慙愧
643ノゲッツー
OFF OFFシアター(東京都)
2016/04/26 (火) ~ 2016/05/02 (月)公演終了
満足度★★
タイトルに惹かれて
教会の一室が舞台・・・いったいこれから何が起こるのか、、、興味津津・・・ではあったが、全体的に、キャストの立場からの意図とその方向性が拡散し、「慙愧」という言葉の深い意味とstoryの趣旨との関連性がうまく伝わり難かった。
タイトルをなかなか決めることができない。。。と主宰者が仰るとおり、台本、演出以上に、公演のタイトルは最重要課題。このstageにいまひとつ、足りないものは、「タイトルへの執着」ではないだろうか。
ネタバレBOX
私事ですが、荻原さん役の永山氏を初めて御目文字し、その圧倒的な存在感と、厚みのある演技力に、今後の将来性と成長への期待を感じました。
Gliese
ピヨピヨレボリューション
シアターノルン(東京都)
2016/04/01 (金) ~ 2016/05/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
家族でも楽しめる劇でした
舞台は楽しく見れたし、舞台後 ゲストのキャイーンさんとのやりとりも面白く満足感で満たされました。
「白鳥の湖」全1幕(解説付き)&「迷子の青虫さん」(新作初演)
スターダンサーズ・バレエ団
テアトロ ジーリオ ショウワ(昭和音楽大学・新百合ヶ丘キャンパス内)(神奈川県)
2016/04/29 (金) ~ 2016/04/29 (金)公演終了
満足度★★★★
普通に楽しめました♪
■「白鳥の湖」全1幕(解説付き) は名シーンダイジェストの45分解説付き
なかなかによろしかったです(^^)ホンニ解り易くて綺麗でした~道化さんの開脚ジャンプはコミカルながらも力強く高くて見事だったなぁと感心しきり・・
で20分休憩~(開演時間は厳守されてたし=Goodっす!)
■「迷子の青虫さん」(新作初演)は衣装とか舞台セット=東宝さんらしいです=がみごとではあったんだけど・・・舞踊でのみ理解させるってのではなく。子供向けの感もあり、天からの声とかで解説やナレーションみたいのを入れてくれた方がよろしかったと思いました
慙愧
643ノゲッツー
OFF OFFシアター(東京都)
2016/04/26 (火) ~ 2016/05/02 (月)公演終了
満足度★★★★★
深く考えたら重いはずなんだけどつい笑っちゃう
初めて643ノゲッツー観ました。
会話のテンポもよく、
視点も自然と話題の中心人物に向くようになっていて快適だったし、
役者さん達が登場人物として生き生きとしていて面白かったです。
上演時間90分。
入り口にも貼ってありました。
劇場にお手洗いがひとつしかない旨を口頭でアナウンスしているのも、
親切だなと思いました。
ネタバレBOX
まさか、そこが繋がるの!? っていう世間の狭さが、
現実感薄いけど「ちょっとした奇跡」みたいで、いいなぁと思いました。
(私は、お芝居はちょっぴり夢があるのが好きなので…)
「犯人」はわりと分かりやすい行動や言動をしていて、
その動機にもとても共感できたので、そのあたりはシリアスな気持ちになりました。
でも他のシーンではシリアスな事情のところでも誰かしらボケてくるので、
暗くなりすぎずに楽しく観れました。
それも無理のない「笑い」への持って行き方だったので好みでした。
(考えようによっては、
笑いのなかに他人への興味の薄さとか、
熱しやすく冷めやすいミーハー精神みたいなうすら寒さもあるのかなぁ、などと思ったり…)
「先程気づきました」的なセリフがでてきたり、
話題の中心以外の人たちの動きも結構細かくて面白かったので、
そこを確かめるために2回観ても面白いだろうなと思わせる作品でした。
リピーター割引制度はありがたいです。
Gliese
ピヨピヨレボリューション
シアターノルン(東京都)
2016/04/01 (金) ~ 2016/05/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
ダンスバトル昼の部
ラスト3回だというのに、まだアドリブを入れ込む
キャストさんのポテンシャルの高さ!
ゲストがDACT partyさんということで、
ダンスバトルが行われましたが、
どのコンビもキレキレで甲乙つけがたい!
ということで、あと2回なのです。
当日券や立ち見でも見に来た方がよいと思います。
神芝居
X-QUEST
インディペンデントシアターOji(東京都)
2016/04/20 (水) ~ 2016/05/01 (日)公演終了
満足度★★★★★
何度観ても楽しい世界!
