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頭痛肩こり樋口一葉

頭痛肩こり樋口一葉

こまつ座

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2026/07/29 (水) ~ 2026/08/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「充実の再演」

 座付作者である井上ひさしの作品を上演する制作集団「こまつ座」の旗揚げ公演として1984年に初演され、現在に至るまで再演を繰り返している樋口一葉の評伝劇である。2022年版とほぼ同じ座組での上演となった。

  父や兄に先立たれ若くして樋口家の戸主となった夏子(一葉・貫地谷しほり)は、母の多喜(増子倭文江)と妹の邦子(瀬戸さおり)を養うべく孤軍奮闘の日々を送っている。毎年7月16日のお盆の樋口家には、かつて多喜が乳母として仕えた旗本の娘・稲葉鑛(香寿たつき)や、夏子の旧友の中野八重(岡本玲)らが集い、身の上ばなしに興じていた。やがて筆一本で身を立てようと決心する夏子だったが、そんな彼女にだけ花螢(若村麻由美)という幽霊が見えるようになり――

ネタバレBOX


 42年前に書かれた作品がいまだに多くの観客を惹きつけるのは、登場人物を取り巻く桎梏が形を変えて社会に根付いているからなのだろう。家父長制ならぬ 家母長制下で母の多喜から強い圧力を受け戸主として家計を支える夏子、夫に虐げられた 鑛や八重、そして恨みの連鎖ゆえに幽霊になってしまった花螢。彼女たちの嘆きは笑いになって鋭く胸を突いてきた。初日ゆえか台詞や段取りの間違いが見られたが、そうした瑕疵をすぐに忘れさせる圧倒的な座組であった。

 貫地谷しほりの夏子は必死さのなかにどこか間の抜けた可愛らしさがあり、ここが母から目くじらを立てられるところだと納得させる出来である。なかでも後半、女郎になった八重の前で婦人の嘆きを説くくだりが白眉であった。 若村麻由美の花螢の異様なおかしさ、香寿たつきの 鑛による「心」の歌唱、 健気な瀬戸さおりの邦子 、初登場ながら前後半でガラッと変わる難しい八重を演じきった 岡本玲など、出演者皆に見せ場が用意されていた。なかでも 増子倭文江 の多喜がグイグイ夏子を追い詰め、その後じょじょに老いさらばえていく具合を憎らしくもおかしく演じて圧巻であった。
おいしいディストピアの作り方

おいしいディストピアの作り方

MEMELT

すみだパークシアター倉(東京都)

2026/07/08 (水) ~ 2026/07/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2026/07/10 (金) 13:30

近未来、(並行世界の)第三次世界大戦に巻き込まれた「大日本」の物語。
異なる時制や複数の「勢力」を併行して描くスタイルだが終盤で冒頭場面の再現になるあたりからそれらの「断片」が一気に収束する構成にゾクゾク。
そして迎えるオチが「アレ」というのは巧いし、きちんと戦争の虚しさも描いていて感服。
また、舞台上方の2台のモニターに投射される文字情報などに漠然とエヴァを想起したが、考えてみれば戦争に巻き込まれて戦闘メカに搭乗することになる主人公……というのもそう(むしろ「G」寄り?)だね。
あと、好きなネタは「そっちかい!」な回転寿司(笑)。
ところで舞台美術の傘はドローンのイメージ?

