアあり、水着が見えてしまうケースあり、子供を舞台にあげる場面ありで、ゆるく楽しんでいる様子が見えお客としてはやや残念。そんななかでも「牧桃子」さん「姫ひょっとこ」さん、チマチョゴリの衣装の人など納得できる演者もいたように思う。一部は虫丸氏は朗読だけ。声が「児玉清」ばりの美声。詩と踊りの絡みもやや研究必要か。
--二部はソロ。昨年の演目の改訂版らしい。細かい演技、マイム的な場面からはいる沈黙劇的なパフォーマンス。伸びて背中が破れたオレンジ色のランニングシャツに短パン。ホーチミン髭にパナマ帽の日焼けした肉体労働の男が、砂浜で、という情景。種か虫かわからないものを追いかけ、深みにはまって行く感じだろうか。緩急たくみで隙がない。そもそも脚の筋肉の張り、血管の浮き出し方が常人のものではない。
15 Minutes Made Volume7
Mrs.fictions
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2009/11/12 (木) ~ 2009/11/15 (日)公演終了
満足度★★★
いろいろ
ためしに、行きましたが、興味がもてました。
夜更かしの回が、気になりました。
庭
箱庭円舞曲
nakano f(東京都)
2009/11/10 (火) ~ 2009/11/15 (日)公演終了
満足度★★★★★
全部いい
6人の俳優さんみんな素晴らしいのですが、その組み合わせの妙に唸りました。期待以上に面白かった。
飯縄おろし
世の中と演劇するオフィスプロジェクトM
タイニイアリス(東京都)
2009/11/06 (金) ~ 2009/11/11 (水)公演終了
満足度★★★
みた
普通です。
セットとか、役者とか悪くない
インテリジェンス・シャドー
IQ5000
笹塚ファクトリー(東京都)
2009/10/08 (木) ~ 2009/10/12 (月)公演終了
満足度★★★★
みたー
出てる人たちが、同じ方向に向かっているのは、見てて気持ちいいよねーー
いろいろ、面白いことやってるよねーー
1000$とGOLDLEMON
コーヒーカップオーケストラ
参宮橋TRANCE MISSION(東京都)
2009/07/10 (金) ~ 2009/07/12 (日)公演終了
第63回東京都高等学校演劇コンクール中央発表会
東京都高等学校演劇連盟
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2009/11/14 (土) ~ 2009/11/15 (日)公演終了
満足度★★★★★
THE WINDS OF GOD(日本大学第一)
今井雅之の脚本で有名だからもう、ご存じの内容。今井自身が自衛隊あがりだったことも加味して話題になった作品。彼らの舞台はかなり前に観たがその時もセットは木の机と椅子のみだった。今回も同様。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
売れないお笑い芸人の誠と金太は、ある日交通事故に遭う。気がついたときには第二次世界大戦終戦間際の神風特攻隊基地へとタイムスリップしており、しかも彼らは神風特攻隊員として前世の姿になっていた。
彼らは戸惑い、そして突然、突きつけられた現実を否定しながら、時空の渦に巻き込まれ1945年8月という時を彷徨っていく。 戦争という大儀の前、任務遂行のため命を差し出すことを余儀なくされた若者達。 その中で突然に突きつけられる「死」という現実。
ある者は任務に忠実に、ある者は神に祈り、ある者は心の奥に疑問を抱きつつ、それでも愛する人を守るために戦いの空に飛び立っていく。
二人にもついに零戦に乗る日がやってきた。その前に誠と金太はお笑いを一席打つ。今度はミスもなく完璧なお笑いができる。そんな思いを胸に彼らは「おかあさーーん!」と叫びながら遥か上空で散るのである。
今回の演技のためにキャストらは習志野駐屯地へ行き上下関係の厳しさ、敬礼の仕方、日頃の訓練などを学んだらしい。その後、土浦にある特攻記念館に行き、特攻隊本人が書いた遺書、学んでいた教科書、血書などを見学したとのこと。
この姿勢にひじょうに感動し、演技も素晴らしかった。金太役の榎本晃太の涙の演技を観たとき、会場ではあちこちにすすり泣きの音が聞こえ感無量でした。舞台は脚本家の筋に忠実に再演し55分で上手くまとめたと思う。衣装も素晴らしかった!
