最新の観てきた!クチコミ一覧

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送りの夏

送りの夏

東京演劇アンサンブル

すみだパークシアター倉(東京都)

2023/03/17 (金) ~ 2023/03/21 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/03/17 (金) 19:00

125分。休憩なし。

DOLL(ドール)

DOLL(ドール)

ちょっとはいしゃく

シアター・バビロンの流れのほとりにて(東京都)

2023/03/16 (木) ~ 2023/03/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/03/17 (金) 14:30

115分。休憩なし。

諸国を遍歴する二人の騎士の物語 風に吹かれてドンキホーテ 交互公演

諸国を遍歴する二人の騎士の物語 風に吹かれてドンキホーテ 交互公演

Pカンパニー

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2023/03/15 (水) ~ 2023/03/21 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

席に着いて「風に吹かれてドンキホーテ」の開演を待っていると制服を着た高校生が次々とやってくる。全部で男女10人ずつくらいになっただろうか。修学旅行なのか。私のときはグループサウンズを聴きに新宿のライブハウスに行ったものだ。それが別役実の不条理劇の観劇とは。「若いうちからこんなわけの分からないものを観ていてはろくな大人にならないぞ」と小言の一つも言ってやろうかと思っていたが、これが実に良く分かる芝居で、迷惑な高齢者にならずに済んだ。

交互上演の「諸国を遍歴する二人の騎士の物語」の方は“大人向け”ということでつかみどころが分からず「観てきた!」がずっと書けないでいる。こちらは“子供向け”ということで居間で寛ぐ夫婦が小ネタをかます最初から分かりやすい。そしてドンキホーテとなって旅に出て行く流れが実に良い。そこに歌と踊りが入って「注文の多い料理店」風のブラックなお話を明るく楽しく観せてくれる。いやあこの曲もギター伴奏もプロの技だ。歌と踊りは普通のおじさんおばさんのそれ(+アルファ)だが十分楽しめた。

バリモア

バリモア

無名塾

THEATRE1010(東京都)

2023/03/16 (木) ~ 2023/03/23 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

どこまでが台本のバリモアで、どこからが素の仲代なのか。老いを笑いのネタに客いじりも楽しむ姿に、90歳の名優の融通無碍の境地を見た。愛嬌が抜群にある。セリフ覚えには苦労したというが、セリフも妙に変な間ができて、つかえたのか、と思うと、何事もなく次のセリフが出てくる。そこもハラハラさせられた。

ネタバレBOX

最後はすっくと襟を正して、朗々とリチャードを演じて見せるのかと思ったが、逆だった。ハムレットと、リチャードに「世話になったな。もうお別れだ」と、王冠もかつらも取り、芝居に別れを告げる。「アダムにイブが渡したのがりんごでなく、酒だったらなあ」といいながら。
四兄弟

四兄弟

パラドックス定数

シアター風姿花伝(東京都)

2023/03/17 (金) ~ 2023/03/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

四兄弟による政治寓意劇。インテリの長男(小野ゆたか)は平等を目ざした理想主義、体育会系で短気な次男(西原誠吾)は武力を使った恐怖政治と戦争政策、機械職人の三男(井内勇希)は平和主義と人気取り政治、農民の四男(植村宏司)は経済成長第一と対外追随…のように見える。芝居はすべてごっこ遊びだ。そこにどれだけ観客を引き込む、身につまさせるリアリティーをもたせるか。今回は百年以上の歴史を、四兄弟の指導権交代劇に圧縮したので、リアリティーは二の次と言える。
でも、三男の@春だもんブラザーズ(春ブラ)のエンタメごっこは、客席の笑いが大きく、楽しんでいた。失脚した次男、四男が押入れ(?)に監禁(引きこもる)ユーモアも笑えた。兄たちが銅像になったり、人間に戻ったりを演じ分けるのも、舞台に変化ができてよかった。

ネタバレBOX

血の繋がった兄弟なので、モデルそのままではない。でもモデルはあるだろう。次男はポルポトかと思った。でも長男次男はソ連と思い、三男の平和主義からは日本かな?と。お金が第一の「海の向こうの国」は明らかにアメリカを指している。「海の向こうの国」の豊かさに圧倒された四男は、自分の新しいノートを書き始め、代々受け継いだ長男のノートを破り捨てる。

