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歩かなくても棒に当たる

歩かなくても棒に当たる

劇団アンパサンド

新宿シアタートップス(東京都)

2024/08/07 (水) ~ 2024/08/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

今回もまた日常に生じた小さな嘘と正義、気遣いと気休めによってとんでもねえ事態が招かれ、さらに招かざる客(?!)までが招かれ、やがてとんでもねえ大事態になっていく可笑しみのトリプルアクセルを堪能。

ゴミ出しに間に合うか合わないかの話が、まさかこんな風に展開するなど誰が予想できるのか!笑いだけでなく劇構造の細部にも劇作家・安藤奎さんならではの美学が宿っている様に感じました。俳優の個性を最大に引き出す技術、予想を上回る魅力でそれに応えるキャスト陣も素晴らしく。

(麗しの!)川上友里さんのチャームと狂気が圧巻、堪能!
西出結さんの巻き込まれっぷりと悲哀も、安藤輪子さんのはみ出た真面目さも、永井若葉さんの協調と見せかけた適当さも、鄭亜美さんの番狂せな妖しさと艶も、配分・配置が絶妙で、どことどこをどう掛け合わせたら何がボムするかの見通しが全てクリーンヒットを成していて美しいほどでした。
小気味良く起きる笑いの奥に、荒唐無稽な世界の裏に、ノリや勢いでは成立しないある種の潔癖さを感じて、私はそこに芸術における秀逸さを感じたりもしました。が、今回もまたそこにさらに、お家芸とも言えるどアナログな装置が仕掛けられ新磁場が爆誕。もう呆気に取られ笑うしかない、痛快でした!

はやくぜんぶおわってしまえ

はやくぜんぶおわってしまえ

果てとチーク

アトリエ春風舎(東京都)

2024/08/01 (木) ~ 2024/08/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

凄まじかった。
目に見えて人が怪我したり死ぬ出来事は起こらずとも、日常がいかに地獄かを、言葉や意識や無意識によってどれだけの見えぬ血が流れ、心が殺されていくかを60分で描き切っていました。
私も、誰もがあの教室にいた、いや、いるのだと改めて知らされた。

冒頭に高校生たちが手に取るティーン誌は私がかつて長く携わっていた雑誌で、その表紙とめくられていく誌面からぴたりと自分が担当した企画やページが見えて、その時頭上から何かを振り下ろされたかの様な気持ちになった。
少し昔にある世代を魅了したあの"カワイイ"雑誌の中にも、ポップにコーティングされながらその実鋭い刃を剥いた言葉たちが恐らくある。無関心から誰かを透明化したり、物や人への人気投票によって優劣をつけたりがある。他にも色々あった。
そして、紛れもなく私もそれを送り出してきた一人である。

だから「振り下ろされたかの様な気持ち」ではない。振り下ろした、振り下ろしていたのは自分の方なのだ。それらがこうして、ただでさえあらゆる傷を追わねばならない放課後に流通していたことを恥ずかしながら10年以上も経って痛感することになって、これはもう後世忘れてはならない感覚だと刻んだ。刻む様に血の流れ続ける放課後をみていた。

女子高を描いた演劇だけど、女子高生の問題ではない。
全ての人間があの教室の椅子にまず着席せねばならないと思った。
だからこそ、年1回位の頻度でカンパニー出費でなく公的助成や主催のもと上演されてほしい作品でした。俳優が皆痛い程に素晴らしかった。

升味加耀さんは今まさに掬い上げ、摘み取らなくてはならぬ問題に真っ向から筆を入れる劇作家の一人だと思います。それは私が観たどの作品でも揺るがない。岸田戯曲賞の選評ではその眼差しや覚悟についてがあまり言及されなかった気がしてて遅ればせながらもどこかに記したい気持ちにもなり(記し)ます。

冠婚葬祭

冠婚葬祭

エリア51

すみだパークシアター倉(東京都)

2024/07/25 (木) ~ 2024/07/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ある曲とあるシーンで胸がいっぱいになって落涙しながら拍手しました。音楽と演劇の力をどちらも同じくらい感じています。空間としても、作品としても考え抜かれていました。

