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ハムレットマシーン

ハムレットマシーン

OM-2

日暮里サニーホール(東京都)

2018/03/22 (木) ~ 2018/03/24 (土)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/03/23 (金) 19:30

d-倉庫の現代劇作家シリーズ8「ハムレットマシーン」フェスティバルの通し券で鑑賞可能という恩恵に与っての予習的観劇(作品初見)。
いわば沙翁のハムレットのいくつかの断片を使った「演劇的(?)コラージュ」あるいは「リミックス演劇」といったところか。

原典の場面やキーワードが見え隠れするパフォーマンスがあれこれ変容しながら展開されるさまに以前観た黒田征太郎のライブペインティング(竜童組のコンサートで序盤から演奏に触発されたであろうものをステージ後方で描き始め、一旦仕上がったかに見えてもその上に新たなモチーフを描いて次々と描き重ねてゆく)を思い出した。その意味では「立体ライブペインティング」とも言えるか?

そしてイントレ上の2階席は全体を見渡せて正解。掃除機の排気によって徐々に膨らみゆく巨大ビニール袋と膨らみきってからのその中でのパフォーマンスやキャットウォークから何百枚(推定)もポートレートが降る風景などが一望でき美しく見えた。
他にも「そんな表現アリかよ!?」が満載で「面白い」、と言うよりは「楽しめた」。「のっとしんく・のありーど、ふぃーーーーる(考えたり読んだりするんじゃない、感じるんだ)」モードで観たのも幸いしたようだ。
(「ジョニーが凱旋するとき」のチンドン屋風アレンジも面白かった)

難解と言われる本作を楽しめたことで第一関門突破というところか?(笑)
あれを「基本形」としてフェスティバル10団体の様々なアプローチを楽しむことにしよう♪

なお、当団体も初見だが、アムリタ、sons wo:、ジエン社など「ストーリーを語ることではなく観客の内部にナニカを生じさせることに重きを置く演劇(私見)」をうんと尖らせたもののようにも感じ、BUoYを使った公演を観てみたいとも思った。

【勝手にキャッチコピー】
「エンゲキ、ヒエンゲキ、ソレワナンデスカ(ぷれい・おあのっとぷれい・ざっといずくえすちょん)」
「オモシロイ、オモシロクナイ、ソレワナンデスカ(いんたれすてぃんぐ・おあのっといんたれすてぃんぐ・ざっといずくえすちょん)」

ネタバレBOX

冒頭の「何も起こらない部分」、実はジョン・ケージの「4分33秒」が流れて(?)いるのではないか?
スモーク(蒸気?)の噴出までがそのくらいの長さだし、すぐに終演のアナウンスが流れるのも頷ける。
しかしあのフェイクの終演アナウンスがあったので本当の終演時に「ホントか?」と疑ってしまったのはσ(^-^) だけではあるまい。(笑)
虚現覚醒シリーズ最終章 超時空★DISCO!

虚現覚醒シリーズ最終章 超時空★DISCO!

上智演劇2017年度卒業公演

上智小劇場(一号館講堂)(東京都)

2018/03/23 (金) ~ 2018/03/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/03/24 (土) 18:00

価格0円

18:00の回(晴)

17:30受付、開場。真ん中に「DISCO」の文字があるついたて、両サイドに階段状のステージ、ミラーボール。

「虚現覚醒シリーズ」というシリーズがあるようには思えないけど面白ければ何でもいい..でいいような気がする。

上智大の演劇部総動員なのか23名と先日のSophia Modern Dancers「ROAD」の倍を超えている。

学生らしさが何なのかよくわからないけど、キャラクター設定、その配役、分かり易い小道具や衣装があってのこのスピード。

17:45/17:55前説(70分) ※前説中は音楽をとめるか音量を下げませんか?
18:00開演~19:10終演。

時空を超える爽快さ、とにかく舞台に隙間も沈黙もない賑やさ満開の作品でした。

いろんな「世界」の登場人物がこの相対論のずっと先にある並行宇宙論を受け入れ/または知っているらしい、という驚くべき設定が作品をいっそうドライブしている。最近読んでいた筒井康隆さんの初期中短編にあるエッセンスを感じる。

