サロメvsヨカナーン【CoRichグランプリ受賞後第一作!】
FUKAIPRODUCE羽衣
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2013/02/01 (金) ~ 2013/02/11 (月)公演終了
満足度★★★★
サロメ・ヨカナーン
呼び合う言葉の響きがよかった。
長いミュージカルシーンは、結構楽しかった。歌詞も頭に残る。
一番年上のカップルの芝居が魅力的だった。
ネタバレBOX
最後の0歳から99歳までの見せ場は、見応えがあった。
ちょっともったいないと思ったこと
・ 終わり方が終わった気がしなかった:不意を打たれたようにカーテンコールになった。
・ パロディ的な台詞はこの芝居にはもったいない:なんか陳腐に感じる(笑えるけど)
・ 音程を外しているのはわざと?:わざとには思えなかった。もっと練習するのか、わざと外している感を出さないと、「学芸会」的に見えてしまう。
でも、ミュージカルシーンはどれもなかなか楽しかった。
IN HER TWENTIES 2013
TOKYO PLAYERS COLLECTION
インディペンデントシアターOji(東京都)
2013/02/06 (水) ~ 2013/02/11 (月)公演終了
満足度★★★★★
結構普遍的
20代女性のお話ということで、おっさんには遠い話かな、と思っていたが、だれが観ても感じることは多い作品だと思った。
しかも、観る人の年代・経験によってそれぞれ感じることが違うとても普遍的だけど、パーソナルな印象も与えてくれる感じの。
話の流れも面白いし、言葉の表現のうまさはさすがだなあ。
(といっても、台本読んでるだけだと見えない部分もあり、芝居の良さも改めて。)
ネタバレBOX
十人の女優さんが並んでいるが、見た目の印象は「非連続」な感じ。
でも、流れを追っていくと、それぞれの一年の特徴を表しているように自然に思えた。(最後まで違和感が残るところもあるけど、それは一定しかたないとして)
2つの場面の重ね方は面白い。とくに、立場をひっくり返しているものとかは、ある意味、生きているなかで絶対出てくることで、いい描き方だった。
座った位置の関係で、29歳の表情が見えなかったが残念だったけど、20歳の正面だったから、なんとなく、自分も20歳側から観ていたような気がする。
年代の差が明らかになるシーンがいくつかあったが完全に「こちらサイド」の視点になってしまった。
しかし、10年をああいう風に見せてくれると、人って変わっていくんだな、って感じさせてくれた。いい意味で。10代の人とかが観るとちょっと不安になるかもなあ、などとも思ったけど。
切り替わりの大きさとして、印象に残ったのが22歳・25歳・28歳。でも、徐々に間をつなぐそのきっかけとか、見えてなかったこととか見えてくる。
最後には、各年の積み上げがよーくわかる。
示唆深い作品だった。
ワクラバノユメ
メッテルニッヒ
萬劇場(東京都)
2013/02/08 (金) ~ 2013/02/10 (日)公演終了
満足度★★
エンターテインメント♫
着物を着て、たおやかに舞う群舞や殺陣、元気なダンス等が出色だった。
『宇宙をskipする時間』×『てのひらに眠るプラネタリウム』
シアターキューブリック
ザ・ポケット(東京都)
2013/02/08 (金) ~ 2013/02/17 (日)公演終了
満足度★★★★★
戻せない時間の流れと取り戻せるものと
そして、二本立て公演、もう一方の演目の初日も観てきました。初演です。『宇宙をskipする時間』とはまた別のモチーフにのせて、戻せない時間の流れを見せてくれました。ただ、時間の流れは戻せないけれど、思い出せること、取り戻せることはあって、それがかけがえのないものだったりするよね、と語りかけてくる芝居でありました。『てのひらに眠るプラネタリウム』。なるほど、昔のドーナツ盤でいう両A面の二本だなと思います。
いのちのちQ
Q
さくらWORKS<関内>(神奈川県)
2013/02/08 (金) ~ 2013/02/11 (月)公演終了
満足度★★★★
分かりやすく、おもしろく、深く広がる
「Q」3度目の観劇、今回の作品が一番とっつきやすかったかも
