最新の観てきた!クチコミ一覧

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新しい生活の提案

新しい生活の提案

壱劇屋

千種文化小劇場(愛知県)

2017/06/03 (土) ~ 2017/06/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

ある年齢層の人にはちょっと懐かしい「どうする?どうするの?俺 続きはWebで」のフレーズが流行った某カード会社CMをインスパイアというかそのまんまパクッたネタだけど、今回も、一番の武器といえるマイムを中心としたパフォーマンスと、作風の「世にも奇妙なエンターテーメント」を掛け合わせて独自の世界を作り上げられていた。
やはり見逃せない劇団。

お話は3面舞台向きではなかったが、文字通り体を震わせるライブのような重低音と高い天井からの閃光は、劇場、建てこみをあまり使わない舞台と相性がとてもよく壱劇屋のよさがより一層感じられた。

たとえば君がそれを愛と呼べば、僕はまたひとつ罪を犯す

たとえば君がそれを愛と呼べば、僕はまたひとつ罪を犯す

シベリア少女鉄道

赤坂RED/THEATER(東京都)

2017/05/24 (水) ~ 2017/06/04 (日)公演終了

満足度★★★★

初・シベリア少女鉄道。3年くらい気になっていたが漸く相見えた。怒涛の終幕、評判通りの「凝り方」に口元が緩んだ。夜道に出て歩きながら反芻・・する事はないが、笑ったツボが効いている。

ネタバレBOX

ドラマ世界を、ゲームというバーチャル世界に置き換えることは、自然であった。そう感じさせる劇世界であり演技態であった。という事だろう。
あるラブストーリーが一くさり演じられる。ところが、「あるべき結末」に至らないがために人物にバグが起き始める。各人が最初のクールでそれぞれ演じた特徴的な場面が、反復行動のキーとなる・・つまりその台詞・動作が出ると、それをきっかけに「次」の台詞・動作が発動する、そして反復行動が複雑化・過剰化し、連鎖していく、そういう仕掛けである。相互作用が複雑化して先が読めないため、予期せぬ場面が生まれて思わず笑ってしまう。また随所で細かくあれやこれやを茶化していて、それらがジャブのように効いて来るのが小気味良い。最も茶化されているのはラブストーリー(定番な)そのものだろうが、メロドラマな「演技」そのものを茶化し、それが体現していた恋愛、青春、情熱といったドラマの要素そのものをも茶化す。
いつしか修羅場は上段と下段に分かれ、下におりるとゾンビにやられてしまう(バイオハザード?)設定になっており「もう行くんじゃない!」と誰かが叫んでいたり、借用も的確で?自在。
はて、この狂騒状態は何のためか、理由は勿論あって、「あるべき結末」に到達する事が混乱解決の方法であるらしい。そして各自の反復行動の作用が積み重ねられた結果、予想だにしない手順で「あるべき結末」は劇的に訪れる。
あの手この手のバリエーションと緻密な構造は少なからず固定客をつかんでいる事だろう。独特の作り手は、小林賢太郎を超える‘好き者’とみた。
新しい生活の提案

新しい生活の提案

壱劇屋

千種文化小劇場(愛知県)

2017/06/03 (土) ~ 2017/06/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

大阪へ行けなかった分、愛知の公演はとても楽しみでした!
ビリビリと響く音響、きれいな照明に包まれた壱劇屋さんならではの奇妙な世界。
日常から少しずつずれていく生活引き込まれて夢中になりました。

ミズウミ

ミズウミ

日本のラジオ

ギャラリーしあん(東京都)

2017/06/14 (水) ~ 2017/06/18 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/06/14 (水) 15:00

価格1,500円

予期していたよりずっとクトゥルフ世界との距離が近く、リスペクトや二次創作というよりもむしろ外伝的な位置付けのジャパニーズ・クトゥルフ譚。
後半のある部分で「キターーーッ!!!」だった、というか、そういうつながりなのね、と頬が弛んだし、実際には陽が照ったりもしたが、脳内では厚い雲の下の景色が広がっていた。
十七戦地「花と魚」も世界観が近い気がして……ってか、あの出来事はこの隣町あたりで起きたような錯覚に囚われる。いっそ柳井さんもこのシリーズに参加してくださらないかしら?
なお、ホラーという感覚はさほどなく、基本はファンタジーで後半でホラー風味がちらほらというところか?(←晴れた午後に観たための印象かも)
キャラクター造形はそれぞれ際立っていたが、中でも大学院生と大学助教授が特に印象に残った。

