
가모메 カルメギ
東京デスロック
KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)
2018/06/30 (土) ~ 2018/07/08 (日)公演終了
満足度★★★★
日帝植民地時代の朝鮮に翻案した『かもめ』は原作を尊重した作りで重厚。一秒たりとも注意を怠れない、疲労を伴う観劇でこれに見合う感想の言葉を混沌とした感覚の海から拾い出すのも一作業だ。物語の進行と同時に、演出をみる観劇であり、対面客席の間に横に長くとって様々な大小の「ゴミ」が雑然と置かれたステージがまず観客に突きつけられている。
このステージの両脇には(恐らく反対側もそうだろう)モニターが地味に置かれており、中央には壊れた傾いた台が置かれ、端から昇った先でストンと降りる設定のため人物はその方向にしか移動せず、登退場も一方向だけである。従って役者はハケた先のドアから裏を通って会場の対角線の先まで移動して登場している事になる。
この方向が破られるのは一度、それまで殆ど目に止まらなかったモニター上の動きを観客は察知して注目する。出口には金網の扉があり、これが一度だけ施錠され、人々が閉じ込められた時間が暫時流れたあと、鍵を開けにやってくる男だけが逆方向を「許される」。
数々の演出のそこが私にとってのピークで、言わば「予感」と「期待」の時間であったが、その後「戦争」という局面に入って行くと、多田演出は尚も観客の注意を喚起する「場面の変化」のツールとして、地響きを多様したり思わせぶりな照明変化を入れてくるのだが、私の読み取りが凡庸なのか、同じ手に頼っているようにみえた。言葉にするなら、「実は・・」「実は・・」「いや実は・・」と、物語を聴く者の関心を繋ぎ止める手段を演出的な作為で行なおうとする、その「手」が長大な芝居ではカバーできなかった、という言い方になるだろうか。
「期待」と「予感」の時間の延長戦として登場した「戦争」の位置づけ方にも理由があるかも知れない。植民地で志願兵制度という名の緩い徴兵制が導入されたり、やがては徴用や労働力徴収(強制連行)と発展してゆく「背景」としての「日本がおっぱじめた戦争」というものが、朝鮮半島の生活にも浮上する。ただ、朝鮮人民にとってそれは自分らが都合良く利用される植民地時代というレジームの延長であり、平時から戦争体制という変化の意味合いは日本とは本質的に異なる。「戦争」が持つドラマ性に朝鮮人民が親和的になる事は、当事者にとって「恥」として回顧される類いであり、それこそが他国の支配がもたらす悲劇であったりする。即ち朝鮮人民の「分断」こそが悲劇であり、「戦争になったこと」そのもの以上に禍根を残すものだった、私はそう考える。
その意味では、「戦争」という事実の強調として地響きを用いる演出などは、私には違和感があった。思わず注目はするが何か薄まってしまうものを感じたのは正直なところ。
「期待」と「予感」の前半があまりに素晴らしいために、膨らんだ期待に見合う後半には届かなかった、という全体の印象の、それはほんの一瞬よぎったものにすぎないが。
だが、果敢な挑戦がもたらした舞台であり、ネタ切れ?とは言ったものの、演出という技術の可能性を発見させてもくれる大作だ。
韓国俳優陣も素晴らしく、女優(母)が息子トレープレフの感情的罵りに遭い、不意を突かれて自らの来歴にまで思いを馳せ「心が崩れた」瞬間を、動かない背中で演じた演技と演出は、彼女の人生がそこに包摂される歴史の悲劇も浮き彫りにし、圧巻というほか無かった。

ザ・空気 ver.2 誰も書いてはならぬ
ニ兎社
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2018/06/23 (土) ~ 2018/07/16 (月)公演終了
満足度★★★★
「vol.1を期待してはいけない」と思いつつ当日を迎えたが、劇場に入れば当然だが期待は高まる。・・うまくまとめた戯曲ではあった。だが一作目が「空気」の怖さを鋭く伝えていたのに対し、二作目では「空気」の問題は背景化して薄まったように思う。「ザ・空気」のタイトルに偽りとまでは言わないけれど、もし残すなら単にvol.2ではなく副題を付す等が親切といえば親切?(国会記者会館屋上を封鎖せよ! とか。まぁそれはないが..)
演技の問題では、コメディとシリアスのバランスの取り方の点で、安田成美がシリアスを背負い切れないというか・・。
・・などと何か言いたくなるものの、時事や社会的問題を反映した作品が期間をおかず世に出される演劇の形は貴重で、この完成度に対して作品批評な言葉を連ねる事の申し訳なさ、もどかしさもあるのだが。

