最新の観てきた!クチコミ一覧

50741-50760件 / 190200件中
ANDORRA アンドラ

ANDORRA アンドラ

清流劇場

一心寺シアター倶楽(大阪府)

2018/03/07 (水) ~ 2018/03/11 (日)公演終了

満足度★★★

空想の上での、反ユダヤ主義のような小国、ナチスドイツのような大国が登場する。
非常に重苦しい気持ちになるお芝居でした。

小国で育った主人公は、自分がユダヤ人であるということで、狭苦しいコミュニティの中で迫害を受けている。
しかし本当はユダヤ人ではなく、育ての父親だと思っていた人は本当の父親で、敵国のナチスドイツ風の大国の女性との間に生まれた子供だった。

自分たちが絶対正義であると信じる人々が、他者の事を知ることも理解することもなく、勝手な自分なりの正義で断罪する。
国や人種、そのような大きなカテゴリではなくても、地域や家族、会社や学校、そんな小さなカテゴリの中でも、今も昔もそして先の未来でも、それは存在する。
思い込みによる自分勝手な正義、集団の暴力、おぞましい。

人間の厭らしい部分をまざまざと見せつけられる、そんなお芝居でした。

美愁

美愁

The Vanity's

APOCシアター(東京都)

2018/04/24 (火) ~ 2018/04/28 (土)公演終了

満足度★★★★★

会場のAPOCシアターは別の劇団の公演で1度だけ入ったことがありますが、そのときはこじんまりとした長方形ステージを囲むようにスペースが仕切られて、四方に席が組まれており、場内も薄暗くて狭っ苦しいイメージしかなかったため、今回入ってみて、ここはこんなスペースだったのかと驚きました。そもそもこんなに天井までの高さがあったことすら、前に入ったときは気付かなかったくらいで。

お話そのものにはそれほど目新しい要素はないのですが、そのビジュアル、演技、音楽、演出と、おそろしく完成度が高く、最後まで見入ってしまいました(怒りを覚えるようなお客さんがいましたが、それは☆には関係ないものとして、ネタバレで愚痴ります)。チラシの写真、タイトルにもちゃんと意味があったのだなと感心。恒例のアフターライブもあって、贅沢な時間でした。

ネタバレBOX

これは舞台には関係ないというか、演者やスタッフには全く責任がない話ですが、私が観た回、久々に酷いお客さんにあたっちゃったなと。団体でいらっしゃったのか、開演前の二胡の演奏も、大声での世間話が最後までやむことはなくてお気の毒でしたし、上演中はひっきりなしに椅子をギシギシと。他にも終盤で、メールでも来たのか携帯を取り出し、暗転しても平気でそのまま操作する人(端の席とはいえ最前列)がいて唖然。面会のために場内に残っていたようですから出演者の知人なのでしょうが、彼らが終演後に「よかったよ!」「また来るよ!」とか言ってるのかなと思うと、なんともはや…。
渇生

渇生

HIGHcolors

「劇」小劇場(東京都)

2018/04/25 (水) ~ 2018/04/30 (月)公演終了

満足度★★★★★

重いテーマ やり場のない感情を表情や台詞の間の取り方で、より観客の感情をチクチクさせる俳優さん達の技量が凄い

溶けない世界と

溶けない世界と

mizhen

d-倉庫(東京都)

2018/04/25 (水) ~ 2018/04/29 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/04/26 (木)

26日ソワレ(110分)を拝見。

ネタバレBOX

チェーホフの『かもめ』に増改築を施したようなストーリーは、様々な立ち位置の登場人物達&蜘蛛!による、恋愛観・人生観のせめぎあい、といった趣きか。
難解なシーンも少なくはなかったが、かといって、決して取っ付きにくいわけでもない。むしろ、理解が充分届かないなりにも、セリフ・身体表現・照明・劇伴から、目や耳や体感で作品のメッセージを感じ取れた気がする。素人にも「演劇観たなぁ!」という実感をもたらしてくれた。

