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クライシス百万馬力

クライシス百万馬力

ホチキス

シアタートラム(東京都)

2012/09/13 (木) ~ 2012/09/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

堪能しました
これまでにも面白い舞台をたくさん見ている劇団ですから、それなりの期待をもって観にはいったのですが、そんなもので賄えるような面白さとは桁がちがっていて。

思い切り満ちた舞台を堪能しました。

ネタバレBOX

大きなトラムの舞台ですが、
ひとりずつの役者達がしっかりと舞台に立って、
その広さに負けていない。

ひとりのシーンでも、ふたりであっても、
30人が舞台一度に舞台を埋めても、
役者達それぞれのそのロールへの張りのようなものが、
常に観る側を捉えていて。
初日ということで、特に前半は、間のとり方とか台詞の流れとかも
やや迷いや澱みがあったりもしたのですが、
キャラクターを背負う凛とした気概のようなものが
役者達にしっかりと内包されていて。
それが、ひとつずつのシーンを
物語の色として組み込み
さらなる半歩を生み出して観客を舞台に惹きつけていく
力となっていく。

ひねりもちゃんとあり、
どこか素敵な薄っぺらさも作りこまれ、
滞らず、一方で観る側を置き去りにしない展開にしっかりと引っ張られる。、
登場人物それぞれの個性が
また様々に楽しいのですよ。
笑いどころも満載で、
でも、場当たり的な設定ではなく、
いろんなベクトルの貫きがあって、
観る側がちゃんとその色に乗っていける。
二人の兄弟、女組長、キャバクラとホストクラブの男と女、
そして診療所と警察と、
ちょっと60年代の日本映画の猥雑が、
やがてどこかSFちっくな物語のアクションやかぶきと
絶妙に重なり合って・・・・。

さらにはアンサンブル的なロールの役者達にも
抜群のクオリティがありました。
群集的なミザンスを作りながら、
ひとりずつがちゃんと歌えるし
しっかりと歌えるし、踊れるし、演じられるし、
とにかく、その場に精度と切れ味をもったニュアンスを作れる。
On B’wayの舞台などでは、
それこそ演劇学校であれば先生クラスの人たちが
比較的小さな役であっても舞台をしっかりと支えているという話を
聞いたことがあるのですが
この舞台でも力のある役者が舞台を満たし
作品の厚みを強かに支える。
で、物語を動かす役者達がそれに負けずにさらに引き立って。

終盤、劇中劇での、
超有名戯曲&ミュージカルのパロディなど
そんじょそこらの紛い物と一線を画す見応えがありました。
場に観る側を満たす切れと、
本家との強かな重なりと遊び心が
紡がれ織り上がり、温度をつくりグルーブ感を醸し、
観る側を満たしていく。
ジェット団とシャーク団よろしく
場に鮮やかやな対比を作る男達と女達が
舞台の広さや高さをいっぱいに使い、
その場のロミオとジュリエットを、
ちゃんとこの物語的な主人公に押し上げていく。

それは、そのまま、終盤の舞台の役者が作り上げる世界の
スピード感や熱へとつながって。
最後の舞台装置のけれんも、しっかりと生きて・・。
もうこうなると、舞台初日で前半が少々硬かろうが、
暗転がちょいとごそごそしていようが関係ない。

たっぷりと満たされて、本当に心地よくダブルコールをさせていただいて。
芝居というよりは、すごく良質なミュージカルコメディを観たような
高揚にたっぷりと浸されてしまいました。
無差別

無差別

柿喰う客

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2012/09/14 (金) ~ 2012/09/24 (月)公演終了

満足度★★★

「劇団力」を感じる
さすがオール劇団員による公演!って感じの、「密」なステージ。
始まりから終わりまで、空気の「濃さ」はさすがとしか言いようがない。

「これぞ、柿」っていう感じの、柔軟性とダイナミクスに満ちた身体表現の一挙一動に見ごたえがあって楽しい。
照明や美術も印象的。

ただ脚本はいろいろな意味で新鮮さがなかったような。
「作:中屋敷法仁」とあるにもかかわらず、作劇や「神話」や「戦後」についての語り・視座が、女体化シリーズのような「語り直し」の域を出てなかった気がする。

