
飛ばぬ鳥なら落ちもせぬ
企画演劇集団ボクラ団義
吉祥寺シアター(東京都)
2017/04/04 (火) ~ 2017/04/16 (日)公演終了
満足度★★★★
今回の観劇で時代物はやはり得意分野のように感じた。
正直な所タイムスリップ系はこの劇団の十八番なので「またか」と思ってしまったが、そんなことを綺麗にとっぱらってくれたのが魅力的なオープニング。
あの目まぐるしく動く演者と殺陣と照明の切り替え。出演者名を出さないという変化を加え、且つ今まで通りのスクリーンを使った演出もあり。
裏切りながらも裏切らないスタイルでぐっと引き込まれ前のめりになるようなオープニングだった。
ストーリーとしては難解な部分や疑問点もあるが、そこまで深く理解しなくとも大筋と表面上の人間関係・感情の動きさえ追えれば問題無いように思える。
(もちろん深く知ったほうが面白みは増す)
正直なところ理解してなくても楽しめる作品、とも言える。
今回の作品の大きな強みはそこだと思う。
理解できない、よくわからなかった部分がそこまでストレスに感じない。その点は一度しか観劇できない人間、歴史に詳しく無い人間には優しいつくりになっていると感じた。
また今回は配役、登場人物のバランスが良かったように思える。
全キャスト均等にスポットが当たり、またそれがきちんと印象に残り見せ場がそれぞれある。それは非常に好印象だった。
いつもとは雰囲気の違う役を演じる役者を見て、それだけで良いものを見たと感じられる。
また女性陣が良い。戦う女性は格好良いし、城内の女性は可憐で、笑いをかっさらう女性も居て良質なキャスティングだったと思う。
ここに書き尽くせないくらい、それぞれの役が印象に残り愛着も沸く部分があった。
ただ全体的に詰め込みすぎなイメージは否めない。
これだけの人数が出ていれば仕方が無いかもしれないが、上演時間はもう少し抑えるべきというのが個人的な考えだ。
詰め込むことは簡単だが、そぎ落とすのは至難の技。けれどその「削ぎ落とす」手腕が脚本家には求められると思う。
見せるところを見せ、そうでないところは削ることは必要かと思う。
劇場の立地の問題もあったがせめて開始時間を前倒してくれれば、もう少し観劇の機会は増えたかもしれない。
けれどもまた観たい、理解しきれていない部分を理解したいと思わせる作品。
スカッとするような上向きなラストにも好感が得られる。
前回の不満点が解消されていたのも含めて評価したい作品だった。

アルティメット・コミュニケーション
サステナクリエーションファミリー
テアトルBONBON(東京都)
2017/04/04 (火) ~ 2017/04/09 (日)公演終了
満足度★
当日はアンケート用紙へ書く気にもならず、劇場を後にしてしまったのだが、どうもモヤモヤ感が消えず今更ながら…。
女性キャストのみの舞台、華やかではあるし、劇中のダンスには迫力もあるがとにかく脚本、演出がひどい。世界観は悪くないのだが、その世界観へ入り込む事が全く出来ないほど置いてきぼりを食らう展開。(そして序盤でオチが分かってしまう)
とにかく何をしたいのか…。

『ラクゴ萌エ』
ラチェットレンチF
d-倉庫(東京都)
2017/04/13 (木) ~ 2017/04/16 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/04/14 (金)
ラチェットレンチさん。名前は聞いたことがありましたが、個人的には今回が初観劇でした。これまでも落語をテーマとした作品を創られているようで、この劇団の一つ個性として捉えて良いかもしれません。随所にお笑いのツボがあり、コメディー作品として完成度は高いと感じました。当日配布されるパンフレットも落語に関する基礎知識として落語用語などが丁寧に解説されていて好印象。主演・藤井さんのオタク役らしい笑い方、豊かな表情も素敵でした。

