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ある女子大生の誘惑

ある女子大生の誘惑

絶対♡福井夏

高円寺K'sスタジオ【本館】(東京都)

2026/08/05 (水) ~ 2026/08/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

①「ある女子大生の誘惑」
メチャクチャ面白い。これぞ山内ケンジ氏の笑い。奥田洋平氏が最高の出来だったがアンパサンド『遠巻きに見てる』のキチガイランナーか!北原州真(くにまさ)氏はやみ・あがりシアター『ベガスペガサス』で観たばかり。味がある。いきなりの男泣きで会場の爆笑を誘った。福井夏さんは恐怖。カラコンで黒目を大きくしているのか、最早ホラー映画。蚊の鳴くような声でボソボソボソボソ喋る。誰かモデルでもいるのか、確かにこんな女実在する。ADHDサイコパスなのか、話の通じない妙な女。ああ関わらない方がよさそうだと本能が騒ぐ。
キャスティングが完璧。この3人が一つ部屋にいるだけで面白い。何かたけしが映画でたけし軍団を使う時の笑いを感じる。

マルセル・モースの「贈与論」を講義している大学教授、奥田洋平氏。出席日数も単位もレポートの評価も足りない福井夏さんは電通に内定しており、留年する訳にはいかなかった。何とかならないかと必死に頼み込む。准教授の北原州真氏は福井夏さんが色仕掛けで他の教授達を籠絡した噂を聞き警戒を促す。

ネタバレBOX

本当に古典的な話なのだが面白い。ベタに「ペディキュアを見てくれ」だとか「ふくらはぎがつったからマッサージしてくれ」だの、スカートから伸びた脚を殊更アピールしての誘惑。長机にぞんざいに足を投げ出す。それをホイホイ引き受ける奥田洋平氏のキャラも面白い。子供っぽく純真で疑いを知らないのかすっとぼけたムッツリスケベなのか。それにやきもきする北原州真氏の男泣き!

②「その夏のバックグラウンドミュージックを探す」
尾﨑優人氏がステージ前方にADのようにしゃがみ込み、四角いミニライトの光量を手の平で調節しながら演者に当てる独特の演出。スマホからBluetoothスピーカーに飛ばしてBGMを流す。3人目の演者、黒子のように。
福井夏さんと伊沢奈々さんが複数の役を高速で回しつつ喋り続けるマシンガントーク演劇。

二人の交通量調査員。
夏の最高気温を27℃にする装置を完成しそのデータを入れたUSBメモリを持ち歩く社長と腹心の部下(実は盆踊り一族)。
中3の初デートする二人。
最強の日焼け止めと虫よけスプレーを足で探し回る女。カフェーでカフェミストを注文してしまい苦しむ羽目に。
暑さが嫌で部屋に引き籠もった少年とファースト・キスの相手を探す女王蚊。

何かぼんやり観てしまった。この系の作品はなかなか嵌まらない。

※2023年10月に演った『けものフレンズ』。シベリアンハスキー役は福井夏さん!ブラックジャガー役の岡田帆乃佳さんと共にシュートもワークもやれるリアル・プロレスラーとしてRESPECT。(WWEとUFCで王者になったブロック・レスナーのよう)。
「TOKYO SLUM」

「TOKYO SLUM」

TRASHMASTERS

上野ストアハウス(東京都)

2026/07/30 (木) ~ 2026/08/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2026/08/08 (土) 19:00

座席1階

綿密な取材の結果をよく練りあげた台本だと感じた。さすがトラッシュマスターズ。小劇場で展開する中津留ワールドは異彩を放っている。

舞台は都庁前の食料頒布の行列から始まる。拡大し続ける格差社会で、もはやホームレスだけではない、背広に革靴のサラリーマンや派手な衣装の若い女性まで列に並ぶという状況がスタート画面だ。最初、新宿西口近辺で段ボールハウスに住む高齢の男女3人が主役だと思ったが、実は、行列に並んだスーツ姿の若い男が物語の中心にいることが分かる。彼は人材派遣会社で営業職だが、派遣先で遅刻や欠勤する派遣社員の事情を聴き、新たな人材に差し替えるという仕事をしている。ある時彼は、遅刻を繰り返す中年女性の「事情」を聴き、派遣先企業での仕事ぶりが評価されていることから派遣会社の社長に遅刻の理由を説明し、派遣を継続してもらおうと試みる。

