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ダブルブッキング!2023

ダブルブッキング!2023

エヌオーフォー No.4

紀伊國屋ホール(東京都)

2023/07/13 (木) ~ 2023/07/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

滅多に観れない試みの同時上演するA面B面?のお芝居
お薦め

THE WILDEST DREAM

THE WILDEST DREAM

GROUP THEATRE

浅草九劇(東京都)

2023/07/12 (水) ~ 2023/07/17 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 Bキャストを拝見。ちょっと変わったテイストの作品だ。何はともあれ、演劇空間の現実を通して、戦争の持つ内実に、そして人間という生き物の靭さと弱さに思いを馳せて欲しい。

ネタバレBOX

ウクライナのことがサブタイトルとして付いている以上シリアスな作品と言ってよかろうとの事前感覚は裏切られなかったが、物語が展開するのは実際には杉原家の居間と正面窓の向こう側の空間である。
 キエフにある世界遺産を構成する聖ソフィア大聖堂・ペチェールスカヤ大修道院・ベレストヴォの救世主聖堂のうち最古の建築物、聖ソフィア大聖堂に“不滅の壁のマリア”と呼ばれるモザイク画が残されている。不滅の壁のマリアと呼ばれるのはモンゴル侵攻の際にも破壊されずに残ったことからこう呼ばれているという。因みに不滅の壁のマリアは177色、300万個のガラス石を用いて作られている。今作の重要なモチーフに“不滅のマリア像”が関わるのは、次男結太出産の折病院へ向かう救急車の中で同乗していた夫、杉原修司と長男、修に対し妻、結子が「次男が生まれたらこのお揃いのペンダントを兄弟にプレゼントする」と言っていたことが遺言になったからである。そしてこのペンダントには、不滅の壁のマリアが描かれていた。事故の描写があり場転。
 第2場では約20年後の世界が描かれる。長男修は、所謂引き籠り。様々な人々が訪ねて来てもシカトシカトのオンパレードだ。宅配業者が配送品受け取りのサインを頼んでもシカトである。配送業者は仕方なく、窓外の空間で街頭芸人のようにギターを抱え歌を歌っていた白杖の初老の芸人に声を掛けサインを貰う、といった有様。即ち自分でできることも一切せず、父が寛大であることに付け込んで甘えに甘え、甘えている自分自身を疑う程度のこともせず自分自身に甘え、剰えその卑怯と向き合うことは愚か居直った表層の論理を盾に屁理屈を並べ立てる卑怯を絵に描いて壁に貼り付けたような人物である。父は現在、社会的弱者をケアする仕事で代表を務め、スタッフの矢島大助(実は母が亡くなった救急車の人身事故は矢島が飛び降り自殺を敢行、着地したのが救急車であったという因縁があった、その矢島を「良く生きていてくれた」と喜び励まし新就職先として自分の営む団体職員として雇い入れた)と共にてんやわんやの状態である。そして母結子は亡くなったものの無事、誕生した結太は一部上場の証券会社に入って海外のリサーチ等に係る重要なポジションで活躍中である。
 今作は、この捻れた長男修が、結太が休職しウクライナへ旅立ったことを巡り、本当は弟を愛し心懸かりでならないのに、もう二度と会えぬかも知れぬ弟の旅立ちに喧嘩別れをしたことへの心の蟠りから、ウクライナ現地へ矢島に叩き起こされて連れて行かれる夢を通してウクライナ、ブチャでのウクライナ人の日々を体験、命を懸けて地雷原の只中をただ自分より弱い孤児たちに食事を運ぶ為、既に虐殺され葬られた無辜の民の墓が荒らされたのを修復する為、人々に勇気を与える為輝く黄色に身を焦がすような向日葵の花を手に入れる為、廃墟になった家に直した掛時計を掛ける為等に出掛けてゆく人々に救われ、自分を連れ出してくれた矢島が瀕死の重傷を負いブチャの避難所に居た看護婦が血清を取りに行く為矢張り地雷原の只中を出掛けてゆくこと総てに悪態をつく。その時、ウクライナ兵士の出産間近の妻が先に約束した通りに避難所に夫に抱えられて担ぎ込まれた。然し看護師は既に出発しており、避難所は敵の襲撃を受け、兵士は応戦の為敵を避難所から遠ざけそちらで戦っている。兵士の身重な妻と修二人だけになったとき、不滅の壁のマリアが起こした奇蹟か!? 兵士の妻は修の亡き母へと変貌、修に愛を注ぎ、他者への愛の注ぎ方を教えた。
 終盤は読者のイマジネーションに任せるが、特別出演でユウサミイさんという方が出ていて、ギターと歌唱でこの夢と現が交差し綯交ぜになり、心と魂に深く人としての変革を齎す物語りの位相を、極めて自然に介在し中継する役割を果たしているのが印象的である。ギターは上手いし、歌も上手い。声がとても良く、リズム感も良い。戦争は遠く離れた異世界のことではない、という臨場感にこの作品を観て是非とも近づいて頂きたい。
正義の人びと

