
七人の墓友
ラッパ屋
紀伊國屋ホール(東京都)
2024/06/22 (土) ~ 2024/06/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/06/22 (土) 14:00
座席1階
かつて別の劇団で上演されたこの演目を見たが、やはり本家のラッパ屋の芝居だ。数多く散りばめられている珠玉のせりふを、客演を含めた座組が自然体で語っていく。この胸に刺さるせりふたちを家に帰って味わい直すために、物販コーナーで台本を買うといいかもしれない。
この台本が書かれた10年前よりも、今はお墓や関する世間の意識は大きく変わり、友人同士で樹木葬をしたり、散骨したりするという「墓を持たない」あり方が多様化してきた。葬式も親戚一族郎党ではなく、ごく小さな身内に友人を加えたコンパクトな葬儀が主流となってきた。
それは、本家とか長男とかという「家」の存在が希薄になってきたからであり、家族のあり方が多様化してきたからだ。この芝居でも登場するが、特に近年はLGBTQへの理解が広まり、性別を超えて家族を持つ考え方に違和感がなくなってきた。この芝居は、世間の風を敏感に受け止めて書かれたものだと分かる。
登場する群像のうち、「家」の象徴であるお父さんは亭主関白で、男は妻や子どもたちのために働き、妻は夫に従って家族を支えるのが当然という考えに凝り固まっている。妻は理不尽なことに不満をためながらも夫に従ってきた。だが、子どもたちは違う。かろうじて長男は家族を持って孫を連れてくるなどしているが、次男はアメリカに行ってゲイの同居人を連れてくる、長女は40歳近くになっても独身で会社の上司と不倫している、という人生。お父さんのせりふには、昭和の時代では当然のように連発されたが今では「不適切」な言葉が飛び出してくる。台本が書かれてから10年、世の中が急速に回転していることもよく分かる。
15分の休憩を挟んで2時間半の上演時間だが、一気に突っ走った方がよかったかもしれない。演出はラッパ屋らしく手作り感あふれる温かな感じで好感が持てる。それよりも何も、登場人物の多くがさりげなく語る珠玉のせりふが、とにかく胸に刺さる。もう一度、客席に足を運んで堪能したい芝居である。

ワーニャ伯父さん×母がいた書斎
S.H.Produce
阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)
2024/06/19 (水) ~ 2024/06/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
朗読劇は初めての体験でしだか、おもしろい
目をつぶって聴いてると景色や場面が浮かんで来て引き込まれた
役者さんの声…全員,素敵
背中を押せる親でいたいと思いました

舞台#002 6月の午後には
ナンカダレカ
新宿ファンタジーホール(東京都)
2024/06/19 (水) ~ 2024/06/22 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
3本の短編。どれもこう来たか。という新鮮な感じで拝見しました。内容的にはシュールですが、言うほど重くならずに見られて、とてもよかったです。人の心の裏表、内外が垣間見られたような剃んな感想を持ちました。また、見てみたい団体さんになりました。

キネカメモリア
SPIRAL MOON
「劇」小劇場(東京都)
2024/06/19 (水) ~ 2024/06/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
金曜夜拝見しました。いつもですが、とにかく役者の皆さんの演技が素晴らしい。今回も映画館のセットの中、心情溢れるお話、堪能しました。とても面白かったし、優しいいい時間を過ごせました。良い芝居でした。

恋々、レヴェリー/きもちななめ
劇団カオス
大阪公立大学杉本キャンパス旧教養地区第1学生ホール(北食堂)2階オアシス(大阪府)
2024/06/22 (土) ~ 2024/06/23 (日)公演終了
満足度★★★★
大学劇団の恋愛演劇といえばこの劇団 恋愛漫画家と編集者の登場からはじまり、二話のオムニバスを上手くまとめたのはとても良かった。
明日はこれとはまた違う演目らしい

