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サラマンドラの星空

サラマンドラの星空

Jungle Bell Theater

萬劇場(東京都)

2024/10/17 (木) ~ 2024/10/23 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/10/22 (火) 13:00

星チームを観劇。
メキシコにあると思われる「幻の遺跡」を探す人々の現代パートとかつてその遺跡周辺で起きたことの古代パートが併走して進行するアドベンチャー・ロマン。そして古代の船で遺跡を目指し遭難した現代人の意識がかつて漂着してそこに居ついた先祖に宿り過去を体験する(「THE WINDS OF GOD」を想起)というのがまた浪漫。
そんなスケールの大きい「ホラ話(褒め言葉)」だが、装置はシンプルで、それでも実在感(?)を持たせるのは演技・演出に加えて衣装の功績か?
なお、初演である「サラマンドラの虹」を観ていたどころかそれがこことの初めての出逢いだったが、そのことどころか内容もすっかり忘れていたことに15年の歳月を実感。(爆)

ビキニも夢みる白い部屋

ビキニも夢みる白い部屋

KENプロデュース

シアターシャイン(東京都)

2024/10/30 (水) ~ 2024/11/04 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

満席、増席していたようだ。
この演目、10年前にも観ているが、やはり面白い。
説明にある入院先の病院は謎だらけ、外出はおろか、飲食・新聞など外部との接触は一切禁止、おかしな規則が多い病院。そして主人公は主治医より、自身の記憶を失っていると。治療が始まって、段々現実と夢の世界の区別がつかなくなっていき…。物語(表層)はストレートプレイなのに何故か違和感が、この不思議感覚が公演の肝。明るく楽しく、そして おちゃらけた場面で繋ぐが、これらを物語の根幹を支えるショートストーリーのように紡いでいく。
脚本・演出は秀逸だ。ストーリーはネタバレになるので書けないが、途中で話しが散らかり冗長といった感じになり、これをどう収拾するのか。よく使われると思う手法で…見事!

病院という設定から、白衣の看護師が何人か登場する。始めに登場するのが、神崎なお(タオ桃果サン)と婦長 水谷ゆうこ(橋本深猫サン:前回にも出演)。タイトルにあるように 登場する女優陣は皆ビキニ姿になるが、前回より お色気度は少ないような。演技は、生き活きと演じており楽しめた。登場人物のキャラ設定にもメリハリがあり、分かり易い。舞台美術は平凡で、最小必要限であったが、それが逆に芝居に集中させる効果がある。軽妙に展開するが内容はシュール。結末は、冒頭に明かされているのだが、その台詞を聞き逃さなければ…。ぜひ劇場で。
(上演時間 2時間 途中休憩なし) P(ピンク)班  11.3 追記

ネタバレBOX

舞台美術…上演前は病室の仕切りカーテンで見えないが、幕が開くと そこは大(3人)部屋でベットが3つ。上手に病室入口のドアがあり下手に窓がある。3つあるベットには、既に2人が入院しており、そこへ主人公の金田雄太が大怪我をして運ばれてくる。この病院 規則は厳しいが、患者は自由気儘に過ごしている。

上演して直ぐ、暗転したまま 音声で「この物語は僕のモノローグです」という台詞が流れる。ラストになると「なるほど そういうことか」と言葉の意味が氷解する。色々な妄想が頭の中を駆け巡り、登場人物たちの性格や立場が錯綜する、それが物語の肝。そして「人生は舞台だ」「人を傷つけるのも 癒すのも人」等、場面にあった珠玉の台詞が印象的だ。

本作品の初演は2008年だとか。当日パンフに 代表の加納健詞が「今の時代にあわない所も多少ありますが、だからこそ、そのまま上演する事」とあり、「コンプライアンスのコの字もない」とある。<舞台 コメディ>であるが、世の中だんだんと不寛容になり、それゆえ自由度も狭まっていくような。舞台として描くには、主人公=入院患者の立場云々といったことが言われそうな危うさが…。

