最新の観てきた!クチコミ一覧

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ピーチボーイズ

ピーチボーイズ

Peachboys

シアター711(東京都)

2024/04/23 (火) ~ 2024/04/29 (月)上演中

予約受付中

実演鑑賞

満足度★★★★★

本当にくだらない くだらな過ぎて しかもそれを凄く上手い演者さんがやるもんだから 頭がバグる 物語も破綻どころかそもそも無い 毎回思うがある意味熱海殺人事件と同じインパクトを受ける とても心地よい 伝わるかな?

ネタバレBOX

最終公演ではあるが続ける余地は残したエンディング...期待してます
ブルースが聴こえる

ブルースが聴こえる

WAO!エンターテイメント

アトリエアーサム(大阪府)

2024/03/26 (火) ~ 2024/04/28 (日)上演中

満足度★★★★

安定感のある劇団 正統派で小難しいメタファーを使う事なく、スーッと入ってくる
政治家(市長)の考える幸せ=ホームレスの幸せではなく、人各々に幸せの基準が異なるのであるが…
市長も過去のプロセスや環境に基づいて信念を貫くのであるが…
過去のように泣かせる場面はほぼ皆無だが、人間の生について考えさせられた…
満足ですが、客入りは雨☔もあり10名程度 SNSをもっと活用すれば良いのに…

映画のパロディ

映画のパロディ

コンプソンズ

下北沢 スターダスト(東京都)

2024/04/18 (木) ~ 2024/04/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/04/14 (日) 13:00

当日パンフレットに断り書きがあるように映画のパロディに特化したワケではないコント集。
いくつものコントの途中にショートコント集を二度挟み、最後は長めのもので〆る構成にもさることながら一編のコント終わった後に「……というコントをやりたいんだが」と大宮さんが出演者の一人に相談/提案する部分が附加される前半で使った形式がバックステージ系の変奏のようで斬新。
そしてあれこれパロディを含んだ内容、笑った笑った♪
こういう「あれ、何を観ていたんだっけ?」なものも好きだなぁ。(爆)

ユリが咲く頃には

ユリが咲く頃には

名城大学劇団「獅子」

G/Pit(愛知県)

2024/04/19 (金) ~ 2024/04/21 (日)公演終了

実演鑑賞

現代のおとぎ話とでも言えるような作品。
決して目新しくも突っ込みどころがなかったわけでもないけれど
学生さんらしい感性とやさしさに包まれた
小品ですが、いいお芝居でした。

朗読ユニットさざなみvol.6宮沢賢治名著

朗読ユニットさざなみvol.6宮沢賢治名著

朗読ユニットさざなみ

MUSIC BAR道(東京都)

2024/04/20 (土) ~ 2024/04/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

<朗読ユニットさざなみ>は未見であったが、情感に溢れ 安定感ある朗読劇といった印象だ。今回は、宮沢賢治名著として3作品<①どんぐりと山猫 ②注文の多い料理店 ③よだかの星>の朗読であった。3作品のうち<どんぐりと山猫>は知らなかったが、なかなか皮肉と言うか辛辣なラスト。他の2作品は読んで知っていたが、朗読劇として聴くと、また違った味わいのある物語に思えた。小説は、自分の頭の中で平面的な空想を広げるが、朗読は役者の肉体(感情)を通して 物語が立体的に立ち上がるような感覚。さらにギターやフルートによる生演奏が情景を豊かにし、登場する者・物・モノが動き出すような躍動感が生まれる。

朗読するのは、小林千恵さんと中瀬古健さんの2人、演奏は 夜ヒル子さん。朗読は聞き取りやすく安定感がある。時に声色や表情を変え、物語に登場する者たちを息衝かせる。演奏は、朗読の妨げにならない程度の音(量)で賑やかさを出す。この絶妙なバランスが心地よい。

さて、ユニット紹介には「主に日本の近現代文学作品を表現する」とあり、「改めて日本文学を読もうと思ったのは宮沢賢治の『よだかの星』がきっかけ」とある。今回も「よだかの星」を朗読しているが、本公演では不思議と よだか が力強く生きていることが感じられる。勿論 よく言われる弱い者いじめや外見の美醜による差別といった 先行イメージを持っていたギャップによるものであるが、その状況に甘んじないといった何かが…。因みに、さざなみは2022年のコロナ過に結成とあり、云わば逆境の中での活動開始---その意気込みのようなものが朗読に影響しているのだろうか。