-127birth

-127birth

こわっぱちゃん家

OFF OFFシアター(東京都)

2018/03/15 (木) ~ 2018/03/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

こわっぱちゃん家。
-127birth、先日観劇してきました。
予想を遥かに越える
まさに心を手で鷲掴みにされるような作品でした。
人の善悪とかではなく、まさしくだからこそ人なんだ、そう思いました。


産まれる、産むと言う現実をまざまざと見せられた。そう思わずにはいられません。
こんなに素敵な人たちなのに、どうしてなんだと…。
でも、それが巡り合わせであり善悪を越えたものであると僕は観ながらに思いました。
この観劇を通して
絶対はない。
だからこそ、本当に大事な事は何なのか問われた気がしました。
僕はその問いをされたときに
瞬間、何故だか相手もいないのに
思い切り抱き締めたい気持ちで一杯になりました。
それぐらい、心に衝撃を受けました。
今まで観劇をしていて
初めて、もう一回観たいなと思った作品です。

ハムレットマシーン

ハムレットマシーン

OM-2

日暮里サニーホール(東京都)

2018/03/22 (木) ~ 2018/03/24 (土)公演終了

満足度★★★★

よくわからないけどでも目が離せないそんな90分でした。今まであまりお目にかかったことのないタイプの演劇でした。迫力と意外性。満席の会場には年配の人も多くいて前衛演劇は若者たちが好むのかと思っていましたが意外でした。上野の桜も満開芝居も満開でした。

Alpha+

Alpha+

gravity

CBGKシブゲキ!!(東京都)

2018/03/24 (土) ~ 2018/03/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

タイトル「Alpha+ 女祭り2018」と銘打ち、その文字通りゲストも含め全員が女性(バンドは男性)で、舞台狭しと動き回る姿はパワフルで圧倒される。
歌は聴かせ、ダンスは魅せ、トークは聞かせる、まさしくエンターテイメント公演であり、一足早い春爛漫といった華やかさがあった。
(上演時間2時間50分 途中休憩15分)

ネタバレBOX

舞台は鉄骨櫓のような2階部があり、1階奥にバンド奏者が並ぶ。両側に左右に動く階段を設え、1階と2階を行き来してダイナミックに見せる。また、舞台幕を紗幕にし、海中で歌っているかのように水玉を映し、幻想的な観せ方にするなど工夫している。
衣装は第1部が金ぴか(ラメ)で派手なもの、第2部は逆に黒というシックな色調へ変化させる。どちらの衣装も色(エロ)っぽいもので、妖艶さを前面に出している。
ちなみにメンバーはCOOL:シルビア・グラブサン、SEXY:岡千絵サン、WILD:林希サンという担当を担っているという。そして当日は、林希サンがトークをリードしていたような…。

第1部は替え歌などを盛り込み遊び心が満載、そしてトークもコント(女子会?)のようで楽しく笑いを誘い、観客の気を逸らせないところは実に上手い。第2部はしっかり聴かせるというステージへ変わる。その歌に合わせ第1、2部ともダンスパフォーマンスは力強くキレキレで圧巻の一言。そして女性ならではの”艶やかさ”も衣装と相まって上手く表現していた。振り付けの真骨頂と言ったところであろう。

このユニット(gravity)は、結成して13年という紹介があった。そしてライブは数年振りのような説明があったが、また観たい、聴きたい公演であった。
次回公演を楽しみにしております。
付物~Tsukumo~

付物~Tsukumo~

Team ドラフト4位

シアター・バビロンの流れのほとりにて(東京都)

2018/03/21 (水) ~ 2018/03/25 (日)公演終了

満足度★★★★

物念の世界…物語の展開は分かり易く、伝えたいテーマもよく分かる。また演技、特に殺陣というよりはパフォーマンスという表現が合うかもしれないが、スピードもあり楽しめた。
(上演時間1時間40分)

