最新の観てきた!クチコミ一覧

581-600件 / 189522件中
Cordemoria

Cordemoria

縁劇ユニット 流星レトリック

ザ・ポケット(東京都)

2025/11/05 (水) ~ 2025/11/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/11/06 (木) 14:00

脚本が面白かったです!

高知パルプ生コン事件

高知パルプ生コン事件

燐光群

「劇」小劇場(東京都)

2025/10/31 (金) ~ 2025/11/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

主演の永瀬美陽(みはる)さんが可愛かった。福永マリカさんに似てるような。ミニスカの登場シーンから惹き付けられる。

土台はアジプロ演劇(革命の思想を大衆に説く手段としての演劇)だが、驚くことに観客の為にSFをまぶしてある。近未来である2026年からタイムスリップしてしまった永瀬美陽さん。気が付くとそこは1970年(昭和45年)の高知県高知市旭町早朝。高知パルプ工業社で働く円城寺あやさんに保護される。円城寺あやさんは物分かりが良く観客に取って面倒臭い遣り取りをすっ飛ばしてくれるのが有難い。永瀬美陽さんは知っていた。来年、ここで何が起きるのかを。

1950年に操業を始めた高知パルプ工業社、旭川から江ノ口川へと一日あたり13500tもの亜硫酸系パルプ廃液を垂れ流し続けた。更に江ノ口川から浦戸湾へと流れ込む廃液は生態系を壊滅させる。魚は死に周辺住民は健康被害に苦しんだ。奇形魚、ドブの臭い、どす黒い水、ヘドロの層。浦戸湾で揚がった魚は買い手がつかなくなる。江ノ口川沿いの旅館は余りの悪臭で客は逃げ出し女中は辞めていった。

記憶喪失の謎の男、大西孝洋氏。夏八木勲と和田良覚を足したような風貌。佐渡旅館の女将、森尾舞さんが面倒を見てやることに。一体彼は何者なのか?

果たしてこれからここで何が起こるのか?
是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

公害闘争の歴史に今も語り継がれる「高知パルプ生コン事件」。
「浦戸湾を守る会」(=浦戸湾の埋め立て反対の会)の4人が事件を決行。
郷土の英雄・山崎圭次会長(猪熊恒和氏)。物語のキーマン。オートバイ・メーカーの起業から成功を重ね、工作機械であるフライス盤の開発・製造トップメーカーとなる山崎技研設立へと。
坂本九郎(川中健次郎氏)事務局長。元公立小学校教員。人望厚く、この事件がなければ市長選にも担がれていた程。
吉村弘(武山尚史氏)、和太鼓も担当。
岡田義勝(土屋良太氏)、漁師。
1971年(昭和46年)6月9日午前4時半頃、旭町電車通りにあった高知パルプ工業社の排水溝マンホール二つをパールでこじ開け、麻袋の土嚢24袋と生コンクリート6.9トンを詰め込んで封鎖。たちまちどくどくと道路に溢れ出した茶色い工場廃液が濁流となり刺激臭を放つ。白いあぶくをブクブクと立てたパルプ廃液の禍々しさ。こんなものを川に海に流していたのか⁉

TRASHMASTERSみたいなガチガチの台詞の羅列。状況説明を全部台詞で役者に喋らせるのは苛酷だ。西部邁っぽい川中健次郎氏の台詞がかなり危うかった。取材した全てを書き込もうとした脚本は歪で物語としては美しくない。

円城寺あやさん、高知パルプ工業社の一番の古株。戦時中、風船爆弾を製造させられていた。1954年(昭和29年)、アメリカによるビキニ環礁での水爆実験によりマグロ漁船に乗っていた婚約者が被爆。

会長の妻役の樋尾麻衣子さんが銅鑼を鳴らす。

今作のもう一つの告発が発癌性やホルモン撹乱、免疫低下の影響を持つ有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)について。その代表的な種類がPFOS(ピーフォス)とPFOA(ピーフォア)。2023年、人口約1万人の岡山県吉備中央町の水道水が国内最悪レベルに汚染されていることが判明。汚染源は河平ダムの上流に置かれた山中の資材置場、使用済み活性炭の入ったフレコンバック580袋。血液検査を受けた住民達に基準値の7倍以上の汚染が確認された。
公害は過去の話ではない。人類にとって永遠に続く命題。それを隠蔽強圧し黙らせようとする権力機構とそこで暮らす住民との生存を賭けた闘争。