卑小、主催側の責任ではないが・・・。
(上演時間1時間15分)

ネタバレBOX

中央にテーブル、そして3人が横並び。どんぐりと山猫 の時にはガベル 、注文の多い料理店 の時には卓上ベルがテーブルに置かれる。それぞれの小道具は物語に関係したものであり、話を展開する上で効果的な役割を果たしていた。

さて、自分が聴いた回は、観客の中に長く咳き込んだ方がいて 気になった。さらにドリンクを床にこぼし、中央で録画(撮影)していたスタッフが急遽 床拭きをすることになった。全体的に静かで落ち着いた朗読劇、その中で集中力を欠くような状況になったことは少し残念。
S高原から

S高原から

青年団

こまばアゴラ劇場(東京都)

2024/04/05 (金) ~ 2024/04/22 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/04/21 (日) 14:00

1991年の初演から30年以上が経っているが、変わらないのは
”死に近い人” と ”それを取り巻く人” との距離感の不安定さだ。
淡々としているようで、内心どれほど波立っているだろうと思わせる
役者の台詞と表情に、静かな演劇の真骨頂を観る思いがした。

ネタバレBOX

舞台上には、高原にあるサナトリウム共有スペースのセット。
正面に天井近くまであるおしゃれな飾り棚があり、小さな観葉植物や本が並んでいる。
一見ホテルのカフェスペースのように小ぎれいな空間だ。
赤い布張りの長椅子が4つ、ガラスのテーブルを囲むように置かれていて
そのうちの2つには、開演前から役者さんが寝そべっている。
このリラックス感、休息感が、病人の生活の場であることを思い出させる。

ここに面会の人や、ドリンクを注文する患者などが入れ替わり立ち代わりやって来る。
面会に来る人たちも様々だが、中でも
3人で”お見舞い”に来て、声高にしゃべったりテニスをしたりと、
夏休みの学生みたいににぎやかな一群などは、この場所にそぐわないテンションが
ひときわ目立つ。

「昼寝の時間」が決まっているような静かな時間が流れるサナトリウム。
元気そうに話しているかと思うとすぐ横になりたがる患者たち。
自分自身にも他の患者にも「死」の気配を探さずにいられない、
薄暗い緊張感が漂い、それはハイテンションの面会者にも波及している。
患者の状態について無責任な噂話のような会話を交わしているが、
結局のところ他人の死に対して寄り添うには限界があって
健康人にしてみれば何と言葉をかけるべきか、わからないのだ。
だから「テニスやろう」なんて患者を誘ってみたりする。
先の不安から、ほかの人との結婚を決めてしまったりする。
患者も周囲も、何だかうまくいかなくて途方に暮れている・・・。

日常の合間に「死」という非日常が細かく織り込まれているサナトリウム。
”静かな演劇”ってこういうシチュエーションにはハマり過ぎるほど雄弁で
口数少なく腹を割らない患者たちに共感しまくってしまう。

そして役者の力量あっての表現スタイルなのだということを改めて感じる。
平田オリザ氏と青年団、静かな応援は続く・・・。


Ulster American

Ulster American

本多劇場グループ

「劇」小劇場(東京都)

2024/04/17 (水) ~ 2024/04/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

出演者が3人でセリフが膨大な海外の現代口語劇(原作:デイヴィッド・アイルランド、翻訳:小田島創志、演出:大澤遊)。

劇場主でもある男性演出家(前田一世)の手配で、新進の若手女性劇作家(椙山さと美)が人気男性俳優(池田努)と初顔合わせ。彼は彼女の芝居に主演するのだ。明らかに男性2人が優位にある関係性だが女性は全く尻込みせず、全員が正面からぶつかり合う。

役人物の思惑を細やかに踏まえつつ戯曲の要請(明確な意図)にも応える必要があり、臨機応変に柔軟に、でも結果的には緻密に組み立てる演技が求められるのではないか。俳優は大変だったろうと思う。

胸襟を開き本音で語り合うことは美化されがちだが、他者を尊重し思いやる姿勢が不可欠なのだと改めて確認。誰かを傷つけるぐらいなら黙るべきだ。

男性2人は「(戯曲には)歴史が大事」等とたびたび口にする。人間(の歴史)を軽々しくネタにして作品にし、食いぶちを稼いだり名声を得たりするクリエイターのなんと多いことか。私自身、このことには敏感でいたい。

