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カタルシス夢十夜

カタルシス夢十夜

ムシラセ

インディペンデントシアターOji(東京都)

2009/12/03 (木) ~ 2009/12/07 (月)公演終了

満足度★★★★

みたー
それぞれの想いが交錯する複雑なつくり、よく考え付くなーー
女優人の印象が強く感じた

ネタバレBOX

鬼が出てきて、夢か幻かわからなくなり
ヒロインが出てこないところもいいんじゃないか
シャッフル・ルーム

シャッフル・ルーム

東京おいっす!

「劇」小劇場(東京都)

2009/12/01 (火) ~ 2009/12/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

オススメ♪
まさに情事と非常時が絡み合い、そこから誤解が生まれ物語がどんどん展開されていく。本来ならドロドロのはずの場面もドロドロに感じさせない面白さがありました。笑えるし、みなさんとても良い演技をしてるのでオススメです(*^^*)

サツキマスの物語

サツキマスの物語

劇団扉座

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2009/12/02 (水) ~ 2009/12/06 (日)公演終了

横内作品の新境地
 横内謙介の新作はもの静かに沁み入ってくるような作品で、ストレートで直截的なメッセージで迫る作品とは明確に一線を画した作品だ。演出も、近藤正臣と菊池均也を客演に迎え、伴、有馬、中原といったこの劇団の上の世代の人間も真の意味で信頼し合える俳優が舞台上にいることで安心して挑戦的な演技ができているような感じがする。
 それが舞台上で次の世代にも受け継がれて行っているのが良く分かってみていて気持ちよかった。それはこの作品の主軸になる部分と共有されているからだ。本当に良く考えられた作劇である。別になにも起こる話ではないが心に沁み入る作品で年末の東京にこそ、このような作品は必要なのではないだろうか。
 近藤正臣が舞台にいるだけで重みが出る。30年前の近藤さんはもっとキャラで演じていた印象で、こんなにさらっとした演技をする人の印象ではなかったものだから。菊地均也は辞めた劇団に戻って演じたわけで、自分の青春をかけた劇団で13年ぶりに演じる。もしかしたら本当に最後になるかもしれないわけで、やり残さないぞという覚悟をどこかに秘めて演じているように思える。すさまじい集中力だ。伴美奈子がなにも起きないドラマの主軸になっていて、いつもながら非常に繊細な演技をしてみせる。杉山良一は短いシーンながら非常に印象的。若手のアンサンブルがとても素晴らしい。

シャッフル・ルーム

シャッフル・ルーム

東京おいっす!

「劇」小劇場(東京都)

2009/12/01 (火) ~ 2009/12/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

食べてみたいぞ、堂島ロール。
どろどろした不倫・浮気・昼下がりの・・・。といった湿っぽさが全然無く。
なんか男女二人の主人公の、その場しのぎ的な取り繕いの綻びに、
ドキドキしながら次の展開を待つ感じが、とっても面白く楽しめました。

ネタバレBOX

一つの舞台をライティングや小道具にて2つの部屋に見せる手法や、
別の部屋にいる設定なのに、舞台一つで透明人間がいるみたいな
演出がうまかった。(ライトも白熱灯と蛍光灯で差を出したり、芸細かいぞ。)

行列のできるお菓子屋の設定や、エレベーターのメンテナンスなど。
細かい設定が、矛盾無く使い。繰り返される脚本の細かさ、巧みさ。
またそれを、感情入れて演技・共感させる芝居が見事でした。
「めんどくさい芝居ですが」とは偽妻帯者主人公さんの台詞でしたが、
見事に実を結んでいます。たいしたものです。

みなさんキャラクターよく、いい味出してまして。甲乙つけがたいのですが、
火災報知器の設置業者さんの存在感と、とぼけた台詞回しが
お気に入りかな(^^)。「じゃケーサツ行こうか」とか、格言っぽい台詞での
効果音とキメポーズも受けました。

ケータイの着メロや、小道具としての使い方。スキが無いですね。

女性側の主人公はハッピーエンドで。
男の方は、呼び止めて指輪のサイズ直しに行けばハッピーエンドに
なるところを、自分の生活スタイル変えられずに。ああするところが、
シビアで渋いエンドになり、話が重味出しましたね。Goodですわ。