タイトルの「TOKYO SLUM」は象徴的だ。派遣社員や派遣会社の営業職員でさえ、個人的な厳しい経済状況を抱えてスラムのメンバーに落ち込むという主題となっている。新宿西口のホームレスたちをまとめる老人が「ここは誰もが来て、誰もが並んでよい場所」と言うが、一日の食事に事欠く人はもはや珍しくない。
今も新宿西口では大規模な再開発工事が進み、西口のバス停は工事に伴って移転を繰り返し、バス停へのルートが遮断されて大回りを強いられるなどの状況が正確に反映されている。現場の安全確保のための警備会社社員の人生も語られるが、例えば離婚した元妻子への送金など、それほど珍しくない「事情」がSLUMに引っ張り込まれる現実を、舞台は直視する。

終幕まで10分の休憩をはさみ約3時間の大作だが、長さを感じさせない。登場人物たちはきわめて普通の人たちで、その人生の描写には親近感がわく。社会保障政策は普通の人たちが何かのきっかけで困窮した時のセーフティーネットと言われるが、そのセーフティーネットで抱えられる人たちは一部であり、「自己責任」で生きざるを得ない日本の現実を、中津留は冷静な視点で描いていく。

舞台の救いとなるのは、「何かがおかしい」と派遣会社を辞めてホームレスに身を投じる若い男性の生きざまだ。登場人物たちに自分を投影し、共感し、劇場を出る。そんな意義ある時間となるのは確実だ。本日最終日。見逃すのはもったいない。

この夏、屋根裏から異世界へ(※行けません)

この夏、屋根裏から異世界へ(※行けません)

猿博打

OFF・OFFシアター(東京都)

2026/08/05 (水) ~ 2026/08/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

楽し過ぎた!

ネタバレBOX

異世界転生系×ちょっとメタい世界観
村上さんがオタクの解像度高くて演技うますぎました
板場さんの代打のほんださんも素晴らしかった
「TOKYO SLUM」

「TOKYO SLUM」

TRASHMASTERS

上野ストアハウス(東京都)

2026/07/30 (木) ~ 2026/08/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2026/07/30 (木) 19:00

価格6,000円

社会派の劇です。
テーマは大都会東京に蔓延する貧困。

派遣会社の社員:秋野が主人公です。
彼の担当する派遣社員が、家族の介護のためにやむを得ず遅刻をする(繰り返す)。
秋野の上司は、派遣先の体裁を気にして、別の社員を充てるよう秋野に指示を出す。
派遣社員は新たに自宅での内勤の仕事を紹介されるも、収入が減る。
秋野はこの件で上司と対立し、会社を辞めることに。
秋野は収入を絶たれ、家賃が払えずホームレス状態になります。

本人の予期せぬ病気、子育てや親の介護…
小さな歯車がひとつ狂えば、たちまち転職・離職を余儀なくされる
たちまち契約解除を言い渡される現代社会。
私たち誰もが、そうなる可能性を持っています。

社会派の劇とはいえ、妙に説教くさかったり、
勧善懲悪の道徳劇のような所はまったくありません。
秋野を中心にして少しずつ、事態は良い方向へと進んでいきます。

途中休憩をはさんで2時間50分の長編ですが、
決して退屈させることなく、テンポ良く進んでいきます。
チラシのデザインがイイですね。
いろいろと考えさせられる、実りのある劇でした。
ありがとうございました。

同じ鍋を囲む

同じ鍋を囲む

ジブレ・カンパニー

SPACE9(大阪府)