27日昼夜で6回め、7回めを観劇してきました。アクションや殺陣だけじゃない世界のスピード感を体感しているだけでも充分楽しいのですが、世界の繋がりになるキーワードや裏に隠されたような伏線を辿ってみることでまた楽しさが増します。観劇できる回数ギリギリまでチケットを取りましたが、それでもどうにか、なんとか観に行けないものかと何度も計算したくらい、このワンダーランドはハマります! 題材としている者はとても馴染み易いものばかりで、出演者の誰を知らなくとも全くの初見でも楽しめる舞台だと思います。
2作品めにしてX-QUESTとその作品にハマった!好きになった!という自分だからこその感想です。
ネタバレBOX
四面舞台にはセットがありません。照明と音響だけで全ての世界を魅せています。時には剣に時には釣竿にもなる便利棒も一見ただの棒ですが、それが不思議とそのものに見えてくる、セットがないのにそこに鏡が見える、壁が見える、お茶セットが見える…のがX-QUESTさんの魅力でもあります。
今回「鏡を通じて世界へ移動」という場面が何回かあります。絶対普通の舞台であれば大きな鏡が要ると思うし、暗転にしても難しい見せ方だと思うのに違和感が全くない。四面舞台のどの方向からも役者が飛び乗り飛び降り、そこすらも舞台にしてしまう、客席にいるとまさに「体感」という言葉が相応しいようなそんな気がします。
Gliese
ピヨピヨレボリューション
シアターノルン(東京都)
2016/04/01 (金) ~ 2016/05/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
不思議な魅力
主人公は妄想癖の女の子、というものの、
その狂気、白目の度合いはハンパなものではないです。
そして、誰を相手にしても自由に喋る、動く。
つまり、生ハムと焼うどんの焼うどんの方です。
周りのキャストさんは合わせるのが大変そうですが、
不思議と纏まる。
キャストさん達の才能がそうさせているんですね。
もう満席状態ではあるものの、当日券や立ち見など、
まだ観ることは出来ると思います。
観てないのは勿体ないですよ!
忍者、女子高生(仮)
月刊「根本宗子」
ザ・スズナリ(東京都)
2016/04/23 (土) ~ 2016/05/01 (日)公演終了
満足度★★★★★
天才 根本宗子
久々の月刊を観劇しました。
やっぱりあちこちに予想外のポイントが詰め込まれている。
それが滅茶苦茶になるわけではなく、キッチリまとまって終わる。
やっぱりねもしゅーさんは天才ですよ。
観に行くべきです!
メビウス 2016年 春の特別企画
劇団ショウダウン
船場サザンシアター(大阪府)
2016/04/28 (木) ~ 2016/05/08 (日)公演終了
満足度★★★★
行けて良かった
一つの演目を6チームが表現するなんて、劇団ショウダウンは凄いことをやってのけますね。今日はAチームの稲森誠さん、宮島めぐみさんのを観ました。
初演の林遊眠さんの時を思い出しながら観ていましたが、また全然違ってて楽しかったです!
