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飛ばぬ鳥なら落ちもせぬ

飛ばぬ鳥なら落ちもせぬ

企画演劇集団ボクラ団義

吉祥寺シアター(東京都)

2017/04/04 (火) ~ 2017/04/16 (日)公演終了

満足度★★★★

今回の観劇で時代物はやはり得意分野のように感じた。

正直な所タイムスリップ系はこの劇団の十八番なので「またか」と思ってしまったが、そんなことを綺麗にとっぱらってくれたのが魅力的なオープニング。
あの目まぐるしく動く演者と殺陣と照明の切り替え。出演者名を出さないという変化を加え、且つ今まで通りのスクリーンを使った演出もあり。
裏切りながらも裏切らないスタイルでぐっと引き込まれ前のめりになるようなオープニングだった。

ストーリーとしては難解な部分や疑問点もあるが、そこまで深く理解しなくとも大筋と表面上の人間関係・感情の動きさえ追えれば問題無いように思える。
(もちろん深く知ったほうが面白みは増す)
正直なところ理解してなくても楽しめる作品、とも言える。
今回の作品の大きな強みはそこだと思う。
理解できない、よくわからなかった部分がそこまでストレスに感じない。その点は一度しか観劇できない人間、歴史に詳しく無い人間には優しいつくりになっていると感じた。

また今回は配役、登場人物のバランスが良かったように思える。
全キャスト均等にスポットが当たり、またそれがきちんと印象に残り見せ場がそれぞれある。それは非常に好印象だった。
いつもとは雰囲気の違う役を演じる役者を見て、それだけで良いものを見たと感じられる。
また女性陣が良い。戦う女性は格好良いし、城内の女性は可憐で、笑いをかっさらう女性も居て良質なキャスティングだったと思う。
ここに書き尽くせないくらい、それぞれの役が印象に残り愛着も沸く部分があった。

ただ全体的に詰め込みすぎなイメージは否めない。
これだけの人数が出ていれば仕方が無いかもしれないが、上演時間はもう少し抑えるべきというのが個人的な考えだ。
詰め込むことは簡単だが、そぎ落とすのは至難の技。けれどその「削ぎ落とす」手腕が脚本家には求められると思う。
見せるところを見せ、そうでないところは削ることは必要かと思う。
劇場の立地の問題もあったがせめて開始時間を前倒してくれれば、もう少し観劇の機会は増えたかもしれない。

けれどもまた観たい、理解しきれていない部分を理解したいと思わせる作品。
スカッとするような上向きなラストにも好感が得られる。
前回の不満点が解消されていたのも含めて評価したい作品だった。

ネタバレBOX

歴史の中でもマイナー寄りの題材を扱った作品でありアレンジの幅が広く、観客にとってはそれによる嫌悪感もさほど無いかと思う。
同時に歴史有識者の批判的な意見や野暮なツッコミも受けにくいのでは無いだろうか。

ただそのマイナーさが逆効果となりストーリーを追うのが困難な人も居たかと思う。
聞き慣れない登場人物の名前は覚えるのも一苦労だったりする。
特に中盤あたりの三好家衰退の件はとにかく早い。早すぎて目まぐるしい。
あの場面で三好長慶、松永久秀の人間性を表現しているのに、観客にそれを理解する暇を与えないのは本当に勿体無い。
個人的にはあそこでじっくりと彼等の人となりを理解し、心情に寄り添いたいという気持ちが強くあった。あの場面で深く感情移入できるとまたその後のシーンの感じ方が違う。そういった意味でもあの場面は本当に勿体無いと思った。
ただ二回目以降の観劇になるとそのスピードが逆に鳥肌物になる。
それが狙いかとは思うが、やはり初見が飲み込むには厳しい速さ。

残念なのがどうしても印象が薄い島左近組。
正直なところいなくても良いのでは、と思うくらいの印象の薄さ。
行動にはしっかりとした理由があるもののそれが印象的に語られないのが理由かと思う。もう少し彼等の行動理由、彩芽の兄の詳細など知りたかった。