正義の人びと

オフィス再生

六本木ストライプスペース(東京都)

2023/07/13 (木) ~ 2023/07/17 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2023/07/13 (木) 19:00

価格3,500円

1949年に戯曲として書かれたアルベール・カミュの「正義の人びと」
1905年、モスクワで実際に起きた「セルゲイ大公暗殺事件」がモデルとなっている本作では
テロ組織の若者たちは大公の乗った馬車が走り出す中、爆弾を投じて暗殺を企てるが…そこには幼い子どもの姿が。
革命に身を投じた青年たちの「正義」「苦悩」「葛藤」を描いた群像劇。

本公演は六本木のギャラリーでの公演。
初めて行きましたがアートスペースのようで、舞台中央には折り返し階段が設置されている。
ここを演出上、上手く利用して場転を行っているように見受けられた。
奥行きのある舞台とは裏腹に、客席側はフルでも30席ないような省スペース空間。
ここに関係者と撮影者が加わり…経営は大丈夫なのだろうか。もう少し客席があっても良いかと。
5人のメイン女優の内、4人は男性役をやっているのも面白い。

ネタバレBOX

本公演について感じたのは、
配役自らの考え・状況・行動を言葉にした長台詞が多く、動きが少ないこと。
観る側も気を抜くと、ただ台詞の掛け合いを聞くだけで情景が入ってこない。疲れてしまう。
特に開演後から大公を殺害するまでの物語の進行は、個々の心情を台詞からどう表現して行くか。
熟練した演技の力量を必要とする難しい芝居だなと感じた。

演出に関して、賛否両論あると思いますが
まず舞台の奥行きが広く、後ろの方の客席からだと観にくいです。
秘密基地(地下室)のような薄暗い地明かりで進行していきますが、
役者の表情がどうしても見えにくい(ピンスポなどで当てられない)ので、終演後は印象に残りずらい。
最奥には語り手がタイプライターを打ちますが、これはアルベール・カミュの幻想?なのだろうか。
最初はタイピングの刻む音が心地よかったのだが、このシーンも長いと飽きますね。何してるのって。
ならば、プロジェクターでタイピングした文字を階段の白壁などに反映させるのも面白いかも。
姿見の使い方。照明の使い方など独自性は見られるものの、個人的にはもう一工夫欲しいです。
EPAD Re LIVE THEATER in PARCO

EPAD Re LIVE THEATER in PARCO

EPAD事務局

PARCO劇場(東京都)

2023/07/12 (水) ~ 2023/07/16 (日)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★★

「天保十二年のシェイクスピア」2002年版で主演は上川さんなのですが、登場人物が多いのでなかなか出て来ません(笑)。阿部サダヲさんが可愛かったです。その他にもひと目で分かる役者さんもいるのですが、女性陣は化粧が濃いせいか誰なのか分からなかったりします。
シェイクスピアの作品が散りばめられていて面白かったです。初演はどんなだったのか知りたくて、帰ってから図書館のネット検索で脚本を探したら見つかったのですが、結局アマゾンで中古を買ってしまいました。届くのが楽しみです。

丹下左膳'23

丹下左膳'23

椿組

新宿花園神社境内特設ステージ(東京都)