他のも全部見たくなりました❗
ショウダウンはほんとにスゴい🎵
真夜中の虹
劇団子供鉅人
HEP HALL(大阪府)
2016/04/28 (木) ~ 2016/05/01 (日)公演終了
満足度★★★★★
お気に入りに登録しました
はじめのうちは、オムニバス作品なのかと思っていました。ところがどうでしょう、しばらくすると全体の因果が見えてきます。構想力の秀逸さが光ります。また、9人の役者さんは、それぞれが独自の面白さを備えています。早速、「劇団子供鉅人」お気に入り団体に登録しました。
楽屋~流れ去るものはやがてなつかしき~
道頓堀セレブ
自由表現空間 シアターカフェNyan(大阪府)
2016/04/27 (水) ~ 2016/04/28 (木)公演終了
満足度★★★★★
大阪テイストで関西風の「楽屋」
2人の女が化粧をポンポンポンポン、 一人の女が来る、また一人マクラをだいた女が返して・・・・
“生と死” “主役とプロンプター” “楽屋と舞台” 対極の位置を背景に最高の出演陣キャスティングと演出で、女優の執念を、大阪テイストで関西風の味付けで「楽屋」に作りこまれていた。 これも一つの「楽屋」しっかりと「楽屋」でした。 面白かった。
ネタバレBOX
“生と死” “主役とプロンプター” “楽屋と舞台” 対極の位置を背景に最高の出演陣キャスティングと演出で、女優の執念を、大阪テイストで関西風の味付けで「楽屋」に作りこまれていた。これも一つの「楽屋」しっかりと「楽屋」でした。 面白かった。
2人の女が化粧をポンポンポンポン、 一人の女が来る、また一人マクラをだいた女が返して・・・・ 舞台は、楽屋 2人女は女優で出番を待つ亡霊 永遠にやっては来ない出番 チェーホフの「かもめ」 主役のニーナ 舞台から戻ってくた女に マクラを抱えた、プロンプターをつとめていた女がニーナ役を返せと迫る もめ合ううちに瓶で殴ってしまう、3人になった女優の亡霊はチェーホフの「かもめ」を演じる主役のニーナはあなた。
5/2-3は、<<東京フェスティバル公演>>
ザ・レジスタンス、抵抗
Wけんじ企画
こまばアゴラ劇場(東京都)
2016/04/28 (木) ~ 2016/05/11 (水)公演終了
満足度★★★
約135分
平凡な中年サラリーマンの身の周りに展開する、日常と地続きの悪夢的世界。
淫夢の要素も濃く、エロに引かれてなんとか最後まで付き合えたけど、よく言われるように、夢の話が退屈ならば、夢のような話もやっぱり退屈。あまりにもとりとめがない。
ただでさえ長い2時間15分がとても長く感じられた。
それこそ夢のようなバカバカしさに、ときどき笑ったけれど。
ネタバレBOX
鄭亜美さんの、なかなかにハードな濡れ場が見られたのが一番の収穫。
Collected Stories
Art-Loving
ラゾーナ川崎プラザソル(神奈川県)
2016/04/27 (水) ~ 2016/04/29 (金)公演終了
満足度★★
なんか濃厚というよりは・・・
激しい がなりあいの印象が強く残った芝居でありやした・・
15分休憩の入った2幕構成2時間15分作品でした
自分的には合わないなぁと感想・・
ネタバレBOX
まっ結局売れた弟子に僻んでゆく先輩作家の悲しみをラストに持ってきて終劇です・・そのきっかけの弟子作家の2作目が先輩作家のプライベートを暴露したようで怒りに油を注いだ形になった作りでしたが。あまし共感できなかったし・・先輩のカミカミにも引っかかったし・・です。なんか病気も発症したらしい先輩作家の悲劇3段重ねも何かわざとらしくて・・・・・とも感じたんですよ。
着替えで時間経過表すのはいいけど・・その間の暗転が長くて音楽かけてるけど・・演出上でも時間経過的月日や場所とかをライト字幕投影とかして観客の飽きを軽減する工夫も欲しかったかなと感想です
名も知らぬ遠き島より
演劇集団 Ring-Bong
座・高円寺1(東京都)
2016/04/20 (水) ~ 2016/04/24 (日)公演終了
満足度★★★★
極端にとまでは言わないが・・・
そこそこ強調したり・・たぶん緩和しての表現もされてるとは思う戦後の準収容所状態の病院での話なんですが。 平和ボケした今の日本では想像つかないんじゃなかろうかと観劇を強く薦めたくなる作品でした。
神芝居
X-QUEST
インディペンデントシアターOji(東京都)
2016/04/20 (水) ~ 2016/05/01 (日)公演終了
満足度★★★★
初クエスト
最初から最後までストーリーには置いていかれたけど面白かった。次から次へと場面が切り替わって、代わる代わる入れ替わる役者陣。圧倒されているうちに気付いたら終わってた。熱量が凄かった。
イトイーランド
FUKAIPRODUCE羽衣
AI・HALL(兵庫県)
2016/04/28 (木) ~ 2016/04/29 (金)公演終了
満足度★★★★★
楽しかった♪
初めて観ました。
まさしく「妙―ジカル」でした。
個性的な役者さんばかりで
歌も妙に耳に残る物が多く
とっても楽しめました。
第43回創作舞踊公演
お茶の水女子大学 芸術・表現行動学科 舞踊教育学コース
なかのZERO(東京都)
2016/04/28 (木) ~ 2016/04/28 (木)公演終了
無題1808(16-098)
19:00の回(小雨)。
17:35会場着、もう並んでいる方。チケットを持っている、メール予約、当日別に並び18:00受付、18:20ホール開場、18:28開場、1階はほぼ満席。
19:00開演~19:50、休憩、20:00~20:51終演。
第40回(2013)から毎年4月、この会場で観てきました。どうもピンとこないというか、こちらの感性が鈍ってきたのか、終始...とても普通...という感じでした。帰ってから確認すると、うに茶漬けスペクタル「はつこいの味はうにの味(2016/1@中板橋)」の方々、この時も今夜とおなじように「?」だったのでした。
2年生「窓」、韓国芸術総合学校「Mendorong Sunshine」の2作、前半はまだよかったのですが、10分休憩後の後半はすみませんが、全然ダメでした。
MU、短編演劇のあゆみとビジュアル展(当日精算予約開始しました!)