他にも細かく語られない点や気になる部分は多かった。
けれどそれは「受け取り手の想像に任せます」というようなもので、明確な事実をぼかしているように思える。それが不満や消化不良に直結せず、想像力に委ねられるのでストレスにならないのかと感じた。
ただ複数の時系列が一点で交錯する場面や、突然時間軸が変わるシーンは唐突で理解しずらい箇所がいくつかあった。全てを事細かに理解するには難しいものがある気がする。


以下、個人的な妄言に過ぎないが
舞台のつくり、演出の一部など端々に劇団の人間が出演していた某2.5次元舞台の影響を受けていると感じる部分があった。
また劇中の台詞「正しい歴史を捻じ曲げてまで~」的なセリフも踏まえると、この舞台は主宰なり(もしくは劇団なり)のアンチテーゼなのでは?と思ったり思わなかったり。
近年もてはやされてる商業的な舞台に対し、「ウチはこうやりますよ」という意思表示をされてるようにも思えた――のは気のせいだと思いながらも書き留めておく。
アルティメット・コミュニケーション

アルティメット・コミュニケーション

サステナクリエーションファミリー

テアトルBONBON(東京都)

2017/04/04 (火) ~ 2017/04/09 (日)公演終了

満足度

当日はアンケート用紙へ書く気にもならず、劇場を後にしてしまったのだが、どうもモヤモヤ感が消えず今更ながら…。

女性キャストのみの舞台、華やかではあるし、劇中のダンスには迫力もあるがとにかく脚本、演出がひどい。世界観は悪くないのだが、その世界観へ入り込む事が全く出来ないほど置いてきぼりを食らう展開。(そして序盤でオチが分かってしまう)

とにかく何をしたいのか…。

ネタバレBOX

女性だけでいることはとても心地よいものだが、世界には男も女も必要だ。(違うものを認める必要性、多様性?)
辛い事があってもそこから逃げちゃダメだ、前に進め。
大まかに上記のようなことを推してくるが、単に自分の正論を言いたいだけ(言わせたいだけ)脚本家の経験の浅さを感じるセリフが多い。登場人物にはそれぞれ重たい(辛い)過去がある設定だが、その重みが感じられない。

不幸に酔って不幸にとどまることは心地よくはあるが不毛である。
だが、必ずしも逃げない事が正しい事ではない。
逃げる事が必要なときも、それが必要な人間もいる。
逃げるなと誰も押し付けることはできないのだ。
仮に壮絶に辛い経験をし、そこから立ち直った事のある人間であるならば、このような哀しみの中にいる人を見下すような脚本は書かないはずだ。

特に理解に苦しむのは、男でも女でも〜と言ったようなセリフがあるにも関わらず、
異物を排除する風潮が女性特有のものであるかのように描かれていることだ。
また、子供を産む事が女の役割だという表現にも反発を覚える。
役割だから産めとのたまっているように感じる。体の構造上子供を授かる事ができるのは女性のみだが、だからといってそれを役割のように押し付けるのは如何なものか。このような事を考える人間は、子育ても女性の役割だ、などと言い出しそうである。

もちろん、どのように受け取るかは受取手の問題なので、このように歪曲した想像を膨らましてしまったのは私自身の問題である。
力のある女優も多く、それが上手く生かされていないことが非常に残念。
『ラクゴ萌エ』

『ラクゴ萌エ』

ラチェットレンチF

d-倉庫(東京都)

2017/04/13 (木) ~ 2017/04/16 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/04/14 (金)

ラチェットレンチさん。名前は聞いたことがありましたが、個人的には今回が初観劇でした。これまでも落語をテーマとした作品を創られているようで、この劇団の一つ個性として捉えて良いかもしれません。随所にお笑いのツボがあり、コメディー作品として完成度は高いと感じました。当日配布されるパンフレットも落語に関する基礎知識として落語用語などが丁寧に解説されていて好印象。主演・藤井さんのオタク役らしい笑い方、豊かな表情も素敵でした。

窓辺の馬

窓辺の馬

東京演劇集団風

レパートリーシアターKAZE(東京都)

