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ジキル&ハイド

ジキル&ハイド

東宝/ホリプロ

東京国際フォーラム ホールC(東京都)

2018/03/03 (土) ~ 2018/03/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

原作はスティーブンソンの1886年の小説「ジキル博士とハイド氏(の奇妙な事件)」で、これをもとにした1990年のブロードウェイミュージカルが「ジキル&ハイド」である。登場人物を含め内容がかなり異なっている。日本版は鹿賀丈史さん主演で2001,2003,2005,2007年に上演され、2012,2016そして今回2018年は石丸幹二さん主演となっている。

石丸さんはチラシ束を受け取ると必ず主演のものが入っていたり、TVでもミュージック・フェアなどミュージカル関連の番組では必ず引っ張り出されるミスター・ミュージカルである。半沢直樹での悪役支店長が2013年のことだったとは信じられないくらいだ。52歳のこの舞台も絶好調である。私的には最初にハイドになって登場するところが特に何があるというわけでもないのにツボにはまった。

笹本玲奈さんは2012,2016年には献身的で貞淑な婚約者エマ役を演じていたという。しかし今回は妖艶なルーシー役である。これが見事にフィットして、歌も踊りも演技もそして容姿も素晴らしく、10年も前から続けているようだ。

宮澤エマさんは名前も同じなエマ役で新規出演である。前回観た「ドッグファイト」では悪くはないがどうももうひとつという印象だったのだが、今回は実力、オーラ全開で笹本さんとも互角に渡り合っている。勝手に想像するに、宮澤さんはまだまだ発展途上で前回のように主役となると委縮し、今回のようにスーパースター達に囲まれるとめらめらと燃え上がってレベルアップをするという漫画の主人公のような方なのではないだろうか。

田代万里生さんはジキルの友人の弁護士アターソン役で新規出演である。歌声はいつものように素晴らしい。しっかり芯が通りながらも若さ、みずみずしさをたっぷりとたたえている。今回は重要な役柄で演技でも、というか演技の方でより強く、全体を引き締めている。

全体として、どこにも文句のつけようのない出来であって、ぜひ来年の公演では1階中央10列目以内で観ようと心に誓った。

ものかくものども

ものかくものども

夢幻舞台

アートスタジオ(明治大学猿楽町第2校舎1F) (東京都)

2018/03/09 (金) ~ 2018/03/11 (日)公演終了

満足度★★★

お芝居の内容はとてもよく考えられていてよかったです。
ひとつ山だけでも書類の山にしてほしかったです。
主役の小説家の演技はさすがですね。周りを固める役者さんの演技が、、、、。どうしても主役と比較していまします。

eyes plus「鳥公園のアタマの中」展

eyes plus「鳥公園のアタマの中」展

鳥公園

東京芸術劇場アトリエイースト(東京都)

2018/02/27 (火) ~ 2018/03/04 (日)公演終了

満足度★★★

超短編『蒸発』2バージョン。鳥公園の観劇は過去3回程度か。三鷹、STスポット、アゴラ・・。最近のは逃している。「蒸発」は以前買った戯曲集に収録され、短いのでざっと読んだのだろう、何か思い出す部分があった。

