葬送の教室
風琴工房
ザ・スズナリ(東京都)
2010/10/06 (水) ~ 2010/10/13 (水)公演終了
満足度★★★★★
ドラマの力
わたしが、演劇のちからを信じたくなるのは、こういうときだ、と思う。
ひと一人の身体や心のサイズをこえて、何か大きなもののために作品が存在し
観客が立ち会っている、このとき。そのことを感じられただけで、心ふるえるような時間を過ごせました。
ネタバレBOX
ポストパフォーマンストークのゲストは、実際の事故で遺体引き渡しを
4か月にわたって担当された、当時群馬県警にいらした、飯塚訓さん。
単なる作品の話にとどまらない、講演のようなお話しを
伺うことができました。
センの風とムラサキの陽(池袋演劇祭・優秀賞受賞)
劇団バッコスの祭
池袋小劇場(東京都)
2010/09/30 (木) ~ 2010/10/11 (月)公演終了
満足度★★★★
生き残った者
「バッコスの祭」の芝居にはいつも泣かされている。今回、ここでも「泣けた」という感想が多く、先に観た友人が「目が腫れるほど泣いた」と言うものだから、ミニタオルを手に観たが(笑)、予想したよりもウェットではなく、抑制のきいた芝居だったので、むしろ好感が持てた。
作者はもとより、出演者らも広島に足を運び、関連資料に当たるなど、時代背景について相当勉強を重ねたと聞く。
4年前、池袋演劇祭にこの作品(初演)で出場し、入賞を果たせず、今回は再演で受賞ということで、まずはおめでとうございます。
池袋も3年連続で受賞しているそうで、着実に実績を積み重ねているようで喜ばしい。
ネタバレBOX
オープニングの「原子」を連想させるボールを使ったパフォーマンスのチームワークの素晴らしいこと。戦争物をやってもこういう演出にやはり「バッコス」らしさがある。
食堂の娘で実は戦争未亡人の雨宮真梨、新聞記者の金子優子、大学の研究者の田仲晶の女性陣が出色。特に金子は、これまでの印象とまったく違い、新境地を開いたのではないかと思う。
核の研究をしていたが、特攻を志願する主役・名越青年の丹羽隆博は、坊主頭もりりしく、相変わらず身体能力に優れ、アクロバティックな演技と共に独特な雰囲気を醸し出す。劇中劇で森の石松を演じるが、かねてより彼には石松が似合うと思っていたので、嬉しいサービスとなった。
辻明佳は名越の姉役。いつもより背がスラリとみえ、別人の印象だった。
海軍少佐の石井雄一郎は、ガッチリと脇を固める。「バッコスの祭」は石井あってこその丹羽である。石井は歌舞伎俳優顔負けのきれいな江戸弁を遣える人で、いずれ、新門辰五郎を演じてもらいたいと思っている。ヘアメークの意見もあり、あえて坊主頭にはしなかったそうだが(どんな理由なのか?)、この時代、入営しなくても男性は坊主頭を強いられたのだから、石井だけでなく、研究室仲間の仁科役・上田直樹も本来は髪を短くしてほしかった。上田は今回、いつもの2枚目ではなく、コミカルな演技で客席を沸かせた。
柿谷広美はバッコスでの母親役が板についてきた。若手の座組みで老け役がうまい客演者は貴重だ。新劇団員の倉橋佐季は元気があってよい。
ほかのかたも指摘していたが、国家機密を、一新聞記者や戦意昂揚のための市民劇団員意倍で、までが知っているという設定は引っかかった。劇中劇の「蒙古襲来」では原子爆弾を名刀に例えているのだが、劇団員は知らずに演じていたほうが哀れさも共感もあったと思うのだが。
また、そういうことで言えば、金子、田仲の好演を貶めるつもりはないが、この時代、政府中枢にパイプを持ち、命懸けで国家機密に関わる記者や研究者が女性であるというのも時代的に無理があり、違和感があった。初演は2役とも男優が演じたので、今回は座組の関係なのかもしれないが。バッコスの史劇は時代考証よりテーマの骨子を重視するので、あえてフィクションで乗り切るという意図なのかもしれない。
丹羽の演じた青年は、日本上空の外でエノラゲイを撃墜させようとして失敗し、生き残る。最後に「平和が来るのがこわいです」と彼は言う。この台詞が重い。終戦を迎えたとき、日本人の何人かはそう思ったに違いないし、そう思わせた国の罪は大きい。
戦争は悲惨だが、生き残った名越がこれから背負う「生の重さ」を思うとさらにやりきれない気持ちになり、そこを描いた点に共鳴する。
デザート出しちゃってもいいですか!?