あと季節感の無いテニスウエアのコーチと、季節感出しまくりの
サンタさんの言葉の対比とか。コーチが手作りにこだわった
ロールケーキの再登場。ボールとバット・パットの言葉のあや。と
使いまわし。うまいわー。繋げる繋げる(^^)。
なにげに食べてた、プッチンプリンの話とかも後で生きるし。

台詞だけと思わせた妹から、その婚約者。登場のさせ方や、
刃物の回収話。つなげて重ねて、どうなるんだこれは!
と収集つかなくしている様で、見事に纏め上げた脚本に頭が下がります。

周囲の状況、自分の立ち位置。わかっていて状況に強く関与しない
(できない)主人公のボソボソ演技があっていました。

最後の「おいっす」のキメポーズの〆も、よかったですよー。
劇団名が記憶に残り易いです。見事でした(いろいろと)。
月いづる邦

月いづる邦

La Compagnie An

座・高円寺1(東京都)

2009/12/03 (木) ~ 2009/12/07 (月)公演終了

満足度★★★★★

クオリティ高し
ま、アルバム25枚出してる人と、韓国で活躍しているDJが参加してんだから、音楽的なクオリティが高くなるのは当たり前なのかもしれない。全曲オリジナルで、これだけのことをやってる劇団って、そんなにないよね。踊ってる人たちも、自分で振付の仕事してたりする人なわけで、レベル高いよなあ。あまり、決め事を多くしないで、いろんなことを自由にやってるみたい。すごいよ。

アグリカルチャー

アグリカルチャー

弘前劇場

ザ・スズナリ(東京都)

2009/12/04 (金) ~ 2009/12/06 (日)公演終了

満足度★★★★

染み入る
「家族」ならではの、どうにもならない感情が静かに語られていた。

ネタバレBOX

言葉のトーンとリズムがやけに心地良い、長い独白に導かれて、家族と血縁と絆、そして「赦し」とが、ぐるぐるとつながっていく。

日常描写が続くのだが、特に何も起こっていない日常が、意外とゴツゴツとした手触り。各々がゴツゴツしたものを心に秘めているからだ。

何とかしたいと思っていてもどうにもならないゴツゴツしたシコリのようなものが日常の中にある。それは赦せないはずの父親のことだったり、仕事を辞めている夫のことだったり、会ったことのない妹のことだったり。

その日常が、薪割りの激しさに導かれるように、そして家族が予期しなかった養蜂家の訪れとともに少し変わっていく。

気持ちを表に出すこと、それが「赦し」であって、長男は自らの束縛から解放され、(たぶん)元小学校の先生も漫才のネタにすることで、やはり少し解放される。
好転していく家族は、新しい家族を迎え(養蜂家の男も含め)、ともにカレーを食べて笑顔になる。

純粋な津軽の言葉と、標準語とその中間ぐらいの言葉の使い分けの感じがやけにリアル。

准教授のポジションが、ややうっとうしさもあるものの、全体のトーンを明るくし、家族にとっては他人であるのだが、その言葉の端々に家族に注がれる温かい視線が感じられた。彼は、全体から浮いてしまうような役柄なのだが、それをうまく持ちこたえ、好演していたと思う。

残念なことに、一番の肝であるところの、長男が手紙を読んでからの激しい行動と、それを予見していたと思われる養蜂家の男と准教授のくだりがどうも理解できなかった。
舞台からのメッセージを見落としていたのかもしれない。もしそうであったら、申し訳ない。
In The PLAYROOM

In The PLAYROOM

DART’S

ギャラリーLE DECO(東京都)

2009/12/01 (火) ~ 2009/12/06 (日)公演終了

満足度★★★★

単線ではなく複線の愉楽
ミステリーらしく、多大な情報が小出しにされながら延々と垂れながされつづけるような芝居なので、きっと、筋を追いかけるのが精一杯だった人は渋谷の街を強引に引き摺りまわされるかのような恐怖体験をしただろうし、かたや、自分のようなスレた観客は、いろいろな終着点がありそうな豊かな物語の種子たちを脳内で発芽させて楽しめる、という非常に間口の広い舞台だったかと。