また5月に結成当時からのメンバーが抜けてしまったことによって、良くも悪くも劇団員の「均質性」が(特に「声」の面で)高くなってしまっていた印象があり、そのことが今回の作品では「軽いシーンが全体から浮いてしまう」という悪い方向に作用してしまったような感が。
今までの柿喰う客とは違う、メンバーチェンジを経た現・柿喰う客のための新しい表現方法を模索してもよいのではないかなあと、思ってしまいました。

役者として観るのは初めてだった中屋敷さん。アンサンブルとしての身体は面白かったんですが、台詞となると・・・^^;
他の方に比べて、声が「後ろ」に行ってしまっているような印象も受けました。

まあ、いろいろ書いてきましたが間違いなく満足度は高い作品だと思います。
千秋楽まで、怪我のないように祈ります。

ネタバレBOX

脚本でちょっと違和感あった個所が。
大楠古多万に生えた「キノコ」を、そのまま「キノコ雲」へスライドさせる展開、演劇としては面白かったんですが、その接続は「ポリティカリーに考えてどうなのか/歴史的に考えてどうなのか」ということについて納得できなさが残ってしまった感じです。

にしても、観終わってこれほどまでにジャングルジムで遊びたい気分になる作品も、そうそうないような・・・w
無差別

無差別

柿喰う客

東京芸術劇場 シアターイースト《公開GP》(東京都)

2012/09/14 (金) ~ 2012/09/14 (金)公演終了

これが見たかった
戦後思想の転換が生存に必要最低限の脂肪をつけて舞台上で生きているのを見たような気分です。こういう端的にテーマを見せ付けるものが自分のほしかったものなんだなと思いました。見なければ分からないので見てください。

『つまんなかったら言ってね、死ぬから』【ローション・ペペと提携!】

『つまんなかったら言ってね、死ぬから』【ローション・ペペと提携!】

あんかけフラミンゴ

Geki地下Liberty(東京都)

2012/09/13 (木) ~ 2012/09/17 (月)公演終了

満足度

死ななくてもいいけど
つまらなかった・・・、いやそこまでは言わないけれど面白くはなかった。それ以上でもなくそれ以下でもなく。

HEAVEN ELEVEN OF THE DEAD

HEAVEN ELEVEN OF THE DEAD

tsumazuki no ishi

ザ・スズナリ(東京都)

2012/09/13 (木) ~ 2012/09/17 (月)公演終了

満足度★★★★★

初日
初めて初日観ました。最高でした。
あとは、ラスト17日にいきます。
どこまで完成されているか、’いまから楽しみです。

人形の家

人形の家

現代演劇協会

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2012/09/07 (金) ~ 2012/09/09 (日)公演終了

満足度★★★

丁寧な作り
『人形の家』観るのは、いつぶりだろう。
前に観たのはたしか現代っぽく演出されたやつ。
外国のカンパニーで、ノーラがバイオハザードのジル・バレンタインのコスプレしてたのが印象的。

今さらですが、『人形の家』って面白い戯曲だなー。

すごい劇的な場面が沢山あるし、人間が、面白いくらいに変化していく。
このカオス!演劇観てるぜー!って感じでワクワクする。

嘘を抱えてる共同体に、真実を明らかにしようとする人がやってきて真実を突きつけ、
カタルシス、崩壊・再生、
みたいな流れが美しい。
ギリシャ悲劇か、と。

王道といえば王道だろうけど、やっぱ王道は面白く、そして美しい。
こういう作りの現代戯曲をもっと見たいわ。

ヘルメルが嘘つきを罵倒する際の台詞が、そのままノーラにかかってるとことか、すごい皮肉。
ドラマティックなアイロニー。
わくわくしますな。

「僕のヒバリちゃん」とか「僕のおしゃまさん」とかいうヘルメルの台詞は、
現代、そして日本ではもはや別の面白さも孕んでしまうけども。

ネタバレBOX

7月に『黄色い月/宮殿のモンスター』で共演させていただいた、劇団昴の石田博英さんがヘルメルを演じる。
ヘルメルのクソ野郎ぶりが、豹変ぶりが、すごかった。

クログスタ(=松橋登)の雰囲気は良かったものの、色々大事故が起きていたような…
ゆする側が台詞飛ぶと、ノーラ(=井上薫)としてもどうしようもないからなぁ。
だいぶ、リードしてはいたけど、ヒヤッとした空気感。

しかし、外人の演出家って、
幕の終わりとかにバッと照明変えて印象的な台詞をモノローグ的に言わせるのが好きなんすかね?
去年観たNLTの『検察官』でも同じような手法を観ましたが。
仏にイナズマ