「テロではない、義憤に駆られた正当な民衆の実力行使である」と劇中で幾度も念押ししているが、無論これもテロの一つであろう。テロとは追い詰められた弱者の最後の選択肢だからだ。確かにテロだが誰かがやらなければならなかった、と言い切るべき。妙な正当化の方が気持ち悪い。メンバーが三島由紀夫の決起と自決に煽られていることが面白い。人間たった独り、一度きりの人生、全てを賭けてでもやらねばならぬことが自分にもある筈だ。
事件前夜の山崎圭次会長のTV番組での発言。「我々自身ももっともっと傷付かねば、公害運動に今後新しい展開がないのではないか。」

※居眠り客がかなり多かった。最初から寝に来ているような人も。謎。
高知パルプ生コン事件

高知パルプ生コン事件

燐光群

「劇」小劇場(東京都)

2025/10/31 (金) ~ 2025/11/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

 華4つ☆(追記後送)

ネタバレBOX

 開演前には往時の様子が、ラジオニュース放送時のような形で流されている。板上の美術は至ってシンプル。上演はどちらかというと朗読劇的に感じられた。恐らく、作・演出の坂手氏自身がより演劇的手法で表現するより、実際に企業や自治体、日本国家(政治屋及び体制側官僚)、法と対峙しつつ最後迄戦い抜き、実質的勝訴(実際には罰金刑)を勝ち取った人々の態度、主張、理知的戦い方、優れた想像力、実践時の合理性と正確さ、彼らの主張と矛盾しない環境や人間の本質的権利等々に対する見事さ、連携した人々が最後迄共闘し得た内実等を能う限り忠実に再現したかったからだと解釈した。だが、このケースに見られる”成功例”は僥倖と言ってよかろう。此処迄は至らなかったものの、一所懸命に戦い諸々の事情(原爆症による死・闘病等)によって完遂は出来なかった人々の事情、社会的、職業的差からくる周りの人々の反応の差迄を描き、このような成功例が如何に例外的であり最後迄戦い抜いた人々と彼らに実質的エールを送っていた事件被害者や公害を引き起こした企業の第1組合を中心とするメンバーら実際の事情を識り内心臍を嚙んでいた人々の姿をも事実に近い形で知らせ、現実に成功する為に何が必要であり、どのように戦うのが実際に有効かを示す為にこのような表現形態を選んでいるように思われる。
 実際板上に表現されている舞台美術はオープニング時、移動式テーブルを横一列に並べただけの質素なものである。これが場面に応じて移動、組み換えられ時には高台、津波時の避難塔となったりもする。演劇的な設定はタイムスリップものになっている点で、タイムスリッパー2名は2026年からスリップして来たピーファス被害の父と娘の2名。タイムスリップ着時点は同時期、地点はほぼ同じ場所であったもののやや離れた場所であった為、タイムスリップの影響で記憶喪失を起し中々記憶を取り戻すことのできなかった、父・娘(こちらは比較的早く回復)の邂逅は何か月遅れ、父・娘各々が地場で公害に反対するリーダーグループの世話になったり、公害企業で働くことになったりして公害を出す側と周辺住民、反公害の主張とムーブメントの消長等が対比されつつ展開してゆく。
あの日は江古田で君と

あの日は江古田で君と

劇団二畳

FOYER ekoda(ホワイエ江古田)(東京都)

2025/10/30 (木) ~ 2025/11/05 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

A+Bの回を観劇しました。
劇場が古民家で、それ故に舞台で演じられる何気ない日常にリアル感がありました。
役者さん達の自然な演技も良く、ちょっとクスっと笑えるようなストーリーも良かったです。
どちらも面白かったけど、個人的にはBが好きです。
素敵な空間で、楽しい時間を過ごしました。面白かったです!