2023/07/11 (火) ~ 2023/07/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

おなじみの椿組の夏芝居。今年は酷暑の日に見ることになった。
「丹下左膳」はかつて見た、と思っていたら、なんと四回目の十八番だった。ほとんど過去公演は忘れていたが、今回は大幅に手を入れたらしく一層祝祭劇的なはじけ方だ。忠臣蔵を枠取りに使い、山椒太夫や民間伝説などを組み込んだ丹下左膳物語だが、芝居を見ているだけでは、筋立てはわかりにくく、それよりも、五十人にも及ぶ出演者が、舞台の土間を大きく横切って組まれた太鼓橋の上下で、繰り広げる、大殺陣をうちわを使いながら呆然とみるという結果になった。そこが、年中行事化したこの芝居の値打ちでもある。


Pickaroon! -ピカルーン-

Pickaroon! -ピカルーン-

壱劇屋

すみだパークシアター倉(東京都)

2023/06/24 (土) ~ 2023/07/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

壱劇屋さん初体験でした。Bチームのみの観劇予定が、王道なストーリーとワクワクする演出、魅力的な登場人物たちに心を鷲掴みにされ逆班のAチームも追加で観劇しました。伏線を綺麗に回収してくれるのが好みでした。どれもグッとくる...!
劇団員さんも素敵だったので壱劇屋回も観たかったなぁというのが唯一の心残りですが早々に完売するのはおめでたい!次の機会は行きたいです...!

ザ・ショルダーパッズ この身ひとつで

ザ・ショルダーパッズ この身ひとつで

劇団鹿殺し

本多劇場(東京都)

2023/07/13 (木) ~ 2023/07/18 (火)公演終了

実演鑑賞

ダンスなどの身体表現がちゃんとしているのが良かった。
これ、身体表現がくだくだに下手だったら、単なる悪ふざけにしか見えないだろうなあ。
超久々の本多劇場。
こんなに客席狭かったか?

ザ・ショルダーパッズ この身ひとつで

ザ・ショルダーパッズ この身ひとつで

劇団鹿殺し

本多劇場(東京都)

2023/07/13 (木) ~ 2023/07/18 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

かなり久しぶりの鹿殺し!最高でした!

Run For Your Wife

Run For Your Wife

アーティストジャパン

あうるすぽっと(東京都)

2023/07/12 (水) ~ 2023/07/19 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ひとつの嘘から、またひとつ嘘が増え、嘘の雪だるまになっていく。加速して大きくなるそれは収拾がつかなくなっていく。このタイプのドタバタ、一言いえば済む話なのにと観ていてジリジリしてしまうのですが、今作はちょっと違う。次から次に口から出てくる作り話がハチャメチャで、それを受ける人のタイミングや感覚が実に面白い!しかもなぜかとてもお洒落な感じがする?無理に笑わせようという泥臭さもなく、ドタバタもべたつかずにサラッと笑わせる造りで、好感が持てる。苛々せずにたっぷり楽しませて頂きました!

ネタバレBOX

ひとつ疑問は主人公の懐具合。アパート二つ借りて生活するって、それなり大変だと思うのだけど、個人タクシーの運転手でそんなに稼げるのだろうか?親の遺産でもあるんだろうか?それとも???
シュガシュガ・YAYA

シュガシュガ・YAYA

東京にこにこちゃん

OFF OFFシアター(東京都)

2023/07/12 (水) ~ 2023/07/19 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/07/12 (水) 20:00

105分。休憩なし。

普通じゃない普通

普通じゃない普通

劇団水中ランナー

駅前劇場(東京都)

2023/07/05 (水) ~ 2023/07/10 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

葬儀場に偶然居合わせ家族に、いかに自然に会話が生まれ、そこにドラマが成立していくのかが最大のポイントだと思いながら観始めたのだが、私の目には不自然な感じが最後まで拭い去れなかった。加えてテンションが高い登場人物が多く(特に小林家の次男の代行を務めた新原などは泣き上戸にも程がある。これじゃコントだよ。)落ち着いて観ていられなかった。終盤になって、タイトルにつながるようなシーンや新原英太郎の役割が明らかになって、いろいろ考えて創作したんだろうなあ、とは感じたが、全体的にもドタバタしていて作家の意図が伝わりづらい。

丹下左膳'23

丹下左膳'23

椿組

新宿花園神社境内特設ステージ(東京都)