2026/08/08 (土) ~ 2026/08/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

初めて拝見する劇団ですが面白かったです☆真夏なのに鍋が食べたくりました\(^o^)/

神の曲~澪引くtrilogy~

神の曲~澪引くtrilogy~

Micro To Macro

in→dependent theatre 1st(大阪府)

2026/08/07 (金) ~ 2026/08/09 (日)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★

見通しが不安な世の中、どのように受け止め、考え、どのように自分自身を守っていくのか考えさせられました。
皆さん、健康でお幸せに
お芝居観られてありがとう🤟

戦浄のパンクロッカー

戦浄のパンクロッカー

レティクル座

萬劇場(東京都)

2026/08/05 (水) ~ 2026/08/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

えーっと....説明通りデス
でも舞台上での表現熱量が凄かった
イメージで云うと
実写の映画スーパーマリオと
ビルとテッドのシリーズを混ぜて
劇団四季を振りかけた感じかしら
あと国民的アニメの猫型ロボットとかも足して
下ネタ炸裂・大爆裂なので観客は選ぶかなぁ
と感じた約100分強の作品です
突き抜けた感じは自分
好みだったわ♫ SFだしねー
近年珍しくアンケート用紙にミニペン付き
全席自由

ネタバレBOX

SF的にも綺麗にまとめてたんだがー
スカトロ下ネタ満載で
そういう意味では綺麗とは言い切れない話

初っ端から段ボールでの成形とはいえ
なかなかな完成度のライオンキングやってた
一部ツチノコが混じったりしてたのが何ともー
で主人公さんが
「観に来たことを後悔してませんか」と問い
「まだまだグダグダは続きます」と畳み掛けて
本編が始まってゆくのです
木ノ下歌舞伎「心中天の網島」アクセシビリティ版

木ノ下歌舞伎「心中天の網島」アクセシビリティ版

一般財団法人松本市芸術文化振興財団

吉祥寺シアター(東京都)

2026/08/05 (水) ~ 2026/08/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

何かイメージで今まで観なかった木ノ下歌舞伎。歌舞伎という時点で難解でマニアックな感じ、面倒臭そう。近松門左衛門の代表作『心中天網島』も興味なかったが、一回観ようと決めた。衝撃。もっと早くちゃんと観ておけば良かった。

舞台手話通訳の田中結夏さんは劇団銅鑼の『いのちの花』で初めて観て感銘を受けた。役に感情移入して一緒に演じながらの通訳。座・高円寺の『小さな王子さま』も良かった。今作では真っ赤なチョゴリのような袈裟を着て、ステージ中央に立ちスタート。上手や下手に動き時には涙ぐみながら手話通訳を熱演。最早出演者。
上手と下手に吊られた巨大なモニターで全台詞が投映されることが非常に大きい。耳では理解出来なかった台詞が漢字として視覚的に見るとよく分かる。意味が掴めず聞き流していた台詞一つ一つの意図を味わえる。これが常にあれば伝統芸能を観ることへの抵抗がなくなる。
アクセシビリティとは視覚聴覚障がい者が当たり前のように楽しめる観劇の場作り。それは特別なことじゃない、当たり前なんだという考え方。他者との関わり合い方に表現者が真剣に向き合うこと。他人に分かるだろうか?伝わるだろうか?作家の糸井幸之介(ゆきのすけ)氏は近松門左衛門と徹底的に向き合って「愛と死」に行き着いた。
「大慈大悲の普門品(ふもんぼん)、妙法蓮華きやう橋(京橋)を、越ゆれば至る彼の岸の、玉の台(うてな)にのりをへて、仏の姿に身をなり橋(成橋)」
どこまで向き合うか向き合えるか向き合うべきなのか、それは判らない。だが非常にその考えの方向性は愛おしい。
視覚聴覚障がい者の方の感想を聞きたい。