今企画は各出し物1度切りの陳列展、のみならず、「作る」過程を見せるのだという。・・例えば「蒸発」の場合、なんと当日の朝に初めて顔合せて製作の作業をする。
色々と矛盾は感じる。上のような仕業は20分程度の演目だからやれるのであって、他の60分以上の作品でも同様なのか? 過程を見せる事じたいは良いとして、その意味は何だろう・・。というより面白さは? work in progressは「面白い」からお金を取って見せるのだが、どんな面白さを放つかは様々だろう。演劇は時間をかけただけ、面白さ、深さが増す、という事で言えば当日の朝集まって決めたものを「出し物」にするのは安上がりだが内容もその程度のものだろう、と思う。少なくともこの日の出し物は、そうだったと私は思う(言わば、ハズレ)。ただし私はトークまで見られなかったので、(出したものの後付け解説にとどまらない)面白い内容があったとすれば、大事な所を見逃したことになるが。
振付師・ダンサーの手塚夏子バージョンが、朝から行なった作業は、身体パフォーマンスではなく、戯曲の改稿。そしてそれは中途で終わってしまったのだが、改稿された部分と、残りの原文を「読む」というパフォーマンスになった。だが朗読ではなく、単に読む、淡々と文章を観客に紹介するにとどまる。しかも改稿の中身は、ト書きに当る部分がほとんどで、つまり人物がどのように佇み、動くかという、振付の言語解説のようなものだ。それをもって身体動作に変換する、という事を観客は脳内で行なうことで初めて、これはパフォーマンスとして成立する訳なのだが、読みがあまりに淡々と、それも小さな声量でなされるため、像が実を結ばない。その後西尾演出バージョン(2人登場)をやり、再度手塚バージョンをやって「出し物」部門は終わったが、2度とも同じ深さで私は眠ってしまった(残念)。「淡々と【改稿した戯曲】を読む」のではなく、どんな舞台上の風景を手塚氏は思い描いたのかを「客に想像させる」(少なくともその意図だけは伝える)パフォーマンス、であるべきだった。(もっとも手塚氏は喋りのプロではなく、読む出し物に決めた時点で限界抱えてるわけなのだけれど。)
一方の西尾演出バージョンは、二人で台本を持って読む。身体性も意識されていると感じたが、「意識してるヨ」という、まァ稽古の取っ掛かり程度にみえた。このバージョンは目的を「完成」に据えた上演の方向が見えた。しかし・・プロセスを見せるという「目的」が与えられた二人は、これをどういうモードで行なったのだろう。何を求められているのか、は明確だったのか。結局解説を聞いてみなければ分からない、「見せる」部分では自立できない出し物だったと言う事だ。
ただしこの作品じたいが難物なので、どうやろうが何だかよく分からないもの、にはなってしまったろう。
そう考えると、プロセスならば稽古風景を見せのが一つの正解ではないか。実際本番を目指した公演ではない以上、それも矛盾を抱える事になるのだろうが、「想定」して進める事がやれない演劇人ではないだろう。そこで上演にまつわるあれこれを役者とやり取りすれば、それはそれでかなりネタばらしを強いられる事になるだろうが、価値(値段)は高まるだろう。
その場合であっても、やはり時間を積んだだけ面白い議論に繋がるだろう事は確かに思う。

ネタバレBOX

色々と考えさせられたが、結局終わった後で最も頭を占めたのは「如何に安く上がり、入場料収入でどの程度黒を出したか」だった。(大変失礼な見方だがそれが頭にこびりついたという事実)。疑念を呼び込むのは私の下衆な根性か、それとも、、
物の所有を学ぶ庭

物の所有を学ぶ庭

The end of company ジエン社

北千住BUoY(東京都)

2018/02/28 (水) ~ 2018/03/11 (日)公演終了

満足度★★★★

「目にみえるもの」と「目にみえないもの」、「教え」と「学び」、「自己」と「他者」の境界、
「記憶」などについて思いを巡らせた。

ネタバレBOX

朽ち果てた母屋、日当りのよい庭、庭の背後に森。
空間をまるごと使った舞台美術は、静謐で、無言の迫力があった。

登場人物のなかには、
長時間労働やパワハラなどが原因で仕事を辞めてしまったり、仕事への意欲を失ってしまったり、
就職する道を選ばなかったりと、そのことを表立っては言わないものの、
社会に希望を持つ事が出来ず、生きることをあきらめそうになっているような人々もいた。

「森」は、社会との接点が弱くなり、社会的に死んでしまった人々が最後に辿りつく場所である、
というイメージをリアリズム的に捉えると、「樹海」という単語が頭に浮かんだ。
また、神話的になぞらえると、ダンテの迷いこむ「暗い森」のようだな、ともおもった。