Cordemoria

Cordemoria

縁劇ユニット 流星レトリック

ザ・ポケット(東京都)

2025/11/05 (水) ~ 2025/11/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

三本の短編。ワンドリンクを頼むと何冊でも読み放題のレトロな本屋で繰り広げられる人間模様。それぞれの話に発見や味わいがあり面白かったです。 役者さん達は皆、感情豊かな表現で、涙腺が緩むこともありました。 役者数も多く、それぞれに見応えがありました。個人的には1話目が一番よかったです。

あの日は江古田で君と

あの日は江古田で君と

劇団二畳

FOYER ekoda(ホワイエ江古田)(東京都)

2025/10/30 (木) ~ 2025/11/05 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

4つとも鑑賞
四方田さんの世界好きだな
今年も古民家(そんなに古くないけどw)の江古田ホワイエで4作品鑑賞
狭いところだからキャストの表情も良く見て取れる
Cのみ観たことがあったが、今回は小百合ちゃんの演出
Aは良くこれだけの題材で話を作るなぁと感心
確かに千羽鶴の位置づけって微妙だよね
オチもあって面白かった
3人とも表情が良かった
Cはもう面白いことこの上なしを知っていたので、ちえ象さんの架空の犬を連れて歩く様子などは楽しみが半減してしまったが、小百合ちゃんの粘っこい(?)演出もあって、特に桜那役の望月美有希の不思議感が良かった
簡単な夕食を摂っての後半
Bは各人の個性が際立つ
皆好演だったが、「現代っ子」ぶりを遺憾なく発揮していたのむ子役のみゆきとおどおどした侑役の大淵健也(結構地ですと言っていたが笑)が印象に残った
Dは結構ついていくのが大変だった
食事前に台本買ったのだから読んでおけばよかったかもしれないが、擦れではつまらないと思ってしまっていたからな
ベテランふたりの熱演による四重構造の二人芝居
舞台女優と元舞台女優、それを演じる二人、さらにそれを演じる・・・
どこまでが演技でどこまでが実際の自分たちの話?と困惑していたら、終わってふたりが「台本に全部書いてあるんですよ」
帰って読んだら本当に書かれていた

擬古典落語の夕べ11

擬古典落語の夕べ11

みさち堂

座・高円寺2(東京都)

2025/10/27 (月) ~ 2025/10/27 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

CoRich舞台芸術!の公演情報で見かけ興味をひかれて観劇(?)。
擬古典落語とは「古典落語の世界観を借りた新作落語」との由でカール・ブッセの「山のあなた」(授業中)やニコンのカメラ(空海の棺)などが出てくるいわゆる「新作落語」とは趣を異にし予備知識なしに聴いたら古典落語と信じて疑わない出来栄え。
そうして披露された五席(前座噺は演者の言によると古典とのこと)は滑稽噺に人情噺(ってか美談系?)も加えて「なるほど古典だわ」と頷くことしきり。
十数年(or more)ぶりとなる生の落語、楽しかった♪

町営プール

町営プール

イチニノ

上土劇場(旧ピカデリーホール)(長野県)

2025/10/11 (土) ~ 2025/10/12 (日)公演終了

実演鑑賞

六年ぶりの松本だという茨城からの劇団、イチニノ。元々は枝分かれする物語を観客に選ばせるマルチエンディングという体裁の上演のようですが、三つの選択肢の全てを順に上演して60分にするという特別バージョンだそう。上土劇場。

https://kawahira.cocolog-nifty.com/fringe/2025/11/post-5f6fbe.html

結婚の報告

結婚の報告

中野劇団

上土劇場(旧ピカデリーホール)(長野県)

2025/10/11 (土) ~ 2025/10/12 (日)公演終了

実演鑑賞

京都からの中野劇団。元は短編で2025年には映画化もされた人気作に映画版の設定を加えた55分。上土劇場。ワタシは初見です。

https://kawahira.cocolog-nifty.com/fringe/2025/11/post-7d7c03.html

高知パルプ生コン事件

高知パルプ生コン事件

燐光群

「劇」小劇場(東京都)

