
アイバノ☆シナリオ
BuzzFestTheater
ザ・ポケット(東京都)
2016/06/08 (水) ~ 2016/06/12 (日)公演終了
満足度★★★★
女の戦い?
毎回、無駄にいらない笑いが前半に多く、ちょっとだれるのだけど、後半になると人の心を抉ってくるような展開。ある種アンバランスなのに、終わった後に必ずなんか良いもの観た気分になるのが不思議!今回はラスト近くの女優3人の見せ場が良かった。各々吐き出すような想いが伝わってくる。見ものでした。

天一坊十六番
劇団青年座
青年座劇場(東京都)
2016/06/10 (金) ~ 2016/06/20 (月)公演終了
満足度★★★★
天一坊十六番
冒頭のコンドルズ感満載のダンスは楽しかったし(天一坊も踊るのね)、ポップな衣装も面白かったです。周りの方が「難解だ」と言ってらしたので、難解なのでしょうがそんなこと気にせず楽しめました。

COLORS
天才劇団バカバッカ
吉祥寺シアター(東京都)
2016/06/10 (金) ~ 2016/06/19 (日)公演終了
満足度★★★★
想定外!
この劇団、二回ほど観ている。確か三年位前。その時は人と人の間、台詞と台詞の間に隙間がいっぱいで、座長頼みの劇団と判断し“ここはもういいか”と思った。今回は客演に惹かれて観に行ったのだが、始まってすぐ“ここはどこの劇団?”と首を傾げるくらい変わっていた。客演が多いせいはあるだろうし、劇団のメンバーも成長していたと思う。客席を沸かせる楽しさ!言いたいことがはっきりしている!突っ込みどころが無いわけではないが、この楽しさと、ここならではの感覚・主張はとてもわかりやすく、充分楽しめた!予想外の面白さだった。

ありふれた愛、ありふれた世界
雀組ホエールズ
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2016/06/08 (水) ~ 2016/06/20 (月)公演終了
満足度★★★★★
笑わせる気満々なのに
ふざけてる箇所もいっぱいあるのにホロリとさせるのは、ある意味、反則。たくさん笑って、涙も流して、世間に怒り、自分の心の中にある汚い部分に反省して、あたたかい気持ちにもなって、密度の濃い2時間でした。

BREAK 【グリーンフェスタ2016 「BIG TREE THEATER賞」受賞】
劇団C2
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2016/02/17 (水) ~ 2016/02/21 (日)公演終了
満足度★★★★
体感エンターテイメント...見事!
グリーンフェスタ2016において 【BIG TREE THEATER賞】を受賞。その印象は、説明に謳っているスピード感溢れる「体感エンターテイメント」を表現。 ドラマチックに描かれる登場人物たちが創り出す胸を突き抜ける感動。」は実に見事!
日本の戦国時代という歴史物語のような感じもするが、あくまで異次元での出来事として描いている。話が進展するにしたがい、現実的でないことは明らかになる。その描かれる根底にあるものは...。

君がくれたラブストーリー
シベリア少女鉄道
赤坂RED/THEATER(東京都)
2016/06/10 (金) ~ 2016/06/19 (日)公演終了
満足度★★★★
卑怯でしたわ♪
一年ぶりにシベ少の芝居観てきました〜♪
昨日ふみふみこさんのツイート見てたら気がつくと予約完了してました(笑)
相変わらず卑怯(最上級誉め言葉)でしたわ♪

ランニングホーム
ステージタイガー
浄土宗應典院 本堂(大阪府)
2016/06/02 (木) ~ 2016/06/06 (月)公演終了
満足度★★★★★
人の数だけドラマがある。暖かいドラマが…。
「人の数だけドラマがある。」
一つの出来事を、登場人物それぞれの観点から切り取り、時間軸を遡りながら切り取り、見せてゆく…。
何気ない、人を思いやる何気ない気持ちが、心にズシーンと届いてきます。
とっても見せ方が上手いな、と思いました。
観劇後、心が満たされ、癒される、そんな舞台でした!
追伸、ステージタイガーさんの舞台に現役はちさんが出演され、遜色ない演技!ちょっとうれしかったです!
ハチさん含め、最近、学生さんがいろんな舞台にご出演されているのを拝見すると、応援したくなりますね!
追伸その2、折角、先行予約で申し込んでおきながら、それで安心してしまい…、振り込むのを忘れ…、キャンセル扱いに!
危うく拝見できない所でした!危ない危ない!
振込は忘れずに!