ドグラ・マグラ

ドグラ・マグラ

演劇企画集団THE・ガジラ

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2017/06/04 (日) ~ 2017/06/12 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/06/11 (日)

座席1階1列

演劇企画集団THE・ガジラ『ドグラ・マグラ』SPACE 雑遊

凄かったなぁ。2時間越えと聞いて身構えていたのだけど全く気にならず。
圧倒的な迫力で、最初から最後まで作品の世界にどっぷりと浸ることが出来ました。

演出も素晴らしかった。
劇場の特徴を存分に活かした演出の数々をはじめ、音響、照明全てが素晴らしかった。
前説の「最前列は水や物が飛んでくることがあります」のアナウンスどおり、
最前列はド迫力でした。

ネタバレBOX

原作では『ドグラ・マグラ』という小説の入れ子構造のような構成になっていたはずだけど、
舞台版なので舞台と戯曲の入れ子構造という形にアレンジされていました。
黄金の猿

黄金の猿

ワイルドバンチ演劇団

d-倉庫(東京都)

2017/06/14 (水) ~ 2017/06/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

たった今観終わりました。初日初演、初めての劇団さんで初めての劇場でしたが、迫力ある演技と殺陣で楽しかったです!シアター全体が広々とした空間なのも全開の演出にプラスですね!駅からちょっと歩きますがこれなら満足です。時代物はあまり観劇チャンスがないのですが、今回はタイトルと真田一族のストーリーに惹かれて。シーンの所々に信念を問うやり取りが多く、このお芝居に込められた思いみたいなものが感じられましたね。あっという間の2時間でした。それにしても劇団名がアメリカの強盗団からいただいたとは!観客のハートも奪っちゃえ、ですね。

今日という一日を諦めないために

今日という一日を諦めないために

演劇ユニットCorneliusCockBlue(s)

下北沢小劇場楽園(東京都)

2017/06/12 (月) ~ 2017/06/18 (日)公演終了

鑑賞日2017/06/14 (水)

西田さん初の脚本との事でした。
私自身書いた事も無いので偉そうなことは言えませんがとても良いお話でした。
それでもどうにか笑わせようとする先生は凄いなぁと感心です。

仕事の前にシンナーを吸うな、

仕事の前にシンナーを吸うな、

シティボーイズ

よみうり大手町ホール(東京都)

2017/06/12 (月) ~ 2017/06/14 (水)公演終了

満足度★★★★★

■約60分■
シティボーイズライブの作・演出はやっぱり三木聡でなきゃあ!と再認識した60分。
シティボーイズのコントは中編1本のみとはいえ、堅牢な大局観のもとしっかり作り込まれていて、三木流のバカバカしい小ネタもぎっしり、しかもカッコよくて奥行きがある。
前田司郎作・演出の前作『燃えるゴミ』とは雲泥の差。グダグダダラダラして失笑を誘う作風の前田と違い、三木聡はしっかり笑いを取りにきて、しかも押しつけがましさがない。
3人とも70歳間近、加齢の波は演技にも及び動きはキレを欠いていたが、ツッコミの大竹まこと、ボケのきたろう、大ボケの斉木しげるによる連係プレーの滑稽味は往時と変わらず、気持ちよく笑えました。
これくらいの尺のライブを半期に一度くらいのペースで今後も打ってもらえたら、ファンとしてこの上なく有り難い。
『キング・オブ・コント』ではやりにくそうな、笑わせるだけに終わらないライスの新作コントも堪能しました。

ネタバレBOX

薬物中毒者が更生施設で次々襲ってくる誘惑と闘う、という設定は、わかりやすくて強固。だから笑いが生まれやすい。こういうストロングな枠組というものは、容易に思いつきそうでいて、じつは案外浮かびにくいのではないか?
作品の構成は少し複雑だったが、枠組が盤石かつ明快なので迷子にならずに済んだ。
時来組何回目かのアトリエ公演 多分9回目・・・。(仮題)

時来組何回目かのアトリエ公演 多分9回目・・・。(仮題)

神田時来組

ART SPOT LADO(東京都)