2025/10/31 (金) ~ 2025/11/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

「劇」小劇場でお馴染みの燐光群。この劇場で観るのは初めて! 舞台と一体化し、その世界に参加しているような気持ちになる。「公害」という問題と無縁でいられる人はこの世界にはいない。芝居中、登場人物の抱える痛みに心揺り動かされながら、自分だったらどうするだろう?と何度も考えた。組合でも行動でも、誰かが誘ってくれたらやるかなあ…、でも自分からは動けないだろうなあ…、とか。それぞれの生き様に胸を打たれ、泣きそうになった。みなさんすごくかっこよかった! 胸アツの舞台です。

我ら宇宙の塵

我ら宇宙の塵

EPOCH MAN〈エポックマン〉

新宿シアタートップス(東京都)

2025/10/19 (日) ~ 2025/11/03 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

良かったです。
内容を全然把握しないまま観に行ってしまったので、最初とまどってしまいましたが・・・

人生の中のひとときの瞬間

人生の中のひとときの瞬間

ぱぷりか

ザ・スズナリ(東京都)

2025/11/02 (日) ~ 2025/11/09 (日)公演終了

実演鑑賞

約3年ぶりとなる、ぱぷりかの新作公演。スズナリで観ることも新鮮で、新しい環境に散っていく劇団たちの動向に注目していきたいし、何よりエールを送りたいです。作・演出の福名さんが出産を経へ書き下ろした新作で、物語の中心にも「妊娠・出産」があります。演劇(小劇場)業界で活躍する人々を描いており、作り手の心情が色濃く反映された一作と想像できます。一方で、客観的・多角的な視座も多く取り入れられており、そのバランス感覚が印象的でした。個人的には「四分割されたチャート」のようなイメージで観ていました。

ネタバレBOX

登場人物は4組の、パートナーや家族(そのうち一人はシングルマザーと息子で、息子役は直接的には登場しない)。それぞれが「結婚・妊娠・出産」にそれぞれの心情を抱いており、それらがゆっくりと吐露されていく。ある人物は、自分の演劇活動に主眼を置いており、自身の妊娠に軽い戸惑いを覚えている。ある人物は妊娠を望んでいる。ある人物は結婚も妊娠も望んでいない。等々。そこにそれぞれのパートナーの存在(&意向)が加わり、物語がより立体的に立ち上がっていく。作り手の心情を込めつつ、それぞれの視座も肯定するような、優しく、俯瞰的な物語に好感を覚えました。
オオオ♪オォシゴト!

オオオ♪オォシゴト!

演劇ユニットタイダン

インディペンデントシアターOji(東京都)

2025/10/31 (金) ~ 2025/11/03 (月)公演終了

実演鑑賞

劇中に生演奏を取り入れて、独自の音楽劇を上演する「タイダン」の新作公演。チラシ画像から連想されるような、賑やかで楽しい雰囲気が特徴的です。モチーフが「雑誌の編集部」であり、作・演出家のリアルな労働体験が色濃く反映された一作と言えるでしょう。

ネタバレBOX

「雑誌編集部の繁忙期がとにかく大変である」という前提で物語が進行していくのですが、その前提がどの程度客席と共有されているか?が気になりました。私は雑誌の編集者なので、予備知識なく理解・共感できるのですが、それが客席全体に及んでいるか?は疑問が残ります。雑誌編集部のバタバタした雰囲気と、この団体の持つ賑やかさは親和性が高いため、その意味で良いモチーフだと思うからこそ、もう少し丁寧に説明・解説があっても良いと感じました。奇想天外な物語展開や独自のこだわりは健在で、小さな小道具や設定などもしっかり作り込んでいる点は、この団体らしい魅力のひとつといえるでしょう。
不愉快犯~別府三億円保険金殺人事件~

不愉快犯~別府三億円保険金殺人事件~

ハルベリーオフィス

小劇場B1(東京都)

2025/10/22 (水) ~ 2025/10/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/10/26 (日) 13:00