2017/04/11 (火) ~ 2017/04/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

翻訳劇…その基になった戯曲を洞察し知力を加え、練り上げた脚本に視覚と聴力に訴える表現力は素晴らしかった。キャストは僅か5人。その物語は3つの時代の戦争を背景に、男3人と1人3役(母・娘・妻)を演じた柴崎美納サンの演技が圧巻であった。少ないキャストによる濃密な戦時物語は、今の日本への警鐘、いや世界に通じる普遍的なテーマとしても観応え十分である。
時代に翻弄される人間、その悲哀・無力・滑稽な姿が舞台に立ち上がってくる。

また、演出、舞台美術・技術(照明・音響)が臨場感を醸し出し情景が鮮明に描き出される。

ネタバレBOX

上演前、舞台と客席との間に欧州の古地図が吊るされており、使者が放銃して地図上を赤く汚す。上手・下手の両側にドラム缶が置かれ、上手側に街灯、下手側は上部のパイプ管から水が落ちる。

時代が異なる3つの戦時を背景に、戦死者の悲報を知らせにくる使者。その顔は道化師のようであり役割としてはストーリーテラーといったところ。
第1話…出征する息子の身の回りの世話をする母。気丈に振舞いながらも息子のことが心配な様子が見て取れる。しかし馬に蹴られて死亡。
第2話…父の戦争体験を子守唄のように聞く娘。その話は戦地での恐怖を暗示するような不気味なもの。馬に後をつけられて逃れられない孤独・不安。孤独は理性を奪う。その苦悩の果ての発狂死。
第3話…夫が戦地へ行くまでの準備、勇姿が見られるが、結局行軍中に躓き軍靴で轢殺された(ラストに数多くのブーツ)。

いずれも銃弾という直接的な戦死ではなく、戦時という状況に殺されたかのようだ。そこに戦争の非情さが見て取れる。
人間の最悪な不条理である戦争…その後始末に死体自動収集埋葬機なるものが登場するという。この機械的処理に対し、交わされる言葉(詩のよう)は生きている証のようである。

脚本・演出はもちろん、舞台美術・技術はどれもが素晴らしかった。
舞台セットは平板で骨組みした家屋内(壁は紙張り)と上手側に跳ね橋のような板。室内は食器棚・テーブル、客席寄りに旅行鞄がありその中は多くのスナップ写真、白いカーネーションだ詰められ、死を暗示するような小物。衣装は死者は白装束、白塗顔、一方生きている者は、黒も含め色彩ある服を着ている。照明の陰影、ロウソクの炎が幻想的で、その炎こそ命のようだ。また音楽はパレード、宗教曲など場面に応じて聴かせ、水の音が生きていることを感じさせる。

劇中、ドアを閉める音が”うるさい”という台詞が何度かあるが、その騒がしさ、手の荒さこそ争いという比喩か。もっとも口を噤んで静かにしていては危険を知らせることが出来ないだろう。

次回公演を楽しみにしております。

FAMILY

FAMILY

ヒューマン・マーケット

ウエストエンドスタジオ(東京都)

2017/04/12 (水) ~ 2017/04/16 (日)公演終了

満足度★★★★

某地下倉庫が舞台…劇中の台詞にもあったが、「ロミオ&ジュリエット」のような反目し合うファミリーと一家の男と女の恋愛話から物語が始まる。本公演は登場人物の外見(衣装など)で区別でき、どちらの者か考えるまでもなく視覚で楽しめる。その演出効果は巧み。
またこの対立の構図は、地方(郊外)都市における小型商店の衰退、いわゆるシャッター商店街という課題を垣間見せる。もっともこの課題は背景として表現しているに止まり、物語の中心は両家の確執とそうなった経緯、これからの行方を面白可笑しく描いている。
(上演時間1時間40分)

ネタバレBOX

舞台セットは壁際に脚立やダンボール箱が積み上げられている。一見すると雑然としているが、中央に空きスペースを作りアクションを観(魅)せる。この倉庫は0(ゼロ)倉庫と呼んでいる。この倉庫は両家にとって思い出の地のようで、偶然か必然か分からないが佐藤家(コーポレーション)・鈴木家(商店)の人々が集まってくる。