らいおんの憂鬱
ザレ×ゴト
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2016/02/04 (木) ~ 2016/02/08 (月)公演終了
満足度★★★★
笑いに隠された鋭い問題提起
本筋は(近)未来に実現しそうな宇宙旅行中の出来事である。その時から更に先の時代から或るミッションのために派遣されてくる人の活躍...ストーリーはループするような感じでそのラストシーンは観客の好みが分かれそうである。
基本はコメディであるから小ネタにも伏線を張り巡らせている。近未来要素を少々詰め込みすぎちゃったよパワフルファンタジー、面白かった。

無名劇団第23回公演「無名稿 機械」
無名劇団
浄土宗應典院 本堂(大阪府)
2016/06/10 (金) ~ 2016/06/12 (日)公演終了
満足度★★★
横光利一さん
チラシからの想像と、内容は異なっていましたが面白かった。
柊さんが案内とかしていたので、今回は出ないのかと思っていたら、しっかりと出ていたことに驚きました。
島原さんに一番感情移入したかな。
横光さんの本を読みたくなりました。全然しらなかったけど。
あと、開演前に高校生らしき人が、開演前の暗転にテンションが上がるといってたのに共感。
これから始まる芝居、どんなんやろって期待膨らむし、現実から物語の世界に入っていく、あの感覚ほんまに好きやな。
初めて観劇したとき、急に人が立っててびっくりしたのが懐かしい

保健体育B【終演しました!ご来場ありがとうございました!】
20歳の国
駅前劇場(東京都)
2016/04/27 (水) ~ 2016/05/01 (日)公演終了
満足度★★★★
エロスと青春のバランス感覚
私の「一度の観劇でのキスシーン目撃回数1位」を、あっさりと更新する勢いの本作だったが、不思議にいやらしさを感じず、不快にならなかった。「本当に始まるのは唇以外への場所への口づけからだ」と山田詠美は著書『マグネット』で書いているが、それが本当だとすれば、唇へのキスというのはただの助走にすぎない。20歳の国「国王」を名乗る作・演出の竜史は、そうした、エロスを設計するバランス感覚が秀でている。キスそのものよりも、腰をなでる手つきの方を、よほどセクシーに見せてくるのだ。だから、ぱっと見の生々しさに辟易することなく、穏やかな気持ちで大量のキスシーンを浴びることができたのだろう。
20歳の国はいつも、一方通行の片思いなどの人間関係の組み方が巧い。相関図などの説明ナシで観客にパッと関係性を掴ませる脚本の技量は見事。スタンダードな青春群像劇だけに、場面転換のやり方などがストレートすぎるところもあるので、技巧を凝らす余地は大いにあると思う。

SQUARE AREA【ご来場ありがとうございました!】
壱劇屋
インディペンデントシアターOji(東京都)
2016/04/06 (水) ~ 2016/04/10 (日)公演終了
満足度★★
パントマイムでつくるコメディ
オープニングシーンをきっちり作る、小劇場的なイントロダクション。こりっちに「観てきた!」を書くと、このオープニングを上から撮影した映像がもらえるというのは、制作側が観客とのつながりを創出し、喜んでもらいたいという工夫を感じる。
しかし作品では、台本の言葉が軽いのが気になった。言葉遊びは、遊びだからこそ説得力が必要で、「四面楚歌」というキーワードにも必然性がなく、ただ貼付けられた設定でしかないように感じられたし、コメディとしての強度も低かったように思える。ストーリーの骨格が言葉遊びに負けてしまっている印象を受けた。パントマイムなど、俳優さんたちの見せ所は多かったし、アドリブのような掛け合いはリズムがよかった。音と光の明滅する激しい演出は、幅広い客層にはもしかしたら刺激が強いかもしれない。

レドモン
カムヰヤッセン
吉祥寺シアター(東京都)
2016/04/06 (水) ~ 2016/04/10 (日)公演終了
満足度★
説得力が見出せず
人間の主人公がレドモンの妻を持っていることを、後ろめたいと思っているのか、本当は大切なのか、最後までわからなかった。後者だと信じたいと思って観ていたけれど、主人公のあらゆる言葉、行動に説得力がなくてわからなかった。
ヨーロッパでの移民排斥運動、日本での在日韓国人へのヘイトスピーチ問題などが白熱する中で、差別や隔離の問題はこれからもっともっと、私たちの暮らしに切実に迫ってくる問題のはずだ。でも、この作品を観て、そうした問題を一緒に考える気持ちにはなれなかった。「作家」は、観客に現実を教えて啓蒙してやる偉い人間などではなく、社会の矛盾や人間の薄汚さに敏感な弱い存在だと思うし、だからこそ、彼らの生み出す言葉は観客に響く。今作のような、底の浅い家族観と異人種への差別・隔離描写では、作品で描こうとした真の問題意識は伝わってこなかった。詳しくはネタバレBOXをご覧下さい。