※車椅子で伺い(私は自力で階段の上り下りができます)、劇場の方々に心尽くしの対応をしていただきました。今まで公共劇場しか経験していなかったけれど、本多劇場グループの小劇場公演なら安心して観劇できると思いました。付き添いの家族も助かっていました。本当にありがとうございました。

ネタバレBOX

シスジェンダー男性の演出家が酒に酔ったノリで「(性的マイノリティ)になりたい」と言う場面があった。マジョリティ側が口にすべきでない乱暴な発言で、役人物の不見識が露呈する。劇作家のアイルランドは今ホットな社会的課題を集められるだけ集めて、極端な口論に落とし込んで風刺をしているのかもしれない。彼の戯曲『サイプラス・アヴェニュー』を読んだ時も似た感触があった。

ただ、この設定で性的マイノリティについて言及させる必要はあっただろうか。登場人物は全員シスジェンダーで、基本的に男女の対立を描いている。「性的マイノリティの話題」をネタとして盛り込んだだけではないか。私はあのセリフに戸惑ったし、「そんなこと言ったらダメ」と他の2人が突っ込まなかったことに不快感があった。性的マイノリティの観客は、セリフとはいえ垂れ流された暴言に傷ついたかもしれない。

この点を手がかりに全体を振り返ってみると、作者のアイルランドこそ、人間をネタにして作品にしている張本人かもしれないと思い当たった。

たとえば、狙いだろうとはいえオスカー俳優を道化に仕立てすぎだと感じたし、女性劇作家の実母を交通事故死させ、暴力の連鎖へと向かわせるラストは予測可能で安易とも言える。登場人物に散々軽々しいことをやらせておいて、最終的には全員を破滅させて放り出したのだ。登場人物は作者アイルランドのコマに過ぎず、英国とアイルランドの歴史も彼にとっては題材の一つなのだろう。

つらつらと一方的に書き連ねてしまった。きっと私の勘違いや誤読はあると思う。あのセリフから、ここまで考えることができたことには、感謝している。
改めて言葉にしておきたい。私は人間に優しい、思いやりのある作品が好きだし、それを観たいと思う。
『今宵、4杯のカクテルを』

『今宵、4杯のカクテルを』

劇団Nooooon!!

シアター風姿花伝(東京都)

2024/04/19 (金) ~ 2024/04/21 (日)公演終了

実演鑑賞

面白かったです。

カレイドメモリー

カレイドメモリー

maropi工房

VRChat (オンライン)(神奈川県)

2024/04/20 (土) ~ 2024/04/21 (日)公演終了

実演鑑賞

『カレイドメモリー』 VR chat(VR演劇)

2024.04.20 22時

ソーシャルメタバース空間「VR chat」で公演が行われたストレートプレイ。VR空間での演劇を行う劇団『maropi工房』の第二回公演となる本作。

第一回公演『チョイス』では30分のコメディであったが、今回は60分。そして関わるスタッフの人数も大幅に増え、規模が広がった。これがどのようになるのか、想像と期待が膨らむ。

内容としては地方の町を舞台とした、出ていく若者のぶつかり合い、町に生活をする年を経た者達を主軸とした一幕二場の物語である。だが、雰囲気はその町に生きる者たちの日常・生活であり、大きくドラマ性や葛藤、メッセージを主張するものではない。その場に生きる者たちの日常を観る、そんな感覚だ。
特に都会とは異なる人間関係の距離感での苦悩や喜びに対してフォーカスしているのだが、その描写は「日常」に向けた緩さに包まれている。「若さのぶつかりと・孤独」、「老年の枯れた具合と寛容さ・受け入れ」、これらを二場にて対比させるような舞台で第一場にて伏線を張りながら、第二場に緩やかにリンクしていく。ユーモアも含め私達の日常に近い舞台をゆっくりと観ていた。

演出が中々にユニークであり、現実で行われる舞台に近い感触を残しながらも、VR空間上で行われる特性を強く生かした演出であった。驚き、そして今後に行われるVR空間上での演劇の未来に対して、強く期待感を持たざるを得ない。