セクハラ・パワハラ等が厳しく問われるようになった今、劇中そのようなお色気シーンがあるが、せめて舞台という虚構の中では弾けて楽しみたいもの。
次回公演も楽しみにしております。
うすらひの下に、いる

うすらひの下に、いる

ここ風

「劇」小劇場(東京都)

2024/10/30 (水) ~ 2024/11/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

演劇サークルの同窓会。その真の目的は…。題材はかなりシリアスなんだけど、設定があまりにも突飛なので、入り込むことはできず。まぁ、それでもそれなに最後まで興味を持って見ることはできたかな。

『アラビアの夜』&『メイド・イン・ジャパン』

『アラビアの夜』&『メイド・イン・ジャパン』

エイチエムピー・シアターカンパニー(一般社団法人HMP)

ウイングフィールド(大阪府)

2024/10/31 (木) ~ 2024/11/05 (火)公演終了

満足度★★★★★

悲しい生い立ちの二人の少女👧の話沖縄と島根から田舎くさいことが嫌で、東京に家出(沖縄の少女は火事のどさくさに紛れて… 島根の少女は神社の娘)同然に上京 東京で出会った二人は自然に身を寄せあい、懸命に生きていくのだが、毒牙にかかり…
一度死んでるから 何だってできるさ〰️ と言った言葉がとても印象的私を含めたぬるま湯人生を送ってきた人々は果たして、このような場面に出会ったらどうするのだろう✨実にHMPらしかった‼️

#ヘスティア

#ヘスティア

ゴセキカク

シアター・バビロンの流れのほとりにて(東京都)

2024/10/31 (木) ~ 2024/11/04 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/10/31 (木) 19:30

vtuberを使って演劇って、いったい何するんだ!?と思ったら、めっちゃ大真面目に人生の話でした

アフタートークであまねまい氏が指摘してたが、Vtuberをモチーフにするのではなく舞台装置として使っている
今回のVtuberという装置は、演劇的に必要な「物」として存在してた

人と向き合うことって苦しいことだし、でも直視できずに逃げることも必要だし
でも逃げられない現実もあるし。

最前のセンターで観れたのがうれしい

こりっちのチケットプレゼントで鑑賞

ビキニも夢みる白い部屋

ビキニも夢みる白い部屋

KENプロデュース

シアターシャイン(東京都)

2024/10/30 (水) ~ 2024/11/04 (月)公演終了

実演鑑賞

狭い劇場とはいえ、超満員札止めというのはすごい。
お見事です。

ネタバレBOX

観劇前にもしかして多重人格ものかとちらりと頭をよぎったけど、本当にそうだった。
ここのところそういうストーリーのものずいぶんとみてしまったので。
すべてはポーズでしかない

すべてはポーズでしかない

三転倒立

すみだパークギャラリーささや(東京都)

2024/10/25 (金) ~ 2024/10/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

初めての三転倒立。同居する二人、本屋の店員さんとお客さん、ヨガの先生と生徒、姉と弟…と様々な形の二人のやりとりがシームレスに繋がっていくことで一つの町(つまりそれは社会)の様相が浮かび上がってくる。ポーズをとること、とらさられること、とらざるをえないこと…あらゆる世界への問いかけが満ちた100分。
生活の中で遭遇する様々な違和感や疑問、祈りや切実が端々に忍ばされていたように思います。
そういった、なかったこと/知らなかったこと/見なかったことにされがちな事柄に辛抱強く向き合い、光を灯そうとするような作品でした。

他者を恐れ拒む時、それはつまるところ「わからなさ」からだろう。そこを飛び越え、世界を変える事は難しいけれど、飛び越え/変えようとする事はできる。そう信じる自分でいたい。たとえ最初はポーズでも。そして体がとるポーズと心がとるそれは違ったりもする。そんなことを考えたりもしました。

ガラクタ

ガラクタ

MCR

OFF OFFシアター(東京都)