雨のにおい
東京タンバリン
駅前劇場(東京都)
2009/10/01 (木) ~ 2009/10/06 (火)公演終了
満足度★★★
みた
以前も見たことがあるのだが、やはりスタイルは、変わっていない
こねたが多いと感じる
あまり好きでないので、うーーん
水晶の夜「グーテンターク!私たち、日本のとある元祖有名少女歌劇団です。」
劇団東京ミルクホール
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2009/11/12 (木) ~ 2009/11/15 (日)公演終了
満足度★★★★★
レビュー
面白かったです!
ほとんどが女役で 歌や踊り、衣裳替えが多く華やかなステージ。
笑って笑って ラストは切ない話でした。
ライカンスロープ
Afro13
シアターVアカサカ(東京都)
2008/02/14 (木) ~ 2008/02/19 (火)公演終了
満足度★★
みた
勢いはありますなー
激しいが、何か物足りない
うーーん
いらない里
ホチキス
吉祥寺シアター(東京都)
2009/11/07 (土) ~ 2009/11/15 (日)公演終了
満足度★★★
劇場使いが見事
吉祥寺の高さを生かした
空を見上げるための工夫が見事。
このスケールの話になるなら
個々の登場人物のバックボーンがもう少し見えた方が
入りこめたかも。
15 Minutes Made Volume7
Mrs.fictions
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2009/11/12 (木) ~ 2009/11/15 (日)公演終了
満足度★★★★
人柄のいい作品たち
悪意とかのない作品ばかりだったので、作風はみんな違うのに、なんか全体に一体感のある気持ちのいいプログラムでした♪
ネタバレBOX
【こゆび侍】
会話のなかに織り込まれた単語から、少しずつ「メデューサもの」ということが解き明かされる過程がまず魅力的で。目をみた相手を石にしてしまうので、互いに視線を交わすことなく、つねに相手を強く意識しながら生活する夫婦の話、というだけでもう切なくなってしまう。おそらく、その日々の営みだけを15分間描きつづけたとしても満足してしまったことだろう。幸福な結末も心地よかったなあ。ただ反面、そこに向かうためには、「たとえ石になってもいいから相手とみつめあいたいという激しい熱情」は欲しかったかも? あるいは、「あえてギロチンという極刑を覚悟してしまうほどの、差別されている側の積もりに積もった憎悪」もより鮮明だったらなあ。さらに、省略された「石化」されるところも具現化されてれば、なんて要求もたくさんあるんだけど、つまりは、もっとじっくりと、長編として観てみたくなった! というぐらい好みな作品でした♪
【モエプロ】
なんか勝手に『三月のライオン』的な将棋ものかと思ってたら、弓道系袴モノで喜ぶ(笑)。そしてツボに入ってしまい、6本のなかで一番笑った。欲をいえば足袋とカケ(馬手、右の引き手につけるグローヴみたいの)は着用して欲しかったかなあ。あと、やっぱり「荒城の月」と名付けるならもっと終盤まで冷たさは維持して欲しかった。態度と言葉が離反する感じで。そして、最後の溶ける落差がみたかった…。また、ライオンにも荒々しさを求めたくなったように、漫画・アニメ的な記号で終わらせないで、もう少しだけ丁寧な立体化がなされていたら、即座に本公演にも馳せ参じたのだけど。
【ゲキバカ(劇団コーヒー牛乳改め)】
惑星ピスタチオ的なパワーマイム。小林賢太郎的な細かい小技も効かせつつ、どのシーンも丹念にわかりやすく綴るのだけど、反面、ややもったりした印象もあったので、最後、高速で繰り返しそうな雰囲気があったときにはゾクッときた。なので本当は、会話なし省略多数の身体だけの数分でのダイジェスト版をそのまま観たかったなあ。息を切らしながらそれでもさらに3回目に挑もうとする、とかがラストだと好み。でも、ゲキバカという改名に好感の抱ける作品でした!