窓辺の馬
東京演劇集団風
レパートリーシアターKAZE(東京都)
2017/04/11 (火) ~ 2017/04/16 (日)公演終了
満足度★★★★★
翻訳劇…その基になった戯曲を洞察し知力を加え、練り上げた脚本に視覚と聴力に訴える表現力は素晴らしかった。キャストは僅か5人。その物語は3つの時代の戦争を背景に、男3人と1人3役(母・娘・妻)を演じた柴崎美納サンの演技が圧巻であった。少ないキャストによる濃密な戦時物語は、今の日本への警鐘、いや世界に通じる普遍的なテーマとしても観応え十分である。
時代に翻弄される人間、その悲哀・無力・滑稽な姿が舞台に立ち上がってくる。
また、演出、舞台美術・技術(照明・音響)が臨場感を醸し出し情景が鮮明に描き出される。

FAMILY
ヒューマン・マーケット
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2017/04/12 (水) ~ 2017/04/16 (日)公演終了
満足度★★★★
某地下倉庫が舞台…劇中の台詞にもあったが、「ロミオ&ジュリエット」のような反目し合うファミリーと一家の男と女の恋愛話から物語が始まる。本公演は登場人物の外見(衣装など)で区別でき、どちらの者か考えるまでもなく視覚で楽しめる。その演出効果は巧み。
またこの対立の構図は、地方(郊外)都市における小型商店の衰退、いわゆるシャッター商店街という課題を垣間見せる。もっともこの課題は背景として表現しているに止まり、物語の中心は両家の確執とそうなった経緯、これからの行方を面白可笑しく描いている。
(上演時間1時間40分)

在り処
演劇ユニットどうかとおもうプロデュース公演『在り処』
下北沢 スターダスト(東京都)
2017/04/14 (金) ~ 2017/04/18 (火)公演終了

Melody
TEAM 6g
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2017/02/08 (水) ~ 2017/02/12 (日)公演終了
満足度★★★★★
(遅ればせながら)まず細かな部分にまで神経の行き渡ったセットに驚かされた。生活の匂いやその家の歴史が感じられるセット。これだけでも物語が感じられる。そして、何気ない生活の中にある、ひとりひとりの物語。特に主役の明音、無邪気でがさつな少女が、次第に生きる姿勢の美しい存在に変わっていくのが見事。またそれを感じさせるいくつかのシーンの作りもナチュラルだが、想いが溢れていた。

鬼泪 〜激情編〜
カプセル兵団
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2017/03/04 (土) ~ 2017/03/12 (日)公演終了
満足度★★★★★
(遅ればせながら)前作に比べ、かなりのスケールアップ!その世界の広がりは実に楽しい。登場人物たちも想像力を描きたてる魅力的なキャラ揃い。少々話の流れが慌しいのがもったいない気がしないでもない。各キャラの心情がもっと丁寧に描かれていれば、もっと深みも出ていたのではと思う。

代役!
劇団ヨロタミ
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2017/02/22 (水) ~ 2017/02/26 (日)公演終了
満足度★★★★
観る度にいろいろなティストで魅せてくれる劇団である。今回は七面倒なことはまったく無しで、ただただ観客を楽しませることに徹した作品。観客を疲れさせない、心も体もほぐれていくような笑いだった。このところ、確かにヨロタミの作品とわかるが、カラーの違う作品に挑戦している。そのトライ精神に拍手したい。次は何を持ってくるのか?今から楽しみにしている。

ギンノベースボール
ラビット番長
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2017/02/15 (水) ~ 2017/02/19 (日)公演終了
満足度★★★★★
(遅ればせながら)ラビット番長の特徴がバランス良く見事に納められた秀作。この劇団を初めて観る人にこの劇団を理解してもらうのにふさわしい作品。演出・セットともに良く考えられていた。が、この劇団を観続けているものとしては“守り”に入っている気がしないでもない。もっと挑戦する作品に出会いたいものだと思う。