強い感触の内容の劇ではないのだが、それに反して「maropi工房」の今後の舞台製作に対してのコンセプトや実験的なモノを含む「挑戦」の印象が強烈に残る。本作は静かながらにも、その意欲性は観ているもの、そして舞台製作を行う他のVR団体にも波及するものであるはずだ。

規模感は増したものの、前回のような強いスラップスティックのようなコメディ性は若干弱い。だが、逆に弱めることによって近さや柔らかさが出ている。特にシナリオ展開でのユーモアは前回同様に多分に感じることができ。大笑いするようなものではないが、フフッと小さな笑いが所々にある。日常の中にある小さな笑い、それが一服の清涼剤のようでいて。改めて自分等の日常を見つめ直すきっかけともなりそうであった。

今後とも、どのような道を切り開いていくのか。第二回公演を通して、更に劇団の深さを観ることができた。まだまだVRの奥深さに対しての挑戦は続く。期待感を持って追っていこう。

ネタバレBOX

ホワイエでの待機時間にて、劇での注意事項や観劇者自身の「PC・ソフトの設定」の説明をされる。VR空間上では当然ながら、現実の観劇とのルールや文化が異なる。言うなれば、ゲーム空間での快適に過ごすための準備と言えば良いだろうか。待機時間後にプロセニアムのある小規模劇場に通される。ここでも改めて設定を説明されるのだが、この説明から舞台は始まる。劇中に出てくる企業の製品説明を兼ねた演出で、この企業の存在がこの「町」になくてはならないモノであることが示唆される。

説明を行う者(きゅぞりる)が出てきて企業の商品紹介として舞台世界に引き込んでいく。また後述する第一場として異なる役として出演をするのだが、町で淡々と仕事をする者としての表現が説明的で感情をあえて出さないことによって、狂言回し的に町を表していく芝居。言うなれば、公的なPRをする者と言えばいいか。導入として、いきなり感情をぶつけられず、わかりやすくゆっくりとした語りは町に対しての興味を抱かせるモノであった。


開演のブザーがなり、劇が始まる。

第一場

三人の若者、町の老人二人、外から来たサラリーマンが主要なキャラクターである若者が町から出て行く事を「駅前」での第一場。この駅前というシチュエーションはVR的な演出により、当初はプロセニアム型の小劇場が開幕と共に崩れ、駅前をステージにした野外劇の様相が現れる。ただし、昼間であるのに太陽光のみではなく、スポットライティングの描写などがあり、劇場から完全に離れたという形になっていない。そういう意味では半野外的とも言えるのだが、このような形での表現は観たことがなく言葉として形容するのが難しい。

内容としては舞台となる「町」に対してのイントロダクションや紹介的な展開を含めつつも、三人の若者によって町に対しての批評的な見方が提示される。実際にこの町が「限界」であることが強調され、それに対して不満を持つ者と肯定する者、諦める者と、町に対しての三者三様の感情が噴出する。駅舎には町名である「枯井戸町」と掲げてあり、会話の内容と駅名とが観客にリンクされていく。

老人二人、イケダとタナカ(HONI,黒崎こぎん)が駅前のベンチで鳩に餌やりをしつつやり取りをしているところから劇は始まっていく。この二人の老人は町にずっと住んで生きているようで、出ていく若者を引き止める役を手伝うと、非常に温かい雰囲気を持ちながらも、道化のような役回りでこの第一場を支える。良いコンビ具合で少し重い話の中にあっても、態度が一貫しているため、もっと言えば若者に寄り添うようにみえても強引に押し切る形が「亀の甲より歳の甲」とでも言えるだろうか。その強引さの芝居が観客の笑いを誘っていく。またこの後、HONIが演ずる老人は第二場にも登場するのだが、その伏線もこの第一場に張られる。


外に出る若者、トミザワ(aaway)のイラつきながら芝居での他者のとの会話と大きく早い動きは見るべき所でゆっくりとした雰囲気の中で少し浮く芝居ではある。しかしながら、自分なりの意見はしっかりとしていて劇中での進行をうまく引っ張る。又、後述する外部から来た営業サラリーマンのスズキ(SuzuQui)に対しての憧れの様な感情の伴いは、ネガティブとポジティブの感情の振れ方が若者という不安定さがよく表れており、劇中で一番印象に残った。