椿姫
カンパニーデラシネラ
シアターX(東京都)
2016/03/24 (木) ~ 2016/03/31 (木)公演終了
満足度★★★★
花の命は短くて
マルグリット役の崎山莉奈は、ボブヘアーの美しさが目を引いた。娼婦は赤か黒のドレス、髪は長いものをまとめあげるのがオーソドックスでいいと思っていたが、青いドレスでボブヘアーのマルグリットは、かよわさよりも、自立したきっぷの良さを感じることができた。一人だけ、台詞のないダンサー(鈴木奈菜)がいて、体の張り、芯のバランスが際立っているなと思ってあとで調べたところ、Noismの研究生という経歴を持っていた。椅子を引き合う冒頭の振付けが印象的。身体能力を、あからさまに見せつける感じがないのに、強靭で美しい。古典をみごとに、若い俳優の体に落とし込み、スタイリッシュではかない『椿姫』を作り上げていた。
椿の花の降りしきるラストシーンでは、思わずこの言葉が脳裏をよぎった。「花の命は短くて、苦しきことのみ多かりき」。しかし、若さを心に焼き付け、恋の憧れを永遠のものにするには、いちばん美しい瞬間に死ぬことがひとつの方法なのである。そういう説得力が、本作にはあった。

しんじゃうおへや
yhs
in→dependent theatre 1st(大阪府)
2016/03/12 (土) ~ 2016/03/13 (日)公演終了
満足度★★★
冷静かつ情熱的な小林エレキ
死刑執行の現場に落ちていたシャツのボタンから、謎が紐解かれる様子が興味深かった。死刑囚役だった小林エレキの、常軌を逸した状態の名演はすばらしかった。抑えと爆発のバランスがとてもよかった。
刑務官たちは、演技がやや過剰で、熱さがくどい部分があった。刑務官にも葛藤があるのは伝わるのだが、それを強い語調の演技で表現するのは、しつこくて、観客のスムースな理解を阻害してしまうように思える。

赤い竜と土の旅人
舞台芸術集団 地下空港
すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)
2016/03/03 (木) ~ 2016/03/13 (日)公演終了
満足度★★★
音楽劇としての意味、ウェールズとの交流の意義
主演の片足の少年(村田慶介)の演技、歌声ともにすばらしかった。貴種流離譚の一種かと思ったのだが、彼が片足であるということが、本編にそれほど影響していなかったのが残念だ。もっと、片足の設定に因果めいたものを持たせることができただろう。
台本の前半に歌が集中しており、後半の見所はぜんぶアクトでおこなわれていたので、音楽劇としては少し物足りなかった。音楽については、ラストのテーマソングをもっと雄大に聴かせるように盛り上げることはできたのではないか。
全編にわたり、物語はとても楽しめたのだが、村人たちの台詞、アクトがややのっぺりと、ありきたりだった。ありきたりというのは「台詞以上」のことを何も伝えられていないという意味である。台詞の言葉以上の深みがない。寓話が現実を越えていない。現実のその先を照射して、考えさせないと「寓話」として見せる意味がなく、遠い国のおとぎ話で終わってしまうのだ。そこに本作の限界を感じてしまった。そのためにはエンディングで主人公たちに「待つ」だけでなく積極的な選択をさせてもよかったかもしれない。体に穴があくという描写から、放射能汚染による差別を描くこともできたのではないか? 人々が窯の力を捨てられなかった強欲さ(核の利便性)と、原爆による殺戮(核兵器)を、もっと描きわけられたのではないか。死の恐怖と故郷をなくす悲しみは別物のはずで、そこがこの物語のさらなる発展の余地だと思う。
ウェールズ国立劇場との連携プロジェクトの意義は深く、すばらしい。このような海外との結びつき方もあるという例を知ることが出来て、私自身も大変勉強になった。作品については厳しいことを書いてしまったが、とても期待していて、舞台芸術集団 地下空港の創作への真摯さはじゅうぶん理解できたと感じているし、これからの作品もぜひ拝見したいと思っている。

