四兄弟 公演情報 パラドックス定数「四兄弟」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    四兄弟による政治寓意劇。インテリの長男(小野ゆたか)は平等を目ざした理想主義、体育会系で短気な次男(西原誠吾)は武力を使った恐怖政治と戦争政策、機械職人の三男(井内勇希)は平和主義と人気取り政治、農民の四男(植村宏司)は経済成長第一と対外追随…のように見える。芝居はすべてごっこ遊びだ。そこにどれだけ観客を引き込む、身につまさせるリアリティーをもたせるか。今回は百年以上の歴史を、四兄弟の指導権交代劇に圧縮したので、リアリティーは二の次と言える。
    でも、三男の@春だもんブラザーズ(春ブラ)のエンタメごっこは、客席の笑いが大きく、楽しんでいた。失脚した次男、四男が押入れ(?)に監禁(引きこもる)ユーモアも笑えた。兄たちが銅像になったり、人間に戻ったりを演じ分けるのも、舞台に変化ができてよかった。

    ネタバレBOX

    血の繋がった兄弟なので、モデルそのままではない。でもモデルはあるだろう。次男はポルポトかと思った。でも長男次男はソ連と思い、三男の平和主義からは日本かな?と。お金が第一の「海の向こうの国」は明らかにアメリカを指している。「海の向こうの国」の豊かさに圧倒された四男は、自分の新しいノートを書き始め、代々受け継いだ長男のノートを破り捨てる。

    最後、銃を再び持った次男がひまわり畑に向かって「もう一度強く大きな国を俺の手で」と呟いて幕。これで、モデルが初めて全部わかった。それにしてもフルシチョフの「平和共存路線」を、銃を平和産業に持ち替えた「戦わない」平和主義と描かれると、わからなかった(他の人はすぐピンとくるのだろうか?)。フルシチョフ美化路線を戒められて教えられたからだろう。四男はペレストロイカで市場主義を導入しようとしたゴルバチョフになる。海の向こうの国・アメリカへの屈服政治と描いたのは、一面の真実である。でもあくまで一面に過ぎず、それも「一つの考え方」にすぎない。

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    2023/03/17 22:53

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