紫苑物語
新国立劇場
新国立劇場 オペラ劇場(東京都)
2019/02/17 (日) ~ 2019/02/24 (日)公演終了
満足度★★★★
1幕は寝てしまった。メロディーなし、不安と混沌の現代音楽はやはり難解。しかし、血が次々流される舞台は結構わかりやすかった。幕間にパンフで作曲家ノートをしっかり予習して臨んだ2幕はよくわかった。緊張感と緩急のある2幕だった。
ただ、平安貴族の生活をもとに無と悟達の境地に至る世界は、オリエンタリズムの東洋理解のステレオタイプではないか。抽象的な現代音楽で描くには、こういう象徴的世界が合うのはわかる。それでも、世界に発信する日本オペラというと、能や禅の「東洋的神秘」をネタにするのはもうやめたらどうか(今回は能がネタではないけれど)。沖縄や高齢化など現代日本の矛盾と苦悩をとらえたオペラを見たい。
みみばしる
ゴーチ・ブラザーズ
本多劇場(東京都)
2019/02/06 (水) ~ 2019/02/17 (日)公演終了
満足度★★★★
2月15日(木)のTBS「ジェーン・スー 生活は踊る」冒頭でこの作品に触れていて、
超ラジオリスナーである私は観に行くしかない、と。
(J-Wave及びJUMP OVER、松居大悟氏、本仮屋ユイカさんに思い入れはありません)
ハードルを上げすぎた所為で肩透かしを食ってしまいましたが、まぁ良いお芝居でした。
ネタバレBOX
30歳を前に会社をクビになった女性が主人公。
妹の聞いているラジオを偶然聞いてリスナーに。そして、投稿。DJに励まされる。
DJの「足が動かない」は嘘っぱち、親身に相談に乗っているようでいて、裏では
「もっと不幸なお悩みないのかよ!俺はもっとステージを上げたいんだ!」
と俗物な振る舞いを見せるDJ。
主人公は読まれるために投稿する内容に嘘を盛り込み、衝撃的なものにしていく。
そしてその後、DJの「足が動かない」の嘘がバレてYahooニュースになり……という展開。
110分のお芝居で、もっとエンディングに向かって凝集していくような造りになっているのかな、と
思ったのですが、ちょっとその過程が雑に感じました。
良かったのは
(1)曲と歌(音楽監督・石崎ひゅーい氏、歌・ワタナベシンゴ(THE BOYS&GIRLS))
(2)最後の歌の揃ってる感じと圧
チケットが6800円とちょっと高めなのを考えると、細かく言うと★3.5かな……
最期の作戦行動
有機事務所 / 劇団有機座
阿佐ヶ谷アートスペース・プロット(東京都)
2019/02/15 (金) ~ 2019/02/17 (日)公演終了
満足度★★★★
有機座さんの作品は3度目の観劇となりますが今作品が本来の規格路線だったのですね。
「なるほどなぁ」と過去作の経緯を鑑みながら、納得しながらの有意義な公演でした。
舞台は1980年頃の喫茶店。
新たな出逢いが生まれる交流の場として、何ともまったりした時間が流れておりました。
まったりが過ぎるのじゃないかと言えなくもなく、表現のぎこちない方もおられましたが、もし全てが効率的で完璧な演技であったなら。と考えると、それもまた違う気がしています。
隙がある処が味になるという事か、上手く表現できないのですが・・・
舞台上には演者として気概ある方が多く、小劇場ではこの気概がダイレクトに伝わってくるので、かなり有効な強味だなと思えたのは確かです。
あ~ぁ劇友さんがいれば、あーだこーだ色々ツッコミしながら帰りたかった!
