最新の観てきた!クチコミ一覧

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零れ落ちて、朝

零れ落ちて、朝

世界劇団

JMSアステールプラザ 多目的スタジオ(広島県)

2025/03/22 (土) ~ 2025/03/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

観劇にいざなう説明文では「シロかクロか、そのどちらか」と問われている。モチーフのひとつであるグリム童話『青髭』と、医師の戦争犯罪が重なっていく。

ネタバレBOX

童話と同じく、青山という男(本田椋)のもとに娘(小林冴季子)が嫁いだばかりの頃から始まります。娘は、舞台中央にある扉だけは開けてはならぬと言われており、それ以外の屋敷をすべて美しく掃除しなければいけません。娘は屋敷を美しく磨き白く保とうとしますが、結局、その黒い扉を覗いてしまいます。
白い屋敷のなかにある、黒い扉。その扉の向こうでおこなわれている行為はいわばクロ。加害行為を知ってしまった時、そこに立ち向かわなければその人はクロでしょうか、シロでしょうか。「白くありたい」と言う娘ですが、扉の奥の秘密を知る前から黒い衣装をまとっている彼女はを見ると、娘の背負う「クロ」とはなんだろうかと考えてしまいます。
嫁いだ娘が家じゅうを掃除する行為は、家父長制の象徴のようでもありました。それは、国に従い戦争行為に望まざるとも加担してしまった市民、という構図にも重なります。

寓話と史実を、小林冴季子のやわらかだけれどハリのある身体性と、シェイクスピア『マクベス』の三人の魔女のような近所の市民たちが繋いでいきます。本田椋は加害者の内面の矛盾や苦悩を体現し、バネのような身体がこわばり今にもはじけ飛びそうに見えることも。

本作冒頭では、娘が観客を作品世界へ誘います。そのため、さまざまな加害とその罪が描かれ、クロとシロが入り乱れるなかで、「加害を目撃する」あるいは「はからずも加害の共犯になる」という娘の立場についてをもうすこし深く覗いてみたくもありました。たとえば客席でなんらかの物語を「目撃している」ということに作用があれば、加害についての多重的な構造を体感としてより実感できたかもしれません。
しかし客席との接続という意味でいえば、中央の台が八百屋になっていること、それを伝う水などは効果的であったと思います。今回、わたしは3都市ツアーのうち、広島のJMSアステールプラザで観劇しました。会場によって美術も違うとのことで、それぞれどのような影響をもたらしているのか気になります。

第二次世界大戦の終結から80年。日本あるいは日本人が行った(被害をともなう)加害は、今の私たちの世界とどう接続しており、どんな未来へと繋がっていくのか。劇中には「人を殺して許されるはずはない」という台詞が出てきますが、その価値観はいつ誰のどんな背景によって信じられ、疑われうるものなのか。現代に上演するからこそ、演劇をとおしての過去との接続が未来に繋がっていくといいな……そう願ったのは、広島で観劇したからかもしれません。劇場からほんの数分歩き、原爆ドームをふくむ平和記念公園がいやおうなしに目に入る頃にはあらためて、加害と被害は地続きで、傍観と加担もまた切り離せないことを考えました。

初めての場所での観劇。施設入り口から会場にたどりつくまでに迷ってしまったので、開催室名や階数、矢印、誘導などの案内があるとありがたいです。
新天地へ

新天地へ

兵庫県立ピッコロ劇団

ピッコロシアター (兵庫県)

2025/05/31 (土) ~ 2025/06/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

近大の芸専で一度拝見している題目
流石プロ 格差を感じました
タイタニックを絡めた、アメリカンドリーム物語
夢は追い続けないといけないのだろうか…
楽しめました

ずれる

ずれる

イキウメ

シアタートラム(東京都)

2025/05/11 (日) ~ 2025/06/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

序盤に観て、もう一度観られたらなーと機会を窺っていたがマァ叶わず、記憶を手繰りつつ感想を。「外の道」以降のイキウメが、深い思索へ誘いながらも「謎解き」を頂点に据える娯楽作を封印し(演劇である以上娯楽には違いないが)、抜き差しならない現実に拮抗し得る「演劇」を具現する力に驚嘆しきりであった。という前段から「奇ッ怪」にて(題材の縛りからの必然としても)謎解きの快楽復活を見、さて今作はどう来るのか楽しみに会場へいそいそと向かった。
大いに納得させられる舞台。詳細はまたいずれ。