冒頭は先に記した通り、佐藤家の三男と鈴木家の次女が恋仲になり、鈴木家の母に相談するところから始まる。今では反目しているが10年前までは共同経営するほどの間柄であった。仲違いした原因は子供じみたこと、「銃」と「刀」のどちらが強いかという銃刀の優劣が発端である。先にオチを書くが、決してブラック企業などではなく玩具会社である。この倉庫は商品の保管をしており、初(ゼロ)めて使用した思い出の場所である。両家とも年に1度会合を持っていたが、それぞれの経営も苦しいことからどちらの家も手放そうとしている。

この商店街も後継者が少なくなり閉店が相次ぐ。この両家を取り持つような存在の山田屋(今川焼き店)もその1つ。人気店も時代が現代に近づくほど残念な結果になることが多くなってきている。同時に新たな商売も生まれてくる。本公演でも今川焼きはサーファーショプに変わるようだ。

反目・確執から和解する。それに伴って1人ひとりの心の距離が縮まる。その過程で観せるアクションは、自在な動きの妙(跳蹴りでダンボール箱に突っ込む演技?)、脚立や階段を利用した高低差は躍動感が倍加する。

「家族」をテーマに精神的な再生を肉体的な高揚で謳い上げる。そして背景に地域事情という社会問題を潜ませ表層的な喜劇に止まらず、奥深い物語に仕上がっていた。最後に舞台技術(照明・音楽)も効果的で、映画音楽ゴットファザーや宗教曲のようなものまで。

次回公演を楽しみにしております。
在り処

在り処

演劇ユニットどうかとおもうプロデュース公演『在り処』

下北沢 スターダスト(東京都)

2017/04/14 (金) ~ 2017/04/18 (火)公演終了

満足度★★★★★

悲喜に揺さぶられた。おばあちゃん妙演!

Melody

Melody

TEAM 6g

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2017/02/08 (水) ~ 2017/02/12 (日)公演終了

満足度★★★★★

(遅ればせながら)まず細かな部分にまで神経の行き渡ったセットに驚かされた。生活の匂いやその家の歴史が感じられるセット。これだけでも物語が感じられる。そして、何気ない生活の中にある、ひとりひとりの物語。特に主役の明音、無邪気でがさつな少女が、次第に生きる姿勢の美しい存在に変わっていくのが見事。またそれを感じさせるいくつかのシーンの作りもナチュラルだが、想いが溢れていた。

鬼泪 〜激情編〜

鬼泪 〜激情編〜

カプセル兵団

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2017/03/04 (土) ~ 2017/03/12 (日)公演終了

満足度★★★★★

(遅ればせながら)前作に比べ、かなりのスケールアップ!その世界の広がりは実に楽しい。登場人物たちも想像力を描きたてる魅力的なキャラ揃い。少々話の流れが慌しいのがもったいない気がしないでもない。各キャラの心情がもっと丁寧に描かれていれば、もっと深みも出ていたのではと思う。

ネタバレBOX

どうしても気になるのはこの作品のキャラクター・設定・そしてシーン・鬼のコスチューム、これらが、某有名劇団の作品とかなり被るという事。あえてなのか?それともなのか?知りたいところである。
代役!

代役!

劇団ヨロタミ

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2017/02/22 (水) ~ 2017/02/26 (日)公演終了

満足度★★★★

観る度にいろいろなティストで魅せてくれる劇団である。今回は七面倒なことはまったく無しで、ただただ観客を楽しませることに徹した作品。観客を疲れさせない、心も体もほぐれていくような笑いだった。このところ、確かにヨロタミの作品とわかるが、カラーの違う作品に挑戦している。そのトライ精神に拍手したい。次は何を持ってくるのか?今から楽しみにしている。

ギンノベースボール

ギンノベースボール

ラビット番長

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2017/02/15 (水) ~ 2017/02/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

(遅ればせながら)ラビット番長の特徴がバランス良く見事に納められた秀作。この劇団を初めて観る人にこの劇団を理解してもらうのにふさわしい作品。演出・セットともに良く考えられていた。が、この劇団を観続けているものとしては“守り”に入っている気がしないでもない。もっと挑戦する作品に出会いたいものだと思う。