そう思わせる魅力。
良くも悪くもひっくるめて人間味の詰まった舞台、結論は「とても楽しめました!」です。
ポストグラフ【福岡】
彗星マジック
パピオビールーム・大練習室(福岡県)
2019/02/16 (土) ~ 2019/02/17 (日)公演終了
満足度★★★★
衣装が華やかでにぎやかなお芝居だった。
だけど芸術家って苦悩が深いんだな~ とても凡人にはなれない。
知らない歴史をおもしろく知ることができた。アルルが可愛かった~♪
怪童
劇団献身
OFF・OFFシアター(東京都)
2019/02/06 (水) ~ 2019/02/13 (水)公演終了
満足度★★★★
主宰・奥村さんの作る物語ほんと好き。人の意表を突くたくさんの笑い、でもただ笑わせるだけじゃなく、ちゃんと感動させるとこもある。ただ単純に笑う事が好き、面白い事が好きな人ならめっちゃはまると思う。ただ少しでも評論家気質な構成とか深く考えちゃう方々はちょっと違うと思う人がいるのかな?とみなさんの感想を見てて思いました。私は献身、好きだし今後も楽しみだし見続けます!
ドキュメンタリー
劇団チョコレートケーキ
ぽんプラザホール(福岡県)
2019/02/15 (金) ~ 2019/02/17 (日)公演終了
満足度★★★★★
期待以上の素晴らしさ、脚本も役者さんもその奥深さに感動した。
「遺産」を購入した。観るのが楽しみだ~また福岡に来てほしい。
タイム・フライズ
ミュージカル座
光が丘IMAホール(東京都)
2019/02/16 (土) ~ 2019/02/19 (火)公演終了
満足度★★★★★
観劇しました。大迫力ステージで上演時間が短く感じられました。ストーリー自体はありがちなものでしたが、ステージ上の若手の必死さが伝わってきました。いいものを見させてもらいました。
強がる画家たち
Prayers Studio
インストジオ(東京都)
2019/02/14 (木) ~ 2019/02/17 (日)公演終了
満足度★★★★★
わくわくしました。
私たちはどこに座ってどういう風に見れるの? と思って
どきどきしてましたが、
あぁーー!!こういう…!という感じ。
どこまでも、役者さんの表情や仕草を追えるところが
ほんとに、うおおぉぉ…っとぞくぞくくるところです。
(他の演目もそうです。やばい。初めの一歩の瞬間から気になっちゃう。なになに?その表情は何?何してるの?とかとか)
ネタバレはネタバレboxに書こうかと思ったのですが、
やめる。体感した時のぞわぞわを、場所が変わる感じを、
役者さんたちのやり取りを、何が起こるの?って目が離せなくなる感じを、体感した時の感覚は摘みたくないぃ。。
これも立派なネタバレか。w はっはw
まぁいいや。
ダブルキャストの何がいいって、(これは公式にあるからね!ネタバレじゃないよ!)
全く違うやりとりになること。
感じ方は、性差、年齢差、もうそもそもその人の感覚の違いなどなどあるけど、
うわぁ〜〜〜この役者さんだとこうなるのか〜〜〜
っていうのが1回の公演で2回見れるのは、
うわぁ〜〜〜〜こうきたか〜〜〜ってやつ
めっちゃおいしかった一品が、同じ材料で全く違う一品になってて
酒ください〜〜〜〜ってなるやつです。伝わってほしい。
映画館で、作品終わった後、エンドロールを見終わって立ち上がる時に、
いろんな人が話し出す感想をこっそり聞いてうんうんわかるよ〜〜と思ったり、
なるほど…そんな見方が…とか思ったりするのが好きなんですが、
そんな要素が盛り込まれているのも、わたしはすごい楽しいポイントです。
そういう人のためにちょっとお話しすると、
わたしは、
あ〜〜〜〜〜〜女子わかる〜〜〜〜!!!