2023/07/11 (火) ~ 2023/07/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

いや うん~内容は説明通りです
でも台詞とかは放送禁止用語
満載で38年の歳月を感じさせる芝居でした
野趣溢れる野外演劇は
まさに芝居小屋って感じで熱気が凄かった
暑さは無料配布された団扇でしのぎつつ
開演前にはよく冷えたドリンク販売もありました
熱気の凄さからか蚊などはあましいなかったが
まぁ虫よけスプレーとかはあった方が安心ですかな
いろいろと仕掛けの楽しめた2時間半(休憩15分を含む)作品です

ネタバレBOX

初日杮落とし公演観劇となりました
客席中央が出入り口で開演中は役者さんの花道ともなり
中央左右が指定席で端の両側黒座布団背もたれ無しが自由席です
観光客らしい外人さんカップルも自由席に入ったが
1部で抜けてしまったなぁ言葉があまし解らんかったからかな
充分なインパクトとかはあったと思うのだが
1部ラストに2部ラスト
いろいろと見せ場が凄かったが
集団でとか端々で台詞の聞き取り難いシーンや
野外劇なのでしょうが無いのだが
外のノイズが結構入ってきますなー
割とシーン的には緊張感とかも多くて
サイレンとかがバックで入ると合うときは合うが
外す時もあってなかなか凄いと思ったわ(^-^;)
丹下左膳'23

丹下左膳'23

椿組

新宿花園神社境内特設ステージ(東京都)

2023/07/11 (火) ~ 2023/07/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/07/11 (火) 19:00

「姓は丹下、名は左膳」お決まりの科白が終演後も耳に残る。
真夏の夜、花園神社の野外劇・舞台初日にて約3時間の椿組公演を観ました。
近くに座っていたお客さんが「お祭りみたいで楽しいね」と一言。
そう、夏祭りには欠かせない太鼓と笛の音、キンキンに冷えた缶ビールとお茶が販売されて
劇団員からも直接買うことが出来ます。うちわで仰いでもやっぱり熱い!熱中症対策にお気を付けください。
以下、本公演の感想です。

ネタバレBOX

丹下左膳は大衆文学や時代劇などに登場する、左腕一本の架空の剣士。
時代劇を観るのは今回初めてだったが、想像以上に手が込んでいる舞台装置。
客席から役者がロープで降りて来たかと思えば、組み木の橋が崩れ落ちて龍蛇が現れるシーンは圧巻。
芝居はセリフ回しが古典的で、アンサンブル(乞食や一座)が一同に発すると言葉が聞き取りにくい。
(斉唱はむしろ音程がまばらな方が雰囲気があって良かった)
殺陣の演技が爽快で、皆が剣を持ち戦う場面は観ていて気持ちが良かった。
初演の1981年から42年、当時とは気温差もかなり大きいとは思うが
夏が来るたびに思い出せるような、季節を感じる1作品となった。
EPAD Re LIVE THEATER in PARCO

EPAD Re LIVE THEATER in PARCO

EPAD事務局

PARCO劇場(東京都)

2023/07/12 (水) ~ 2023/07/16 (日)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★★

「笑の大学」8Kカメラ1台で収録した無編集の映像を、PARCO劇場の舞台上スクリーンに、立体音響を用いて映写しているのだそうですが、大きいスクリーンで切り替えとかないので臨場感があって良かったです。収録の日は観客のみなさんには申し訳ないですが、スタンディングオベーションをお断りして欲しかったです。真ん中に背の高い人がいて、中央のドアから舞台を去る二人がよく見えなかったので。
WOWOWのハイビジョンカメラ14台で収録したものも見てみたいですね。
それにつけても生で見られなかったのが残念です。再演希望します。

激熱 2023夏

激熱 2023夏

ユーキース・エンタテインメント

STUDIOユーキース(東京都)

2023/07/09 (日) ~ 2023/07/17 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

バンドマン(ギャルバンじゃないよ)スリーピースだけど六人の物語。1時間30分のドラマはたしかに暑かった。

ネタバレBOX

なんとなくウィリアム・ギブスンの「ガーンズバック交点」思い出したけど、あくまで風味、それよりもっとロックミュージカルっぽくなってもよかった気もするくらい皆さん本気で唄ってましたね。ただ誰もカホン使えなかったのか、ラストまでちょっと期待しちゃいました。(笑)
旧世代のバンドを半世紀弱観てきた私的にはスタジオミュージシャン主体のバンドは掛け持ちが多いし、音楽性が違っても全然問題なかったような印象。例えば細野晴臣氏は「エイプリル・フール」から「はっぴいえんど」、「キャラメルママ」そして「イエローマジックオーケストラ」並行してソロプロジェクトも実行されているので落ち込む暇はないよなぁ。
でも「響屋」の三人の純な気持ちも嫌いじゃないぜ!
丹下左膳'23

