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迷光、あるいは、残照。

迷光、あるいは、残照。

風雷紡

小劇場 楽園(東京都)

2026/02/11 (水) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

サイコなんだけどなんとなくノスタルジックで既視感ありつつも、重く見ごたえのある作品だった。
多重人格という設定も誘拐も全ては親子の愛ゆえか。
人格の変わる瞬間は少し微妙だったが、演じ分けはとても良かった。

『100歳の少年と12通の手紙』『ベイビーティース』

『100歳の少年と12通の手紙』『ベイビーティース』

劇団俳優座

俳優座スタジオ(東京都)

2026/02/06 (金) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

『ベイビーティース』

タイトルの意味は乳歯。ミラは中学生なのにまだ乳歯が残っていてグラグラしている。

精神分析学の創始者、フロイトは生物が根源的に持つ生へのエネルギーの正体をリビドー(性的欲望、性衝動)だと定義した。全ての人間の行動の原理はこの変形に過ぎないと。(その後、晩年にフロイトはエロス〈生の本能〉とタナトス〈死の本能〉を提唱する。)
今作はそれを踏まえ、生きるということの表現に性欲を表出し解り易く提示。伊丹十三みたい。

オーストラリアのリタ・カルニェイによる2012年の戯曲、2019年に映画化された。映画ではミラは高校生にされている。

難病を抱える中学生のミラ(髙宮千尋さん)、精神科医の父親ヘンリー(脇田康弘氏)、精神が不安定な母親アナ(小澤英恵さん)。駅のホームで意識が遠のき鼻血を出すミラ。ベンチで見ていた薬の売人モーゼス(藤田一真氏)が自分の服で拭ってやる。「御礼という訳じゃないが少し金を貰えないか?」金目当ての半グレ。ミラはヴァイオリンのレッスン代50ドルを渡し「髪を切ってくれ」と頼む。

死を前にした少女の最初で最後の恋、ままごとのような。それにしても相手は屑過ぎた。父親も母親もうんざり。だがもう時間がない。猶予はない。「せめて娘を傷付けないで」とお願いするしかなかった。

余りにも小澤英恵(はなえ)さんが凄すぎ。「どうしてもこの役をやりたくて復帰した」とのコメントがあったがそれがよく伝わる。冒頭から落ち着きがなく躁鬱が交互に押し寄せる不安定な女性を表出。しかも一人娘は治る見込みのない死の病を抱えている。どうしたらいいのか分からない母親の苦悩。患者待ちの旦那に不意に性行為を求め、パンティを脱ぎ捨て服をはだけブラジャーだけになる。暴発する感情の制御が効かない。妙に性的魅力に溢れていて娘のヴァイオリン教師のギドン(河内浩氏)は下心を隠さない。怒濤のキャラクター像はまさに「ブレーキの壊れたダンプカー」。
異儀田夏葉さんに演技の感覚の種類が似ていると思った。原日出子や藤田弓子系の美人。この人の作品はもっと観てみたい。
※ゆで卵丸呑みは白身だけの奴を用意したのだと思う。

お隣に越してきた妊婦トビー(稀乃さん)はいつも愛犬ヘンリーを捜している。その妙な人懐っこさに隣家のヘンリーも悪い気はしない。
稀乃さんは辺見えみりみたいな美人。『カタブイ、1995』の沖縄防衛局職員だった!

いつもヘッドフォンを着けたまま夜遅くまで一人でうろついている少年トゥオン(長島安里紗さん)。高名なヴァイオリン奏者の方に特別出演して貰ったらしい。
ネグレクトのベトナム人移民設定らしいが判り辛い。
第二次世界大戦前後、ソ連による侵攻併合を受けてラトビア人難民の多くはオーストラリアに移民した。ヴァイオリン教師ギドンはそのラトビア人移民。演ずる河内浩氏は饒舌な吉幾三みたいな狂乱キャラに。ノリノリ。
今作の作家もラトビア系、父親がラトビア人移民。