15 Minutes Made 東京/福岡 東京公演

15 Minutes Made 東京/福岡 東京公演

Mrs.fictions

テアトルBONBON(東京都)

2026/07/29 (水) ~ 2026/08/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

今回も6劇団がそれぞれ15分で個性を発揮し、短い時間ながら各団体のカラーが伝わる公演だった。さまざまな劇団を知るきっかけになる、この企画ならではの面白さを改めて感じた。
以下、公演中なのでネタバレで。

ネタバレBOX

THE DAY 1041(melomys):音と映像を巧みに織り交ぜた一人芝居。視点がいくつか切り替わるシュールな構成で、独特の世界観が印象的。

ちょっと良いタオルとか(システム個人):姉弟とその友人による会話劇。軽妙なやり取りの中に考察の面白さがあり、姉御肌の姉のキャラクターがとにかく秀逸。タイトルの付け方も印象的。

女ビルの一生(ギンギラ太陽's):福岡への地元愛がたっぷり詰まった作品。名物の被り物がまず目を引くが、街の歴史を背景にした物語も魅力的で、ラストには少し胸が熱くなる場面も。

ベビーカー(コンプソンズ):何気ない日常の一場面から物語が広がるコメディ。短い時間の中に人間ドラマが凝縮されていて、笑いとリアリティのバランスが心地よかった。

真夏に崩れる(ザ・クズレルズ):日常の一瞬をスローモーションで切り取るような作品。どの場面も印象的だったが、特にボウリングのシーンがお気に入り。

ミセスフィクションズの恋しくて(Mrs.fictions):一人の女性が、二人の男性との何気ないやり取りを振り返る物語。派手さはないものの、切なさと温かさが同居し、心地よい余韻が残る作品だった。
幸せの方程式

幸せの方程式

A.R.P

小劇場B1(東京都)

2026/07/29 (水) ~ 2026/08/03 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

開局10周年イベント開催のため奮闘するコメディでしたが、とても面白かったです。
心温まるストーリー、テンポの良い展開、個性豊かな登場人物達、笑ってしまう台詞の掛合、生演奏等、全てが良かったです。
劇中で使われる曲の歌詞が、本当に良い歌だなと再認識し、この劇のタイトルの意味が分かる気がしました。
大満足の舞台でした!

15 Minutes Made 東京/福岡 東京公演

15 Minutes Made 東京/福岡 東京公演

Mrs.fictions

テアトルBONBON(東京都)

2026/07/29 (水) ~ 2026/08/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

面白かったです!それぞれの劇団さんの持ち味が15分にギュッと濃縮されている感じでした。
『女ビルの一生』何このタイトルと思いましたが、そのまんまのお話。笑いました。
『ミセスフィクションズの恋しくて』やっぱり切なさが漂います。うーん、色々想像してしまいました。
他の劇団さんについても追記の予定です。

15 Minutes Made 東京/福岡 東京公演

15 Minutes Made 東京/福岡 東京公演

Mrs.fictions

テアトルBONBON(東京都)

2026/07/29 (水) ~ 2026/08/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

登場する6つの団体がそれぞれ全く異なるアプローチやテイストを持っており、一度にこれほど贅沢な個性を味わえるのは、このイベントならではの魅力です。

ネタバレBOX

わずか15分という限られた上演時間の中に、どの作品もきっちりとメッセージが込められており、非常に濃密な時間でした。観ていて楽しい時間を過ごすことができました。
15 Minutes Made 東京/福岡 東京公演

15 Minutes Made 東京/福岡 東京公演

Mrs.fictions

テアトルBONBON(東京都)

2026/07/29 (水) ~ 2026/08/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

楽しかったです。私はコメディ作品が好きなので、コメディ作品の「システム個人」さんと「コンプソンズ」さんが面白かったです。6団体は個性的で良かったです。

15 Minutes Made 東京/福岡 東京公演

15 Minutes Made 東京/福岡 東京公演

Mrs.fictions

テアトルBONBON(東京都)

2026/07/29 (水) ~ 2026/08/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

杮落とし観劇
6団体 各15分の作品集 真ん中に休憩時間あり
バラエティ小劇場芝居
3年ぶりだそうですが
とっても楽しめました♫
全席自由

ネタバレBOX

白い布を縦に横に編んだ布が壁や天井にと
配されたシンプルな舞台美術で
左右に出入りあり
また白を生かして動画の投影してました

■melomys 作品名:『THE DAY 1041』
舞台左右にテーブル置いて
背景動画や音響操作し
中央でマイク片手に女優さんが
長台詞を言い切る一人芝居
内容が結構シュールな感じ

■システム個人
作品名:『ちょっと良いタオルとか』

ヒモな弟がチョイ彼女から追い出され
姉御肌(笑)な姉貴のトコにお邪魔し
オカルトライターの友人と絡む三人芝居
お姉さんのキャラが秀逸で一生忘れられん感じで
タイトルへの繋ぎ方が何ともカタルシス!

