
明日を落としても
兵庫県立芸術文化センター
EX THEATER ROPPONGI(東京都)
2025/10/22 (水) ~ 2025/10/27 (月)公演終了

当番の娘
劇団匂組
「劇」小劇場(東京都)
2025/10/22 (水) ~ 2025/10/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
内容的に語弊があるが面白い。戦後80年の節目、多くの反戦劇が上演され 本作もその1つ。特徴として 戦禍ではなく戦渦を描いており、その悲惨さは十分すぎるほど伝わる。テーマとしては「重い」が、それに負けない「想い」が詰まった公演。当日パンフに演出の三浦剛 氏が「少々突拍子もないスタイルかもしれないが、笑撃と衝撃の塩梅は上々かと」記している。この敢えての演出は 評価が分かれるかもしれないが、自分は好意的に受け止める。一瞬 朗読劇かと思ったが、そこには或る意味が込められている。
舞台となるのは、信州松代 真田祭りの昼下がり。そこには松代大本営跡地があり、本土決戦(政府中枢機能移転)を想定して造られたもの。主宰の大森匂子 氏が長い日々あたためてきた渾身作ー反戦と差別ーであるが、それは戦時中のことに止まらず 今に続く問題を提起している。それをハラスメントという別の形で描く。少しネタバレするが、真田祭りの日に来た老女との語らいから、満蒙開拓団 当時の忘れたいコトが甦ってくる。それがタイトル「当番の娘」に繋がる。
(上演時間1時間50分 休憩なし)追記予定

恋愛漫画~鳳凰篇~
ライオン・パーマ
赤坂RED/THEATER(東京都)
2025/10/22 (水) ~ 2025/10/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
初日を拝見。ライオン・パーマが何度となく再演してきた作品とのことだが、自分は初見。尺は休憩無しの約2時間25分。然し一瞬たりとも目を逸らすことが出来ない傑作だ。初日が開けたばかりなのでネタバレは極力控えるが必見の作品。華5つ☆。観るべし!

#三等カヨあがれ
三等フランソワーズ×カヨコの大発明×ユニットまいあがれ
in→dependent theatre 1st(大阪府)
2025/10/10 (金) ~ 2025/10/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
初日を観ました。
ハッシュタグ込みで公演名なトリプル10周年記念公演。
おっもしろかったぁ!
しっかり各団体の特色MAXで味わえて、この面白さを三連続で観られるって最高でした〜!

わがことなかれ
海ねこ症候群
シアター711(東京都)
2025/10/22 (水) ~ 2025/10/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/10/22 (水) 19:00
気になってる劇団の新作。若いから書けるファンタジー。111分。
小学生4人が秘密基地を発見するオープニングから、その内の2人が大人になってシェアハウスで同居しているが、もう1人は既に…、の物語。ファンタジーっぽい芝居をやっていたユニットだが、本作もその感じはあるものの「よくある話」ではあるかと思う。展開はある意味で期待通りだが、丁寧に描いて面白い。秘密基地とか戦闘機とかのエピソードは今一つ有効ではないように思うが、清清しく描かれた若い芝居で気持ち良く帰れる作品だった。地元に一人残った晴子のキャラクターが良い。

売春捜査官
高円寺K'sスタジオ本館
高円寺K'sスタジオ【本館】(東京都)
2025/10/15 (水) ~ 2025/10/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
無料(投げ銭)公演。高円寺K'sスタジオ10周年特別企画
脚本は同じでも、演出や役者(演技)によって面白さが違って観える。今回の「売春捜査官」は、主人公の木村伝兵衛部長刑事を木村夏子サンと柏尾志保サンが競演する。その演技が見どころ。最終日に続けて観たことによって、その違いを感じることが出来た。
何度も「売春捜査官」を観たが、それだけに観慣れたといった先入観を持っていたが、表現しにくい新鮮さ斬新さがあった。公演は、木村伝兵衛像が役者の演技だけではなく、その外見ー体躯によっても印象が違って観える。演劇は役者の数だけあるような。
(上演時間1時間35分 途中休憩なし)【柏尾志保版】

売春捜査官
高円寺K'sスタジオ本館
高円寺K'sスタジオ【本館】(東京都)
2025/10/15 (水) ~ 2025/10/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
無料(投げ銭)公演。高円寺K'sスタジオ10周年特別企画
脚本は同じでも、演出や役者(演技)によって面白さが違って観える。今回の「売春捜査官」は、主人公の木村伝兵衛部長刑事を木村夏子サンと柏尾志保サンが競演する。その演技が見どころ。最終日に続けて観たことによって、その違いを感じる。彼女を支える男優陣ー日下諭サン、梶原航サン、千葉大和サンーの熱演も良かった。もちろん舞台技術の照明や音楽が実に効果的に使われ、印象深く観(魅)せる。
つかこうへい の思いは、やはり役者の演技力という体現なしでは伝わらない。特に主人公を演じた2人の力強く凛とした姿と愛嬌ある仕草、また山口アイ子の切なくも強かな女、その異なる女性像を自在に演じ分ける。
(上演時間1時間35分 途中休憩なし)【木村夏子版】