しれません。
そのわかりやすさをベースとして
き出される世界の広がり方に目を瞠る。
作り手の独自の切り口から垣間見えるものに
深く惹き込まれてしまいました。
観終わっても、何か幾重にもほどけての気づきがあって。
じわっと、とてつもなく、面白かったです。
ネタバレBOX
ほぼ、開場と同時に入場。
すでに舞台には二人の役者たちがいて
空間の密度を感じる。
繫がれてずっとそこにある上手の女性、
時折出入りをしながら
椅子に立ちポーズをとり続ける下手の女性。
舞台装置、そして映像・・・。
その時点では役者たちが何を描こうとしているのか分からず、
でも、次第にその風景に目が馴染み空間に導かれていく。
そして、開演して、
世界が観る側に伝わってくると、
開演前からの風景に鮮やかなリアリティが宿る。
家と庭、飼われている犬たちの姿・・・。
思わず得心してしまう。
登場人物というか登場犬たちが、
ステレオタイプなミミックではなく、
身体を豊かに使った、 その印象や想いの精緻な表現のくみ上げで
描かれて。
だから、ロールに表されるものに
観る側の犬の概念を超えた自由さがあり、
切り取られる事象にも、
作り手ならではの視座がすっと乗せられていく。
で、その犬たちへの常ならぬ切り口だけでも、
観る側にはとても鮮やかなのですが、
作品としては、それがベースとなって、
様々な広がりが作りこまれていきます。
雑種犬と、
一人二役で演じられる
泥棒した自転車でバイト先への通勤に使うような女性のリアリティが、
どこかルーズに、でもあからさまに重ねられて。
シンクロするその強さや、
何かを閉ざしたような恣意的な鈍感さ、
客観的な存在感と裏腹な結構波乱万丈な人生、
そして達観。
部屋の中に暮らす犬たちや
人間の酔っ払いとの寿司を介しての関係からも、
どこか淡々と、でも幾重にもくっきりとほどけていく暗喩があって、
その日常や、人(犬)生のありようや、死への感覚が
輪廻転生の世界にまで歩みをすすめて。
それぞれの今の肌触りと、命というか生きて死することへの感覚が、
複眼で眺める立体感や質感を醸し、
ロール(達)の存在に新たな座標軸を組み上げていくのです。
血統書付、コンテストチャンピオンのヨークシャテリア雌の
気品の裏側にある憂鬱や
八景島シーパラダイスへのあこがれも、
その妄想に音と映像つきの絶妙なイメージの作りこみまであって
突き抜けておもしろいのですが、
でも、そこから更に描かれる、
ありふれた生活に取り込まれることでの、
進化への夢や、テレビからやってくる幻想の顛末には
そのウィットと表裏をなすダルなビターさが心に残る。
安穏とした生活の中でさりげなく語られる
何億世代の先の進化のセリフに浮かぶ夢の残滓の在り様が
身ごもった彼女の印象をすっと広げたりも・・・。
そこには雑種犬とは異なる、
今の血の受け継がれていくものへの眺望が生まれ、
ふっと観る側を立ちすくませる。
同じく血統書付きのヨークシャテリア雄には、
作り手の女性目線によるデフォルメを感じたりもしつつ、
同じくコンテストチャンピオンというキャリアとは裏腹の、
なんというか雌の癇に触るような駄目さや、
雄というか男が普通に陥る生活や価値観のありがち感、
表見の愚かさや、その自らへの寛容さや、幼稚さ
でも雌にとって無視しえない存在感なども
しなやかに描き込まれていて、
その、観察力にぞくっとくる。
ペキニーズ犬のひ弱さや、不器用さや、
雑種犬への憧憬も、
よく描き込まれていて、
世界に異なる厚みを醸し出す。
その最期への、他の犬たちの反応や、
新たに連れてこられた同種の犬に照らし出す、
他の犬たちの立ち位置があって、
物語にさらなる深さが導かれて。
作り手独自の視点と、創意と、ウィットと、
役者たちの身体をしっかりと使った表現のキレが編み上げる、
シーンごとの面白さとその重なりに、
次第に圧倒されていく。
刹那の表現にはエッジがありつつ、
物語のすべてが、理詰めでかっちりと繫がれ、
組み上げられていないことも、
描かれるものにさらなる見晴らしを生み出していて、
作り手の観る側に視野を与えるセンスのようなものにも
取り込まれて。
終演時には、