■ギンギラ太陽's 作品名:『女ビルの一生』

タイトル通りで
ビルの被り物して出てくるだなこれが(笑)
福岡の天神の話で地方色豊かだが
擬人化ビルの史実に基づいた
歴史推移が語られて
ある意味勉強にもなってる
大丸と玉屋の話です
衣装とか豪勢なのにビルの被り物って......
大丸のイヤリングも素敵でした

■コンプソンズ 作品名:『ベビーカー』

畳まれたベビーカーを広げて
使える状態にする話なんですがー
必死に頑張る男性と
展開動画を見せる女性と
通りかかった男性らが繰り広げる笑える会話劇
3人の関係性と 色々と察するというコトが
何とも面白かった

■ザ・クズレルズ 作品名:『真夏に崩れる』

スローパントマイム集団さん
全員が黒Tシャツで揃えて
お題コントでオチに崩れてゆく様を見せる芝居
ボーリングが自分受けたなぁ

■Mrs.fictions
作品名:『ミセスフィクションズの恋しくて』

女性真ん中で舞台左右に男性配して
ぶっとい白い毛糸を左右の男性の両手から巻いて
中央の女性が玉にしていきながら
三人が重ねる会話劇
しんみりとしたオチでありました
ひとり芝居二本立て 〜Solo comedy double bill〜

ひとり芝居二本立て 〜Solo comedy double bill〜

朝倉伸二プロデュース

浅草九劇(東京都)

2026/07/28 (火) ~ 2026/07/29 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2026/07/29 (水) 14:00

超ベテラン役者による燻銀の演技を堪能。ステージ上はひとりなのに、何人もの脇役の存在を感じました。スマホで再生しているYouTube動画(という設定)の画面まで一緒に脳内再生。人間としてもベテランの域に達しているふたりによる、それぞれの人生讃歌。暑い中、見に行った甲斐がありました!

「水平線の歩き方」【Mura.画】

「水平線の歩き方」【Mura.画】

Mura.画

北池袋 新生館シアター(東京都)

2026/07/24 (金) ~ 2026/07/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2026/07/25 (土) 13:00

価格4,500円

成井豊さんの脚本ということで興味を持ちました。
フライヤーのデザインもよかったので、観劇しました。

独身のサラリーマン幸一が帰宅すると、幼い頃に死に別れた母アサミが居た…
という設定です。
母と死別してから社会人になるまでの幸一の半生が、徐々に明らかになります。
そして最後に、なぜ母と再会できたのかも明らかに…。
成井さんの脚本は本当に面白くて、一気に引き込まれます。

幸一を演じた多田さん、アサミを演じたバンビさん、迫真の演技でした。
冗長なシーンはなく、かといって詰め込みすぎず、ちょうど良いテンポで進んでいきます。

成井作品の良さを十二分に引き出す演出、役者さんたち。
大満足の70分でした。
最後のシーン、感動的でした。
本当によかったです。
ありがとうございました。

鯛の鯛

鯛の鯛

劇団きらら

インディペンデントシアターOji(東京都)

2026/07/10 (金) ~ 2026/07/12 (日)公演終了

実演鑑賞

鯛の中にある骨の一本がまるで鯛のようにみえるのでそう名付けられたといタイトルの100分。熊本、宮崎を経て、インディペンデントシアターOji(ex 王子小劇場)。7月12日まで。

https://kawahira.cocolog-nifty.com/fringe/2026/07/post-df5611.html

たとえばあの日のこと

たとえばあの日のこと

演劇プロデュース『螺旋階段』

スタジオ「HIKARI」(神奈川県)

