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11月戦争とその後の6ヶ月

11月戦争とその後の6ヶ月

アロッタファジャイナ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2009/11/23 (月) ~ 2009/11/29 (日)公演終了

満足度★★★

番外公演ならいいんじゃないかと
SFで色々投げて拾われないモノが多かったですが
主人公の2人の気持ちだけは強く見せてましたね、所々2人の思いが
わからない所もありますがファンしか見ないようなルデコ公演だから
全然OKじゃないでしょうか、5人の中で鈴木さんお演技は色が違って
よかったですね。
場所によって見えずらくて囲みじゃなく1方向ででも良かったんじゃ?
詳細はTBで、(いい感想に見えないけど)

NINPU

NINPU

ロスリスバーガー

RAFT(東京都)

2009/11/13 (金) ~ 2009/11/15 (日)公演終了

満足度★★★★

倉多江美の短編をも想起させる
「理想の生活」についての文章を書かなくてはならないのに筆が進まない主人公が「具体的に思い浮かべてみれば?」という夫の助言に従ったところ、「勝手にしやがれ」を歌う太めのジュリー(笑)に続いて1万円をせびる妹やどう見ても全裸の人間なチワワ(爆)も現れ…という物語、『ジュマンジ』のように実際に現れるというよりは主人公が妄想の中に入り込み過ぎたってところか?
前回公演のリアルなタイプとは対照的な、倉多江美の短編「物語をコントロールできなくなった漫画家の悲劇」(「一万十秒物語」所収)をも想起させるシュール系、これも愉快。
特に主人公の気の弱そうな表現が、いかにも妄想の中の人物たちに手を焼きそうで、ある意味リアリティを与えていた、みたいな?
あと、ラストは原稿用紙が乱舞して散らかされ、その散らかり具合は前回の冒頭同様、他人事ではなく身につまされる(爆)。

御霊祭御祭騒【トリプルキャスト公演】

御霊祭御祭騒【トリプルキャスト公演】

虚飾集団廻天百眼

シアターPOO(東京都)

2009/11/07 (土) ~ 2009/11/22 (日)公演終了

満足度★★★★★

狂喜乱舞
自分の出生時の因果か身籠った子供を出産する際に命を落とした少女が、現世に残した娘を心配してあの世を仕切る大僧正にすぐにでも転生することを願い出て…という物語、約60分という上演時間もあってか非常にシンプルかつストレートでわかりやすい物語をコテコテのアングラ風味にユーモアも添えて楽しく、アンケートで出演者・脚本・演出・音楽・照明など各項目とも選択肢の中の「狂喜乱舞」に○を付けてしまったくらいで。
開場後、客席に入るとすでに牛頭・馬頭・鵙・鈴鬼なんてあの世の住人が舞台や客席にいて「お客様のお成~り~!」と迎えたり小芝居をしたりしており、石井主宰のユーモラスな前説を経て開幕すると、真っ暗な中、懐中電灯のみの照明からスタートするという。
以降、少女をそそのかして実は自分が転生しようとする御祭男や、少女が転生する子供の親となるハズの少年と少女なども描きつつ、ラストは中央通路を舞台から客席後方に去る亡少女の図、そうか、あの通路は産道だったのね、みたいな。
産道と言えば、胎児は産道を通る時にそれまでの記憶を失う、なんて台詞に夢野久作の「ドグラ・マグラ」を連想し(この頃多いな…)、衣裳・メイク(大僧正が特に○)などヴィジュアル面からは佐井好子(←本業はシンガー)の絵(イラスト?)も連想。
また、その産道…いや通路際の比較的前方に座ったのでメガネをかけさせられたり膝に腰かけられたりして、それもまた楽しからずや。
あと、終盤で流れる「とおりゃんせ」のロックバージョン(by Ray Ascroft)や、パなく降りしきる(←当たると痛いくらい:終演後に片付けるのはさぞや大仕事だろう(笑))紙吹雪&金銀モールも印象的。