MU
東京芸術劇場アトリエイースト(東京都)
2016/04/21 (木) ~ 2016/05/02 (月)公演終了
満足度★★★★★
『戦争に行って来た』『その好きは通らない』
ハセガワアユム的(美的)センスが光る。
中編『戦争に行って来た』と短編『その好きは通らない』の2本立て。
よくあるのは、短編先にして中編という順番だが、この公演ではそうしなかった。
そうしなかったことを含めての、「ハセガワアユム的(美的)センス」の良さがある公演だった。
長くて伝わりにくい感想を書いてしまいました。
ネタバレBOX
『戦争に行って来た』は初期の作品だと言う。
見終わった感想としては、「最初からレベルが高かったんだなMUは」だった。
とても笑いが多く、それが「笑い」としての「身構え」してないところに、センスの良さを感じさせる。
コメディ的な「面白いことを言っている」という「身構え」がない、あるいは感じさせずに、きちんと笑わせてくれる、脚本と役者と、演出の見事な結果だ。
しかし、ポイントはそこではなく、現代に生きる私たちが感じてしまう、どうしようもない焦燥感や不安を、「戦場で拘束されてしまい、日本中で話題になってしまった人たち」と言う、一見、私たちとは無関係な人たちに重ねてくることで鮮やかに見せてくれる。
昔の作品では、MU、というか、ハセガワアユムさんという人は、「徒党を組むことに嫌悪感を感じているのではないか」と思っていた。
今もそれはそうじゃないかと思っている。
しかし、その根底には「今を生きる私たちの不安感」、それも「それについてうまく言葉では言えないようなヤツ」があるからだ、ということをこの作品は見せてくれたと思う。
戦場カメラマンの五味がその中心にいる。
彼は自分のやっていることに薄々、何かを感じていた。
グロい戦場写真を撮りながらも、それを踏み台にグラビア的な写真にも進出している。
戦場写真一本でやっていって、世界平和を! というわけでもなく、いや、単にというわけでもないのだが、やっぱりピースもラブも大事で、だけどマネーも忘れたくないというところにいる。
すべてがバランス良く並び立つのかどうかはわからないが、少なくとも彼の中でのバランスは悪そうだ。
彼が出会った、夫婦デュオの「普通」の「日常」を超えてしまったような、あるいは、まるで「飽きてしまった」ような振る舞い、彼にの「存在」が、彼の背中を一押ししてしまったことで、薄々気づいていた「コト」に「触れて」しまったのではないか。
つまり、「そんなバランスの悪い(日常の)中に自分は立っているのだ」ということを「自覚させられて」しまった。
彼はこれからどうするのかわからないし、もちろん自分でもわからない、窓の外で行われている暴力は、「窓の向こう側」だったのだが、ラストではそこに入ることを示唆していた。
それは「あちら側」の人になることを決意したのでもないし、「当事者」としての腹を括ったのでもないだろう。
単に「自覚」したのではないか。
彼の不安定さと、焦燥的なものは、彼(ら)のような特殊な立場にいる者だけのことではなく、観客としてこの舞台を観ている私たちのことと同じだとは思えないだろうか。
ハセガワアユムさんは、(たぶん)彼の中にもあるそうした不安を、彼(ら)を通して描いてしまったのではないかと思うのだ。
よくこの短い作品の中で、そうしたものを、笑いとともに見事にまとめたと思う。
笑いの中にもそうした「核」があるからこそ、MUは面白いのだ。
核とは「メッセージ」とは違うものだと思っている。
「伝えたいもの」「訴えたいもの」では「ない」ものだ。
ラストは、サム・ペキンパーの唯一の(哲学的)戦争映画『Cross of Iron』(邦題が『戦争のはらわた』なんだけど・笑)のラストに重なった。
映画のネタバレにもなってしまうので、そのラストについてはこの感想の一番最後のところに書く。
つまり、何が言いたいのかというと、カメラマン五味は、今までの彼とは違うステージに行ってしまったのではないのか、行ってしまったというよりは「自覚した」というところか。