2024/10/30 (水) ~ 2024/11/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ドタバタ劇で楽しめました。「ちょっとでいいから笑ってみよう、そうすれば楽になるから!」がツボりました。ちょっと内輪受けのネタが多いような気がしましたが楽しい時間をすごさせてもらいました^^ 舞台の演出や脚本から察するにPeachboys系の劇団さんなのかな…と。てか、Peachboysの最終公演に出演していた役者さんが出ていたような気がしないでもないかな…と。

セツアンの善人

セツアンの善人

世田谷パブリックシアター

世田谷パブリックシアター(東京都)

2024/10/16 (水) ~ 2024/11/04 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

白井晃さんの作品が好きで見てきました。
正直、ちょっと物足りなかった。主人公のシェンテの葵さんが歌は上手いのだけど、なんか魅力がない。主人公シェンテの持っている良い人オーラが感じられない。「セツアン」はこんな安っぽいミュージカルではないと感じてしまいました。好きなのは3人の神様がなんとも言えない魅力があって、好きです。

ネタバレBOX

最近の白井さんにありがちな、劇場見せます的な、舞台上のバトンや照明が降りてくるのも大して魅力的ではない。綺麗なカプセルホテルのようなセットも、面白いのは冒頭くらいであとは使えてない。客席の登退場もただの通路扱いだし。終始マイクで拾われてる声も役者の声を信用していない感じ。音楽がでかいからマイクなのか?とにかく押し付けがましい音な気がする。
江古田通りを曲がって

江古田通りを曲がって

劇団二畳

FOYER ekoda(ホワイエ江古田)(東京都)

2024/10/30 (水) ~ 2024/11/05 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

江古田の短編集、今回で3回目 シリーズと言っていいのかな。とても滋味に溢れ 心に染み入る公演。
劇団名の通り 畳(タタミ)二畳の空間にシンプルな舞台セットを配置し、日常のありふれた光景を切り取った短編2編。観たのは、「A.箱根旅行の思い出」と「D.あるいはピクルス」で、趣が異なる作品でとても面白かった。当日パンフで劇団二畳プロデューサー 四方田直樹 氏が「物事が進まない人たちの物語」と記しているが、それは その時代に生きた世代によって捉え方は異なる。

公演の魅力は何といっても、アクティングスペースまで50㌢ほどの至近距離で演技を観ることが出来るから、表情は勿論 細かい動作まで分かる。あまり全体を観る必要もなく 勿論 俯瞰するなんてこともない。ありふれた光景ゆえ、共感や納得等することが多い。子供の頃の思い出とは別に、親になって初めて気づかされる場面もあって苦笑。人の機微をしっかり捉え表現しているところが凄い。

「A.箱根旅行の思い出」は、タイトル通り 1990年代 箱根への旅行、宿で家族団欒のひと時を過ごすはずが、何故か楽しめない。旅先だから といった特別・非日常を大切にするか、旅行も日常の一コマと捉え淡々と過ごすか。ラスト、祖母が孫娘(次女)に囁いた言葉が強烈だ。

一方「D.あるいはピクルス」は、日常の生活というよりは、過去と現在の時間が或る出来事(事故)で分断され、新たな暮らしを得た といった不思議な心情を描いている。登場人物は3人で、始めはその関係がどうなっているのか戸惑うが、だんだんと事情が分かってくると少し切ない。
(上演時間70分 1話/2話の転換に2分 休憩なし)

ネタバレBOX

●「箱根旅行の思い出」
1990年代の初頭、松田一家は箱根に家族旅行に来ているが、二人の娘(長女:北斗と次女:昴)は携帯ゲーム機でロールプレイゲームに夢中。せっかくの箱根旅行だが、観光なんかそっちのけ。父 司郎は湯上りにビールを買おうとしたが 高いため躊躇する。母 桃子だけは楽しんでいるが、家族の思いはバラバラ。司郎の金を使ってまで旅行なんて という思いは実感。両親と娘たちのゲームを巡る攻防は、その都度 昴が仲に入り取りなす。祖母 金子かのえ は、昴に向かって「人の顔色ばかり見ないこと」と諭す。