スケベの話~オトナのおもちゃ編~
ブルドッキングヘッドロック
ザ・スズナリ(東京都)
2016/04/09 (土) ~ 2016/04/20 (水)公演終了
満足度★★★★
官能とは想像である
「ここがわからないと物語の流れが分からない」部分がすべて外されたジェンガのような作品。観終わっても、フラストレーションが解消されずにもやもやが残る。でも、実社会でも、どう考えても不倫しているけど証拠だけがないとか、付き合っていたことをおくびにも出さずある日突然社内結婚して周囲の度肝を抜くカップルとか、なぜかものすごい嗅覚を持っていてみんなの秘密を全部知ってる地味系女子がいたりする。それくらい、人間のエロティックな部分は謎に満ちていて、明かされない。だから、この物語のあらすじが全部わからないのは、ある意味で当たり前なのだ。官能は想像すること。もっと知りたいと思うこと。わからなくてじれったいと思うこと。それこそが、喜安浩平のつくりたかった世界なのではないか。そう考えると、この『スケベの話〜オトナのおもちゃ編〜』は、きわめていやらしい遊び心に満ちた、タイトルどおりの作品だったように思う。
しかし節度を感じたのは女優陣の品の良さである。色っぽさを全面に押し出す場合、いやらしさが鼻について興ざめすることがあるのだけれど、そうならないギリギリの、まさに果物のいちばんおいしい部分だけを並べたような、ため息が出るほど美しく制御された演技だった。
舞台はいつの時代か、どこの国かもわからない軍隊の上層部の話。軍の中での駆け引きは、忍び寄ってくる戦争のため……? そんな時でも愛欲を捨てられない人間のどうしようもなさ。ナンセンスなコメディに見せかけて、実は人間の業の深い深いところに、タッチしようとした作品ではないだろうか。

緑茶すずしい太郎の冒険
(劇)ヤリナゲ
インディペンデントシアターOji(東京都)
2016/03/24 (木) ~ 2016/03/28 (月)公演終了
満足度★★★★★
誠実で新しい才能
主人公の妊娠がわかる冒頭の場面のようなコミカルさ、ドーナツ化症候群というテーマのシリアスさのスイッチの切り替えが、抜群にうまい。胎児が母に話しかけてくることや、胎児同士の会話など、演劇的な魔法を舞台上で見せる手際のよさにも感嘆した。出生前診断というきわめて難しいテーマに、誠実に向き合っていたと思う。
先日、東洋経済オンラインでの記事で「子どもを産むことに覚悟がいる時代」(http://toyokeizai.net/articles/-/115149)という平田オリザの発言を読んだ。実際、数十年前、たった数年前よりはるかに、子どもを産み育てることはコストと覚悟がいることになってしまったと私も痛感する。そうした自然な人間のいとなみにも、斜に構えて安穏としてはいられず、覚悟をもって挑まなければならない。ヤリナゲの新しさとは、そうした時代に政治状況や社会問題、倫理の問題を「自分ごと」として捉える新しさである。従来、ある特定の人たちの(この場合は、知的障害を持って生まれた子どもの親たちの)切実さだった問題を、いかに誠実に自分ごととして引き寄せるか。作・演出の越寛生は一歩一歩、踏み込んでゆく。ハイバイ・岩井秀人の作品のように自分の人生をモチーフにするわけではないが、すべてを「自分ごと」として捉え、想像する能力が抜群なんだろう。脚本の言葉の鋭利なセンス、俳優がそれを口にした時のイメージのふくらみ方、進行のテンポの良さも魅力である。
足りない部分があるとしたら、主人公の母親が、かつて第一子(主人公の姉。ドーナツ化症候群を患っている)を生んだあとにどのように葛藤したか、それをもとに主人公に何か果たせる役割があったのではないか。
バッドエンドの衝撃は凄まじいが、きちんとこの世の絶望を描いている。個人の問題を扱っていながら個人の感傷に留まらず、普遍的な人生の問題に取り組んでいる。ひとの生きる姿の奥深さにリーチしないものは、エンターテイメントではないと私は考えるけれど、今作は「笑えるエンターテイメント」を超えた、芸術につながる「演劇作品」だった。
越寛生の作品は、人間の汚い同調圧力、「世間一般」とされる狭い尺度を浮き彫りにする。彼はけっして、問題を俯瞰したり諦観したり、解説しようとしたりしない。ただ、誠実に悩むのだ。その姿は、果たしてわれわれは、こんな狭い尺度で測れる世界にいていいのか? どのように世界と向き合えばいいのか? と問いかけてくるようである。

