最新の観てきた!クチコミ一覧

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離陸

離陸

サンプル

早稲田小劇場どらま館(東京都)

2015/10/08 (木) ~ 2015/10/18 (日)公演終了

満足度★★★★

変態性。
あけすけに「変態」と印字されていたりすると、これは昆虫の変態の意だと自発的に字義を置き換える「認知的不協和」解消に走る自分がいる。もしくは、「変態」の実態について、直視的考察へと促される。早稲田小劇場どらま館で、同居する三人を巡る大真面目な反応実験が、テキストに書かれた設定で展開された。作演出の松井氏がしばしばそう呼ばれるという「変態」は、人間という海の深みに存在し、日常の表層と深淵のグラデーションのある位置で己(変態)を主張していた。それを行為として、言動として明確に見せる舞台であった、と言える。
 理性の揺らぎ(神経衰弱のような身体的な病の状態も含め)は、存在の根底にある意識、願望を結果的に強調する。「普通」を求める目には異常に見えるそれらの現象は、心の奥に誰しも秘める「存在の不安」の表面化ともみえるが、松井氏が現在ある「縁」を逃れ得ないものとした上でドラマを書いている点、つまり「実験」を成り立たせるための「関係」が既に存在している事実から、ユートピアに見えなくもない。
 カップル+1の設定と、伊藤キム演じる兄の芸術家的な繊細さは、イメージが飛ぶが映画「ソフィーの選択」で、主人公が出会うユダヤ人の青年を思い出させた。その青年の恋人(メリル・ストリープ)への、主人公の思いはもっとウブだったが・・ 

DOWNTOWN HOTEL

DOWNTOWN HOTEL

SECOND・N PRODUCE

千本桜ホール(東京都)

2015/10/13 (火) ~ 2015/10/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

笑いました!
いや-面白かったです!
登場人物それぞれのキャラが分かりやすく、特に‘おじさん’の圧倒的な存在感が凄い!笑っているうちに終わってしまいました。楽しい舞台が好きな人には絶対にお薦めです。

メビウス'15 月下人魚'15

メビウス'15 月下人魚'15

劇団ショウダウン

船場サザンシアター(大阪府)

2015/10/09 (金) ~ 2015/10/12 (月)公演終了

満足度★★★★★

『メビウス』 再演!ずっと観たいと思ってました♪
『メビウス』チームAの小野村優さん×小出太一さん版を拝見。
とっても観たかった公演でしたが、拝見して納得、本当に良くできた内容でした。
そして、小野村さんと小出さんの演技がとっても良くって、ぐーっと心を持って行かれました。
本当に感動しました♪

初演の林遊眠さん×ナツメクニオさん版、チームBの宮島めぐみさん×佐竹仁さん版も気になりますが、小野村さん×小出さん版も本当にとっても良かったです♪
この『メビウス』公演はどの版を観ても外れは無い!ぐらい良かったです!

平田オリザ・演劇展vol.5

平田オリザ・演劇展vol.5

青年団

AI・HALL(兵庫県)

2015/10/09 (金) ~ 2015/10/12 (月)公演終了

満足度★★★

『この生は受け入れがたし』、夫と妻の歩み寄りと平行線、どうなるのか…
寄生虫に愛を注ぐ研究者達、ちょっとマニアックだけど、どこの大学の研究室にも良くある光景!
私の大学時代の研究室を思い出しました。
本当に楽しそうに研究している研究員を自然な感じで演じられていました。

田舎の大学に就任し、寄生虫を研究する夫と、寄生虫と田舎が好きになれない妻との歩み寄りと平行線の物語。
ほんわかした雰囲気の中にある切実な現実…、楽しく拝見しました。

ネタバレBOX

田舎の大学に就任し、寄生虫の研究する夫とその妻。
妻は寄生虫と田舎を好きになれず、大学に来て寄生虫について勉強して好きになろうとするが…。
妻が大学に来ること自体、田舎の近所付き合いに辟易とし、田舎暮らしからの逃避でしかなく…。

寄生虫好きの大学の研究室仲間との交流を踏まえながら、妻のかたくなな想いが浮き上がり、田舎からの孤立感と、夫と妻の平行線が描かれているように思った。

ラスト、夫が(自分の妻への想いを重ねながら)フタゴムシという寄生虫の愛の話を講義するところで終演。
この後、どうなったのかは、観客のご想像にお任せ、ていう感じでした。