藤田一真氏は『少年Bが住む家』の保護観察官役。今回は真逆の役を巧くこなす。内面を全く見せない男。キッチンで煙草に火を点け、小澤英恵さんに見付かり「家の中は禁煙よ!ここでは吸わないで!」が何度も繰り返される。

髙宮千尋さんはいつもぼんやりと何処かを見ている。目の前ではない何処か彼方を。

場内スタッフ、客席誘導員のスタッフとして清水直子さん、志村史人氏、斉藤淳氏···とは豪華過ぎ。全員主演クラスの看板俳優、世が世ならスーパースターだよ。恐るべし俳優座。

ネタバレBOX

誰もいない診療室でヘンリーは自分にモルヒネを打っている。偶然入って来たアナはそれを目撃してしまう。病がどんどん悪化、酷い苦痛に耐えかね何度も鎮痛薬を求める娘に致死量の薬を渡したこと。錠剤の数次第で死ぬことが出来ると。愛する娘にそんな処方を決断せざるを得なかった父親の苦悩。患者を治療することが職務の医師が人に見せてはいけない苦しみ。モルヒネで麻痺させるしかなかった。「これについての話はまた今度だ」。脇田康弘氏の名シーン。

最後の夜、ミラはモーゼスに頼む。枕で自分の顔を押さえて窒息死させてくれと。多分、苦しくて暴れるだろうけれどそれは肉体の本能的なもので私の意思ではない。私は死んで楽になりたい。何度も拒否し続けるモーゼスだったが到頭ミラの抱えた耐え難い苦痛を受け入れ、言われた通りにする。枕を当て強く押し付ける。長い沈黙。しばらくして手や足が痙攣。ずっと押し当てる。更に酷く暴れるようにジタバタするミラ。それでも放さない。力を込めて押さえ続ける。押さえる。押さえる。押さえ···、急に手を離し二人は抱き合ってキスをする。「ほら、今ので歯が抜けちゃったわ。」
涙が零れる名シーン。この作品の全てがここに凝縮されている。髙宮千尋さんと藤田一真氏はこの一瞬の為に全てを紡ぎ続けた。

その後トイレに立つ時、ミラは手話で虚空の誰かと話す。

観客の感覚としては、ギドンのエピソード、トビーのエピソードが唐突で流れに自然に嵌まっていない違和感。逆に一番観客が気になるミラとモーゼスの話が薄い。

ギドンの叱咤からアナは何かに気付く設定なのだが、ギドンのキャラがどうもよく分からない。何か観せたいもの伝えたいものが饒舌過ぎて観客に誤解を招いている。

実は母親アナの設定はプロを目指していたピアニストで結婚出産を機に断念したらしい。それからずっと弾こうとしなかったピアノをラスト、弾いてみる。

場面転換が暗転してのセット替えばかりなのでテンポが悪い。『存在証明』のようにカットとカットの繋ぎを工夫して貰いたい。複数のシーンを並列させ役者の移動だけで成立させたり、フェード・アウトとフェード・インを重ねたり、台詞の独白中に時間を経過させたり。結構強引なことをやっても面白ければ観客はそれを支持するもの。

ただ、劇団のアトリエにて何の制約もなく演出家の気の済むまで自由にやらせる空間も素晴らしい試みであることは確か。心ゆくまでやりたいようにやってみて、という劇団総意のバックアップ。この社風だから人は育つのかも知れない。

Manic Street Preachers 『Hiding in Plain Sight』

穏やかな行進に連なっている
雨の中に君が立っているのが見える
そう、これが終わることは解っていた
いつどこで終わるのか知らなかっただけ

穏やかな行進に連なっている
どうか僕を連れ戻してくれないか?
かつて爪先を砂に浸し
走っていたあのビーチへと
迷光、あるいは、残照。

迷光、あるいは、残照。

風雷紡

小劇場 楽園(東京都)

2026/02/11 (水) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

印象的だったのは、丁寧で自然な演技と余白を残したセリフ回し。解離性障害の深淵や人間関係の揺らぎが表現されていました。また、楽園の舞台中央の柱を現実と空虚を分断させるよう活用していて余韻を深めていましたね。