混沌として絶望的だ、と世界を捉える人々にとって、ある意味では「地獄」とでもいえるような「現在」を、超えるための唯一の希望であった「庭」は「天国」に近い場所であるようにもおもわれた。天国というのは「実存しない」からこそ、幻惑的で、ユートピア的であるともいえる。
そういった意味で、「庭」というのは、脳のなかに思い描いた潜在意識であり仮想現実であるような、もしくは集合意識が作り出した仮想空間であるのかもしれないとおもった。

庭で行われる「教え」と「学び」。
それらは、自己と他者の境界や、「目にみえるもの」と「目にみえないもの」の「所有」について、「認知」し「理解」しあうことを目標としていた。

「目にみえるもの」というのは、物質的な所有と境界のことで、それは、主に女性の妖精であるチロルが学んでいた。
「もの」は、「だれ」のものなのか?を知る過程において、
「リップクリーム」、「母屋」、「森」という、3つの例えで
ミクロからマクロ的に「個」から「国家」へと、視点をスライドさせるプロセスが鮮やかだった。

「目にみえないもの」というのは、自他の境界、感情、欲求、関係性などのことで、
これらは、元国語教師である女性のハリツメ先生と、男性の妖精さんの鈴守が、「学び」あっていた。
好きだからこそ触れたいという欲求と、「触る」という「動作」と、「行動」と「感情」の相容れなさと、無自覚を装った「嘘」を重ねることが、所有することへの定義であるのかもしれない、とおもわせた。

妖精さんたちは、話の途中までは、人間ではない何か、ということになっていた。
それは、「理解できないもの」に対する「恐怖」から来る感覚や感情でもあるのだろうか。たとえばクルツさんの場合、そのほうがおいしいから。という、一方的な価値観を押し付けて、熱々のお茶を出して、妖精さんを困らせたり、
自身の庭が妖精さんたちの保護区になるということから、妖精さんに対し、敵対心を剥き出しにしていた。しかし、最後の方では、冷めたお茶を妖精さんに出すという風に、相手を尊重し「態度」に変化がみられたというのは、妖精さんたちの存在を受け入れたという証でもあった。

このように、妖精さんと人間の関係にはフレンドリーシップの形成のような発展的な動きもみられたが、身近であった者同士の関係は、
ハリツメに想いを寄せる仁王が「結婚」という「形式」を迫ったり、
クルツがエムオカの「所有」を「捨てた」り、といった
自己と他者を繫ぐ「形式」の「所有」が「無効化」し、
永遠にはなればなれになるような、無常さが残った。
それゆえに、近しい者同士の会話は、
分断されたモノローグのようで、それぞれの心情が、言霊のように彷徨い、
記憶が交差する時に、同時多発な不協和音となって響いては消えた。
真実

真実

文学座

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2018/02/24 (土) ~ 2018/03/05 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/02/24 (土)

Wキャストでした。

渡辺徹さんは10月の「鼻」で拝見したので、今回は鍛冶直人さんの出演の日を選びました。

下の四人、鍛冶直人さん、浅海彩子さん、細貝光司さん、渋谷はるかさんです。

演出は鵜山仁さんです。



フランスのフロリアン・ゼレール作の喜劇です。

とてもこじゃれた雰囲気で、どこかレトロないい味があるのですが、2011年が初演の割と新しい作品です。

フランス風味のユーモアたっぷりの楽しい舞台でした



舞台セットも赤と白に配分良く塗り分けられていて(真っ赤な嘘と真実の白?)スタイリッシュな感じもするんですが、生活感も感じられて面白いです。



ミッシェル(鍛冶直人)は親友ポール(磯貝光司)の妻アリス(渋谷はるか)と不倫関係にある。仕事の合間にホテルで逢瀬を重ねるが、週末に二人は旅行に出ることにミッシェルは妻ロランス(浅海彩子)に出張と嘘をついて出かけることにする。