やってしまうことある…逆にやられてしまうこともある…
みたいな。
男子じゃないから、男子はあるある〜〜〜 かわからないけど、
ひひwちいせぇ〜〜ww(ごめんなさい。w)って
笑ってしまうところが多々ありました。
そういう点では、自分もちいせぇ〜〜wあるあるwって思ったところがあったり、
そういう人見たことあるわ〜〜wwって思って笑ってしまったのかもです。
この数時間がめっちゃ濃くて、
わたしは金曜夜とかに見て、土日にモチベーション高く好きなことやりたいです。w
または、土日にちょっとおめかしして特別感を味わうか、
週半ばの、「土日早く〜〜」って時にあえてみにいって
うお、、なんか明日もやってけそう、、ってなるのもありだなぁって思います。
次の公演も是非やってほしい。
次回、どんな感じで変わるのか、変わらないのか
次は絵を描くのが好きな友達も連れていきたいのです。
(仕事でどうしても来れなかったから。)
んで、友達と「わっは〜〜〜〜わかる!!あれね!!」とか言いたい。w
みみばしる
ゴーチ・ブラザーズ
本多劇場(東京都)
2019/02/06 (水) ~ 2019/02/17 (日)公演終了
満足度★★★★
ゴジゲンファン、j-waveリスナーときたら、「みみばしる」観ないはずがありません。ひゅーい君が音楽監督、ワタナベシンゴ君が歌うとのことで、いやいやひゅーい君が歌ってこその、なんて思ってましたが、ワタナベシンゴ君、歌、かなり良かったです。響きました。タカハシマイさんも歌手なのに演技とても良かったです。玉置さんもさすがの存在感、目次さん最強さんゴジゲンコンビ役は遠かれど見られてよかった!他役者さんもリスナーさんもみんな力強く存在してました。楽しくも考えさせつつも様々な舞台でした。又吉さんと松居さんのアフタートークも面白かった。まだ終わってないけどまたいつか見てみたい。
ボーダーライン
ジャグリング・ユニット・フラトレス
大阪市立芸術創造館(大阪府)
2019/02/16 (土) ~ 2019/02/17 (日)公演終了
満足度★★★★
あまり期待していなかったですが、とても良かったです。泣けました。ジャグリングとの融合も良かったです。次回にも期待しています。
AFTER塩原JUNCTION
塩原俊之自主企画興行
イズモギャラリー(東京都)
2019/02/15 (金) ~ 2019/02/19 (火)公演終了
満足度★★★★★
3本とも全く違う感じのお芝居を見せていただきました。
それぞれ、とても面白かったです。
またこんな企画あるといいなと思いました。今後も期待しています
台所太平記~KITCHEN WARS~
劇団ドガドガプラス
浅草東洋館(浅草フランス座演芸場)(東京都)
2019/02/16 (土) ~ 2019/02/25 (月)公演終了
満足度★★★★★
ドガドガらしい歌って踊って楽しい作品。いつもよりもアングラ色が薄められており,自分的に丁度良い芝居に仕上がっていた。浅草は遠いけど,やはりドガドガは観に行く価値がある。久し振りの役者さんや思いもしなかった配役での役者さんなど,ドガドガを何度も観ていると役者さんたちにのめり込んでしまい,彼ら彼女らを観ているだけで楽しい。客席まで一体となって盛り上がる大衆演劇。目指せ!浅草公会堂‼
帰ってきた国産本マグロ
国産本マグロ
サブテレニアン(東京都)
2019/02/15 (金) ~ 2019/02/17 (日)公演終了
満足度★★★★
最初はコント、そして2人芝居という構成でしたが、とても面白かったです。コントは、本当の芸人さんのように面白く、劇は意外性のあるストーリーで、笑いあり切なさあり感動ありでした。出演していた2人共、演技も良く表情豊かで魅力的な役者さんでした!