終演後ゲストパフォーマンス、リリセwith仲間たちのサイファー読書会もとてもとってもよかった。言葉と音楽、そしてそれを持つ心身が対等であり、平等であること。誰しもがライターにもスピーカーにもシンガーにもなれるということを信じ祈るようなパフォーマンス。
またどこかで必ず観たいと思いました。

美しく、高くなるほどに強さが光る鈴木さんのボーカル、神保さんのギターと廣戸さんのベースが刻む不可欠なビート、そして心拍のような心地よさを鳴らす中野さんねマリンバと鐘々江さんのヴィブラフォン。胎内から聞く外の音はこんなだったかもしれないななんて思っていました。

俳優の力と技も感じました。
星さんの包容力とそれでいて孤高の存在感は旅人そのもの。中嶋さんの身体は地を這うときこそ宙に浮いているかのようで、熊野さんの身体は動く度に生きる喜びと切なさが弾け出すようで、萩野さんは静かな葬いに心を燃やすようで、みんなそれぞれ一瞬身体が泣いてるようにも見えた。音楽演劇だけど、ダンスパフォーマンスももっと押し出していいくらい素晴らしかった。

そして、私が思わず涙したのは、高田さんが花瓶に花を活けるシーン。
歌詞に合わせるのではなくむしろ導くような横顔と所作に胸が溢れた。
私は応援コメントに「人生のオールタイムベストだ」と書いたけれど、こんなふうに大切な誰かにもらった花束をほどいて、一つずつ慈しむように時間をかけて活けること、そして例えば窓辺なんかに飾るようなひとときこそが冠婚葬祭に匹敵する、いや、もしかしたら勝る人生のベストタイムであったりするのかもしれない。高田さんの横顔と仕上がっていく祝福の花瓶を交互に眺めながらそんなことを思っていました。思っていたら、自分がそれを忘れていたこと、すっかり蔑ろにしていたことを一緒に思い出して、涙が出てきてしまったのです。
我が家には毎月お花の日があるのに私は多分長らくこんな顔をして活けてなかった。
花を買って帰るには時間が遅すぎたから家に帰ってまず花瓶を洗いました。

起承転結で構成された物語や演劇には慣れていても、冠婚葬祭を紡ぐ音楽と演劇にはきっとそう出会えない。案の定、祭りの後は少し寂しいけれど、それも含めての人生を眩しく描いた音楽と演劇でした。日本ならではの文化が要所要所に忍ばされているのもよかったです。
そして、照明(松田桂一さん)を堪能する作品でもありました。本当に素晴らしく空間を照らし、灯し、縁取られていました。あと、星さんが鬼のお面を手にした時は、「もしや、まだ鬼に魅せられてる?」(1年前の条件の演劇祭参照)と少し笑いました。
作・演出の神保さんにも改めて大きな拍手を。ゲストパフォーマンス含め、演劇シーン、まだまだ進化する、またひとつ素晴らしい世代が彩っていく、と確信するようなステージでした。
墨田区の人は500円で観られるそうなので、是非墨田区の人にも広く伝わりますように。
もちろんそうじゃない人にも。
すみだパーク遠いと思うかもしれないけれど、足を運んで本当によかった...。子どもたちにも見せたかった、聴かせたかったな。多分まだ感想書きますが、とにかく生きるということを最高に祝福され、労われ、激励された気持ちです。祝福し、労い、激励したい人の顔が浮かびました。

8月の再起動

8月の再起動

KAIGYAC STAGE

APOCシアター(東京都)

2024/08/30 (金) ~ 2024/09/02 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

前作「7月の邂逅」に続いて草刈ねむと涼風金魚のコンビが登場する連作仕立て。金魚役がWキャストだったが、せっかくだから7月に観たときの金魚役だったcheluの出演回を選択。前作に比べると何だか込み入った話で、尚且つそれがうまく消化しきれていない印象。

ゴシック

ゴシック

風雷紡

小劇場 楽園(東京都)

2024/08/14 (水) ~ 2024/08/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

諏訪生まれなので色々想像しながら観ました。のでそういう観点から。

姨捨は県北部のイメージも山梨なイメージもありますが、神社は諏訪だし、今も命懸けの祭りを続ける地域でもあり、酒蔵もありますね。
台本、美術、照明、演出など本当にこんな風習や葛藤があったのかと思うようなリアルさが出ていたと思います。頭にあの辺りの山や崖の地図が浮かびました。
どの劇場もだけど、この劇場は特に特徴を上手く使ってる団体があって、今回も奥まで続く洞穴と、光が見える入口の途中を使った感じから、その場にいるような臨場感がありました。
夏の暑い日に涼しい洞窟でなかなかホラーな話でした。