しかし、会議をすっぽかして、ホテルにいたミシェル・・・・そのことがどうやらロランスにばれている様子・・・・嘘に嘘を重ね、どうにか旅行までたどり着くが、そこではアリスの夫にも嘘をつかなければならなくなる・・・嘘が嘘を呼び、にっちもさっちもになった時にある真実が告げられる・・・・ロランスの恋人がポール・・・そして、ミシェルの嘘はとうにばれていた。

混乱するミシェル・・・誰の嘘が真実なのか、その真実も嘘ではないのか。



笑いました~。

ミシェルの鍛冶さんがとても良かったです。

平気で嘘をつくんだけども、その嘘には多分ちょっぴりの真実もあったりして、友達を裏切りながらも彼が大好きだったり、浮気相手も奥さんも好きだったり・・・・何なのこの男!なんだけども一番情けない男だったかもなところが、憎めない(笑)

スタイルが良くて、押し出しもいいしで、この役がピッタリでした。



彼の奥さんのロランスの浅海彩子さんの何考えてるんだろう?な雰囲気もいいです。そして、ラストのあの表情・・・真実は彼女の中にある?!



浮気相手のアリスの渋谷はるかさんのロランスとは正反対な、コケティッシュな可愛さもいいし、ポールの細貝光司さんのとらえどころのなさも良かったです。



とてもセンスのいい面白い舞台だったので、再演希望です。

ありがとうございました

papillon/春待つ町

papillon/春待つ町

ゆめいろちょうちょ×Ordinarist'sBox.

ギャラリーがらん西荻(東京都)

2018/03/06 (火) ~ 2018/03/11 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/03/07 (水) 14:00

価格2,000円

【papillon】
1丁目1番地から7丁目XX番地までそれぞれに穴を掘ってはまた最初に戻って穴を掘ることを返す男のもとにその穴を埋めて回っている女が現れ、男は女に自分の体験談を語り始め……という導入部はまるで不条理劇あるいはオトナの賽の河原?(笑)
そうして語られる本編、迷い込んだ(?)蛾と暮らしていた男の部屋に美しい蝶が新たに迷い込むが蛾にはその蝶が見えず……と、オトナのメルヘンに変容。
と言うか「蝶ありきの蛾」と考えればあからさまなほどの恋愛寓話であり、「蛾には蝶が見えない」なんて都合がイイってか羨ましい。(爆)
さらに終盤に「男は恋愛経験を記憶の中で美化する」なんて台詞があって、「言われてみればその通り!」と「眼からウロコ」状態。(笑)(ちなみに女性客は蛾や蝶に感情移入しがちだったと終演後に聞いてそれも納得)
あと、蛾の衣装が「なるほど蛾だね」な模様だったり、蝶の表現が台詞なしで表情と動作だけだったのも「いかにも演劇」で感心。

佐藤少年史

佐藤少年史

佐藤純平卒業研究

桜美林大学・町田キャンパス 徳望館小劇場(東京都)

2018/03/11 (日) ~ 2018/03/16 (金)公演終了

満足度★★★

展開が目まぐるしく、もっとじっくりと描くと心に染み入る作品となるだろう。

安吾二篇

安吾二篇

劇団肋骨蜜柑同好会

新宿眼科画廊(東京都)

2017/11/10 (金) ~ 2017/11/13 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/11/10 (金)

新宿眼科画廊で、太平洋戦争の前後にかけて活躍した文筆家・坂口安吾の著作を取り上げた、劇団肋骨蜜柑同好会さんの『安吾二篇』
10日の晩に『散る日本』(60分)
11日の晩に『白痴』(75分)
を観て来ました。

ネタバレBOX

まずは『散る日本』。
1940年代の当時、棋界最強を誇った木村義雄・第14世名人と、対戦者・塚田正夫八段との第6期名人戦の様子を「私(=坂口安吾)」の目を通して記述した観戦記です。