2017/06/10 (土) ~ 2017/06/18 (日)公演終了

満足度★★★★

時来組何回目かのアトリエ公演多分9回目・・・・。(仮題)という全くストーリの予測不能な演目にかえって惹かれて観に行きました。3つのオムニバス作品それぞれ見ごたえありでした。ただ2作目の「救みのBear」で観客からお題をもらい即興仕立てのシーンはいらなかったかと思います。ここのシーンはくだらなく見ている方はくたびれました。4人の新メンバーさん期待しています。いい役者さんになってください。演技とはいえ喫煙シーンはやめてほしい。最前列なので喉がつらかった。

あ、カッコンの竹

あ、カッコンの竹

コトリ会議

こまばアゴラ劇場(東京都)

2017/06/08 (木) ~ 2017/06/12 (月)公演終了

満足度★★★

良く分かりませんでした。

ネタバレBOX

地球に逃げてきて、山姥として竹藪に身を隠していた宇宙犯罪人を追う宇宙警察の話みたいな。

竹藪に紛れ込んだ人々などの話も絡みましたが、深くも浅くもなく良く分かりませんでした。と言うか、どうでもいい気がしました。
広域指定集団雀組 第二幕「餞~HANAMUKE~」

広域指定集団雀組 第二幕「餞~HANAMUKE~」

雀組ホエールズ

新宿眼科画廊(東京都)

2017/02/24 (金) ~ 2017/02/26 (日)公演終了

岡遼平が顔面黒塗りで出てきた。顔面黒塗りでコメディをするのは黒人差別だから良くないと国際的には思われているのはどうやら知らないようだ。

黒塗りはなぜダメ?日本人も知っておきたい「ミンストレル・ショー」の歴史
https://matome.naver.jp/odai/2142588365040232201

雀組は普段の劇では知的障害者問題を取り上げたりして差別は良くないということをテーマのひとつに取り上げているのに。

オネエ探偵と初恋喫茶

オネエ探偵と初恋喫茶

秘密結社Crymax

シアターブラッツ(東京都)

2017/06/07 (水) ~ 2017/06/11 (日)公演終了

満足度★★★★★

ストーリーが面白く、のめり込んで観る事ができた。シンプルな構成だけに、役者の力量の差が気になったが、謎が解かれた時に脳が快感を覚えてカバーされた。雰囲気も良く、オシャレな味わいだが、綺麗事だけに終始しないメッセージが散見されたのも惹き付けられたポイント。続きを見たくなるような、シリーズものの初回を思わせるオチ。次回公演にも期待したい。

愛死に

愛死に

FUKAIPRODUCE羽衣

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2017/06/08 (木) ~ 2017/06/18 (日)公演終了

満足度★★★★

全く合わない世界だが、FUKAIとしてはリキの入った作品。いや毎度力は入っているのだが、ご本人もしてやったり感は大なりではないか。

ネタバレBOX

性の解放は大麻の解放に似ている、と思った。セックス=薬物依存、の意味にあらず。「見える化」がもたらす効果。性を隠微な領域に「しない」効果。
もっとも、「愛」の名においてセックスは神聖化されるが、FUKAIにおける愛はセックス(性衝動)の後づけ的「愛」、スレスレ「愛」と呼び得た愛、辛うじて人類の種の保存本能として正当化される衝動のカテゴリーとして、身も蓋もなく感じられることがある。性を描く稀少種であるFUKAIだが、どうしても「愛」の美化を押し付けられ感あり、描かれる大半の場面であるセックス(口説き文句からの前戯も長し)でそれをカリカチュアした笑いで懐柔され感もあり。
終劇後改めて劇構造を振り返り、これが一応「劇」(ドラマ)であった事で恐らく何か納得に至っている。だがドラマとしてはさほどのこっちゃない。
むしろ、性的要素に掻き消されがちなパフォーマンス面、台詞と動きの音楽的リズム、舞踊としての技術に秀でたものがある。このレベルでなければとても舞台には上げられない、綱渡り芸を見たとも言えるかも知れない。
春のめざめ

春のめざめ

KAAT神奈川芸術劇場

KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

2017/05/05 (金) ~ 2017/05/23 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/05/07 (日)

初日観劇。
場内、舞台効果の仕掛けが施されているので、上演開始の5分くらい前には着席しているとお楽しみ感あり。
その際、イケメン役者が客席近くに来て、あまりの近さに平静を装うも、若干、口元が緩んでしまい間抜けな自分の顔と対面する羽目になったが。河内さんのええ声が間近に聞くことが出来て耳福。
全方向からの芝居もあり、劇場空間を目一杯使った芝居法だったが、高台セットからの激しいやり取りにいろんな意味でハラハラした。
思春期プラトニック全開、お勉強は出来て、世の出来事もすでに達観しているようなよい子でも保健教育って大事。岡村靖幸の「イケナイコトカイ〜」のフレーズを思い出したが、まぁまぁ若いって素晴らしいやね。
約130分。