ネタバレBOX

本家と分家の話もですが、過去に嫌がる母を山に置いてきて胸につかえている絹としては、時代が変わるのだからと言われても、自分が死ぬことになっても、古いしきたりに従うしかなかったのだろうなあと。一般的な姨捨山の話は知っているけど、そういった風習が本当にあったとして、どこかで誰かがやめようというときには葛藤や対立があっただろうし、その辺を扱いつつ、旧家の後継問題とか孫の障害とか絡めている点が新しい。
同じような状況は、時代や集団の状況、世の中の決まりが変化するとき、どこでもありうる葛藤だと思った。
人が死ぬからって古い祭りをやめたらそれこそ葛藤や対立が起こって、すごいドラマになるだろうし。

お話は、謎があって現状に不満を持っているあの辺が黒幕っぽくて、誰が死ぬのか生きるのか…という展開が見えてしまうのだけど、繭の豹変した姿とか、これもありそうだけど、ゾクゾクしたし、結果もああやっぱりか~ではあるけど、ちょうど初心者でも楽しみやすいかと思いました。
今日、母が死んだ

今日、母が死んだ

劇団あおきりみかん

G/Pit(愛知県)

2024/08/15 (木) ~ 2024/08/18 (日)公演終了

実演鑑賞

叔父から母親が亡くなったという報を受けた一人娘の
その二昼夜に渡る物語。

ネタバレBOX

子が可愛くない親はいないなんていうけれど
親子間でも相性ってあると思う。
私の場合もやっぱりそうだった。
一つ下の妹は可愛がられて育ったけれど
長女の私は、全く理解されなかった。
やることなすこと全てにケチつけられて相当グレた。
家を飛び出してもう何十年も経つが
未だにその溝は埋まらないまま。
孝行したいときには親は無しとは言うけれど
母親自体がお前の世話にはなりたくないと言っている。
私にとっては毒親以外の何物でもなく
一応生み育ててもらった恩はあるが今更修復のしようもない。
それで終わったら終わったで構わないと思っている。

だが、こちら主人公の母親は、
辛く当たってしまった娘に本当は後悔の念を持っていた?
いなくなってしまった娘の寂しさを紛らわすために
あんな奔放な生活に走ってしまったのか?
いや、でもやっぱりこの母親も
厄介者が出て行ってくれたことで
むしろせいせいしてタガが外れてしまったのではないだろうか?
「本当のお母さんはあなたの考えているような
人じゃなかったんだよ」と告げられても
その挙動にはあまりにギャップがあり過ぎる。

伝えること、理解すること、
表現することって確かにむずかしいけれど
人間関係がどんどん希薄になって生き辛くなっていく現代。
それも致し方ないことなのかも。
8月の再起動

8月の再起動

KAIGYAC STAGE

APOCシアター(東京都)

2024/08/30 (金) ~ 2024/09/02 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

 可成りトートロジカルな論法で組み立てられた脚本なので分別し難いが面白いことは面白い。その理由は、当にこの手法で書かれることで分かり難さが適度に刺激になっているという点だ。

