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そして誰もいなくなった

そして誰もいなくなった

劇団東京乾電池

駅前劇場(東京都)

2011/08/19 (金) ~ 2011/08/21 (日)公演終了

満足度★★★★

タイトルとサブタイトルにあるようなストーリー展開
下手の観客席の壁にも、この芝居の内容がいろいろ書いてあったりしたし、推理劇でもストーリーを追うというのでもないのだろう。

東京乾電池は不条理劇の印象が強い。
そして、今回も別役実作の不条理劇。

劇団の初期の頃に上演した作品だということらしい。
そして、今回は東京乾電池35周年記念公演ということである。

ネタバレBOX

大きな黒い箱を男女が前後を持ちながら出てくる。
箱を持つこと、置くことに関してやり取りが始まる。
「箱を置けば楽になる」「誰が楽になるのか」「私が楽になる」「そうすると私はどうなる」「あなたも楽になる」「箱を置くときに指が挟まる」などという会話が延々続く。微妙に噛み合ったり、噛み合わなかったりと、まさに(画づら)も含めて「不条理劇」だ。

その後次々に一癖も二癖もある登場人物たちが現れ、どうやら、誰かが彼らをパーティに呼んだことがわかる。呼んだのはゴードンなのかゴドーになのかオウエンなのかゴウエンなのか、パーティの理由さえも定かでない。
とにかく、主催者を待つことにするのだが、会話は、やっぱり噛み合ったり、噛み合わなかったり。

待つ間、お茶を飲みながら、箱からレコードを取り出してかけることにする。レコードからは、主催者らしき男の声がする。レコードの声は、ここに集まった10人は、それぞれの罪により死刑に処すと告げる。彼らには思い当たるフシがなかったり、あったり。
さっそく1人の男が飲んでいたお茶により毒殺される。
そして残った9人は慌て、犯人捜しをし出そうとする。
しかし、また1人、そして1人と殺されていく。

箱から見つかった手紙に書いてある、10人のインディアンの詩が、どうやら自分たちの運命と関係することに気がつく。
そして…。

全編、変な空気がずっと漂っている。
目の上に濃いアイラインを入れたメイクを全員がしてたりして。
そんな変な雰囲気。
絶えず会話は噛み合ったり、噛み合わなかったり。

確かに面白い。見せる。
柄本明さんのトチったり、台詞が飛んでしまったり、思わず吹きだしてしまったように見せる演技も冴えている。これはほかの人にはできないレベルだ。
江口のりこさんも、淡々としながら、長台詞を見事に聞かせ、思わず、「うまいなあ」と思う。

「ギャグ」とかくすぐりのような台詞が、それほどあるわけではないのだが、「間」とちょっとした関係性だけで笑いに変えていく手腕はさすがだ。

ただし、物語が妙に古めかしく感じてしまった。
別役さんの戯曲は、大昔は「へえ」とか「ほう」とか思って観ていたのだが、この最近はどうも古くさい感じが否めないのだ。古典にはならない古さとでも言うか。
それは、不条理劇っぽい設定すぎて(最初の箱を抱えた2人の会話とか)、それがあまりにも不条理劇そのものなのと、ストーリーの展開が妙に辻褄が合いすぎることにあろのではないかと思う。
あまり観客を突き放さないのだ。

例えば、この舞台のラストの「オチ」(あえて「オチ」と言ってしまうような感じ)も、「なるほどねぇー」と思ってしまうものだったし。
もちろん、ビジュアル的には人を喰っているような感じで、大いに愉快で楽しいものではあったのだが。

駅前劇場はとんでもないぐらいに満員だったが、35周年記念公演で、公演期間が短いのでもう少し大きな劇場でもよかったのではないかと思った。

それにしても、東京乾電池は面白いよ、と思う。
できたら新作を観たかったなあ、とも。
しかし、次回は、『ハムレット』とのこと。これはこれで期待したい。数年前に観た乾電池の『真夏の夜の夢』はとんでもない怪作で、もの凄く楽しんだので。