ネタバレBOX

そして、いい意味で整理されすぎていないので、終演後になんだか人と無性にこの作品について喋りたくなってしまった点も好評価☆

ちょっと大袈裟な言い方をしてしまえば、すでにある程度の完成の域にあるのに、いつまでも工事の終わらないガウディのサグラダ・ファミリア教会、みたいな感じ? つまり、これからいろいろと形を変えて何度も再演される作品なんじゃないかなあ。
「踊りにいくぜ!!」vol.10 川崎

「踊りにいくぜ!!」vol.10 川崎

JCDN

川崎市アートセンター アルテリオ小劇場(神奈川県)

2009/12/02 (水) ~ 2009/12/02 (水)公演終了

満足度★★★★★


大橋可也&ダンサーズは、肉感あふれて(男女ふたりの世界だからかも)
つかまれる指の感触までリアルに迫るようなパフォーマンス。
福娘は祝祭の匂い。ソロの静謐さとはまた違った躍動感がたまらない。
3人で踊る意義深さを感じた。
ミリ・ビッテルリは、生活の中で自分(=ダンス)が受け入れられたときの
うれしさにこちらまでうれしくなるようなパフォーマンス。
でも、オーストリアの人、って感じ。
日本人はコンテンポラリーダンスにああいう明るいものは背負わせない。
室伏鴻さんの身体性はさすがの重厚さ。
若いからだに宿る未来ではなく
経験をつんだ身体の向こうに見える過去を思い起こさせるような踊り。

午后は、すっかり雪

午后は、すっかり雪

青☆組

アトリエ春風舎(東京都)

2009/12/03 (木) ~ 2009/12/13 (日)公演終了

満足度★★★★

昭和を背景に描かれた人間模様
東京オリンピックも向田邦子を知らなくても昔はそんな風だった感で満たされる空間がそこに。93分。アフタートークでの絵面と話のギャップも◎。

ネタバレBOX

セットはかっちりと日本家屋が造られてるわけではなく、真ん中に卓袱台が置かれている程度。そこから音と光と小道具でちゃんと時代に誘っていく、自由さを味方にしたようなつくり。この抽象舞台がシーンの変化や場の使い方に効果的に作用。

パッと見の人物の描き方はデフォルメも含め働く男は強く、そして家を守る女は慎ましやかにだが、そこには家の中でしか威張り散らせない男の弱さや、それを知って立ててる女性達の構図があり、この裏の見え隠れが面白く、そんな互いの人間関係が昭和らしい雰囲気を醸し出している。

その中でも女性ながらも仕事に追われる邦子と、左足が不自由になり仕事もできずに邦子に寄りかかるだけの西沢の、時代の当たり前とは異なる二人の関係性がすごく響いてくる。

全編を通して流れるようなストーリーが見えるわけではないので、起承転結の物語重視だとちょっと消化不良気味かも。



4日のアフタートークは事前予告どおり作・演出の吉田小夏さんが黒いメイド服姿で登場。最初は慣れない格好からくるぎこちなさが見られたが、ゲストの谷賢一氏とはいたって真面目に芝居についてのトークを展開し、見た目の悪のり具合と聞き入るくらいの話への興味深さの差が妙に面白かった。すごく貴重な日の観劇だったと言えよう(^_^;)
In The PLAYROOM

In The PLAYROOM

DART’S

ギャラリーLE DECO(東京都)

2009/12/01 (火) ~ 2009/12/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

良質なミステリーを堪能!
恵比寿駅前バーで良質な芝居を提供してきた池田プロデューサー&脚本演出広瀬格のコンビが今度はステージを渋谷のルデコに移して、またまた素晴らしい舞台を見せてくれた。

正直私は少し体調が悪かったのだが、芝居が始まったらそんなことすっ飛んで、ぐいぐい引き込まれた。

広瀬格にはストーリーを練り上げる力がある。ミステリー作家としても十分通用するだろう。発想の面白さとそれを展開していく構成力が見事だ。お陰で体調がよくなった(笑)。

役者では主役としてこのミステリーをリードする島田雅之の演技が相変わらず魅力的だ。作家桐野範容を演じた服部紘二、水越貴理子を演じた川田希、がいかにも小説の主人公のように渋く、かっこよかった。布田悠子を演じた細井里佳、前回恵比寿駅前バーで見て以来気になっていたのだが、今回も難しい役どころを独特の魅力で演じ、引きつけられた。