映画『Cross of Iron』のラストで感じた感覚と、この作品のラストの近似性は、言葉では言い表すことができそうにない。
だけど、根っこにあるものは同じなのではないかと思う。
ラストで夫婦デュオに「武器となるボールペン」を持たせ、自らも手にしたカメラマン五味には、皮肉に満ちた笑いがあったように感じた。
声を立ててないし、当然笑い声など聞こえないのだが、暗転の中で五味の笑い声が響いていたように感じたのだ。
五味が写真を撮るために行き拘束されたは「戦場だった」のだが、実は帰国したはずの「ココ」も「戦場だった」というのは言い過ぎなのかもしれない。しかし、五味にとっては「同じ」ような感覚がどこかにあったのではないのか。
私たちも、「今もそこにいる」ということなのだ。
そうした中での彼らの反戦団体を取り巻くさまざまなゴタゴタとか、どうでもいいような近所との出来事には、何もかもがバカバカしくなってくるであろうし、かと言って、そこから逃げ出すこともできない。
だから、自覚した五味は「笑う」ことしかできない。
……この感想、うまく伝わっていないと思うが、こうしか書けません。
中盤ぐらいまでは、リーダー役の古市みみさんが抜群に面白かった。
夫婦デュオは最高! ゲンズブール気取りの中年男とカヒミカリィみたいな女性Voの組み合わせで、反戦歌を歌わせるという、ハセガワアユムさんらしいセンスに大笑いした。
中盤以降から五味役の福原冠さんがじわっと良くなっていく。彼が物語の中心になっていくとは思わなかった、ぐらいの感じがうまい。
会場は、いわゆる劇場ではなく、ただのスペースにすぎないのだが、シンプルなのにセンスある家具などで部屋を見事に作り上げていた。
特に、床に絨毯があるのが、これまたハセガワアユム的美的センスではないか。
段差のある舞台ではなく、かつ客席との境がないので、当然床も観客の目に入る。ここに絨毯があることで、より部屋の深みが増したのだ。
これぐらいのキャパで、こういう会場ならば、最低限の机に椅子ぐらいで済ませるところをそうしなかったことで、物語自体も生きてきた。
10分間の休憩を挟み、『その好きは通らない』。
短編のこちらを後にしたのはさすがだと思った。
もし『その好きは通らない』が先だとしたら、次の『戦争に行って来た』の感じ方が相当違っていただろう。
つまり、「笑い」というラインでつなげて見てしまうし、出演する役者が同じなので、『その好きは通らない』での役のイメージを引っ張ったまま『戦争に行って来た』を観てしまうと、大事なところを見落としてしまいそうだからだ。
なので、『戦争に行って来た』『その好きは通らない』の順を選択したセンスにも拍手だ。
パーラメント役の大森茉利子さんが、いかにもいそうなOLぽさがなかなかだった。
相手の表情を読みつつ、気遣いしたり、ピースへの気持ちの微妙な表情と仕草がうまい。煙草の扱いとかも。
ほかの役者さんたちも、短時間の中で、きちんと時間を切り取って、その人を見せてくれていると感じさせるほど、うまいと思った。
人を見せて、きちんと笑わせてくれた。
−−−映画のネタバレあり−−−−−−−−−−−−−−−
『Cross of Iron』のラスト
鉄十字が欲しいばかりに東部戦線に志願してきたシュトランスキー大尉と、戦場で生きる伝説となっているシュタイナー曹長との確執がストーリーの軸。
ラストで、大尉によって、部下を殺されてしまったシュタイナーが、大尉を殺しに行くのだが、大尉の前に立ったときに、シュタイナーはその復讐心を超えて、大尉にサブマシンガンを手渡し、ともに銃を携えてソ連軍に立ち向かうラストとなる。
そしてシュトランスキー大尉の、少し情けない姿を見たシュタイナーは、大笑いする。その悲痛に満ちた笑い声は、暗転し、戦場の外で殺された者たちの実写スチールとともにエンドロールに延々と重なる。
MUの『戦争に行って来た』のラストで夫婦デュオに「武器となるボールペン」を持たせ、自らも手にした、カメラマン五味の中には、皮肉に満ちた笑いがあったように感じた。