ビョードロ
おぼんろ
新宿FACE(東京都)
2019/02/14 (木) ~ 2019/02/17 (日)公演終了
満足度★★★★★
切なく悲しい作品でした。いつの間にか、どんどん不思議な森の中に入り込みました。ただ、個人的には客いじりは好みではなく、それにより、現実に引き戻されてしまう気がしました。人の心の中にある貪欲さ、純真さ、裏切り、愛・・色々な事を感じました。役者さん達が右往左往走り回るので、どこに座っても楽しめ、そして、ムーブメントアクターの方々の存在感がすごかったです。ラストは、涙が出て仕方ありませんでした。自分でも、こんなに涙が出てくるとは?!という不思議な感覚でした。心洗われるような素敵な舞台でした。
最期の作戦行動
有機事務所 / 劇団有機座
阿佐ヶ谷アートスペース・プロット(東京都)
2019/02/15 (金) ~ 2019/02/17 (日)公演終了
満足度★★★
1970年代後半から80年頃、ある港町にある喫茶ドルフィンに集う常連客による会話劇。タイトルは「最期の作戦行動」とあり戦争を巡る物語であることは容易に連想できるが…。
(上演時間1時間50分)
ネタバレBOX
昭和という時代を感じさせる喫茶店内。上手側が店出入口、ピンクの公衆電話があり、下手側にあるカウンター上にはレコードプレーヤーが置かれている。店内中央にテーブルや丸椅子が置かれ当時の雰囲気をそれとなく醸し出している。
物語は喫茶店に集う常連客のそれぞれの思いが語られるが、主に戦艦大和の元乗組員と自衛隊員の話、芸能関係の仕事に関する話という2つの流れに大別できる。その話の間には(有機的)繋がりがあったのだろうか。確かに戦争の悲惨さを実体験を踏まえ語り伝える世代が少なくなる中で、平和に対する危機感を訴えることは必要だと思う。しかし、その主張を今から約40年前の時代に設定する必然性は何であろうか。今の”改憲論議”に対する思いを観客に委ねたのであろうか? 物語では戦争の語り部である大和乗組員・杉山秀雄が亡くなってからも、芸能関係の話が続く。平和ゆえに出来る仕事という比喩であろうか。
2つの話がどのような関係で繋いでいたのか分からない。単なる喫茶店での談話の域に止まったと思う。その意味で元戦艦大和乗組員の語りに込めた主張が弱く、もっと言えば伝わらないのが残念であった。理屈を並べることは出来ると思うが、杉山は理屈ではなく心情を吐露し、聞いていた自衛隊員・水野にしても隊員としての任務と現場感情での戸惑いは、あくまで”心情”。この”情”が機微に触れてこない。
卑小かもしれないが、父と息子の邂逅のきっかけ…元戦艦大和乗組員は新聞の死亡記事に掲載されるほどの人物であったのか。台詞から身寄りもなく、高級士官でもない人物の死亡記事はどうしてか(地方紙_訃報欄ならあり得るか)。
演出では、場面転換における暗転時間が少し長いと思う。その間に昭和歌謡を流し雰囲気を出しているが、もう少しテンポよく出来ないだろうか(時の刻みは丁寧)。
そして演技に関しては、力量差がありバランスを欠いていたように思う。
以上、辛口コメントをさせていただいたが、全体的に当時の喫茶店で話していたであろう談話、時代という雰囲気は十分感じられた公演であった。
次回公演を楽しみにしております。
カーテンを閉じたまま
Ammo
シアター風姿花伝(東京都)
2019/02/14 (木) ~ 2019/02/19 (火)公演終了
満足度★★★★★
硬質、骨太といった印象で観応え十分な作品。何となくスタンフォード大学のある実験を思い出してしまうが…。
(上演時間2時間)
ネタバレBOX
セットは冒頭、引っ越しの荷造りで色々なものが乱雑に置かれている。中央に丸テーブル・椅子、上手壁には暖炉があり、その傍のソファー。下手に書棚が置かれている。その中で老婦人(前園あかりサン)がソファーに座り引っ越し光景をぼんやりと眺めている。中央奥にはカーテンが閉められた窓がある。すぐにパリでの留学場面へ転換する。