ネタバレBOX

舞台セットは、少し(数センチ)高くした舞台に乱杭、草花(彼岸花?)が生え、上手側に一段高くしたスペース。後ろは黒い壁を立体的に出し、その壁面にも草模様がある。全体的に怪しげな雰囲気を漂わせようとしている。

物語…主人公つくも(橘奈穂サン)は、7歳になる誕生日に祖母から貰った懐中時計が動かなくなり、それを何とか直したい。7年後のある晩、両親から”あやかし夜市”に誘われ市松人形を買ってもらう。そしてその人形がつくも(14歳)を「物念の世界」へ誘う。そこには物が擬人化した姿の者がいて、カガミ-(鏡)(石上卓也サン)がつくもが持っている時計を奪う。物念の世界にいるカガミ、ミチカゼ(花札)とその持ち札2(鶯・猪と鶴・蝶)、ナナシ(市松人形)は、人間の世界で「物」であった時、無用になったと捨てられたという思いが恨みになっている。
一方、つくもを人間世界へ戻そうと、こちらも物念-クロ(黒猫のぬいぐるみ)、カンザシ(簪)、サイ(サイコロ)、ベコ(赤べこ)が現れる。この物念がつくもと懐中時計を守って人間世界へ戻そうと戦う、という展開である。物を使うのを忘れたことと、捨てるという意識は違う。物への思いが大切という寓話的な描き方。理屈抜きに楽しめる公演である。

物語を分かり易くする演出…戦うシーンの殺陣ならぬアクションは、スピードも迫力もあるが、何より登場人物のキャラを生かした勝負にしている。例えばサイコロ勝負や花札勝負という役柄の特徴を意識した観せ方で面白い。ただ自分の好みとしてはベコ(松下芳和サン)の緩い笑い部分は、テンポが足踏みするようで、もう少し抑えたほうが良かった。

ラスト、亡くなった祖母が現れ、懐中時計が動かなくなった理由やつくもの心情の揺れ方等が明らかになる。祖母(大平栞サン)の演技は迫力の熱演だが、脚本のせいであろうが教訓臭くなったのが残念。

次回公演を楽しみにしております。
人間になったらしい

人間になったらしい

サッピナイ

ひつじ座(東京都)

2018/03/24 (土) ~ 2018/03/25 (日)公演終了

最初の会を観劇しました。
ひさしぶりの事ですが、私の感性、経験、知識では、この演劇をコメントできる場に立てませんでした。
たわいもないショート・ショート程度に見ていいものか、またまた、もっともっと深いテーマが隠されているのか、「どう感じるかはご自由に」の世界なのか、見ている最中も、見終わったあとも、よく分からなかったというのが正直なところです。
すみません。

赤道の下のマクベス

赤道の下のマクベス

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2018/03/06 (火) ~ 2018/03/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

鄭義信らしい作品であるのは勿論だが、戦後在日三部作に比べれば舞台設定からしてシリアス。戦犯収容所での「日常」と、その場所が必然にもたらす展開と。前者あっての後者である所の徹底した作りは鄭氏の信条でもあろうか。演技は喜劇色を帯びていて、一見過剰にみえるが、笑いが最終場面での泣き笑いを準備する。そうしながら国家の罪、戦争の罪、民族差別を掘り下げている。

ネタバレBOX

理不尽に「日本軍の罪」を背負って処刑されていった朝鮮人たちの叫びが、我々の心に沁み込むようにと願うかのように最後に雨が降る。雨季が来た!と、生きる実感をかみ締める残った二人の姿が、私たちの希望に思えた、鄭義信マジック。
隣の芝生も。

隣の芝生も。

MONO

座・高円寺1(東京都)