メイクコンタクト

メイクコンタクト

劇団ZERO-ICH

雑遊(東京都)

2025/06/04 (水) ~ 2025/06/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

始まり方がおもしろく、とてもひきつけられます。

ネタバレBOX

話が予想もしない展開、セリフが続々とあり、バラエティに富んでいて、楽しくなりました。個性豊かな登場人物の、熱のこもったセリフ、熱演によって、ボルテージの高い舞台に感じました。
楽屋〜流れ去るものはやがて懐かしき〜

楽屋〜流れ去るものはやがて懐かしき〜

しがない会社員は週末だけヒロインを夢見る

カフェムリウイ「屋上劇場」(東京都)

2025/05/16 (金) ~ 2025/05/18 (日)公演終了

実演鑑賞

劇団Q+所属の女優・美雪による自主公演の旗揚げは 清水邦夫の「楽屋」。 70分ほど。5月18日までカフェムリウイ屋上劇場。

https://kawahira.cocolog-nifty.com/fringe/2025/06/post-bb3c55.html

優しい劇団の大恋愛Volume九劇『暗黒提灯物語〜娯楽町のさびしいお祭り〜』

優しい劇団の大恋愛Volume九劇『暗黒提灯物語〜娯楽町のさびしいお祭り〜』

優しい劇団

浅草九劇(東京都)

2025/06/04 (水) ~ 2025/06/04 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

(笑えた度)3(今感)3(完成度)5

始まる前からただならぬ気配を感じていた。

なにい、平日マチソワ2ステのみだとおおお、こんなのプラチナ以外の何ものでもない、おっと案の定予約できない、えええー、予約再開するだとおおおお。
お代は観てのお帰り。往年の川村毅や河原総代のような凄腕の興行師みを感じる。少し気温があがっていて、フラフラしながら浅草に向かった。吸い寄せられている。あぶないあぶない。

ネタバレBOX

先人は言った。
「僕の前に道はない、僕の後ろに道は出来る」
(高村光太郎「道程」)
 
最新の科学では、こうなるらしい。
「私が観る前に芝居はない。観る時、そこに芝居ができる」。
眉唾だ。
しかし、ちょっと信じてしまいたい時もある。
そんなことを感じさせる芝居。 
魅惑的な言説で騙すなら、とことん嘘をつき通してほしい。
私のためだけに演じてくれていると信じたい。
愛すべき虚構の、目眩く世界。

寺山、唐、蜷川からの小劇場50余年の歴史を彷彿とさせるシーンが、仮設や手持ちのライトに照らされて、走馬灯のように展開していく。お迎えが来たのかと、錯覚するような出来栄えだ。あぶないあぶないあぶない。

AI曰く、
「エントロピーは観測によって決定的に減少する場合があります。これは、観測対象が特定の状態に収束するためです。観測によってエントロピーが減少する場合、観測者側の系でエントロピーが増大する可能性があります。」
観測を観劇に変えて読むと味わい深い。構築された芝居を見ると、観るほうがとっ散らかっていくというのだ。どうりで心がかき乱され、脳が破壊された訳だ。  

...................................

シンプルに万感を込めて「面白かったです。」でいいのではないかとも思ったが、同じプラットフォーム内で、よそ様の芸風を丸パクリするのも気がひける。だが、改めて今回の作文を読み返すと、衝撃のあまり、結局「面白かった」ということしか言えていない。うーん。

面白かったです。
『流浪樹~The Wanderer Tree~』

『流浪樹~The Wanderer Tree~』

ゴツプロ!

本多劇場(東京都)

2025/06/02 (月) ~ 2025/06/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

1941年から5年間ほどの食堂が舞台。分かりやすい、観るべき作品。歴史の波に飲まれた人々がここにもいた。日本の勝利を信じて兵役志願で来日した台湾の若者。戦時下の状況を信念をもって伝えようとした記者。皆さんとても説得力のある役作りで素晴らしく、涙が幾度もこぼれ落ちた。前半の丁寧な描かれ方からラストに向けて個人レベルではどうにもならない悲しみ怒りの爆発の場面が堪らなかった。

尾﨑優人一人芝居 北極星のがなりマイク

尾﨑優人一人芝居 北極星のがなりマイク

優しい劇団

浅草九劇(東京都)