最後、銃を再び持った次男がひまわり畑に向かって「もう一度強く大きな国を俺の手で」と呟いて幕。これで、モデルが初めて全部わかった。それにしてもフルシチョフの「平和共存路線」を、銃を平和産業に持ち替えた「戦わない」平和主義と描かれると、わからなかった(他の人はすぐピンとくるのだろうか?)。フルシチョフ美化路線を戒められて教えられたからだろう。四男はペレストロイカで市場主義を導入しようとしたゴルバチョフになる。海の向こうの国・アメリカへの屈服政治と描いたのは、一面の真実である。でもあくまで一面に過ぎず、それも「一つの考え方」にすぎない。
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視点

座・高円寺1(東京都)

2023/03/15 (水) ~ 2023/03/21 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

#食む派
#冷やし中華いななき
#松本みゆき #江原パジャマ
#岩本えり #岡本篤
#波世側まる(敬称略)
C初回。
🎵冷やし中華〜始めました〜
百戦錬磨の腕利きの俳優が並び、とんでもない出来事の世界を真面目に生きる。
登場しないソノ人が無茶を言って、みんなが静かに合戦を繰り広げる。
決着がつくのかつかないのか。
塩を贈るのか贈らないのか。
贈るのは幟旗か、ポケットの中で握ったソレか。
考え得る最善の結末ハッピーエンド……に手を伸ばす作品は星の数ほど観てきたから、そんな夢物語は要らない。
人生は、実生活は、もっと苦く、モノトーンの、味のしなくなったガムを食むようなモノ。
ソレを届けてくれる作品は、食めば食むほど味わい深い。
いいモノを観たなぁ。
松本みゆきさんの嘘がホントに繋がる姿が堪らなく美しかった。

勝手な妄想だけれど、脳内では浅草の花やしきのあれやこれやが蘇った。

世界虚仮(セカイコケ)

世界虚仮(セカイコケ)

ゴツプロ!演劇部

小劇場 楽園(東京都)

2023/03/15 (水) ~ 2023/03/21 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

世間は仮うつろなもの。虚仮にまつわるオムニバス。で、唯◯是真は?ただ◯の世界のみ真実、の◯は提示されず。まさか、◯は印って事?あっ、印=蓄光テープか!

ヨブ呼んでるよ -Hey God, Job’s calling you!-

ヨブ呼んでるよ -Hey God, Job’s calling you!-

鳥公園

八王子市芸術文化会館いちょうホール(東京都)

2023/03/17 (金) ~ 2023/03/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度

一言で言えば、電車賃返せ!の出来である。
八王子市の公共芸術財団が、鳥公園の劇団主宰者を市に住まわせて緩やかな連帯関係の中で八王子で制作したという作品。昨年の秋に庭劇団ペニノが(吉祥寺シアター)で上演した関西で同じように地方の公共団体と組んだ「笑いの砦」が、出来もその後の展開も大成功だったのでこちらはどうだろうと見物に行った。
うまくいかなかった理由はいろいろ考えられる。まず、作者が八王子とどう関わって、その地の文化・生活とどう切り結んだかが全くわからない。芸術は違う、というだろうが、芸術をこう言う座組でやる以上、これでは食い逃げではないか。二つ目。作品の出来が良くない。青年団系らしく、グニャグニャとあちこちに甘えながらやるのは良いとしても、これではまるでチェルフィッチュの亜流で、幕が開いたとたんにチェルフィッチ流の演技があって、げんなりした。スタイルをまねるのは演劇では一つのやり方だが、チェルフィッチュガ考え抜かれているストーリーと演技スタイルなのに、こちらは上っ面しか見ていない。演技に統一性がない。三つ目。ストーリーが通俗すぎる。週刊誌並の話ではいくら気取ってやってみても、観客の胸に落ちていかない。作者が物事を見ている目が通俗すぎる。それは舞台作りにも顕れていて、手に負えなくなると大音響の音でごまかそうとしたり、意味なく天井からものを降らせたりする。さらに言えば、レジデンシャルアーティストというなら、この劇場で公演をやったことにも疑問がある。このスペースは地方公共団体のどこにもある市民ホールで、このように作り込みの必要な「演劇」を上演する場ではない。ここしかなかったのだろうから同情するが、このスペースがこの芝居に合わないことは、地元に人にしっかり説明できなくては共同制作にはならないだろう。この作品でも、下北澤かアゴラあたりの小劇場で見れば、青年団系劇団作品として見る観客もいて、評価は出てくるだろう。そういう作品の周囲をよく見る努力が、これから増えてくるであろう地方の公共団体のスポンサー作品には不可欠だと思う。入りも半分程度だったのは八王子の鑑賞能力が低いと言うことではない。

あげとーふ

あげとーふ

無名劇団

無名劇団アトリエ(大阪府)

2023/03/17 (金) ~ 2023/03/21 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