ネタバレBOX

『心中天網島(しんじゅう・てんのあみじま)』とは1720年10月14日夜、大阪網島の大長寺で紙屋治兵衛(じへえ)と妓婦(ぎふ)小春が心中した事件。翌日の夜、大阪住吉でこの一報を聞いた近松門左衛門、興行主が明日一日稽古、明後日から上演したいとの無茶なオファー。早駕籠に乗り大阪に向かいながら今作を書き始めた。流石に一日では無理で12月6日初演。初演から3年後、余りの社会的心中ブームに幕府は心中物の出版上演を禁じる禁止令と「男女相対死(あいたいじに)処罰令」を発布した。

原作では紙屋治兵衛28歳、小春19歳、子供は6歳の勘太郎と4歳のお末。年齢は役者の実年齢に寄せ、お末はカット。いつもおんぶの勘太郎は3歳位の設定か?

紙屋治兵衛役日髙啓介氏は愛嬌がミスターちんっぽかった。
紀の国屋小春役湯川ひなさんの美しさ。表情が浜辺美波。妹と言われても信じただろう。おっさんが風俗行ってこんな娘に当たったら人生狂う。ちょっとこの配役は卑怯。「今何時?」「親父」「イボ痔」「火事」「羊プンプン」
女房おさん役伊東沙保さんも強烈。元々は治兵衛のいとこ。熱烈に惚れた治兵衛に口説かれて一緒になった。だが仕事も幼い息子もほっぽり出して風俗に入り浸る夫。「別れてくれ」と手紙で小春に頼む。それを受け入れてくれた小春が一人自殺することを知ったおさんは夫に身請けするよう頼む。自分は身を引いてもいいと。外人から見るとこのグロテスクな美意識こそが日本人文化の謎だろう。“義理”の為に生き、“義理”の為に死ぬ。まるで純情を競い合う競技のようだ。どれだけ自分を犠牲にして美しい精神性を世に捧げられるか。マゾヒスティックでナルシシスティックな純情。
茶屋河庄の女将&おさんの母役西田夏奈子さん。ヴァイオリン本当に弾いててびっくり。
豪商太兵衛&おさんの父役大鷹明良氏。こまつ座『きらめく星座』のイメージが強すぎて悪党振りに度肝を抜かれた。
治兵衛の兄、粉屋孫右衛門役武居卓氏。義太夫節に驚いた。
太兵衛の幇間&丁稚の三五郎役緒方壮哉氏。歌の難しい節回しを担う。

つかこうへいっぽさと『銀河鉄道の夜』のメランコリー。星空を自由に駆け廻る最期の一夜。
愛と死=嗚呼、愛しい。

何で死ななきゃいけないの?多分描かれていないだけで二人共死にたかったんだろう。観ている連中も自分の中に隠し持った死の衝動が蠢いて苦しくなるんだろう。死ななくてもいいのにと思いつつ、やっとこの世からおさらばできる解放感への憧憬。

3年前から治兵衛と小春は恋仲に。25歳と16歳。丁度おさんが出産して自分よりも息子を一番に愛するようになった頃。昔、自分のことを本当に第一に考えてくれた女が今ではもうそんなんじゃない。思い知るのは自分の価値の低下とそうなった要因。その痛み苦しみ惨めさ、彼女の瞳に映る自分の醜さ。辛くて暗くていたたまれない。メチャクチャ好きだった女からのその返信はとても受け止め切れない。風俗に行って現実逃避。金を払えば最高級の良い女が自分を笑顔で迎えてくれる。自分の価値を取り戻す。俺はそんな屑じゃないと。俺はそんな惨めな存在ではないと。人間は皆自分の存在の価値を受け止めてくれるものに従う。不安で不安でたまらないから。嘘でもいいから俺の存在を肯定してくれ。全ては逃避。逃げて逃げて逃げまくる。この世界から逃げ切るにはやっぱ死ななきゃいけないのか。
八月納涼歌舞伎

八月納涼歌舞伎

松竹

歌舞伎座(東京都)

2026/08/02 (日) ~ 2026/08/26 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「歌舞伎座で観る座敷舞」