2025/06/03 (火) ~ 2025/06/03 (火)公演終了

実演鑑賞

この劇団の公演は、昨年10月に「歌っておくれよ、マウンテン」を観ており、熱く勢いのある といった印象を持っていた。今回は主宰 尾﨑優人 氏の一人芝居で、登場人物54人を演じ分ける。仕草や声色で違いを表しているが、主要な人物は特定できるため 違和感はない。舞台セットはパイプ椅子1つ、そして演じるだけではなく、照明や音響などの装置の操作まで自分で行う。

今回 観劇しようとしたのは、他の人も「観たい!」に書いているが、「吉田小夏さんが『観たい!』に投稿している」ことが決め手。物語は 説明にある通りだが、劇中というか休憩時に 三場面で構成されている旨説明する。その場面毎の内容も 纏まっており分かり易く、例えば 三話を三色団子の串刺しのように捉えれば 全体が理解し易い。

演劇愛に満ち溢れた台詞が印象的…演劇には可能性がある、出来ないということはない。舞台という創造の世界、それを観客の想像する という無限に訴えかける。限りなく広がる空想の世界が演劇、そんなことを熱く語る。 劇団の特徴であろうか、台詞を”大声で熱く語る”のだ。
(上演時間1時間35分 休憩?場と場の間に2回 1回3分程度)

ネタバレBOX

前説が 既に一人芝居のようで、開場時から上演直前まで喋り続け、そのまま本編へ。舞台と客席を一体化し、大いに盛り上げ楽しませようとする。

数千年後の未来。地球から遠く離れた人工惑星〈スペース第七ナゴヤ〉、そこにあったのは「ばみり」。悠久の時を超え、「ばみり」は小さいながら存在感を示す。まさに舞台(演出)の質を左右し、語源は「場(を)見る」と言われているほど重要なもの。

壮大な物語の中に小さな「ばみり」、しかし それがなければ舞台の質は保てない といった比喩であろうか。ちなみに本公演、照明の位置に「ばみり」はあったが、他にあったのだろうか?
次回公演も楽しみにしております。
『流浪樹~The Wanderer Tree~』

『流浪樹~The Wanderer Tree~』

ゴツプロ!

本多劇場(東京都)

2025/06/02 (月) ~ 2025/06/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

面白い、お薦め。
戦中戦後の様子を、市井の人々の暮らしを通して描いた骨太作品。国家(戦局)と報道、その時代における真実とは を鋭く問う。謳い文句「日本人と台湾人が共に歩んだ記憶を、未来への一歩に。」にあるように、日本人と同じように戦場に行こうとする台湾人(青年)と日本人の意識、大きな歴史の渦、同調圧力とも言える風潮をしっかり描く。戦時中であろうが 戦後の混乱期であろうが、それでも 力強く生きて行こうとする姿が…。ラスト、台湾人の青年 明(アキラ)の「行ってきます」、それに対し姉 淑華(キヨカ)の「お帰りなさい」は、まるで”流浪の樹”。

物語は、1941年から1946年夏 東京郊外にある食堂「華珍食堂」が舞台。その食堂は琉球出身の夫と台湾人の妻が経営しており、近くに戦闘機部品を製造する工場がある。戦時中の考え方や生き方、それが敗戦とともに がらりと変わる、いや 変えざるを得ない 。その時、台湾人の青年の居場所は、そして自分は何者なのかアイデンティティを突き付けられる。それは 日本人も同じで、心の葛藤と慟哭が観客の心を揺さぶる。

舞台美術は食堂内を作り込み、路地裏といった場所での取引。派手な音響(空襲時は別にして)や音楽はないが、実に細やかな情景を描く。例えば、空襲時に逃げ込んだ防空壕の中で赤ん坊の泣き声が、か細く聞こえる。もう居た堪れない気持になる。勿論、役者陣の迫力と緊迫した演技から目が離せない。見応え十分。
(上演時間1時間50分 休憩なし) 追記予定

『流浪樹~The Wanderer Tree~』

『流浪樹~The Wanderer Tree~』

ゴツプロ!

本多劇場(東京都)

2025/06/02 (月) ~ 2025/06/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/06/04 (水) 14:00

戦争時の台湾と日本の歴史の一部がわかり、良かったです!