梗概…サロト・サル(ポル・ポト)とパリの大学で一緒だった老婦人の回想として展開していく。この時代(1950年前後)はカンボジアからフランスへ留学できるのはごく一部のエリートだった。この公演は、1952年のフランス留学中と2006年のカンボジア特別法廷が開かれた年を往還する。
今年も新たに同国から新入生迎えるため、慣例に従って催しをすることになった。そして選んだのがシェークスピアの「リア王」である。ここでポル・ポトが演出を担うことになり、同級生たちを演出という名目で指導していく。この指導によってポル・ポトの主義主張である思想(共産主義)に洗脳していく。この過程が舞台稽古と称して軟禁状態にし一人ひとり理屈で追い込む。この場面における役者陣の演技は素晴らしい。
この演出家という立場の利用が何となくスタンフォード大学で行われた実験を連想する。それは心理学者の指導の下に、刑務所を舞台にして特別な肩書きや地位を与えられると、その役割に合わせて行動してしまうことを証明しようとした実験。強い権力を与えられた人間と力を持たない人間が、狭い空間で一緒にいると、次第に理性の歯止めが利かなくなり、暴走するというもの。
この演出という行為は、一見正当性があるように見えポル・ポトの潜在的な革命家としての姿をくらます=敵に見つからないという巧妙な手段のようだ。主義や立場が人格を形成する、逆にそれらを持ちえない人は人格崩壊に陥りやすい。この件は、現代のインターネット社会で目に見えない情報、それによって人心が操作されるような危惧を感じる。印象的なのは、裁判記録は記憶を残すが、悪夢を断ち切るための記憶も必要だ。骨太作品というイメージは、人物造形と物語の展開、そこに散りばめられた強く印象的な台詞である。
この公演は照明効果による演出が巧みで、その状況に応じた照度、情況変化に応じた諧調など人物造形に寄り添っているようだ。例えば特定人物の心情(表情)描写のスポットライト、白、朱などの色彩照明による衝撃描写、また窓枠を刳り貫いたような印象付けなど見事。また音響は不安、不穏、不気味などそのシーンを支えている。
次回公演を楽しみにしております。
台所太平記~KITCHEN WARS~
劇団ドガドガプラス
浅草東洋館(浅草フランス座演芸場)(東京都)
2019/02/16 (土) ~ 2019/02/25 (月)公演終了
満足度★★★★★
谷崎の原作を望月 六郎流に仕立てた作品。(追記1回目2019.2.18:0:20)(追記2回目2月20日16時43分)
ネタバレBOX
いつものように歴史的知見や社会時評が、単語や何気なく書き込まれたかのような1行に込められており、多少知識のある人間ならばいくらでも深読みができる作品だ。更に言えば、深読みの先に見える景色は、日本ではタブー視されがちな庶民と弱者の見た事実、歴史の表舞台からは、為政者の都合で消されてきた事実の齎す鉛色の重い真実である。
物語りの表層には、谷崎家に雇われた5人の若いお手伝いさんたちの生活が描かれるのだが、深層で描かれるのは、1950年代初頭の熱海の連続火事に纏わる裏話だ。1回目も大きな火事であったが、2回目は、消失物件数が2ケタ多い大惨事。その原因も公式発表は怪しい。シャブが合法的に薬局で買え、特攻隊の生き残りやシベリア帰り、南洋戦線の生き残りが街を跋扈していた時代である。
さて、今夜は深読みできる単語の1つを上げて解説しておこう。今作に出てきた済州島(チェジュド)出身者ということについてである。現在は韓国の一部である済州島は、日本の沖縄同様、かつて国としての体制を整えていた。そこで何故、韓国軍、米軍に朝鮮戦争直前に襲われ死亡者数さえハッキリさせることが出来ない程の大虐殺が起こったかについては作品中で触れられているからここでは述べない。然しこの虐殺で亡くなった方は4万人以上と謂われ、海は真っ赤に染まった。少年がリンチを受けて我を忘れる程の錯乱に陥り放火するのは、深層意識に刻まれたこの凄まじい血の呼び覚ます言葉では表せない悲痛そのものの表現なのではないか? 