踊るように泳ぐあなたと

踊るように泳ぐあなたと

aotoka

小劇場B1(東京都)

2026/02/12 (木) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2026/02/12 (木) 19:00

特に女性にとってどうしようもなく哀しいお話なんだけど、きちんと明日を見せてくれて良かった。

ネタバレBOX

観ていて辛くなる部分もあり思わず涙があふれ出た。
でも舞台上の美学が心を浄化させてくれたような。
ラストもタイトルなるほどなと感じさせるものでした。
迷光、あるいは、残照。

迷光、あるいは、残照。

風雷紡

小劇場 楽園(東京都)

2026/02/11 (水) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「大人の鑑賞に堪えうる上質な洒落た切ないサイコサスペンス」という言葉どおり、落ち着いた雰囲気の中に緊張感が続く舞台でした。
役者さんたちの演技がとにかく丁寧で、登場人物達の内面が少しずつ見えてくる感じに引き込まれます。
多重人格の名前を『源氏物語』から取っているところも、個人的には洒落ていて印象に残りました。
驚きの展開よりも、人の心の奥にある痛みや孤独を丁寧に描いていて、観終わったあと、静かに余韻が残る舞台でした。

「夜の横顔」

「夜の横顔」

劇団ジャブジャブサーキット

サンモールスタジオ(東京都)

2026/01/16 (金) ~ 2026/01/18 (日)公演終了

実演鑑賞

岐阜の劇団、ジャブジャブサーキットが創立40周年、(東京などへの)ツアーとしてはファイナル、という区切りと次への一歩の公演。 100分。三重からスタートし1月18日までサンモールスタジオ、そのあと2月に大阪。

https://kawahira.cocolog-nifty.com/fringe/2026/02/post-f9420c.html

眠レ、巴里

眠レ、巴里

華翔

中野スタジオあくとれ(東京都)

2026/02/12 (木) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2026/02/13 (金) 19:00

実話ベースの物語を手慣れた役者陣が演じる。面白いけど切ない。(前説で2分押し)69分。
 初見のユニットだが、松岡洋子が出るので観に行った。1985年の板橋姉妹餓死事件をベースに竹内銃一郎が書いた戯曲で、いろいろなところで上演されていて、別ユニットで2022年にも観たことがある。パリの三つ星ホテルで姉妹があれこれ浮かれて取り留めもない会話を続けているが…、の物語。実は切ない物語だと知っているのを、華やかに、特にエンディングを華やかにする演出で、余計に切なさが目立つ。役者陣はベテランでしっかりした演技。背景の「窓の外」の美術が美しい。

film 9

film 9

パフォーマンスユニットcoin

シアター・バビロンの流れのほとりにて(東京都)

2026/02/13 (金) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い。
表情と身体表現のダンスパフォーマンスだけだが、そこに自分なりの物語性を想像することが出来る、そこが魅力の公演。自分の内で物語が自由に膨らんでいく心地良さ。まさに「踊りで物語を紡ぐイマーシブ・ダンスショー」の謳い文句にふさわしい。前作「東京夜行」が素晴らしかったが、今作も観応え十分。

チラシとタイトルから映像(記憶や記録等)をモチーフにしたイマーシブ・ダンスショーを思い描いていた。確かにその通りのような気がするが、さらにダンスの形態そのものが物語に組み込まれている、いわば劇中劇のような表現になっている と感じた。
(上演時間1時間15分 休憩なし)

ネタバレBOX

会場入口側が正面、その左右にも客席を配した三面客席。正面奥には平台、上手奥にも別平台を設え、中央にアクティングスペース。正面右側にテーブル、収納BOXや飾棚があり、至る所にポストカードが吊るされている。下手の壁に「ナイン座」のプレート。
全体的に昏いが ダンサーの衣裳はデザイン違いの白色系で統一。人によってはグレー系格子状のワンポイント飾りを着けている。前作も色彩に拘っていたが、本作も同様。ラスト、この配色によって或る世界観を連想したが…。