でっ、会場入りして真っ先に目に飛び込んできたのは、縦1列に敷かれた畳状のボード。
左右には新聞紙に原稿用紙の切れ端が無造作にバラまかれ…。
ふと原稿用紙に目を落とすと、そこには『散る日本』の手書きの文面が!
何処となく、背筋がピシッとするような、気迫が伝わって来る舞台セットです。

上演中は、その畳状のボードの上を、相当使い込んである将棋盤を隔てて、木村名人役の室田渓人(むろたけいと)さんと、塚田正夫八段役の小林勇太さんとが、一手打とうとする毎にフェンシングの選手のように前進・後退を重ねます。

その一挙手一投足を「実況」するのが、観戦者たる「私」(演・フジタタイセイさん)。

「実況」は次第に、敗局濃厚な盤上を睨みつつ苦悶する木村名人の描写に重点が置かれていきます。
かっては、どんな(汚い?)手を用いてでも貪欲に勝ちを求めに行ったアノ木村義雄が、いつしか、棋界の権威とか風格とかいう形ばかりのモノに取り込まれ、棋力衰えたあげく、今、まさに名人の座を奪われんとす…

安吾には、その凋落のさまが「神国ニッポン」という、何ら実態を伴わぬ幻想に引きずられるまま、先の敗戦で心底痛めつけられた、かっての我が国の姿にも重なったのでしょうか。ラストシーンでの「私」の絶叫が鎮魂歌のように響いて来て…

この空間を造り上げた、つゆだく…ならぬ、汗だくだった、お三方の役者さんの、正真正銘の熱演に、帰路についた後も、ずっとシビレっ放しでした。


21時間後に戻って来た会場には、畳状のボードが、今度は2枚だけ二の字に横に並べられ。こちらの方が将棋の対局の場に相応しいかなぁ(笑)。
ただし、この場所は
或る時は、民家の一室であり
或る時は、映画会社の事務所であり
或る時は、空襲最中の街の雑踏…。

終戦間近の東京・蒲田界隈を舞台に描いた『白痴』。
主人公は、徴兵を逃れるために映画会社に勤めている演出家(演・笹瀬川咲さん)。
世相におもねるばかりの、映画会社の人々に嫌気を差しつつも、戦局の悪化に伴い、次第に困窮していく生活に追われて、理想に燃えた、かっての情熱の灯も消えゆくばかり…。
そんな彼が。眉目秀麗なれど自らの意志というモノを持たぬ「白痴の女」、隣家の新妻(るんげさん☜上掲のフライヤーのモデル)と出逢い、密かに共に暮らし始め、やがて空襲の戦火を潜り抜けていくまでの日々を描いた短編です。

上演中、主人公以外は豚や犬、鶏、家鴨に仮託させたような登場人物達が放つ、一つ一つのセリフや地の文に含意が察せられ、集中して耳を傾けてみました。
おかげで終演後はヘトヘトになりましたが、理想と現実の狭間に身をやつした末、目に見えるモノを大切にしていこうとする、作者・安吾の決意というものが察せられました(誤読だったらスイマセン、汗!)。

役者陣。
何度か舞台を拝見したことがある石黒麻衣さん、小島望さんに、確か初見の兎洞大(うどうだい)さんの堅実な演技に支えられて、主演の笹瀬川咲さん、るんげさんのお二方が、より一層、引き立ったように思われます。

さらにいえば、石黒さん、小島さん演ずる人物達の(意図的にか?)概ね背筋伸ばし、ヒトとしての温もりをあまり感じさせない風情が、るんげさんの「白痴の女」の童女の清らかさとグニャリとした肉感を併せ持つ「生身の人間」感を、より鮮明に印象づけたように感じました。