 玉三郎が舞う峰崎勾当作曲の地唄舞二題が、涼やか風を歌舞伎座に吹かせた。

ネタバレBOX

 武原はんの代表作として広く知られる「雪」を歌舞伎座でかけるのは3年ぶりである。幕が開くと一面屏風に和蝋燭が立った禁欲的な空間に、傘を差した女(玉三郎)が客席に背を向け佇んでいる。そのうち傘をたたみ「心も遠き夜半の鐘」と袂で雪を払い、「捨てた憂き世の山葛」で黒髪に手をやり現世への思いを断ち切ろうとするくだりの思い溢れんばかりであった。

 続く「残月」でも静謐さはそのままに、踊りの手数が多さが目にも愉しい。玉三郎にだけスポットが当たった幕開きからじょじょに明るくなると、そこには何もない。だからこそ亡き人への思いを月に託した情感が伝わる。20分に満たないなかでも最後に「月日ばかりは巡り来て」で濃密で長い時間を経たような心地になった。

隔たる

隔たる

JACROW

新宿シアタートップス(東京都)

2026/08/06 (木) ~ 2026/08/12 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2026/08/08 (土) 13:00

座席1階

連続射殺事件で死刑判決を受けた永山則夫をテーマとした話。「永山基準」と呼ばれる死刑を選択する量刑判断の枠組みができたことで知られる死刑囚だが、今作では獄中結婚した妻の人生や視点から描かれている。

政治・経済をテーマとしたJACROWが、社会的な事件を取り上げるのは久しぶりとか。田中角栄役で著名な狩野和馬が永山の弁護人役で登場する。だが、何といっても出色だったのは永山の妻を演じた宮越麻里杏であった。今作は彼女のためにあった舞台であると思う。
物語は宮越演じる妻の生い立ちからスタートする。永山の故郷は北海道・網走だが、彼女は沖縄県。この二つの故郷を背景として描かれた生い立ちが象徴的だ。この二つの地がラストシーンで重要な要素として浮上してくるのがとてもいい。
永山は獄中で「無知の涙」という手記を書き、小説家として文壇に出るという人生を送る。ベストセラーの印税は遺族に渡したいと願い、本作でもその通りに描かれる。これは永山夫妻側からの視点だが、中村ノブアキは事件の犠牲者の家族を重点的に登場させ、その苛烈な思いを舞台に提示していく。また、年月を重ねるにつれて被害者家族の胸の内に変化が表れてきたところも鮮明に描いている。ここが、この舞台のとてもいいところだ。

劇中でも触れられているように、凶悪な事件は後を絶たず、年かさが行かない被告人にも死刑が選択されている。「殺してやりたい。殺すだけではすまない。できる限りの苦しみを与えて殺してやりたい」という言葉は被害者家族のセリフとして今作でも登場するが、この思いが死刑制度を支えていると言ってもいいのではないか。死刑制度に反対しづらい世論は根強いし、刑罰の厳罰化の風潮も強まっている。この舞台はこうした世の中に異議を唱えているわけではないと思う。その答えはラストシーンに出てくる。これを見逃してはならない。

中村さん、JACROWは政治や経済だけとは言いません。見事な舞台でした。

「隔たる」外伝として、本編の終演後に永山の母を演じた水野あやの一人芝居がとてもよかった。次回は11,22日だ。こちらもぜひ、見てほしい。

隔たる

隔たる

JACROW

新宿シアタートップス(東京都)

2026/08/06 (木) ~ 2026/08/12 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

自分が観た回は19:30開演で、終演時間考えると100分程度かしらねって思っていたら、がっつり2時間越えでした。
2時間10分弱くらいかな。

モチーフは、死刑制度や少年犯罪において議論を呼んだ、永山則夫死刑囚の獄中結婚。
この永山氏は、獄中で文筆活動を行い、書いた本がベストセラーになったり文学賞をとってるのが特異なところ。
知ってる人には当然の存在だろうけれど、現代の若者からの認知ってどんなものなんだろうか?