ジゼル

ジゼル

ポポポ

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2017/02/16 (木) ~ 2017/02/20 (月)公演終了

満足度★★★★

(遅れはぜながら)ジゼルの清楚な美しさ、影絵の効果的な使い方(多少場によりサイズに問題有りと見たが)には好感が持てる。何より女性陣の感情が溢れる舞台だった。

ハハ♪のんきだね~

ハハ♪のんきだね~

演劇部隊Chatter Gang

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2017/02/01 (水) ~ 2017/02/05 (日)公演終了

満足度★★★★

(遅ればせながら)お初の劇団さん。明る過家庭の雰囲気、テンポの良さはなかなか良かった。が、途中のドタバタ、ここはあそこまでやらなくても成立したのでないかと思う。ラスト、母の笑顔は絶品に良かった(多少間を外した気がしないでもないが)

ドラゴンカルト

ドラゴンカルト

劇団ショウダウン

大阪市立芸術創造館(大阪府)

2017/03/23 (木) ~ 2017/03/26 (日)公演終了

満足度★★

(遅ればせながら)好きな劇団ではあるが、今回はかなりがっかりさせられた。
感想一言で言うと“役が入りきってない”これに尽きる。
林遊眠、メインである彼女が出来上がっていない。いつものがっつり入り込んでいる
その強いものが感じられない。第三者から観て別人?と感じさせるようなそういう変化がない。その他の出演者もあきらかにレベルについていけないものが数人。公演ごとに人を集めている劇団なので、毎回同じテンションを持ってくるのは、かなり難しいだろうが、今回のキャスティングはひどかった。キャラ的に必要なのか?と思えるもの、役不足も少なくない。いつも感じる舞台からの熱が、まったく感じられないまま終わる。“初日”だからは通用しない。いつもより時間がなかったを観客は知らないし
、それは言い訳でしかない。“一期一会”そのつもりで舞台に出るそれを忘れないで欲しい。次回はいつもの熱のあるショウダウンに出会うことを心から期待する。

今、此処より、明るい夜をこえて

今、此処より、明るい夜をこえて

演劇企画ハッピー圏外

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2017/01/18 (水) ~ 2017/01/22 (日)公演終了

満足度★★★★

(遅ればせながら)この劇団にこういう一面があったのか!と驚かされた!!緊張感と細かな感情の揺れ、それらが刺さるように感じられた。いつものハートフルもいいが、たまにはこんな硬派も見応えあって良い。

天一坊

天一坊

弌陣の風

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2017/01/12 (木) ~ 2017/01/15 (日)公演終了

満足度★★★

(遅ればせながら)スタートからメインの声が出ず、存在感も薄い。?となっていたら、中盤の踊りからガラッと変わった!実に艶やかで美しい!!芝居の方も前半が嘘のようにイキイキとし始めた。実にもったいない。ストーリー的に納得いかない部分、男女のカップルの年齢層の違和感などあるが、見応えはあった。

ignition

ignition

演劇ユニットP-5

ナンジャーレ(愛知県)

2017/04/13 (木) ~ 2017/04/16 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2017/04/13 (木) 19:00

P-5さんの舞台はバウムクーヘン以来、八年ぶりくらいに観にいきました。
たくさん笑って面白かったです。

人生の大事な部分はガムテで止まっている ≪現代編≫≪大正時代編≫

人生の大事な部分はガムテで止まっている ≪現代編≫≪大正時代編≫

劇団6番シード

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2017/04/05 (水) ~ 2017/04/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/04/17 (月)

現代編に続き【大正時代編】鑑賞。現代から1世紀遡った舞台上は、洋装と和装の登場人物が混在し、大正浪漫が感じられる素敵な空間。然しながら、展開するのは前作に匹敵する熱量を持ったド・コメディ!一つの作品としても面白いが、現代編と併せて見ることで様々にリンクする場面を発見、より一層楽しめた。陸軍大尉役の土屋さんと少佐役の野上さんのやり取りが、個人的にツボだった。