Port -見えない町の話をしよう-
早坂彩 トレモロ
ウイングフィールド(大阪府)
2024/06/21 (金) ~ 2024/06/23 (日)公演終了

ラスボス前にもう一杯
猿博打
スタジオ空洞(東京都)
2024/06/21 (金) ~ 2024/06/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/06/21 (金) 19:30
お気に入り劇団の新作。やはり面白い。3人のコンビネーションが素晴らしい。82分。
RPGの世界で、勇者と武闘家と賢者がラスボスの門の前で、一休みして呑み会を始め、それまでの旅を思い返す内に、…の物語。荒唐無稽な展開だが、とにかく3人の演技力とコンビネーションが見事で、笑いつつ見入ってしまうのが本劇団の特徴。ゲームはやらない私だが、それでも想像できる範囲で収まっていて、楽しく観た。

キネカメモリア
SPIRAL MOON
「劇」小劇場(東京都)
2024/06/19 (水) ~ 2024/06/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
6/21夜の公演を堪能しました。昭和レトロの舞台装置で繰り広げられる「昭和の常識・令和の非常識」、どこか懐かしく、最後は「ほろっと」させられました。

水彩画
劇団普通
すみだパークギャラリーささや(東京都)
2024/06/17 (月) ~ 2024/06/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
今回も茨城弁の日常風景を切り取った会話劇。堪能した。
おなじみ用松亮と坂倉なつこ(奈津子改め)の夫婦役コンビに、娘(安川まり)とその婿(浅倉浩介)がまた「らしい」。
同じカフェスペースを訪れ隣のテーブルに陣取るカップル(伊島空・青柳美希)も、地元で結婚を控えた風情で年代差もうまく出てる。
後者の話題が序盤は聞き取れず、両グループ同時進行とは言え(青年団のように)重なる事なく聞き取れるが、序盤での若者コンビの方の会話は四人組に比べると少々理解に難があった。中盤以降漸く会話とそこに込められた感情が見えてきた。
この二組同時進行の会話劇が、今回の試みであったが、まずまずであった。
古い夫婦像がモデルになっていると感じるが、2020年代の今も、ああいう感覚は生きているのだろうか。坂倉演じる母の「曲げなさ」が見物だし、用松父のあの感じ(うまく言えない。そういう領域を表現しているんである)も相変わらず良い。
地元で暮らして行けてる、という所で人物ら全員がとりあえずは生活の安定が約束されてる感があるのだが、今の時代シビアな経済面への言及が、(そういう問題を忘れる時間が有難いのも本音だが)リアルを穿つ劇としては、欲しい所。
地元で教師をやっていたのが黙っていなくなり、最近東京でNPO活動をやってる事が分った友人が、若者カップルの主な話題で、そのあたりで微かに触れてはいるのだが。

Port -見えない町の話をしよう-
早坂彩 トレモロ
ウイングフィールド(大阪府)
2024/06/21 (金) ~ 2024/06/23 (日)公演終了
満足度★★★★
二面舞台 四章構成で、過去リーディング作品を舞台化 一章は星(希望?)🌟 阪神大震災で停電になった町でみた星空 二章は港と喫茶店の閉店(死?) 三章は時代が変わり戦前の恋😌🌸💕(生まれ?) 四章は箱(コンテナ ベクトル❔)それらのまとめ とても心地好かった 久野さんの階は何度か拝見していますが、難解 今回はスーッと入ってきた感じ

アトラスの姫
ロマングラス
中板橋 新生館スタジオ(東京都)
2024/06/20 (木) ~ 2024/06/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
とある国で一族のはみ出し者と噂されている絵描きのフデが国からとんでもない依頼を受ける。それは国の地図をつくること。フデと仲間たちは"三角の力"を寄せ合って、それを実現しようとするのだが...。
地図と噂を巡る物語の行方は?
稽古見学させてもらって「御伽話のようで、とても今だ」と思ったけど、全貌見届けて、ますますそう思った。
シスターフッド、家父長制、SNSを巡る匿名性、それを使っていとも簡単に噂を流したり、火をくべたり、犬笛が吹けるということ。全てが全て意図的に直接的に描かれたものではないにせよ、そう感じるに十分の現代との接着面があった。「物語」に実直に向き合い、その力を信じ抜いた作品でもあった。それでいて地図を作る時のように、演劇を、観客を鳥瞰する様演出、語る俳優と語られる観客の関係を用いて、誰しもが噂の発信と受信の当事者になりうることを伝えていくようでもあった。
以下ネタバレboxへ