「あるいはピクルス」
登場人物は3人。野口千佳が、この古民家(FOYER ekoda<ホワイエ江古田>)を訪問するといった感じで、会場入り口から入ってくる。チラシの説明によると、彼女は望まぬ形で関係を終わらせた中田伸雄のことが忘れられず、彼が現在交際している芝崎このみ と共に借りているアパートを訪れる。そのアパートが古民家。劇中、彼が事故で記憶障害になり、千佳のことが思い出せないと。過去の経緯が話されず曖昧、そこに千佳の未練と決別の思いが読み取れる。設定は20歳代のようだが、ずいぶんと大人びた雰囲気の会話劇。

舞台セット…「箱根旅行」は宿の部屋、卓袱台と座布団、下手に古くて小さい和箪笥と黒電話。上手に温泉があるようで、湯上りの浴衣姿が旅情を醸し出す。一方「ピクルス」は、テーブルと椅子3脚。それぞれシンプルであるが、物語を紡ぐには十分。因みにゲーム機から漏れ聞こえるのは、ドラクエの神曲のようで 懐かしい。箱根旅行では、母 桃子が少し呆れて冷蔵庫の瓶ビールを飲みだすが、その時にビールの香りが…。湯上りで温泉の独特の匂いが漂えば完璧か。
次回公演も楽しみにしております。
いびしない愛

いびしない愛

(公財)可児市文化芸術振興財団

吉祥寺シアター(東京都)

2024/10/25 (金) ~ 2024/10/31 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

地方都市可児市(確か名古屋周辺)の公共劇場は芸術監督に東京の演劇人を迎えて演劇活動を行ってきた。東京から俳優も参加して東京公演も行ない積極的な活動をしてきたが、コロナ明けのこの公演の席ビラには芸術監督の名前は見当たらない。その詳細は解らないが、人間が身を挺してやる演劇にはコロナは様々な形で深い打撃を与えたのであろう。この作品は新人の劇作家、ベテランのプロ演出家による地方を舞台にした一幕劇である。
コロナ禍の中で出発した作者・竹田ももこは、故郷・高知南西部の独特の風土を舞台にしたこの作品で劇作家協会の公募作品に入賞して劇作家として出発した。演出のマキノノゾミはその最終選考にあたっている。舞台を製作した中京地方の可児市とは関係ないが地方の演劇団体が製作する作品として、選ばれたのかもしれない。1時間半の小品である。
内容は地方に生きる地場産業の工場(海産物の加工工場)が舞台に取られており、経営にあたることになったに二・三十代の女性姉妹の葛藤がドラマの軸になっている。こういう地域社会の特性を生かした舞台設定で成功した作品は多くある。四国のへき地はさまざまな作者に描かれたことがあるが、この作品も風土のなかに紛れもなく日本の現代の地域社会の課題を巧みにとらえている。登場人物の配置も、筋立てもうまいもので、ベテランのマキノは舞台にアクセントをつけて運んでいる。しかし、地域産業の課題、身体障碍も含む姉妹の葛藤、都会と地域の地域差に生きる人々の社会観など、多くのテーマを同時並行で一場(昔からある漁業の作業小屋の工場の事務室・このセットは非常に良く出来ていて感心するが)で五人の登場人物のやりくりで扱おうとしたために、全体として薄味になってしまってせっかくの特異な場面設定が生きていない。
かつて数年前にこの劇場で見た同じく漁村を舞台にした庭劇団のペニノの「笑顔の砦」のような圧倒的なリアル感が乏しい。僻地物でも蓬莱龍太の「デンキ島」の離島の少女の焦燥感のような存在感がない。そのような孤立感からは逃れているところがこの作品のいいところでもあるが、それならそこにもっと心を打つ真実が欲しい。それは東京でも上演される地方発の多くの作品にも言えることなのだが、無理を承知でi言えばそこを描いてこその地域演劇である。


セツアンの善人

セツアンの善人

世田谷パブリックシアター

世田谷パブリックシアター(東京都)