始めは6人での群舞、お披露目的な意味合いもあるだろう。それから単独もしくは複数人によるダンスだが、それがクラシックバレエ・ソーシャルダンス・ダップダンスそしてコンテンポラリーダンス等といった多彩な形態で踊る。その度 衣裳を変えるが、基本は白・黒・灰の3色彩。

タイトルから 既成の8㍉filmとは違った「9film」という独自の世界を描いているのだろうか。「ナイン座」というホールもしくはショークラブといった所が舞台。始めの群舞は賑やかな頃のイメージ、それから各自のダンスはそれぞれがショーで踊っていた頃の想いを込める。何となくウエスト・サイド・ストーリーを連想させるようなダンスもある。すべてのダンスシーンに音楽/音響が寄り添うように奏でられる。全24曲「閃光少女(東京事変)、少年時代(井上陽水)、Fit As a Fiddle(映画 雨に唄えば)等」。活躍は 今は昔、寂れ廃れた追憶に過ぎない。吹き荒ぶ風のような音、それが荒涼感を表している。

ラスト、7人目のダンサー(演出兼任の阿部さくらサン)が現れ 夜空に見えない星があることも忘れないでほしい といった言葉。ちなみにダンサーはノンバーバルコミュニケーションであるが、時々 詩の朗読が挿入される。衣裳の白は生、黒は死、灰は生死の狭間をイメージ。昏い中で白衣裳で等間隔に横並びすると鯨幕のよう。

物語は 踊っていた若かりし頃、それがfilmに刻まれた記録と追憶になっている。皆が灰色のワンポイント飾りを外し舞台に置く、その行為はこの世(未練)と決別し昇華していくような清々しさ。人や物に永遠はなく、いずれ死や廃がくるが、他の人の中に思い出として生きる。それが見えない星のことを忘れないでに繋がるのでは…。舞台という視覚に訴える物語(虚構性)とは違ってダンスを通して、想像するという楽しみを味合わせてくれた好公演。
次回公演も楽しみにしております。
ヂャスヴュラ

ヂャスヴュラ

おぼんろ

本多劇場(東京都)

2026/02/12 (木) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

稽古場開錠(平たく言えば稽古場見学?)と言うのに参加した私は、冒頭「どうした?ザビギジン!タミッケル!!何があった?」と言う気分でした・・・

ヘカベ/ドゥロイケティス

ヘカベ/ドゥロイケティス

お布団

アトリエ春風舎(東京都)

2026/02/12 (木) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

ステージには小さい箱馬が4個ずつ4列並べられている。炎のように光が揺らめくキャンドル型LEDライトがその中に入っている。奥に定型の箱馬が椅子として6脚並び、背景に白い幕が掛かっている。下手に置かれた2脚の箱馬、様々な用途に使用。

まず中野志保実さんが現れ観客に説明を始める。劇の始まる前に既に死んでいる少年ポリュドロスの亡霊として。

十年続いたトロイア戦争にて到頭ギリシア連合軍がトロイアを討ち破る。トロイア人の男はほぼ全員惨殺され、女だけが奴隷として連れて行かれる。老いた王妃ヘカベ(新田佑梨さん)、侍女のムネーサ(永瀬安美さん)。娘の王女ポリュクセネは想像を絶する性暴力を受け正気を失ったまま。
ギリシア連合軍司令官のアガメムノン(宇都有里紗さん)、参謀オデュッセウス(大関愛さん)、伝令タルテュビオス(中野志保実さん)。
海が荒れて航海がままならず、途中の小国トラキアに停泊させて貰うことに。トラキア王はポリュメストル(渚まな美さん)。実はヘカベはこの国に王子ポリュドロスを金塊と共に預けていた。戦争で全ての子供達は殺され残る希望は彼だけに。