あと、劇中、手話を交わすシーンがあることとの関連か? 最後列の座席に、聴覚障がい者のために、字幕タブレットの用意。小劇場演劇の会場では初めて目にした。
予算的な事情はわかりかねるが、ハンディキャップを持たれた方にも演劇を体感して頂く、こうした対応がもっと広まれば、と強く願う。

最後に配役を記しておく。
蒔田世子(まきた・せいこ。小説家志望。姉に複雑な感情を抱く。モデルは「コースチャ」)
…小角まやさん(アマヤドリさんなどの舞台で何度も拝見している、真摯な演技が印象深い役者さん)
蒔田透子(世子の姉。妹思い。聴覚障がい者。蜘蛛の研究家)
…佐藤幸子さん
新名一平(苦労知らず?な俳優志望。世子→鳥越へ心移り。モデルは「ニーナ」)
…照井健仁さん
鳥越りん(複雑な内面を持つ、売れっ子作家。モデルは「トリゴーリン」)
…佐藤蕗子(さとう・ふきこ)さん(昨年の『哀しい夢すら、忘れてしまう』で知った、声と所作に色気のある役者さん)
有川次男(世子の叔父。著名な名優。モデルは「アルカージナ」)
…安東信助さん(何度も舞台を拝見しているのに、初めて観た『HNG』での役柄が強烈過ぎてwww、その際の印象がなかなか拭えない、個性派俳優!)
志村えみ(世子が宿泊しているペンションホテルのオーナー)
…百花亜希(ももか・あき)さん(qui-co.さんの公演で何度か拝見した役者さん)
志村ほりあき(えみの夫でホテルのシェフ。後天的聴覚障がい者。透子の不倫相手。モデルは「シャムラーエフ」)
…滝寛式(たき・ひろしき)さん
増谷実(ホテルのバイト。世子に片想い)…小林樹(こばやし・たつき)さん
緑ジュンコ(気のいい、スナックの娘。後に実の妻)…前原麻希さん
マリリン(異常に長生きしている蜘蛛)…藤井咲有里さん(本作品のキーパースン? 白眉の「怪」演!)

【追記】
当パンのスタッフリストに、「手話指導」として、忍足亜希子(おしだり・あきこ)さんの名が!
映画『アイ・ラヴ・ユー』のヒロインさんと、ウン十年ぶりにご縁がつながり、ちょこっとだけ胸アツになった。
革命日記【青年団・こまばアゴラ演劇学校“無隣館”】

革命日記【青年団・こまばアゴラ演劇学校“無隣館”】

こまばアゴラ演劇学校“無隣館”

こまばアゴラ劇場(東京都)

2018/04/14 (土) ~ 2018/04/30 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/04/26 (水) 19:30

現代口語本家というイメージで観に行ってみました。以外とデフォルメされてるんだなというのが印象でした。何故かな?どこかな?と振り返ってみると、今、働き方改革とかダイバーシティとかプライベート重視求人とか、意外と組織の縛りが緩くなって来ているせいか、組織から派生する記号的なコミュニケーションが減ってきているんだと気づきました。
そのせいか、かつての世代では「いるいる」的なキャラクターもレトロな感じに見えてしまったのかもしれません。
ただ逆に個のぶつかり合いみたいな部分は十分な説得力を持っていて、なかなか見応えがありました。
もうちょっと役割的なデフォルメを緩めて、個と個のぶつかり合いや起きていることを真摯に掘り下げた部分が増えてくると、もっと印象が変わっていたと思います。
いずれにせよ組織と個人の関係においての現実社会と作劇、組織が個を必要とするのかそれともその逆か、などなどとても豊かな気づきの時間になりました。

「カワサキさん家のかたち」

「カワサキさん家のかたち」

お芝居空間イスモナティ

ART THEATER かもめ座(東京都)