螺旋と蜘蛛

螺旋と蜘蛛

神奈川県演劇連盟

KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

2017/04/13 (木) ~ 2017/04/16 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2017/04/15 (土) 14:00

15日午後、横浜市山下町のKAAT神奈川芸術劇場で上演された神奈川県演劇連盟プロデュース公演『螺旋と蜘蛛』を観に行った。これは、知人の役者・田中敦之が主演を演じ、同じく知人の役者・塚田しずくも出演していた関係からである。


プログラムによると、この舞台は芥川龍之介の「蜘蛛の糸」を根底にした話だという。
死後(なぜ死んだのかは明らかにされていない)に地獄へ落ちたカンダタクマは、過去の自分を強制的に振りかえらされる苦しみを味わう。父親の浮気で両親が別れたこと。その後、再婚(内縁か?)の夫が娘(タクマにとっては妹のアゲハ)を金を渡して抱いていたこと。自分が母親を殺したこと。妹を助けると言っておきながら助けられず、妹は新興宗教にはまっていく。その宗教団体の女性幹部・アラクネが妹の心のよりどころとなっていく。などなどを思い返し苦しむ。そして、最後に地獄に垂らされたロープにすがりつき天国に行こうとするタクマを、アラクネが神に「地獄に落としてください」と決断を促し、タクマは地獄に落ちていく。

螺旋状に組まれた舞台の高低をを利用してのシーン転換は、劇場の天井の高さを利用したなかなかの出来映え。
問題は、脚本だろう。過去の自分を振り返って苦しむタクマ…のはずなのだが、その苦しみの度合いが浅い印象を受けるのだ。タクマに次いで演技の高さを要求される妹アゲハも、どうもその生活上の苦しみが表面的。胸にズサっと刺さるような地獄に落ちて当然というような苦しみや痛みというものへの迫力が乏しい。
また、タクマを地獄に落としてと頼むのが新興宗教の幹部の1人アラクネなのだが、彼女がタクマに対してそうした決断をゆだねられるだけの存在だったのかも微妙。というのも、最後にアゲハの心のよりどころになったのはアラクネなのだが、彼女は新興宗教の集金活動の実態を知っていたという負い目も持っているはずだから。

という訳で、横浜というスタイリッシュな街で行われた地獄を扱ったスタイリッシュな舞台と言うのが総評的一言。

脚本はともかく、主演の田中、妹役の小林遙奈 母親役の芝崎知花子の親子の演技は、この舞台の核となるものであり、出演者の中では好演であった。
また、大道具と照明の質の高さが目立った。

人生の大事な部分はガムテで止まっている ≪現代編≫≪大正時代編≫

人生の大事な部分はガムテで止まっている ≪現代編≫≪大正時代編≫

劇団6番シード

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2017/04/05 (水) ~ 2017/04/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

「大正時代編」は「現代編」よりさらに笑えました。一見かっこいい土屋さんの軍人さんが・・・。いえ、まだ千秋楽までしばらくあるので見に行ってください。最前列でお尻を堪能してしまいました(残念ながら土屋さんのお尻ではないのですが)。
今回はチケットを取ってから行ったので最前列に座れました。椅子が小さいので少し不安でしたが、上演時間が短めだったので大丈夫でした。そのあたりもさらに笑えた一因かも。と言うのは現代編の時は最前列に座れず、背の低い私は前の人の隙間から右左と身体を動かすことになり、隣の方から「気が散るので動かないでください」と注意されてしまいました。そんなこと言われても・・・(涙)。あとでよく見たら、階段席は段差が違うところがあるので、次回からはそこらへんも気をつけて席を選びたいと思いますが、入場時はなかなか冷静に見極められないのでした(汗)。

KUDAN

KUDAN

TOKYOハンバーグ

座・高円寺1(東京都)

2017/04/12 (水) ~ 2017/04/16 (日)公演終了

満足度★★★★

中盤まで、忍耐でみた。終わってみれば絵画的な舞台であった。部分的ストーリーが最後に符合する展開も、風景の一部としてカンバスに収めて舞台上にガン!と置いたような、虚を突かれる終幕には衝撃を受けた。