途中、「東京と田舎、夫と妻、寄生しているのはどっちだ」的な投げかけが有りましたが、投げかけただけで、回収せず。
本当にどっちが寄生しているのか、考えさせられます。

追伸、劇中、夫がキツネのお面を被って無言で出てきて、そのまま戻るというシーンがあり、夫が精神的に病んでいる事の演出か、と思ったのですが…。
前々回の「この生…」公演時のコメントを拝見すると、アフタートークで平田さんが「初演当時たまたま秋田で見かけたキツネのお面を使うために取り入れただけ」との事。
あんな意味深なシーンが、意味がないとは…。
ラブ☆ガチャ。~新ラブ+ガチャガチャ~

ラブ☆ガチャ。~新ラブ+ガチャガチャ~

茶柱日和

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2015/10/06 (火) ~ 2015/10/12 (月)公演終了

満足度★★★★★

ラブ☆ガチャ
七本の短編でしたが、どれも笑わせられて「キュン」としました。「消防署の方から来ました」は想像通り消火器を売りつけようとする詐欺師の話なのですが、南翔太さん演ずる気が弱そうな詐欺師がおばあちゃんの初恋の人にそっくりだったため、おばあちゃんに契約されてしまいます。そして一緒に写真を撮ってうれしそうなおばあちゃん。後日、転職してお金を返しに来たらおばあちゃんは亡くなっていました。ヘルパーさんにあんな幸せそうなおばあちゃん見たことないと言われて、しみじみ二人で撮った写真を見る南さんの優しい笑顔が素敵でした。「サイクル24」は自転車が青年の姿で現れ、ギヤチェンジによって人格が変わるというもので、大いに笑わせられました。持ち主の女性が鍵をかけ忘れたため盗まれた自転車が、ボロボロになりながら自力で帰って来た姿にホロリとしました。私もこんな自転車が欲しいけどギヤチェンジがうまくできなくて、いつも困ってしまいそうです(笑)。主宰の芳本さんが客入れしていらして少しお話しましたが、優しくて素敵な方でした。

東京の家

東京の家

わっしょいハウス

TURNER GALLERY(東京都)

2015/10/14 (水) ~ 2015/10/18 (日)公演終了

劇にして劇にあらず
75分。起承転結がなく、小市民的観点が描かれる。鑑賞というよりは眺めるという不思議な感覚だった。

十一ぴきのネコ

十一ぴきのネコ

こまつ座

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2015/10/01 (木) ~ 2015/10/17 (土)公演終了

満足度★★★★

おっさん猫たちの大奮闘!
2011年に観た時よりも、今回の方がよりシュールに感じたのは、社会の闇がより深くなったのかもしれない・・・・・なんて、思いました。
前回よりも一匹、一匹の個性もより濃く伝わってきた気がします。
欲は、人を変えますよね・・・・。

IN THE ROOM

IN THE ROOM

劇団ORIGINAL COLOR

新宿眼科画廊(東京都)

2015/10/09 (金) ~ 2015/10/14 (水)公演終了

満足度★★★

-
意味ありげな雰囲気と、意味なさげな台詞のブレンド。美味しく感じたり、苦く感じたり。

The Last Snow~雪女物語

The Last Snow~雪女物語

劇団暴創族

笹塚ファクトリー(東京都)

2015/10/07 (水) ~ 2015/10/12 (月)公演終了

満足度★★★★★

ストレートな正統派
不思議で、面白くって、怖い話し。うーん欲張り!と思いつつ笹塚ファクトリーへ。
煌く雪の結晶に彩られた大きくって立派なセットがドーン!
久々に目にしたしっかりした舞台装置に生徒はの香りが…。
その期待通り練られたストーリーとスキルの高い役者さんが調和する、
まさしくファンタスティックコミカルホラー!
頭の漫画家さんと宿の娘さんのやりとりがちょっぴりまったりして、
大丈夫かーっと思いきや、その後の展開は良いテンポで心地よい。
判り易い話と笑えるシチュエーションとっても面白かったです。

ネタバレBOX

個人的には漫画のあだちさんと大学生の石川さんのキャラが印象的で◎
出来そこないの兄貴の唯一の親孝行が立派な大人になってない。
 からこそ父の命が助かる。
ふっと微笑みがこぼれるオチも良かった。
ざくろのような

ざくろのような

JACROW

サンモールスタジオ(東京都)