2026/07/02 (木) ~ 2026/07/05 (日)公演終了

実演鑑賞

小田原で20周年を迎えた劇団、螺旋階段の記念公演。7月5日まで神奈川県立青少年センター スタジオHIKARI。110分。

https://kawahira.cocolog-nifty.com/fringe/2026/07/post-665ea0.html

『あわせて』

『あわせて』

ゆうめい

ユーロライブ(東京都)

2026/07/24 (金) ~ 2026/07/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2026/07/25 (土) 14:00

ゆうめい音楽劇ツアー公演『あわせて』東京公演
作/演出/美術 ☞ 池田 亮
出演 ☞ 宮崎吐夢/村山 新
音楽 ☞ 小西力矢
映像 ☞ りょこ

「あわせて」って題名、何のことかなと思い巡らせていた。拝見すると色々なあわせるを合わせて、「あわせて」なのだった。

あのコマーシャル、いつから、どの地域で流されていたのだろうかということが大きな意味を持っていそうで、でも、あの手を合わせること、池田 亮がそれだけで済ませるはずはなく、ということを思いながら観ていた。

おかしくて、でも悲しいライトな音楽劇だった。 その音楽の小西力矢の曲たちが良い。映像/字幕、これは目線に入ってしまうというと語弊があるのだけど、2列目から見上げる舞台、演技の後ろに映像/字幕があり、読んでしまうのだった。いや、あのアイデアも良かった。
ゆうめいは上演だけでなくて、トータルでの評価が高い劇団、今回もそのすべてのバランスが尊かった。ただ、吐夢さん、あれはどうだったのだろう、台詞が、後ろに字幕があってということもあるのだけど、台詞が引っ掛かる時があって、少し挙動が安定しておられなかったのだけど、あれは意図してのことだったのだろうか。まあ、軽度ではあったのだけど。

舞台美術はいつものトーンだけど、奥行きの無いユーロライブのスペースに合わせて、このポスターに写っているウォーターゲーム、これは学校の椅子の様ですね。椅子と学習机。と、取っ掛かりは中学の頃から始まる物語。物語は池田さんの過去、悲惨であったことが背景にあり、これまでの上演作品と重なる部分が。

爺的には、漫画とアニメという知らない世界が一つのベースだったのでそこは追い着けず、わからない部分が多かった。皆さんはそこに反応していた。

帰結となる相対するお二人の最後のシーン、良かった。その一人の村山新さん、登場されて隻脚であられることに少し驚いた。宮崎吐夢さんと村山新さんの二人での上演だということで、あの高さのある舞台美術への登り降りをこなされるハンディキャップの無い方と勝手に認識していたので、驚いた。しかしそれを物語の要素として取り入れ、なんの不都合もなく、それは当たり前ではなのだろうが、演技をなさっていて、驚きでしかなかった。驚くべきではなかったのかも知れないが。

巨体

巨体

ムニ

アトリエ春風舎(東京都)

2026/07/23 (木) ~ 2026/07/27 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2026/07/26 (日) 14:00

ムニ『巨体』

1回目作/演出の宮崎玲奈さん、これまでの作品と土台造りから違うなと思った南風盛もえさん/藤家矢麻刀さん/黒澤多生さん、良くこの台詞を覚えられたな。空間設計が渡辺瑞帆とあるけど、巨体のデザインが渡辺瑞帆さんと言うことかな、流石だ。照明デザインが黒猿の方なのか、良い照明だと思った。