ついでに書くと、今回の舞台の中で、「ゴドー」という名前が出てきた(サブタイトルにもある)。もちろん「待っている」ということから、あのゴドーのことであろうと思う。不条理劇に限らず、「待って」いたりするとよく出てくる。そして、その戯曲そのものをベースにした戯曲も多く書かれていると思う。もちろん、リスペクトだったり思い入れだったりがあるのだろうが、その名前を舞台で呼ぶ限り、本家ゴドーを超えることはできないと思うのだ。まあ、わかっててやってるとは思うけど。
Caesiumberry Jam

Caesiumberry Jam

DULL-COLORED POP

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2011/08/20 (土) ~ 2011/08/28 (日)公演終了

満足度★★★★

泥くさい
その事実をひた隠すように、まるで何事もなかったように生きる人々。 
しかし時が経つにつれ否応なしにも悲惨な現実を受け入れなければならない。 

なぜもっと早く向き合わなかったのか、現実から目をそらしてはいけない、
しかし生きることはとても泥くさいことなのだと、まざまざと見せつけられました。 

テーマが重いだけに、序盤、中盤の登場人物はかなり明るい! 
特に子供役の中村梨那さん、元気な児童で見ているだけでホントに微笑ましかった。

だるまさんがころんだ

だるまさんがころんだ

燐光群

江東区文化センター(東京都)

2011/08/19 (金) ~ 2011/08/21 (日)公演終了

満足度★★★★

あえて今。
意欲的な作品。
内容は2004年の初演からあえて手を加えなかったということで、当時の世論や情勢を感じさせる。
自衛隊派遣、地雷問題、戦争と人間のあり方等々。
今年は災害の年にあって様々な問題があちこちで噴出し、余裕のない中であえてこの作品を観ることに意味はあるかもしれない。

総じると、一度は観て損はない芝居ですし、同時に二度は辛いかな、というのが素直な感想でした。

この先も地方を廻るということですので、これから観る方は是非しっかりと睡眠をとってから劇場に足を運ぶのをお勧めします。

以下、ネタバレBOXにて。

ネタバレBOX

舞台。さすが役者さん達の演技力は確かなもので、安心して観ることができ、時には指先一本つま先の動きひとつにも目を奪われた。

ただどうしても長い。
オムニバスのように紡がれる物語が最後のシーンで集大成のようにまとまるのだが、いかんせん刺激的なことを淡々と語る形のエピソードが交代交代続く。それが2時間半。
最初は興味深く観ていたのだがだんだんと周りのイビキの音が大きくなってくうちにこちらもついこくりとなりかけた。

とはいえ地雷を取り扱った芝居は初めてで貴重なものを観れたし、無口な人やとりわけ義足の女性の話は食い入るように見てしまった。

義足の女性の役者さんが本当に美しくて。徐々に身体を失っても逆に自由になっていくような、でも物悲しい有様に胸が締め付けられた

中山マリさんの流石の存在感。それからどの方も皆さん素晴らしかったです。

これからも再演が重ねられるようですが、この芝居以外もいつか観てみたいです。
GHOST IN THE BOX!!

GHOST IN THE BOX!!

PEACE

上野ストアハウス(東京都)

2011/08/18 (木) ~ 2011/08/22 (月)公演終了

満足度★★★★★

素晴らしい
前回の「LAST SMILE」が人間賛歌を全面に出した作品だったのに対し、今回は人間賛歌のメッセージを残しつつ、恐怖、笑いの要素をうまく入れてきた。詳しくはネタバレBOXにて。

ネタバレBOX

内容は大きく前半と後半に分かれる。


前半はある研究室の廃墟の2階が舞台となる。昔人体実験が行われていたと噂される山奥のこの建物に映画サークルの4人、研究者とその助手、廃墟オタク、小説家が集まり、そこで次々と殺人事件が起こる。最初に映画サークルのアサマ、カクダテの2人がそれぞれ暗闇の中で刺殺、毒殺される。次に映画サークルのロラク、小説家のイワツキが殺される。人間には不可能と思われる殺人に、残された人々はこの場所の都市伝説は本当なのではないかと思い始め、研究者のネロメが外へ飛び出す。ここで助手のミナカタが、奥の部屋に入り日が明けるのを待つことを提案する。しかし、廃墟オタクのツジムラがその部屋に入ったところでミナカタは部屋の鍵を閉め、毒ガスにより毒殺する。ここで最初に殺されたはずのアサマが現れる。実はこの殺人は、アサマが死んだフリをして行っていたことであり、それにミナカタが協力していたことを知らされる。アサマは部屋に入る前に逃げ出したネロメを殺し、共犯者のミナカタも銃殺。そして残された映画サークル仲間のツバキをナイフで刺そうとしたところで暗転する。