何の情報も入れずに観たので随分とイメージが違った。ルックスの良い若い女性ばかりの劇団?服装もカジュアルで等身大。頭でっかちの観念系ではなく普通に面白い。

大関愛さんは「国境なき朗読者たち」の『朗読劇 The Message from Gaza ガザ 希望のメッセージ』で観た。
宇都有里紗さんは連合赤軍にいそうな雰囲気。眼鏡を掛けるとハンジっぽくもある。
中野志保実さんは妙に不穏な雰囲気。
渚まな美さんはちょっと松本典子っぽい。
新田佑梨さんはイントネーションに独特のものがあり、顔立ちからハーフ?とも思った。
永瀬安美さんは品の良い美人でやたら気になった。
これは大塚英志の『「彼女たち」の連合赤軍』を演るべき面子だろう。

一昨年、清流劇場の『へカベ、海を渡る』を観て、こんな暗い話に何故人は惹かれるのか?と思った。今作のアプローチは現在進行系の戦争と通じるように作られている。やはりガザ地区の嘆きにリンクする人が多いだろう。遠い昔の伝説ではなく、今現在起きている事実。そしてそれをよく知る自分達は無力でほぼ何も出来ない。ただ呆然と立ち尽くすのみ。その怖ろしさ。今作を眺める観客と全く同じ。ただ黙ってソレを眺めている。怯えながら。
是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

「ドゥロイケティス」とはギリシャ語の「奴隷」と「家」を組み合わせた言葉らしい。奴隷の家?

一番の見所は悲鳴の合唱。オデュッセウスが生み出した禁忌の化け物にポリュクセネは凌辱される。その最中、不意に宇都有里紗さんが奇声を上げる。獣のような悲痛な唸り声に何人もが声を重ね奏でるのは地獄のメロディ。気付くといつしか誰もが悲鳴を上げていた。世界中の誰も彼もが。何だこの声は?一体誰の声なんだ?ああ、これは。これは俺の声だ。俺が叫ぶ声だ。『もはや、自分は、完全に、人間で無くなりました。』

オデュッセウスのキャラクターが練られている。戦争中捕らえられ処刑されるところを泣き叫びながら惨めに命乞いをする。憐れに思ったヘカベが処刑を止め逃がしてやる。その恩は感じつつ現実には何も出来ないオデュッセウス。兵士の不満を治める為だけに、ただの宗教儀礼と知っていながらポリュクセネを生贄に捧げる。全てが計算尽く、下の者を統率する為の方便、最早それにがんじがらめ、自由意志なんて何処にもない。統治する為の最適解に血塗られていく。

禁忌の化け物には核兵器や生物兵器などのタブーを重ねた。
ハッピーハードラック

ハッピーハードラック

sitcomLab

恵比寿・エコー劇場(東京都)

2026/02/11 (水) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

T2の彼女・ユッコ役の日永麗が体調不良ということで、先週の『幻のイントルーダー』に出ていた天野麻菜が代役に。相変わらず、ややこしくて面白い状況を作るなあというホンだが、ここはBGMを入れなくても、役者の技量と演出でドカンといけるんじゃないの?と思える箇所もあったりして、その辺がちょっと勿体ないなあと。

黒百合

黒百合

世田谷パブリックシアター

世田谷パブリックシアター(東京都)

2026/02/04 (水) ~ 2026/02/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

幻想文学の泉鏡花原作とのことだが、ストーリーは面白かったし、演出も、現代的でありながら古風な台詞回しや衣装で違和感なく楽しめる。魔所に入ってからもっと不気味な雰囲気や仕掛けがあったら良かったと思うが。

The Wedding Day ~とぅわにとぅもに~

The Wedding Day ~とぅわにとぅもに~

宇津木ドッグノーズ

下北沢 スターダスト(東京都)

2026/02/13 (金) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

これ、面白かった。バカバカしいSFは大好物。
おバカだけど1時間の本、かなり良く出来てる。
役者もみな素敵だった。
そして、きちんとタイムリープSFだと言って良い。あと青春。
1時間3,000円(予約なら)は、観やすいパッケージング。

迷光、あるいは、残照。

迷光、あるいは、残照。

風雷紡

小劇場 楽園(東京都)