地の面
JACROW
新宿シアタートップス(東京都)
2024/06/14 (金) ~ 2024/06/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
大企業が地面師グループに50億強騙し取られた実際の事件に着想を得た演劇。
こういう派手な事件を題材にする時は犯人、つまり詐欺師を主人公にそのトリックを持て囃しがちなのだけど、そうはせず被害を受けた会社に焦点を当て、さらにその被害の裏に存在し得る組織の権力構造や内部抗争を物語の核心に据えている点が興味深かった。
もうね、サラリーマン版アウトレイジじゃないですけど、私に言わせりゃ全員悪人ですよ。俳優さんらが達者だからいっそうにアウトレイジ(笑)。戦いはいつも男が始める、なんてよく言うけど、その始まりの始まりは椅子取りゲームなのだと思ったり。誰かよりも少しでもいい椅子に座りたい人々が権力勾配を狡猾に利用し、騙したり騙されたりして、つまり詐欺の裏にいくつもの詐欺がある。
登場人物は幹部クラスの男性のみでそこに女性がまるで出てこない、出てきても会話の「かみさんはさ〜」くらいなところがまためちゃくちゃ風刺がきいていて。
きっと組織でたんまり溜め込んだストレスを家庭でぶちまけても、"男同士の秘密"は決して打ち明けず、女性の人生にも関わる大事なことは何も知らせることなく過ごしてんだなーという感触も含めて、悪しき男社会をリアルに描いていると感じました。土地のことを「女」とか言っちゃうし。
でも、救いようのないところがよかった。
「これが男の生き様だぜ⭐︎」みたいな美化や心酔は全くなくて、愚者として貫かれている。
そこに作家のスタンスを見た気がしました。
それでも、私はやっぱりこうも思わずにはいられない。
あの中に一人でも女性がいたら、幹部の人選に女性が一人でも抜擢されていたら、あの詐欺はもしかしたら防げていたんじゃないか、と。
流石の俳優陣かっこいいなあ〜と思って見つめてた冒頭のダンスシーン、観終わる頃にはすっかりと印象が変わっていた。地位や名声に踊らされている人たち、その滑稽さ。そして、俳優の力。最初と最後も同じシーンなのに景色が反転する。地の正体を巡り、14人の男の"地の面"が暴かれるまで。サスペンフルな作劇の魅力もありました。
映画『走れない人の走り方』ではあんなに柔和な父だった谷仲恵輔さん、見る影なかった...(賞賛の意です!)

地の面
JACROW
新宿シアタートップス(東京都)
2024/06/14 (金) ~ 2024/06/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/06/21 (金) 14:00
テンポよくストーリーが進み気持ち良かった。
会社組織の描き方も面白かった。

雨とベンツと国道と私
モダンスイマーズ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2024/06/08 (土) ~ 2024/06/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/06/21 (金) 19:00
とても心揺さぶられる芝居だった。
ラストの感じは好みであったが、内容が内容だけに観る人によっては苦痛を感じるかもしれない。

地の面
JACROW
新宿シアタートップス(東京都)
2024/06/14 (金) ~ 2024/06/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
詐欺師側の登場人物がなく、椅子にスポットライトを当てて「ここに詐欺師が座っている姿を想像して下さい」という演出がなかなか面白い。あくまで視点は詐欺という犯罪ではなく人間組織の暴走に向いているのが明確になった。

Starting Over
“STRAYDOG”
サンモールスタジオ(東京都)
2024/06/19 (水) ~ 2024/06/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/06/21 (金) 16:00
「これまでの交友関係を捨てたら、再出発できない。」これが率直な感想です。そう思ったら、考えさせられる内容でした。

雨とベンツと国道と私
モダンスイマーズ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2024/06/08 (土) ~ 2024/06/30 (日)公演終了