In The PLAYROOM

In The PLAYROOM

DART’S

ギャラリーLE DECO(東京都)

2009/12/01 (火) ~ 2009/12/06 (日)公演終了

12月1日(火)S
正面高台の席がいいかも。

見えざるモノの生き残り

見えざるモノの生き残り

イキウメ

紀伊國屋ホール(東京都)

2009/12/02 (水) ~ 2009/12/07 (月)公演終了

満足度★★★

イキウメファンとしては
やや残念な仕上がりだった気がします。
いつも、目立たない役の多い森下さんが、今回は重要な役どころで、いい味を出されていたし、若い窪田さんが、とても好演されていて、先々楽しみになりましたが、イキウメらしからぬ、緊張感が足りない舞台に、ちょっと不満が残りました。板垣さんの台詞が聞き取りにくいのも、舞台への集中への邪魔をしました。

でも、相変わらず、前川さんの作り出す世界感は素敵だし、伊勢さんが、益々魅力的な女優さんになって、イキウメには欠かせない存在になられたなあと感じ入りました。
「狭き門より~」の時も好演されていた有川さんが、今回も自然な演技で、感動を与えて下さいました。また、イキウメの舞台で、拝見したい役者さんです。

最後の種明かしシーンは、ちょっと蛇足な気がしました。もし、あのシーンを見せるなら、もう少し前にしてもよかったかなと、ややスッキリしない感じがしました。あくまで、個人的好みとして、最後は、座敷童子達が、じゃあね、又みたいな、ほっこり余韻の残る終わり方で行ってほしかったもので。

月いづる邦

月いづる邦

La Compagnie An

座・高円寺1(東京都)

2009/12/03 (木) ~ 2009/12/07 (月)公演終了

満足度★★★★

プレビュー
アンのお芝居はいつも私に新しい何かをくれる。

新しい感覚。
舞台を観る、というのとはちょっと違う
素晴らしい体験だった。

演劇にとって、お話、ストーリー、そういうのは
あまり意味がない。
そんなかんじ。

踊ることや、歌うことと、同線上に演じることがある舞台でした。

ラ・カンパニー・アンはすごく「女性の劇団」感があるんだけど、
今回はそれがもっと普遍的なものにつながっていく感じがする。
大きなものを感じたり、終わってから大きなことを考えたりする。

個人的な小さい物事と、○○とはみたいな大きな物事と
等価だと思うのですけど、大きい方がお好みの方、是非♪


ネタバレBOX


でも、やっぱり思うのは、俳優の仕事とは何ぞやっていうことです。

広い舞台に、かっこ良い生音。

舞台の中心で何かがすすんでいても、
そうでないところに目を奪われることもある。
でも、脇で歌っている人より、
それを見ている、聞いているおばあちゃん(西山さん)を見ていたい時がある。
何もしてないのになー。音楽を聴いている人を見て涙が出てくるんですよ。
すごいよなー。

触媒みたいな感じなんでしょうね。
その俳優さんの在り方を餌にして私の想像が勝手に先に進んでいく感覚。




シャッフル・ルーム

シャッフル・ルーム

東京おいっす!

「劇」小劇場(東京都)

2009/12/01 (火) ~ 2009/12/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

おとなのコメディ
劇団名がドリフの長さんをほうふつさせるので、ドタバタ系かという先入観がありましたが、登場人物の誤解が複雑に絡み合う緻密な筋の、良質な大人の(アダルトではない)コメディーでした。俳優ひとりひとりの表情も面白く、帰りの電車の中では思い出し笑いを何度も...。

見えざるモノの生き残り

見えざるモノの生き残り

イキウメ

紀伊國屋ホール(東京都)