2018/04/26 (木) ~ 2018/04/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

最初はあらずじを読んでドタバタコメディーか?と思っていましたが、見終わった後はなんだか心が優しくなる、とてもよい舞台でした。
ラストシーンは途中あたりでなんとなく予想ができましたが、べたでもいい・・・ある意味最高のハッピーエンドというのがよかったです。
キャストの年齢層も幅広く、安定感がありました。ちょっと家族のことを考えたくなる、人っていいなと思わせてくれるよい舞台でした。

わたくしごと2本立て[はくちょうたちの、/ closets]

わたくしごと2本立て[はくちょうたちの、/ closets]

waqu:iraz

神奈川県立青少年センター(神奈川県)

2018/04/26 (木) ~ 2018/04/30 (月)公演終了

満足度★★★★★

はくちょうたちの、closets、それぞれ個性的な女性が描かれていて、特にclosetは、ダンスとの親和性が高く、女性同士の絡みに沢山笑わせていただきました。はくちょうたちのは、そんな時期もあったと懐かしい雰囲気や大人になりきれていない高校生の苦悩、そこから大人の女性の苦悩であるclosetsに流れる構成も素敵でした。

CRIME

CRIME

劇団伍季風 ~monsoon~

Geki地下Liberty(東京都)

2018/04/25 (水) ~ 2018/04/30 (月)公演終了

満足度★★★

 核爆発が落とされても壊れない、との噂が立つ程の堅牢性を具えていることが自慢の五和銀行本店。課長は、受付嬢と不倫しているし、受付嬢には、出前のお兄ちゃんがストーカー紛いの張り付き方をしており、金庫以外はどこか怪しげな印象を漂わせている。

ネタバレBOX


 こんな銀行に外資系大手の支店開設絡みの融資の話が舞い込み、客が店長を訪ねてきていたが、そんな折も折、3人組の銀行強盗が襲撃を掛けた。
 一度、板上に上がった役者は、殆ど皆出ずっぱりなので、ある程度仕方がないのかも知れないが、銀行強盗を仕掛けるような犯罪者が、手袋も覆面もせず、而も簡単に仲間の名前を呼んでしまうという間抜けぶり(名前を呼ぶ件については、犯罪者としてはトウシロウであるこの3人組を示したかったのかも知れないが、余りにも馬鹿げている)は、脚本を弄ってもう少し工夫すべきだったのではないか?(再演なのだし)
 中盤に入ってからは、アクシデンタルな理由で金庫に閉じ込められることになった面々が、同じ人質の中に爆弾を持っていた者がおり、彼の爆弾が起動してしまったことによって命の危険に晒される中で、深刻な人生論が語られ、今作の内容を一躍深いものにする。また、銀行強盗をすることになった3人の犯行動機には、同情すべき事情がある事も明らかになって、五和銀行と、この銀行を吸収合併しようとしていた四和銀行及び大手ゼネコンの絡んだ犯人親族への過剰融資という企業犯罪の問題が問い質されて一挙に社会的な話題をも射程に入れてくる。この辺り、銀行と商社はやくざより性質が悪いと言われる所以を含めて考えるに値しよう。ラストのドンデン返しもグー。
砦

トム・プロジェクト

シアターX(東京都)

2018/04/10 (火) ~ 2018/04/15 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2018/04/11 (水)

実在の人物室原知幸さんの下筌ダム建設計画の反対運動を、描いた舞台です。約13年に渡って、反対運動に資材を投じ、砦まで作り、最後の最後まで闘った人物です。

村井邦夫さん演じる室原知幸は、信念を持ち、知的で、人をひきつける魅力的な人物でした。



その彼を支えた奥さんを藤田弓子さんが演じました。

彼を信じ、献身的につくしました。

彼亡き後にはダム建設が始まり、家を立ち退かなければならなくなる寂しさは計り知れないものがありました。



原口健太郎さん、浅井伸治さん、滝沢花野さんの三人が、八面六臂の大活躍で、室原陣営の人たちやそれに反対する人たちを演じました。彼らの後ろに大勢の人たちがいる・・・それがよく伝わってきました。