2023年3月17日(金)19:30の舞台を観賞しました。

高校の卒業旅行の名目でアメリカに向かう五人の男子高校生を主軸に進むストーリーはエネルギッシュです😊

ホロ馬車ツアーを途中下車した五人は和気あいあいしているものの、何処か将来への不安やアイデンティティに悩む等身大の姿を見せながら進んでいく舞台は愉快でありながらも少し切ないです😢

五人の中に忍び寄るネイティブアメリカンの妖精はシュールな笑いを誘いました😁

進路や不安を抱えながらぶつかる五人を観れて良かったです。

零れ落ちて、朝

零れ落ちて、朝

世界劇団

THEATRE E9 KYOTO(京都府)

2023/03/17 (金) ~ 2023/03/19 (日)公演終了

満足度★★★★

女医が作演の作品
個人的に作風が好きで、関西でやる時は必ず観てる
今回は女性二人男性一人で立場を変えながら、人体実験の正当性を問うていくのだが…
色がポイントとなっていて、赤色だったらまた違う感じがするかもだけど、あの二色がしっくりくる作品


 

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視点

座・高円寺1(東京都)

2023/03/15 (水) ~ 2023/03/21 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

四チームのうち、唯一土日祝公演のないABチームを観てきました。にこにこちゃんは高畑さん出てるし篠原さんぽい人も出てたのでほぼナカゴーでした。
エレファントムーンは一度みたことがあると思うけどこんな感じだった気もします。
普段は今日の舞台の半分位のスベースに舞台・客席があるような芝居にしか出ない?カトちゃんが広い舞台に出ていて珍しいな、さすがチラベルトだなと思いました。

幸福論

幸福論

wonder×works

新宿シアタートップス(東京都)

2023/03/15 (水) ~ 2023/03/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

面白かったです。
考えさせられるストーリーと役者さん達の熱演で、どんどん惹き込まれました。
何が幸せなのかは、一人ひとり違うと思いますが、良い方向に進んでほしいと願いながら観ました。
観劇中も観劇後も、何が幸せなのか?何が正解なのか?と、ずっと考えてしまいました。
作り込まれた舞台セットや音響も素晴らしかったです。
良い舞台でした!

時の物置

時の物置

言葉のアリア

テアトルBONBON(東京都)

2023/03/16 (木) ~ 2023/03/21 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

敢て違和感抱くオーバーアクション風で骨太な脚本を見せた演出作品。
意図に答えた役者さん達が素晴らしかったです。
好みが極端に左右する芝居も劇団の解散公演だとか。
お時間ある方はぜひ

ALIEN MIRROR BALLISM

ALIEN MIRROR BALLISM

岩渕貞太 身体地図

吉祥寺シアター(東京都)

2023/03/16 (木) ~ 2023/03/18 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

WBCの準々決勝で日本中が熱狂する中、コンテンポラリー・ダンスの聖地(?)、吉祥寺シアターもチケット完売で盛り上がっていた。

額田大志(ぬかたまさし)氏が下手で電子ドラムを使ってビートを構築。上手の渡健人氏はドラムでリズムを刻む。
そこに登場する5人のダンサー、その舞踏がメロディーを奏でる。タイムマシンで20年後の日本に行くと『モーニング娘。'43』をやっていて、「今こんなふうになってんだ」と衝撃を受けるようなLIVE。

CHICAGOの名曲「Street Player」を思わせるAOR。YMOから
小室哲哉、ジョルジオ・モロダーの『メトロポリス』のように、うねるビートが心地良い。クライマックスでは渡健人氏が下手にやって来て二人並んでドラムを叩く。PiLの傑作アルバム『フラワーズ・オブ・ロマンス』のマーティン・アトキンスを彷彿とさせるビートの地響き。

入手杏奈さん、若々しい新人だと思ったらガチガチのベテランだった。手脚がやたら長く目立つ。
北川結(ゆう)さんのベロ出しダンスは『寄生獣』っぽい。ベロに引っ張られているように踊る。
涌田悠(はるか)さんはインド舞踊風味。
中村理(まさし)氏はジャニーズのミュージカルを思わせる華のある動き。『忍者武芸帖 百地三太夫』での真田広之のジャズダンスを想起。
辻田暁さんが胡坐をかき、アフリカ部族のシャーマンのように唸り始めると、降霊した動物霊が皆に取り憑いていく。

いよいよ主催の岩渕貞太氏の登場。イケメンの土方巽のような雰囲気。覗く上半身はまるでヨガの行者、片岡鶴太郎的。
「こんばんは、こんばんは」と挨拶をすると今作についての解説を始める。
「内臓と心は直結している」
「(舞踏の)輪郭は描かなくてもそもそも備わっているもので、体内のアメーバを外部へ向けて不定形に放出していくこと」
ベロを垂らして踊り出す。