2024/10/16 (水) ~ 2024/11/04 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

貧困、犯罪、詐欺、堕落の限りにある地区セツアンで神からも認められた唯一の「善人」にして
身体を売らないと生活できないシェン・テ、という人物設定がすごく皮肉めいている(善い人が
貧民街で一層下の地位にある)のと、

シュイ・タって現代的にいうとシェン・テの“裏アカ”だよね。シェン・テが決して表立ってできないこと、
言えないことを代わりにやってのけることでそのストレスや抱える負担を減らしてるわけだから。
80年前の舞台と聞いたけどイヤにリアルな人物描写といい、まったく古さを感じさせなかったのが凄い。

ネタバレBOX

自らが作った世界にいる「善人」を見つけるべく、長い長い旅に出ている神さま3人組。
自分たちに冷たいセツアンの人々を見て肩を落とすも、唯一宿を与えてくれたシェン・テを
「善人」と認定し、お礼にお金を与えてくれた……

のだが、シェン・テがそのお金で新しい店を開いたところ、セツアンの人々がおんぶにだっこで
自分に「寄生」するため、たまりかねたシェン・テは冷徹かつ感情に揺さぶられない企業人にして
いとこのシュイ・タへと成り代わり、やがては大きなたばこ工場の企業主として辣腕を振るうことになるが……

ブレヒトは生前、アメリカや西ドイツを離れて東ドイツで終生暮した、筋金入りの共産主義者にして左翼
なんだけど、シェン・テやセツアンの人々を社会の底の「犠牲者」「殉教者」として描き切らないのが
いいなと。

セツアンの人々はいい意味でも悪い意味でも考えなしで無邪気でその日暮らしでやっている、善人とみれば
利用することしか考えない性質の人々だし、シェン・テもそうした人に悪態はつくし、「人に施すのは
気持ちいい」と告白することからして汚れなき本心から善行をやっているのとは違って、いかにも現代的な
「承認欲求」が見え隠れする単純じゃない人物だなぁと。

さっき“裏アカ”の話したけど、誰かに貢いじゃって気持ち良くなるタイプの現代人にも通じるキャラ造形なのよな
シェン・テって。そういえば「夢語る系」だけど金の工面も手に汗かいて仕事もできない、ただのパイロット
志望なヒモ男のヤン・スンにハマってる姿とか、お金全然ないソープ嬢や女子大生あたりがホスト狂いする構図と
全然変わらなくって怖い……。現代が80年前と実は同じ、ってことでもあるのだけど。

それでいうと、シュイ・タが仕切ったたばこ工場、使われてる人にとってすれば「搾取」かもだけど、舞台から離れて一連を観察しているこちらからすると、セツアンの人たちもヤン・スンも働く前よりよっぽど生き生きしててどっちがいいのやら、と正直思った。おそらくだけど、8割の人がそう感じたんじゃないかな……?

ブレヒトの批判的な目は、善人を善人のまま生かそうとしない神さま(宗教)、ひいては社会に向けられていて。
神さまや社会は、人々のためを思って善行の限りを尽くす善人を口を極めて称賛するけど、相手が苦しいと知るや
「善人は試練によってさらに磨かれるのじゃ」「手を差し伸べることはびた一文えできないのじゃ」といって
無力な存在を装う。そうした態度をブレヒトは、「何なんコイツら、世界を創造したはずなのに口だけ回って何も
できない連中なんじゃん、そんなの尊重する意味ってあります?」と嘲笑しているようにも思えました。

また、神の調停ですべてが最後に解決する古代ギリシアの演劇と違って、神は「セツアンの善人」でただ舞台を去っていく
存在に過ぎず、シェン・テはじめ街の人たちの問題はノータッチで宙ぶらりんにされる。これは、「神なんてもう
この世界には存在しないも同然なんだよ(=問題解決の最終手段ではない)」という左翼的なメッセージとともに、