ネタバレBOX


 物語は鳥取県の境港を舞台に展開する。登場するのは流しのスナックをやっているねむ、と金魚。実は霊能者で組織事務局に属した過去を持つ妖怪ハンターのねむ。その弟子筋らしき金魚。先ずは腹ごしらえをしようと名物の蟹料理屋へ赴く。
 片や引っ込み思案で目立たぬように生きていた彼女を変貌させ新たな世界に導いてくれた大切な親友を亡くした蛍、失意の彼女に愛を告げた霧は共にこの地を旅しに来た。目的は名産の蟹。蛍には最も大切な人が亡くなってしまうという宿命観がありこれがトラウマである。
 ところが、どういう訳か2組とも目指した店は臨時休業、仕方なく街を彷徨うと屋台のおでん屋があった。このおでん屋の女将も元妖怪ハンター、流石水木しげるさんの故郷というよりこじつけが多すぎるキライはある。まあ、物語全体の作りがトートロジカルであることはしょっぱなに書いた通りなので作家の特性ということで諦める他あるまい。ベースにあるのは開演前にホリゾントのスクリーンに延々と映し出されるSNS映像で没個性的表現で似たような内容が延々と続き創造性が最も要求される表現というジャンルでこれほど没個性的な映像を延々と流すことのできる神経に甚だ滅入っていたし、根底にあるであろう強い承認欲求や集団ナルシシズム及び上げた傾向とは真逆の没個性的表現に満足して居るらしいことの矛盾に平気であるように見えることの気色悪さに唖然とさせられていたのだが、このような矛盾を敢えて作り出すことによって実生活中には存在しない苦悩やトラウマを化工産物として拵えている可能性や実際に在り得るジェンダー差による女性の被害に対する恐怖も考えた。
 何れにせよ、続く物語は悪意は感じないものの、極めて広範囲に及ぶ妖気を発しポテンシャルの高さは弩級の妖怪が、この地に現れ人を喰らっているという状況が起こっているということであった。この妖気に引き付けられるかのように現れたテディベアを抱えた現役妖怪ハンターはねむの元相棒。喰われたのはおでん屋の女将をしていた元妖怪ハンター、下手人は出生に絡み強いトラウマを持った女であった。
 このメインストリームに絡むのが蛍と彼氏の恋、蛍の一途な恋は、またしても裏切られる。共に旅する霧は既に鬼界のヒトとなっていたのである。トラウマを共通項として、これもありきたりと言えばありきたりだが、普遍的と言い換えることもできる心の深い傷による苦悩と純粋な愛であるが報われぬ恋の悲劇は、主役と脇役で確かに描かれているからだ。
穏やかな罅

穏やかな罅

サンハロンシアター

OFF OFFシアター(東京都)

2024/08/29 (木) ~ 2024/09/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

淡々と現実にありそうな話で共感持ちつつ拝見。面白かったです。結果、悪い人は一人もいなくみんなそれぞれ頑張ってるんだなあ…と、感傷にひたりつつ、何だかんだ優しい時間を過ごせた気がします。私は、好きな作品でした

『大洗にも星はふるなり』

『大洗にも星はふるなり』

ゴツプロ!

「劇」小劇場(東京都)

2024/08/28 (水) ~ 2024/09/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

夏の海の家での物語。安心して見られるわかりやすいコメディ。

Re: プレイバックpart3

Re: プレイバックpart3

劇団チャリT企画

駅前劇場(東京都)

2024/08/28 (水) ~ 2024/09/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

初めてちゃんとチャリT企画さんを観ました。かなり社会派ですが、笑える要素もあっていいですね。ストーリー自体がかなりしっかりしていて先が気になる展開なので個人的にはもっと振り切って怖くても好きだけどそうすると重すぎるのかなぁ。バランスが難しいですね。

ニルバナナナノニ

ニルバナナナノニ

発条ロールシアター

中野スタジオあくとれ(東京都)

2024/08/29 (木) ~ 2024/09/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

 開演前にはシャンソンの名曲が流れ、板上センターには上部をブルーシートで覆われた直方体が鎮座している。この下手には紐が張られ洗濯物が干されている。こんな舞台美術を背景にオープニングではムード演歌を歌う歌手が登場、前説を務めつつなだらかに導入。華4つ☆ だが解釈次第だ。