劇屋いっぷく堂
劇場MOMO(東京都)
2010/10/07 (木) ~ 2010/10/11 (月)公演終了
満足度★★★★★
甘くほろ苦いデザートの味
結婚を控えた幸せな2人と兄弟姉妹の楽しい食事が、遅れて現れた2人のせいで空気が一変していき、どんどん険悪になっていくのに、それを見守る(?)レストランの従業員たちの勘違いからの奮闘・暴走によって笑いが巻き起こる展開は素晴らしいです。
険悪になった原因がありえないような運命のめぐり合わせによるもので、しかもかなり深刻だから物語がどう収束するのかハラハラしつつも、店員たちの勘違いや変な団結に大笑いしました。
切なさやほろ苦さが残りながらもデザートとともに物語が完結し、最後には涙がこぼれました。
やっぱりいっぷく堂さんはさすがですね。次の公演も楽しみにしています。
センの風とムラサキの陽(池袋演劇祭・優秀賞受賞)
劇団バッコスの祭
池袋小劇場(東京都)
2010/09/30 (木) ~ 2010/10/11 (月)公演終了
満足度★★
劇団初見!
戦争ものを観るのは今回初かも。役者は熱演(特に劇中劇)
ネタバレBOX
戦局が悪化の一途を辿る中、「原爆研究」を戦意高揚演劇に利用して国が大芝居をするストーリーはまあまあかと。
エピローグが蛇足に感じた。晴生が生きているのも、小野が長崎に帰ると言うのも。その前のシーンで深雪が剣を振り、神風として晴生が上昇気流に乗る。二人が重なるシーンで終るのも良いかと勝手に感じた。
劇中劇「蒙古襲来」の辻さん、雨宮さんのカッコいいこと。生き生き演じていたように感じる。剣劇が得意なのでしょうか?次回公演がそうなら観たい。
今昔舞踊劇 遊びの杜 其之参
劇団パラノイア・エイジ
靖国神社内 神池前特設ステージ (東京都)
2010/10/08 (金) ~ 2010/10/11 (月)公演終了
満足度★★★★
来年も晴れるとイイなぁ
能など古典芸能の手法とds.(& perc.)でラフカディオ・ハーン、宇治拾遺集、日本神話などを演ずる「クロスオーバー舞台」。
内容・表現方法・野外ステージが三位一体となって、独特の面白さ。
来年も晴れるとイイなぁ。
葬送の教室
風琴工房
ザ・スズナリ(東京都)
2010/10/06 (水) ~ 2010/10/13 (水)公演終了
満足度★★★★★
志の高い作品
あの事件を題材に、なかなか、ここまで力強く未来は語れない。あんなにも背筋が伸びた人間たちは描けない。その志の高さに、頭が下がる。
ネタバレBOX
劇中でも触れられていた、乗務員の遺族がCAになる、というのは実話らしい…。すごい…。
あと、もし興味(と覚悟?)があれば、どうぞ。【JAL123ボイスレコーダー】http://www.youtube.com/watch?v=Xfh9-ogUgSQ&feature=related
友達が全員死んだ
チェリーブロッサムハイスクール
ザ・ポケット(東京都)
2010/10/07 (木) ~ 2010/10/11 (月)公演終了
満足度★★★★
タイムマシンにお願い♪
まんまと設定の罠に騙されました! 起承転結がハッキリとし、最後まで楽しめました。
最近ニュースの特集やネットの記事などでチラチラ耳にする「代行サービス」。内容だけでなく、こういうお芝居から離れた日常でも話題になっているネタを脚本に織り込むことに、大きな意義を感じます。
ネタバレBOX
中盤が気持ちスローペースだったのでマイナス☆1つですが
後半はそれを覆す急展開でしたね。
主人公の記憶に訴える、バス車内の再現風景も
セリフ・動作・椅子の移動などが緻密に組まれ
自然かつ目を見張る展開でした。
最後の方でちらっと疑問に思った『・・・それをなぜ一生一度の披露宴でやっちゃうの?』という点には
「披露宴は出席してくれる人たちのための物だから」「お姉ちゃんへの供養になると思って」というセリフで答えられていました。
ここらへんは、いかにも女性が感じそうなことだな~と思って 妙に納得しました。
披露宴への出席を促すために奔走する主人公が、後半は対照的に「やめましょう」の一点張りになったり
登場人物の言動や態度も少しずつ変化するあたりが
丁寧に作られているな~と感じました。
大満足です。
無邪気で邪気なみんなのうた【総製作期間2週間終了しました!】
ぬいぐるみハンター
参宮橋TRANCE MISSION(東京都)
2010/10/08 (金) ~ 2010/10/11 (月)公演終了
満足度★★★★★
やはり
ぬいぐるみハンターの公演はいくつか観ましたが、やはり今回のようなのがいいですね!