芝居の出来には不満はないが、今回、鈴木麻美の演技を楽しみにいったのだが、席の関係で後姿ばかりだったのが残念だった。

箱 〜The last tour in 江古田

箱 〜The last tour in 江古田

ストアハウスカンパニー

【閉館】江古田ストアハウス(東京都)

2009/07/22 (水) ~ 2009/07/26 (日)公演終了

満足度★★★★

Pieces of Step
引用されたライヒの曲とはちがうのだが、踏むもの踏まれるもの踏むこと、いずれにせよ“ステップ”のヴォルテックスにはちがいない。

アグリカルチャー

アグリカルチャー

弘前劇場

ザ・スズナリ(東京都)

2009/12/04 (金) ~ 2009/12/06 (日)公演終了

満足度★★★★

りんご。
100分。毎度観客の平均年齢がぐっと上。ぼたっと大粒の涙がいくつか落下。
今回の作品に限らず弘劇は、食べること=生きること。青い空、水、男の脆い部分、それを受け入れる女 がベースにあると感じています。方言が遠慮してない生のスピードの部分が多くいつも通り(それが良く)。退屈に感じるのか骨身に染みるのか、他の方の反応が気になったけどいい拍手だったと思う。背後に山と海を感じる劇団。父役の長谷川等さんに切なくなり、林久志さんは初見でしたが熱い何か、を感じる。

ミニマルダンス計画

ミニマルダンス計画

黒沢美香

こまばアゴラ劇場(東京都)

2009/11/25 (水) ~ 2009/12/06 (日)公演終了

満足度★★★

「膝の火」を見る
黒沢美香のダンス作品は5年前からちょくちょく見ている。今回はこまばアゴラ劇場で「ミニマルダンス計画」と銘打って合計4本を上演する。「膝の火」はそのうちの1本。
新旧、巧拙とりまぜて十数名の女性ダンサーと、黒一点、後藤茂というスキンヘッドのオジサンが出演した。上演時間は70分ほど。

ネタバレBOX

黒沢作品ではときどき、ドラマ的な状況設定を想像するとうまくはまる時があり、今回はそのケースだった。
女性陣は全員が付け髪をして、女学生ふうのお下げ髪になっている。なかには白髪の女性もいるが、それでもお下げ髪だけは強引に黒々としたのを付けている。衣裳はなんとなく体操着ふう。上下とも白っぽいのと、下だけグリーンなのが半々くらい。
こまばアゴラ劇場の舞台は二階部分が手摺のついたキャットウォークになっているので、サイズはかなり小さいけれど、場所は体育館と見なせないこともない。
というわけで、個人的には戦前の女学校の体育館を舞台にして、当時としてはモダンな西洋のダンスを踊る女学生たちの部活の様子、というのを想像しながら眺めた。
黒い半ズボンにワイシャツ姿の男性はさしずめ女学校の用務員だろう。
照明の変化が一日の時間のうつろいを感じさせる。全員によるラストの群舞は文化祭当日の出し物なのかもしれない。夜中に練習する一人を励ますように用務員のオジサンが一緒に踊ったり、女の園らしく妖しい禁断の恋愛模様も感じられたり。

ひところ、黒沢美香のダンス作品には舞踏の影響が感じられたが、それに比べると今回はミニマルダンスとはいいながらも、体はけっこう動いているように思えた。
MID lie T [ミッドライト] 【満員御礼・ご来場ありがとうございました!】

MID lie T [ミッドライト] 【満員御礼・ご来場ありがとうございました!】

処女航海

BAR COREDO(東京都)

2009/12/02 (水) ~ 2009/12/05 (土)公演終了

満足度★★★★★

美しい・・・
良かったです♪

ネタバレBOX

黒と赤、そして紫のコントラスト、それにピアノの鍵盤の白がさえざえとして素敵でした。
なにもかもが美しかったです!