丹下左膳'23

椿組

新宿花園神社境内特設ステージ(東京都)

2023/07/11 (火) ~ 2023/07/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い、お薦め。
初日観劇。新宿花園神社境内の特設ステージは満席。テント内に威勢のいい掛け声が飛び、その熱気とアルコールに酔いしれる。中央上部で観たから、俯瞰するような感覚…豪快な躍動感 と 繊細で抒情豊かといった違う世界観が 同時に楽しめる公演。観応え十分。

初演は42年前の1981年、片目片腕の剣鬼が駆け回って大活躍をしたらしい。そんな半世紀近く前の剣士を再び現代に登場させるが、なんと今の悪しき社会 風潮を切りまくる痛快劇へ。時代遅れどころか、進化した「丹下左膳’23」が眼前で大暴れ、同時に出生の逸話から人間臭さや滋味溢れる内面まで観せる。物語は色々な説話や伝説等を巧みに織り交ぜ紡いでいくが、それを旅芸人一座の劇中劇のように…。江戸という時代、その世相を現代に照らし合わせ痛烈に皮肉り批判する。

知らなかったが、左膳は相馬中村藩の藩士だったという設定らしい。その藩は 現在の福島県浜通り北部を所領していたことから、東日本大震災に係る問題も抉る。が、それら諸々の内容(問題)を殺陣は勿論、歌や踊り そして人形芝居といった観(魅)せ方をし飽きさせない。さらに大掛かりな舞台装置とその変形に驚かされる。これはもう 特設ステージへ。
(上演時間2時間30分 途中休憩15分)

ネタバレBOX

二幕劇。
舞台美術…冒頭は太鼓橋が架かり、白地に「二十年前 左膳は死んだ!」との垂れ幕。
色々な事〈話〉を錯綜させ、その場面毎に愉しませ、全体を通してみると 不思議な味わいを出している。まるで 寄せ鍋のようで、夫々の食材が美味(上手)く煮込まれ熱々に出来っている、といった印象。

忠臣蔵における吉良方の観点から描いた話から始まる。当時中村座で上演していた人気演目が「忠臣蔵」だったらしい。その題材を枠にして「丹下左膳」も過去・現在という時代の違いの中で生きる。勿論、20年前の丹下左膳とチョビ安が騙る丹下左膳、そこには時代の間隔という見えるようで見えない世相・風潮の流れがある。
この人物を縦(時間)軸に、「さんせう太夫(人形劇)」、「甲賀三郎伝説」で弱き又は負け者観点で描く。テント上部から縄梯子で降りたり、地を這うようにして布を波打たせ大海原を連想させるなど、観せる工夫。何より驚かされたのが太鼓橋の崩落、そして下手から白大蛇が現れる。

二幕目。下手に小さな櫓。中央の広いスペースは ダイナミックな殺陣を確保するため。
一幕目と二幕目を巧みに繋ぐ、夜鷹 三姉妹の話術と艶やかさを以って二幕目が…。
日光東照宮の修繕の命に端を発した「こけ猿の壺」の探索、丹下左膳とチョビ安、お美夜との邂逅といった人情噺が入る。現代の政治 世相…例えばマイナンバーカード、高齢者保障などの問題を一刀両断にする痛快批判。背景には、片端者・河原乞食・夜鷹などを引き連れており、いつの時代でも虐げられる弱き者=庶民を主役に据えている。因みに左膳の生まれた時の逸話も描かれ、その生い立ちが片端者・非人などといった者へ同調していく素地になるよう。
勿論、「浅間焼け」といった噴火や大波(津波)=東日本大震災を連想させる場面も挿入し、自然災害の恐怖、慰霊への思いを強くする。