カスタネット
末原拓馬
TBS赤坂サカス広場特設紫テント(東京都)
2025/10/20 (月) ~ 2025/10/20 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
ドブロクが呑んだくれながらカスタネットの話を伝えようとするのは、彼なりの贖罪なのでしょうか。カスタネットの花瓶を紛争地に投げ込みたくなりました。

『ストーリーズ』-短編物語選集-2025
楽園王
GALLERY LIPP(東京都)
2025/10/08 (水) ~ 2025/10/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/10/12 (日) 15:15
【PROGRAM1】
1編目の長堀主宰による二人芝居はパラレルワールド系も好きな身として頬が弛む(小松左京「こちらニッポン…」も連想)。「12月のカレンダーをめくる」という表現から瞬間的に予期したものがアタリでニヤリとしたりも。
2編目は新美南吉作品の朗読劇。楽園王ではお馴染みの(だよね?)演技エリア内を歩き回りながら読み終えたテキストを床に散らかす(笑)スタイルだが、会場の広さゆえ数行にわたるものからキメとなる文節一つだけ(←フォントが大きい)のものまで異なるテキストが見えて膝を叩く。よもや意識した演出?
3編目は岸田國士「紙風船」。前日の岸田作品同様、クラシカルとモダンの融合もさることながら、序盤の二人が背中合わせとは!

プンティラ旦那と下男のマッティ
MODE
座・高円寺1(東京都)
2025/10/17 (金) ~ 2025/10/26 (日)公演終了

焼肉ドラゴン
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2025/10/07 (火) ~ 2025/10/27 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/10/22 (水) 13:00
日韓国交正常化60周年記念公演『焼肉ドラゴン』作/演出 鄭 義
舞台の伊丹市とほど近い神戸に住んでいた。時代は1969年から71年、中3から高2だっただったか。小中、特に小学校では韓国出身のクラスメイトが多かった。台湾ルーツの子供も。通学経路には朝鮮学校があった。社会人になって鶴橋の焼肉屋にはたまに行っていた。焼肉の匂いに包まれる街。
時代を切り取る流行語や、上演前のアコーディオンで弾いていた曲達は懐かしかった。
在日韓国人、直接的には描かれてなかったが、差別。そして居住している劣悪な環境の地区。
戦後を生きて来た両親、そこで育った子供達、三姉妹、彼が生きた 3年を描いた 2時間45分の上演。私立中学での韓国人へのいじめ、自死を選んだ彼。時生はちょうど同じ世代だ。生きて欲しかった。我々の世代はいじめはほとんどなかったのだけど、小学校時代、同級生は何人とか何も気にしていなかった。
劇中、台詞にあった済州島での事件のこと、あとで調べてみるが、島民の惨殺/虐殺。
次女夫婦の北朝鮮への移住。在日の帰還事業の結末を知っている訳で、あの出発がどういうことを意味するのか、悲しい気持ちを抱く。
そういったことを背景に、厳しい時代を生きて来た夫婦の姿、家族、時生の姿に最後は涙が止まらなかった。
でも、あの最後のシーン、笑いを生んでいた様に、次へのスタート、辛いことになるのだけど、次へと歩き出す姿だと受け取った。未来への消えていったのだと

さる
中野坂上デーモンズ
水性(東京都)
2025/10/15 (水) ~ 2025/10/22 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
(笑えた度)5.1(今感)4.08(完成度)5.1(平均)5
異能で孤高の文学者、モヘーさんによる3人芝居。
ミニマムなマジックリアリズム風味演劇。
ダウナーな日常から出発して、想像もしていないどこか彼方へ連れて行ってくれる、極上の75分。

熱海殺人事件 モンテカルロ・イリュージョン
ゲキコパ
千本桜ホール(東京都)
2025/10/16 (木) ~ 2025/10/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
良かったです。ただ、今までにない登場人物は不必要な気がします。役者さんの熱量も伝わって来ましたし、今後が更に期待大ですね。

ブリザード・ミュージック
旋風計画
武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)
2025/10/17 (金) ~ 2025/10/19 (日)公演終了

曇天に咲く華
劇団KⅢ
萬劇場(東京都)
2025/10/15 (水) ~ 2025/10/19 (日)公演終了

ピンクの教室に父の影
友池創作プロジェクト
小劇場B1(東京都)
2025/10/15 (水) ~ 2025/10/19 (日)公演終了

三道楽煩悩 Sandra born now サンドラ・ボーン・ナウ
劇団Turbo
OFF OFFシアター(東京都)
2025/10/14 (火) ~ 2025/10/19 (日)公演終了