君の言った”またね”を僕は1年待っている
感情7号線
APOCシアター(東京都)
2018/06/30 (土) ~ 2018/07/08 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/07/06 (金) 14:30
価格3,200円
【先攻:Bチーム】
高校での出逢いに始まる恋愛における「もしもあの時」、銀河鉄道の夜、七夕の三題噺、的な。
複数の会話を同時進行させキーとなる単語や台詞が一致する「シンクロ会話」の技法と「アレ」の合わせ技や物語構造、某名作(好きなんだ、これが)オマージュ、サラッと流すあの曲・その曲、装置とラストのシカケなどあれこれツボを突かれた。

睾丸
ナイロン100℃
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2018/07/06 (金) ~ 2018/07/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/07/24 (火)
とても良かったです! さすがケラさん!
今回は いつもより わかりやすくて笑える場面がたくさんあったと思います! 特に廣川さん演じる初老の男が 実は犯罪歴があったとわかる所、爆笑でした☆

「Ilias?Serious!!(イリアスシリアス)」
DANCETERIA-ANNEX
初台doors(東京都)
2018/07/10 (火) ~ 2018/07/11 (水)公演終了

睾丸
ナイロン100℃
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2018/07/06 (金) ~ 2018/07/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
あの頃、を知っている者は観客にどれだけいたのだろう。
知識として知っている者は多い。しかし、時代の匂いまで劇場に持ち込んで見事に観客をあの頃に連れて行った。そして25年。挫折した者たちはどう時代に折り合いをつけながら生きていくのだろう。3時間の芝居を全く時間を感じさせず面白かった!
ケラさんの手腕に感服です。
役者陣も素晴らしかった!
しかし、なぜ「睾丸」という題なのだろう?(笑)

ダンガンロンパ3
CORNFLAKES
サンシャイン劇場(東京都)
2018/07/20 (金) ~ 2018/07/23 (月)公演終了
満足度★★★
個人的な好みとしては、このシリーズ、江ノ島 盾子(神田沙也加)の存在あっての作品。映像だけの出演では物足りない。ストーリー自体もどうも曖昧さを感じる。アニメのストーリーはそれとして、舞台上には彼女の復活が欲しいところだ。

何度も壊れる赤い橋
The Stone Age ブライアント
小劇場 楽園(東京都)
2018/07/19 (木) ~ 2018/07/22 (日)公演終了
満足度★★★★
The StoneAgeブライアントは5月のコラボでの衝撃舞台からまだ2ヶ月。その以前に2回観た、説明少なめの芝居のテイストが戻っていた。同じ書き手とは思えない。緒方晋はこたびも緒方晋風味健在。舞台のほうは日常リアル感覚の延長にさらりと「鬼」を登場させ、行方を見守らせる。劇団10年やって見切りを付けるかどうか・・「青春の終わり」を迎えさせる事で鬼は鬼の世界に戻れるという、この設定が暗い陰を落とす。逆の設定なら、客も彼らの頑張りを応援し、期待の眼差しを寄せ、コメディタッチも可、ところが逆ときた。この設定の先に何を見せたいのか・・。
採用ケースは演劇によくある、「劇団10年やってきて30手前、見切りをつけるかどうか・・」。団員は四人。一人があるやむを得ない事情で退団させられるが、それをきっかけに三人は将来と向き合い、演劇を離れる決断をしてしまう。ここで絡むのが演劇志望者である彼らに安くアパートの部屋を貸している大家、人間が情熱を手放した(青春にさよならした)時に吐き出す言われる石を河原で探す妙齢の鬼のカップル、そうしたシステムもよく知らず教えを受ける女の子の鬼。
飄々とした拍子抜けな鬼の風情と、深刻がって「諦め」なる境地を身に引き受けてしまう人間との対比が何とも言えない。鬼はこの世界に一時的に寄留している事になっているが、様子からこの世に鬼は相当数いそうである。ただ両の存在はシステム上共生しえない。と、そこに先の退団させられた、最も情熱のある男をマークするていで見守っていた若い鬼、鬼ともつかない、人間に感化されつつある(かも知れない)彼女の存在が、ドラマに色を与え始める。
ただ、そこ止まりである。「ここから何をしようとするのか」「この後彼らはどうなるのか」までを見たい欲求は、そこここで残った。
ユニークな「楽園」の内部だが、装置としてステージ奥の90度の壁に模様の立体が貼り付けられていて、終演後に両面見える場所に立つと色彩バランスが良いのだが、客席からは片面を観続ける事になり、すると美的に難あり、なぜこうなのかと、妙に気になってしまった。

顔!!!
艶∞ポリス
駅前劇場(東京都)
2018/07/18 (水) ~ 2018/07/25 (水)公演終了

何度も壊れる赤い橋
The Stone Age ブライアント
小劇場 楽園(東京都)
2018/07/19 (木) ~ 2018/07/22 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/07/19 (木) 19:00
価格3,500円
え、そういうモノを出しますか!?な意外性もあるホロ苦気味ファンタジー。「少し不思議」系とも言えるか。
X-QUESTで橋本亜紀さんをよく拝見している身として、突飛な役どころが何の不思議も抵抗もなく受け入れられたし。(笑)