ブリーダーの家と、その前を盗んだ自転車で通り過ぎる女性の日常から、
命のありようや、さらにはその連綿とした繰り返しと進化にまで繫がる
作り手ならではの切り出し方での世界の風景に
深く囚われておりました。
それも、観終わってしばらくは、
世界観というか、
ひとつの作品の印象として束ねられているのだれど、
会場を出て、なんとはなしに思い返していくうちに、
内包されていた様々な寓意が更に解けてきて。
作品全体にとどまらず、
そこに編み込まれたものの一つずつの切り口や表現の秀逸さに気付き
改めて舌を巻く
また、振り返ると、この作品には、
さらに作り手が自由に創意を織り込むための
スペースが存在するようにも思えて・・・。
観る方の嗜好によって、好き嫌いが出やすい作品かもですが、
私には、企みに満ちたとてもふくよかな舞台でありました。
ソラオの世界
キティエンターテインメント
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2013/02/09 (土) ~ 2013/02/17 (日)公演終了
満足度★★★★★
綺麗!
舞台美術が素敵でした。
ネタバレBOX
とにかく綺麗で美しい舞台美術でした。背景に映像を映し込んで場所を転換させるようなまやかしではなく、本物の舞台装置を素早く移動させ、そこに光を当てたり暗闇を利用したりして美しく表現していました。
黒子さんを使った表現も素敵でした。音符の♪は全て下向きだったような気もしましたが、空中を浮遊する小人のような人たち、人魚、巨鳥、ちょっとしたアイデアですが効果的でした。
強行に実施された脳波調査の実験で完全にオチたソラオはある意味理想郷でもある夢の中をさまよいます。そんなソラオを現実に引き戻すため、正しい先生と仲間たちがソラオの夢の世界に入って救い出す大冒険スペクタル。
2009年5月の初演のときは、その前日にアリス物を観たこともあって、アリス的な夢の世界に辟易した記憶がありますが、今回は舞台美術の美しさもあって素直に受け入れることができました。
彼女がいて、バンドも成功している夢の世界、そこから戻ったソラオですが、タイムマシーンじゃないから現実は何も変わってはいません。しかし、仲間の大切さを知り、真剣に音楽に向き合うようになり、バンドのメジャーデビューも間近かなといったところまで進んだソラオでした。
あなたは闇の訪問者?
演劇部隊Chatter Gang
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2013/02/06 (水) ~ 2013/02/11 (月)公演終了
満足度★★★★
ありえないけど
普通に芝居を楽しめた。最後のシーンが好みで,これで物語の様相が一気に締まったような気がしたが,謎も多く残してしまった。やっぱり,あり得ない話。
ネタバレBOX
時系列を追っていくと,どこから「見て」いたのかっていう矛盾を感じてしまうし,そもそもの目的は?スタートは?って,思ってしまう。
君ゆきて 月に叢雲 花に風 【ご来場誠にありがとうございました!】
ラフメーカー
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2013/02/05 (火) ~ 2013/02/10 (日)公演終了
満足度★★★★
ラフメーカー初観劇
初めてのラフメーカー公演。内容の濃い内容でした。また笑えるシーンもあって良かったです。
Late Chocolate
7contents
上野ストアハウス(東京都)
2013/02/06 (水) ~ 2013/02/13 (水)公演終了
満足度★★
中途半端も味のうち
物語中盤で起こるどんでん返し・・・衝撃的な展開であります。
後は、登場人物の機微を楽しみましょう。
中途半端な感じも味のうちです。
君ゆきて 月に叢雲 花に風 【ご来場誠にありがとうございました!】
ラフメーカー
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2013/02/05 (火) ~ 2013/02/10 (日)公演終了
満足度★★★★
心地よさ…