2009/12/02 (水) ~ 2009/12/07 (月)公演終了

満足度★★★★

意外っ!
イキウメってこういうかわいらしくって優しい作品も作るんだ、ってびっくり。笑いもあるなんて。座敷童子がテーマってね。SFというよりファンタジー。

当日パンフは読んでからのほうがちょいちょい楽しめるかも。

客演さんもさることながら、劇団員の方々のキャラも今回はおもしろかったと思います。

ネタバレBOX

意外な路線かと思いきや、ちゃんと最後にはイキウメらしいぞわっとするところに戻ってくるのもうれしいところ。

板垣さん、有川さん、森下さん、窪田さんの座敷童子=家守チームがかわいくないのにかわいく見えちゃうのがいい。
シケモクと猿股

シケモクと猿股

ONEOR8

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2009/12/02 (水) ~ 2009/12/06 (日)公演終了

満足度★★★★

シケモクと猿股
なるほどと思うタイトル。配役が変わればもっともっと感情移入できそうな芝居だった。ポテンシャルの高い劇団だと感心してしまう。

見えざるモノの生き残り

見えざるモノの生き残り

イキウメ

紀伊國屋ホール(東京都)

2009/12/02 (水) ~ 2009/12/07 (月)公演終了

満足度★★★★

当日券で観劇
よかった…!
イキウメの劇団員さんの演技はすごく安定しています。
作品もストーリーの流れに飽きず最後まで集中して見れました。
でも個人的には奇ッ怪の方が好きでした。ゾクゾク感が。

見えざるモノの生き残り

見えざるモノの生き残り

イキウメ

紀伊國屋ホール(東京都)

2009/12/02 (水) ~ 2009/12/07 (月)公演終了

満足度★★★★★

よかった!
座敷わらしのお話です。でも、テイストはやっぱりイキウメ。
すごくよかったです。後半は自分でも驚くくらい、泣かされました!

十二人の怒れる男

十二人の怒れる男

Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2009/11/17 (火) ~ 2009/12/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

さすが蜷川さん…芸が細かい!
役者さん方が豪華なのもあり、とっても見応えがある舞台でした。

が、それにも増す演出の細やかさ!
役者さんの動きから、音の効果、照明の使い方まで、
全てにおいて感動しました。さすが巨匠ですね。

SWITCHで蜷川実花さんとの対談をお見かけしたので、
さらに蜷川ワールドの奥深さを感じるため購読しようと思います!

ライク ア ローリングストーンズ

ライク ア ローリングストーンズ

enji

ザ・ポケット(東京都)

2009/12/02 (水) ~ 2009/12/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

素晴らしい!!!
脚本がしっかりしていました。

感動しました!

ローリング・ストーンズに詳しくありませんが、ロック魂は伝わりましたよ!

ネタバレBOX

やり残したこと、伝説を作ることから、形に捉われない真のロック魂を悟った男。

そして、昔の仲間や跡を継いだ家族に真のロック魂を植え付けることができて良かったですね!

お寺の承継の大変さもよくご存じで…。
ラッキーバニーボーイ

ラッキーバニーボーイ

東京パチプロデュース

劇場HOPE(東京都)

2009/12/01 (火) ~ 2009/12/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

面白い!!
席がいちばん後ろだったので↓の人みたいな事もなく観る事ができました。
東京パチプロデュースは初めてですが、
話も面白く良く考えられていて見る側の予想をいい意味で裏切らず楽しませる感じが良かった。
ちょっとまとめ過ぎかなぁ、と思った後の最後のもう一工夫には唸りました。
やられた‥と思いながら気になってもう一回観たくなります。
何かすぐにでもドラマ化できそうなくらい長さも含めよくまとまってますね。
出演者もよかったです。
本当にオススメです。

占いホテル

占いホテル

劇団あおきりみかん

新宿シアターモリエール(東京都)

2009/11/28 (土) ~ 2009/11/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

マジおもろい!(^0^)
あおきりの芝居は縁あって何度となく観てるが、今回の物語が一番良かったような気がする。セットの作りも上手いなぁ。2Fがホテルの部屋になってる。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