ジゼル
ポポポ
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2017/02/16 (木) ~ 2017/02/20 (月)公演終了
満足度★★★★
(遅れはぜながら)ジゼルの清楚な美しさ、影絵の効果的な使い方(多少場によりサイズに問題有りと見たが)には好感が持てる。何より女性陣の感情が溢れる舞台だった。

ハハ♪のんきだね~
演劇部隊Chatter Gang
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2017/02/01 (水) ~ 2017/02/05 (日)公演終了
満足度★★★★
(遅ればせながら)お初の劇団さん。明る過家庭の雰囲気、テンポの良さはなかなか良かった。が、途中のドタバタ、ここはあそこまでやらなくても成立したのでないかと思う。ラスト、母の笑顔は絶品に良かった(多少間を外した気がしないでもないが)

ドラゴンカルト
劇団ショウダウン
大阪市立芸術創造館(大阪府)
2017/03/23 (木) ~ 2017/03/26 (日)公演終了
満足度★★
(遅ればせながら)好きな劇団ではあるが、今回はかなりがっかりさせられた。
感想一言で言うと“役が入りきってない”これに尽きる。
林遊眠、メインである彼女が出来上がっていない。いつものがっつり入り込んでいる
その強いものが感じられない。第三者から観て別人?と感じさせるようなそういう変化がない。その他の出演者もあきらかにレベルについていけないものが数人。公演ごとに人を集めている劇団なので、毎回同じテンションを持ってくるのは、かなり難しいだろうが、今回のキャスティングはひどかった。キャラ的に必要なのか?と思えるもの、役不足も少なくない。いつも感じる舞台からの熱が、まったく感じられないまま終わる。“初日”だからは通用しない。いつもより時間がなかったを観客は知らないし
、それは言い訳でしかない。“一期一会”そのつもりで舞台に出るそれを忘れないで欲しい。次回はいつもの熱のあるショウダウンに出会うことを心から期待する。

今、此処より、明るい夜をこえて
演劇企画ハッピー圏外
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2017/01/18 (水) ~ 2017/01/22 (日)公演終了
満足度★★★★
(遅ればせながら)この劇団にこういう一面があったのか!と驚かされた!!緊張感と細かな感情の揺れ、それらが刺さるように感じられた。いつものハートフルもいいが、たまにはこんな硬派も見応えあって良い。

天一坊
弌陣の風
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2017/01/12 (木) ~ 2017/01/15 (日)公演終了
満足度★★★
(遅ればせながら)スタートからメインの声が出ず、存在感も薄い。?となっていたら、中盤の踊りからガラッと変わった!実に艶やかで美しい!!芝居の方も前半が嘘のようにイキイキとし始めた。実にもったいない。ストーリー的に納得いかない部分、男女のカップルの年齢層の違和感などあるが、見応えはあった。

ignition
演劇ユニットP-5
ナンジャーレ(愛知県)
2017/04/13 (木) ~ 2017/04/16 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2017/04/13 (木) 19:00
P-5さんの舞台はバウムクーヘン以来、八年ぶりくらいに観にいきました。
たくさん笑って面白かったです。

人生の大事な部分はガムテで止まっている ≪現代編≫≪大正時代編≫
劇団6番シード
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2017/04/05 (水) ~ 2017/04/23 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/04/17 (月)
現代編に続き【大正時代編】鑑賞。現代から1世紀遡った舞台上は、洋装と和装の登場人物が混在し、大正浪漫が感じられる素敵な空間。然しながら、展開するのは前作に匹敵する熱量を持ったド・コメディ!一つの作品としても面白いが、現代編と併せて見ることで様々にリンクする場面を発見、より一層楽しめた。陸軍大尉役の土屋さんと少佐役の野上さんのやり取りが、個人的にツボだった。