2回目の感想言葉たちに集中していると語呂合わせ的な言葉の羅列や俳句的な言葉たちに飲み込まれる。演者達の熱量を伴う台詞の発語、身体、演技は、呪文を身体に入れる苦労に頭を過られられながら魅入る。キヨス ヨネスクさんの投稿の「もっと広い空間での上演が観たくなった」とのコメント、確かにアトリエ春風舎の天井に固定されているフレームに演者は触れている。しかしこの巨体を大きな舞台に置くと、今度は巨体ではなくなるかも知れないなと。あの箱に目一杯という状態での上演がバランスしていた様にも思う。アパートの部屋の中にぎゅうぎゅうのイメージ的な。アトリエ春風舎のあと、京都での公演とのこと。あの部屋を出たことがない巨体が京都の舞台にどう現れるのか? その前にアトリエ春風舎をあの巨体は出ることが出来るのか 笑?

血の婚礼 【劇団うつり座】

血の婚礼 【劇団うつり座】

劇団うつり座

上野ストアハウス(東京都)

2026/07/22 (水) ~ 2026/07/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

和のテイストで演じられると
何かドロっとした感じが
高まってた様に思えたデス
舞台セットはシンプルながら
笛とかツツミの生演奏BGM入で
効果雰囲気は素晴らしかった

ネタバレBOX

男二人の争いは
刃物振り上げたシーンで暗転して
印象強く見せていました

原作はフェデリコ・ガルシーア・ロルカの戯曲
スペイン・アンダルシアを舞台に
結婚式当日に花嫁が元恋人と駆け落ちし
花婿と元恋人が互いに相打ちとなり
返り血で赤く染まった花嫁衣装を着たまま
母親の元に戻るという
悲しみと虚無だけが残されるのを描いた
情熱的な名作であります

白を基調とした舞台に横たわる
2つの長方形は実は相打ちになった
男二人の亡骸だったようです
ひとり芝居二本立て 〜Solo comedy double bill〜

ひとり芝居二本立て 〜Solo comedy double bill〜

朝倉伸二プロデュース

浅草九劇(東京都)

2026/07/28 (火) ~ 2026/07/29 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

最高!ステージが終わった後に思わず「すごい…」と声が出てしまいました。演者を役者さんというより芸人だな…と思いながらパフォーマンスを見入ってました。ほんと「芸」ってこういうものをいうんだな…と思いました。一人芝居の真髄と原点を見た思いです。文字通り全国ツアーでしかもロングランでやるべきレベルですね。ほんと最高のステージでした。あっぱれ!です。

野火

野火

世田谷シルク

サンモールスタジオ(東京都)

2026/07/08 (水) ~ 2026/07/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2026/07/09 (木) 14:00

レイテ島で肺病のため野戦病院に送られたがそこでも部隊に帰るよう言われた兵士の彷徨。素舞台に樹をモチーフにしたらしき高さ2mほどのオブジェ(と小さなものいくつか)を配しただけの舞台での一人芝居なので観客の想像の余地が大きいが、その鬼気迫る語り/演技(と照明・音響)によって少なくともσ(^-^) にはその場その場の状況が脳裏にしっかり浮かんだ。
なお予習したあらすじに「狂人と化す」との一文があったが個人的な感覚ではむしろあの状況下でかろうじて正気を保っているように見えた。
いずれにしてもあんな「戦争犠牲者」を二度と出してはならないと強く感じた。

バッグの中からスフィンクス

バッグの中からスフィンクス

艶∞ポリス

劇場HOPE(東京都)

2026/07/28 (火) ~ 2026/08/03 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

笑いが鮮烈。VTRの使い方とかに澤田育子さんの「good morning N˚5」を想起。

自分の持つ岸本鮎佳さんのイメージはシュタタタタと真顔で漫画走りするあの感じ。切り口が独特。「へえこういう面白さが気になるのか」みたいな。

遠峯ありさみたいな美人、北香那さんには驚いた。ハーフと思う程のルックスと流暢な英語の発音。チケット即完だし、メチャクチャ人気あるのだろう。(TVは一切観ていないので世の流行り廃りには疎い。※全く知らないと思っていたが、彼女が主人公を演ったアニメ、『ペンギン・ハイウェイ』を映画館に観に行っていた)。

