東京コンバット2013 公演情報 ハム・トンクス「東京コンバット2013」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    ちょっと間が・・・
    楽しめた。が、ちょっと長かった。

    ネタバレBOX

    当日パンフの中で宮本氏は「舞台を面白くするのは台詞ではなく〈間〉だと、信じている。」と話す。私も、芝居に限らず笑いは間だ、と長らく信じている。それに照らすと、今作に登場する軍曹(山崎清介)は「間がない」という意味で緊張感あふれる舞台を対極まで弛緩させ笑いをもたらしてくれる。このナンセンスさは宮本作品の醍醐味だ。また前半でアクセントをつけているのは川上(宮崎敏行)の存在だ。こちらはなんともいえない「間の悪さ」だ。爆笑ではなくクスクス笑いといったところ。笑いの面でもう一人付け加えるならグランドカウボーイ(山口雅義)だ。彼のどこか惚けて投げやりな台詞回しは「相変わらずだなー」と嬉しくなった。さて、本編であるが東京と大阪の戦争が勃発するまでの経緯が描かれずいきなり戦場である。大阪軍が近くまで来ていないかと銃を構え息を潜める兵士たち。この後何回か繰り返されるこの無言のシーンは、緊迫感を出すための演出なのかもしれないが、どうも長く感じられて仕方なかった。映像であれば何とでもなるのだろうが(カット割りなどで)、舞台では(当然のことながら)全体が見渡せてしまうため、臨場感が出にくいのだ。それでも音響や終始薄暗い照明、ガンなどの小道具、本格的な衣装など随所に工夫が凝らされ、よりリアルな印象を与えている。そこがこの舞台を氏の作品でも人気作品にしている要因のひとつではないかと思う。あと気になったのはラストシーン。目を負傷したツバメが飛来するヘリの音に「東京のヘリの音はかっこいいだよな」(だったか?)というのだが、これは少し唐突な感じがした。それまで東京vs大阪の構図は、両者ともに相手の言葉を理解できないというシーンのみで、それぞれの土地への思い入れが語られるようなシーンがなかったのにラストでこの台詞というのは納得できない。(いつも観劇中に、作者はこの舞台の結末をどこに持っていくのかと考えてしまう。今回も途中で、この作品はラストが難しいだろうなと思ってはいたのだが。)まあ目が見えないところがミソだけど。全体としてシリアスとコメディのバランスがうまく保たれていて上質な娯楽作品に仕上がっている。が、私は宮本色が色濃いがコミカルなシーンが好みだ。ぜひ宮本氏の全編コメディの上演を期待したいものである。評価は3.5だが次回作に期待し、今回は3点に留める。

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    2013/02/10 02:01

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