仏にイナズマ

ハリケーンディスコ

参宮橋TRANCE MISSION(東京都)

2012/09/13 (木) ~ 2012/09/16 (日)公演終了

満足度★★★★

好みの味を揃えて
十数年前に単館レイト上映していたような映画の味をベースに70年代ジャパニーズ・ニュー・シネマの雰囲気を加え、アングラ風スパイスを効かせて描いた「ヤバい奴らと小劇場系関係者との邂逅」。
個人的に好みな風味を取り揃えた上に「あんなモノ」まで登場させるとは…!
その登場や機構、およびその後の舞台の変貌に劇団桟敷童子を連想したりしなかったり。(笑)

危険な女

危険な女

good morning N°5

駅前劇場(東京都)

2012/09/13 (木) ~ 2012/09/16 (日)公演終了

満足度★★★★

怖くて笑える
怖いにも色々意味があるが・・・とにかく笑った。なんか羞恥心がなくなった女ってスゲェ!って感じ。見たくない肉とかも見えるけど、それでもいい人にはかなり笑えると思う。食料持込可、客席でもおつまみ100円、水・お茶100円、ビール300円で買える。

ネタバレBOX

役者にしっかり芝居の出来る人がそろっていたので、なかなか面白かった。特に迷子預かり所は、笑えて怖い。楳図かずおの恐怖漫画を思い出した。
Dystopia

Dystopia

創作集団Alea

シアターシャイン(東京都)

2012/09/13 (木) ~ 2012/09/16 (日)公演終了

満足度★★★★

なかなか面白い
偶然性もあり、頭も使うゲーム。

ネタバレBOX

犯罪者たちによる偶然プラス頭脳サバイバルゲーム。

残り二人になった瞬間に、もし相手のことを思うのであればボタンを押すのではないかと思いました。しばらくしてゲームを面白くするためにシステムを解除していると言っていましたが、そんなことは二人には関係なく、とにかく押すのかなと思いましたが、どちらも押しませんでした。

恋人の女性が自ら少しむっくり起き上がるので空砲かと思いましたが、やはり怪我はしていたようです。一人が生き残るということは、確実に他の者たちが死んでいることが前提ですから、男も本性を表すのが早過ぎです。

ラストは凝っていましたが謎でした。音声認識装置が働いていたと思うのですが、強姦致死の男が生き残っていたのでしょうか。司会者も確かに首輪を付けていたようにも見えましたが、死んだ理由がよく分かりませんでした。

それにしても、警備担当者が拳銃を二回も落としたのに犯罪者たちがそれを拾わないのは…、というか落としすぎでしょう。司会者が首輪を付けるときにもたもたしてました。詰めの甘さが気になりました。
妄想ポルノ~胡蝶の夢・姫金魚草~

妄想ポルノ~胡蝶の夢・姫金魚草~

Marmoset

テアトルBONBON(東京都)

2012/09/05 (水) ~ 2012/09/09 (日)公演終了

満足度★★★★

もやもや
本編での映像との融合はなかなか効果的でよかったのではないでしょうか!?
ただ、始まりでの宣伝&予告編のようなのは少し長く感じてしまいました。
妄想をキーワードに2つの逸話が描かれるのですが、
妄想自体のエピソードはいい感じでしたが、妄想から抜けでることにもポイントがあるように感じ、その点、2つめの少女の話は少し不十分に思いました。

ネタバレBOX

そして、続編(一つ目の話の兄とそのモデルのそれぞれの妄想について)を匂わせつつの終わらせかたが、いまひとつスッキリしてなく感じました。
最後にマスターと演奏太郎はいい味出してましたね!?
太陽と灰二 vol.2 / 壊れないジェン我 ・ アンバランス

太陽と灰二 vol.2 / 壊れないジェン我 ・ アンバランス

9-States

相鉄本多劇場(神奈川県)

2012/09/13 (木) ~ 2012/09/18 (火)公演終了

満足度★★★★★

面白かった。
一人で行って失敗した。知人にも見せてあげたいと思った。切実に。

花と蛇

花と蛇

月蝕歌劇団

座・高円寺2(東京都)

2012/09/12 (水) ~ 2012/09/16 (日)公演終了

満足度★★★★

月蝕テイスト満載!
団鬼六作品2編をもとに舞台化とのことだが、終盤の展開を筆頭に客席通路を花道的に使う演出、歌の入り方、「特殊な照明」などいたるところ月蝕テイスト丸出しでニヤニヤ。
また、モノがモノだけに定番の…と言うよりベタな台詞や眼福もアリ。