テントの後ろが開き 闇夜に篝火が、その幻想的な光景が見事。境内のテント公演らしく、自然を借景した一体感ある絵柄が何とも力強く印象的だ。ラスト、雪が舞い 縄梯子で宙に浮いた お美夜が見守る中、登場人物が皆 丹下左膳の格好(南無阿弥陀仏と染め抜かれた着物姿)をして花道を駆け去る。
全体を通して、中村座で上演している公演仕立てにしているようだが、そこは曖昧にしている。「丹下左膳」という大衆の娯楽時代劇として楽しめれば、それで良し。
次回公演も楽しみにしております。
ブラウン管より愛をこめて-宇宙人と異邦人-(7/29、30 愛知公演)

ブラウン管より愛をこめて-宇宙人と異邦人-(7/29、30 愛知公演)

劇団チョコレートケーキ

シアタートラム(東京都)

2023/06/29 (木) ~ 2023/07/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

監督の松村(岡本篤)の、「今の目の前の仕事に懸命になれなきゃ、本当に自分のやりたい仕事など永遠に来ないってことに…」って、台詞に虚を突かれた。
人一倍走り回り、人一倍憤慨していた藤原(清水緑)の芝居がいい。

共演者全員が手に手にこん棒や銃を持ち、異星人を追い詰める場面は、まるで関東大震災の朝鮮人の虐殺を思い起こさせる。それぞれが、家に帰れば家族を愛し、仕事にいそしむ普通の人々の常軌を逸した狂気と豹変した姿に心が凍った。

チノハテ

チノハテ

Nana Produce

赤坂RED/THEATER(東京都)

2023/07/06 (木) ~ 2023/07/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

江戸時代には巷の事件を元に歌舞伎劇の舞台化が行われたときくが、これはまさに昨今話題のフィリッピン根城の悪党団摘発を芝居にしたキワモノ。なかなかよくできている。
田村孝裕は劇団ONEOR8(いちかばちか)を主宰してもう三十年近い。もう、岸田戯曲賞はとっくに取っていてもおかしくない実績なのだが、小ぶりな素材で変にうまいところがネックになっているのかも知れない。今回は同じような出の寺十吾が俳優として出ている。初めて見るプロデュース集団の製作である。
日本ではみ出した浮浪者(寺十吾)にいい加減な暮らしの女(鶴田真由)を父母に、行き場のない若者三人(松島庄汰 池岡亮介 竹内夢)が兄弟の疑似家族となって、フィリッピンらしき某国山中の抑留所のような小屋(このなんだか解らぬセットはうまい)で、時々見回りに来る現地人(依田啓司、後で実は日本人と解る)の目を盗んで、犯罪団の手先(渋谷康幸)の言うままに違法薬品の運び屋の中継点のような仕事をして辛うじて食っている。危険な仕事で地元住民との軋轢もあるが、一応は家族らしく暮らしている。前半のこの構造が解るまでの、なにやら不思議なチノハテの小屋の生活が、なかば現在の張りのない日々の日常生活と重なるところもあって面白い。後半は、身元が発覚しそうになり逃亡しようとなって、それぞれの身元が明らかになり対立しながらも外部とも戦わなければならなくなり、そこでお互いの本音が明らかになり、結局全員が自滅していく。
スジを書けばこういうことなのだが、この作者らしくその間のどうしようもない人間たちの荒唐無稽に見えるくらしぶりがリアリティを持ってくるところが見所か。
パンフレットを買えば製作意図や作者の意図ももっと明白になるかも知れないが、パンフレットを買えば一万円を超す。それはちょっと高い見物料だ。休憩なしの1時間50分。
入りは平日の昼8割近かった。

共演者/同級生

共演者/同級生

2223project

小劇場B1(東京都)

2023/07/01 (土) ~ 2023/07/11 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

「同級生」を観劇。高校生の色んなことへの不満や希望がエネルギッシュに描かれていて迫力ある舞台でした。
癖の強い部員達と先生達が上手く調和していたと思います。
自分も高校自体に戻って何かをやりたいと思ってしまう位楽しかったです。

 7月編『ダーフォの国』

7月編『ダーフォの国』

虹の素

横浜市泉区民文化センター テアトルフォンテ(神奈川県)

2023/07/06 (木) ~ 2023/07/07 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/07/06 (木) 19:00

65分。休憩なし。

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