それは、声を立ててないし、当然笑い声など聞こえないのだが、私の脳内では、暗転の中で五味の笑い声が響いていたのだ。
五味は戦場にいるシュタイナーと同じところにいるのだ、と感じてしまった。
犬になったオジと記憶を失くした弟
HIGHcolors
テアトルBONBON(東京都)
2016/04/27 (水) ~ 2016/05/01 (日)公演終了
満足度★★★★★
HIGH colors5回戦
今、正にを ストレートに描いた作品
時空間を立体的に使った演出 役者さん達の演技も素晴らしい
ラストシーンは圧巻でした。是非観て感じて欲しい作品です。
雲ヲ掴ム
秋田雨雀・土方与志記念 青年劇場
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2016/04/21 (木) ~ 2016/04/30 (土)公演終了
満足度★★★
夜の部。青年劇場への書き下ろし第二弾。中津留節全開の果て・・
リアルな工場内のセットに、リアルな工員たち、息子らの造形。雰囲気は悪くない。戦車の部品をつくる町工場という着想、出だしはまずまず、刺激的だが・・。
ネタバレBOX
前回の「みすてられた島」と言い、今作と言い(自劇団も)「設定」がユニークで、何か起こりそうな、議論百出しそうな予感がする、そういう設定で人はいったいどうなるかという「シミュレーション」が中津留氏の本領だと思う。
だが、言わせたい台詞、交わさせたい議論を優先するあまりリアリティを欠き、シミュレーションじたいが失敗であるというパターンがしばしばあるように思う。
「台詞(テキスト)」の力は、「状況」との関係で違ってくる。中津留氏の中で、ある言葉が「発される」だけでも意味があり、インパクトを与えるだろうと判断されているのでは、と感じる所がある。この「状況」に過度に依拠した作りを改めて、リアリティに少し重心を戻す必要がありはしないか。 以前みた作品では、観客の視線は人物の「行動」の意外性にいざなわれたが、最近は人物の「台詞」に意外性の効果を負わせていると感じる。しかし「行為」は解釈の余白があるが「言葉」は意思をもって吐かれるので(言葉を選ぶという作業は理性に属する)、整合性をとりづらくなる・・そんな事がありはしないか(このあたりの分析は不正確かも)。
観ながら「残念」の原因は台詞の「言い方」にあると強く感じた。前作は中津留氏作・藤井ごう氏演出だった。今回は演出も中津留氏。テキストを客観冷静に、突き放して構築するのが今回の場合は正解だったのではないか。直線的に「主張」したり叫んだり、芝居の「メリハリ」を出すためなのか、言わせている印象が強くそのたびに「リアル」は遠ざかって行く。「まだ修復できる・・」という期待を、悉く裏切るように「叫び」の台詞を挿入する・・観る側としてはそんな感覚であった。
脚本の「不備」を台詞の強さでカバーし、思いの強さ=彼はそう思ったんだ、その事は否めないだろう=という正当化の弁が用意されている感じである。
逆に・・というのも変だが、青年劇場の(年輩方の多い)俳優陣が、それでもなおリアルな実在感を示しながら、舞台に立ち続けるのには感心した。脳梗塞で半身麻痺を追った職人の演技のリアルさ。・・思い出すに、あの直線的な「叫び」、正義感の「叫び」、本気の「泣き」、といったぶっ壊しさえなければ、味のある舞台になったのでは・・と、「もしの場合」を想像しないでいられない。
そうは言いながら、印象的な場面も沢山あり、最後の「雲を掴む」の謎解きの台詞を「詩」みたく言う場面。最後の最後にタイトルと芝居を結合させんとする強引さも、カバーする力強い台詞だった。
ただ、雲を掴もうとする赤ん坊の姿に思わず自分自身を発見した告白の台詞に、聞く者も「発見」を促されたのなら、たそがれた表情ではなく、今そこに雲がある、という「発見」の演技がなければならなかった(二人登場しており、不可もなく可もない姿。惜しかった・・)。
総じて、テキストより演技の問題(俳優の「力量」ではなく場面作り=演出の領分の問題)だったとすれば、こんな勿体ないことはない。再演・・は無理か。。