ノンフィクションとして描かれてるわけではなく、劇中の人物の名前も変えられてます(モデルはわかる範囲だけど)。
基本、きちんとした会話劇で、丁寧にエピソードを積み上げていきます。
演者の熱演も凄い。
被告側だけじゃなく、被害者遺族側への焦点もきちんと描かれます。
”隔たり”を象徴してる美術は、人力で回転させることで場面転換します。これはなかなか効いていたと感じる。

観終わった後に、語り合える芝居に思えました。
罪と罰、赦し、個々人で相当にきっとスタンスは違うし、デリケートなところだけど。
断定はせずに、そのあたりを丁寧に語り合ってみたいなって思える芝居でした。
若い人の率直な感想とかも聞いてみたいなって。

ネタバレBOX

花咲かじいさんになぞらえて、祈りをこめての最後の散骨シーン。
そこに重なる、その後にも起こった無数の痛ましい無差別の事件。
なかなかの後味でした。
木ノ下歌舞伎「心中天の網島」アクセシビリティ版

木ノ下歌舞伎「心中天の網島」アクセシビリティ版

一般財団法人松本市芸術文化振興財団

りゅーとぴあ劇場(新潟市民芸術文化会館)(新潟県)

2026/08/29 (土) ~ 2026/08/29 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ネタバレ

ネタバレBOX

木ノ下歌舞伎『心中天の網島』

 言わずと知れた近松門左衛門の心中もので、演出・糸井幸之助の妙ジーカル仕立てで、セリフや衣装を現代的に変更はしているが、脚色はなし。
初演を観たのは11年前で、治兵衛とおさんを演じた俳優は同じだが、小春は代わっていた。
 心中ものなので、治兵衛と遊女・小春の心中への道のりが大筋だが、彼らを囲む人物たちを掘り下げているか、心中に至った経緯が手に取るように見えてくる。
 治兵衛と遊女・小春の関係にドキドキしながらも、幼馴染みのおさんとの出会いから結婚、夫婦生活を深く描いている。治兵衛はだらしなく、共感出来ないという感情は芽生えるが、憎めない人間性に、同情と哀れみを感じながらも、知らず知らずと自分に置き換えてしまうのが今作のミソである。そこに互いの気持ちを歌で表し、心情が伝わり、気持ちの高ぶりは止どまることがない。時として心中が美しいものと捉えがちだが、人間臭さを感じざるを得ないのだ。
 治兵衛と小春は勢いのまま心中へ向かうが、
立ち止まる瞬間はあるにはあるのだが、やむにやめれぬ状況に、因果応報が覆い被さってくるのだ。
明日の詩

明日の詩

カートエンターテイメント

恵比寿・エコー劇場(東京都)

2026/08/06 (木) ~ 2026/08/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

話の展開には違和感を覚えましたが、最愛の人を失った悲しみには個人的な経験と相まって考えることがありましたね。

パール食堂のマリア

パール食堂のマリア

青☆組

吉祥寺シアター(東京都)

2026/07/17 (金) ~ 2026/07/20 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2026/07/19 (日) 13:30

1970年代前半、横浜の繁華街にあるパール食堂を中心にその近辺の人々が織りなす悲喜こもごものつづれ織りのような群像劇。
10年前の再演は見逃したので初演以来15年ぶりで舞台美術以外の記憶は薄れていたが9割の優しさに1割の切なさを加えた作品世界を堪能。
中でも(責はないのに)「猫のことでずっと謝りたいと思っていた」亮太とそれに対して「ただの偶然であなたのせいじゃない」となだめるクレモンティーヌそれぞれの優しさが特に心に沁みた。
また、ペーパークラフトのようなランプシェードや繁華街の看板を想起させるカラフルな複数の四角形などの舞台美術もステキ。
なお、序盤での猫の台詞の「何度も死んだ」で(猫だけに)佐野洋子の「百万回生きたねこ」を連想し、本作では確かに「死んだ」だが、あちらは確かに「生きた」だな、などと修辞学的なことも考えた。