ワタシんち、通過。のち、ダイジェスト。

ワタシんち、通過。のち、ダイジェスト。

マームとジプシー

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2012/09/07 (金) ~ 2012/09/17 (月)公演終了

満足度★★★

反復して増幅される感情
かつて暮らしていた家に対してのノスタルジックな思いを、先鋭的でスタイリッシュな表現手法を用いて描いた作品でした。

長女、長男、次女の3人が生まれ育った家が道路拡張の為に取り壊されるその日の3人の様子をメインにして、友達が家に遊びに来た時、長女が家を出る時といった過去のエピソードが織り込まれ、それぞれのシーンを何度も立ち位置を変化させながら繰り返す構成でした。
観客に説明するような文体、一般的な意味では下手な演技、時系列の頻繁な跳躍、ダンスのような往復運動や円環運動といった、観客を物語の世界に単純に没入させない仕掛けを用いながらも、普遍性のある感情が描かれていて、同じシーンが繰り返される内に強度が高まって行くのが印象的でした。

感極まった涙声で台詞を言うのが個人的に苦手で、作品の世界観に共感出来ませんでしたが、激しい身体表現によって感情表現を増幅させる手法が興味深かったです。照明を落とし、大音量の音楽が流れる中で激しい動きが行われていたのが印象に残りました。

役者の台詞と動きだけで十分に表現力があるので、スモークや映像、叙情的な音楽の使用は過剰に感じられました。

『帰郷』

『帰郷』

3.14ch

タイニイアリス(東京都)

2012/09/12 (水) ~ 2012/09/18 (火)公演終了

満足度★★★★

ぶっ飛んでましたね
劇団初見。会場に入ると結構手の込んだ舞台セットで、期待が持てます。話の方はこちらの予想をこえて、現実と幻覚がごちゃまぜになって、ついには時空を超えてしまう。いやはやぶっ飛んでましたね。あぜん・・・としながらも楽しませてもらいました。女優さん達皆いい。

ラブ☆ガチャVol.5

ラブ☆ガチャVol.5

茶柱日和

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2012/09/11 (火) ~ 2012/09/17 (月)公演終了

満足度★★★★

中年男も胸キュン
ポップでカラフルな舞台で繰り広げられる6つのラブコメ短編集。中年男も胸キュンしてしまいましたね。リラックスして楽しめました。

世界一不幸な男

世界一不幸な男

激弾BKYU

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2012/09/13 (木) ~ 2012/09/17 (月)公演終了

満足度★★★★

安心して観れる劇団
残念ながらこのコメントを見ていただいても、本公演は観劇できません。もはやすべての回が完売とのことです。長寿劇団だけあって、はずれの無いユーモアたっぷりのお芝居が堪能できました。内容は、「タイトルの主人公に生きる希望を持ってもらおうとする人たちとの交差模様」を描いています。そのテーマとしては、「原発と断捨離と孤独と死」的人生を語っているのかな?こんな書き方すると重く暗いイメージが出来上がりますが、リラックスして涙流して笑えますし、楽しめます。役者さん皆さん素敵ですが、今回は圧倒的に蔵重さんが輝いています。

ネタバレBOX

初日観劇で、アクシデントもお芝居の醍醐味ですが、マイクパフォーマンスでのトラブルが初めと中盤にあり、テンションを上げる妨げとなってしまった点がとても残念に思います。
劇途中でキャスト全員での「マジ食い」には吹き出しました。酒井さん、大分痩せました?東野さん変わらず素敵です。
 f

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MOKK

こまばアゴラ劇場(東京都)

2012/09/11 (火) ~ 2012/09/13 (木)公演終了

満足度

2本で帰る
1本目。つまらない。なにこれ。ダンス?最後の方は少し面白かった。
2本目。つまらない。なにこれ。ダンス?映像とのコラボが少し面白かった。
3本目。つまらないと確信して、一番楽しみにしていた上村を見ずに帰る。
アゴラはもっと良いもの見せて欲しい。
岸田理生フェスなども、もうやらなくていいんじゃないか。

ゴベリンドンの沼  終了しました!総動員1359人!! どうもありがとうございます!

ゴベリンドンの沼  終了しました!総動員1359人!! どうもありがとうございます!