失踪した友人の行方を尋ねて、その友人の日記をもとに新藤という男がアーバンカントリーホテルにやってきた。友人の失踪した原因が、『占い』にあると信じていた新藤はのっけから占い師を疑う。またここに登場する占い師の占いとはなんぞや?みたいな説明をナビする論者もいたりして、いちいち頷けるし笑える。

相談者からヒントを誘導し、相談者の大半は懺悔をしにくるのだから、それを導き出せばいい。なんつって相談者の心理を読み取り、はたまた、相談者に質問する際の占い師は、イエスともノーとも回答されても大丈夫なような内容にしておく。つまり、質問はどっちにも取れる曖昧な質問ばかりで、相手の表情と話し方で察知するのだ。(苦笑!)
そんな悪魔なのか天使なのかペテン師なのか解らない占い師らの本音の声と建前の声が交差して呟きとも取れ、いちいちやることが面白くて可笑しくて仕方がないのだった。
まるで、左の肩には天使が、右の肩には悪魔が存在し、いちいち両者が相対して主張してるような感覚なのだっ!笑

一方でこれらと同時進行的に失踪した友人・野沢の足跡を想像しながら追う新藤と、新藤が妄想の中で動く野沢の対比が愉快なのだ。野沢の彼女に対するしぐさや行動がコミカルで大いに笑う。笑う、笑う!(^0^)

登場人物のどれもが表と裏の顔を持ち、彼らの裏の顔がどうやら新藤が思い描く妄想の中の出来事でもあり、願望でもあるらしい。

結局薬局、野沢は占いに目覚め、自ら占い師になって各地を転々と歩いていた。っつーオチだから、新藤君もやられちゃってる訳よね。(失笑!)

ハイテンションでコミカルで観客を全く飽きさせないパラダイスな芝居だった。ワタクシの好みの作風。
ああ、楽しかったなぁ・・、次回はどんな夢を見させてくれるのだろうか。

崩れたバランス

崩れたバランス

文学座

文学座アトリエ(東京都)

2009/11/28 (土) ~ 2009/12/13 (日)公演終了

満足度★★★

大都市の孤独
子供を放置し、親をほったらかし、そして孤独!?

ネタバレBOX

大都市の断片を切り取るとゲイが出てくるって、当たり前?それとも流行?
ラッキーバニーボーイ

ラッキーバニーボーイ

東京パチプロデュース

劇場HOPE(東京都)

2009/12/01 (火) ~ 2009/12/06 (日)公演終了

満足度★★

じゃま!
ものすごく気になったのは、客席に背を向けて座ってる出演者。出演者が観客の邪魔になってるなんて不愉快。「最後の晩餐」みたいな舞台面にしたくないのはわかるけど、机を小さいもの二つにするとか、向こう側の人がしゃべってる時は立ってどくとか、何らかの演出上の工夫が必要だと思う。一度観客目線で舞台を見てください。
 話も「そんなのどーでもいいじゃん。」と、思ってしまいました。

ネタバレBOX

着ぐるみの秘密なんて別にばれてもいいじゃん!
L'ange -ランジュ-

L'ange -ランジュ-

幻想芸術集団Les Miroirs

シアターシャイン(東京都)

2009/02/27 (金) ~ 2009/03/01 (日)公演終了

満足度★★★

少なくとも
「震える砂塵」は、ロリータチックな劇ではなかったです。
意識的に時代錯誤、アナクロな西欧の二世紀ほど前の幻想劇。
ラテン語圏、スペインとかラテンアメリカの幻想譚みたいでした。
朝霞座長の顔の演技がすごい。一般的には舞台劇では表情でかたってはいけないみたいなのですが、女の人で眉毛を動かして演技する人はあまりみない。宝塚系。かっこよいですわ。