15 Minutes Made 東京/福岡 福岡公演

15 Minutes Made 東京/福岡 福岡公演

Mrs.fictions

福岡市民ホール 小ホール(福岡県)

2026/08/08 (土) ~ 2026/08/11 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

初日にお邪魔しました。15分ってこんなに濃密になるのか!という驚きと、笑いと感動に溢れた素敵な公演でした。私は少し泣きもしました。
元々はシステム個人さんをお目当てに足を運んだのですが、全ての団体のファンになること間違いなし!演劇がもっと好きになって、優しくて温かい時間を過ごせました。
私のような演劇初心者にもかなりおすすめです!

ネタバレBOX

大笑いをしに行くつもりで、システム個人さんとコンプソンズさんを楽しみに向かいました。実際、お腹を抱えて笑いすぎて頬が痛くなりました。特にシステム個人さんは三人の掛け合いのテンポが心地よく、姉御役の俳優さんの全力さに感動しました。
が、melomysさんに圧倒され、ギンギラ太陽’sさんの女ビルの心意気に泣き、ザ・クズレルズさんの緩急にまんまと乗せられて笑い、Mrs.fictionsさんの切なくて温かいダンスとラストに泣き、感情が大忙しでした。終わった後の寂寥感と満足感がとんでもなかったです!
好きすぎて2日目も観に行きましたが、2日目の方が笑えました。演劇ってすごい!
隔たる

隔たる

JACROW

THEATRE E9 KYOTO(京都府)

2026/08/21 (金) ~ 2026/08/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2026/08/07 (金) 19:30

社会派の雄の新作は、実話ベースながら重くストレート。129分。
 1968年に連続射殺事件を起こした永山則夫(劇中では近山由夫・小平伸一郎)を自分と重ねて獄中結婚した妻・新垣和美(劇中では古垣洋美・宮越麻里杏)が辿った経緯を、妻の立場から描く。なぜ結婚を、の、誰でも思う疑問から初めて、丁寧に永山の死までを紡ぎ、特に、被害者遺族との軋轢や報道関係者の悪意がストレートに描かれる。いつものような笑いを誘う展開ではなくて、淡々と描かれる芝居に息を呑む。

誰々

誰々

劇団5454

すみだパークシアター倉(東京都)

2026/07/31 (金) ~ 2026/08/11 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

自分は、誰かの誰々になっているのか、存在を考えさせられる舞台。
そして、若い彼らにも、私世代と同じように感じていることがあるんだなぁと。言葉と表現力になるほどそう表現するのかと納得。
5454ワールドを堪能しました。
舞台セット、最初と最後の変化も必見です。

戦浄のパンクロッカー

戦浄のパンクロッカー

レティクル座

萬劇場(東京都)

2026/08/05 (水) ~ 2026/08/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

そう、始まりから終わりまで、うんちに始まりうんちに終わる。そのくだらなさが頭を空っぽにして気軽な気持ちで見られるのがいい。笑い盛り沢山で面白かった!グッズも手が込んでてフェスタオルもあった。見終わったらなんだか、前向きで頑張ろうかなって思えちゃう不思議さがあります

この夏、屋根裏から異世界へ(※行けません)

この夏、屋根裏から異世界へ(※行けません)

猿博打

OFF・OFFシアター(東京都)

2026/08/05 (水) ~ 2026/08/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2026/08/06 (木) 19:30

価格3,500円

異世界モノは詳しくないが、なんとなくはわかる内容。
そしてまさに猿博打の三人に合わせた脚本

こどものためのバレエ劇場 2026 人魚姫

こどものためのバレエ劇場 2026 人魚姫

新国立劇場

新国立劇場 オペラ劇場(東京都)

2026/07/23 (木) ~ 2026/07/27 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2026/07/25 (土) 16:30

価格6,600円

華やかながら悲しいお話。
バレエで表現するのが難しい演目である

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