町から出ようとする者を止める若者、ネモト(地蔵めたび)は町の良さ、劇前説明をした際に出てきた町の企業などを語り、何故出ていこうとするかとポジティブなアピールする。この町が好きなのだなと、よくわかるのだが。出ていく若者や後述する三人目の若者に反論される事によって、徐々にトーンダウンしていく様は理屈ではなく、わかってもらえない寂しさを纏いながら、第一場の終了まで持っていく好演。

三人目の若者、オカノ(ゆったん)は中立的な立場をとるのだが、何かを言い淀んでいる様子を当初から醸し出している。だが、後半になるにつれ、実は諦めをもってして仕方無しに、この町に住んでいることが明らかになる。声質や身体表現にどことない退屈感を帯びており、難しいことを考えたくないという態度が舞台内で良く現れている。この退屈さは刺激のない町を揶揄するような雰囲気で、態度によってもまた批評性が出ていた。

中盤から後半にかけては、驚いたのだが「車」が登場する。選挙に向けてのPRなのか、老人に対して優しいということを強調している。こちらのウグイス嬢(きゅぞりる)も説明的なセリフ回しと抑揚で、展開を私的ないざこざと、公の状況と示し合わせることにより、場と町の状況をさらに深めていく。

後半には第二場で出演をするサラリーマン(SuzuQui)が登場し、仕事として来たことがわかる。前述した外に出て行く若者とビジネスとしての付き合い方をしており、それに対して好感を持たれている様は、実に親しげながら距離感があり、それに対して若者の好意的な態度と、町から出ていく主張と合わさって、この場の批評的な雰囲気が強くなっていく。

ラストは引き止める事がでぎず、出ていくことになるのだが、締めとしては感傷的であるということより、寂しさが強調される。別れの場を感動的なモノというよりは、虚しさが漂い、セリフ少なげに哀しげな音楽が響く。それはまるで、孤独というものを感じさせる印象で。本来は距離感が近いことを示した町の中での断絶を表しているため、この孤独さというものが浮き上がってきた。繋がりとは、なんであるのか。


第二場

暗転後、現れるのはスナック風な「キャバクラ」である。下手側の2/3をバーカウンター、上手側にL字型のソファーが置かれている。キャバクラと登場人物は説明はしているが、内装は華やかさよりもシンプルで、ライティングも明るさがあり、小規模なスナックのように見える。

ここの場を仕切る「ママ」(凛)はこのシンプルな内装の中で実に華やかな振り袖を着用しており、動き方もゆっくりしたもので、優雅さがある。しかして、どこかトボけた感じはあるのだが、仕事は仕事として扱っているため現実的な考えがあるので芯が通っている。展開と場を取り仕切る様は、優雅で素っ頓狂でもありながらも、力強さを感じる芝居。

第一場で登場したサラリーマンが登場する。本来は帰るべきではあるが、気になったのでこのスナックに来たという。先程はビジネスマンとしてのスイッチが入っていたのに、こちらではオフとして登場する。本場での態度は正しく、仕事が終わった中年サラリーマンの遊び、くたびれた感じの遊び方である。しょうもなく、下らないと一蹴されてしまったらそれまでなのだが、ここに若者と老年の中間点というものがあり、冷めたとも、熱いとも言えない、「ただ割り切って生きている」感じがリアルでの日常の現実感が伴い。滑稽ではある役回りなのだが、リアリティから大きく離れない静かな演技は目を見張るものがある。

スナックということもあり、ママがキャバ嬢・ホステス(りょうらん)を連れてくるのだが、こちらはママよりも抜けているような印象はなく、ハッキリとした感じ。ただ、こちらも年齢層的には中間な位置づけであり、第一場の若者等よりもかなり弱いが不満は持ちつつも、割り切っている。動きも優雅ながらも、スナックの場に対してまだ慣れていない感じの微妙さがポイント。しっかりしたところと、頼りない部分の演じ分けの細かさがあり。個性的な第二場での登場人物の中でも存在感が失われておらず、キラリと光るものがあった。