恐れを知らぬ川上音二郎一座

恐れを知らぬ川上音二郎一座

東宝

シアタークリエ(東京都)

2007/11/07 (水) ~ 2007/12/30 (日)公演終了

満足度★★★★

スチャラカポコポコで乗り切った杮落とし
実は、もっと前にこのレビューを書き終え、登録押したとたんに、ログインに
戻ってしまい、あとかたもなく文章が消えてしまいました。こういうことが何度かあります。なぜでしょう。
でも、書いておきたいので、また書くことにしました。
年を経ているので、通常のレビューとは異なり、参考意見も多くなりますが
ご容赦のほどを。
もう2年前になるのですね。忘れもしませんが、初日にこの公演を観ました。私はさほど不満は感じませんでした。でも、杮落とし以来、一度もこの劇場に足を運んでおりません。
今日までのシアタークリエの公演レビューもざっと読ませていただきました。
すると、「できれば来たくない劇場」とか「チケット代は5000円が妥当」とか言っておられたかたのほうが、もう慣れたのか、何度も足を運ばれているではありませんか。お客とはわからないものです。
文句があっても来る人は来るし、文句を言わなくても来ない人は来ない。東宝さんもそのへんを熟知しておられるかもしれません。
劇場構造に不満が多かったみたいですね。
支配人が芝居を観ない人では?という意見もありましたが、ここの支配人は
聞くところによれば芝居はよく観ている人だそうです。
劇場設計の不備は新しい東京宝塚劇場も同じです。通路の少なさと狭さ、あの1列の長さ。通路側でもない限り、自分の席に行くのに蟹の横歩きで「すみません」と言い続けながら行かねばなりません。利用者の身になってない。
東宝は採算重視だから、利便性は無視。ですからクリエの安普請も当然と言う感じです。
確かに旧芸術座とは雰囲気違いますね。きれいになっても、不便さが増すという東宝方式と言いますか。
良い点はスタッフによる女子トイレの誘導でしょうか。仮設劇場だった1000DAYSの際に実施し、定着しました。この公演でも、長蛇の列に
休憩時間に行くのは無理かと心配しましたが、大丈夫でした。
この誘導ノウハウを松竹が見習って、平成中村座の公演に活かしたのです。
チケット代の1万2000円は確かに高い。毎月、気軽には行けませんね。
宝塚は新劇場になってからお小遣い握り締めて何度もりピートするティーンエイジャーを切り捨て、裕福なマダムにターゲットを絞ってS席1万円台の料金にしてしまいました。加えて、リッチな「お1人様」貴族を当て込み。最近の宝塚はマダムの奢りで観に来るお嬢さん方も多いようです。
「いまに観に行かなくなる」という声もあったけど、いつも大入り満員ですね。
クリエも旧芸術座のお芝居好きな庶民層は切り捨て、銀ブラがてらの裕福なマダムに乗り換えたのでしょう。「このチケット代では高いか安いか」なんて忖度しないで、おしゃれな観劇気分が味わえれば、機嫌よく観て帰ってくれるお客様が来てくれればよいのでしょう。
この公演は主役が張れる人ばかり集めた豪華キャストでした。4番バッターばかりで大丈夫?という感じでしたが、何とか大丈夫でした。
なぜ、東宝が「川上音二郎」を杮落としに選んだのか、お芝居の内容についてはネタバレで。