後半はこの研究室の3階が舞台となる。後半になると登場人物に映画監督、脚本家、助手、制作、助手の彼女、制作の友達、土方の7人が加わる。そして前半に見せられていたものは映画の撮影現場であった種明かしがされる。そして前半の映画の舞台裏ではどんなことが起こっていたのかをコメディタッチで描いていく。


この作品のオチとしては、「お化けに人々が殺される話と見せかけて、お化けに人々が助けられる話」というのが非常に面白いところである。後半の伏線の回収の見事であったし、前半もいろんな意味でまんまとだまされた。


本当に楽しめた100分だった。脚本と俳優陣に拍手。
Nazca -ナスカ-

Nazca -ナスカ-

劇団銀石

吉祥寺シアター(東京都)

2011/08/18 (木) ~ 2011/08/21 (日)公演終了

満足度★★★

銀石、初見です。
高い空間まであますことなく使いあげた演出や、ピアノの生演奏の音色とそのビジュアル(黒い服を着た吉田さんが舞台を見つめる姿が美しかった、、)はとても素敵でした。しかし、様々なファクターが、個々は分かりやすいにも関わらず結局繋がらないまま時が過ぎてしまい、結果、「難解だなぁ」と思いながら見終えてしまったのが残念でした。こういった難解なお芝居の場合、どこかに落としどころがあってそれがカタルシスへと繋がり、「よく分からなかったけどいい舞台だった」ともなり得るのですが。役者さん達のセリフの聞き取りづらさも気になりました。そんな中、安藤理樹さん・加藤諒さんの存在が救いでした。いい意味で毒気がなく、ファンタジックな演技。素敵です。

これは僕が神様になりたかったけれどなれなかった話で、僕の彼女が実は地球だったってオチが待っている話なわけで、

これは僕が神様になりたかったけれどなれなかった話で、僕の彼女が実は地球だったってオチが待っている話なわけで、

劇団エリザベス

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2011/08/19 (金) ~ 2011/08/21 (日)公演終了

満足度★★

日芸の芝居って
こんなもんすか。 なんかエラそうなコメントですいません。 

Caesiumberry Jam

Caesiumberry Jam

DULL-COLORED POP

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2011/08/20 (土) ~ 2011/08/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

あわわ
この作品を4年前に描いていたという事実が恐ろしい。

奥様お尻をどうぞ

奥様お尻をどうぞ

キューブ

本多劇場(東京都)

2011/07/30 (土) ~ 2011/08/28 (日)公演終了

満足度★★★★

摩訶不思議な話
いつの間にか始まり、どこで終ってもいいような印象。
いい役者達の無邪気で見事なデタラメっぷり。
夢(舞台)で笑って現実で起きている現行の憤怒にも似た空しさも覚え。
面白かったけど上演時間がちょっと長かったかな、いい意味でグッタリ来ましたw。

そして誰もいなくなった

そして誰もいなくなった

劇団東京乾電池

駅前劇場(東京都)

2011/08/19 (金) ~ 2011/08/21 (日)公演終了

満足度★★★

ベケット+アガサ=別役
劇団35周年記念公演。
笑わせる箇所がちょっと古典的のような感じだったけど、小難しく考えず楽しめた。江口さんがいい女優さんと再認識、綾田さんはかわいいおじさんでした。

ネタバレBOX

締め方モンティパイソン風?
幕末純情伝

幕末純情伝

SEVENSENS

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2011/08/19 (金) ~ 2011/08/21 (日)公演終了

満足度★★★★

国とは女のことぜよ
お約束の台詞ですが、後半になるにつれて、切なさがこみ上げてくる。つかこうへいの原作にかなり忠実に作り上げられていたが、あの恐ろしいまでのスピード感のある台詞は、かなりゆったりとしており、また龍馬役の役者さんが時々噛んでしまうのは少々気にはなった。が、そのゆったり感は、素晴らしい音楽と上手く調和しており、こんな演出もなかなか面白いものと、許容できた。二時間半もの素敵な時間を共有させて戴き、全ての出演者の皆様に感謝です。受付で確認したところ、やはり著作権の関係かDVD化は予定していないとのことであった。誠に残念な限りである。

雨に紅花 (無事終演いたしました!)