ダムを作らないと川が氾濫し、多くの被害が出る。

だけどそのためには多くの人たちが、今迄培ってきた生活の場を奪われてしまう。

どちらも辛い立場です。

決定を下さなければいけない役所も辛いかもしれません。



今の便利な世の中には、先人の辛い選択が色々あったと思います。それを踏まえて少しでもいい世の中にしていかなければ、申し訳ないなと思いました。



素晴らしい舞台を、ありがとうございました

~ラビット番長ノワール短編集~

~ラビット番長ノワール短編集~

ラビット番長

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2018/04/25 (水) ~ 2018/04/29 (日)公演終了

満足度★★★★

確かにいつもと違うラビット番長!

ネタバレBOX

「夜明けの歌」赤い薔薇の花言葉に託されたのは、あまりにも強いゆえにおぞましくさえも感じられる愛でした。ラストシーン、瑞江の視覚を疑似体験するような暗闇が良かったです。彼女はあの恐ろしい光景を見ずにすむのでしょうが。戦中戦後が舞台だと特殊な状況になるので、もっと身近なところにある恐怖をリアルに感じたいと思いました。
「パンジーな乙女達」小説家が最後に振り向いたのはやはり妻だったら良かったかな。それを知らずに殺してしまう方が悲劇的だし怖いかなとも思いました。
こうなると「RS」が気になりますが、もう行ける日がなさそう。せめてなんの略か、どういう意味なのかが知りたいです。
溶けない世界と

溶けない世界と

mizhen

d-倉庫(東京都)

2018/04/25 (水) ~ 2018/04/29 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/04/26 (木) 19:30

シンプルに切なくて好みです。あらゆる「個」は分かりあえない事が前提の私にとって、分かり合おうとする過程にこそ価値があり、それは同時にとても切ないものなのだと再確認できる美しい舞台でした。

FAMILY 2

FAMILY 2

ヒューマン・マーケット

ウエストエンドスタジオ(東京都)

2018/04/24 (火) ~ 2018/04/30 (月)公演終了

満足度★★★★

登場人物の造形・演出、そしてそれを演ずる役者さん達の好演が素晴らしい!
ストーリー的に少々でき過ぎな感があるものの、創り方が巧みで、“笑い・感動・涙あり”のとても楽しい作品でした。

美愁

美愁

The Vanity's

APOCシアター(東京都)

2018/04/24 (火) ~ 2018/04/28 (土)公演終了

満足度★★★★★

このユニットは初めて。
上質で面白い舞台を作る団体が、己が知らぬだけでまだまだ沢山有るのだなと序盤でふとそんなことを思った。
これはもう一度観たい。

空観

空観

ヒンドゥー五千回

座・高円寺2(東京都)

2018/04/25 (水) ~ 2018/04/26 (木)公演終了

満足度★★

鑑賞日2018/04/26 (木) 13:00

創作舞踏やノンバーバルを見慣れていると感想は違うかも。空観は、帰結するところは同じなのかも知れないが、プロセスは僕のとはちがうかな。ただ、新しいものを観せて頂いたのは確か。もっとビシッと揃ったら違う感激も味わえたのかも。

空観

空観

ヒンドゥー五千回

座・高円寺2(東京都)

2018/04/25 (水) ~ 2018/04/26 (木)公演終了

満足度★★★★

ガーーン 台詞が何を言っているのか全然わからな~い(笑)
登場人物が使用するのはスペイン語風言語(タモリが、よくなんちゃって中国語をネタにしていたスペイン語版的?な)なので一体目の前でどういう会話が取り交わされているのか具体的には全く分からないのです。
たまに日本語に切り替わったりしてドキッとしますが、その部分で他を全てカバーしているという訳でもなく、ヒンドゥー五千回さんは正攻法でこないと覚悟はしていましたが、まさかこう来るとは。
そうなるとストーリーを読み解くには彼らの態度や口調、表情、リアクションが頼り。
外国映画をあえて字幕なしで鑑賞しているのにも似ています。