青春の1ページと小説をうまくリンクさせて、取り立てて大きな出来事があるわけではないのですが、後味の良いお芝居でした。
ネタバレBOX
基本的に現在の喫茶店と学生時代の部室のシーンをいったりきたりするのですが、自動で転換するのはいいのですが、回数が多かったので、ステージを2分割してみせるのを混ぜたりなど、ひと工夫が欲しかったところです
バイオハザードカフェで朝食を
(株)エクセリング
俳優座劇場(東京都)
2013/02/05 (火) ~ 2013/02/10 (日)公演終了
満足度★★
言うべきことなし
シナリオは定石通り。もっと工夫が欲しい。余りに凡庸である。客の質も低い。客電の落ちた後、携帯画面を光らしている連中の多いこと。上演中、下らないおしゃべりの多いこと。それで満足できる客が行けばよい。
『ANARCHIST』アナーキスト
anarchy film
新宿アシベ会館B1(東京都)
2013/02/09 (土) ~ 2013/02/17 (日)公演終了
満足度★★★
更に思想を身体化してほしい
掴みは、中々工夫を凝らしており、寺山 修司の手法を彷彿とさせる。
ネタバレBOX
だが、その後、その創造的発展というより、知の武装によるイメージの変容を伴わない方向に流れた感がある。パトスに取り込まれてしまったか。寺山がパトスをその鋭いメスによって切開し、イマージュの虚妄を剥ぎ取って、シュールな世界を見せたような手際は感じられない。メスの側に立ったのではなくて、切開される側のセンチメンタリズムに立脚しようとしたことが、敗北の原因だろう。
一応、二幕形式になっているのだが、時間の断絶とか空間の隔たりとか、二幕物にする必然は感じられなかった。むしろ、一幕では、曲がりなりにも革命を標榜していたのだが、上記の理由で敗北主義的にならざるを得ず、小市民の価値観に納得しようと変節する、後ろ向きに進んでゆく個人に焦点を当てようとした点が、異なるといえば異なった主な点である。であるならば、もっと対立を先鋭化しても良かった。
それなりに勉強はしているようだが、思想を自分のものとして消化していない。もう少し、思想の身体化をする必要があるように思う。
新たなチャレンジに期待する。
ごんべい~大阪冬の陣~
ゲキバカ
HEP HALL(大阪府)
2013/02/08 (金) ~ 2013/02/11 (月)公演終了
満足度★★★★★
魅せます。
すごいよかったです。ここで魅せる。ここでも、ここでもと・・・。
アドリブなのか、それともこれも演出?というところも、おもしろかったです。
HPの動画で、ちょこっと予習しましたが、全然ぜんぜん、実際の舞台の方が何十倍何百倍、魅せてくれました。
前説から3時間弱、あっという間でした。
カキさん、最高です。
ネタバレBOX
続きからのエンディングは、何が起こるのと期待したけど、まといふりがなければ普通に想像できたその後で、よかったよかったが、なんかあるの?と盛り上がった気持ちを次の期待待ちにしてしまった感ありでした。
でも、5つ☆じゃ足りないくらい、満足でした。
IN HER TWENTIES 2013
TOKYO PLAYERS COLLECTION
インディペンデントシアターOji(東京都)
2013/02/06 (水) ~ 2013/02/11 (月)公演終了
満足度★★★★
女優10人による一人芝居
アイディアは面白いかと。
ネタバレBOX
1人の女性を10人の女優が演じる。
昨日20歳になったばかりの自分がいて、
明日30歳になるという自分がいて、
21歳から29歳まで、それぞれの歳の自分がいる。
そしてそれぞれが自分の起こった出来事を物語る。
アイディアとしては面白いけれど。
結局10人の女優による一人芝居という感じ。
一人芝居って、ぼくはダメみたいなんです。
体が拒絶しているみたいで、途中から何を話しているのか聞き取ることができなくなって。
ところがクライマックスのシーンになると、不思議とうるうるさせられて。
いや、これホントかなあ。嘘なんじゃないのかなあ。
こういうので泣けるんだなあ。不思議。
と思いつつ。
冒頭のシーンとか合間のシーンで、ガーリートークがありました。
あれ、気持ち悪かった。
気持ち的には引いてました。どうしてでしょうね?