秘密

秘密

劇団普通

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2025/05/30 (金) ~ 2025/06/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

「感染症下で暴かれたこと」

 2020年公演が中止となりようやく2022年に初演された作品の再演である。ポストコロナの時代に感染症について描かれた作品を観られたことに深い感興を覚えた。

ネタバレBOX

 ある地方に暮らす老父(用松亮)の世話をみるべく娘の由紀(安川まり)が帰省している。体調不良で母親(坂倉なつこ)が入院してしまったのだ。幸いにも昨今流行している感染症に罹患したわけではないようだが、妻がいなければロクに身の回りのことができず、いつも言葉少なな父親を由紀は気が気でない。兄の哲也(泉拓磨)と義姉の亜希(川口雅子)夫妻、従兄弟の日出夫(吉田庸)、美佐子(青柳美希)夫妻が時折見舞いに訪れるものの、庭木の世話から日頃の家事まですべて由紀任せになっている。ようやく退院した母だったがすぐに元通りとはいかず、滞在が二ヶ月近くに及ぶ由紀の不満が一気に爆発する事件が起きてしまうのだった。

 数年前まで多くの人々が直面していた感染症の流行による介護問題を描いた本作は、日常生活を淡々と丁寧に描くことでそれぞれの家庭に隠された「秘密」をあざやかに解体していく。兄夫婦や従兄弟夫婦は気遣ってはいるものの、それぞれに子どもや親の世話を負っているため誰も由紀の代わりにはなれない。老いて病み上がりの両親もまた娘なしには食事を作ることすらできず、介護サービスを受けようともしない。言葉少なな対話のなかに隠れた本心が台詞以上に雄弁で何度も見入った。父親役の用松亮の挙動に会場は特に沸いていた。さすがに似たような場面や台詞が多いため退屈するくだりもなくはなかったが、豊かな時間を過ごすことができた。
リア

リア

劇団うつり座

上野ストアハウス(東京都)

2025/05/28 (水) ~ 2025/06/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/05/31 (土) 17:00

 岸田理生作『リア』を観た。これはW.シェイクスピアの戯曲『リア王』を基にしながら女性の視点から捉え直した作品といったようなことがCoRichのあらすじに書かれており、一体どうやってW.シェイクスピアの『リア王』を題材にしながら、それを換骨奪胎してどんな劇が私の眼前に立ち現れてくるのだろうと、期待と不安が入り混じった感じで観に行った。

 実際に観てみると、岸田理生版では、劇中前提条件となる老王リアが幽玄の時間から歩み出てきて琵琶法師に、自分が何者であったかを聞くといったところ、老王リアには、3人姉妹でなく、2人の姉妹がいることになっていること、登場人物たちが明確な名前を持たず、現代演劇でありがちな具体性を持たない名前になっているところも含めて、物語の根幹にある部分が大きく改変されていて、それでいて観ている観客側に違和感を感じさせず、父であるリアと娘の長女との対立や葛藤に焦点を合わせて丁寧に描いていて、今においても色褪せない、謂わば家族の葛藤や対立と言ったテーマは時代を越えて、国や民族を越えて、永遠に考えさせられるものだと感じた。