スナック内での宴が始まるのだが、新人として登場するは第一場でも登場したHONI演ずる老年女性のイケダである。前場でも、話を聞かない、道化としての役回りを演じていたがこの場でも舞台をかき回していく。細かい演技、特に老年の細やかな演技が実にリアルでいて。腰が曲がっているという姿勢なのだが、そこを崩さずに首を使っての演技、大きく動けないという点も崩さず、そのキャラクターの造形にリアリズムを持ってしての芝居は観ている者の心が惹かれるようで。キャラクターに役者を強く感じさせず、観客を物語世界から逃さない実に見入る芝居であり、なおかつ笑いも巻き起こす興味深いものであった。

新人という、老年女性に混乱しながらも観客に笑いが生まれていく中で。後半、老年男性のシマタニ(老咲でんじぃ)が包丁を持って登場する。つまるところ、強盗として押し入ってくるのだが、その登場は緊張感よりもフラッと入っていて騒ぎを起こす・・・というよりは混乱させる。演技として良い具合に声に力が入っておらず、力が抜けた感じで舞台が進行していくためコメディという感じは強いものの、大騒ぎするような状況にはならない。ここの独特な静かさは、舞台全体の雰囲気は前場から続いているのだが、ここに来てもそれが崩れない。緊張感が強まりそうな状況でも、この緩やかさが持続していくのは、老年男性を演ずる老咲でんじぃの演技かと。これからどうなるか、期待したいところである。

強盗に入り場が混乱する中で、新人の老年女性イケダが正体を見抜き、説得というよりは優しく受け入れていく。強盗をした理由を問い詰めるのではなく、受け入れていく様は優しさと温かさがある。ただし、この場では若者とされる者はほぼ出てこない。「枯井戸町」と名のついた町が如く、この場は枯れた印象が強く残る。ただし、枯れたと言ってもそれは決してネガティブなものではなく、その優しさが場に現れる。この優しさは感動するようなものではないのかもしれないのだけども、歳を取るということはどういうことかをゆっくりとしたコメディ調で見せる。

最後にオチはつくが、比較的に綺麗に落ちていたようにも思う。ただ、後述はするが、ちょっとアラっと思ってしまった。

総じてジェネレーション、世代間というものを良く表しており世代によって見えるもの、視点によって変わるということが印象として感じられ。また描き方も、日常から離れたというものではなく、人々の生活をただ観ている。そこには私たちの日常の滑稽さや悲哀などを客観的に観ているようにも思え、ほのかな人を見る温かさのようなものがあった。町はこの舞台での場所ではあるのだが、「町」そのものが登場人物であるかのようにも。

客出し、アフターも実は私達が観ていた駅前は駅前ではなく、町そのものが舞台であったことが明かされる。それを利用しての役者の交流や舞台である町を細かく、その世界を直接に見る体験をできるのは試みとしても新しく。このアフターでも様々なインスピレーションが掻き立てられる。

だが、もっと若者側の話を観たかった。世代的に上の人たちの話の印象があり、物語としてのバランスだと偏った感じがある。第二場で公演終了となった際は少しえっ?となってしまった。公演時間に演者・観客側でのVRデバイスのバッテリー利用の時間的な成約もあるのだが、是非とも続編やPART2として観たい。それだけ、物語に深さや面白さがあるのだから。

うん、良かったのですよ。今後とも追っていきたい。
朗読ユニットさざなみvol.6宮沢賢治名著

朗読ユニットさざなみvol.6宮沢賢治名著

朗読ユニットさざなみ

MUSIC BAR道(東京都)

2024/04/20 (土) ~ 2024/04/21 (日)公演終了

実演鑑賞

演者二人の技量がとにかく高い!
これは高いスキルがないと成立しないでしょうね。

ぜひとも子供向けの公演を行ってほしいなあ、と。
特に「どんぐりと山猫」なんかは絶対うけると思います。

卯月のふたり

卯月のふたり

白猫屋企画

ステージカフェ下北沢亭(東京都)

2024/04/20 (土) ~ 2024/04/22 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

二作品とも、短い時間内にギュッと凝縮されたステキな作品でした。台詞の応酬にあっという間でした。予想を裏切る展開はさすがです。アフタートークで裏話を聞き、より、面白かったです。

トリスタンとイゾルデ

トリスタンとイゾルデ

新国立劇場

新国立劇場 オペラ劇場(東京都)

2024/03/14 (木) ~ 2024/03/29 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