我ら宇宙の塵
EPOCH MAN〈エポックマン〉
新宿シアタートップス(東京都)
2025/10/19 (日) ~ 2025/11/03 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
2023年の夏に偶然新宿の小劇場で見て、マッピングを上手に使った生きの良い新時代ファンタジーだと感心した。それから2年。
その間に、23年度の読売演劇大賞は「作品賞、「演出家賞。「主演女優賞を受賞、今年はロンドン公演もやってのけ(まぁ小劇場だろうが)多くの新聞があって劇評の多いロンドンでも、絶賛の星が並んだという(チラシの宣伝)。解らぬでもない。
演劇界を見れば、野田秀樹は確かに日本演劇のリーダーの作者だが、なかなか追いかける若者が出てこない。いつも、野田が焦れている。エポックマンは野田系のインプルーブ版であるが、まだ余力もあるし、期待も持てる。。
かつて初演(23年)を見たときは、パペットやマッピング、物語の作り方など、新しいセンスに感心したが、一方で登場人物の意外に地に着いた現代の単親の一人っ子物語(その子をパペットにしたところなど秀逸なアイデア)が生活感を持ってきめ細かく出来ているところ、などもよかった。(例えば、全自動シアターなどは、同じ路線で一人っ子モノで成功したが、結局、世相ギャグに終わって、野田を超える力がなかった。ようやく、最近リアリズム路線で横山拓也が追撃して見せたが、こちらは自分の世界のリアリズムへのこだわりが強くで野田の上を行稿とは考えていないだろう)。ここは野田と違うところで、野田はファンタジーに現実も寓話もなじませてしまウが、小沢は現代の現実の中にファンタジーを溶けこませてしまう。野田を追っても、独自性もしっかりあって。他の作品でも独自性を持ち、観客への訴求力(オセンチ)も上手い。再演(今回)はラストに近い父親とのシーンを固めに仕切り直している(後半)。ロンドンではこうしないとメルヘンに逃げて腰砕けと言われそうなので直しているのだろうが、そこをどうするかは課題だろう。
作風が現代の都会的センスで、しかも頭デッカチでないところも、野田のように最後に何が何でも情感に持っていき少女ファンを訳も分らず泣かせてしまおうとしないところも、(ことに80年代まではその傾向が強く野田クライマックスに閉口した見物も多かったのだ)新しい作家の登場を感じさせる。(私はラストの処理は初演の方が好きだが、もちろんロンドン帰りと思えば、そこでこれに変えられるのもたいした物だとは思う)。まぁこの三年ほどの中でみたもののなかでは必見の秀作とは言えよう。
一言付言すれば、作る側が、芝居は見せ物であることを忘れていないのが素晴らしい・

全速全進!
劇想からまわりえっちゃん
インディペンデントシアターOji(東京都)
2025/10/16 (木) ~ 2025/10/20 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2025/10/20 (月) 16:00
初めましてのからまわりえっちゃん、全員の熱量が凄い。全員/全力/全速/前進でした!
とにかく動き回る、それも全速で、動き続ける。熱量に圧倒された。そこを十分堪能した。
千秋楽の終演後の主宰の方の挨拶、高校で演劇部だった二人が今も一緒に(もう一人の部員だった方によれば名古屋の演劇部)この劇団で演劇を続けておられることが凄いなと。

ハハキのアミュレット
(公財)可児市文化芸術振興財団
吉祥寺シアター(東京都)
2025/10/09 (木) ~ 2025/10/15 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/10/15 (水) 14:00
背信はおっさんの会(5人のおっさん達が仲間に声を掛け、集まった役者達が、ジャズの如く戯曲を読み合う集まり)で 6年程前に 1場ごとの読み合わせを何度も聞かせてもらっているが、上演されるのを拝見するのは今回が初めて。その時に文庫を買っていたのを、スタジオ空洞の外で待っている間に読み直し終えた。
「間」「間」と、ハロルド ピンター氏は 1行ごとに間を放り込んでるのじゃあないかと思うぐらい間を多用しているのだけど、今日の上演を拝見して少し納得した。「間」の時間、もしかして上演時間 115分の内の 20分ぐらいは間なのではないかと思えるぐらい。
たまたま、客席に外人(日本人ではないとの意味で)の女性二人が来ておられた。日本語が理解出来るのかなと思っていたら、終演後に少し一緒に歩くことになり、どうだったか伺ったら「Great!」とのことでした。お一人は少し日本語が話せて、あらかじめ予習しておられたとのこと。伝わるものなのだなと納得。月日を遡及して行く展開、なるほど過去へ過去へと遡ることで説明的な台詞は必要ないしなと拝見しながら納得。
4人の俳優のキャスティングもそうあれかしとの皆さんで、主宰/演出の岡村尚隆さんによると年齢も戯曲に合わせて選ばれたと伺った。緊張感がヒリヒリと伝わって来る。
あのラインはスクォッシュのコートなのか!登場する料理や酒、酒、酒などにも細やかな拘りが、あの色合い達は何なのだろうか?
レストランのシーンでウェイターが「渋滞」と答える部分の拘りにも納得「Si, signore!」だ!
前置きが長くなったけど、これまで、一場でのリーディング的な台詞では伺っていたのが、上演作品で拝見して、なるほどこう言う劇なのだとおおいに納得出来た。
北澤小枝子さん、桂弘さん、今井聡さん、市川敬太さん、皆さんの演技がそれを可能にしてくれた。
海外戯曲、先に触れた外人のお二人、彼女達にも納得出来る舞台だった言わせる、しっかりとした上演作品でした。