内容的には群像劇の様相で、どこの国だか分かりませんが生活水準や文化水準はそう高くなくてガサツな人が多く、村社会的な繋がりが強そうです。
そして集団の中でも、ちょっと特別に扱われている人物や、何かしでかしたらしい嫌われ者もいるようで・・・あれっ、彼らのコミュニティーや事の流れがそれとなく伝わってくるではありませんか。
更に面白いのは、描かれる内容がストレートプレイの域にとどまらず、パントマイムの技術を取り入れた不思議な感覚へといざなってくれる世界観でしょうか。時には呪術的でもあります。

こうして言葉の概要を取り払ったカタチで人間社会を観ていると、虫も動物も人間も大した違いは無く、そこに意味が本当にあるんだか無いんだかワサワサと生きているなーと、どこか達観した様な気になってきます。
ひょっとしてこれは神の立ち位置から見た作品?・・・解釈は自由な作品だと思います。
演劇でありながらダンスパフォーマンの様に、どこの国の人が観てもほぼ条件は一緒というのも面白いです。

渇生

渇生

HIGHcolors

「劇」小劇場(東京都)

2018/04/25 (水) ~ 2018/04/30 (月)公演終了

満足度★★★★

若い俳優さんが多数出てますが、見応え有ります。娯楽的要素は少なく陰気でもやっとした展開がしばらく続くので、初心者にはお勧め出来ないかも。

渇生

渇生

HIGHcolors

「劇」小劇場(東京都)

2018/04/25 (水) ~ 2018/04/30 (月)公演終了

満足度★★★★

生きることへの渇き?或いは24年間の乾いた生?いずれにしても、タイトルが言わんとすることが舞台を見るに連れて分かってきた。これじゃあ、やっぱり生きてることにならないよな。っと観客としては納得できることだけど、当事者になると、そう考えられるかどうか。重いテーマだと思います。

ネタバレBOX

前半は3シチュエーションで、それぞれの物語が進行する。いずれもインパクトに欠けるというか、そんなに意味がある風景に見えず、間延びした感じ。しかし、物語も終盤になるとそれぞれが繋がってきて、全体像が見えてくる。後半は納得しながら見れるので、見応えあり。
時折、大きな音、声でびっくりさせられる。
印象的なシーンはビールを頭からかけるシーン。生きていない生から生きるための切っ掛けを演出していたように思う。
役柄的には一色唯さん演じる忍者に憧れた元バレボール選手。キャラが立っていて、劇中でも目立っていた。まあ、初心者にはお勧め。
731

731

パラドックス定数

シアター風姿花伝(東京都)

2018/04/24 (火) ~ 2018/05/02 (水)公演終了

満足度★★★★★

歴史の闇の話であり、サスペンスドラマでもありました。

ネタバレBOX

昭和23年春頃、731部隊の生き残り幹部たちが互いを牽制するために集い、会話を繰り返すうちに、中国で行われていた実態や彼らの今の生き様、悩みが伝わって来るとともに、最近起きた帝銀事件の毒薬、犯人像、その背景が明らかになり、さらには、国内でも南京事件等の被害者の頭部を使った手術技術の研鑽が行われていたことまでもが明らかになる話。

薄暗い中での会話劇、素晴らしかったです。

帝銀事件の被害者は聖母病院に収容されたとのことでした。シアター風姿花伝のすぐそばでもあり、身近に感じられました。
オカルト・ミステリー・アワー

オカルト・ミステリー・アワー

サムゴーギャットモンテイプ

ギャラリーしあん(東京都)

2018/04/25 (水) ~ 2018/04/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/04/26 (木) 20:00