九月、東京の路上で
燐光群
ザ・スズナリ(東京都)
2018/07/21 (土) ~ 2018/08/05 (日)公演終了
満足度★★★
観る価値のある舞台でした。90年以上前に起こった出来事で子供の頃、学校での郷土史では、ほんの少し学んだだけでした。虐殺の歴史を本で読んで知るだけでなく演劇体験で感じるのも重要だろうと思う。
あの虐殺が今のヘイトスピーチにつなる。外国人技能実習生制度や入国管理局の状況のことを思い浮かべながら観劇しました。
誰でも、あるレッテルを貼られれば、虐殺される対象にされてしまう。そして虐殺する側にもなりうるのだ。

Minimal Magic Orchestra
天幕旅団
すむぞう外苑前スタジオ(東京都)
2018/07/18 (水) ~ 2018/07/22 (日)公演終了

存る日(あるひ)
藤一色
シアター711(東京都)
2018/07/19 (木) ~ 2018/07/22 (日)公演終了
満足度★★★★
初めての劇団さんでしたが、良かったです。適度に笑いもあって、ちょっと無理な設定もなんとなく受け入れられたし、ラストはやっぱり良い話でした。ただ。。。冷房がきつかったです。凍えました。外に出たらスマホが結露してました。

百華妖乱
ジョーカーハウス
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2018/07/19 (木) ~ 2018/07/22 (日)公演終了

大田王2018「DON'T CROSS 3 BEAMS」
ABCホールプロデュース公演
ABCホール (大阪府)
2018/07/20 (金) ~ 2018/07/23 (月)公演終了
満足度★★★★★
あれやこれや、色んなコントを詰め込んだ楽しい2時間でした!
羽曳野の伊藤くんは登場しただけで笑ってしまいます。三上、後藤との3人のコント大好き!
可愛いアイドル(松井悠理)、下ネタ姉さん(たくませいこ)、オモロイ司会者(ボブ・マーサム)、意味不明マジシャン(クスミヒデオ)、役立たず隈ペディア(隈本晃俊)、川下大洋(川下大洋)、楽しいねーいいねー!!

hang on 魂
MousePiece-ree
HEP HALL(大阪府)
2018/07/19 (木) ~ 2018/07/22 (日)公演終了
満足度★★★★★
ジジイ三兄弟は30年後の彼らでしょうねw
美津乃あわさん大沢めぐみさん、いいコンビ。縁側の立ち姿カッコイイ!
井路端健一君さわやかイケメン。髪型カッコイイ!
しかし一番は吉元遥さん。全編可愛い!丈二爺さんへの「〇ね!」オモロすぎ!!

ダンガンロンパ3
CORNFLAKES
サンシャイン劇場(東京都)
2018/07/20 (金) ~ 2018/07/23 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/07/22 (日) 12:00
プロジェクションマッピングが前回より進化。ストーリーの点では最後の30分はカタルシス。

死ンデ、イル。
モダンスイマーズ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2018/07/20 (金) ~ 2018/07/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/07/22 (日) 15:00
価格3,000円
4月29日 嗚呼、いまだから愛。
6月16日 悲しみよ、消えないでくれ
7月14日 消えていくなら朝
7月22日 死ンデ、イル。
モダンスイマーズの句読点三部作+1で蓬莱竜太4部作を観劇。
同じ様に4作品とも観た方も多かったのではないでしょうか。
どの作品も素晴らしかったのですが、
個人的には「死ンデ、イル」がいちばん心に突き刺さりました。
最後の2~3分のシーンは今思いだしても泣けてくる。
公演も残り1週間。
もう1回観ようか迷い中。

慕情の部屋 2018
スポンジ
駅前劇場(東京都)
2018/07/11 (水) ~ 2018/07/15 (日)公演終了
改めて芥川の「藪の中」はよくできた小説だと思った。
三者の証言が食い違い。
誰か一人の証言が本当ならば、その他二人の証言は嘘になる。
正にラショーモン・スタイルの原点にして最高作!
翻ってこの劇。
食い違うのは二者の証言。
それでは、面白さがグンと下がってしまう。
実話ベースとの事だから、そうなるのは致し方ないのでしょうけれど。

満州戦線
流山児★事務所
ザ・スズナリ(東京都)
2018/07/11 (水) ~ 2018/07/16 (月)公演終了
満足度★★★★★
海外脚本とは思えないほどシックリくる感じでした。戦争は単に二国が争うだけじゃなくて、いろいろの軋轢やドラマを生み出します。日本も海外ではいろいろ酷い事をしてしまっているのだろう、と想像されました。温泉ドラゴンとシライケイタから目が離せない感じ。次回はどこでお会いできるのでしょうか??