ネタバレBOX


 歌手退場と同時に直方体の片端を持ち上げる者が居る。中から現れたのは1人の初老の男。設定は川岸、この直方体はこの男の段ボールハウスである。人1人が横になって寝るサイズちょっきりなのは、不法占拠に当たるから地元の市役所職員から大目に見て貰える範囲で遠慮がちに設置されている訳で住人の性格を表わしている。
ところで、今作のタイトルには恐らく仕掛けがある。東南アジア等で料理用に用いるバナナに掛けた意味とサンスクリット語のニルヴァーナに掛けた意味とのWミーニングである。この点に気付けば案外すっきり解釈できるのではないか? 料理用バナナの話は台詞に出て来るし、実際にバナナを食べるシーンも出てくるがこちらは普通に果物屋で売られているバナナで、肩透かしを食わせるのも作家のジョークと捉えられよう。一方のニルヴァーナは涅槃の意である。即ち、悟りの境地を指し、同時に生命の火が吹き消されたということでもあるから空でもあろう。西洋流の概念では自由の究極の形をイメージできるかも知れない。何れにせよ我らは生、老、病、死からは逃れ得ない。而も世の中は様々な柵でできている。運、不運は己の生まれる時も、場所も自ら選ぶことすらできないことから初めっから決定されていると言えないことはない。このような不公平にも関わらず取り敢えずの生活は総てが平等という建前で始まっているのが我々が暮らす社会の在り様である。このギャップ自体を生きる人々の安らぎが何処にどのような形で存在し得るのか? そんな深刻な問い掛けすら感じとることも可能な作品ではあるが、このような受け取り方をしなければ一体何が描かれているのか? 正体を掴み難い不思議感覚で観ることのできる作品でもある。更に深読みすればこのように観る側の自由が保持されている点に今作の狙いがあるのかも知れない。
ねえ、あのさ、

ねえ、あのさ、

イマにヒとコへ(え)

インディペンデントシアターOji(東京都)

2024/08/29 (木) ~ 2024/09/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2024/08/30 (金) 19:30

初見のユニット。クオリティが高く哲学的な展開と思う。(5分押し)110分。
言葉で正確に伝えるための3種類の辞書がある世界、という設定が哲学っぽい。結婚まもなく1年と言う夫婦が、庭を巡って言葉をやりとりするが…、の物語。徐々に現われる登場人物の造型もしっかりしてて、質の高い芝居を見せてくれるが、そもそもの世界観と言うか問題設定が私にフィットしていなくて、充分に楽しめなかった。ゆでちぃ子。を本拠地で観られると思ったのだが、体調不良で降板だと言う。残念。

『海月』「〜いつも編・いつか編〜」

『海月』「〜いつも編・いつか編〜」

海ねこ症候群

王子スタジオ1(東京都)

2024/08/27 (火) ~ 2024/09/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/08/30 (金) 17:00

「いつか編」を観た。「いつも編」→「いつか編」の順序が良い。シリアスなファンタジーの続き的作品。(2分押し)55分。
「いつも編」の13年後、なぜか4人で女子会をしているのだが、途中から深刻な展開に戻され…、の物語。「いつか編」を観た後だと、すごく腑に落ちる展開で、キーになるセリフも巧く使われている。「いつも編」と同じく、内容は深刻だがファンタジーなので落ち着いて観ていられる。セリフの確認をしたいのだが、上演台本を売っていないと言う。残念。

『海月』「〜いつも編・いつか編〜」

『海月』「〜いつも編・いつか編〜」

海ねこ症候群

王子スタジオ1(東京都)

2024/08/27 (火) ~ 2024/09/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/08/30 (金) 14:00

「いつも編」を観た。観るの2度目のユニット。シリアスなファンタジー。50分。
4人の女子高生の日常を描いているようだが、その1人ノリは他の3人の記憶がない。いろいろあって山に上る4人だが…、の物語。王子の「見本市」で上演された作品のブラッシュアップということだが、元は観てない。途中から深刻な状況を描いているんじゃないか、という気がして、それは当たるんだけれど、ファンタジー仕立てなので、それほど深刻な感じはない。前作もファンタジーだったので、そんな作風の劇団なんだろうと思う。それはそれで悪くはないし、今後に期待できる。

真・バトルサウナー城崎

真・バトルサウナー城崎

レティクル座

インディペンデントシアターOji(東京都)

2024/08/07 (水) ~ 2024/08/12 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/08/06 (火) 13:00

カンフー映画を想起させる流れに後半から鳥山明風味が加わり更にハリウッドのSFスペクタクルまで、という娯楽要素の盛り合わせをサウナを舞台に繰り広げるという具沢山なツクリ。
それでいてシンプルながらちゃんとサウナに見える舞台美術や「火」の表現、タオルパフォーマンスに「あの着ぐるみ(なのか?)」など「芸術点」も高く、多彩で的確なキャスティング。キレイに一本取られた感じ。