2018/03/15 (木) ~ 2018/03/21 (水)公演終了

満足度★★★★

MONO舞台二度目(土田戯曲は3、4作目か)。前回のMONO舞台に(セットも)似てウェルメイドが目指されているが、勢いは前回があった気がした。今回は「設定」の問題で、ヤクザ稼業から足を洗った元組織(末端の小さな組)が稼ぎの道を「そろそろ探さなきゃ」といった呑気な構えや、そもそもヤクザ世界を描くに端からリアルを免除している。加えてヘナチョコ親分のヘナチョコな理由が後半になって判り、その理由がヤクザ素人がいきさつあってやるしかなくなった、的説明だったのに、若い頃は親父さんに世話になり、姐さんのために頑張ろうと思ったと、実はヤクザの自覚をもって長いらしい発言があったり、うむ、この矛盾(の種)がアンリアルの限度を脅かしていた。借りたビルの部屋の同じ階に開店したスタンプ屋と、この元ヤクザの事務所(探偵業を始めようとしているらしい)の人間ドラマが相互乗り入れして、大村わたる演じる「兄」の失踪が絡んで、謎多い彼を中心に話は進む。
惜しむらくは張られた伏線(謎)が説明され切れないところで芝居を終わらせていること。・・そういう切り方も無くはないとは思うけれど。。

きみはいくさに征ったけれど

きみはいくさに征ったけれど

秋田雨雀・土方与志記念 青年劇場

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2018/03/13 (火) ~ 2018/03/18 (日)公演終了

満足度★★★★

竹内浩三を題材とした作品だが、現代の東京に暮らす青年(学校ではいじめに遭っている)が夏休みに死んだ父の郷里である伊勢(竹内浩三も然り)の祖母宅で過ごしたひと夏の物語、といったところ。竹内のキャラ付けが良く、青年との交流を一つの軸に、また祖母や地域の人たちとの交流をもう一つの軸にドラマを紡ぎ、さりげなく戦争と竹内浩三を織り込んでいく。現在を主に置きながら過去に触れる、そのバランスが絶妙だった。快活で笑いも取る竹内キャラが秀逸。TOKYOハンバーグ大西弘記作、関根信一演出で無駄を排した現代的な舞台となった。

毒おんな

毒おんな

椿組

ザ・スズナリ(東京都)

2018/03/02 (金) ~ 2018/03/14 (水)公演終了

満足度★★★★

椿組 atスズナリは二度目。前回見て「野外だけが椿組でない」と。
今回は劇作家としては未見の青木豪作品、また高橋正徳演出、もうひと押しは俳優・津村知与志。(彼の気持ちいい立ち回りを観たくて足を運んだ芝居は結構ある)
小泉今日子である。日程が固まってきたので予約しようとしたら既に全日程完売。小泉出演を忘れていた。
だが当日狙いで日程を取ったら、開演二時間前に抽選券配布、30分後「当日券」と「キャンセル待ち」の当選と順番発表、私は後者だったが、実はハズレではなく、最終的に強引にでも席に座らせる。「今まで観劇頂けなかった方はいません」とのスタッフの説明だった。
ガッツリと主役小泉の「芝居」を喰べた。著名である事(別の媒体を通して見慣れている)、小顔美形である事、理由は特定できないが「注目」させる(させ過ぎる)ものがあり、以前トラムで出演した舞台とは打って変わった「手の内」に収めた感のある箇所も多々ある役者姿であった。
毒婦=犯罪常習者の「たらしこむ」芝居は地でも行けそうな素材だが、地が前に出て技(演技)が引っ込むと、器量及ばずの他の役者とのバランスが気になってしまう。これは容姿に関する「その状態が罪」というやつ・・序盤にそれがあり不安がもたげたが、次第に「役」の役割へと注意を向ける事ができた。
毒婦=犯罪モノのスリルという面では、「殺人」が匂う彼女自身の台詞「(彼氏がいつの間にか)消えちゃうの」で客席から一瞬笑いが漏れるが、本来はゾッとさせる瞬間。笑いは深刻さを遠ざける防御という事か、、小泉女史自身の演技が呼び込んだ面も否めず。だがそんな事もありつつ、全貌が徐々に見えてくる案配よし。
戯曲のポイントは女の犯罪と生い立ちの関連だ。問題行動はその背景を想像させ、その「説明」が人間ドラマの側面を持たせる。女の回想場面は現在進行中の「現在」シーンの中に、女が見ている風景として現われる(時に現在シーンと錯綜、この処理がうまい)。時系列に進む芝居としてまとまっているが、短くはさまれる回想シーンでの、母、母の妹、父とのやり取りは鮮明な印象を残す。家族を養う仕事に疲弊した母が、流行らない整体師の夫と娘(現在の女)に食事を作るために一時的に出入りしていた妹との仲を疑い、たまたま肩を揉んでいた所を目撃して妄想と嫉妬にやられてしまう。妹(娘の叔母)が姉家族から身を引くタイミングを逸して通い続けていたある日、「その時」が訪れる。母が薬を混入して去ったその紅茶を、目の前で(叔母でなく)父が飲み、その後交通事故で亡くなるという事が起きる。この出来事が娘に与えた内的作用は想像する以外ない。女に対して同情的に描写していない所が良い。最後に女が露呈した凶暴性は殺人に関する知識を体得したそれで、ミステリー性(娯楽)の要件を満たし、収まりがついていた。彼女を受け入れる事になったホストに当たる北海道の牧場での人間関係のドラマも面白く客演福本伸一、津村が強く気持ちよくサポート。