日本の祭礼の踊りを感じさせる群舞。日本の祭礼は神を祀る表現として“笑い”を多用する。自虐的なものなのか日本独特の感性。日本最古の踊り子、天鈿女命(あめのうずめのみこと)が八百万の神々と共に笑ひゑらぐ姿。天の岩戸の前で胸をはだけ陰部を露出、シャーマニズムとトランス、笑いと狂気。神の心を楽しませ和らげるものとして始まった神楽、神遊び。そんな原初的衝動についてまで考えが広がる。

ゲズントハイト ~お元気で~

ゲズントハイト ~お元気で~

ナイスコンプレックス

あうるすぽっと(東京都)

2023/03/16 (木) ~ 2023/03/21 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

名実共にウルトラヒーローの南翔太さん演じるお父さんが良かったです。お母さんの存在が中途半端な気はしましたが。
明るく自分の運命と向き合う少女。そこへ達するまでの境地を思うと泣けました。
18日の日替わりゲストの山口君も楽しみです。

ファンタスマゴリ2

ファンタスマゴリ2

ガラ劇

シアターシャイン(東京都)

2023/03/15 (水) ~ 2023/03/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2023/03/16 (木) 14:00

初見のユニット。吉水雪乃・四宮菜々子出演のCチーム『最北の街で』を観た。75分。
 実在の、最北の街にあるスヴァールバル諸島の世界種子貯蔵庫、を舞台にした近未来ドラマとでも言おうか。2人ずつ3グループ出てきた6人が絡み合う終盤への展開も興味深いのだけれど、テンポが私のテイストではなくて、ちょっと冗長感がある。セリフ回しも役者毎の個性が今一つ際立たないのが勿体ないが、物語の視点は面白い。推しの吉水・四宮はそれぞれの役割をしっかりと演じ、2人が絡むシーンも楽しく観た。

since 1991

since 1991

ジグジグ・ストロングシープス・グランドロマン

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)

2023/03/15 (水) ~ 2023/03/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

GRチームの初日を観劇。
役者さんが違うだけで全く別の舞台になってるのに驚きました。
各年代別による演劇あるある。
長く観劇してる人には頷く場面が多いのではないでしょうか。
19日まで。
お時間ある方はぜひ。

ファンタスマゴリ2

ファンタスマゴリ2

ガラ劇

シアターシャイン(東京都)

2023/03/15 (水) ~ 2023/03/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

価格3,500円

観る作品の順番で感じ方が変わりそうです。
三作品とも間違いなく楽しめる。

ネタバレBOX

Aはやさしいガラ劇
ガラ劇風人情劇。刺さる年代には刺さるネタが多くてクスッと笑えて最後はちょっと泣きそうになる。
アナウンスはきちんとありましたが劇中、真っ暗になる時間が思っていたより長くて全然怖い作品じゃないのに不安になりました。
Bはザ・ガラ劇
これが観たかった!ラストまでの追い上げがエグい!終始、釘付けでした。
Cはガラ林
言葉あそび多めで台詞が文字として浮かび上がってくるように感じました。
世界虚仮(セカイコケ)

世界虚仮(セカイコケ)

ゴツプロ!演劇部

小劇場 楽園(東京都)

2023/03/15 (水) ~ 2023/03/21 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/03/16 (木) 14:00

面白いアイデアのオンパレード

ネタバレBOX

上演資金をヘルプしてくれたお店の宣伝を役者が生で行なうなんて、お店からしたらこんなに嬉しいことはないでしょう。こういうのは初めて見ました。印象にも残ります。 作品本番も脚本が全然書けてない作家のマインドトリップのような内容で、岩盤サウナ(?)のシーンは気持ちよさが客席にもじ〜んと伝わってきました。
橋の上で

橋の上で

タテヨコ企画

小劇場B1(東京都)

2023/03/08 (水) ~ 2023/03/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/03/08 (水)

世間の耳目を集めた事件を総括し未来を見据える討論劇

 新型コロナウイルスの流行前から日本社会が直面してきた諸問題について、少し先の3年後の時点から先取りして観客に提起する意欲作である。

ネタバレBOX

 2026年3月、地方新聞「北部新聞社」生活文化部の若手記者・能瀬美音(いまい彩乃)は、20年前に発生し全国的な注目を集めた「藤平町児童殺人事件」についての企画を提出する。デスクの宍倉勝雄(今村裕次郎)はくらしのニュース向きではないと取り合おうとしないが、偶然部を訪れ当時社会部で宍倉と一緒にこの事件を取材し苦い思い出を持つフリージャーナリストの潟上一穂(舘智子)の後押しを受け、能勢は事件のあらましと企画の意図を同僚たちに披露していく。