2015/10/08 (木) ~ 2015/10/13 (火)公演終了

満足度★★★★★

仕事に賭ける男たちの宿命
こんな凄まじい葛藤も最前線で戦っている技術者たちならではないだろうか?どちらが正しいと言うわけではない。単に信念の違いだけで袂を分かつことになる。これが仕事に賭ける男たちの宿命なのだろう。多くの会社員はそれ以前に妥協や迎合を選択してしまう。お前は本当にそれで良いのか。この舞台からはそんな強烈な問いかけが聞こえてきそうだ。強い感銘を受けたが、会社員である私はやっぱり「蔦」を支持せざるを得ない。

西遊伝〜栃木・日光の妖怪!?〜

西遊伝〜栃木・日光の妖怪!?〜

劇団 西遊伝

Studio NOV(東京都)

2015/10/09 (金) ~ 2015/10/13 (火)公演終了

満足度★★★★

少々なめてた…。
舞台のあとにライブステージ?
若手のアイドル系女優志望の発表会かと危惧して伺うも大きく裏切られる。
真剣に頑張ってるんじゃん!それぞれのスキルやレベルは何ともいえずが、
三蔵と御釈迦様のベテランが要所を締め、
西遊記のコメディをしっかりと造り上げていた。
かなり手狭な空間の小屋だが、
それが幸いなのかアクションもそれなりの見せ場とスピード感を演出。
座長が想いがしっかり詰まった物語からは、
その気持ちが伝わってくるようでした。
47の都道府県を巡る旅の間に脱皮と成長を繰り返し、
一段と面白い団体になっている事を期待しています。

ネタバレBOX

トークショーに遅れて姿を見ず、泣き顔を見せちゃった役者さんはご愛敬?
小劇団でのお約束アンケートの記入お願いはあるものの
やっぱり物販に忙しく、出口、受付には役者もスタッフも皆無。
ちょっと寂しく劇場を後にする…。
リーディング公演『HAKUTO~白兎(しろうさぎ)~』

リーディング公演『HAKUTO~白兎(しろうさぎ)~』

文化放送

博品館劇場(東京都)

2015/10/10 (土) ~ 2015/10/12 (月)公演終了

満足度★★

ちょっと期待はずれだったかな・・・
あおきりみかんの 鹿目由紀さんの脚本、演出が鴻上尚史さんだったので期待したが、ちょっと期待はずれだったかな。
物語の世界に全く惹きこまれなかった。
吉田照美さんはいつものように軽快な口調だったが、演劇というよりやはりトークのようだったし、中山美穂さんは結構噛んでたし。
フラメンコとギターの演出は鮮やかで楽しめた。
上演時間70分。

ネタバレBOX

朗読劇なのに途中でトークコーナーがあった。
中山さんは芝居に意識がいっていたせいでほとんど話さず、吉田さんのしゃべりばかりが目立った。
この演出は疑問。目新しさというより、演者も観客も集中力を欠いてしまった印象。
『銀飯モンスーン』

『銀飯モンスーン』

ひげ太夫

シアター風姿花伝(東京都)

2015/10/07 (水) ~ 2015/10/12 (月)公演終了

満足度★★★★★

しゃべるシルク
風を操り人々の生活を潤す風使い?
の銀飯が飛び回る冒険活劇に引き込まれる!
初見の劇団さんでどんなかなぁ?と思いきや圧倒される迫力と息をつかせぬストーリー展開に脱帽。
ステージの情景、セット、小道具から場面チェンジまで
自らの身体で表現する見せ方は秀逸。
全編女優さんが演じ、作演出も女性との事で、
細やかな仕草や表現まで魅せる事をしっかり考えた丁寧な造り。
年齢層も幅広い感じの構成でしたが、
ベテランはもとより若手のどんぐりや王子の表現力も素晴らしかった。
楽しみな劇団をまた一つ見つけました。


ネタバレBOX

フライヤーにはラブストーリーともあったが、
ヒロインが非常にコミカルすぎるのか、ラブラブ感はちょっぴり薄かった。
驚きと楽しさ満載の不思議な空間。
もっと台詞で笑わせるシチュエーションがあると、もっと大人も心地よいかも。
ざくろのような

ざくろのような

JACROW

サンモールスタジオ(東京都)