最後に。
舞台2本、観終わってみて、作・演のフジタタイセイさんが、どうして今どき(☜おいおい)坂口安吾の著作を取り上げたのか、わかるような気がしました。


【追記】
2018年3月12日、笹瀬川咲さんが1月にご逝去なされたことを知りました。
私よりはるかに若い方の訃報は、本当に胸が痛みます。
笹瀬川さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。
劇場版爆弾紳士

劇場版爆弾紳士

円盤ライダー

山野美容学院マイタワー27階 〒151-8539東京都渋谷区代々木1丁目53-1(東京都)

2018/02/21 (水) ~ 2018/03/12 (月)公演終了

満足度★★★★

観客は作家の草加一郎のノンフィクション文学賞受賞記念パーティーの参加者という設定である。明るいサロンに案内されて、いつもの暗い劇場用の汚い格好で来たことをちょっと後悔してしまった。

パーティーが始まると爆弾紳士によって出入り口が封鎖されてしまい、彼から出題された沢山のパズルを解かないと仕掛けられた爆弾で命を落とすことになってしまうという。
そこで会場に入るときに選んだ「読者ファン」「作家仲間」などのグループに分かれて担当のパズルを解いて行くのである。クロスワード・パズルとか穴埋めなどの比較的簡単なものであるが、いきなり出題されると考えこんでしまう。難しいものもあって、これは誰も解けないだろうと困っていると解ける人が突然現れるので「何か怪しいなあ」と思うこともあった(笑)。

想定内の時間で全グループが解き終わるというありえない結果はこの劇団の努力の結晶のノウハウのなせる業なのだろう。素晴らしい手際の良さだ。会場を縦横無尽に動き回る俳優さんの演技も的確で大いに笑いも取っていた。

若い頃ならすいすい解けたであろうパズルが全く解けなかったのは悔しいところであるが自分の現状を知ったという点では悪くない。入社試験の集団面接でこのようなものがあると聞いたことがある。今日の私は指示された場所にはすぐに行き、一見協調性があるように見えるが、実は立っているだけでたまに解こうとしても解けないという困った志願者であった。確実に不合格だよ(笑)。

『財団法人親父倶楽部』~死んだと思って生きてみる~

『財団法人親父倶楽部』~死んだと思って生きてみる~

工藤俊作プロデュース プロジェクトKUTO-10

ウイングフィールド(大阪府)

2018/03/07 (水) ~ 2018/03/12 (月)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/03/12 (月)

めちゃめちゃ面白かったです♪超豪華キャストに魅力的なストーリー♪そのどちらもが最上級のエンターテイメントって有りそうで無いと思ってたけど【見付けたよ!】って言いたくなる文句なしの名作でした☆【死】がワクワクするように感じる世界観が心地良いお芝居です☆親父四人衆が面白いのはモチロン、その四人に負けず劣らずのパフォーマンスで魅了してくれた藤本陽子さん、長橋達也さんの活躍抜きにこのお芝居の素晴らしさは語れません!お互いが親父と絡んでも二人で絡んでも面白くて感動すら覚えました☆

舞妓はレディ

舞妓はレディ

博多座

博多座(福岡県)

2018/03/04 (日) ~ 2018/03/20 (火)公演終了

満足度★★★

博多座企画にしては上演期間が短いかな。お盆や上下の花道の活用、歌唱もよくいい仕上がりだったと思います。

ネタバレBOX

宝塚ファン、アイドルファン向けの演出が、関係ない自分には無駄な時間に感じました。
PARAMUSHIR

PARAMUSHIR

TEAM NACS

福岡サンパレス(福岡県)

2018/03/09 (金) ~ 2018/03/11 (日)公演終了

満足度★★★★

終戦直後の北海道のある島での話。
ちょっと情報いれていたせいか、所々で涙腺が緩む心に響く内容でした。

おかえりのないまち。色のない

おかえりのないまち。色のない

キ上の空論

吉祥寺シアター(東京都)