1974年に起きた別府3億円保険金殺人事件をモデルにしたフィクション。大半は法廷場面で、状況証拠だけの検察側と証人の証言の信憑性を揺るがそうとする弁護側の攻防がスリリング。
被告人と検察側・弁護側各2名は固定だが証人役は廷吏役がその都度演じるという「いかにも舞台演劇」な手法も面白く、さらに被告人がそれ以前も含めて罪を重ねることで「権力にたてつく」理由が戦時中に特攻隊員として国のために死んでゆく同僚を見てきたからということに考えさせられる。
充実した110分に満足。
そうそう、時折入る緊張を緩和させる笑える部分の配分も巧かったな。

あの日は江古田で君と

あの日は江古田で君と

劇団二畳

FOYER ekoda(ホワイエ江古田)(東京都)

2025/10/30 (木) ~ 2025/11/05 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い。A「千羽鶴」と D「わたしの人生」を観劇。
コンパクトだが、実に分かり易く 思わず頷いてしまう。どちらも基本 コメディで会場内は笑いが絶えない。場内は演劇という非日常空間、しかし 戸一枚隔てた外は 車の騒音が聞こえる日常空間、その不思議な感覚が心地よい。

「千羽鶴」は、ゴミ集積場から千羽鶴を拾ってきたことで起きる小騒動。袋に入っているのを わざわざ取り出して持ち帰る。しかし、いとこ に咎められ元の場所へ戻そうとするが、その時 近所の人に見られ、自分が捨てたと思われるのが心外。なぜ拾ってはいけないのかといった問答が始まる。そこから話は意味深な世界へ。
「わたしの人生」は、市民劇場の楽屋で かつての演劇仲間と繰り広げる激論。演劇愛に満ちているが、暮らしは楽にならない。生き甲斐か食い扶持か、役者と乞食は三日やったら辞められない といった言葉まで飛び出す。時代を遡れば役者のことを<河原乞食>だと。しかし、劇中劇にさらに捻りを加え第四の壁を超えたような物語に驚かされる。

両作品とも畳二畳で十分演じることが出来るが、その内容は実に含蓄あるもので普遍的な(広い)世界を観せてくれる。「千羽鶴」は20代女優の三人芝居で、軽妙洒脱といった印象。「わたしの人生」は40代女優の二人芝居で、言い争いから普段の姿へ。年齢もキャリアも違う女優陣による濃密な会話劇、堪能した。
(上演時間1時間15分) ㊟ネタバレ

ネタバレBOX

A「千羽鶴」
舞台美術はミニテーブル2つを並べ、カラフルな椅子が3つあるだけ。
東京郊外、笹目菜々子、藍子の姉妹とそのいとこ 涌井則子が住む、古い一軒家。菜々子がゴミの集積場に捨ててあった千羽鶴を拾ってきた。千羽鶴のイメージは願い事や平和への祈りを思う。それを捨てるとはどういう事情か。則子は戻してこいと言う。例え話として、捨ててあった おはぎを拾ってきて食べるか?さすがに菜々子もそれはしない。そんな問答中に 藍子(中学校教師)が帰宅。彼女は輪廻転生を信じており、急に宗教らしき話へ。捨てる前に藍子が”鶴”の折り方を知りたいと…。一羽を広げてみると中には「死」「苦」などの字が書かれていた。薄気味悪くなりゴミ集積場へ戻しに行った菜々子は、そこで偶然 千羽鶴を捨てた高校生(野球部)に会った。捨てた事情を聞いて、家に帰ったが忘れてしまった。慌てて藍子と則子がゴミ集積場へ。会場外の千川通りを走る2人が場内から観える。そこに現実と虚構が綯交ぜになる可笑しさ。

D「わたしの人生」
舞台美術は ミニテーブルと椅子が2組、それを少し離して 斜向かいに置く。
昭和の中後期。舞台女優と女優を引退し結婚したその友人。「三人姉妹」の舞台が終演し 2人は楽屋で面会する。市民ホールでの公演にオーディションを経て舞台に立った女優。友人は舞台があまり面白くなかった様子でそれを隠すそぶりもない。舞台を生き甲斐に今でも女優を続ける役者と、早くに安定した生活を求めて結婚し、今では保険外交員をしている元役者。その2人の生き様をめぐって言い争う…という芝居の稽古中という設定。いわゆる劇中劇だが、さらに2人は因縁めいた出会いがあったとする回想シーンへ。そして突然、至近距離にいる観客に向かって素のように喋り出す。まさに第四の壁を突破してきたのだが、これも台本通りといった台詞も飛び出し どこまで芝居なのか二転三転し…。ウーン これは数回観るか台本を買わなければ、この場面の真の内容は判らない。劇中劇の稽古中は 緊張感が走る迫真の演技だが、その後は和気藹々といった雰囲気へ。