曖昧な犬

曖昧な犬

ミクニヤナイハラプロジェクト

吉祥寺シアター(東京都)

2018/03/22 (木) ~ 2018/03/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

『曖昧な犬』というタイトルがあまりにも素敵すぎる。
「曖昧な犬」や「窓から覗き込む顔」だと思っていたのだが、雷鳴と稲妻の閃光で見えたのは「観客の顔」だったのではないか。

(以下ネタバレBOXに長々書いてます)

ネタバレBOX

(一気に書いたので誤字脱字等々があり、後で修正するかもしれません。悪しからず……)

『曖昧な犬』というタイトルがあまりにも素敵すぎる。
もっともその言葉には、すぐに思い当たるものがなかったのだけど。
宮沢賢治の『ガドルフの百合』という作品の中に出てくる言葉だと後から知った。
『ガドルフの百合』という小説は完全に忘れていたが、読み返して思い出した。

宮沢賢治のイメージ(言葉)が炸裂し、小説の内容をいろいろと解釈できるような作品だった。
「曖昧な犬」が登場する個所の数行は劇中でも出てきた。

「いた」のか「いなかった」のは不鮮明。
それは視覚的に「見えたはず」という不鮮明さよりは、「意味」においての不鮮明さだ。
「人」や「犬」というカタチをとりながらも「意味においての曖昧さ(不鮮明さ)」。

それがこの作品の背骨にあったと思う。

『ガドルフの百合』はなんとなく「無音」で読んでいるのだが、実は作品の中では雷鳴が轟いている。
「百合」が見えた一瞬も閃光とともに雷鳴がある。

この作品でも「耳障り」なほど台詞をがなっている。
ミクニヤナイハラプロジェクトの過去の作品でも高速回転の台詞は大声であったが、「叫び」のようなものではなかった。
したがって、「叫び」のような台詞の発声は意図したものではないかと思う。

すなわち「雷鳴」だ。

「人が覗いている」と思ったら「百合の花」だったという『ガドルフの百合』に照らし合わせると、「叫び」の台詞は観客に「本当のこと(あるいは何か)」を気づかせるための「雷鳴」なのだろう。

それは「何なのか?」「何に気づかせるのか?」。

四隅に扉がある部屋に閉じ込められた(と思っている?)3人の男たちがいる。
彼らは「閉じ込められているのか?」。その答えはラストに見ることができるのだが、3人目の男は自らの意思でドアを開け入ってきたように(観客には)見える。

しかし彼は「閉じ込められた」と言う。

彼らが持っている「ドアを開けることができない鍵」は、「使い方がわからない」のであって無用の物ではないのだろう。
彼らが本気で使おうとするときには、鍵は使える物になるのではないだろうか。

部屋はビデオカメラによって監視されているようだ。「記録されているのか?」そして「誰が見ているのか?」

ビデオカメラの映像は、時間の経過を示す。映像の下に現在の時間が表示されている。
そして過去の映像に戻っていたりする。それを「見ている」のは間違いなく「観客」だ。

「閉じ込められている部屋」と彼らが主張するスペースは、吉祥寺シアターの舞台スペースであり、彼らの周囲には壁などない。
それが現実であり、彼らの置かれている状況だ。
しかし観客は彼らが「部屋の中にいる」と思っている。