イゾルデ役のリエネ・キンチャ、トリスタン役のゾルターン・ニャリとも途中交代の出演であったが、心配は全くの杞憂だった。バスのヴィルヘルム・シュヴィングハマー(マルケ王)もすばらしい。プランゲーネの藤村実穂子もよかった。私は「ワルキューレ」のフリッカで見た記憶がよみがえった。

『亡国ニ祈ル天ハ、アラセラレルカ』

『亡国ニ祈ル天ハ、アラセラレルカ』

E-Stage Topia

ザ・ポケット(東京都)

2022/03/09 (水) ~ 2022/03/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

麻衣愛さん出演。
麻衣愛さんはTVレポーター「おきまさこ」役。パンフレットでは「沖正子」なのですが、SNSで出ている情報を総合すると、どうやら「興正子」が正しいようです。台本は持ってないですが、きっと「興」と書かれているのでしょう。

沢田美佳さんが望月海羽さんから改名された方だと知らず、気づきませんでした。この8か月後に観劇した「黄泉の国でも愛してる」でも気づかず、その終演後に知ってびっくりしました。「家族と呼ばないで」「朧雲」「宇宙SORA」などでとても印象的だった方なのに。遠目だったので許してください。

チャレンジングな脚本だと思いました。「この物語はファンタジーだ!私達に直面した、リアリティあるファンタジーでなくてはならない!」とあります。なるほど。冒頭でそれを叫んだのは榎あづささんだったかな。うーん、もう一度見たくなりました。DVDまだ売ってますかね。。。

ネタバレBOX

最後の皇族である女性が結婚するときのドタバタを描いたもの。政治的なドタバタですね。
現行法制のままだと、皇族がゼロになってしまうのです。そのあたりに対してはとくに意見ありませんが、確かにその状況になったらいろいろドタバタするでしょう。このお話のように、物理的なドタバタがあるかも知れません。

皇族女性の婚約者が唯一の男性キャストでした。オタクというのが良かったです。庶民的な話にして、感情移入しやすいものになったかと。「筋トレマン」でしたね、佐藤信也さんピッタリでした。

冒頭のシーンはずいぶんと長かったですね。舞台の6年前に発表があった「おことば」のほぼ全文を表現したかったという意図は分かります。たくさんの人が左右に歩きながらそれを暗唱する。間を持たすための苦肉の策にも見えましたが、迫力があって良かったと思います。役者さんほぼ全員参加していたのかな。よく記憶できたなあ、と感心しました。

そういえばこれは再演なんですね。初演は2017年ということは「おことば」の翌年。当時はホットな話題だったことでしょう。
デカローグ1~4

デカローグ1~4

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2024/04/13 (土) ~ 2024/05/06 (月)上演中

実演鑑賞

満足度★★★★

プログラムA:1 計算では絶対起きないはずの事件によって、人知の限界を語る。デカローグとはモーゼの「十戒」のことだが、全10話がきれいに10の戒律に該当するわけではなさそうだ。しかし第1話は「主が唯一の神である」という第1戒律に直結する。そのため、やや抽象的な芝居になったと思う。
2階建てのセットが団地を示す。これからの10話で、コンクリートの箱の住民たちの小さな出来事が演じられていくことが予告されている。

同3 小島聖は、精神的に不安定で危うい女性を演じるとピカイチである。今作でも、元不倫相手の前に突如現れて、彼を巻き込んでいくが、巻き込まれてしまうのも無理がないと思わせる。寂しいクリスマスイブを送りたくない、というのはカトリック国では日本以上に切実かもしれない。それが未婚率上昇に歯止めをかけているかも。

B:2 がんで死にそうな夫と、夫以外の男の子供を妊娠した妻。女は医師に「自分は産むべきか中絶すべきか。教えてくれ」と迫る。ユダヤ人の医師は、収容所で妻子をなくした。子供を失った傷を抱える医師には、妻にいう言葉は一つしかないが…。

同4 ABプログラムの中では、抜群の出来。この1編を見られただけでも、とくに近藤芳正の抑えた動きの中に、葛藤がにじむ演技が素晴らしい。娘の夏子の下着姿もさらす真正面のぶつかりも、父役に負けてなかった。そして結末の見事な回収。途中の娘の動きが、そういう意味だったのかと分かる。ドキドキした緊張と解放を1時間の中で存分に味わえる舞台だった。近藤の演技にあたたかい笑いも多かった。