ネタバレBOX

「夜明けの序曲」のことを書いておられたかたがいましたが、確かに「夜明けの序曲」は芸術祭参加作品で宝塚が初めて受賞した記念すべき作品。
縁起かつぎの興行界にあって、東宝も当然意識したでしょう。
川上音二郎は近代日本演劇の祖とも言える俳優ですし、杮落としに川上音二郎・貞奴の話で行くことは早くから決めていたのではないでしょうか。
再演希望があれほど高かったのに長く上演されなかった「夜明けの序曲」を再演したのも「クリエのためのアドバルーン」だと言う声は以前から一部にありました。「夜明けの序曲」はもともとは松あきらのサヨナラ公演のために書き下ろされ、序幕で人力車に乗った音二郎が「日本のみなさま、おさらばでございます」というせりふで見得を切るのもそのため。艱難辛苦の夫婦愛物語で音二郎の死までを描いた感動作ゆえ、初演を大事に思う私はあえて再演を観なかったたほどです。NHKの大河ドラマ「春の波濤」では中村雅俊・松坂慶子が音二郎・貞夫婦を演じました。両作と比べても、この「恐れを知らぬ
~」は明るくオチャラケていて、まったく印象が違いました。
冒頭の講談仕立ての部分は、宝塚の地方公演で昔よく使った手法です。
ユースケは初日のせいもあってか、セリフ忘れやトチリも多く、座頭としては
いただけなかったですね。音二郎は明治時代に海を渡って海外公演をやろうと言う人物ですから、もっと気骨のある男で、それゆえ、貞奴への嫉妬と屈折した思いがあったはずですが、本作の音二郎はそういうところがまったく感じられない。いまどきのチャラ男で小劇団の勘違い看板俳優程度にしか見えない。一方の貞奴・常盤貴子は大根というか、何をやっても「常盤貴子」で学芸会みたいに稚拙。NHKでの松坂も若い頃は大根と言われ、貫禄の付いたいまも変わらず、演技派とは言いがたいと私は思うが、「演技に定評ある大女優」ということで持ち上げられている。常盤チャンも女優を続けて年をとれば、同じように言ってもらえるから大丈夫でしょう。
私はこの公演の宣伝を見たとき、最初、貞奴は戸田恵子が演じるとばかり思っていた。いっそ常盤と役を入れ替え、戸田の役はあめくみちこあたりが
やったほうがよいのではと思ったほど。常盤は堺雅人の恋人役でお飾りの若い女優でも演じていたほうが似合ってるのでは。でも、それでは華やぎに欠けるので、この配役なのでしょう。
この芝居で何が一番印象に残ったかといえば、堺正章の「スチャラカポコポコ」です。それは2年たったいまでも変わらない。
私はマチャアキのお父さんでコメディアンの堺駿ニのファンだった。マチャアキはGSのスターだった経歴もあり、お父さんのようにバイプレイヤーに徹してきた人ではなく、3枚目を演じてもどこかでしゃばってみえ、脇ではあまり
評価できなかった。だが、この役は、もみくちゃにされながら、「スチャラカポコポコ」を言い続ける老座員で、適度に笑わせ、お父さんを彷彿とさせた。
イマイチ頼りない座頭のユースケにとっても、芝居の設定同様、心強い存在だったのではないだろうか。
そして、この「スチャラカポコポコ」の史実にスポットを当て、「夜明けの序曲」とはまったく正反対の喜劇を書いた三谷幸喜は凄い。エピソード好きな三谷だからもしかして「夜明けの序曲」へのオマージュなの?
三谷幸喜の手抜き芝居との酷評もあるが、ともかく3時間以上の長丁場を飽きさせずに魅せたのはさすが。1時間30分でも飽きて退屈してしまう小劇場芝居に比べたら苦痛はなく、私には快適だった。何より、客の多くが大喜びしていた。これは初めて新宿のシアタートップスの舞台に引っ付いたような狭い客席で東京サンシャインボーイズを観たときから変わらない光景だ。
喜劇は客を喜ばせ、笑わせれば勝ちだ。
こうして、シアタークリエは「スチャラカポコポコ」と日比谷の劇場街を泳いでいくのだろう。時には、大波に揉まれ、危険な目にもあってほしいと思うが、
さてどうなりますか。
骨のない男

骨のない男

ワワフラミンゴ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2009/11/24 (火) ~ 2009/11/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

みた。
あーもぉーおもしろい。

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