観終わって、タイトルどおりだな!と、改めて思いました。
無邪気ゆえに邪気を含んでいる台詞にパワフルでスピーディーな展開、とてもよかったです。
神戸さんは今回は控えめな出演で残念でしたが、長瀬みなみさんが前回公演に引き続きいいですね
デザート出しちゃってもいいですか!?
劇屋いっぷく堂
劇場MOMO(東京都)
2010/10/07 (木) ~ 2010/10/11 (月)公演終了
満足度★★★★★
上質なコメディ
最近レストランを舞台にした芝居をよく観るがこの作品は最高。笑わせるだけでなくほろりとさせられるところもある。個性的な人物がよく仕上がっている。
長いしっぽ
sons wo:
atelier SENTIO(東京都)
2010/10/08 (金) ~ 2010/10/11 (月)公演終了
満足度★★
難解
前衛劇でしたか。よくわかりませんでした。
無邪気で邪気なみんなのうた【総製作期間2週間終了しました!】
ぬいぐるみハンター
参宮橋TRANCE MISSION(東京都)
2010/10/08 (金) ~ 2010/10/11 (月)公演終了
満足度★★★★
はちゃめちゃにしてまとまりがある
この劇作家はただものではない。幼稚園を舞台にしたコメディと一応まとめることはできるが、観た者にしかわからない昂揚感がすごいと思った。一人芝居が観られなかったのが残念だった。
千鳥ヶ池
非・売れ線系ビーナス
大博多ホール(福岡県)
2009/12/25 (金) ~ 2009/12/26 (土)公演終了
満足度★★★★
千鳥ヶ池
まさに、エンターテイメントだと思いました!
明日へのレクイエム
劇団新波
シーモールホール(山口県)
2010/06/05 (土) ~ 2010/06/06 (日)公演終了
満足度★★★
レクイエム
話のもってき方がいつもよりも面白く、下関の人好みでみやすかった。
「私、うれしい」
黒ヰ乙姫団
新宿ゴールデン街劇場(東京都)
2010/10/08 (金) ~ 2010/10/10 (日)公演終了
満足度★★★
一人芝居は難しい
白い舞台は柩のイメージなのだろうか。息子を社内いじめで失った母。登場しない課長。ストーリーはいいが、一人芝居にするならよりいっそうの演技力がほしい。わざわざ赤で衣装を染めるより、白のままのほうがイメージ的によかったのでは。赤色だけがやけに作り物っぽくなってしまっていた。
『三姉妹の罠』
8割世界【19日20日、愛媛公演!!】
テアトルBONBON(東京都)
2010/10/06 (水) ~ 2010/10/11 (月)公演終了
満足度★★★★
面白いけど……
8割世界の今までの作品と比べると完成度が弱かった気がする。冒頭の長電話、何でも演じます男。男連中よりタイトルどおり三姉妹をメインにすべきだったのでは? 他劇団なら満足するレベルですが、何しろ8割世界ですから。
あとのまつりのあとのまつり。
演劇関係いすと校舎
自宅劇場「守田ん家。」(福岡県)
2010/10/01 (金) ~ 2010/10/03 (日)公演終了
満足度★★★★
10周年にふさわしい公演
10周年で、新田原の自宅劇場でしかできない、この小屋を最大限に活かした芝居だったと思う。音、照明、演技…いす校が非常に心地よかった。
福岡の人にこそ、ぜひ新田原まで一度足を運んでほしい。
『三姉妹の罠』
8割世界【19日20日、愛媛公演!!】
テアトルBONBON(東京都)
2010/10/06 (水) ~ 2010/10/11 (月)公演終了