雨に紅花 (無事終演いたしました!)

くロひげ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2011/08/09 (火) ~ 2011/08/14 (日)公演終了

満足度★★

私には良さが分からなくて・・・
こちらもすでに公演の様子は書かれておりますが・・・

びっくりしたのは、初めは水を張ったプール(?)足を浸していただけ
だったのが、次第に、水の中で寝転がったり、横になったりし始めたこと。

となると、ずぶ濡れのはずなのだが、その割には起き上がっているときには、
さほどずぶ濡れ感はなかった。

ただ、私も、なぜこの演劇を、プール中で、
ずぶ濡れになってやる必要があるのか、正直理解できなかった。

ネタバレBOX

余談ですけど、服が濡れて、女優さんに密着するのは、
かなりセクシーなんですよね。
それを意図したのではないと思いますが・・・。
「熊」 「附子」

「熊」 「附子」

森崎事務所M&Oplays

国立能楽堂(東京都)

2011/08/11 (木) ~ 2011/08/12 (金)公演終了

満足度★★★★

伝統の持つ底力
すでに書かれているとおりで、チェーホフを狂言に翻案した「熊」と、
伝統狂言演目「附子」の2本立て。

それで、チェーホフもそこそこ面白かったのだが、
やはりちょっと語調が違うなとか、多少違和感を持ったのも確か。

それを明確に感じたのは、後半の「附子」が始まってすぐのこと。
やはりピタッと台詞が納まっている感じ。
何が「納まっている」かというと、台詞回し自体ももちろんのこと、
声の能楽堂内での響き、所作、筋の運びのテンポ・・・
まあ「全て」なのですよね。

もちろん、私自身、狂言はそれほど観てはいないわけで
(それでも多少は観ていますが)、
こんなことを言う資格はないのかもしれませんが。

もちろん、「新作」にチャレンジされることもとても結構ですし、
そのことを否定するつもりもありませんが、
ある意味、素晴らしい「伝統」を背負ったものほど、
「新作」作りは大変だなあ、と思った次第でした。

それから、「附子」に似た話では「棒縛り」があって、
こちらの方が視覚的にも面白いかな、と私は思いますし、
また、外国人にも人気のある演目と聞いています。

これは僕が神様になりたかったけれどなれなかった話で、僕の彼女が実は地球だったってオチが待っている話なわけで、

これは僕が神様になりたかったけれどなれなかった話で、僕の彼女が実は地球だったってオチが待っている話なわけで、

劇団エリザベス

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2011/08/19 (金) ~ 2011/08/21 (日)公演終了

満足度★★★★

楽しめました
なんとなく壮大な話と学園ラブコメがごった煮になっているのがいいですね。パロディネタがちょこちょこ顔を出すのも嬉しい。今回はタイトルからネタバレでしたが、次回はあっと驚くようなシュールな展開を期待します。

ペロン

ペロン

AnK

インディペンデントシアターOji(東京都)

2011/08/17 (水) ~ 2011/08/21 (日)公演終了

満足度★★★

掴みでつかまれたが
最後までいかなかった。

そして誰もいなくなった

そして誰もいなくなった

劇団東京乾電池

駅前劇場(東京都)

2011/08/19 (金) ~ 2011/08/21 (日)公演終了

満足度★★★★

秀作!
初東京乾電池。

たまたま連日で別役実作の作品を観劇したが、やはりセリフのキレがすばらしかった。演技も申し分なし。面白かった。

舞台とは別に、受付と客席案内のテキパキとした動き(進行管理)に非常に関心した。劇団の方が行っているのだろうけど、すばらしかった。

ネタバレBOX

とある館に集められた人たち。ゴドーという記念祝典?の主催を待つ中で聴いた蓄音機から、10人の罪が次々と告げられ、次々に殺人が行われていく‥。

罪のために刑(殺人)が執行されるのではなく、殺されたことにより罪が生まれ、そのために事前に刑が執行されたという発想が面白い。
笑える場面やセリフも多く、サスペンスなハズなのに、ピリピリしていない、不思議な舞台。これは脚本の力なのか、演出の力なのか。どちらにせよ、素晴らしい群像劇でした。

