実演鑑賞
満足度★★★
出演者が3人でセリフが膨大な海外の現代口語劇(原作:デイヴィッド・アイルランド、翻訳:小田島創志、演出:大澤遊)。
劇場主でもある男性演出家(前田一世)の手配で、新進の若手女性劇作家(椙山さと美)が人気男性俳優(池田努)と初顔合わせ。彼は彼女の芝居に主演するのだ。明らかに男性2人が優位にある関係性だが女性は全く尻込みせず、全員が正面からぶつかり合う。
役人物の思惑を細やかに踏まえつつ戯曲の要請(明確な意図)にも応える必要があり、臨機応変に柔軟に、でも結果的には緻密に組み立てる演技が求められるのではないか。俳優は大変だったろうと思う。
胸襟を開き本音で語り合うことは美化されがちだが、他者を尊重し思いやる姿勢が不可欠なのだと改めて確認。誰かを傷つけるぐらいなら黙るべきだ。
男性2人は「(戯曲には)歴史が大事」等とたびたび口にする。人間(の歴史)を軽々しくネタにして作品にし、食いぶちを稼いだり名声を得たりするクリエイターのなんと多いことか。私自身、このことには敏感でいたい。
※車椅子で伺い(私は自力で階段の上り下りができます)、劇場の方々に心尽くしの対応をしていただきました。今まで公共劇場しか経験していなかったけれど、本多劇場グループの小劇場公演なら安心して観劇できると思いました。付き添いの家族も助かっていました。本当にありがとうございました。