 大抵の場合、最初父の老王リアが王位を退くに当たって、3人の娘の内で孝行な者に領地を与えるとの約束に、領地欲しさから父王に聞こえの良い、都合の良いことを言って父王に気に入られ、領地を与えられる。それに対して、素直な物言いをした三女は、父王に怒りのあまり追放されるといった展開になり、その後話が進行するに従って、上の娘たちが如何に薄情で、裏切り者で、嫉妬深く、謀略に長けてるかが分かる展開となり、上の娘たちが嫌な徹底した悪女として描かれがちだ。
 しかし今回の岸田理生版『リア』では、リアが王位を退くと、長女は今までの態度を急に手のひらを返したかのごとくに硬化させ、自分の時代が来たとばかりに、今まで父親に縛られ自由に身動き出来ず、封建的、閉鎖的社会に外においても家においてもがんじがらめになっていたところからようやく開放されたという感じから、父王が座っていた玉座に座り、若いうちにという感じで、闘剣で家来の男たちを戦わせて、勝った物には褒美として装飾がされた美しい剣や黄金を与えるのではなく、王宮に仕える高貴な女性や自分との性的な関係を結ぶことを褒美の代わりとするような放埒振り、さらにリア王を可愛そうな老人と吐き捨てるように言うようになる上、リア王の忠義者の老人を自分の家来に指示して両眼を潰させたり、リア王の象徴だった王冠を奪って長女が被り、元王の老人には木の枝で結わえた粗末な王冠被せ、王宮から追放した上、時々娘の顔見たさに帰ってくることも許さず、道化たちを伴って荒野を着の身着のままで彷徨わせる。さらにお金に困っても支援せず、親子の縁はこれで切れたとばかりに絶縁を宣言する。さらに心優しいが口数少なくほとんど喋らない次女も、時々元リア王だった身寄りのない老人を不憫に思って自分の家に招いたことを快く思ない長女は、いくら自分の妹とはいえ、このまま生かしておいたら、元父王リア、また私のことを快く思わない諸外国の王たちといつか結託して反乱を起こして、成功させるんじゃないかと言うような疑惑から妹の次女を、自分の忠実な家来に宮殿の中で首を絞めて殺させる。しかしそれでも飽き足りない長女は、自分の忠実な家来で、自分と性的な関係にある男を、実は密かに反乱を企ててるのではないかと疑い、寝室で情事に耽る最中、短刀で突いて殺すと言ったように、元になったW.シェイクスピアの『リア王』よりも一見救いがなく、W.シェイクスピアの『マクベス』よりも凶悪で冷徹で、残忍で非道、手段を選ばず、共感、同情の余地さえ見受けられないここまでのピカレスクぶりは、むしろ天晴と言っても良い。
 しかし当然のことながら、長女もやはり人間なのか。劇の終盤が近づくにつれ、今まで殺したり追放し、自分の周りにはイエスマンしかいなくなったが、元リア王の気狂いになった哀れで薄汚くてかつての威厳や栄光はどこへやらの弱々しい老人を自分の手で殺し、これで封建制や閉鎖的社会、父権的といったものに全て勝ち得て、全ての事柄から開放され、これからは父の幻影を見る必要もなく、今まで以上に自由に生きることができ、自身が完全に自立できたと確信するが、父を殺した後、寧ろ父や家来を殺した幻に悩まされ、今までよりももっと不安と恐怖に怯え、誰も信用出来なくなって塞ぎ込み、不眠に悩まされ、身体を壊し、徐々に精神も壊れて、気が狂っていき、気付くと長女自身も幽霊になって彷徨っているという、何処か因果応報的だが、この岸田理生版『リア』がせめてもの救いがあるとするなら、長女が死してようやっと自分が殺したリアに許されるといった展開が用意されてるところぐらいか。

 元々、シェイクスピア悲喜劇の中でも『リア王』は、コミカルだったり笑いやユーモアが極端に少なく、登場人物たち誰一人として幸せになれない、救いようがない作品だったが、岸田理生版『リア』はよりコミカルだったり、笑いやユーモアと言ったものが殆んど無く、独白も多くて、実験演劇的で、深刻で残虐で緊迫して、何処か生々しさが目立つ場面が多かったが、それこそが今を生きる私たちの現実でもあり、なかなか変わらない世の中、生き辛い世の中、未だに多様性とは言い切れないこの日本、ジェンダー問題一つとっても、女性の首相どころか、会社の部長かそれ以上のクラスで女性が殆どそういった責任ある役職に付いておらず、そもそも未だに男性と女性とで給料に格差が生じたりと言ったこともこの日本では全然解決されていない。そんな時代だからこそ、岸田理生版『リア』の長女のような、男社会の中で野心と野望で持って手段を選ばず成り上がり、しかし忠実な家来や実の妹を殺し、父を殺したことから、長女自身鋼のメンタルとは言えず、気が狂い亡くなって幽霊となるまでの過程が、ただの大悪人や、闇を抱えた異常な人物として描くのでは無く、傍から見たらそういうふうに見えつつも、その実どこか人間味が完全には消えない生身の等身大の人間、思い悩み、葛藤する複雑な感じに描いているところが、非現実的なまでに誇張して描き過ぎるよりも、リアル味があって共感できた。
 長女は、ついつい弱音を吐きそうになる自分を、自分自身で牽制し、父権的、封建制、閉鎖的なるものと孤軍奮闘し続ける姿勢が、今を生きる人たちにとって多少の励みとなるのかもしれないと感じた。

メイクコンタクト

メイクコンタクト

劇団ZERO-ICH

雑遊(東京都)

2025/06/04 (水) ~ 2025/06/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/06/04 (水) 14:00

明るく、前向きで楽しい舞台でした!