【夜ふかしの会】
一本目の暗転使ったコントが秀逸だったので、なんとかそれで15分もたせられなかったのか、とは思う。少なくとも、次にどうなるんだろうという観客のワクワク感を二本目、三本目でも持続、あるいは有効転用できていたらなあ。もったいない。
【国分寺大人倶楽部】
【モエプロ】のあと、休憩挟んだら、急にアダルトになって戦く(笑)。エロくみせる手法の巧みさには“舌を巻く”、と自分で書いた言葉にすらなんだか“いやらしさ”を感じてしまうほど、ほんと上手かったなあ。構成的にも決まっていたんだけど、じつは順序が逆で、あのエロいシーンを作るためにああいう物語になったのではと思うぐらいで、なんか徹底していて素敵。あと、作・演のウコンの力はずるい!w というあたりも含めて、すべての登場人物に親近感を抱いたり、ときとして愛おしくなりすらような仕掛が随所に施されていて高評価も、じつはかなり苦手な作風だったりするんだよなあ…。
【Mrs.fictions】
他がみんな、伝わりやすい物語や笑いの多い作品だったこともあり、この並びはかなり厳しく。主宰劇団が最後を締める、ということに意味はあるにせよ、15分間のスペシャリストとしては疑問符が。全体の流れもあってこちらの気が緩んでいたせいもあるんだろうけど、語り口の違うモノローグとかふわっとした役者の入り方とか、きっといつもなら楽しめたような部分も観ていてこぼれ落ちてしまったのは、残念。
シガラミズム
エレクトリック・モンキー・パレード
インディペンデントシアターOji(東京都)
2009/11/11 (水) ~ 2009/11/15 (日)公演終了
満足度★★★
痛さ
キャストが美男美女揃いでよかった。
「痛い」を「痛い」と表現するのは簡単で、「痛い」をどう、「あ、痛いんだろうな」と思わせるところが表現だと思っているので、
ネタバレBOX
血だらけも金切り声の悲鳴も性癖も狂いも印象的で非日常でそれはそれで良いと思うのだけれど、それ以上の表現の部分を見たいと。故に「ボブいない、いる」のくだりが、表現的で良かった。
人間の内面、関係性が表出されるべき芝居のはずなので、後半の叙事進行ではなく、もっと各人の内面が掘り出されるはず。衝撃事実のオンパレードなので節操ないイメージの主人公。
SHOW MUST GO ON
劇団ストロボライツ
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2009/11/06 (金) ~ 2009/11/08 (日)公演終了
構造と感情
台本削ったのであろうというのが第一印象。
バックステージものだが今回の場合は、描きたかったところはシーンの裏側の人間模様で、芝居部分は必要ないはずなのだが、それでも削った(であろう)部分や芝居部分の妙が全面に出てしまい、結果観客が「気になる」結果に。役者の我侭で「変化」するのであれば、その「変化する前」を知りたいのは当然かと。
「少しずつズレていった方向を最後にどう無理矢理に組み立てるかが観たい」というシチュエーションコメディの観点で見ると、「感情」オンリーでそれまでのズレ分を失くすのは勿体無い気が。
続きはネタバレBOXにて
ネタバレBOX
母親の登場も、あそこで本当のお母様が出てきたら盛り上がったはず。一つの山場の部分で、観客は「母が来る」ことは予想は出来ており、実際の母の可能性を考えたはず。わたしもまさかと期待したが、そこで明らかな「役者」の子が出てきたのが残念だった。
劇→劇中劇の感情から劇→劇中劇→劇中劇中劇の構造を見せたかったのか。感情的な素敵なワンシーンもカットの声で消える儚いもの、ただその儚いものに数十人の人間が携わり…という思いは充分に伝わった。が、だからこそ、ラストの開場前のテンション上げのシーンをテンションにして欲しくなかったと思い。
前々回からの連作であると思い、母親思いの方、リーダーとして矢面に立ったことのある方、ゆったりとした芝居が好きな方、構造的芝居よりも感情的芝居が好きな方が好む芝居。
ベストアンサー
643ノゲッツー
劇場HOPE(東京都)
2009/11/11 (水) ~ 2009/11/15 (日)公演終了
満足度★★★
役者さんは面白かったけど