ネタバレBOX

「忍耐」出来たのは「再演」に打って出る自負を考慮したからで、そうでなければ、動物モノ、それも作者の恣意で擬人化したそれは、個人的にはつらい=食指が動かない部類。というのは、今作もそうだが牛たちが人間に敵意を抱くという感情の出どころについて、具体的な一つの原因がなければ、ただ一般的に人間は俺たちの肉を食う、とか、人間の都合で動物は殺される、とか、へそが笑いそうになる。「見捨てたこと」が人間への憎しみに直結するのも何か違う。それによって何が起きたか、の方に原因がなければ。つまり殺生したり見捨てたりは、今も人間と動物の関係において生じている事であり、今も牛たちは人間たちを恨んでいる、という設定にするなら別だが、震災という事件以後そうなった、という説明はなかなか厳しいんである。はっきり言って感情移入できない。
そもそも事故後に殺気立った人間がやってきて(まるで対中戦争時のように?)牛まで犯して去っていった、その時孕ませられた牛から生まれてきたのが人間の姿をした娘(青い衣裳で区別)つまり「あいのこ」である、という設定じたいが飲み込めない。暗く沈鬱な雰囲気の中でこの事実が語られるので、リアルにしてアンリアルという背反が暫くの間、耐えがたい。
牛の衣裳は濃い茶の毛をうまく表していたが、その中の一際背の高い(確か温泉ドラゴンの役者)動物は、じつは犬だったらしい。では、この中のどれが犬でどれが牛なの?・・説明がない。まあ、犬は一匹だけで後は牛だったらしいが。
かように動物モノの設定のディテイル不足に、腰の落ち着かない時間が、ディテイルが埋められて行くのでなく平行線で長く続くのである。
ところがこの犬(バイト)、耐え忍ぶべき確かな「伏線」であった事はラストに氷解する。
あいのこの娘を仮対象として、人間への憎しみを最も烈しく表現していたバイトは、ラスト、自分らを見放し、それで妹を死なせる事となった飼い主の思わぬ訪問をうける。着の身着のままで家を追われた初老の彼が現われた時、バイトはゴロゴロと唸りながら行き場のなかった怒りを反芻し、今跳びかかるかと右左に歩いていたのが、ついに飛び出し、飼い主を慕う「本能」に負けてふるいつく。この動き、変化は、犬の気持ちなど分からない我々であるのに、見事に伝えてみせる場面であった。台詞(言葉)で説明しえない「関係の表現」を結語とした、一つの証しに思う。

開放された牛たちの群れの物語の片方で、人間のドラマが並行する。地域的には重なっているようだが、話は交わらずに進む。舌足らずに進行するかに見える人間の物語が中盤以降、目鼻が見えてくる。事故後の原発で働く者たち、その中で学歴も何もなくただ気持ちだけを通わせる恋人と結婚した青年、時間経過の後、恋人は無脳症で生まれた(亡くなった)赤子のフェイクを抱いてあやして過ごしている。原発労働者の間で、近頃人間の女の子が(線量の高い原発プラントの近くを)歩いているのを見かけた、という噂が出回る。時系列でのストーリーは憶えていないが、動物らと人間たちが、じつは同じ時空を共有していることが霧が晴れるように見えた瞬間(だったように思う)、群舞となり幕を閉じる。
原発を扱っているが、誰かを告発する話ではない。抉り出せば実も蓋もないような原発を巡る醜怪な関係の構図に飲まれず(怒りや絶望に身を任せず)、ある意味で最も酷な犠牲者の象徴と言える奇形の存在が呟くだろう問い・・「自分は何のために生まれ、何のために生きているのか、何のために死んで行くのか」・・の前に立つこと。この問いは誰しもの前に等しく立てられている。
カラマーゾフの兄弟だったか、こんな問いがあった(と聞いた)。神は全てを許される。人殺しもか。然り、だが全てが許されたと知った人間は、果たして人を殺すだろうか。・・なぜ今これを思い出したのか、ド忘れたが・・最も本質的問いに向き合った人間は、果たして瑣末な問題に足を掬われるだろうか(否、掬われる事はない)、だったかな。

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