①アフレコ現場で一緒になるオーディションを勝ち抜いて来た声優二人。『超音速戦士プリズムレイン(?)』みたいなプリキュア系のバトルもの。岸本鮎佳さんは名前も経歴も年齢も嘘臭い不思議ちゃんキャラ。パチ屋でバイトしながらこのチャンスに賭けている北香那さんは「こいつ随分ぶっ込んで来やがったな」と一々苛つく。

北香那さんのキャラがヤバイ。何なのこの人?負けず嫌いなのか岸本鮎佳さんの繰り出す技を簡単に完コピして返してくる。このルックスでこの笑いのセンスかよ。昔、浜辺美波を『センセイ君主』で初めて観た時、「このレヴェルの美少女がここまでお笑いやんのかよ」と途方に暮れたことを思い出す。
要チェック。

ネタバレBOX

①ジャムみたいな名前のマスコットキャラがいて台詞の語尾に「〜ジャム」と付ける。岸本鮎佳さんが演っていたのを北香那さんが奪い、それが気に食わない岸本鮎佳さんは泣き出して現場を止める。二人共、声の種類が多彩。

インタビューの映像が流れる。北香那さんがやさぐれて煙草を吸い苛つく。アフレコしたアニメは埼玉のパチンコ屋の台で流れるだけだった。

②埼玉のパチンコ屋店員の岸本鮎佳さんと客の北香那さんのカウンターでの遣り取り。お互い帰国子女であることが判り、意気投合。ガキが嫌いなところ、ギャンブルが好きなところ、全て気が合う。

二人でドライブしながらギャンブル三昧の映像が流れる。

③スピード違反の車が警察に捕まる。逃げようとする岸本鮎佳さんと女性警官・北香那さん。二人の持ち物が入れ替わっており、確認すると同姓同名。どうやら並行世界の自分自身らしい。警察官採用試験の日、猫が逃げて捜す為に試験に行かなかった岸本鮎佳さんは今ではギャンブル狂のパチンコ店員。試験に行った北香那さんと大きく人生が分かれた。ちなみに北香那さんの猫はすぐに戻って来たそうだ。
その後、火を焚いて踊ろう

その後、火を焚いて踊ろう

アル☆カンパニー

雑遊(東京都)

2026/07/27 (月) ~ 2026/08/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

平田満氏と井上加奈子さん夫妻が主催する演劇ユニット、アル☆カンパニー。そこから派生した短編戯曲リーディング無料公演の「パタカラぷろじぇくと」 。そこで発表された三本の短編「妹の子ども」「オーストラリアの母」「盆踊りに行こう」を今回演劇として一つにまとめて上演する。
『瀬戸内の小さな蟲使い』、『グロリアストラベル』、そして今作と、野田慈伸氏の笑いのセンスは揺るがない。コンプソンズ金子鈴幸氏もそうだが、笑いに関しては敬服せざるを得ない。悔しいけれどメチャクチャ面白い。

冒頭、9歳の小学生、平田満氏の絶叫。その伯母である浅野千鶴さんの謝罪から幕開け。スイカバーのアイスの棒で作った夏休みの課題、小田原城を浅野千鶴さんが踏んで壊してしまった!平田満氏は浅野千鶴さんがわざと壊したと疑う。夏休み、祖母の家に帰省している長女と次女親子の物語。