満足度★★★
千秋楽拝見しました
シチュエーション・コメディーらしく部分的には笑えたのですが、正直満足したとは言いがたかったです。
みなさん軒並み高評価なので、観る前から自分の期待値が高かったのかもしれません。
私みたいな感じ方は例外なのかもしれませんが、気になった点についてはネタばれにて。
悩んだ末の☆3つ、次回作に期待しています。
ネタバレBOX
冒頭、姿の見えない長女(嶋木美羽)の長電話が聞こえてきて、茶の間の人々がさまざまにリアクションをするのですが、観ていてピンときませんでした。
父親が入院した病名の「痔」の話題を延々続けたのが「お尻いっぱいです!」というギャグを生むためだと考えると、ものすごく時間のロスに感じましたし、観ていて退屈してしまいました。
中盤へ笑いのエンジンがかかるまでが長すぎたのです。自分はコメディーの場合、最初にまず笑って「うん、これは面白そう!」と惹きつけられないと、魅力を感じないのです。
長女が状況をオーバーに分析しながらマンガチックに叫ぶところ。私はこういうわざとらしい演技が好きではないので引いてしまいました。
漫才師の嫁(宮澤ちさ恵)が「灰になる」という言葉の意味が私には理解できず(流行語なのですか?)、フェイドアウトする演出に必然を感じませんでした。「忘れ物しちゃって」と戻ってくる先輩漫才師も、観客にそれとわかる「忘れ物」がないと、説得力がありません。
男性漫才師2人の演技が終始すべり気味なのも気になりました。
編集者、次女のおさななじみ、2人の「パクうちだ」などは面白いキャラクターで好みでした(初代、2代目という表現は、世襲でもないのに配役名としては適していないと思いましたが。謎の男A,Bや1,2ではダメなんでしょうか)。
小劇場系のコメディーの場合、三谷幸喜の東京サンシャインボーイズのように、作者の手腕に加え、チームワークが前面に出る劇団のほうに私はより親近感を感じるのですが、「8割世界」は鈴木雄太さんのプロデュースユニットのような印象を受け、俳優は各自がんばっているように見えました。
台詞のはしばしに作者の笑いの意図のようなものがみえて、お話として浸りきれないものがあったのです。
今回、特に印象に残ったのは小林守(Wキャスト)、高宮尚貴、宮澤ちさ恵のお三方。小林さんは期待どおり。高宮さんはまさに孤軍奮闘といった趣で盛り上げ、演技力がある人だからこそ、お客も笑えるのだと思いました。
宮澤さんもいかにも生活に苦労している女芸人で妻という感じがよく出ていてよかった。本多さんが今回で抜けたのは誠に残念。来年は新生スタートとなりますが、実力のある劇団員を抱えているだけに、客演者も含めたチームワークをもっと感じられれば、さらに楽しめるのにと思いました。
終盤、編集者が次女を諭す場面がとてもよく、そのあとの姉妹の会話の場面、ホームドラマの最終回のような親しい身内同士のちょっと気恥ずかしい会話だけに、引っ張りすぎに感じました。
気付かない奴は最強
箱庭円舞曲
駅前劇場(東京都)
2010/10/06 (水) ~ 2010/10/11 (月)公演終了
満足度★★★
開場して30分
歴史を語り、前説して、役を演じる古川さんが最強!知っているのに気付かないフリって自分もそうだし、身近な人もそうかもしれないなあ。
バニラ
643ノゲッツー
OFF・OFFシアター(東京都)
2010/09/29 (水) ~ 2010/10/05 (火)公演終了
サスペンス?