愛を求める気持ち。
分かります。。
人は奥底に愛「されたい」気持ちを持っているのですよね。

鎖と髪が繋がっている様がラプンチェルでした。

次回の公演も是非観たいです。
見えざるモノの生き残り

見えざるモノの生き残り

イキウメ

紀伊國屋ホール(東京都)

2009/12/02 (水) ~ 2009/12/07 (月)公演終了

満足度★★★

評判が良かったので…
イキウメは一度観たいと思っていたが、いつも他の公演を優先していたので今回こそ観る気満々で観劇。予習せずに観れる芝居は楽しい。座敷童子の話だったんですね。ほっとする作品で良かったです。

倶楽部

倶楽部

Rotten Romance

ギャラリーLE DECO(東京都)

2009/12/01 (火) ~ 2009/12/06 (日)公演終了

満足度★★★★

ノイジーな意識、身体性のハードコア。
これは、あまりにもショッキングである。舞台にあるものすべてがメタ化されているのである。人が人であって、人でないのである。身体で描くイメージの連続なのである。それに加えて、起承転結のメリハリや、物語の着地点も見当たらないのだから、どうしたって混乱するわけだ。しかしながら、舞台から発せられるエネルギー量は尋常ではなかったし、よく理解出来てもいないのに、心動かされる何かがあった。

素粒子となって中空を漂いながら、街を俯瞰するジャンキーな戯れに呑み込まれているような。渋谷駅前のスクランブル交差点のど真ん中につっ立ってざわざわと通り過ぎていく匿名の人々や否応なく耳から入ってくる匿名の声や、足音、大型テレビモニターに映し出される情報なんかを、ただじっと眺めているような。上手く言えないがそんな感じだ。

何でもあるのに何にもない街、シブヤを美化せずに具象化した、アッパーでニヒルなリアリズムに満ちた舞台であった。

ネタバレBOX

まず会場に一歩足を踏み入れて唖然とする。
壁には、無数の新聞紙が無造作に貼られており舞台には、これまたおびただしい数の洋服が雑然と敷き詰められている。なかには”渋いたにまに”なんてよくわからない暗号のような紙も混じっていて、客席の下にまで散らばっている。(このラディカルな舞台美術を目に焼き付けるだけでも、価値のある公演だと言えよう。)
そこに死んでるように動かないものがみっつ、いる。表情はうかがい知れないがそれはまるで、情報の渦の中に個が埋もれてしまっているのっぺらぼうで。惑星が衝突するかのような音が鳴り響き、実体が立ち上がる。


冒頭で交わされる短い会話。
3人は、昨晩、渋谷のクラブ(倶楽部)で遊んだ。
宇田川町の小学校で教師をしている地球人は、冥王星まで旅行に行ってきた。
漁業が盛んな星で暮らす水星人は地球に来る時、肺呼吸に変換する装置を耳につける。
林業が盛んな星で暮らす木星人はジェット噴射で地球にやってきた・・・。

彼らの指先にはICチップが埋め込まれていて、互いの指先と指先が触れ合うことによって情報を交換し合うことが出来る。また、彼らのいる世界では、スモールライトや、ドコデモドアが市場に流通されているらしい。
そして四次元装置を2台使って人間が重力を自在に操り、惑星間をワープ出来る、我々現代人が憧れる夢のような世界なのである。
しかしながら、人が地球以外の惑星に住むことをはじめた時代にあっても、
人間のコミュニケーション能力が現代から進化していないように見てとれる。
それぞれが違う星に住んでいることに起因しているのか定かではないが、
ステディな友だちと言えるほど親密な関係でもないらしく、会話や関係性は、思いのほか発展しない。
言語が”ノイズ”として作用しているからだろうか。
はたまたコミュニケーションの手段が言語ではなくなっているのか。
その辺はよくわからないが会話は途切れ、存在は意のままに変化する。

時は変わって、白昼の渋谷のスクランブル交差点。人がすれ違っているイメージ。ヘッドフォンチルドレン。足音。雑踏に垂れ流される大量消費されるポップソング。街頭テレビの広告塔。109。などを身体を用いて表現される、視覚化されたノイズの群れ。

そして夜行性が騒ぎ出す。夜の速度はもの凄い。
天井でせわしなく動き回るスポットライト、終わりなく回り続けるミラーボールの具象。ダンスフロアで踊り狂う人々の表象。突拍子もなく執り行われる、メタ化された性行為と特殊性癖嗜好者。徒党を組む謎の集団。”自由”と吐き捨てて息絶える時代のアイコン。混濁するイメージの祭典。モザイク化する、エレクトリックシティー。果てしなく続く、ディスコミュニケーション。すべての事象の輪郭が浮き上がり、夜明けと共に消えていく・・・。