「あらゆる問題はこの舞台に立つ自分たちが誰よりも何とかしなきゃいけないのであり、“いい結末”は自分たちの選択と
振る舞いで全部決まるんだよ」という、広くみれば「選挙の一票」にも通じる息の長い「政治劇」だとも感じました。

コインランドリーの乾燥機をデカくしたような舞台装置、いざ暮らすにはせまっ苦しくてこの舞台には合ってる気がした。
そしてヤン・スンは気持ち悪さと痛々しさで本作のMVPといえるなぁと。とにかく男がそろってヤバいやつしかいない(唯一
水売りだけが相対的にマトモ)あたり、ブレヒトが男性なのも併せて考え込んでしまう……。
江古田通りを曲がって

江古田通りを曲がって

劇団二畳

FOYER ekoda(ホワイエ江古田)(東京都)

2024/10/30 (水) ~ 2024/11/05 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

本当に狭い古民家だから、役者と面と向かう感じだが、皆いい表情をしていた
旅行の思い出はお母さんがひとり思い出作りに奮戦する感じだが、家計の事情など今の若い人には「そんなに?」という感覚かもしれないものの、自分らの子どもの頃には「そうだよな、なかなか家族旅行なんてね」というところもあって大いに共感できた(特にお父さん)
たきざわちえ象さんが分かっているのかいないのかのとぼけたおばあさんを好演
お母さんのイライラの様子も良かったな
その最初と最後の呼応もなるほどと思わせた
早坂君は訪ねてきた昔の教え子を思い出せず、昨今の事件のような詐欺か強盗と勘違いしてひと騒動
ちえ象さん早坂君でも良かったが、設定の年齢、病状からするとちょっと動きが俊敏過ぎたかな
丸山小百合さんは「おっ、いつもと違っておしとやかじゃん」と思ったが、途中でちゃんといつもの感じになった(笑)
やっぱり四方田さんの世界は、さりげない日常の中で起きるちょっとしたハプニングを温かく描いて、ほんわかした気持ちで会場を去ることができるから好きだな

バード・バーダー・バーデスト

バード・バーダー・バーデスト

南極

すみだパークシアター倉(東京都)

2024/09/19 (木) ~ 2024/09/23 (月)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★

南極ゴジラの、最後に向けてどんどんアツくなる演出すき

『本棚より幾つか、』-短編演劇祭-

『本棚より幾つか、』-短編演劇祭-

楽園王

新宿眼科画廊(東京都)

2024/08/02 (金) ~ 2024/08/06 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

Aプログラム観劇。
とにかく特徴的だったのが、切りの良いところではなく、文をまたいで台詞を切る点。全編に渡って徹底されていたので、意識的かつ演出の柱であることは間違いないと思う。
発話としてはかなり不自然なので最初驚いたが、これがある種の異化効果として働いたのか、有名な原作テキストも違った味わいに。
オリジナル脚本の"風"も会話劇に差し込まれる妙に医学的な長台詞が印象的。
自然な演出で感情移入させるよりも、異質なものを提示して意識を惹くのがここの作風なのだと感じた。

現像 世田谷区桜上水09.2024

現像 世田谷区桜上水09.2024

富山のはるか

桜上水民家(東京都)

2024/09/27 (金) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

まず、人気のない住宅街の中の見知らぬ民家に入っていく時点で不気味な気分になっているのはホラー作品という前提があるからか…。

会場は二間続きの居間で、客席はキッチンと室内窓で繋がっていて、かつ家具類や多数のオーナメントなど、他人の感性に埋め尽くされた側に並べられている。この空間の中では自分こそ異物なのでは…という感覚に襲われ、物語の内容も相まって、つい外やらキッチンやらをチラチラ警戒してしまった。何かの結界を破ってしまったような、胸騒ぎのする公演でした。

こもれびラジオ

こもれびラジオ

劇団BLUESTAXI

テアトルBONBON(東京都)