価格2,300円

日本家屋である会場の構造を活かし客席と壁1枚隔てた廊下などでの声やS.E.によって観客にあれこれ想像させるのが巧み。
また、昨年6月の「おうちにかえる・オブ・ザ・デッド」同様「このテのハナシ」のセオリーを忠実に踏襲して見事。「このテのハナシ」が好きな上に出来が良い(私見)ので内容と裏腹に嬉しくて頬が緩みっ放し♪

最前列のお客さんが音などに反応して時々ビクッとするのが見えたのも頬が緩んだ要因の1つであるが、それはつまりコワさの証左。
そしてそれは「マイルドな呪怨」なオモムキとも換言できるかも?(そう言えば最後の場がビデオ版「呪怨2」と通ずる手法だし)

なお、会場のトイレの場所(客席背後上手側の外)を知っていると、より楽しめると言うか後で台詞にも出てくるが、何の音か先に気付けるので有利。開演前に場所だけでも確認しておくことを推奨。
また、会場は靴を脱いで入るスタイルなので脱ぎやすい靴、穴が空いていない靴下を推奨。

「舞台を初めて観る方に」を「お薦め!」にするとコワいものに弱い方から恨まれるおそれがあるので「どちらともいえない」にせざるを得ないのがツラいところ?(笑)

ネタバレBOX

最後に暗転したまま背後の廊下での過去の会話によってコトの原因を明かすのがまた上手い。しかも序盤でその伏線をちゃんとはっているもんなぁ。
で、画的には何も変わらないまま会話だけ聞かせて終わるのがビデオ版「呪怨2」と通ずる。
ヴィテブスクの空飛ぶ恋人たち

ヴィテブスクの空飛ぶ恋人たち

劇団印象-indian elephant-

シアター711(東京都)

2018/04/18 (水) ~ 2018/04/22 (日)公演終了

満足度★★★★

翻訳劇は、原作と翻訳家(鈴木アツト氏)が思い描く解釈の狭間でどう新しく生まれ変わるか、または変わらないか、その世界観を楽しみたい。公演は画家シャガールと最愛ミューズ・ベラの半生を生演奏にのせて生き生きと描いている。
(上演時間1時間30分)

ネタバレBOX

客席で挟まれた舞台。ほぼ素舞台で場面に応じて小物が持ち込まれる。公演はシャガール(村島智之サン)と妻ベラ(山村茉梨乃サン)の半生を順々に展開して行く。ただし芸術家としての”画家”に関しては絵画が登場しないので、その面については印象が弱い。逆にシャガールが生きた時代、ユダヤ人として迫害を受けてきた出来事を重厚に語っていたように思う。

ロシア革命と社会主義という時代の奔流が渦巻く。第一次世界大戦前、シャガールはサンクトペテルブルグ、パリ、ベルリンを移動し活動をする。第二次世界大戦が始まり、ナチスのユダヤ人迫害が始まると、シャガールはアメリカへ移る。戦後、ユダヤ人虐殺を乗り越えパリを活動拠点にする。転々としなければならない状況、環境がそのまま物語として動いている。
妻ベラを愛し、ベラへの愛や結婚をテーマとした作品を多く製作したと言われており、その様子は妻をモデルに描いている様子で表現している。

シャガールは、様々な角度から見た物を一つの画面に収める画法で、一点透視図法とは一線を画すと言われている。いわゆる「キュビスム」の影響を受けたと。この公演は舞台を両側(客席)から観るようにしている。その意味(多角視)でシャガールの絵画の見せ方に似ているように思ったが、鈴木氏はそのことを意識したのだろうか。

素舞台にも関わらず情景がしっかり浮かび上がる。もっとも地理(場所)的なことではなく、情景描写としての時代・社会的なことと妻との愛という個人的なことである。役者はそれをしっかり体現して観(魅)せてくれた。また絵画ではないが、”芸術”繋がりで、ヴァイオリンの生演奏も適所で奏でられ印象深くなるのも好かった。

次回公演も楽しみにしております。

このページのQRコードです。

拡大