年端もいかない子供が経験するには余りに酷いこのような歴史的体験は心どころか魂の深奥に深く決して消えることの無い底の無い穴をあける。因みに現在は、名称さえ消されてしまった日本最大の在日朝鮮族の在地“猪飼野”には、多くのチェジュド出身者とその末裔が暮らす。何故か、4.3事件(チェジュドを韓国軍・米軍が襲い虐殺を起こした事件)で命からがら、チェジュドからの直行船便に乗って大阪へ辿り着いた人々の出身地が、当にチェジュドだからである。現在チェジュドが置かれている状況が沖縄と極めて似ていることも含めて、アメリカと日韓の関係を抜きには語れない現代の我々の問題なのである。
ところで、今回は、1回お休みを頂いていた、侑希さんが戻ってきた。ちゃんとケジメの挨拶もしたにょだぞ! おきゃえり~~~~~。明日香さんがヒロインを演じたし、微妙な人間関係を座長の丸山 正吾氏が、電信柱や海にもなったりしてフォローしており、璃娃さんが谷崎家出入りの中国人占い師役を演ずる。
また朝鮮半島(今作には登場しないが、台湾)が植民地とされ人々が日本国籍を持っていたことが触れられている等々、大日本帝国時代の日本の実情にそれとなく触れながら、谷崎作品を変態的としてコミカルに表現している点、明るいアイロニーが秀逸である。以下、朝鮮族が大日本帝国下でどのような歴史を辿らされたかについて若干の補足をしておく。(ここから下の文章は、最近自分が参加している「討論塾」の話し合いを自分が纏めたものに若干手を加えて記してある)
植民地化される以前、日本に居た朝鮮人は2000人程で、1910年の朝鮮併合・植民地化以降朝鮮族も日本人にされてしまった。そして大日本帝国は、朝鮮総督府の土地調査事業と称して彼らの土地を奪い、米増産と称して日本向けの米を作らせ収奪していった。また大日本帝国内で若者が戦争に取られた為、労働人口が減少したことに対する補充などが行われた。その結果、収入と働く場所を奪われて隷属化され経済格差をつけられることになった人々が、ニューカマーと言われる人達が近年経済格差の故に出稼ぎで日本に来たように、宗主国へ働きに出た。急激に在日の人々が増えた訳だ。この結果約200万の朝鮮族が、終戦時日本に居ることになった。この中には、強制的に連れて来られた人々もあったし、上記のような収奪の結果出稼ぎを余儀なくされた人々も居た。敗戦日本の戦後処理の中で独立した朝鮮半島出身者のうち帰れる人々は帰還したが、既に日本に生活基盤を持ち、家族も居るという人々も居た。つまり日本に根付いた人々、帰ってもツテが無い人々などと、1950年に朝鮮戦争が勃発したことも影響して難民状態になり、帰るに帰れない人々が60万人ほど残った。帰れた人々は財産の持ち出し制限が課されても帰り、先に挙げた理由から帰国できない人々があったということだ。
日本国籍云々に関しては以下を参照。
1947年「外国人登録令」(日本国憲法発布前日に出された勅令。1952年に外国人登録法と改称。“朝鮮族、台湾人は、日本の植民地政策によって日本国籍を有しているが当分の間これを外国人と看做す”という内容)が出され公布内容の殆どが即日施行された。
つまり、新憲法が発布されれば、天皇・裕仁が政治に携わることができなくなり国会での議決が必要になるので、その前日に勅令として発布してしまおうというものだった。対象は大日本帝国旧植民地出身者で、戦中動員された朝鮮(・台湾)人。軍艦島、九州、北海道の炭鉱などで過酷な労働に就かされていた人々である。而も登録令にも記されている通り1952年サンフランシスコ条約締結に伴い日本国籍を強制剥奪されるまで、彼らは日本国籍を有していた。(同じ敗戦国でも旧独では、旧植民地の人々に国籍を選ぶ権利が与えられたが日本ではこれも無かった。要するに日本の植民的発想そのものは変わらなかったのだ。)
外国人と看做されることの内実は、潜在的犯罪者・治安事犯者と看做されることだったから、外国人登録証常時携帯、警官からの提示命令に対してこれを提示するなどが強制された。違反すれば懲役、禁固、罰金、退去強制などが科された。以下、この件に関する吉田 茂の反応を見ておく。