初見の劇団で、どういう芝居なのか知らずに観ました。
フライヤーから受ける印象とまったく違う劇でしたが(笑)、
会話がリアルで、役者さんたちの演技はまあまあ面白かったです。
女優陣にくらべ、男優陣の性格づけが川島兄と秋元以外は、イマイチ弱く感じましたが。
ストーリーに無理があり、すんなり納得できない部分もありました。
この劇団自体への自分の評価はあと1、2作観てみないと決められないなーと思います。
ネタバレBOX
特に印象に残った役者さんは、秋元の熊谷さん、米山の松本寛子さん。
2人も生活感が感じられる役でした。秋元さんは「逆手本忠臣蔵」のときとは
また違った役どころで楽しめました。
下着を売った女性が金回りがよくなったといって、2人ともわかりやすいケバイファッションになるのも同性としてはよくわからない。
ブランドものを買うことはあるかもしれないが、あの2人の外見は単に下品になったようにしか見えない。水商売に入ったわけでもないのに?北岡さんはしゃべりかたまで変わってしまう。不良仲間に入った中学生じゃあるまいし。
下着を売ったことを隠しているのに、あんなに極端に変わるものなのか。
コントではないので不自然に感じました。
中村さんが事実を知り、意外に常識的なきちんとした意見を言うので、2人が精神的に堕落したことを表すためにあの服装にしているのかもしれないが、服装センスと金回りがよいこととは問題がまた違う気がします。
アイドル志望の手塚さんも登場のしかたが唐突で、それも仕掛けなのかもしれないが、最初、従業員なのか遊びに来ている知り合いなのかよくわからなかった。
同伴者が「あの弁当屋の店長、あるいは個人事業主がまったく出て
来ないのはとても不自然な気がする」と言っていました。
確かに、あの狭いシチュエーションではそうかもしれません。
最近のコメディーによく見られる傾向ですね。日常劇である以上、必要と思われる存在の人物が、本筋には関係ないからまったく登場しないということが。それがお芝居のリアリティーをそぐ場合もありますね。難しいところですが。勤務時間外での出来事とはいえ、従業員たちがあれだけ気を遣うような怪我なら店の責任者が蚊帳の外ということも考えにくいですから。
それに平井さんの怪我の程度がよくわからない。眼鏡をしていたのに、まるで目に刺さったかのような騒ぎようで、目に刺さったら失明は免れないでしょうけれど。平井さんがあの職場に来ているのは、休職中だが従業員たちに病院の送り迎えをさせるためなのか、仕事はいまも続けているためなのか不明。弁当を詰める仕事ならあの目の状態では普通はやめるか休職するかどちらかだと思われるが。
シリアスな場面とお笑いのバランスも一考されたほうがよいかなと思います。
「ベストアンサー」という題名ですが、川島弟が同僚たちの電話を一斉に受ける場面が終盤にありますが、それまで彼がふだんから仲間に頼られてるという印象の場面がないだけに、この場面が取ってつけたように見えてしまいました。兄の借金のふくらみかたがギャンブル、キャバクラ、フーゾクとありきたりでしかも、なぜそんな自堕落な生活になったかという背景も説明されない。
暗転が多く、いくつかのエピソードをつないでいく芝居なので、ラストのような
「あの夫婦お似合いかも」みたいな当たり前のオチでは、「何だ、それだけ?」と肩透かしをくらったような物足りなさが残りました。兄嫁も目力で笑わせる以外の描き方がほしかった。フィリピン人の彼女がなぜ、駅前で日本語で演説していたのかという理由がわからない。自転車を平気で乗り逃げしたり、単に突拍子もない行動に出る変わり者ということなのか、それではあまりにも外国人をバカにしているのでは。
王たる者
謎のモダン館
メルカつきまち(長崎県)
2008/07/06 (日) ~ 2008/07/06 (日)公演終了
満足度★★★★★
最高の出来栄え
脚本の出来栄えにまず感服しました。
ストーリーの組み立て方、セリフの素晴らしさ。
完成度の高い脚本を、見事に演じきった俳優人達。
観劇中、体の震えが止まらず、観劇後の余韻は更に凄まじく…。
観客の大半がラストに涙を流している事がはっきりと感じられました。
近年で最も心を打たれた作品です。
モダン館の神髄、これにあり!
本当に素晴らしい作品でした。