2024/10/22 (火) ~ 2024/10/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

面白ろかったです。所々、クスッと笑わせてくれるようなシーンやホットウォーミングな気持ちにさせてくれはりようなシーンが心に響きました。

七曲り異聞・隠れ処京香

七曲り異聞・隠れ処京香

劇団芝居屋

中野スタジオあくとれ(東京都)

2024/10/22 (火) ~ 2024/10/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

面白ろかったです。うまく言えないですが気持ちがあったかくなりました。ありがとうございました。

セツアンの善人

セツアンの善人

世田谷パブリックシアター

世田谷パブリックシアター(東京都)

2024/10/16 (水) ~ 2024/11/04 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

娼婦のシェン・タから、いとこの男シュイ・タにかわる葵わかなの一人二役が面白い。仮面をし、衣装もルーズでパステルなシェン・タから、びしっとスマートなシュイ・タと違いが際立ち、めりはりがついた。
テキストレジーのせいか、冗長さはなくテンポよくすすんだ。
脇役もよかったが、とにかく葵わかながきらきら光っていた。

ネタバレBOX

先日の俳優座の「セチュアン」は、社会主義参加がいまはぴんと来ないと大きく変えていた。今回はセリフはほぼそのままである(歌が省かれたり短くはなっていた)。それで見ると、資本主義批判・社会主義参加という社会批判より、この世の中で善人であることは、どこまでいられるのかもつのか、という生き方の問いに収れんされると思う。

最後の裁判場面の中身が意外と印象うすい。最後だけは有名。「この世で善人では生きられません。助けてください」というシェン・テの願いに、神さまは「シュイ・タでいることを段々減らすのじゃ」というだけで、シュイ・タを全否定はしない。最後に老人役の小林勝也が、客席に「皆さんで考えてください。良い結末を、よい結末を」と呼びかけて終わる。

ただ、この劇の善人とは「他人に慈悲を施すこと」「困った人を助けること」に矮小化されている。俳優座の、いとこのシュイ・タを合理的な資本家として描いた芝居を見た後のせいか、この芝居の善人性がただのお人よしにみえてしまって、共感しきれない。「地獄への道は善意で敷き詰められている」とは社会主義者レーニンの言葉である。
芭蕉通夜舟

芭蕉通夜舟

こまつ座

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2024/10/14 (月) ~ 2024/10/26 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

12年前の公演は見てないので、初めて見た。三十六歌仙にちなんで、36景で描く芭蕉の生涯。こんなに場面転換が多いのは井上ひさしには珍しいと思ったが、実際見てみるとコントの連続のようで、「日本人のへそ」につながるつくりである。

ただし「芭蕉通夜舟」はほぼ一人芝居。内野聖陽が、硬軟取り混ぜ、おかしみや寂しさや決意などを豊かな表情と所作で見せた。セリフ量も膨大だし、内野の(文字通り)身体を張った大奮闘はすごかった。何度もある厠の場面のユーモアや、「俗世間から抜けきれない、脚を片方いれたまま」をごろっと土間にネッ転びながら、片方の足をお座敷の舞台にかけてしゃべるなど、芸も細かい。文机をひっくりかえすと、金隠し付きの便器になる小道具は秀逸だった。

一生の中でも「奥の細道」はいくつも場面を書けて、ボリュームがある。佐渡の場面では、内野が舞台を飛び出し、客席上の横の渡り廊下で演じる。客は首を上にひねって見上げるので、天井横に投影された光の群れを、まさに天の川のように見ることになる。

井上ひさし中期の作品だが、下ネタが多く、結構野卑。若いころの芭蕉が属した談林俳諧は言葉遊びがメインだそうで、ここでも初期の井上ひさし流のダジャレが多くて楽しめる。「わび・さび」を経て最後に芭蕉が辿り着いた境地が「俗っぽさ、滑稽、新しみ」というのも井上ひさしの信条と重なっている。井上ひさしにしては、わが意を得たりと思ったのではないか。しかし芭蕉の高みを目指す三つの要素が、世間に広まると通俗化して、ただの色気と悪ふざけになってしまうのが、今も変わらぬ、人間社会の悲しさだった。

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