1949年吉田茂は、マッカーサーに対して“総ての朝鮮人が彼らの故郷である半島に戻ることを期待する”として願書を提出、その理由として“何故なら彼らは犯罪を犯しかねない危険を孕んでいるからだ”と主張した。敗戦までは彼らの土地を奪い、収奪して出稼ぎを余儀なくし日本に流入せざるを得ないようにしたうえで、強制徴用し安い労働力として酷使しながら、景気が悪くなると犯罪者扱いして追い出す。現在では経済格差を利用した上で戦前から続いて来たこの日本のやり方を欧米を除く外国人に対して繰り返している。
この所、オリンピック・パラリンピック開催で政府は、肝心な原発問題や米軍基地問題を含む地位協定問題、秘密保護法、共謀罪や集団的自衛権等々の悪法、都合の悪い門題を誤魔化す為に小手先で入管法改正などを繰り返しても来たが、内実は相変わらず差別的だ。殊に対アメリカに対しては、宗主国待遇がそのまま出ている点も興味深い。
現代世界を繙く為に以下のイベント、展覧会もグー。
パレスチナ・ガザの画家3人展(アーティスト・ブリッジ2019巡回展)
ガザのアーティスト達3名が難題を乗り越え来日、群馬県前橋にある広瀬川美術館を経由して横浜関内のGALLEY SHIMIZUに戻ってきた。昨19日に1回、23日にもう1回3名の画家によるトークと展覧会がある。アーティストトーク参加には500円必要だが、通訳がつき、質疑応答が可能。
http://www.frame-shimizu.jp/index.html
更に2月28日16時頃から(時刻は凡そ)は東京大学東洋文化研究所1階ギャラリーでトークあり。因みに東文研は本郷校舎、懐徳門を入って10m強直進、右手の獅子像のある建物。
よかったら、自分のブログにもどうぞ。
https://handara.hatenablog.com/
平田オリザ・演劇展vol.6
青年団
こまばアゴラ劇場(東京都)
2019/02/15 (金) ~ 2019/03/11 (月)公演終了
満足度★★★★
コントロールオフィサー。30分。
ネタバレBOX
大飯(中藤奨)…予選会で結果残せず後輩に当たる気難し屋。彼女の浮気に薄々気づいていた。
志賀(海津忠)…泊が大飯の彼女を奪ったことをバラす。
浜岡(大竹直)…予選会1位。
泊(伊藤毅)…予選会入賞?。大飯の彼女を奪う。
ドーピング検査の待機室。後ろに検査員が立つ中、成績のことや恋愛のことでピリピリ、ワイワイ騒ぐ選手達。そしてそんな選手らを微笑する検査員という構図。試合にも敗れ彼女も取られる大飯を嘲笑する検査員らが、ルールブックの「コントロールオフィサーは中立ですので…」と読み上げるとこで幕。
コメディなつくりで笑えて、時間も短く見やすい作品。試合も検査も中立公平でよいけど、人の情という部分は中立なんてない(なくてよい)んじゃないかなって作品。検査員の島田桃依が意味もなく検査用品を入れ替える演出が妙にウケた。
平田オリザ・演劇展vol.6
青年団
こまばアゴラ劇場(東京都)
2019/02/15 (金) ~ 2019/03/11 (月)公演終了
満足度★★★
走りながら眠れ。70分。
ネタバレBOX
アナーキスト大杉栄(古屋隆太)と妻伊藤野枝(能島瑞穂)の夏の会話劇。
舞台上は落ち着いているけど、その後二人が殺されることを考えると落ち着かない気持ちになるような感じ。上海?に移住しようかという大杉に無邪気に喜ぶ野枝の姿がかわいくて、背後にある死が寒々とした感覚で迫ってくるとこがすき。
前回見た時より、感じ入るとこはすくなくなった気がする。別キャストでも見てみたい。
鎧男と装い女
帰り道の
大阪府立江之子島文化芸術創造センター enoco(大阪府)
2019/02/16 (土) ~ 2019/02/17 (日)公演終了
満足度★★★
あまり期待をせずに参加させて頂きましたが、意外と良かったです。セリフがかみかみでしたが、なんとかできていたように思います。次回も期待しています。