ほとんど舞台美術もなければ、照明や音響/音楽といった舞台技術もない。まさに演技力で観(魅)せる公演。次回公演も楽しみにしております。
人のいぬ山

人のいぬ山

発条ロールシアター

中野スタジオあくとれ(東京都)

2025/10/31 (金) ~ 2025/11/03 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い、孤独と共生を描いた人間ドラマ。
物語は、或る山での一夜の出来事を描いているが、台詞にある約40年前の想いと現代がリンクしてくる。1980年代後半にクローズアップした社会問題と今 就職を考え始めた学生の意識を巧みに絡めた珠玉作。
少しネタバレするが、タイトル「人はいぬ山」は二重の意味での洒落。そしてカフカの「変身」を連想させるような怖さ。
(上演時間1時間35分 休憩なし)

ネタバレBOX

舞台美術、冒頭は暗幕で囲まれた素舞台。それが山の天気の急変で雷雨になり、中年男2人組と女子大サークルの一行が山小屋へ避難。そこには管理人の男が住んでおり、奥の暗幕を開けると自転車や電熱器ヒーターなどがある。

物語は、偶然一緒になった男女の自己紹介を通して 人物像を立ち上げていく。中年男のうち 劔はしっかりした登山装備だが、北は軽装で山行歴が違うよう。学生グループはミステリー研究会だが特別な活動をしているわけではない。そして山なのに白い着物を着た若い女性 陣馬が…。

山小屋には管理人とケンという着ぐるみの男、そして老婆(自称 マタギ)。ケンは擬人化しているのではなく、れっきとした人間だが その人格を放棄して犬になっている。若い頃は、街で働く優秀な社会人。いずれ大きな人物になろうと頑張っていた。しかしバブル期を背景に長時間労働で精神を病み、或る日 起きたら犬になっていた。まさに 精神構造はカフカの「変身」ー自分が巨大な虫になっていたと同じ。現実からの逃避、それがいつの間にか破滅意識、忘我、自己逃避へ。その時の様子を懐古調(黄昏色)の照明の中、管理人とケンが回想する。実に印象的なシーンだ。

一方、女子大生たちは 就職活動へ。しかし人見知りで人間関係が築けない双葉、好奇心旺盛な高見、双葉が好きな伊吹。いつまでも学生気分ーモラトリアムでいたいという現実逃避。仕事が嫌い、ずっと引き籠もっていたい、あたり前のことが出来ない といった現代を生きる我々の悩みを代弁するかのよう。犬の姿のケン、そこにいる誰もが不審に思わず詮索もしない。それは優しさだけではなく、いつ自分がそうなるかも といった思いがあるから。

公演は、不気味さと楽しさが絶妙に混じった雰囲気、現代の恋愛や結婚観を挿入し あくまで現代を意識させる。表層的には、歌って飲んでスナック菓子を食べ、この世は捨てたものではないと。しかし物語の芯はけっして楽観的なものではない。昭和と令和は地続き、山小屋の男は山に留まり、ケンは知識と仕事を求め街へ。その生き様は人それぞれ、解決策は描かれていない。不思議な山の一夜の物語。
次回公演も楽しみにしております。
劇場版☆歌え!踊れ!育て!ははごころの庭

劇場版☆歌え!踊れ!育て!ははごころの庭

うたうははごころ

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2025/10/25 (土) ~ 2025/10/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/10/26 (日) 11:00

初めてのうたうははごころ、「ママさんコーラス演劇」と謳う演劇。子育て真っ最中の母が奏でる祝祭の演劇。
うたうははごころが劇場で上演するのは初めてとのことで、想像していた様にお子さん付きの母たちの歌と一緒の上演がとても良かった!4、5歳児の皆んなが一緒で。通路で 3歳児ぐらいの幼児が歌に合わせてクルクルくるくる回っていたのが可愛らしかった。

そう言えば、出演者のお子さんとのことだった二人のお子さんの、出捌けのタイミングを完璧に把握していて、振り付けも様になっていて、もう立派な出演者だった!