2018/03/10 (土) ~ 2018/03/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

キ上の空論「おかえりのないまち。色のない」観てきた。
めっちゃ面白かった!前半はたくさん笑わせてもらったし、後半は胸が締めつけられるようなシーンがいくつもあって、とっても良かった!舞台の雰囲気愛せる。魅力的な役者の方ばかりで、ほんとに愛おしい。好きだー
そして、言葉のかけあいも言葉遊びも若者っぽい言葉も方言もすんごい溶けこんでて良かった、最高!特に気になったのは、無音というか無言のシーンが結構多用されてて、あの独特の間が絶妙だなーとか思ってた。あとは照明ですーっと次のシーンに綺麗に移り変わるのも好き。
役者でいうと、宇野くんめっちゃ好きだ!めちゃめちゃおもろいし、応援してあげたくなる。他にも、あの4人組の雰囲気もたまらなく愛おしいし、イズミさんのゆるい感じもめちゃ落ち着くし、もちろん芽衣子の素直で純粋なところも最強に好きだし、ほんとに全員魅力的だった。
あと、イロジロとイヌの関係も尊すぎる。切ない。相対性理論の地獄先生、思い出した。周りとか関係なく、あんな風に人を好きになってみたい。イロジロの最後の独白はとても心に響いた。鳥肌たった。あー、とにかくめちゃめちゃ良かった!良い演劇観たーって感じ!最高かよ

奴碑訓

奴碑訓

Project Nyx

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2018/03/09 (金) ~ 2018/03/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/03/09 (金) 19:00

座席1階D列10番

まずは、これだけ多彩かつ多様な人材を揃えあげた、プロデュース力に関心しました。美女劇という前提なので、男性役も女性に翻して役付けしたのだけれど、それがうまくはまるためには、役の性格をうまく全体に収斂しなくてはなりません。男女の違いで描き分けられている部分も、女性としての違いで描き分けられなくてはならないので、その意味、脚色、演出に大きな負担がかかりそうなものですが、その難点を見事に中央突破しています。キャラのエッジの立ち方が、半端ないですもの。
欲を言えば、、前半のエロチシズムが、後半あまり感じられなかったことですかね。それは、男性の欲目でしょうか。
初日にして、この完成度も立派。
何の気になくプレミアムシートにしたのですが、結構なお得感がありました。

1970年代、アングラ感満載な舞台ですが、むしろとても新しく見えるから不思議ですね。
温故知新とはこういうことですかね。

ネタバレBOX

そういえば帰りのロビーで、役者さんの1人が「今日はおっぱい祭りです」と楽しそうに語っていたのが、なぜかすごい好印象でした。
おかえりのないまち。色のない

おかえりのないまち。色のない

キ上の空論

吉祥寺シアター(東京都)

2018/03/10 (土) ~ 2018/03/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/03/11 (日) 14:00

座席1階2列

価格5,000円

久しぶりの観劇でもあり、久しぶりのキ上の空論の観劇。
とにかく面白かった。文句なしの5つ★。

謎解きとか大どんでん返し系の作品が好きな人にオススメします。
いままでにキ上の空論・中島作品を堪能された方にも新しい魅力を感じていただける作品でしょう。

出演者で印象に残ったのはまず福富さん。
作品の中のポジションとしてはこれまでにもありましたが、キャラクターがいままでとは違って突き抜けていて且つ面白さがありました。声が元々魅力ある女優さんですが、台詞も滑らかで彼女から起きる笑いがちょっと観客の肩の力を抜けさせてくれます。

そして納さん。iakuのときには突出した演技力が気になっていましたが、今回も魅せてくれました。彼女の存在は振り返ると「観客をそこに集中をさせた」役割があります。
いい意味で「ミスリード」ができる女優さんかも知れません。

もし行くのを迷っている人はいましたら是非オススメします。
観劇初心者のかたも大丈夫です。

毒おんな

毒おんな

椿組

ザ・スズナリ(東京都)