2015/10/08 (木) ~ 2015/10/13 (火)公演終了

満足度★★★★★

ざくろのような
当日チラシに「最後まで肩の力を抜かずに・・・」とありまして、オープニングの大音量(最前列だったから?)で思わず入った肩の力は最後までそのままでした。平日のこんな時間にお芝居観られる人たちにはきっとひと事で、私もそうなので、へー会社と言うところはこんなものなのかととてもおもしろく観劇いたしました。研究を続けるために会社を捨てる野間のような生き方もありだと思いましたが、私にはどこまでもまじめな蔦にも共感できました。何人かが複数の役を演じていましたが蒻崎さんが個性的すぎて、当日チラシの配役をちゃんと見ていなかった私は会話が始まるまで「え?この人誰?野間さんの奥さんのような気はするけど、『あんたらに関わってたら自分もこのざまよ』と言い出す山崎室長?」と悩んでしまったのでした。野間はその奥さんにコップの水をかけられていましたが、その直前に奥さんに渡したのが離婚届だったからですよね?研究のためには奥さんすら邪魔なの?それとも優秀なプログラマーという奥さんを中国に連れて行く訳にはいかないから?そこらへんがいまひとつ分かりませんでした。

ざくろのような

ざくろのような

JACROW

サンモールスタジオ(東京都)

2015/10/08 (木) ~ 2015/10/13 (火)公演終了

満足度★★★★★

会社は、まるで“ざくろの実”のようだ
「人」という1つひとつの小さな実で構成されている。

会社は人で構成されているはずなのに、人を幸福にしないことがあるのだ。

(ついついネタバレボックスにだらだら書いてしまいました)

ネタバレBOX

現実に起こった三洋電機の買収・解体を思い起こさせるような作品。

実際にある企業に似た、山東電機、松川電器、中国のハイミといった名前の企業が登場することで、技術力があるが業績不振の電機メーカーが大手メーカーに買収される、というストーリーから企業と人という視点ではあるが、どちらかというと経済系、社会派的な話ではないかと思って観ていたが、どうもそうではない。

もちろん「企業と人」の話ではあるのだが、特に「人」に焦点を当てている物語だった。
人がどうするのか、という話だ。
それが「どう見えるのか」ということでもある。
我々、「神の視線」から観ている観客が感じることは「人からどう見えるのか」なのだ。

タイトルにある「ざくろ」という植物の実は、割ると中に赤い粒々が見えてくる。
その粒々は、ミカンなどの柑橘類のような、「実の中身」というものではない。
粒々1つひとつにタネがあり、その粒々の1つひとつが「実」としての存在を示している。
つまり、ざくろの粒々のような我々は、ざくろという実を構成する1つの部品なのではなく、その1つひとつが芽を出し成長することができる、1つの実であるということなのだ。
(タネに対して果肉の部分にあたるところが少ないので、食べても充実感に乏しいということは、横に置いておく・笑)

つまり、「ざくろ(の実)」とは「企業(会社)」そのものではないのか。
企業は、粒々、すなわち「人」の集まりであり、それが「会社」という皮、というか共同幻想みたいなものに包まれているだけであり、「企業の実態」とは「人」にほかならないということなのだ。

「会社は」とか「企業は」とかのように、ついつい会社や企業を主語として1つの存在のように語ることが多いのだが、それは「皮」のことであって、実際はそれを構成している人の集まりのことを指しているのだ。しかし、「会社」や「企業」と言うときに「人」を思い浮かべることはほとんどないだろう。

だから、「人=会社」なはずなのに、「会社にとって」のような理論で、いつの間にか本来の実態である「人」がないがしろにされてしまうことがある。それが酷い状況になると、「ブラック企業」などというものになってしまったりする。

企業を構成する人が我慢したり、不幸になったりすることで、その集合体であるはずの「会社」が良くなるばすがないのに、だ。最近言われ始めている「人本経営」はそこから出てきた考え方なのだ。

しかし、「会社にとって」という、どこから出たのかわからない声(や意思)によって人は我慢を強いられたり、不幸になったりしてしまう。

この作品の登場人物たちも同様である。

経営不振による買収からの、会社の解散(倒産・消滅)という不測の事態に遭遇したときに、消滅する側の会社では、あるいは買収する側の会社では、属する従業員たちはどのような行動をとるのかが、この作品で描かれていた。

つまり、企業経営というような、経済的な範疇での、社会派的な物語ではなく、ここには困惑しつつも自ら決定して行動する人の姿が描かれていた。それは普遍的ものであろう。

ほとんどの演劇がそうであるように、観客はあり得ない視線で舞台上の人々を観る。
つまり、それは「神の視線」であり、物語の当事者ではないので、冷静に人々の行動を観察できるのである。