子育てしていたあの頃をあれこれ思い出しながら拝見した。

under take

under take

関田育子

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2025/10/31 (金) ~ 2025/11/03 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2025/10/31 (金) 19:00

岡田利規さんとのアフタートークを含んで、今日の観劇体験は貴重だった。終演後、岡田さんに少しその辺りを伝えさせてもらえた。アフタートークでの説明が今日観ながら感じていたことと重なっていた。最初に拝見したイズモギャラリーでのパフォーマンスと重なる
部分と重ならない部分、物語は、細切れになるパフォーマンス/所作の部分で希釈され、分断され受け取り切れない/切らさない、劇場の大きさ故に、最前列に座ったけれど、距離が在って、なので追い続けづらい。個々のパフォーマンス/所作は面白く受け取れた。

劇場の構造/機構を見せるために舞台のパネルを外し奈落を見せる。劇場に入ると舞台後部の扉が開け放たれている。それぞれの部所でパフォーマンス/所作が行われ、部所達を横断してパフォーマンス/所作が行われる。

ただ、物語性は過去に拝見した上演作品より希釈されていた。東京芸術劇場 シアターイーストという場に貼り付けた物語という位置付けとして受け取った。

パフォーマンスとしては、これまでの劇場での上演の方が震わされ易かったと思った。

暮らしとペニス/音楽とヴァギナ

暮らしとペニス/音楽とヴァギナ

食む派

スタジオ空洞(東京都)

2025/10/23 (木) ~ 2025/10/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/10/24 (金) 14:00

4回目の食む派。これまで2作は登場人物が二人の作品で、3作品にはパへ(パフェ)/ウインナ/冷やし中華が登場した。が、今回はペニスとヴァギナが!で、キャスティングは個人的には超好みの皆様だった。で、今回も登場人物は二人。夏アンナさんの目の表情が凄く良くて、演技も含め良い。良いキャスティング! もう藤家矢麻刀さんのことはあれこれ話せるぐらい存じ上げているので、良いことは判っていて。

題名やフライヤーから判る様に性器そのものが使われていて
[以下ネタばれあり]
前半が想像でペニスを持つ女性(張形を装着)が空から落ちて来た金玉の持ち主を探し、後半は金玉を落とした持ち主が歌を歌い恋を渡り歩く。そこは彼にヴァギナを装着させることは無く納めている。ある意味存在と孤立の物語であったが、で、最後にこれまでの作品と同じ様に二人の心が通い合う。ことも描かれていて、そこにはほっこりとする心も持てた。でも金玉を置き去りにしていてたのは....

『ペリクリーズ』

『ペリクリーズ』

メグロコミュニティシアター

ウッディシアター中目黒(東京都)

2025/11/01 (土) ~ 2025/11/03 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

作品内容は説明通りで
狂言回しがストーリーの進行説明をしてくれ
合間合間でも説明があり
作品世界に没入しやすかった

シェイクスピアのセリフを頑張ってたなー
とは思えたが
出演者の各々の 技量に差があり
作品 没入に今一つな感じがあった
基本素舞台で小道具となる 衣装も
その時代らしい感じにはしているのだが
なんとなくの統一感であと一歩
という風なのが残念な雰囲気であった
まぁ娼館の女将さんのアニマルプリントは
インパクトもあり楽しめた♫

シェイクスピア で
こんな王道 ストーリーがあるとは知らず
発見があったという体では楽しめた♪

ただー
せっかく 狂言回しを出していたのに
最後の〆で
なんかそれらしいセリフを言わせて
キュっと閉めた方が良かったなぁと
家族が無事に再開しました で
スーッと退場して幕では
何ともな尻切れトンボ感を醸していましたわ

このページのQRコードです。

拡大