異説 東都電波塔 弐 〜 永遠なれ、星の樹

異説 東都電波塔 弐 〜 永遠なれ、星の樹

劇団GAIA_crew

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2024/08/28 (水) ~ 2024/09/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

現実と架空、アニメ(?)が入り混じったような、不思議な世界を楽しめました。
観応えのあるストーリーで面白いのですが、登場人物を整理するのが大変でした(自分の理解力の関係もありますが)
衣裳や照明も、独特の世界を醸し出していて良かったです。
楽しい時間でした。

天使のように微笑んで 財布なくしてガム踏んで

天使のように微笑んで 財布なくしてガム踏んで

株式会社NLT

博品館劇場(東京都)

2024/08/28 (水) ~ 2024/09/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

天使のように微笑む人と、財布なくしてガム踏んじゃう人は違う人だったんですね。ひと事なら確かに笑っちゃうかもですが、それは天使か?蕨野さんは黙って立っていたら素敵です!その落差に笑いました。
台風接近の最中に無事行って帰って来れたので、笑ってすまされますね。
規制退場をするなら出口に近い後ろの席の方から退場するのが正しいのでは?後ろの席の人をそのままにして、前方席の人がそこを通るのはわざわざ密な状態を作っているようなものだと思いますが。

穏やかな罅

穏やかな罅

サンハロンシアター

OFF OFFシアター(東京都)

2024/08/29 (木) ~ 2024/09/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/08/30 (金) 14:00

自分の中でも曖昧な、結論の出ない思いを素直に言葉にしたら
こんな会話になるのかなと思う。
その思いを受け止めてくれる相手がいて初めて成立する会話が温かい。
悪徳業者だと思っていたら、意外なラストにめちゃめちゃ感動してしまったぜ!

ネタバレBOX

来年1月までに立ち退きが決まった古いアパートの一室、
元同僚という中年男2人が一緒に暮らしている。
淡々と、利害関係もなくただ同居しているというのが好ましい。

お人よしの男1は、隣室の女性が不動産業者と立ち退き契約を交わす場に同行したりする。
女性は手土産の菓子折りを持って、言われるままの立退料に判を押して去って行く。

ポストに入っていた「水族館リフレ」という怪しい(?)チラシの店に、
男二人は別々に内緒で通っていたが、ある日店でばったり出くわしてしまう。
同じリフレ嬢の客だったことが判明する。
男2は、リフレ嬢にストーカー呼ばわりされつつ人生初の「好きです!」と絶叫する。

直後、男二人の穏やかな日々に小さな変化が生じる。
何となく立ち退き後も次の住まいで同居すると思っていたが
初めて別々に暮らそうか・・・と思い始めるのだ。
無邪気に、隠し事も遠慮もなく無理せず暮らして来たオジサン二人の日常に
壊れるのではなく、カリッと微かな罅(ひび)が入る感じが絶妙。

”今さらの自我”というか、”大人の秘密”というか、何か”共有すべきでないもの”が
芽生えたように見えた。
罅は自立と変化の兆しという気がした。

登場人物は皆、根は優しくて思いやりのある人々だが、
悪徳不動産業者だけは気持ちいいほど金の亡者だと思っていたら・・・、
何とラストの素晴らしいことよ!
あの菓子折りの使われ方と、男1の無駄な抵抗(に見えた)行動が
こんな結末を呼ぶとは、想像もしていなかった。
無欲で、素直な行動が、相容れない人の心をも変えてしまうという
この「土禁」と「菓子」のラストシーンで、全てが報われ回収される。

役者さんが皆、淡々とした台詞に気持ちを乗せるのが巧く、惹きつけられる。
シンプルなセット3点を素早く移動させるだけの場転も効果的だと思った。


とりあって

とりあって

かわいいコンビニ店員 飯田さん

OFF OFFシアター(東京都)

2022/09/08 (木) ~ 2022/09/14 (水)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★