買収される会社は、一部の人は気づいているように「今まさに沈没しつつあるタイタニック」のようなところにまで来ている。
しかし、呑気に翌日のゴルフについて話をしていたりする。
また、会社に残りたい一心で、上司を陥れようとしたりもする。

そういう人たちを、「ダメな人だな」「イヤなヤツだな」と思って観てるのは、我々が「神の視線」から観ているからであり、実際にその立場、その状況に陥ったとすれば、どう立ち回るかわかったものではない。
つまり、神の視線は「他人からどう見えるのか」がよくわかる視線でもある。

神の視線から観ているから、舞台の上には悲劇があり、喜劇があるのだとも言える。

それは買収される側(山東電機)の人間だけのことではなく、買収する側(松川電器)の人間も同様である。
買収する側の人間は、冷静に、かつ冷酷に山東電機の社員をどう処遇し利用していくかを考え実践しているのだが、彼らもまた買収される側と同様に、「会社」という共同幻想の中に閉じ込められていて、その共同幻想、皮の「会社」の「意思」に従っているだけなのだ。

彼ら自身の意思で業務を遂行しているわけではない。
つまり、いつ立場が逆転してもおかしくないのだ。

観客は買収する側(松川電器)の室長の冷静な判断と計画を観て「冷酷だな」「会社の命令だからな」「会社がなくなっては元も子もないし」と、いろいろなことを考えるだろうが、それは安全な神の視線の側にいるからなのだ。自分がその室長の立場だったらどうするのか、情に流されずに業務を遂行できるのかということだ。

室長は、この仕事をどう考えているのかの本音は、室長とその部下の課長との会話で、室長がふと漏らす台詞からうかがえる。彼女(室長)の「人」が見えてくる一瞬であり、この台詞はなかなかうまいと思った。

副部長が部長を追い落とすような仕掛けをしたり、蔦サブリーダーが副部長に昇格することで、彼のリーダーだった野間に本年を叫ぶように吐露するシーンは、なかなかだ。
なかなかイヤな姿だが、ひょっとしたらどこか天井から眺めている神の視線によれば、自分たちの姿なのかもしれないのだ。

サブリーダーの蔦が副部長になって、(野間が辞めて中国のハイミへ転職したいと思っていたことを知っているのにもかかわらず)あそこであんなこと言うか、と観客は思ってしまうが、それも冷静に観ている神視線の観客だからこそわかることなのだ。後悔先に立たずとはよく言ったもので、我々もそんな過ちをしてしまっている。

山東電機の上司と部下たちに欠けていたのは、心理的契約と言われるような相互理解の関係だ。
暗黙に理解し合えるような関係があったとすれば、買収する側に対しても組織として対応できただろうし、野間に対して営業系の役員が振ってきた急ぎの案件も、うまく対処できたのではないだろうか。

野間と蔦の関係でも同じだ。
蔦は「上司の命令だから野間の言うことを聞いてきた」というが、単にそれだけの関係であって、野間と蔦の間にはそうした暗黙の相互理解がなかった。
だから、立場が逆転してしまっても、それは生まれることがない。蔦は押さえ込んでいた気持ちを吐き出すだけだ。

野間は正論を言っているようで、組織の一員としては問題がないわけではない。
それも実際に同じ組織にいれば、わかるのではないだろうか。

舞台の上での人間模様はとても面白かった。
それは戯曲自体もそうなのだが、役者がとてもいいからだろう。

室長を演じた榒崎今日子さんは、あいかわらず感情を殺して仕事を遂行するという姿が、刃物のように鋭くカッコがいい。
野間を演じた小平伸一郎さんは、オタクな感じを漂わせて神経質な感じがとてもよかった。
サブリーダーの蔦を演じた狩野和馬さんは、野間をしっかりと支えている人というイメージから副部長になるということがわかってからの、感情の爆発が凄い。こんなに感情を剥き出しにしたのは見たことなかったと思う。舞台の上に釘付けになった。

中野副部長を演じた谷仲恵輔さんは、やっぱり上手い。どんな役でも自分の姿にしてしまう(ほとんどがイヤな役なのだが・笑)。部長の前で泣いて見せ、呑みに行こうとするときに蔦に呼び止められ、こちらを振り向いたときに、実は泣いてなかったということがわかる顔には、ゾッとした。人の暗部を一瞬で見せてくれたようだ。
鈴木副部長を演じた佐々木なふみさんは、有能な上司でありながらも(野間は認めていた)、同じ女性社員に対し毒女的、お局様的な毒の滲ませ方が上手い。ロッカーの福山は笑ったけど。
部長を演じた吉田テツタさんの、呑気で人がいいけど無能そうな上司の空気感がいいし(まるで子どものような逆ギレのところとか)、中国人に切り替わったときの殺伐感もいい。