現に彼らが走り回るときには「あるはずの壁」の「外」に「あえて」出たりするし、小道具を取るためにも「あえて外」に出たりしている。

閉じ込められている「部屋」は彼らの中にしかないのだ。観客がそれを一番知っている(はず)。それでも観客は彼らが「部屋の中にいる(閉じ込められている)」と思っている。
3人の男たちは「自らの壁の中」にいるのに。
そういう「ルール」だから。3人の男にとっても観客にとっても。
さらにそこにいるのは3人の男なのかどうかも「曖昧」なのではないか。
私たち観客が見ているのは「曖昧な監禁部屋」と「曖昧な3人の男たち」なのかもしれない。

そこに「いる」のか「いない」のか、「ある」のか「ないのか、曖昧で不鮮明な空間を私たちは観ている。
3人の男は「時間」という縛りの中で「ある空間」に「閉じ込められている」と思っているのだが、実際に、かつ確実に「時間」と「空間」に閉じ込められているのは「観劇しているはずの私たち」なのだ。
その「ルール」は誰が作ったのか。自分たちではないか。3人の男たちと同様に。
ルールを破ってしまえば、「あるテイでやっている」演劇は崩壊してしまう。
なので従うしかないのだが、それも疑ってみるのもいいのかもしれない、と舞台の上から言われているような気になってくる(いや、こなかったので粛々とルールに従って観てましたが…)。

つまり「ある時間」になれば(時間が経てば)、3人の男たちと同様に、上着を着てそこから(観客席から)出ていくことができる。コンビニにだって寄れる。

3人の男たちが置かれている状況は、時間や空間、そして頭の中の境が曖昧になっている。
それは観客との境界が曖昧となっているのと同様で、作・演の矢内原美邦さんの頭の中と私たちの頭の中との境界も曖昧になってくるのではないか。

雷鳴と稲光の閃光で見えたのは、「曖昧だった犬」の本当の姿であり、「窓から覗いている顔」の本当の姿であるのだから、つまりそれは吉祥寺シアターにいる「観客の顔」だったのかもしれない。

ミクニヤナイハラプロジェクトは高速回転台詞の印象があるが、今回は言葉が意味として、エピソードとして伝わってくる。「意味」として頭に残るだけの余裕があった、と言ってもいいかもしれない。

今までは言葉だけでなく音楽(音響)や映像等々が一体となって「意味」を表現していたと思うが、今回は台詞だけでも意味を伝わってきて、舞台全体のイメージ(映像等)で「さらに」「意味」を重ねてきた印象だ。

台詞の中でなんとなく気にとまったのが「メモしておこう(「ノート? 手帳? に書いておこう」だったか?)」で、帰りながら考えていたらフト「ハムレット!?」と思い当たった(間違っていたらすみません……)。「死ぬことは眠るようなこと」の台詞を思い出して「ここにも境界の曖昧さがあった」なんて勝手なことを思ったりもした。

「雷鳴のような台詞」みたいに書いたのだが、実際は「声でかすぎ」って思っていたのは内緒である。
朗読劇『さよならのかわりに』

朗読劇『さよならのかわりに』

toshiLOG

コフレリオ 新宿シアター(東京都)

2018/03/07 (水) ~ 2018/03/11 (日)公演終了

満足度★★★★★

ほとんど反則的な内容ですが....