2026/02/11 (水) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

観てて、凄い懐かしさをおぼえた。
世紀末のころ、こういう精神世界を扱った作品が凄く多かったんだ。
精神分析医が花形ってのも、あのころのテイストそのままだって。
でも、初演は2022年なのか……テイストとしては25年くらい前に流行った感じで。

充実した力作だと思います。
最近のスピーディなドラマと比べると、ゆったりとしたテンポに感じたけど。
丁寧に事件の真相を、分析していく展開。
結果、事件にかかわった人たちの内面も描かれていきます。
セリフ回しやキャラ設定が時代がかってる印象は持ちましたね。今風では無いかな。

劇場の楽園は、かなり癖の強い劇場なんですけど、Ⅼ字もあの太い柱も、なかなか良い感じで使ってるなって感心。
役者も充実してたけど、やはり、”下平久美子”さんの演じ分け、切り替えが圧巻でした。

※今回、チケットプレゼントで観劇しましたので、自分のポリシーとして星評価はつけません。
充実した力作で見応えありました。ありがとうございました。

宝島

宝島

Project Nyx

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2026/02/06 (金) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

作=寺山修司、構成=宇野亜喜良で、昔「ひとりぼっちのあなたに」や「さよならの城」など読んでた頃を思い出す。要所要所に「観客強制参加」のシーンがあるが、押し付けがましくなく微笑ましいレベルなので、「観劇中に演者が客に指示して何かをさせる」という構成があまり好きではない私でも無理なく参加できた。黒色すみれの生演奏も久しぶりに聞けて満足。原作が児童書ということもあり、時折お遊戯会を見せられているような気分になってしまうシーンもあった。しかし、私の席の後ろにいた見知らぬ子供たちは大いに楽しんでいたようで、休憩中も劇中に披露される宝島の歌を大声で歌っていて満足そうだったので、これはこれで正解なのかもな、と思った。

迷光、あるいは、残照。

迷光、あるいは、残照。

風雷紡

小劇場 楽園(東京都)

2026/02/11 (水) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

多重人格ものは小説でも映画でもいろいろ鑑賞していますが舞台は舞台でいいですね。演者のキャラもみな立っていてすごくよかったです。しかも、主役の人だけじゃなく脇役の人もみんな心に闇を抱えていて誰一人ハッピーじゃないのが人間臭くていいなーと思いました。あと、今回はサラウンドスピーカーを駆使されていたのかいつもの楽園より音響がすごくよかったです。

眠レ、巴里

眠レ、巴里

華翔

中野スタジオあくとれ(東京都)

2026/02/12 (木) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

あの悲しい事件をベースにしていることもありかなりシリアスなものかと思ったら真逆でしたね。現実逃避の妄想を全面に出したのはあえてリアリティを追求せず逆張りであの事件の核心に迫りたかったというのもあるかな…と思いました。個人的には同じテーマで今度はガチの社会派路線のものを観てみたいなと。具体的にはサラ金のとりたてのセリフを中心にした演出のものも観てみたいな…と。つまり、演者も観客も現実逃避せず事件のリアルに向き合う舞台ということですが。演ずるほうも観るもほうもかなりきつい舞台になるかと思いますが。

十年希望

十年希望

Nana Produce

テアトルBONBON(東京都)

2026/02/11 (水) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2026/02/13 (金) 14:00

役者を変えて何度も再演している作品なのだとか。変わらない人間関係なんてない、修復可能なことから取り返しのつかないことまで、いろいろあるのが人生とはいうものの、ただ崩壊していくさまを描いているのではなく、許しあいたいというベクトルが常にどこかに存在するような、とにかく心にグッとくるステージでした。またいつか、この作品を見たいです。

ネタバレBOX

電気屋になった人、ムショに入ってた人を最後は雇ってあげてたみたい。着ている作業着が同じだったから。このシーン、良かったな。
ヂャスヴュラ

ヂャスヴュラ

おぼんろ

本多劇場(東京都)