すもももももも モモのうち

すもももももも モモのうち

流山児★事務所

座・高円寺2(東京都)

2017/05/03 (水) ~ 2017/05/06 (土)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2017/05/05 (金)

バブル期に子育て世代だった人達が、時は流れて現在over60で集うシニアの演劇集団。それも今年で20周年だとか。
公演時期的にあまり見る機会がないが、今年は M.エンデの「モモ」を基にした舞台とあって、中高年キャストによる2,5次元的な寓話的なオリジナルミュージカルというのか。マッピング映像かっこ良かった。
約110分。

キョーボーですよ!

キョーボーですよ!

劇団チャリT企画

新宿眼科画廊(東京都)

2017/06/09 (金) ~ 2017/06/13 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/06/10 (土) 15:00

「これぞチャリT企画♪」だし「それな!」だし、楽しめた。さりげない台詞で判明する状況設定も巧み。
ツイッターなどでよく語られている「こういう運用もできる(←されてはたまらん)」な事例を演じて見せ、客側としては笑いながらもコワさを感じるという。
が、それらはツイッター民としては「あー、それそれ」と周知のネタであっても、楢原主宰によれば一般的にはまだまだ浸透していない懸念とのこと。
これ、上演時間的にもコンパクトだし装置もほぼ不要だしあちこちで上演すべきではなかろうか?

ネタバレBOX

途中に出てくる台詞に「改定された憲法」という部分があり、それによって今よりほんのちょっと未来のハナシであることが明かされるのも巧み。
「電車は血で走る」「無休電車」(本日6/24 14時電車・19時無休電車 当日券ございます)

「電車は血で走る」「無休電車」(本日6/24 14時電車・19時無休電車 当日券ございます)

劇団鹿殺し

本多劇場(東京都)

2017/06/02 (金) ~ 2017/06/18 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/06/13 (火) 19:00

「電車は血で走る」も見ました。こちらの方が音楽と脳内トリップの要素が多く、私好みでした。電車つながりの2作品同時期上演、1+1が2以上だと思います。

ネタバレBOX

最後の神輿電車が迫力。
「電車は血で走る」「無休電車」(本日6/24 14時電車・19時無休電車 当日券ございます)

「電車は血で走る」「無休電車」(本日6/24 14時電車・19時無休電車 当日券ございます)

劇団鹿殺し

本多劇場(東京都)

2017/06/02 (金) ~ 2017/06/18 (日)公演終了

満足度★★★

「電車は血で走る」
このところすっかり東京ではかげをひそめた全力疾走、血と汗の小劇場である。
ご苦労さまで済ませては悪いような気がするが、やはり、こういうスタイルは新感線が完成させて360度劇場で君臨している現状を見れば、懐メロになってしまう。新感線のような役者の多彩さもないのが残念だ。いろいろ手は混んでいるのに単調に見えてしまうのも損をしている。

ネタバレBOX

葉月ちょび、執念だろうが、冷静に引いてみるのも必要だろう。赤い衣装でまとめた列車の役者たち、大阪の下町の設定、などよく出来ているのだが、効果を上げるにはもっと楽器がうまく、職人らしさが出なければ。俳優も個性をひきだしてやらないと離れていくだろう。劇団と言う組織が難しい時代になったのはわかるが、小劇場のレゾンデートルはそこで切磋琢磨できるところにある。自由劇場は劇団が同じような状況にあるときに時期に「上海バンスキング」を作り出した。
それは光のように 煌めきながら君へと咲いて

それは光のように 煌めきながら君へと咲いて

Y’s ExP.