東京ノート
ミクニヤナイハラプロジェクト
吉祥寺シアター(東京都)
2016/03/24 (木) ~ 2016/03/28 (月)公演終了
満足度★★★★★
2016年の『東京ノート』
21名の俳優が舞台上を駆け回り、フォーメーションを組み、高速で台詞の矢を放つ。まさにミクニヤナイハラ流の『東京ノート』だった。
これまで何作もミクニヤナイハラプロジェクトの作品を観ているが、これほどの大人数が登場するものは初めてだった。しかし彼女の演出は薄められるどころか、よりダイレクトに、痛切に2016年という時代を貫くものになっていることを実感した。
彼女の独自の身体・台詞の演出が、本家の青年団・平田オリザ演出の「間」を成立させるのか、という問いに彼女は「成立はしません。成立なんて目指さないです。青年団のファンは怒るでしょうね。でもいいんです。駆け抜けます。そんなに「間」が欲しけりゃ戯曲を読めばいい!」と、答えていた。(演劇最強論-ingインタビューより。http://www.engekisaikyoron.net/mikuni_yanaihara/)
しかし本作を観ながら私は、90年代初頭、平田オリザが初めて現代口語演劇の同時多発会話劇をやった時は、観客たちから同じように「何を言ってるのか聞こえない」と言われたのだろうな……と想像した。そういう意味で、矢内原版『東京ノート』は、まぎれもなく現代口語演劇であったと言っていい。
しかし、そんなカオティックな演出が持ち味の矢内原美邦だけれど、重要な台詞は「全部聞こえるように」緻密につくられていたと私には思えた。「離婚しそうになっている夫婦」「家庭教師と元教え子」「絵を寄贈したい人と学芸員」などなど、いくつもの人間関係が美術館という場に集まっている。その状況は、観客には伝わったはずだ。逆に、それさえ伝われば、あとは聞こえた言葉をつなげて、イメージの中で観客自身が泳げばよいのだ。
単なるスペクタクルに留まらない、圧を持った空間構成に、俳優たちもよく応えていた。台詞と動きの分担で2つの集団がひとつのシーンを演じた、学芸員がカメラオブスクラについて語った場面は見事だった。「ブリュッセル」「福島」など今聴くとドキッとする地名の出てくる台詞も多い。1994年に書かれたとは思えない言葉の数々が、超高速で迫ってくる。映像も華やかで、日の丸を模したラストの場面などは、こんなに直接的でいいのかと思えるほど政治性を帯びていた。しかしそれよりも、そうした苛烈な映像と俳優の身体のコラボレーションの美しさを見せることの方に、作り手のプライドを感じたのだった。

この声
オイスターズ
穂の国とよはし芸術劇場PLAT アートスペース(愛知県)
2016/03/12 (土) ~ 2016/03/13 (日)公演終了
満足度★★★★
ゾンビ、ゲシュタルト崩壊
以前、演劇のワークショップで、中学生の女の子たちと一緒に作品づくりをしたことがある。若い娘たちの理不尽にぶっ飛びまくる会話に、たじたじになったものだ。時折きゃーっと笑っては、次の話題に移り、めまぐるしく行ったりきたりしているうちに、何の話をしていたんだかわからなくなって、しかし出来上がった作品は、たいそうおもしろい……。そんな経験を思い出した。
冒頭、女子学生から唐突に繰り出された「ゾンビ」という言葉が、何度もこねくりまわされ、キャッチボールされ、あられもなくゲシュタルト崩壊していく様子がグロテスクだった。もはや、その様子自体がゾンビ的とすら言えた。稽古場で、若い俳優に翻弄され途方に暮れる年上劇団員の顔が目に浮かんだ。そう思うと、美術室から出られないあの教師がゾンビにも思えてくる。鎖がジャラッと鳴るラストシーンは、不気味な後味を残し、観客の胸をざらつかせた。
「学校の美術室」という設定は、観客が誰しも持てる共通のイメージを喚起して補わせることがたやすく、コンパクトな舞台美術でもさみしさを感じない。たくさんの劇場で上演されてほしいと感じる作品だった。

君がくれたラブストーリー
シベリア少女鉄道
赤坂RED/THEATER(東京都)
2016/06/10 (金) ~ 2016/06/19 (日)公演終了
満足度★★★★
有りだな
相変わらずの、作風で笑わせる。今回のネタ、これをこう使ってくるかぁと感心してしまった。面白かったので、これは有りだろ。以外とセリフは記憶に残るということは理解した。