本物のガーリートークじゃないからでしょうか。
頑張ってガーリートーク風にしてる!みたいなのが見えたからなのか。
ガーリートーク自体に引くものがあるからなのかもしれないし。
年齢の差をもっと感じさせるとか、演劇的な要素をもっと追加してもよかったのでは。
ふう。偉そうでスンマセン。
物語の内容も薄いように感じた。
一生懸命やっていたトランペットの話と、それ以外は恋愛の話。
こいつの頭のなかには男しかないのかという感じ。
それでもクライマックスで泣かされたのは。
20台前半で頑張っていたトランペットを途中で諦めた。
それを30歳目前の自分が眺めている。
そんな風景が、舞台上に見えたからなんだと思う。
不思議な演出だったのは、二人が違う場所で違う人と会話してるんだけど、二人が話しているような見えるようにしたこと。会話としても、噛み合ってるような、噛み合ってないような。微妙な線を行ったり。
面白いなあと思った。でも、、、なんというか、それだけなんだよな。
ひゅー。ゴメンナサイ。
ものすごく期待して観に行ってしまったせいで、逆に辛口になってしまったようです。
東京コンバット2013
ハム・トンクス
ザ・スズナリ(東京都)
2013/02/05 (火) ~ 2013/02/11 (月)公演終了
満足度★★★
ちょっと間が・・・
楽しめた。が、ちょっと長かった。
ネタバレBOX
当日パンフの中で宮本氏は「舞台を面白くするのは台詞ではなく〈間〉だと、信じている。」と話す。私も、芝居に限らず笑いは間だ、と長らく信じている。それに照らすと、今作に登場する軍曹(山崎清介)は「間がない」という意味で緊張感あふれる舞台を対極まで弛緩させ笑いをもたらしてくれる。このナンセンスさは宮本作品の醍醐味だ。また前半でアクセントをつけているのは川上(宮崎敏行)の存在だ。こちらはなんともいえない「間の悪さ」だ。爆笑ではなくクスクス笑いといったところ。笑いの面でもう一人付け加えるならグランドカウボーイ(山口雅義)だ。彼のどこか惚けて投げやりな台詞回しは「相変わらずだなー」と嬉しくなった。さて、本編であるが東京と大阪の戦争が勃発するまでの経緯が描かれずいきなり戦場である。大阪軍が近くまで来ていないかと銃を構え息を潜める兵士たち。この後何回か繰り返されるこの無言のシーンは、緊迫感を出すための演出なのかもしれないが、どうも長く感じられて仕方なかった。映像であれば何とでもなるのだろうが(カット割りなどで)、舞台では(当然のことながら)全体が見渡せてしまうため、臨場感が出にくいのだ。それでも音響や終始薄暗い照明、ガンなどの小道具、本格的な衣装など随所に工夫が凝らされ、よりリアルな印象を与えている。そこがこの舞台を氏の作品でも人気作品にしている要因のひとつではないかと思う。あと気になったのはラストシーン。目を負傷したツバメが飛来するヘリの音に「東京のヘリの音はかっこいいだよな」(だったか?)というのだが、これは少し唐突な感じがした。それまで東京vs大阪の構図は、両者ともに相手の言葉を理解できないというシーンのみで、それぞれの土地への思い入れが語られるようなシーンがなかったのにラストでこの台詞というのは納得できない。(いつも観劇中に、作者はこの舞台の結末をどこに持っていくのかと考えてしまう。今回も途中で、この作品はラストが難しいだろうなと思ってはいたのだが。)まあ目が見えないところがミソだけど。全体としてシリアスとコメディのバランスがうまく保たれていて上質な娯楽作品に仕上がっている。が、私は宮本色が色濃いがコミカルなシーンが好みだ。ぜひ宮本氏の全編コメディの上演を期待したいものである。評価は3.5だが次回作に期待し、今回は3点に留める。
IN HER TWENTIES 2013