登場人物一人ひとりのキャラがきわだっていて皆さん愛らしいキャラでしたね。

ドタバタファンタジーな内容なのにホロリとする部分もあり前向きになり元気もらいました!

ネタバレBOX

劇中、いちいち(褒めています!)ミュージカル調になるのがうざ面白くて笑いました!

フリーターのかた役の歌声も素敵でした!

「地球人のかた、無料のお時間は終わりになります」のような台詞がありましたが、この続き気になります~!

続編も観たいです。
『パンとバラで退屈を飾って、わたしが明日も生きることを耐える。』再々演ツアー2025

『パンとバラで退屈を飾って、わたしが明日も生きることを耐える。』再々演ツアー2025

趣向

スタジオ「HIKARI」(神奈川県)

2025/05/09 (金) ~ 2025/05/11 (日)公演終了

実演鑑賞

021年初演(未見)、2022年の再演を経ての再々演は、長野、大阪のツアーを経て、初演と同じ神奈川県立青少年センタースタジオHIKARI。5月11日まで130分。三演とも同じキャスト、作演というのも珍しい。

https://kawahira.cocolog-nifty.com/fringe/2025/06/post-04d85f.html

ヘンリー四世 第一部

ヘンリー四世 第一部

イエローヘルメッツ(Produced by GMBH)

ROCK JOINT GB(東京都)

2025/05/29 (木) ~ 2025/06/01 (日)公演終了

実演鑑賞

良かったです。

尾﨑優人一人芝居 北極星のがなりマイク

尾﨑優人一人芝居 北極星のがなりマイク

優しい劇団

浅草九劇(東京都)

2025/06/03 (火) ~ 2025/06/03 (火)公演終了

実演鑑賞

面白かったです。

琴弾鳥の嘘 ~探偵 御手洗泰親 登場~

琴弾鳥の嘘 ~探偵 御手洗泰親 登場~

演劇企画戯舎

「劇」小劇場(東京都)

2025/05/21 (水) ~ 2025/05/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/05/22 (木) 19:00

太平洋戦争のインパール作戦で重傷を負い記憶も喪失して復員した男をめぐるミステリー。(以下ネタバレBOXへ)

ネタバレBOX

顔を含む大火傷によりゴム製のマスクを着けた男、その男について勘付いた人物の遺体が見つかったのが「蒲田操車場」と、往年の名作推理(終盤のアレも深読みすれば武田泰淳?)のオマージュにニヤリ。
そしてそれらをかけ合わせての物語、佐藤主宰の「好み」が前面に押し出されて「同好の士」として堪能。
来訪者

来訪者

劇団未来

未来ワークスタジオ(大阪府)

2025/05/30 (金) ~ 2025/06/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

とても良くできた作品と言う印象です。テーマも分かりやすく、とても面白かったです。セットもしっかりしていて、演者の演技も安定しており、見ごたえがありました。また機会があれば是非とも拝見したいです。

『流浪樹~The Wanderer Tree~』

『流浪樹~The Wanderer Tree~』

ゴツプロ!

本多劇場(東京都)

2025/06/02 (月) ~ 2025/06/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

戦争ものは辛くなるので避けていたのですが、中津留さんが体調不良で降板と聞いてこれは応援しなければと急遽観に行きました。行って良かったです。中津留さんの作品をいくつか観ていますが、今回はいつになく優しさを感じました。
初日ということで帰りに花束をいただきましたが、包装紙の中にお花について説明があってそれも素敵でした。

『流浪樹~The Wanderer Tree~』

『流浪樹~The Wanderer Tree~』

ゴツプロ!

本多劇場(東京都)

2025/06/02 (月) ~ 2025/06/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

俳優さん達の演技が見事でした
台湾の俳優のお二人の母国語は北京語で
このお芝居の為に今は使われることない昔の台湾語と日本語を覚えたんだそうです
外国の方々が結構来てましたが
こんなに良く出来た良い芝居なのに
客席が半分くらいしか埋まって無かったのが勿体なかったです
お薦め

帰りにチャーハン食べました



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