演出的にはホテルの喫茶室のシーンがなかなかだと思った。
普通はウエイターの設定はまどろっこしくなるので、割愛することが多いのだが、この作品ではいちいち注文を取り注文の品を持って来て、を見せる。しかし、それがまどろっこしくはならず、むしろ会話を途切れさせたり、間となったりすることで、ある種のリアリティを感じさせるのだ。
これはなかなかできないと思う。
前作『消失点』でも同様に、婦警さんを登場させることの上手さを感じた。

ただ、後日談のような中国企業のシーンは必要だったのだろうか。
野間は、妻に離婚届を出したことで、(そのことは蔦との会話に出てきたように)中国企業へ転職する意思が固まったことが、観客にはわかったのだから。
蔦が殴りかかるなんていうのは、どうなんだろう、と思った。

ラストにロボットが机から落ちるシーンがある。
人である前に「会社員」である者をロボットにたとえ、それが壊れた様を見せたのではないかと思った。

……野間が中国で突貫開発した電池が不具合を起こしてしまうということを暗示しているというのは、……深読みしすぎか(笑)。
エゲツナイト♡

エゲツナイト♡

GORE GORE GIRLS

インディペンデントシアターOji(東京都)

2015/10/13 (火) ~ 2015/10/27 (火)公演終了

満足度★★★★★

ダンボール
チラシを見たときからダンボールとの友情?(笑)って笑えてたんだけど、やっぱりずっと笑いっぱなしでした。独特なテンポとシュールな笑いがホント面白い。個人的には当日パンフの西山さんの挨拶文がいつも楽しみです。観劇前にまずそこで笑う。文章のセンスなんだろうなぁ。半券を持って行けば11月の本公演が300円割引になるとの事なので半券を大事にとっておかなくては。

流星降る夜に

流星降る夜に

ステビアトウキョウプランニング

ウッディシアター中目黒(東京都)

2015/10/08 (木) ~ 2015/10/12 (月)公演終了

満足度★★★

なるほどね。
"死"との向かい合い、"家族"・"友人"との向かい合い、オーソドックスなストーリーだけど、幾度も演じられるのは、それなりの理由が有るんだね。

後から知ったんだけど、この作品は原作戯曲があって、これまでも色んなところで上演されていたようで…
個人的には、ここで終わっても全然OK、というタイミングもあったので。

そう、
夏色プリズム「シロツメの咲く後に」以来、久しぶりに關根くんに会えました。あれ以来、幾度もお誘いを頂いていたので。。。元気そうでなにより!

ネタバレBOX

いろいろあって演者さん変更があったそうですが、代役に立たれた谷口健太郎さん。代役であることを微塵も感じさせない、素晴らしいStageでした。
One Wonderland

One Wonderland

小野彩加 中澤陽 スペースノットブランク

STスポット(神奈川県)

2015/10/12 (月) ~ 2015/10/12 (月)公演終了

満足度★★★★★

-
ダンスをダンスにした。ダンスは相当に幅広く、実際にやってみるとかなり難しく、そのことが活かされとても面白かった。おそらく狙った以上のものが出たようにみえたので、本公演もがんばってほしい。

タンゴ・冬の終わりに

タンゴ・冬の終わりに

パルコ・プロデュース

キャナルシティ劇場(福岡県)

2015/10/12 (月) ~ 2015/10/12 (月)公演終了

満足度★★★

1回のみ
の福岡公演。調整がうまくいっていなかったのかなとう部分もありました。
ビギナーには難しい内容かな、特に第一部は。
<盛>の狂気さは三上さんならではの高い音質の演技。引き込まれます。
第二部からの人間的なシーンもじっくりと。

【無事終幕】世界が終わる12時間前の過ごし方【次回公演は2016年春】

【無事終幕】世界が終わる12時間前の過ごし方【次回公演は2016年春】

JOHNNY TIME

エビス駅前バー(東京都)

2015/10/09 (金) ~ 2015/10/20 (火)公演終了

-
異常の中の平常が面白い。民本しょうこの演技が印象に残った。ちょっと観るのにはちょうどよい作品。タイトルから過剰な期待をすると肩すかし。

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