ネタバレBOX

幼馴染、初恋、学校生活、誰もが経験しているテーマであるが故、誰の心にもなにかしらを感じさせられところ、アドリブシーンの説明も良かったです!
ハムレットマシーン

ハムレットマシーン

OM-2

日暮里サニーホール(東京都)

2018/03/22 (木) ~ 2018/03/24 (土)公演終了

満足度★★★★★

「衝撃シーンの連続」に舞台の極限の姿を感じました。

ネタバレBOX

オープニングで場内を自転車が走り回り、大男が冷蔵庫をたたき壊し、女性が自分の体内から出た魚を食らう、と演劇の常識を覆すような素晴らしい舞台だったと思います。
Alpha+

Alpha+

gravity

CBGKシブゲキ!!(東京都)

2018/03/24 (土) ~ 2018/03/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

パワフルな3名の女性による熱気溢れる舞台に圧倒されっ放しでした。是非今後も続けて欲しいですね。

人間になったらしい

人間になったらしい

サッピナイ

ひつじ座(東京都)

2018/03/24 (土) ~ 2018/03/25 (日)公演終了

満足度★★★★

 旗揚げ公演とは思えない完成度である。(花4つ☆)追記2018.3.25 11:28

ネタバレBOX

タイトルからして何やら心をザワツカセルではないか。人間になったらしいと感じている主体は一体何なのか? 換言すれば、何から人間になったのか? ということである。おまけに“らしい”が付いている以上、その存在は、自己認識に正当性があるとは信じかねているのだということが類推できる。
 どこか、分かったようで分からない不思議な世界が呈示されているのである。尺が70分程の作品なので、ヒューマニアと称される新生物を何のために人間が作り出したのか? は説明されていない。然しiaという接尾語が意味する所は“~に由来する”ということであるから元は何から創られているかに拠らず、humanがベースになっていると解釈するのが適当かも知れない。何れにせよ、この部分は謎として提示されており、解も示されない。にも拘わらず今作が呈示していることの面白さと不気味は、ヒューマニアに対する人間の態度・対応が如何にもありそうなリアリティーで描かれている点にある。更にヒューマニアにも個別に知的差異があり、知的に勝る者が、人間の側に立って知的に劣るヒューマニアを苛めたり、大変な努力をして人間の言葉を覚え、姿も人間そっくりになったヒューマニアを元の動物に戻すというような、ヒューマニアのヒューマニアに対する裏切り行為が、余計な説明なくゴロリと提示されている醒めた視座にある。
人間になったらしい

人間になったらしい

サッピナイ

ひつじ座(東京都)

2018/03/24 (土) ~ 2018/03/25 (日)公演終了

満足度★★★★

初日マチネ。「札比内」という地名につられて、美唄とかあっちの方だったかなと思いながらチケプレ応募してしまいました。席について、まずセットのチープさに愕然としたものの、これは芝居が進むうちに何故かあまり気にならなくなってきました。「日常にちょっとしたSFを」がコンセプトとのことですが、ここでの「SF」は(言い方は悪いけど)ヘンテコな前提とでもいった要素なので、所謂「ザ・SF」的な舞台を想像するとあてが外れるかも。何というか、仄々と可笑しかった。

ネタバレBOX

顔の青い人は何だかよく分からなかったけど、旗揚げなので星1つオマケ。
ヤシの木

ヤシの木

トリコロールケーキ

北とぴあ カナリアホール(東京都)

2018/03/21 (水) ~ 2018/03/25 (日)公演終了

満足度★★★★

■75分強■
『15minutes made』の参加作品が面白く、今さらながら単独公演を初鑑賞。ストーリーは思ったほどふくらまなかったけれど、バカバカしい脚本と重厚で勿体ぶった演出のギャップが生み出す可笑しみは健在でした。

ネタバレBOX

「木(もく)ずらし」の聞き間違えギャグの中では、「カニちらし」がツボでした。
Ten Commandments

Ten Commandments

ミナモザ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2018/03/21 (水) ~ 2018/03/31 (土)公演終了

満足度★★★

■約85分■
芯を食わないまま終わってしまった印象。

秘密公表機関

秘密公表機関

劇団あおきりみかん

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2018/03/16 (金) ~ 2018/03/18 (日)公演終了

満足度★★★★

秘密とそのやりとり、想像とは違っていましたが、面白かったです!

ネタバレBOX

基本、二人芝居で時間軸の違うシーンが入れ替わり立ち替わる構成、ストーリー展開など、よくねられているな、と感じました!

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