地の面
JACROW
新宿シアタートップス(東京都)
2024/06/14 (金) ~ 2024/06/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
誰もケチをつけられない位に面白い。悔しい程の傑作。
2017年6月に起きた『積水ハウス地面師詐欺事件』を舞台化。55億5900万円を騙し取り、史上最大の地面師事件と呼ばれたもの。その後10人逮捕、主犯格は懲役11年の判決。
タランティーノ&ロバート・ロドリゲス作品っぽいスタイリッシュなノリ。井上ひさしの『日本人のへそ』オマージュ的なギャグもあり、作家も劇団も絶好調。実話故にか余りにも面白い脚本。マーティン・スコセッシ風味で映画化して欲しい。日本で作ると伊丹十三系か高田宏治脚本の東映系になりそうだが。
9人の俳優陣が軽快なステップを踏んでノリノリにツイストを踊る。「自信を持て!自信がないと踊れないぞ!」椅子取りゲームのようなオープニング。
主人公・小平伸一郎氏の鳥好きの設定がまた効いている。『君たちはどう生きるか』の青サギオマージュ。山崎の25年物とか台詞の発想、展開が巧妙。犯人グループは登場させず、いる体で応対するのみ。積水ハウスの人間関係に狙い定めた焦点がズバリ当たった。要点を絞ったタイトな脚本と踊り明かす余白のある演出。実録モノの御手本とはこういう作品のことだ。悩める脚本家監督連中は教えを請いに今作を詣でるべき。好き放題やってやがる。それでいてこのクオリティー。
役者は全員本物。後に伝説になるのではないか?
ゴルフシミュレーターに夢中な会長役・佃典彦氏は宝田明っぽい軽妙なソロ・ダンサー。
取締役入りを狙う星野卓誠(たかのぶ)氏は中村勘九郎、東野幸治系の顔立ち。
MVPは社長役の谷仲(やなか)恵輔氏。前作の中曽根康弘役のインパクトが強過ぎるが、萩原流行風味の怪演。ノリノリのステップに四股を踏む。あとは運さえあればメチャクチャ売れること請け合いの実力。
テーマは『組織と自分』。結局、肝心なのは自分は何を大事に思って生きていくのか?ということ。中島みゆきも歌っている。「お前が消えて喜ぶ者にお前のオールを任せるな!」
裏切られたと泣きべそかく前に気付け。裏切られても許せる人間にしか付いて行くな。ただそれだけの話だ。
本物を観たければ見逃すな。

白き山
劇団チョコレートケーキ
駅前劇場(東京都)
2024/06/06 (木) ~ 2024/06/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
素晴らしい舞台だった。戦争と作家という骨太のテーマを貫きつつ、日常は苦労と失敗の積み重ねで、笑いが絶えない。楽しい時間を過ごしつつ、深く考えさせる。劇団チョコレートケーキで初めて笑った気がする。井上ひさし・永井愛の境地に、さらに大きく近づいたと思った。ただ、笑いの起きたところを台本(『悲劇喜劇』7月号所収)でみると、淡々と書いてあるだけで、演出と俳優が、隠れた笑いのネタを生かしていることがうかがえる。
そういう点では、作・演出・俳優の共同作業で生まれた奇跡のような舞台だった。俳優陣では斎藤茂吉を演じた緒方晋が出色。言葉数は少ないしぶっきらぼうだが、ぐっと抑えたマグマを内に持っている感じが、本当に茂吉に見えた。素晴らしい

雨とベンツと国道と私
モダンスイマーズ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2024/06/08 (土) ~ 2024/06/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
相変わらず、蓬莱隆太らしい、心がひりひりさせられる芝居だった。パワハラで人を傷つけた人間は、もう社会的に許されないのか。パワハラは見ていて痛ましいが、「仲良しごっこでいい映画は作れないんだ」という監督のセリフにもウソがないだけに、考えさせられる。作者は「許すべきではないか」と考えているようだ。それがパワハラ容認ととられる危険性もある。難しいところだ。
さえないメガネ女性五味栞を演じる山中志歩の、根暗で引っ込み思案で面倒臭そうな人間の姿が見事だった。セリフ量も膨大。全体の半分くらいあるんじゃないか。彼女のおかげで成功した舞台である。