ネタバレBOX

2では、最後に突然(!)回復した夫が、「僕たちの子ども」ができたと医師に語って喜ぶ。父親は誰なのか。本当に夫の子なのか、何も知らないだけなのか。あるいは夫は別の男の子と知りながら、そう自分に言い聞かせて受け入れているのか。「僕たちの…」に、「間」があったので、夫は不倫の子を受け入れたのではないかと、私は受け取った。

3、4はどちらも最後に、女の話は嘘だったということで、話が収まる。そういう共通点のため、どんでん返しのカタルシスがある。だから、プrグラムを1-3,2-4という組み合わせにしたのだろう。この後は、順番通りのプログラムである。
底ん処をよろしく

底ん処をよろしく

東京ストーリーテラー

シアターKASSAI(東京都)

2024/04/17 (水) ~ 2024/04/23 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/04/20 (土)

大衆食堂「底ん処」の頑固な親父さんと看板娘、そこに集う常連客が織りなす
何気ない物語。登場人物一人一人の人生がきちんと描かれていて、笑いがあり
喧嘩もありながら、そこから生まれる小さな奇跡に感動してしまう。
【A・B鑑賞】

ネタバレBOX

個人的に一番泣いてしまう、キャバ嬢麻衣の告白シーンの後に休憩が入ってくれる
のは助かる(笑)
一樹と翔太の板金工コンビの熱い友情も、ストレートに胸を打つ。
エシュランに認められて、お店の繁盛はもちろん、娘の佳純と坂崎が結ばれるで
あろう未来までも匂わせるラストシーンがとても好きだ。
【BIG MOUTH〜Wake Me Up〜】

【BIG MOUTH〜Wake Me Up〜】

GHETTOプロデュース

Gyoen ROSSO 198(東京都)

2024/04/21 (日) ~ 2024/04/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ブラボー!でした。めっちゃ楽しめました。男だけどw バーレスク東京の女性版といった感じですかね。ポールダンスも最高でした。というか、エンタメとしてすばらしいクオリティでいろいろ勉強になりました。対象者は女性でしょうが男も見るべきですね。同性としてもいろいろ学べるところがありました。素敵な時間をありがとうございます!

オプティーマへようこそ!

オプティーマへようこそ!

A.R.P

シアター・アルファ東京(東京都)

2024/01/24 (水) ~ 2024/01/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

物語は 勿論面白いが,、やはり見どころはダンスシーンであろう。説明にあるオプティーマというホールで踊ることを夢見る少女たち、一方 そのホールで長年トップダンサーとして活躍してきた男の引退という新旧の心情を描いた王道ストーリー。

女子高生ならではの ありそうなシチュエーション---女子高内の対立というか苛め、それをダンス大会での競いに絡め(決着させ)る。同時に父親のダンスへの無理解、それを学業・進学と絡める といった分かり易い展開ゆえ 安定感のようなものがある。
ダンス大会での優勝を目指す、そのためダンスの練習をする。勿論 上手い者も居れば、そうでない者(初心者)も登場させ、日々の練習によって上達するといった姿を観せ共感を誘う。その意味では 女子高生の人間的な成長譚でもある。

多くのダンスシーン、それをダイナミックに観せるため広いスペースを確保する。そのためセットはなし---素舞台だが、後景に情景等を映し出し物語を支える。キャスト陣、特に女子高生役は演技とダンスの違った表現・体現で観客を魅了していた。公演は、幅広い年代層、演劇初心者は勿論 見巧者でも楽しめるような工夫をしており 好感がもてる。
(上演時間1時間40分 途中休憩なし)

演劇を考察してみよう!

演劇を考察してみよう!

無限のネコ定理

王子小劇場(東京都)

2024/04/17 (水) ~ 2024/04/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

チャレンジングな公演が多い劇団だが、本作はそれがちょっと裏目に出た印象。このチケ代で続けているのは評価したいが。

人生快速

人生快速

ネコ脱出

小劇場B1(東京都)

2024/04/17 (水) ~ 2024/04/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

お得意の人情味ある万人に受け入れやすい作品
楽しみました。
ただ私には苦手な演出が多かった。

第37回公演『ライダー』

第37回公演『ライダー』

激団リジョロ

シアターシャイン(東京都)

2024/04/12 (金) ~ 2024/04/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

激しく動き、声量も高くて、とても熱く迫力がある舞台でした。

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