TOKYO PLAYERS COLLECTION
インディペンデントシアターOji(東京都)
2013/02/06 (水) ~ 2013/02/11 (月)公演終了
満足度★★★★★
振り返る優しい眼差し
TOKYO PLAYERS COLLECTION 『IN HER TWENTIES 2013』を王子小劇場で観る。
台本がよく練れているな、と思う。会話の妙。10人の女優が、一人の女の20〜29歳を演じるのだが、ビリー・ミリガンよろしく、それぞれのキャラが立っているのがよい。
「演劇的」な構成、シンプルな舞台セットと照明、正当な感じの音楽。若干お約束感はあるもの、正面から受けていて、綺麗に洗練されて、役者が活きてくる。ポストドラマ的とか、変にひねていない、真っ当な作品。
自分の20代を振り返ったり、デジャヴを味わったり、忘れていたものを思い出す、そんな80分。
全ての20代に、また、かつて20代だった大人に、心からの友情をこめて、お薦めします。
ミュージカル「熱帯男子」
オデッセー
こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)
2013/02/07 (木) ~ 2013/02/17 (日)公演終了
満足度★★★★
明るく爽やか
そこそこも入れて10人のイケメンにチョー可愛い岡本あずささん、緑の葉っぱに赤や黄色の花が散りばめられた舞台に映えていました。
ネタバレBOX
六本木でナンパされて、はるばる小笠原諸島の南に位置する池綿島まで連れてこられた一人の女性を巡って争奪戦が始まるのかと思いきや、難病の妹を持つ役場勤めのイケメンとあっさり恋仲になってしまいました。
他の9人も応援したりして、イケメンで他人への思いやりのある性格、何かちょっといい人過ぎませんかって感じもありました。
イケメンのお父さんと結婚したお母さんが生活面で苦労したので、自分は金持ちと結婚すると誓ってせっかく金持ちのフィアンセまで見付けたのに、結局はお母さんの遺伝でしょうか、イケメン好きで苦労する道を選んでしまいました。
ストーリー的には平凡でしたが、岡本あずささんが可愛かったので良かったです。
くじらのおなか
ぬいぐるみハンター
荻窪小劇場(東京都)
2013/02/08 (金) ~ 2013/02/10 (日)公演終了
満足度★★★
不発
「くじらのおなか」の方がおもしろかったんじゃないか?実際会場の笑いは前作に比べれば少なかったし「笑い」を抜きにしてもおもしろみが減じてた感あり。劇団力高めるための実験的(番外的)公演っぽさがあってそれに付き合わされたみたいでしっくりしない。
押忍!!ふんどし部!
キューブ
CBGKシブゲキ!!(東京都)
2013/02/06 (水) ~ 2013/02/11 (月)公演終了
満足度★★★★★
なるほどなるほど
イケメン揃いなのにここまでおバカが出来ていて、好印象。エンタメとしても、ミュージカルとしても青春グラフィティとしても成立している面白さ。
ネタバレBOX
本当にふんどし姿のクライマックスは目のやりどころに困るね。本当にふんどし一丁になるとは思ってもいませんで・・・
くじらのおなか
ぬいぐるみハンター
荻窪小劇場(東京都)
2013/02/08 (金) ~ 2013/02/10 (日)公演終了
満足度★★★★
原点は、ここに?
劇団純度100%、役者さん達の全力、ほとばしる60分。
冒頭から浅利さんの押し出しに腹を抱えていたら、さすがの神戸さんの浴びせ倒しに圧倒され、のけ反りました。
ストーリーは、相変わらず自由奔放ながらも巧みな見せ方で、所々に唸りました。そして、タイトルの完全無視は、潔し。
くだらないこだわりに、がむしゃらに立ち向かえる若さ、眩しくて羨ましかったです!
8月の本公演も、楽しみ~♪