演技は、江口のりこが特に良かった。
Caesiumberry Jam

Caesiumberry Jam

DULL-COLORED POP

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2011/08/20 (土) ~ 2011/08/28 (日)公演終了

満足度★★★★

引き込まれました。
カエラマンのように俯瞰で見ているようで、いつのまにか引き込まれました。セット、役者さん、物語、そして終演後に配られたパンフ。最後の一言だけはまだ引っかかっていますが、凄く決まった作品だと思います。

GHOST IN THE BOX!!

GHOST IN THE BOX!!

PEACE

上野ストアハウス(東京都)

2011/08/18 (木) ~ 2011/08/22 (月)公演終了

満足度★★★★

そーきましたか
なるほど、そーきましたか。夢オチならぬ落とし方。前半はホラーっぽく、後半は実に親切な解説付きコメディと、1粒で2度おいしいお話。楽しませてもらいました。

増殖にんげん

増殖にんげん

ぬいぐるみハンター

ギャラリーLE DECO(東京都)

2011/08/16 (火) ~ 2011/08/21 (日)公演終了

満足度★★★★

おかけとネットという
好物なく見合わせを「増殖おんな」で。やや客としては引いて観ていてもったいなかったも。女優の組み合わせは最強だ

吾妻橋ダンスクロッシング2011

吾妻橋ダンスクロッシング2011

吾妻橋ダンスクロッシング実行委員会

アサヒ・アートスクエア(東京都)

2011/08/19 (金) ~ 2011/08/21 (日)公演終了

満足度★★★

玉石混交ながらも刺激的
「ダンス」と銘打ちながらも一般的な意味でのダンス作品は1組だけで、癖のある先鋭的パフォーマンスのショーケース的イベントでした。完成度の差が激しく、全てが良かったとは言い難いのですが、様々なタイプの表現を一度に観ることが出来る良い機会でした。

康本雅子『絶交』
男女の関係をコミカルかつちょっとエロティックに描いたデュオ作品。日常的な動作を反復しながら増幅する振付が主体で、康本さんの立ち姿の美しさと動きのキレの良さが印象に残りました。途中でダンサーが停止して、スタッフが衣装替えや掃除をする時間があったり、パフォーマンスが続く中で撤収作業が始まるのが面白かったです。

Line京急『トゥシャイシャイボーイ』
チェルフィッチュの山懸さんとミュージシャンの大谷さん、台詞を話さない水着の女性によるパフォーマンスで、主体の不一致やドキュメンタリー的映像、リルタイム映像による表情のアップ、韻を踏んだラップ的な台詞など現代的なイディオムを用いながらもユルユルな雰囲気でした。

ボクデス&家族『パンダンス』
小浜さんの実際の家族がパンダに扮して繰り広げられる脱力パフォーマンスでした。4月に品川の楽間で上演したものとほぼ同じでしたが、今回は小浜さんのご両親も出演していて、ほのぼのとしたシュールさが漂っていました。キュートなお子さんが美味しいところを全て持って行っていました。

三浦康嗣『合唱曲 スカイツリー』
ピアノと2台のギターの伴奏による混声合唱曲で、道路の環状線&放射線の「放射線」と放射能の「放射線」や、スカイツリーと子供の成長を重ね合わせた歌詞が良かったです。途中に単語を羅列するラップや日常会話的な芝居の部分もあり、三浦さんが音楽を担当した、ままごとの『わが星』を思わせる雰囲気がありました。

悪魔のしるし『ポ食』
オーストラリア人アーティストによる捕鯨反対のスピーチに続き、朱鷺の保護を訴えるスピーチ、そして同様の論理展開で芸術の保護を訴えるスピーチが続くシニカルな作品でした。鯨を食べる代わりにポテトチップスを食べれば良いとのことで、ポテトチップスの空き袋を繋ぎ合わせた巨大なオブジェが人を飲み込むのがユーモラスでした。

core of bells『プレシャスハイム3丁目』
ハードコアチューン『ゲス番長のテーマ』の演奏を前後のMCも含めて何度も繰り返し、繰り返す度にヴォーカルが倒れ、楽器の音が出なくなり、照明も暗くなって行き、他の作品の出演者たちが「聞こえない」「帰れ」、「つまんねー」等と野次を飛ばす展開がハチャメチャで面白かったです。舞台芸術における再現性について、笑いながら考えさせられる刺激的なパフォーマンスでした。