キーノートシアター(東京都)

2017/06/09 (金) ~ 2017/06/12 (月)公演終了

満足度★★★

両作品観劇させて頂きました。
舞台セットが細部に渡ってこだわられていて、照明との相性も素晴らしく、素敵な空間が出来上がっていました。

ネタバレBOX

ここからは完全に好みの問題になるかと思いますが、この団体の次回作への期待を込めて正直な気持ちを書かせて頂きます。


両作品共に共通して『無駄に長いな』という印象を持ってしまった。勿論すべてのシーンと言う訳ではないが、余分な会話のやり取りが悪目立ちしすぎで大筋の物語がかき消されたような感覚に陥った。

『万華鏡』をテーマにしているという割に、万華鏡に対する知識、キャラクターたちの万華鏡への思い、何故、数あるキーアイテムの中で万華鏡である必要があったのか、という疑問がどちらの作品にも残ってしまう。

過去編の作品では、アンティークショップに若手の万華鏡作家の作品を置くところから主人公たちが万華鏡に触れていくシーンがあるものの、万華鏡からの影響力はそんなになく、相対性理論のほうに話が傾いてしまって、振り返ると『万華鏡』がついでのように感じたのだ。相対性理論の長台詞でのシーンもあそこまで細かく説明する必要性があったのか疑問に思う。醸一郎の告白への前振りだとしても、あまりに長すぎてせっかくの告白シーンで観ていて少し疲れてしまうような印象になってしまった。後半フィリーというキャラクターが出てきてからはテンポが格段に上がり、ストーリーの進行としても見やすくなった。友香とフィリーとの友情には目頭が熱くなるくらいだった。

その後急に5年もの月日が流れ、祖父の存在がなくなったが、海外旅行に行っただけなのか、もしくは亡くなってしまったのか、素朴な疑問を抱いた。前半での存在感があったからこそ、喪失感が凄かったので、その後をはちゃんと消化してほしいと思ってしまった。

現代編では、過去編の終わりから急に20年以上の歳月が過ぎていて、いつの間にか醸一郎も祖父も亡くなっている。ここに来るまでの間で一体どんな物語があったのかが単純に気になるところだ。

万華鏡専門店となった店を舞台に行われる婚活のためのワークショップで参加者たちが万華鏡に触れるが、ここでもやはり万華鏡からの影響力があまり印象にない。せっかくなら万華鏡作家の城之内とみゆきとの師弟のエピソードなどがしっかりと見たいところ。そして現代編でのゆりは、過去編の祖父と同じポジションにはなるんだろうが、あまり存在感がないように感じてしまった。万華鏡専門店にしたほどの万華鏡に対するゆり自身の気持ちをもっと掘り下げてほしかった。

メインが婚活ワークショップに参加していた女性になっていたが、どちらかといえばちょこちょこと出てきた鏡一郎と母親となったゆりとの関係性のほうをよりじっくり見たかった。

過去編で、母親になることなど今後への不安を漏らしていたゆりが醸一郎の言葉によって前向きな気持ちになる、という形で終わっていたので、現代編でもちゃんと家族の物語が見れるかと思ったが、あまりにも家族のエピソードが、ついで感過ぎた印象だった。鏡一郎は出てくるたびにイライラしている様子で、その意味も手紙を読むシーンだけでは正直遠回りすぎて解決されなかった。京一郎自身の今までの気持ちの流れがあまり伝わってなかったので、急に『万華鏡作家を目指す』という展開について行けなかった。

細かく上げるとまだ色々あるが、ただ良い言葉が並べられてるだけの状態で、『その言葉を言うのは、その店の人間だから』などとという必要性がないように感じてしまう。

ところどころのシーンだけを切り取れば、いいシーンも、心動かされるシーンもあったからこそ、そこにいきつくまでの前振りが膨大すぎたり全く関係ないところにこだわりがいったりしているのが、1番伝えたいはずの物語や思いをかき消してしまっていた気がした。

もしかしたら特典についていた小説などに、舞台では解消されなかった物語が書いてあるかもしれないのだが、やはり劇場まで足を運んで、観に行っている手前、舞台の中でしっかりと完結させてほしかった…

長々と書きましたが、あくまで個人的な感想です。無理に受け止めて頂くこともないですが、そう感じた人間もいた、というくらいに留めて頂ければ幸いです。

今後の団体の飛躍も心から願っております。故のこの感想をどうぞお許しください。頑張ってくださいませ。
非常の階段

非常の階段

アマヤドリ

シアター風姿花伝(東京都)

2017/06/08 (木) ~ 2017/06/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

2度目観劇。物語はしっかり頭に入っているので,今回は演技を中心に観た。素晴らしい。初演の吉祥寺シアターもいい劇場だが,自分的には風姿花伝くらいの箱の方が,身近にリアルに芝居にのめり込めるんで好きである。十分堪能でき満足!フリーパスなんで,もう1回くらいは観に行きたい。これは何度でも見るべき芝居だと思う。

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