螺旋と蜘蛛
神奈川県演劇連盟
KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)
2017/04/13 (木) ~ 2017/04/16 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2017/04/15 (土) 14:00
15日午後、横浜市山下町のKAAT神奈川芸術劇場で上演された神奈川県演劇連盟プロデュース公演『螺旋と蜘蛛』を観に行った。これは、知人の役者・田中敦之が主演を演じ、同じく知人の役者・塚田しずくも出演していた関係からである。
プログラムによると、この舞台は芥川龍之介の「蜘蛛の糸」を根底にした話だという。
死後(なぜ死んだのかは明らかにされていない)に地獄へ落ちたカンダタクマは、過去の自分を強制的に振りかえらされる苦しみを味わう。父親の浮気で両親が別れたこと。その後、再婚(内縁か?)の夫が娘(タクマにとっては妹のアゲハ)を金を渡して抱いていたこと。自分が母親を殺したこと。妹を助けると言っておきながら助けられず、妹は新興宗教にはまっていく。その宗教団体の女性幹部・アラクネが妹の心のよりどころとなっていく。などなどを思い返し苦しむ。そして、最後に地獄に垂らされたロープにすがりつき天国に行こうとするタクマを、アラクネが神に「地獄に落としてください」と決断を促し、タクマは地獄に落ちていく。
螺旋状に組まれた舞台の高低をを利用してのシーン転換は、劇場の天井の高さを利用したなかなかの出来映え。
問題は、脚本だろう。過去の自分を振り返って苦しむタクマ…のはずなのだが、その苦しみの度合いが浅い印象を受けるのだ。タクマに次いで演技の高さを要求される妹アゲハも、どうもその生活上の苦しみが表面的。胸にズサっと刺さるような地獄に落ちて当然というような苦しみや痛みというものへの迫力が乏しい。
また、タクマを地獄に落としてと頼むのが新興宗教の幹部の1人アラクネなのだが、彼女がタクマに対してそうした決断をゆだねられるだけの存在だったのかも微妙。というのも、最後にアゲハの心のよりどころになったのはアラクネなのだが、彼女は新興宗教の集金活動の実態を知っていたという負い目も持っているはずだから。
という訳で、横浜というスタイリッシュな街で行われた地獄を扱ったスタイリッシュな舞台と言うのが総評的一言。
脚本はともかく、主演の田中、妹役の小林遙奈 母親役の芝崎知花子の親子の演技は、この舞台の核となるものであり、出演者の中では好演であった。
また、大道具と照明の質の高さが目立った。

人生の大事な部分はガムテで止まっている ≪現代編≫≪大正時代編≫
劇団6番シード
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2017/04/05 (水) ~ 2017/04/23 (日)公演終了
満足度★★★★★
「大正時代編」は「現代編」よりさらに笑えました。一見かっこいい土屋さんの軍人さんが・・・。いえ、まだ千秋楽までしばらくあるので見に行ってください。最前列でお尻を堪能してしまいました(残念ながら土屋さんのお尻ではないのですが)。
今回はチケットを取ってから行ったので最前列に座れました。椅子が小さいので少し不安でしたが、上演時間が短めだったので大丈夫でした。そのあたりもさらに笑えた一因かも。と言うのは現代編の時は最前列に座れず、背の低い私は前の人の隙間から右左と身体を動かすことになり、隣の方から「気が散るので動かないでください」と注意されてしまいました。そんなこと言われても・・・(涙)。あとでよく見たら、階段席は段差が違うところがあるので、次回からはそこらへんも気をつけて席を選びたいと思いますが、入場時はなかなか冷静に見極められないのでした(汗)。

KUDAN
TOKYOハンバーグ
座・高円寺1(東京都)
2017/04/12 (水) ~ 2017/04/16 (日)公演終了
満足度★★★★
中盤まで、忍耐でみた。終わってみれば絵画的な舞台であった。部分的ストーリーが最後に符合する展開も、風景の一部としてカンバスに収めて舞台上にガン!と置いたような、虚を突かれる終幕には衝撃を受けた。