おぼんろ

ゴベリンドン特設劇場(東京都)

2012/09/11 (火) ~ 2012/10/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

悲しくも美しい

ほんとうにその通りだと思いました。

綺麗で眩し過ぎて観るのが辛かった。
悲しくて胸が抉られるようだった。
それなのに、たくさんの愛が
溢れていました。
真っ直ぐで、歪んだ愛が。

そして、“おぼんろ”さん自身が
愛されているのだなあ、と感じました。

暑くて、遠くて、悲しくて
それでも観に行ってよかった、と
そう思える物語りでした。

ネタバレBOX


私は、物語りが始まる
最初の場面がすごく好きです。

役者さん一人一人が
皆様に語りかけるように、
おはなしをしてくれるのです。

鍛冶屋が居ない国のおはなし。


タクマとトシモリ、ゴベリンドンも
きっと幸せなのかな?

メグミには一輪の希望が
残ったけれど、

殺されてしまったザビーは
幸せになることは
できなかったのでしょうか?
孤独のまま死んでゆくなんて、
悲しいです。

私は忌み嫌われる悪者にこそ、
幸せになって欲しいな、と
思ってしまいました。
ワタシんち、通過。のち、ダイジェスト。

ワタシんち、通過。のち、ダイジェスト。

マームとジプシー

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2012/09/07 (金) ~ 2012/09/17 (月)公演終了

満足度★★★★

ちょっと長すぎた
「今日マチ子さんとジプシー」に続いて二度目のマーム。面白かったし、リフレインの手法に飽きたということもなかった。

一時期の野田秀樹が言葉遊びの可能性を徹底的に追求していたように、一時期の平田オリザが同時発話を追求していたように、今の藤田貴大はリフレインの手法を追求する時期なんだろう。でも、ちょっと上演時間が長すぎた。80分くらいにまとめてあったら、五つ星。

ネタバレBOX

テーマは、家の解体。別にいいけどスケールは小市民的。110分かけて描くほどのことじゃない。

別の観点から。マームの劇は、物語というよりは、音楽やダンスのようなものだ。いくつかのモチーフ(旋律や振り)を提示し反復・変奏しクライマックスに向けて構成する。マームの場合、モチーフはリフレインされる記憶の断片ということになる。いったい、110分の緊密な構成というのは、無理じゃなかろうか。110分って、交響曲なら長いので有名なマーラーの3番。観客が「一つの抽象的な時間構成体」を楽しめる限界だ。

リフレインされるシーンも途中まではどんどん強度が高まっていったが、途中からすり切れてしまった面が否めない。いったん俳優の感情をピークアウトさせてから、落ちついたトーンでまたリフレインするとか、違うコンテキストのなかでリフレインするとか、いろんな試みがあったけれども、どれほど効果があったか。

要するに全体の時間を短くしたら問題は解決する。逆に110分の充実した演劇体験をぼくらに与えたいなら、物語の要素を倍くらいにふくらませないといけないんじゃないか。それは、ここまで洗練させてきた従来の手法と両立可能だろう。そういうのを次は観たい。
ファイティングポーズ

ファイティングポーズ

劇団光希

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2012/09/13 (木) ~ 2012/09/17 (月)公演終了

満足度★★

再演でしたのね・・・・・
正直に言うと「背景の書かれていない漫画」読んでいるような気分でした。

なぜかというと、
ストーリーメインで登場人物の姿(日常)が浮かんでこなかったから。
話の筋は暖かい中年賛歌になっていて微笑ましかったのですが、
せっかくタイトルにボクシングと付いているなら、
いろいろとボクシング世界に引きずり込むような
(解説するような、しかり。
見た観客が明日からボクシングジムに行きたくなるような)
話にした方が良かったのでは?
とも感じたからです。

そ・れ・と、説明にあるからか。
「おやじファイト」について作品中で、
まったく説明などが無かったのが残念でした。
(ボクシング全般についてもね)

<自由席・約2時間>

ネタバレBOX

で、話はボクシング始めて6ヶ月で
主人公が「おやじファイト」に出るまでである。
(まぁぶっちゃけ負けましたが・・・)
シャドーボクシング風の試合の見せ方はGood

舞台は左右を上手に使っての見せ方でした、わかりやすくて面白かった。
(舞台見て左側にリングのポールが2本並んでいる。
ロープはあることにして演じられていました。)