 2006年4月、33歳のシングルマザー藤井あかり(リサリーサ)は9歳の娘雫を橋の上で見失う。懸命の捜索もむなしく、翌日川の下流で雫の遺体が発見される。母の真由美(仲坪由紀子)や友人の山本直子(ミレナ)に支えられながらなんとか正気を保とうとしていたあかりだが、雫の事件後の行動について情報を募るビラを撒いたことを刑事に咎められ、地域住民からも奇異な目で見られてしまう。翌月に今度は藤井家と同じ団地に住み雫の友人でもあった7歳の男児・里村尊の遺体が見つかり、尊の両親は尊の失踪後の不可解な行動からあかりが犯人ではないかと疑念を抱くようになる。やがてこの事件は全国から注目を集め藤井家はマスコミの餌食となってしまう。

 男児殺害事件から3週間後に警察から任意同行を求められたあかりは長時間の取り調べのなかで尊の殺害を認め逮捕される。その後の裁判では検察側と弁護側双方による事件の検証やあかりの精神鑑定が行われ、その過程で明らかになるあかりのこれまでの来し方に我々観客は目を奪われる。学校でのいじめや父親の虐待と母親へのDV、予期せぬ妊娠と出産、奔放な男性遍歴、次第に錯乱していく精神状態、そして起こった悲劇……若手ジャーナリストが20年前に起きた事件を総括するなかで、シングルマザーの家庭が置かれた過酷な境遇や社会的包摂の欠如、マスメディアや警察、司法の問題など現代社会の諸問題をあぶり出していく。 

 本作は実際の事件に着想を得、関連文献にあたり劇化した労作である。虐待やDVの描写が含まれているため事前のアナウンスはあったほうがよかったようには思うが、2時間近く飽きさせずグイグイ引っ張っていく作・演出の青木柳葉魚の手腕は大したものである。ジャーナリストの議論劇として始まり、事件推理や裁判劇、そしてある女性の悲劇など、さまざまなジャンルに分類できそうな内容がひとつにまとまっていて感心した。

 俳優たちは自分の持ち役以外にもマスコミや地域住民、警察や教師など何役かを兼ね、舞台の上に複数の時系列を交錯させ厚みを持たせることに成功していた。特に恵まれない環境のなか奮闘する芯の強さと精神的な脆さを併せ持つあかりを演じたリサリーサや、ベテランジャーナリストと朴訥な精神鑑定医を演じ分けた舘智子の達者さ、能勢に他所の縄張りを踏み荒らすような企画を出す奴と難癖をつけた社会部デスクや、警察発表に楯突いたマスコミに癇癪を起こす副署長、女性的な仕草で藤井家を噂する地域住民などを演じ分けた西山竜一の幅の広さが印象に残っている。初日の客席を埋めた男性を中心とした熱心なファンが、俳優の芝居に積極的に反応していた様子も忘れがたい。

 また俳優自身がコの字型の白い木製の台を移動させ、あるときは事件現場の橋、あるときは新聞社のデスクに見立ててといった展開もうまい(舞台美術=濱崎賢二)。シンプルだがアクティブな空間設計で、大きな空間とは言い難い小劇場B1が実に広々と見えた。

 他方で2006年と26年の二つの時系列の結末に置かれている最大の問い――「子どもたちの悲劇はなぜ起きてしまったのか?」「はたして能瀬の企画は採用されるのか?」――の答え、つまり物語の行きつく先がある程度予測できるため、スリリングな展開に至るまでにはならなかった点は残念であった。2006年のパートは実際の事件を元にしているため難しいのかもしれないが、ただ再現ドラマを見ているように感じてしまった。また2026年のパートは物分りがいい記者ばかりでなく能瀬の企画を強く否定する人物を造形するなどして能瀬が奮闘する様子をより緊密に描いてほしいと感じた。くわえて藤井家の複雑さやマスメディアの功罪を描くことに成功していたものの、警察や司法制度は一面的な描かれ方であったため図式的になってしまった点は残念に感じた。

 熱意が実りデジタル版の企画として採用が決まると、能瀬は夜を徹して記事の執筆に勤しむ。潟上から当時の取材ノートを託され奮起した能瀬は、ふと仕事場に差した月明かりを見つめ、それを服役中のあかりがどこか別の場所から見つめる、という場面で幕が下りる。終盤までの熱気が嘘のような静かなエンディングは少し物足りない。欲を言えば能瀬とあかりが相まみえる様子を見てみたいと感じた。

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