千秋楽赤組を観させていただきました。
役者さん方がパワフルで、すごく楽しそうだったのが印象的。
笑いあり、スリルあり、いろいろ込みこみでした。
千秋楽だからこその勢いを感じました!
白も観たかったです、とても。楽しかったです。
ウラの目と銀杏の村【公演終了・ご来場誠にありがとうございました!】
キコ qui-co.
インディペンデントシアターOji(東京都)
2010/10/09 (土) ~ 2010/10/13 (水)公演終了
満足度★★★★★
小栗剛の世界観が好きだ。
それは劇団桟敷童子のそれに似ている。二つの劇団の違いはセットの豪華さだ。笑)、だから今回のqui-co.の舞台に山々の銀杏の黄色や赤の枝葉のセットや里の風景が描写されたなら、それこそ劇団桟敷童子なのだった。しかし、そんな由緒ある劇団より上を行くのが映像だと思う。荒船泰廣の技術はハンパない。一度、彼の映像だけの作品も観てみたいと切に思うのだった。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
今回の舞台を引っ張るのは文句なしに清水と如月だ。この二人が絡むシーンはあまりないが、二人が放つパンチは水と油のように相反する不思議な力だ。
物語は里に住む人間とアスレチックの森の奥、銀杏の山々に住む鬼のお話。かつて人々は里に住んでいたが、25年前の凄絶な事件、山の破壊事件によって状況が一変してしまう。
山に落ちた飛行機事故が原因で消えた356人の子供達の死に様を目撃して生き残ったある一族の子供は「見透かしの子」と気持ち悪がられて里を追われ山に住みつき「鬼」と言われるようになる。鬼はドングリを食べ獣を喰らい近親交配を繰り返しながら少人数の社会を形成していた。
ある日、一匹の小さな鬼が学校の鐘の音を聞きたくて里に降りてきた。この鬼をウラという。ウラと目を合わせた子供は言葉を話せなくなるという。そんな折、ボーイスカウトの一団がキャンプ場の下見にアスレチック公園を訪れるも、鬼たちと出会ってしまった彼らは、山で迷子になってしまう。この場面での迷子とは鬼が人間をからかいながら追いかけまわし、恐怖に慄いた人間が命からがら逃げ惑うという鬼ごっこの場面だ。笑
一方で人が踏み入ってはいけない神聖な場所から、やっとの思いで逃げてきたボーイスカウトのリーダーは、村役場で働くシン(松原)のもとに逃げ込む。このシンは人間側の鬼との交渉役で松原と言われる。鬼側の人間との交渉役はウズメだ。この二人の交渉役が後に人間と鬼との虐殺の場面での重要なキーとなる。
ウラは人間の子供が教室で勉強している様子を見て自分も勉強がしたいと思うようになり、将来は学校の先生になりたいと希望するようになるが、一方で荒んだ教室や先生が半裸にされて授業をしている様子をも描写する。このようにちょくちょく里に降りてくるウラがきっかけとなって、やがて人間と鬼との殺し合いが始まってしまう。
これを制止し、鬼と人間が仲良くなる方法を考えようと躍起になる「今の松原」のシン。新しい世界を作ろうとした矢先、村長はこの歴史の「アヤ」を絶ち民族浄化の為に鬼を虐殺せよ。との指示を発令してしまう。果たして人質として人間が預かっていた鬼・ひばりの命も危うくなる。
ウラの動き、スピード、人間の目を覗きこむ仕草、どれをとっても完璧で素晴らしいキャラクターだった。鐘のような響きの導入音楽もこの舞台で十分に生かされていたと思う。終盤の展開は涙が出て悲しいやら悔しいやらで、すっかり物語に入り込んでる自分が居た。
ちょっとだけアングラの香りが加味された妖しくも美しい物語だと思う。鬼と人間を繋ぐ神聖な遣いのシンのキャラクターの立ち上がりも見事だった。強いて言うならもうちょっと本を解りやすくしたほうが万人受けするのではないか、とも思う。
それでもやはり小栗剛の本は好きだ。