ただ台詞つっかえるトコも多く、全体にリズム感悪く感じました。

前半単調で平坦な感じも受け、
後半のスパーリングや試合などの盛り上げ方も、
主人公の妻の出産に掛け合わせて無理しすぎに思った・・・。

もっと伏線張り込んだり、
(難なく赤ちゃんとりあげた会長の奥様など、
前半の娘との会話の中で、「自分一人であんた生んだのよ!」
みたいな台詞言わせておくとか。)
ボクシング初心者の主人公にプロの話や階級、
上記「おやじファイト」の説明を会長などがするべきと思われました。
(競技人口とか健康の為のボクササイズとかetc)
(まったく無かったですねー・・・・本当に残念に思います)

回想シーン(左側)に会話中(右側)の役者さんが入り込んだりと、
楽しいシーンもあるんですから。
実際にはコウですが、作品世界ではコウします。
みたいな笑える解説入れるコト等考えて欲しかった。
(例:本当はマウスピースを入れますが、
役者が喋れなくなるので演出の都合上無くしますとか。
いろいろと続けるなら「で演出の・・以下略」ですなどと
コミカルにも出来たでしょうに・・・。)

またボクシング会場での出産など、
「予備の控え室とかあるくらい広い会場ですね」とか、
細かな伏線や作品世界に引き込むリアリティが不足し過ぎたと感じました。
スパーリングなどはアクションとして良く見せていたのにー
(まぁボディヒット時の音などがズレたりもしましたが)

会長との賭けでジム内では喋らない長野くんのキャラとか、
ジムのボクサーさん達や主人公の体の作り込みとか、
本当にゴング使ってるトコとか、
(もっとゴング鳴らしてもいのでは?)
良いトコが多いのに残念に感じましたネェ。

会長の娘さんがピアノ習ってるのはわかったが、
学校とかの話も台詞一つ無くて生活感無く残念。

ジムの先輩ボクサーのトレーナー転向で、
主人公がジムに行かなくなる流れは。
会長の娘さんの言があったにせよ。
そばに父親いたんだし理不尽な娘の物言いであり、
すぐに黙らせたりしなかったのが、なんとも不自然・・。

まぁ立ち直らせた妻の力強さはカッコ良かったが(^^)
その妻に主人公の立ち位置=
なんとなく続けたボクシングではあるが、
生来の生真面目さから毎日ジムに通いつめる事で、
試合が本当にしてみたくなったのも判るよ!とか、
=言わせて欲しかったなー(立ち位置がフワフワしていた感じでした)

なんか主人公のボクシングへの思いが、
上っ面だけな感じが前半から中盤までは拭えませんでした。

また主人公が妹の決めたボクシングに、
何となく入り込むのも少々の違和感あった。
ボクササイズ勧めたりもせず、いきなり普通にボクシングなら。
妹の彼氏のボクサー君が妹とよく話して、
ボクシングの世界に引きずり込んだ(丸め込んだとか)という設定の方が、
納得しやすかったです。

素人が公園で準備運動したからと、
すぐにファイティングポーズ教えるのもなぁ・・・。
(軽くジム内での柔軟とかさせてみて、
身体の動きやつくりの確認はしないのかい?会長さんは・・・
セリフだけで軽く暗転でもして柔軟とか終わらせた事にして、
ポーズとらせた方が・・・)
基礎体力メニューの更新とかはしてたけど、
体力の確認台詞とか、試合の日程が妻の出産日に近いとか。
ジムと会社の距離・時間とか、
会社の年下の同僚が実は正社員でないこと事などは、
冒頭で説明台詞など入れるべきと思いました。
(ex:映画「大怪獣ガメラ」での説明台詞、
「この地域一帯での異常な電力低下・・」とか。
あぁこの辺りにガメラが潜んでいるんだと理解させるセリフ!
いちいち映像用意しなくとも安く済みますよね。科白一つで)

花火の照明+効果音や、リングを現す四角い照明とか、
劇団代表のトークとか、面白い要素が多い分。
ここまで書きたくなりました。
上演時間を短くすること考えて、
リズム良く物語を進行させて欲しなぁとも・・・。
偏った個人の見解ですが、こう思った次第であります。
(なんか以前の感想とデジャビュー・・・・)

長くて申し訳ない。
最後に「ザ・おやじ・・・」は本当なら、
「ジ・おやじファイト」ではないんでしょうかねぇ・・・・・。

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