2026/02/12 (木) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

別にこれまで避けていたつもりはないのに、多分今回がおぼんろ初観劇。達者な役者陣によって紡がれる寓話的な「物語」。それが刺さったかと言われると、ん?と思うところもあるのだが、最後まで楽しませてもらった。

ネタバレBOX

終盤のアレ、最前列の人とか大変そう。
アオイの花

アオイの花

“STRAYDOG”

サンモールスタジオ(東京都)

2026/02/11 (水) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い、お薦め。
理屈ではなく感情に強く訴える公演。内容的には重く苦しいが、舞台としては面白く観応え十分。物語は説明にある通り、いつもと変わらない日常が、突然1人の少年によって奪われる。「通り魔事件」に遭った女の子が娘・アオイ(=愛生)だった。生死を彷徨うアオイを家族は必死に看病するが、彼女は10年という短い人生に幕を閉じる というもの。

物語は、アオイが生きていた頃の平穏で幸せな日々と 亡くなってからの家族の悲しみ。さらに家族を取り巻く人々と(社会)状況、そのありがちなコトを点描し長い年月(12年、アオイの十三回忌迄)を紡ぐ。アオイが遺した思い、それを残された家族1人ひとりが、再び「真に生きること」に向かい合うまでを描いた感動作。それを“STRAYDOG”らしい歌(合唱等)やダンス、さらにヘルマン・ヘッセの名言を織り込んで、叙情豊かに仕上げている。

少しネタバレするが、上演前から数名のキャストが舞台上におり、次々に客席通路を通ってメンバーが集まりだす。皆が揃った光景は稽古場(楽屋裏)---メタフィクションイメージ、そしてその場で配役等を決め本編へ といった演出で始まる。冗談を言い合う素顔から役者(プロ)の顔へ、その和気藹々とした雰囲気が変転していく驚き。その雰囲気の落差が そのまま感情の大きな振れ幅になっていくよう。
(上演時間1時間50分 休憩なし)

ネタバレBOX

舞台美術は中央に出捌け口、左右対称に半階段状の架台のような作り。ラストは上部からスクリーンが下りてくる。シンプルな造作だが、長い年月を紡ぐためセットは固定せず観客の想像力に委ねている。

物語は、平穏な日々から突然アオイが兇刃に襲われ しばらくの間 生死を彷徨うが、亡くなる。必死に生きようとした姿、それが家族のその後(生き様)を勇気づける。防ぎようがない悲劇、その突然の出来事に呆然とする家族(両親と兄)。しかし悲嘆に暮れてばかりもいられないことが家族を襲う。社会の反応を点描することで、家族の悲しみが一層深く印象付けられる。例えばマスコミの家族への容赦ない取材攻勢、何とか他社を出し抜いて記事にしたい。また殺人鬼を神戸連続殺傷事件の犯人 酒鬼薔薇聖斗をモデルにしていることから、彼の学校責任者の対応を描く。それは予想できない事件であり学校側も どうすることも出来ないといった責任逃れの発言。社会という常識の中でしか対応できない もどかしさ。

家族はアオイを喪った悲しみだけではなく、常識という名の理不尽さに心が疲弊していく。両親の耐える姿、一方 兄の犯人を絶対許さないという激情が、本人を荒ぶらせていく。犯罪被害者の悲しみ苦しみは想像できないが、その思いを象徴的に描いているのが兄の姿。理屈ではない感情が迸っている。さらに母が乳癌になり生きる気力が といった事情を描くことによってアオイの最期まで生きようとした姿に繋ぎ重ねる。物語では家族に寄り添って という役割を警察(刑事)に担わせている。勿論 刑事面だけで民事面の被害者救済は描かれていない。

重く苦しい内容だが、ダンスや歌を挿入し魅せる演出で和ませる。また亡くなったアオイを追憶として登場させることで、家族の心の中で生きているといった救い。アオイは居なかったわけではなく、確かに10年間生きた。その証がラストの映像に凝縮されている。見事な余韻付けである。
次回公演も楽しみにしております。

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