ネタバレBOX

祖母、井上加奈子さん。次女の旦那、野田慈伸氏のことが大嫌い。家のタオルが臭いと言われたことを深く根に持っている。意地の悪い婆さんを演らせたら最高。
長女、浅野千鶴さん。結婚もせず婚活パーティーの司会をしていることで陰口を叩かれている。「アヴリル・ラヴィーンも40歳だよ」の名台詞。
次女、片桐美穂さん。すぐに母親と口論になる。おかずの名前と食べれない物についての会話がハイ・センス。
次女の旦那、野田慈伸氏。たむらけんじ、RG系と言うか町山智浩っぽく感じた。この人、天才だと思うのだが今作のラストは···。
次女の息子、平田満氏。心が病んでいる。このクラスの大御所が今作を面白いと判断して自ら演るセンスにひれ伏す。

浅野千鶴さんの知らない所で、祖母と次女と息子でオーストラリア旅行に行っていたり。家族間の微妙な不信感が面白い。何もないところから笑いを掴み出す野田慈伸氏は天才。

※平田満氏を詰める浅野千鶴さん。「トロッコ問題」の例えが面白かった!
『コインランドリーカタルシス』

『コインランドリーカタルシス』

πTokyo

πTOKYO(東京都)

2026/07/25 (土) ~ 2026/07/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「また会おう」 そう言って別れたが…。冬、東京の或る街にあるコインランドリーでの奇妙な話(抒情劇)。3年間同棲した彼女と別れて2年、いまだ未練を残す俺。家に洗濯機はあるが、彼女と閉店間近のコインランドリーに行っていた習慣だけが続く。

彼女曰く「(洗濯機は)くるくる回る」 同じように見えるが、少しずつ違っている。それは2人の意識や生活を表している。俺はカフェバーで働く夜型人間、稼ぎも少ない。彼女は結婚し子供もほしいようだが、俺は踏ん切りがつけられない。そんな彼に関心を持った男が話しかけてくる。前(深)夜から翌日の同じ頃までを描いた物語。
(上演時間1時間20分) ㊟ネタバレ

ネタバレBOX

朗読劇だから腰高丸椅子が4つ。後ろには白シャツ等の衣類が掛けられている。コインランドリーのイメージと白は劇中の台詞に関係している。ちなみに俺が着ているのは黒シャツ。コインランドリーの内は洗濯機が回る音、外は車の騒音など。

登場人物は4人。閉店間近のコインランドリーに駆け込んできた俺①、その彼女②、コインランドリーのオーナー③(本業は作家)、そして俺に話しかけてきた奇妙な男④。男はオーナーと顔見知りで色々と便宜を図ってもらっていた。そして彼もまた作家の卵で習作に励んでいる。男は 俺と彼女の生活を聞きたがり、ポツリポツリと話し出す。淡々とした暮らし、他愛ない会話が愛おしく思い出される。男は俺に向かって彼女を捜しに行こうと言う。

2人で見知らぬ街をあてもなく歩く。そして偶然にも銭湯に併設されたコインランドリーで彼女を見つける。彼女は赤ん坊を抱き あやしている。結婚し幸せに暮らしているようだ。消沈したまま いつものコインランドリーへ。男と過ごした昨日からの顛末をオーナーに話したところ、とても驚き信じられないと言う。男は亡くなっている と。男の無遠慮でズケズケ言っていた言葉がよみがえる。普段の言葉遣いの中に 「星になって照らす」等、詩的なフレーズを挿入することによって抒情感--朗読劇の醍醐味を出す。そこに人の温もり優しさが滲みでてくる。

親密感であり距離間、その関係性を朗読する際の席によって表す。席を移動し 隣り合わせ または離れて座る。また皆の衣裳はカジュアルであるが、俺だけは黒づくめ。劇中、俺はいつも黒い服を着ている。だから彼女が白いシャツをプレゼントしてくれた。変化を求めない俺、一歩を踏み出したかった彼女との心のすれ違いと別れ。一方 オーナーは男に好意を抱いていたが死別。一夜を死者と旅した俺、今度はオーナーと世界を巡る旅へ、そこに心境の<変化>をみることが出来るような。
次回公演も楽しみにしております。

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