大谷能生×吉田アミ『Duo Improvisation』
通常の奏法をほとんど使わない大谷さんのサックスと、超音波やノイズのような吉田さんのヴォイスによる微細な音響の即興演奏でした。物音一つ立てられないような緊張感が気持ち良かったです。一部では何かのテキストを読んでいるようでしたが、音の響きに解体されていて内容は待ったく分かりませんでした。

地点『his master's voice』
大日本帝国憲法や玉音放送など、天皇にまつわるテキストを5人の俳優がステージ後方でほとんど動かずに地点ならではの独特の台詞回しで語る作品で、音楽的にも聞こえる声の存在感が強烈でした。唯一の小道具であるスイカに関連して台詞の合間にスイカの種を飛ばす音が断続的に挿入され、不思議な効果を出していました。「his master's voice」という言葉を極端なビブラートをかけながら『君が代』のメロディーで歌うシーンが印象的でした。

遠藤一郎『三日月』
ダンボール箱を積み上げたオブジェの前でお面を付け藁を身に纏って舞うパフォーマンスでした。終盤に割られるくす玉から出て来る垂れ幕に書かれた「本気で行けば最強」という文や、小さく畳まれた布(紙?)に書かれた「REVOLUTION」という単語からポジティブさを感じました。ASKAの曲や、観客を巻き込むパフォーマンスが本気なのか笑いを狙っているのか曖昧で、空回り感がありました。

朗読劇"木を植えた男"~人形劇俳優 平常(たいら・じょう)による

朗読劇"木を植えた男"~人形劇俳優 平常(たいら・じょう)による

平常

東京都現代美術館 B2階講堂 (東京都)

2011/08/10 (水) ~ 2011/08/12 (金)公演終了

満足度★★★★★

素晴らしい人形遣いと朗読劇
説明にもあるとおり、東京都現代美術館の展覧会の特別イベントとして開催。

私は平常(たいらじょう)さんのことは知らなかったのですが、
子供向けのような人形を持って颯爽と登場。
この方は、朗読もやられるし、この日はそれがメインなのだが、
やはり「本業」ということで、初めに人形芝居を披露。

ところが、一人で操っているにもかかわらず、その動きは素晴らしい。

ちなみに、外国では人形劇は子供向け、なんて言うイメージを持たれていると、
何かで聞いたことがありますが、日本では「文楽」があって、
これは大人向けの立派な芸術・・・
でもこちらは基本的に1つの人形を3人で操るのですよね。
(3人で息を合わすのは別の意味で大変かもしれませんが)

ところが、平さんは、1人で操っているのですよね。
足は無いのだけど、両手に顔・頭部は動かせる。
人形の両手を人形遣いの右手1本で操作し、
人形遣いの左手で、頭部を支え、
かつ頭のてっぺんが開くようになっているので、
その操作もするという具合。

人形による寸劇もやられたのだが、
「お客さんの誰かにもやってもらいましょう」と言われ、
なぜか私が捕まってしまい、ステージ上へ…。

まあ「上手い上手い」なんて言ってもらえたけど、
右手1本で人形の両手をきれいに操るのはとても無理。
まあこれはご愛嬌ということで、笑いものになりました・・・。

さて、後半というかメインは、映像を見ながらの朗読劇。
この話も中々感動的で、自分の利害などお構いなしで、
山に木を植えて行った人の話。

お話自体と、平さんの朗読は良かったのだが、
ただ、映像については、特に初めはモノトーンに近いもので、
私的にはイメージが湧きにくかった。
それと、平さんはやっぱり人形を遣っているときの方が面白いかな?

なお、1時間ほどあったので無理すれば展覧会(チケットも頂けました)も、
観られたのですが、平さんのお話で「2~3時間かけてみる人が多い」と聞いたことと、
実はこの後、「チャイムが鳴り終わるとき」に行ったもので、
この日は展覧会は観ておりません。
先に観ていればまた印象が違ったかもしれません。

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