作品として評価すればとてもいい出来だとは思うのですが、個人的に全く救いのない話は好きではないことと現実に普通にある話なのであえて芝居で見ることに意義を感じないというかこの作品で作者が何を成し遂げようとしたのかがわからない、例えば笑ってもらおうでも、泣いてもらおうでも、ワクワクしてもらおうでもいいのだが、大きく感情の動く作品ではない。正直この作品はちゃんと作りすぎていてモヤモヤ以上の感情がわかない。間違いなくお芝居自体は見応えはあるが、いやでも社会人となると経験するものをあえて劇場に足を運んで芝居で見ようと思うのか。ごく一部の経験しないような人にはホラー的な面白さがあるのかもしれないが、多くの人には精神的にもあまりいいものではない。ただ基本的には好みの問題ではある。人物表現も丁寧でちょっとみようと思ったのが最後まで見てしまったほどに芝居としては見応えがあるのは間違いないのではあるが。もしかするとこの作者さんがさらに突き進んで突き抜けた先に大きな感情の動きがでるような作品を作るかもしれないし、そうなると土台がいいのですごく面白いと感じる作品が生まれるかもしれない。

舞台「やむにやまれぬ蒼~150年後の、君へ」

舞台「やむにやまれぬ蒼~150年後の、君へ」

寺子屋プロジェクト

シアター・アルファ東京(東京都)

2024/08/29 (木) ~ 2024/09/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い。
幕末の動乱劇にしては、派手な殺陣等のアクションシーンは少なく <志>を語るように紡いでいく。物語は、長州藩 吉田松陰の志を継いだ若者たちの迸る<思い>と 彼らを巡る女性たちの熱い<想い>、その両方の観点から描いているところが魅力的だ。男性だけ女性だけといった場面を取り入れ、その時代における男女の立場や役割を強調している、そこに心情が浮かび上がる。

時代は幕末、それもペリー来航した1850年頃から1890年の大日本帝国憲法公布までの約40年間を描いた物語。150年程前の話であるが、現代にも通じることー1人ひとりが自ら考え行動するーそこには当然 責任も伴う。そんな覚悟を熱く語るシーンが多い。パンフにも失敗を恐れず進むことを止めず諦めなかった彼らを<志士>と記している。

公演の特長は、踊り手2人が しなやかに舞うことによって場面転換を行い、生演奏で情況・状況の変化や雰囲気を効果的に盛り上げる。踊り手は、劇中の人物たちの衣裳(和装)と違い、現代的な それも華やかな色彩の物。そこに演出のメリハリをつけることによってトピック的な出来事を印象的に描き出す。脚本の山崎愛美さんが前説を担当し、時代劇が好きか嫌いか(端的に言えば明治維新に詳しいか)を観客に問うていたが、たとえ疎くても本公演は楽しめる。
(上演時間2時間50分 途中休憩10分 *カーテンコール含めると3時間超) 

ネタバレBOX

下手から上手にかけて段々と高くなる段差ある横台。その前後ー前(客席側)が演技スペース、横台の後が生演奏(4人)を行うスペース。公演の特徴は、演奏(キーボード、バイオリン、笛 太鼓等の和楽器)と踊りの臨場感、この相乗効果が実に見事。登場人物の衣裳は 和装から洋装、そして踊り手は 色鮮やか 軽やかな浮遊感ある衣裳で舞う。薄布を靡かせ舞うことによって場転換する、それで情況・状況の変化が一目でわかる。ちなみに踊り手衣裳の色彩は赤と青など補色、勿論 色には意味合いを持たせ、例えば赤は血であり絆、青は薄帯布を波打たせることで海などの情景を表現する。

物語は、松下村塾の吉田松陰とその門下生を中心に描いている。そのため幕末、明治維新に関わる有名な人物や組織はあまり登場しない。例えば坂本龍馬や新選組など、魅力的な題材よりは<時代>という変遷(歴史)の中で、松下村塾の若者達がどのような<志>のもとで生きたか を紡ぐ。志士が駆け抜けた幕末・明治維新、それをテンポよく展開し飽きさせない。歴史を通して、未来を自分の意志で切り開くための経験値が示される。偉人の若かりし頃、挫折・苦悩等どう もがいて偉業を成し遂げたか、それを現代に繋げ考えさせる。

演技は、とにかく情熱的な語りと動きが印象的だ。そんな中で高杉晋作の最期、正妻と妾の夫々の立場と実情を情緒的に描いた場面が胸に迫る。女優2人の好演もあり、泣ける場面として印象的だった。熱いと言えば、オープニングアクトの月性の<志>を抱いて生きているか、そんな台詞が全編を貫いている。
次回公演も楽しみにしております。

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