2018/03/02 (金) ~ 2018/03/14 (水)公演終了

満足度★★★★

補助席を出し通路すべて埋まるくらいの大入り満員状態。
どんな「毒」が吐き出せれるのか楽しみにしていたのだが、ちょっと弱いかな。
小泉今日子さんなら可愛さを武器に、もっと周りを巻き込んで不幸にしていく位濃い毒をまき散らす女性の役が出来たのでは。

おかえりのないまち。色のない

おかえりのないまち。色のない

キ上の空論

吉祥寺シアター(東京都)

2018/03/10 (土) ~ 2018/03/18 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/03/11 (日)

キ上の空論「おかえりのないまち。色のない」を観に吉祥寺シアターへ。こちらも初見の団体さん。公演時間2時間10分。交わりそうで交わっていない幾つもの点と点が折り重なったような作品。登場人物の相関図などを整理しながら最初から頭をフル回転させて拝見させて頂きました。突然の暗転や大迫力の効果音など演出に優れており、恐らく100%の理解は出来ていませんが、クライマックスで点と点が繋がったときは鳥肌が立ちました。あのような結末が待っているとは完全に想定外でしたし、何となく恐ろしさも感じました。キャストさんの経歴を見ると舞台以外にも様々な分野で活動されているバラエティーに富んだ方々ばかり。皆さん演技力が高く、とても華やかで見応えのある作品でした。2時間10分という長さは全く感じなかったです。

papillon/春待つ町

papillon/春待つ町

ゆめいろちょうちょ×Ordinarist'sBox.

ギャラリーがらん西荻(東京都)

2018/03/06 (火) ~ 2018/03/11 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/03/11 (日)

ゆめいろちょうちょ「papillon」を観にギャラリーがらん西荻へ。初見の劇団さん。蛾と蝶とそれを愛する一人の男の奇妙な恋の物語。キャスト4名、公演時間60分というコンパクトな公演ながら、内容は非常に奥深く、物語の世界にグイグイと引き込まれました。蛾と蝶と男の心情が上手く表現され、それぞれの距離感も絶妙。どの立場にも共感出来、クライマックスもなかなかの衝撃具合でした。男性の話を淡々と聴く一人の女性の存在も大きく、物語を分かりやすくしていたと思います。60分の中に複雑な心情が上手く凝縮された作品という印象です。生演奏も心地よく、良いアクセントになっていたと思います。もう少し大きな会場でゆっくり観劇出来れば尚良かったと感じました。

義経ギャラクシー ─銀河鉄道と五条大橋の999─

義経ギャラクシー ─銀河鉄道と五条大橋の999─

X-QUEST

北とぴあ つつじホール(東京都)

2018/03/08 (木) ~ 2018/03/11 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/03/09 (金) 19:00

 再演だが、初演も見ていて、ダンス&アクションに転じてからは最も面白い作品だと思っていたが、今回は大きな舞台を得て、更にパワーアップしていた。源義経の物語と、義経が死んだ岩手で生まれた宮沢賢治の銀河鉄道の夜を合体させるというアイデアは面白く、銀河鉄道の終点が五条大橋という回帰型の作りも興味深い。プロジェクションマッピングなども使って、豪華なX-QUESTだった。

何しても不謹慎

何しても不謹慎

箱庭円舞曲

駅前劇場(東京都)

2018/03/08 (木) ~ 2018/03/13 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/03/08 (木) 19:30

 箱庭の新境地か。古川に言を借りると、物語を説明するためのセリフを排除して会話に限定した、とのこと。その結果、いろいろと議論はするけど何も決められない日本人、という像が浮かび上がってくるという効果はある。面白い、というより、ずっと少しイライラさせられながら、でも、やっぱりそうなんだよな、と思わせるところが、古川らしい巧さだ。役者陣は豪華で、作品を作り上げる上で、劇作上も役割を果たしたのだろうと推測される布陣だった。

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