やげて立ち上がる、ひとつの自意識。記号として配置される奇妙な刺青を入れている男のモノローグ。
「テレビを見る芝居をする練習をしているんです。」
ひと気のない渋谷のスクランブル交差点のモノクロームの映像が流れるテレビ画面を凝視するその男は、観客に真っ向から背を向けて何度も何度もそう繰り返す。これは、役を演じる俳優が演劇というドラマから遠ざかる実像と、俳優でない自分自身でいるための虚像を演劇的な空間を保持しながらリアルなドキュメントとして同時に重ね合わせているように受け取れた。

心ここにあらず。とでも言うような、ドライで病んでる魂が、落ち着きなく中空を彷徨っている浮遊感や、何かの終わりが始まるまで続いていくサイケデリックな喧騒や珍妙な人々、相対性理論・・・。
もしもこの舞台を映像化したら、デヴィット・リンチの「ロスト・ハイウェイ」のようなカルト映画になるんじゃないかしらん。なんて思ってみたり。彼らがこれからどんな『手荒なまね』をして、演劇的既成概念を突破しようとしているのか予測不可能だけど、それはとても意義のある試みではないだろうか、と思う。

最後にいくつか気になった点を記しておきます。
渋谷の街の喧騒をザッピングするのが今回の主題なのかもしれないが、
もしも倶楽部が、何らかのシグナルを受信する場所だとするならば、少しパンチが弱かったような気がします。
多分、倶楽部が人が集まって散っていく場所のままだったからかもしれない。それを意図しているなら、成功したと言えると思うのですが・・・。
あと、時々登場したストリート系の格好をした若者がいたけど、あれは一体何だったのだろう。ストーリーのキーパーソン的な役割になっていたら、また違った見え方になっていたかも。
でも、倶楽部を取りまくヒトや街の描写は新鮮で目を見張るものがあったし、
ラブ・サイケデリコのBGMを使ったアクトは若者のリアルな日常のイメージを持たせるのに印象的だった。
全体的に荒削りだった感じもするけど、空間の使い方も無駄がなくてよかったし、何よりこんなにも濃密な時間を体験したのは久しぶりだったので、満足度は高いです。
カタルシス夢十夜

カタルシス夢十夜

ムシラセ

インディペンデントシアターOji(東京都)

2009/12/03 (木) ~ 2009/12/07 (月)公演終了

満足度★★★

夢十夜の意味
夢の数が10個かどうか勘定したわけではありませんが、夢の中の話は何でもありのパラレルワールドになってしまいます。

どこが現実で、どこが夢なのかよく分かりません。

ネタバレBOX

かぐや姫がモチーフと分かると、今度はかぐや姫のイメージが強く働いてしまって、そうかもしれないし、そうでないかもしれませんが、タカピーなイメージに捉われてしまいました。

サツキマスの物語

サツキマスの物語

劇団扉座

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2009/12/02 (水) ~ 2009/12/06 (日)公演終了

街の景色が目に浮かぶ
田舎町の町おこしのハナシ。
行政とNPOと女子ビリヤード選手のそれぞれの思惑が交錯する
物語が、良く出来ている。
モノローグの使われ方が印象的。

ネコロジカル・ショートカット・ネコロジカル

ネコロジカル・ショートカット・ネコロジカル

猫の会

d-倉庫(東京都)

2009/12/02 (水) ~ 2009/12/07 (月)公演終了

満足度★★★

少し温かくなりました!
人付合いの上手い妹と、下手な姉の対比が面白かったです。

そして、猫には猫の人付合い、ペット付合いもあって大変ですね。

猫好きに悪い人はいないし、少し温かくなりました。

ネタバレBOX

憑依は個人的には感心しません。憑依しないで思いを伝えることが大切だと思います。
『天国だヨ!全員集合』

『天国だヨ!全員集合』

脱線劇団PAGE・ONE パートII

シアターブラッツ(東京都)

2009/12/03 (木) ~ 2009/12/06 (日)公演終了

満足度★★★★

楽しい天国
天国がこんなに楽しい場所だと初めて知りました。行ってみたくなりました。皆さんほんとに芸達者です。笑わせてもらいました。

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